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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133344
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】薬物放出コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   A61L 31/10 20060101AFI20230914BHJP
   A61L 31/04 20060101ALI20230914BHJP
   A61L 31/06 20060101ALI20230914BHJP
   A61L 31/12 20060101ALI20230914BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20230914BHJP
   A61L 31/16 20060101ALI20230914BHJP
   A61K 31/436 20060101ALI20230914BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230914BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230914BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20230914BHJP
   A61F 2/82 20130101ALI20230914BHJP
【FI】
A61L31/10
A61L31/04 120
A61L31/06
A61L31/12 100
A61L31/14 500
A61L31/16
A61K31/436
A61K47/34
A61K47/38
A61M25/10 502
A61F2/82
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114837
(22)【出願日】2023-07-13
(62)【分割の表示】P 2021505383の分割
【原出願日】2019-07-30
(31)【優先権主張番号】62/713,081
(32)【優先日】2018-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ツォン、ホンシア
(72)【発明者】
【氏名】チャキー、ジョナサン パスカル
(72)【発明者】
【氏名】ダン、ミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、イェン-レーン
(57)【要約】
【課題】安全かつ確実に薬物移動効率を高めるコーティング組成物を提供する。
【解決手段】一態様では、本発明は、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)又はメチルセルロース(MCC)から選択される生分解性又は生体安定性ポリマーを含む賦形剤と、結合剤と、治療薬とを含む溶出可能なコーティング組成物に関する。いくつかの実施形態では、溶出可能なコーティング組成物は、溶媒をさらに含み、その場合、そのような組成物は、例えば、層の形態で基材に塗布され、続いて乾燥され、それにより、基材上に溶出可能なコーティングを形成し得る。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶出可能なコーティング組成物において、
ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)又はメチルセルロース(MCC)から選択される生分解性又は生体安定性ポリマーを含んでなる賦形剤と、
結合剤と、
治療薬とを含有する、溶出可能なコーティング組成物。
【請求項2】
前記結合剤がエチルセルロースを含有する、請求項1に記載の溶出可能なコーティング組成物。
【請求項3】
前記賦形剤がPLGA(50:50)を含有する、請求項1~2のいずれか一項に記載の溶出可能なコーティング組成物。
【請求項4】
前記賦形剤がPLGA(85:15)を含有する、請求項1~2のいずれか一項に記載の溶出可能なコーティング組成物。
【請求項5】
前記賦形剤の固有粘度が約0.1デシリットル/グラム(dL/g)~約0.8dL/gの範囲にある、請求項3~4のいずれか一項に記載の溶出可能なコーティング組成物。
【請求項6】
前記賦形剤が、約10センチポアズ(cp)~約500cpの範囲の粘度を有するMCCを2%水溶液として含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の溶出可能なコーティング組成物。
【請求項7】
前記賦形剤が、約300センチポアズ(cp)~約4,000cpの範囲の粘度を有するMCCを2%水溶液として含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の溶出可能なコーティング組成物。
【請求項8】
前記治療薬が前記コーティング組成物の約70~約90重量パーセントの範囲にて含まれる、請求項1~7のいずれか一項に記載の溶出可能なコーティング組成物。
【請求項9】
前記賦形剤が、前記コーティング組成物の約5~約40重量パーセントの範囲にて含まれる、請求項1~8のいずれか一項に記載の溶出可能なコーティング組成物。
【請求項10】
前記結合剤が前記コーティング組成物の約5~約15重量パーセントの範囲にて含まれる、請求項1~9のいずれか一項に記載の溶出可能なコーティング組成物。
【請求項11】
前記治療薬が前記コーティング組成物の約60~約80重量パーセントにて含まれ、前記賦形剤が前記コーティング組成物の約10~約20重量パーセントにて含まれ、前記結合剤は、前記コーティング組成物の約10~約20重量パーセントにて含まれる、請求項1~10のいずれか一項に記載の溶出可能なコーティング組成物。
【請求項12】
前記治療薬がエベロリムスからなる、請求項1~12のいずれか一項に記載の溶出可能なコーティング組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の潤滑性コーティング組成物の層によって少なくとも部分的に覆われる医療物品基材を備えた医療物品。
【請求項14】
前記医療物品基材が拡張可能なバルーンである、請求項13に記載の医療物品。
【請求項15】
前記医療物品基材がステントである、請求項14に記載の医療物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具、及び医療器具を製造するための方法に関する。より詳細には、本発明は、治療薬送達のための医療器具に関する。
【背景技術】
【0002】
血管内での使用などの医療用に多種多様な体内医療器具が開発されてきた。これらの器具のいくつかには、ガイドワイヤ、カテーテルなどが含まれる。これらの器具は、様々な異なる製造方法のいずれかによって製造され、様々な方法のいずれかに従って使用できる。既知の医療器具及び方法のうち、それぞれに特定の長所と短所がある。代替器具、及び医療器具を製造及び使用するための代替方法を提供する継続的なニーズがある。例えば、薬物でコーティングされた医療器具は、体内の標的領域への治療薬の移動を可能にし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
安全かつ確実に薬物移動効率を高めるコーティング組成物を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、医療器具の設計、材料、製造方法、及び代替用途を提供する。
