(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133408
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】車両用ドアハンドル機構
(51)【国際特許分類】
E05B 79/06 20140101AFI20230914BHJP
E05B 85/18 20140101ALI20230914BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
E05B79/06 D
E05B85/18
B60J5/04 H
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119068
(22)【出願日】2023-07-21
(62)【分割の表示】P 2019226460の分割
【原出願日】2019-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】升岡 達宏
(57)【要約】
【課題】車両用ドアハンドル機構にて、ハンドルノブに加えられる引張力に起因する応力集中を低減する。
【解決手段】本発明のドアハンドル機構は、車両のドアパネル2上のハンドルケース20と、これに旋回可能に取り付けられるハンドルノブ30とを有し、ハンドルケース20及びハンドルノブ30の一方が嵌合凸部21を有し、同他方が嵌合受け部31を有し、嵌合凸部21が、高凸領域24と、これよりも低い低凸領域25とを有し、嵌合凸部21は、嵌合凸部21の最大開放取っ手作用部21bから円周方向の開放側に向かって嵌合凸部21のストッパ作用部21aに至る主干渉範囲を有し、低凸領域25が、嵌合凸部21の突出方向にて嵌合凸部21の基端から、低凸領域21中で最も低く突出する最低凸区域26を含み、かつ最低凸区域26は、主干渉範囲の円周方向の中央から円周方向の開放側に向かって180°の最低高さ範囲内に配置されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアパネルに取り付けられるハンドルケースと、
旋回軸線を中心とした円周方向に旋回可能となるように前記ハンドルケースに取り付けられるハンドルノブと
を備え、
前記ハンドルケース及び前記ハンドルノブの一方が、前記旋回軸線に沿って突出する嵌合凸部を有し、
前記ハンドルケース及び前記ハンドルノブの他方が、前記嵌合凸部と嵌合するように前記嵌合凸部を受ける嵌合受け部を有し、
前記ハンドルノブが、前記旋回軸線から離れて位置する取っ手部を有し、
前記ハンドルノブが、前記取っ手部を前記ドアパネルに最も接近させた基本位置と、前記取っ手部を前記ドアパネルから最も離した最大開放位置との間における旋回範囲にて旋回可能である、車両用ドアハンドル機構であって、
前記ハンドルノブが、前記旋回軸線から離れるように突出するストッパ部を有し、
前記ハンドルケースが、前記基本位置から前記最大開放位置に向かう前記円周方向の開放側における前記ハンドルノブの開放旋回を前記最大開放位置にて規制するように前記ストッパ部と当接するストッパ受け部を有し、
前記嵌合凸部が、円形の外周縁を有する横断面を含んでおり、
前記嵌合凸部が、前記嵌合凸部の突出方向にて前記嵌合凸部の基端から突出する高凸領域と、前記嵌合凸部の突出方向にて前記嵌合凸部の基端から前記高凸領域よりも低く突出する低凸領域とを有し、
前記高凸領域及び前記低凸領域が前記嵌合凸部にて前記円周方向に分配されており、
前記取っ手部が前記最大開放位置にて前記円周方向の開放側に向かう引張力を受けている状態で、前記嵌合凸部が、前記引張力に基づいて、前記旋回軸線に沿った方向で見て前記ストッパ部及び前記ストッパ受け部の当接部を通る前記嵌合凸部の外周縁の接線に対して垂直な方向にて前記嵌合受け部に押し付けられるストッパ作用部と、前記引張力に基づいて、前記旋回軸線に沿った方向で見て前記円周方向に沿った前記取っ手部の接線方向に対して平行な方向にて前記嵌合受け部に押し付けられる最大開放取っ手作用部とを有し、
前記ストッパ作用部が前記最大開放取っ手作用部に対して前記円周方向の開放側に位置しており、
前記嵌合凸部は、前記嵌合凸部の最大開放取っ手作用部から前記円周方向の開放側に向かって前記嵌合凸部のストッパ作用部に至る主干渉範囲を有し、
前記低凸領域が、前記嵌合凸部の突出方向にて前記嵌合凸部の基端から、前記低凸領域中で最も低く突出する最低凸区域を含み、かつ