第1の例では、溶出可能なコーティング組成物は、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)又はメチルセルロース(MCC)から選択される生分解性又は生体安定性ポリマーからなる賦形剤と、結合剤と、治療薬とを含むことができる。
【0005】
別の例において、上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、結合剤はエチルセルロースを含み得る。
別の例において、上記の実施例のいずれかに代替的又は追加的に、賦形剤は、PLGA(50:50)を含み得る。
【0006】
別の例において、上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、賦形剤は、PLGA(85:15)を含み得る。
別の例において、上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、賦形剤の固有粘度は、約0.1デシリットル/グラム(dL/g)~約0.8dL/gの範囲であり得る。
【0007】
別の例において、上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、賦形剤は、約10センチポアズ(cp)~約500cpの範囲の粘度を有するMCCを2%水溶液として含み得る。
【0008】
別の例において、上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、賦形剤は、約300センチポアズ(cp)~約4,000cpの範囲の粘度を有するMCCを2%水溶液として含み得る。
【0009】
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、治療薬は、約60~約90重量パーセントのコーティング組成物を含み得る。
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、賦形剤は、約5~約40重量パーセントのコーティング組成物を含み得る。
【0010】
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、結合剤は、約5~約15重量パーセントのコーティング組成物を含み得る。
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、治療薬は約60~約80重量パーセントにてコーティング組成物に含まれ、賦形剤は約10~約35重量パーセントにてコーティング組成物に含まれ、そして結合剤は、約5~約20重量パーセントにてコーティング組成物に含まれ得る。
【0011】
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、治療薬はエベロリムスを含み得る。
別の例では、医療品は、上記の例のいずれかによる潤滑性コーティング組成物の層によって少なくとも部分的に覆われている医療物品基材を含み得る。
【0012】
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、医療物品基材は、拡張可能なバルーンであり得る。
上記の実施例のいずれかに代替的又は追加的に、別の実施例では、医療物品基材はステントであり得る。
【0013】
別の例では、溶出可能なコーティング組成物は、約0.1デシリットル/グラム(dL/g)~約0.8dL/gの固有粘度を有するポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)を含む賦形剤と、結合剤と、治療薬とを含み得る。
【0014】
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、結合剤はエチルセルロースを含み得る。
上記の実施例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例において、賦形剤は、PLGA(50:50)を含み得る。
【0015】
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、賦形剤は、PLGA(85:15)を含み得る。
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、治療薬は、約60~約90重量パーセントのコーティング組成物を含み得る。
【0016】
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、賦形剤は、約5~約40重量パーセントのコーティング組成物を含み得る。
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、結合剤は、約5~約15重量パーセントのコーティング組成物を含み得る。
【0017】
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、治療薬は約60~約80重量パーセントのコーティング組成物を含み得、賦形剤は約10~約35重量パーセントのコーティング組成物を含み得、そして結合薬剤は、約5~約20重量パーセントのコーティング組成物を含み得る。
【0018】
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、治療薬はエベロリムスを含み得る。
別の例では、溶出可能なコーティング組成物は、メチルセルロース(MCC)を含む賦形剤、結合剤、及び治療薬を含み得る。
【0019】
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、結合剤はエチルセルロースを含み得る。
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、MCCは2%水溶液として、約10センチポアズ(cp)~約500cpの粘度を有し得る。
【0020】
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、MCCは2%水溶液として、約300センチポアズ(cp)~約4000cpの粘度を有し得る。
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、治療薬は、約60~約90重量パーセントのコーティング組成物を含み得る。
【0021】
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、賦形剤は、約5~約40重量パーセントのコーティング組成物を含み得る。
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、結合剤は、約5~約15重量パーセントのコーティング組成物を含み得る。
【0022】
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、治療薬は約60~約80重量パーセントのコーティング組成物を含み得、賦形剤は約10~約35重量パーセントのコーティング組成物を含み得、そして結合薬剤は、約5~約20重量パーセントのコーティング組成物を含み得る。
【0023】
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、治療薬はエベロリムスを含み得る。
別の例では、溶出可能なコーティング組成物を調製する方法は、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)又はメチルセルロース(MCC)を含む賦形剤と、エチルセルロース(ECC)を含む結合剤と、治療薬とを混合することによって混合物を形成する工程と、混合物を第1の溶媒に分散させて第1の懸濁液を形成する工程と、第1の懸濁液を第2の溶媒に加えて第2の懸濁液を形成する工程と、第2の懸濁液を攪拌する工程と、第2の懸濁液を室温で24~72時間の範囲の一定時間、インキュベートする工程とを備える。
【0024】
上記の例のいずれかに代替的又は追加的に、別の例では、賦形剤、結合剤、及び治療薬は、約1:1:8の重量比で混合され得る。いくつかの実施形態の上記の要約は、開示された各実施形態又は本発明のすべての実施を説明することを意図するものではない。以下の図及び詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示している。
【0025】
本発明は、添付の図面に関連する以下の詳細な説明を考慮して、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】例示的な医療器具を示す断面図。
図1B】例示的な管腔内インプラントを示す側面図。
図2】生分解性ポリマーを含む薬物コーティング組成物の移動効率を示すグラフ。
図3】生体安定性ポリマーを含む薬物コーティング組成物の移動効率を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、様々な修正及び代替形式に変更可能であるが、それらの詳細は、例として図面に示され、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、記載された特定の実施形態に本発明を限定することではないことを理解されたい。それどころか、その意図は、本発明の範囲内にあるすべての修正、同等物、及び代替物を網羅することにある。
【0028】
以下に定義された用語については、クレーム又は本明細書の他の場所で異なる定義が与えられていない限り、これらの定義が適用されるものとする。
本明細書では、すべての数値は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、「約」という用語によって変更されることが想定されている。「約」という用語は、一般に、当業者が列挙された値と同等であると考える(すなわち、同じ機能又は結果を有する)数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語には、最も近い有効数字に四捨五入された数値が含まれ得る。
【0029】
終点による数値範囲の列挙には、その範囲内のすべての数値が含まれる(例えば、1~5には、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4,5が含まれる)。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、用語「又は」は、内容が明確に他のことを指示しない限り、一般に「及び/又は」を含む意味で使用される。
【0030】
本明細書における「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、記載された実施形態が1つ以上の特定の較正、構造、及び/又は特性を含み得ることを示すことに留意されたい。しかしながら、そのような朗読は、必ずしもすべての実施形態が特定の特徴、構造、及び/又は特徴を含むことを意味するわけではない。さらに、特定の特徴、構造、及び/又は特性が一実施形態に関連して説明される場合、明確に逆のことが記載されない限り、そのような特徴、構造、及び/又は特性は、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、他の実施形態に関連して使用されてもよいことを理解されたい。
【0031】
以下の詳細な説明は、異なる図面の類似した要素に同一の符号が付されている図面を参照して読む必要がある。必ずしも縮尺通りではない図面は、実施形態を例示的に示すものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0032】
身体には、血管や体管腔などの様々な通路がある。これらの通路は閉塞していることがある(例えば、腫瘍又はプラークによって)。体内の閉塞した血管を広げるために、例えば血管形成術においてバルーンカテーテルを使用することができる。いくつかの実施形態では、バルーンカテーテルは、長くて狭いカテーテル本体によって運ばれる、膨張及び収縮可能なバルーンを備えることができる。バルーンは、最初はカテーテル本体の周りに折りたたまれて、体内への容易な挿入のためにバルーンカテーテルの半径方向の外形を縮小することができる。使用中、折りたたまれたバルーンは、すでに血管内に配置されているガイドワイヤ上を通ってバルーンカテーテルを通すことにより、血管内の標的位置、例えば、プラークによって閉塞された部分に送達することができる。次に、例えば、流体(気体又は液体など)をバルーンの内部に導入することによって、バルーンを膨張させる。バルーンを膨らませると、血管が放射状に拡張するため、血管は血流速度を上げることができる。使用後、バルーンは通常、収縮して体内から引き抜かれる。場合によっては、バルーンが拡張されたときに薬物又は治療薬を管腔壁に送達及び/又は投与するために、薬物又は治療薬をバルーンの外面にコーティング、層状化、又は他の方法で適用することが望ましい場合がある。展開中(例えば、バルーンの拡張)、薬物又は治療薬を含むコーティングは、粒子に分解し得る。粒子の一部は、血管の内面に部分的に堆積する可能性がある。しかしながら、薬物又は治療薬の輸送の効率は低い可能性がある。血流にさらされたときの薬物の損失に対抗するために十分な粒子結合で高粘度を維持しつつ、妥当な粒子プロファイル(例えば、コーティングが付着される身体内に留置される粒子濃度は安全なレベルである)を維持できるコーティングを提供することが望ましい場合がある。本明細書に記載の治療用コーティングは、バルーン及びバルーンカテーテルに関連させて記載しているが、治療用コーティングは、ステント、塞栓フィルター、埋め込み型デバイス、治療デバイスなどの他の医療器具に適用、及び/又は組み合わせて使用できるものと考えられる。
【0033】
場合によっては、薬物被覆バルーン(DCB)は、薬物と賦形剤のブレンドのコーティングを伴う。バルーンを展開すると、コーティングが粒子の小さな滝のように剥がれ落ちる可能性がある。コーティングの一部は経路を辿る間に失われる可能性があり、一部は展開中に失われる可能性があり、ごくわずかな部分が実際に動脈(又は他の標的位置)に沈着し得る。動脈壁の固体粒子は、いくつかの異なる潜在的な結果の1つを有する可能性がある。例えば、動脈壁から血流に流されるものもある。動脈壁と接触したままの部分はゆっくりと溶解し、一部の画分が血流に溶解し、一部の画分が血管に取り込まれる可能性がある(治療用量など)。本明細書に記載のコーティング組成物は、高い薬物移動効率、安全な粒子プロファイル、及び持続的な薬物放出を可能にし得る。
【0034】
図1Aは、この例では、体管腔40内に配置されたカテーテルの形態をとる、例示的な医療器具10の遠位端領域の断面側面図である。少なくともいくつかの実施形態では、カテーテル10は、バルーンカテーテルであり得る。カテーテル10は、近位端(図示せず)及び遠位端領域14を有する長尺状のカテーテルシャフト12を含み得る。カテーテルシャフト12は、遠位端領域14から、患者の身体の外側に留まるように構成された近位端まで近位方向に延びることができる。図示されていないが、カテーテルシャフト12の近位端は、他の治療装置を接続するため、又は他の治療を促進するためのポートを提供するために取り付けられたハブを含み得る。カテーテルシャフト12の剛性及びサイズは、体内の様々な場所で使用するためのカテーテル10を形成すべく、変更され得ることが企図される。カテーテル10は、ガイドシース、送達シース、又は他のガイド手段を通って前進するように構成され得る。
【0035】
カテーテル10は、カテーテルシャフト12の遠位端領域14に隣接して取り付けられた膨張可能なバルーン16をさらに含み得る。バルーン16のサイズは、体内のどこで使用するかに基づいて多様となり得る(例えば、冠状動脈及び/又は末梢血管系に沿って、肺血管内に、気道に沿って、別の体管腔に沿ってなど)。バルーン16は、1ミリメートル(mm)~26mm、又は約2~10mm、又は約2.5~8mmの範囲の外径(膨張状態)を有し得る。バルーン16は、5mm~300mm、又は約5~100mm、又は約10~50mmの範囲の長さを有し得る。バルーン16は、10マイクロメートル(μm)~100μm、又は約10~75μm、又は約10~50μmの範囲の壁厚を有し得る。
【0036】
カテーテルシャフト12は、外側管状部材18及び内側管状部材20を含み得る。バルーン16の近位ウエスト22は、外側管状部材18の遠位端領域26に固定され得る。バルーン16の遠位ウエスト24は、内側管状部材20の遠位端領域28に固定され得る。内側管状部材20は、バルーン16の遠位ウエスト24を超えて遠位方向に延びることができるが、これは必須ではない。場合によっては、環状膨張管腔30は、外側管状部材18と内側管状部材20との間に配置され得る。膨張管腔30は、膨張流体が、体外に留まるように構成された膨張流体源からバルーン16の内部領域32に通過することを可能にし得る。内側管状部材20は、カテーテル10を所定の位置に前進させるためにガイドワイヤ(明示的に示されていない)を通すことができる管腔34をさらに画定することができるが、これは必須ではない。
【0037】
いくつかの実施形態では、バルーン16の外面38は、溶出可能な薬物又はコーティング36でコーティングされるか、そうでなければそれを含むことができる。
コーティング36は、1つ以上のポリマー(例えば、賦形剤)、結合剤、及び治療薬又は薬物を含み得る。「治療薬」、「薬物」、「生物活性剤」、「医薬品」、「薬学的に活性な薬剤」という用語、及び他の関連用語は、本明細書で交換可能に使用され得、遺伝的治療薬、非遺伝的治療薬、及び細胞を含む。治療薬は、単独で又は組み合わせて使用することができる。治療薬の充填は、多様な様式で本発明の器具と組み合わせて使用することができ、薬学的に有効な量は、当業者によって容易に決定されるものであるが、最終的には、例えば、治療される状態、治療薬自体の性質、剤形が導入される組織などに依存する。
【0038】
いくつかの特定の有益な薬剤には、抗血栓剤、抗増殖剤、抗炎症剤、抗遊走剤、細胞外マトリックスの産生及び組織化に影響を与える薬剤、抗悪性腫瘍剤、抗有糸分裂剤、麻酔剤、抗凝固剤、血管細胞成長促進剤、血管細胞成長阻害剤、コレステロール低下剤、血管拡張剤、及び内因性血管作用メカニズムを妨害する薬剤が含まれる。
【0039】
より詳細な薬物又は治療薬には、パクリタキセル、ラパマイシン、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ヘパリン、ジクロフェナク、アスピリン、エポD、デキサメタゾン、エストラジオール、ハロフジノン、シロスタゾール、ゲルダナマイシン、ABT-578(アボットラボラトリーズ)、トラピジル、リプロスチン(liprostin)、アクチノマイシン(Actinomicin)、レステン(Resten)-NG、Ap-17、アブシキマブ(abciximab)、クロピドグレル、リドグレル(Ridogrel)、ベータブロッカー、bARKct阻害剤、ホスホランバン阻害剤、Serca 2遺伝子/タンパク質、レキシモド(resiquimod)、イミキモッド(他のイミダゾキノリン免疫応答物質も含む)、ヒトアポリポタンパク質(apolioproteins)(例えば、AI、AII、AIII、AIV、AVなど)、血管内皮成長因子(例えば、VEGF-2)、ならびに上記の誘導体を含むが含まれる。
【0040】
本発明の実施に有用な多数の追加の治療薬は、共に譲渡された米国特許第8,211,455号に記載されているものから選択することができ、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
一例では、薬物コーティング36は、1つ以上の賦形剤と、1つ以上の結合剤と、エベロリムスなどであるがこれらに限定されない1つ以上の治療薬とを含み得る。本明細書に記載の薬物コーティング36は、エベロリムスに関して記載しているが、必要に応じて、他の薬物又は治療薬を使用することができると考えられる。いくつかの例示的な賦形剤には、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)又はメチルセルロース(MCC)が含まれ得るが、これらに限定されない。必要に応じて、他の生分解性又は生体安定性ポリマーを使用できることが企図されている。例示的であるが非限定的な結合剤は、エチルセルロースを含み得る。場合によっては、コーティングは、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、エチルセルロース(ECC)、及びエベロリムスの混合物を含み得る。別の例では、コーティングは、メチルセルロース(MCC)、ECC、及びエベロリムスの混合物を含み得る。溶出可能な薬物コーティング36中の治療薬の重量パーセント(重量%)は、約50~約99重量%、約60~約95重量%、又は約70~約90重量%、又は約80重量%であり得る。溶出可能な薬物コーティング36中の賦形剤の重量パーセントは、約1~約45重量%、約5~約30重量%、又は約10重量%であり得る。溶出可能な薬物コーティング36中の結合剤の重量パーセントは、約1~約20重量%、約5~約15重量%、又は約10重量%であり得る。
【0042】
PLGAの特性は、重合プロセス中に使用されるラクチドとグリコリドの比率を変更することで操作できる。異なる形態は、使用されるモノマーのモル比によって識別され得る。例えば、PLGA50:50は、乳酸50%とグリコール酸50%の組成を有するコポリマーを示し、PLGA75:25は、乳酸75%とグリコール酸25%の組成を有するコポリマーを示す。PLGAは、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーとして合成することもでき、PLGAの特性を制御するために追加で使用できる。場合によっては、グリコリドの含有量を増やすと、PLGAの分解時間が短縮されることがある。これの例外はPLGA50:50で、最も速い劣化時間を有し得る。薬物、結合剤(例えば、エチルセルロース)、及びPLGAを含むコーティングからの薬物の放出は、PLGA中の乳酸対グリコール酸比の操作によって調節され得ることが企図される。例えば、PLGA中の乳酸の比率を増加させると、コーティングがより疎水性になり(例えば、水溶性が低くなり)、PLGA分解時間が遅くなり、治療薬の放出が調節され得る。さらに、PLGAの分子量を増加させると、その場でのコーティングの粘度が増加し、PLGAが溶解するのにかかる時間が増加し、治療薬が血管壁に長期間留まるのを助ける可能性があることがさらに企図される。粘度及び溶解時間の増加は、コーティングの血管又は標的領域との接触時間を増加させ、したがって、より多くの薬物が標的領域で体内に吸収されることを可能にし得る。本発明で有用なPLGA材料の例には、PLGA(50:50)DL 2A、PLGA(85:15)DL 4A、及びPLGA(85:15)DL high IVが含まれ、これらはすべてエボニック インダストリーズ アーゲー(ドイツ国エッセン)から入手できる。適切なPLGA材料は、約0.1デシリットル/グラム(dL/g)~約0.8dL/gの範囲の固有粘度を有し得る。さらに、固有粘度が0.1dL/g未満、又は0.8dLgを超えるPLGA材料も使用できることが企図される。
【0043】
コーティング36の特性はまた、メチルセルロースが賦形剤として使用される場合に操作され得る。場合によっては、メチルセルロースの特性は、合成中にメトキシドに置き換わるヒドロキシル基の数、及び/又はポリマー骨格の平均長さに応じて変化する可能性がある。例えば、メチルセルロースの水溶液の粘度は、特定の製剤の分子量又は鎖の長さに比例し得る。上記のように、粘度及び溶解する時間を増加させると、コーティングと血管又は標的領域との接触時間が増加し、したがって、より多くの薬物が標的領域で体内に吸収されることが可能になる。本発明において有用なMCC材料の例には、メトセル(登録商標)A15 LV、メトセル(登録商標)A4Cプレミアム、及びメトセル(登録商標)A4M(HV)が含まれ、これらはすべて、ミシガン州ミッドランドのダウケミカル社から入手可能である。適切なMCC材料は、10センチポアズ(cp)~約4,000(cp)、又は約10cp~約500cp、又は約300cp~約4000cpの範囲の粘度(2%MCC水溶液に対するもの)を有し得る。さらに、粘度が10cp未満、又は4,000cpを超えるMCC材料を使用することもできると考えられる。
【0044】
結合剤は、薬物粒子を一緒にまとめるために使用され得る(例えば、凝集力の増加を通じて)。薬物粒子を結合することにより、薬物がより長期間にわたり標的領域に留まることが可能になる(例えば、血液などの、流れる体液によって標的領域から洗い流される血液粒子の数を減らす)。場合によっては、エチルセルロース(ECC)が結合剤として使用され得るが、デンプン、キサンタンガム、グアーガム、ポビドンなどであるがこれらに限定されない他の結合剤が使用され得る。
【0045】
バルーン16に適用するための液体コーティング組成物を調製する際に、薬物(エベロリムスなどであるがこれに限定されない)は、最初にアモルファス形態から結晶形態に変換され得る。簡潔に言えば、アモルファス状の薬物と溶媒とのスラリーが形成され、経時変化させられ得る。アモルファス状のマクロライド薬を結晶性エベロリムスに変換するための例示的な方法は、共に譲渡された米国特許第8,669,360号に記載されており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、場合によっては、液体コーティング懸濁液が調製されている間に、エベロリムスがアモルファス形態から結晶形態に変換され得る。液体懸濁液を使用して、より狭いサイズ分布で結晶成長を促進することができる。
【0046】
次に、薬物、賦形剤、及び結合剤を、酢酸エチルなどであるがこれらに限定されない第1の溶媒に添加して、第1の溶液又は懸濁液を形成することができる。次に、第1の懸濁液(例えば、薬物、賦形剤、結合剤、及び第1の溶媒)を、ヘプタンなどであるがこれらに限定されない第2の溶媒に分散させて、溶媒及びコーティング組成物を含む第2の懸濁液を形成することができる。場合によっては、第1の懸濁液を(例えば、ピペット又はスポイトから)第2の溶媒に滴下して加えることができる。第1及び第2の溶媒は、様々な量で使用され得ることが企図される。例えば、第2の懸濁液中の第1の溶媒と第2の溶媒との比は、約1:10~約10:1の範囲であり得る。
【0047】
次に、第2の懸濁液をかき回し(例えば、振とう又は攪拌)、インキュベートすることができる。いくつかの例では、第2の懸濁液は、29℃で約72時間インキュベートすることができる。潜伏期間は、アモルファス状の薬物が結晶化することを可能にし得る。第2の懸濁液は、噴霧、浸漬、圧延、ピペッティング、塗装(例えば、ブラシ塗装、スポンジ塗装など)を含むがこれらに限定されない、当技術分野で知られている任意の方法によって医療器具(例えば、バルーン16)に適用され得る。次に、溶媒を蒸発させて薬物コーティング36を形成することにより、第2の懸濁液を乾燥させることができる。場合によっては、バルーン16を周囲条件で一晩乾燥させることができる。しかしながら、場合によっては、バルーン16は、高温(例えば、室温以上)で乾燥され得る。乾燥形態では、コーティング36は、約50重量パーセント(重量%)~約90重量%の治療薬、約5重量%~約30重量%の賦形剤、及び約5重量%~約15重量%の結合剤を含み得る。治療薬、賦形剤、及び結合剤は、乾燥コーティング形態の場合と同様に、懸濁液形態において互いに同じ又は同様の重量比を有し得る。場合によっては、一部の生分解性又は生体安定性ポリマーがミクロスフェアを形成することがある。乾燥したコーティングを分析して(例えば、示差走査熱量測定又はX線回折を使用して)、結晶化度のパーセンテージを決定することができる。場合によっては、乾燥コーティングは、約60~90%の結晶形態の乾燥コーティング範囲を有し得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、乾燥コーティング36はバルーン16上で、0.1マイクロメートル以下~20マイクロメートル以上(例えば、0.1~0.2マイクロメートルまで,0.5マイクロメートルまで,1マイクロメートルまで,2マイクロメートルまで,5マイクロメートルまで,10マイクロメートルまで,20マイクロメートル)の範囲、又は約0.1~約5マイクロメートルの厚さを有し得る。コーティングの厚さは、他の要因の中でもとりわけ、第2の懸濁液中の固形分パーセント及び塗布技術によって影響を受ける可能性がある。所望のコーティング厚さを達成するために、複数のコーティングを適用することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、溶出可能な薬物コーティング36は、バルーン16の表面領域38全体を覆い得る。他の実施形態では、溶出可能な薬物コーティング36は、バルーン16の表面領域の一部を覆ってもよい。例えば、溶出可能な薬物コーティング36は、バルーンの外面38の90%以下(例えば、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、又は約10%以下)、及び/又は約10%以上(例えば、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、80%以上、又は90%以上)を被覆し得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、カテーテル10は、ガイドワイヤ又は他のガイド手段の有無にかかわらず、管腔壁42を有する管腔40を通って前進することができる。バルーン16が所望の治療領域に隣接して配置されると、バルーン16を拡張して、溶出可能な薬物コーティング36を管腔壁42と接触させることができる。薬物コーティング36は、エベロリムス微粒子などであるがこれに限定されない治療薬を管腔壁42に溶出することができる。バルーン16は、コーティング36をバルーン16から壁42に移すのに十分な所望の時間膨張したままであり得る。
【0051】
本明細書に記載されるように、コーティング36中の賦形剤は水溶性であり得る。コーティング36が壁42に移ると、コーティング36は血流に溶解し始めるか、又は血流によって洗い流され得る。水和するにつれてより高い粘度を有する賦形剤は、血管壁42との接触時間が長くなる可能性があり(例えば、洗い流されにくくなる可能性がある)、したがって、コーティング36から管腔壁42への薬物移動量の増加を可能にする。言い換えれば、賦形剤の固有粘度が増加するにつれて、コーティング36が血管壁42と接触したままでいる能力も増加し得る。本明細書で使用される場合、賦形剤の固有粘度とは、溶液の粘度に対する溶質(例えば、賦形剤)の寄与の尺度を指す。
【0052】
図1Bは、ステントなどであるがこれに限定されない、例示的な管腔内インプラント50の側面図である。場合によっては、ステント50は、長尺状の管状部材52から形成され得る。ステント50は一般に管状であると説明されているが、ステント50は、所望の任意の断面形状をとることができると考えられる。ステント50は、第1の、又は近位の端部54と、第2の、又は遠位の、端部56とを有し得る。ステント50は、食物、流体などの通過を可能にするために、第1の端部54に隣接する第1の開口部から第2の端部56に隣接する第2の開口部まで延びる管腔60を含み得る。いくつかの実施形態では、ステント50の外面62は、溶出可能な薬物又はコーティング66でコーティングされているか、そうでなければそれを含み得る。コーティング66は、本明細書に記載の溶出可能な薬物コーティング36と形態及び機能が類似していてもよい。代替的に、又は追加的に、コーティング66は、ステント50の内面にコーティングされ得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、溶出可能な薬物コーティング66は、ステント50の表面積全体を覆い得る。他の実施形態では、溶出可能な薬物コーティング66は、ステント50の表面積の一部を覆ってもよい。例えば、溶出可能な薬物コーティング66は、ステント50の90%以下(例えば、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、又は約10%以下)、及び/又は約10%以上(例えば、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、80%以上、又は90%以上)を被覆し得る。
【0054】
ステント50は、第1の折りたたまれた構成(明示的に示されていない)から第2の拡張された構成に拡張可能であり得る。ステント50は、狭窄部を横切って延在し、管腔内の狭窄部に半径方向外向きの圧力を加えて管腔を開き、食物、流体、空気などの通過を可能にするように構成され得る。
【0055】
ステント50は、いくつかのフィラメント又はストラット64から製造された製織構造を有し得る。いくつかの実施形態では、ステント50は、1つのフィラメントで編むことができる。他の実施形態では、ステント50は、例えば、ボストンサイエンティフィック
コーポレイションによって製造及び販売されているWallFlex(登録商標)、WALLSTENT(登録商標)、及びPolyflex(登録商標)ステントに見られるように、いくつかのフィラメントで編むことができる。別の実施形態では、ステント50は、ボストンサイエンティフィック社製のUltraflex(商標)ステントなどで編むことができる。さらに別の実施形態では、ステント50は、ボストンサイエンティフィック社によって製造されたPrecision Colonic(商標)ステントなどの結び目タイプのものであり得る。さらに別の実施形態では、ステント50は、ボストンサイエンティフィック社製のEPIC(商標)ステントなどのレーザー切断管状部材であり得る。レーザー切断された管状部材は、1つ以上の相互接続されたフィラメントを含む、開放セル及び/又は閉鎖セルの形状を有し得る。場合によっては、ステント50の内面及び/又は外面は、完全に、実質的に又は部分的に、ポリマー被覆又はコーティングで覆われていてもよい。例えば、被覆又はコーティングは食物の嵌入、及び/又は腫瘍又は組織の内部成長を低減するのを助ける可能性がある。本発明は、実施例を参照することによってさらに明確にすることができ、これらはいくつかの実施形態を例示するのに役立ち得るが、本発明を限定するものではない。
【0056】
(実施例1)
生分解性ポリマーであるポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)を使用して3つのコーティング組成物を調製した。各コーティング組成物は、異なる粘度の異なるグレードのPLGAを使用した。第1のコーティング組成物を、0.16デシリットル/グラム(dL/g)の固有粘度(IV)を有するPLGA(50:50)で調製した。第2のコーティング組成物を、0.41dL/gの固有粘度を有するPLGA(85:15)で調製した。第3のコーティング組成物を、0.75dL/gの固有粘度を有するPLGA(85:15)で調製した。各コーティング組成物について、まず、結晶性エベロリムス、エチルセルロース(ECC)、及びPLGAを8:1:1の重量比(エベロリムス:ECC:PLGA)で混合して第1の混合物を形成することによって個別に調製した。次に、各組成物を8:1:1:90の重量比(エベロリムス:ECC:PLGA:酢酸エチル)で酢酸エチルに個別に溶解して、第1の懸濁液を生成した。次に、第1の懸濁液を、酢酸エチル対ヘプタンの重量比が1:5で、ヘプタンに滴下して分散させて、第2の懸濁液を生成した。次に、第2の懸濁液を攪拌(振とう又は攪拌など)し、29℃で約72時間インキュベートした。次に、各液体コーティング組成物を2つの異なるバルーンにコーティングした結果、6つのバルーンをPLGA含有組成物でコーティングした。バルーンを周囲条件で一晩乾燥させた。結晶性エベロリムスのみを有するコーティング組成物でさらに2つのバルーンをコーティングした。乾燥したコーティング組成物を以下の表1に記載する。
【0057】
表1.コーティング組成物
【0058】
【表1】
【0059】
コーティングされたバルーンを、血流をシミュレートするために水を流したプラスチックチューブを通って個別に前進させた。プラスチックチューブ内の標的位置で、バルーンを拡張して、体内での治療薬の送達をシミュレートした。次に、バルーンを収縮させ、チューブから抜去した。プラスチックチューブを洗い流すために使用された水を収集して分析し、シミュレートされた血流で失われた治療薬(エベロリムスなど)の量を決定した。バルーンを抜去した後、プラスチックチューブも分析して、治療薬のどれだけがチューブに移されたかを決定した。同様に、バルーンを分析して、バルーンに残存する治療薬の量を決定した。次に、次の式を使用して、薬物の管壁への移動効率(例えば、薬物の)を決定した:
【0060】
【数1】
【0061】
ここで、薬物全量は、流すのに使用された水中の薬物と、チューブ上の薬物と、バルーン上に残っている薬物との合計である。結果を図2に示す。この図は、生分解性ポリマーを使用した薬物移動効率のグラフを示している。見てわかるように、PLGAとECCを追加すると、エベロリムスのみのコーティングと比較して移動効率が向上した。PLGAの固有粘度が増加すると、薬物の移動効率も増加した。
【0062】
チューブを洗い流すために使用される水(例えば、血液をシミュレートするもの)も分析されて、コーティング組成物の粒子負荷が決定された。粒子の量は、3つの粒子サイズ(10ミクロン、25ミクロン、及び50ミクロン)について、光の隠蔽を使用して決定され、バルーンのサイズによって正規化した。各コーティング及び各サイズ範囲についての微粒子は、以下の表に要約されている。
【0063】
表2.粒子の比較
【0064】
【表2】
【0065】
PLGAとECCの追加により、10ミクロンサイズ範囲の粒子負荷が増加したが、25ミクロン範囲と50ミクロン範囲の粒子負荷は減少した。ただし、PLGAやECCを含む組成物の10ミクロンサイズ範囲の粒子負荷は、依然として許容範囲内である。PLGA及びECCを含む組成物で達成される、より少ない大きな粒子を有することが非常に望ましいことに留意されたい。
【0066】
(実施例2)
生体安定性ポリマーメチルセルロース(MCC)を使用して3つのコーティング組成物を調製した。各コーティング組成物には、異なる粘度を有する異なるグレードのMCCを使用した。第1のコーティング組成物を、15センチポアズ(cp)の粘度を有するMCCで調製した。第2のコーティング組成物を、400cpの粘度を有するMCCで調製した。第3のコーティング組成物を、3893cpの粘度を有するMCCで調製した。異なるグレードのMCCの粘度は、MCCの2%水溶液に基づくものである。各コーティング組成物を、まず、結晶性エベロリムス、エチルセルロース(ECC)、及びMCCを8:1:1の重量比(エベロリムス:ECC:MCC)で混合して第1の混合物を形成することによって個別に調製した。次に、各組成物を8:1:1:90の重量比(エベロリムス:ECC:PLGA:酢酸エチル)で酢酸エチルに個別に溶解して、第1の懸濁液を生成した。次に、第1の懸濁液を、酢酸エチル対ヘプタンの重量比が1:5で、ヘプタンに滴下して分散させて、第2の懸濁液を生成した。次に、第2の懸濁液を攪拌(振とう又は攪拌など)し、29℃で約24~72時間インキュベートした。次に、各液体コーティング組成物を2つの異なるバルーンにコーティングした結果、6つのバルーンがMCC含有組成物でコーティングされるようにした。バルーンを周囲条件で一晩乾燥させた。結晶性エベロリムスのみを有するコーティング組成物でさらに2つのバルーンをコーティングした。乾燥したコーティング組成物を以下の表3に記載する。
【0067】
表3.コーティング組成
【0068】
【表3】
【0069】
コーティングされたバルーンを、血流をシミュレートするために水を流したプラスチックチューブを通って個別に前進させた。プラスチックチューブ内の標的位置で、バルーンを拡張して、体内での治療薬の送達をシミュレートした。次に、バルーンを収縮させ、チューブから取り外した。プラスチックチューブを洗い流すために使用された水を収集して分析し、シミュレートされた血流で失われた治療薬(エベロリムスなど)の量を決定した。バルーンを取り外した後、プラスチックチューブも分析して、治療薬のどれだけがチューブに移されたかを決定した。同様に、バルーンを分析して、バルーンに残っている治療薬の量を決定した。次に、次の式を使用して、薬物の管壁への移動効率(例えば、薬物の)を決定した:
【0070】
【数2】
【0071】
ここで、薬物全量は、流すのに使用された水中の薬物と、チューブ上の薬物と、バルーン上に残っている薬物との合計である。結果を図3に示す。この図は、生体安定性ポリマーを使用した薬物移動効率のグラフを示している。見てわかるように、MCCとECCを追加すると、エベロリムスのみのコーティングと比較して移動効率が向上した。MCCの粘度が高くなると、薬物の移動効率も高くなった。サンプル間のばらつきも、粘度が高くなると減少した。
【0072】
チューブを洗い流すために使用される水(例えば、血液をシミュレートするもの)も分析されて、コーティング組成物の粒子負荷が決定された。粒子の量は、3つの粒子サイズ(10ミクロン、25ミクロン、及び50ミクロン)について、光の隠蔽を使用して決定され、バルーンのサイズによって正規化した。各コーティング及び各サイズ範囲についての微粒子は、以下の表に要約されている。
【0073】
表4.粒子の比較
【0074】
【表4】
【0075】
MCCとECCの追加により、10ミクロンサイズ範囲の粒子負荷が増加したが、25ミクロン範囲と50ミクロン範囲の粒子負荷は減少した。ただし、MCC及びECCを含む組成物の10ミクロンサイズ範囲の粒子負荷は、依然として許容範囲内である。大きな粒子が少ないことが非常に望ましいことに留意されたい。これは、MCC及びECCを含む組成物で達成される。
【0076】
カテーテル10(及び/又は本明細書に開示される他の器具)の様々な構成要素及び本明細書に開示される様々な管状部材に使用できる材料は、医療器具に一般的に関連するものを含み得る。簡単にするために、以下の説明はカテーテル10に言及している。しかしながら、これは、発明の説明が本明細書に開示される他の同様の医療器具及び/又は医療器具の構成要素に適用され得るので、本明細書に記載される器具及び方法を制限することを意図しない。
【0077】
カテーテル10は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例は以下に開示される)、金属-ポリマー複合体、セラミック、それらの組み合わせなど、又は他の適切な材料から作製され得る。適切な金属及び金属合金のいくつかの例には、304V、304L、及び316LVステンレス鋼などのステンレス鋼;軟鋼;線形弾性及び/又は超弾性ニチノールなどのニッケル-チタン合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金(例:インコネル(登録商標)625などのUNS:N06625、ハステロイ(登録商標)C-22などのUNS:N06022、ハステロイC276(登録商標)などのUNS:N10276、他のハステロイ(登録商標)合金等)、ニッケル-銅合金(例:モネル(登録商標)400,NICKELVAC(登録商標)400,MICORROS(登録商標)400などのUNS:N04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例:MP35-N(登録商標)などのUNS:R30035)、ニッケル-モリブデン合金(例:ハステロイ(登録商標)ALLOY B2(登録商標)などのUNS:N10665)、その他のニッケル-クロム合金、その他のニッケル-モリブデン合金、その他のニッケル-コバルト合金、その他のニッケル-鉄合金、その他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステン又はタングステン合金等のなどの他のニッケル合金;コバルトクロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例:ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)等のUNS:R30003);プラチナ強化ステンレス鋼;チタン;それらの組み合わせ等、又は他の適切な材料が含まれる。
【0078】
本明細書で理解されるように、市販のニッケル-チタン又はニチノール合金の群には、「線形弾性」又は「非超弾性」と呼ばれるカテゴリーがあり、これは、化学的には従来の形状記憶及び超弾性品種と類似している可能性があるが、明確で有用な機械的特性を示す場合がある。線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールがその応力においてひずみ曲線で超弾性ニチノールのような実質的な「超弾性プラトー」又は「フラグ領域」を示さないという点で、超弾性ニチノールと区別され得る。代わりに、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールでは、回復可能なひずみが増加するにつれて、応力は実質的に線形、又はある程度線形の関係で増加し続けるが、塑性変形が始まるまで、又は少なくとも超弾性ニチノールで見られる可能性のある超弾性プラトー及び/又はフラグ領域よりも線形である関係であり続ける。したがって、本発明の目的のために、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールはまた、「実質的に」線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールと呼ばれ得る。
【0079】
場合によっては、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールはまた、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールが実質的に弾性を維持しながら(例えば、塑性変形する前に)最大約2~5%のひずみを受け入れることができるという点で、超弾性ニチノールと区別でき、超弾性ニチノールは、塑性変形する前に最大約8%のひずみを受け入れる可能性がある。これらの材料は両方とも、塑性変形する前に約0.2~0.44パーセントのひずみしか受け入れないステンレス鋼(その組成に基づいて区別することもできる)などの他の線形弾性材料と区別できる。
【0080】
いくつかの実施形態において、線状弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、広い温度範囲での示差走査熱量測定(DSC)及び動的金属熱分析(DMTA)によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化を示さない合金である。例えば、いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金において、摂氏約-60度(℃)~約120℃の範囲で、DSC及びDMTA分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化がない場合がある。したがって、そのような材料の機械的曲げ特性は、一般に、この非常に広い温度範囲にわたる温度の影響に対して不活性であり得る。いくつかの実施形態では、周囲温度又は室温での線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金の機械的曲げ特性は、例えば、超弾性プラトー及び/又はフラグ領域が示されないという点で、体温での機械的特性と実質的に同じである。言い換えれば、広い温度範囲にわたって、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、その線形弾性及び/又は非超弾性特性及び/又は特性を維持する。
【0081】
いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケルチタン合金において、約50~約60重量パーセントはニッケルであり得、残りは概ねチタンである。いくつかの実施形態では、組成物は、約54~約57重量パーセントの範囲のニッケルを有する。適切なニッケルチタン合金の一例は、神奈川県の古河テクノマテリアル株式会社から市販されているFHP-NT合金である。ニッケルチタン合金のいくつかの例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,238,004号及び第6,508,803号に開示されている。他の適切な材料には、ULTANIUM(登録商標、Neo-Metrics社から入手可能)及びGUMMETAL(登録商標、トヨタから入手可能)が含まれる。いくつかの他の実施形態では、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールを使用して、所望の特性を達成することができる。
【0082】
少なくともいくつかの実施形態では、カテーテル10の一部又は全部はまた、放射線不透過性材料がドープされるか、放射線不透過性材料から形成されるか、さもなければ放射線不透過性材料を含み得る。放射線不透過性材料は、医療処置中に蛍光透視スクリーン又は別の画像化技術上で比較的明るい画像を生成できる材料であると理解されている。この比較的明るい画像は、カテーテル10の使用者がその位置を判定するのに役立つ。放射線不透過性材料のいくつかの例には、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤が充填されたポリマー材料などが含まれ得るが、これらに限定されない。さらに、他の放射線不透過性マーカーバンド及び/又はコイルもまた、同じ結果を達成するためにカテーテル10の設計に組み込まれ得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI)適合性がカテーテル10に与えられる。例えば、カテーテル10又はその一部は、画像を実質的に歪めず、実質的なアーチファクト(すなわち、画像のギャップ)を生成しない材料で形成され得る。例えば、特定の強磁性体は、MRI画像にアーチファクトを作成する可能性があるため、適切でない場合がある。カテーテル10又はその一部はまた、MRI装置が画像化することができる材料から作製され得る。これらの特性を示すいくつかの材料には、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)などのUNS:R30035)、ニチノール等、及びその他のものが含まれる。
【0084】
この開示は、多くの点で、例示にすぎないことを理解されたい。開示の範囲を超えることなく、特に形状、サイズ、及び工程の配置に関して、詳細に変更を加えることができる。これは、適切な範囲で、他の実施形態で使用されている一例の実施形態の特徴のいずれかの使用を含み得る。言うまでもなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
図1A
図1B
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-07-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶出可能なコーティング組成物を調製する方法であって、
ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)又はメチルセルロース(MCC)を含む賦形剤と、エチルセルロース(ECC)を含む結合剤と、治療薬とを混合することによって混合物を形成する工程と、
前記混合物を第1の溶媒に分散させて第1の懸濁液を形成する工程と、
前記第1の懸濁液を第2の溶媒に加えて第2の懸濁液を形成する工程と、
前記第2の懸濁液を攪拌する工程と、
前記第2の懸濁液を室温で24~72時間の範囲の一定時間、インキュベートする工程と、を備える、方法。
【請求項2】
前記賦形剤、前記結合剤、及び前記治療薬は、約1:1:8の重量比で混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記治療薬は、結晶性エベロリムスを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の懸濁液は、酢酸エチルを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の懸濁液は、ヘプタンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の懸濁液は、前記第2の溶媒に滴下して加えられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記賦形剤は、PLGA(50:50)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記賦形剤は、PLGA(85:15)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記賦形剤の固有粘度は、約0.1デシリットル/グラム(dL/g)~約0.8dL/gの範囲にある、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記賦形剤は、約10センチポアズ(cp)~約500cpの範囲の粘度を有するMCCを2%水溶液として含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記賦形剤は、約300センチポアズ(cp)~約4,000cpの範囲の粘度を有するMCCを2%水溶液として含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の懸濁液中の前記第1の溶媒と前記第2の溶媒との比は、約1:10~約10:1の範囲にある、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法に従って形成された溶出可能なコーティング組成物の層によって少なくとも部分的に覆われる医療物品基材を備えた医療物品。
【請求項14】
前記医療物品基材は、拡張可能なバルーンである、請求項13に記載の医療物品。
【請求項15】
前記医療物品基材は、ステントである、請求項13に記載の医療物品。