前記最低凸区域は、前記主干渉範囲の円周方向の中央から前記円周方向の開放側に向かって180°の最低高さ範囲内に配置されている、車両用ドアハンドル機構。
【請求項2】
前記ハンドルノブの取っ手部は、前記ハンドルノブが前記旋回範囲内にある状態で、前記旋回軸線に対して車両下方にあり、かつ前記旋回軸線よりも前記ドアパネルから離れるように位置するか、又は前記旋回軸線の真下に位置し、
前記ハンドルケース及び前記ハンドルノブの一方が前記ハンドルケースであり、
前記ハンドルケース及び前記ハンドルノブの他方が前記ハンドルノブであり、かつ
前記低凸領域の円周方向の少なくとも一部は、前記ハンドルノブが前記旋回範囲内にある状態で、前記旋回軸線に対して車両下方に位置する前記嵌合凸部の下側範囲内に配置されている、請求項1に記載の車両用ドアハンドル機構。
【請求項3】
前記ハンドルノブの取っ手部は、前記ハンドルノブが前記旋回範囲内にある状態で、前記旋回軸線に対して車両下方にあり、かつ前記旋回軸線よりも前記ドアパネルから離れるように位置するか、又は前記旋回軸線の真下に位置し、
前記ハンドルケース及び前記ハンドルノブの一方が前記ハンドルノブであり、
前記ハンドルケース及び前記ハンドルノブの他方が前記ハンドルケースであり、かつ
前記低凸領域の円周方向の少なくとも一部は、前記ハンドルノブが前記旋回範囲内にある状態で、前記旋回軸線に対して車両上方に位置する前記嵌合凸部の上側範囲内に配置されている、請求項1に記載の車両用ドアハンドル機構。
【請求項4】
前記最低凸区域は、前記嵌合凸部を通過する前記旋回軸線から前記嵌合凸部の外周縁に向かうに従って低くなるように傾斜している、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用ドアハンドル機構。
【請求項5】
前記高凸領域の円周方向の一方端が前記低凸領域の円周方向の他方端と隣接し、
前記高凸領域の円周方向の他方端が前記低凸領域の円周方向の一方端と隣接し、かつ
前記低凸領域が、前記高凸領域の円周方向の他方端から前記最低凸区域の円周方向の一方端に向かうに従って低くなるS字形状を成すように傾斜する一方移行区域と、前記高凸領域の円周方向の一方端から前記最低凸区域の円周方向の他方端に向かうに従って低くなるS字形状を成すように傾斜する他方移行区域とを有している、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用ドアハンドル機構。
【請求項6】
前記低凸領域の円周方向の一方端が、前記最低凸区域の円周方向の中央から前記円周方向の一方側に向かって90°の一方側範囲内に配置され、かつ
前記低凸領域の円周方向の他方端が、前記最低凸区域の円周方向の中央から前記円周方向の他方側に向かって90°の他方側範囲内に配置されている、請求項5に記載の車両用ドアハンドル機構。
【請求項7】
前記低凸領域の円周方向の一方端及び他方端が、前記最低凸区域の円周方向の中央を基準として前記円周方向にて互いに対して対称に配置されている、請求項6に記載の車両用ドアハンドル機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアパネルに取り付けられるハンドルケースと、このハンドルケースに旋回可能に取り付けられるハンドルノブとを有する車両用ドアハンドル機構に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドアを開閉操作するために用いられる車両用ドアハンドル機構は、ドアパネルに取り付けられるハンドルケースと、このハンドルケースに旋回可能に取り付けられるハンドルノブとを有するように構成されることがある。典型的に、かかる車両用ドアハンドル機構は、ハンドルノブをハンドルケースに旋回可能に取り付けるために、回動軸をハンドルケース及びハンドルノブに嵌挿するように構成される。具体的には、ハンドルケース及びハンドルノブに、回動軸の長手方向の各端部を挿入可能とするように孔が形成され、ハンドルケース及びハンドルノブの孔の周縁にそれぞれ位置する孔周縁部分が、回動軸の長手方向にて互いに突き合わされた状態で、ハンドルノブが、これらの孔に挿入された回動軸周りに旋回可能となる。(例えば、特許文献1を参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さらに、上述のような車両用ドアハンドル機構においては、回動軸を基準としたハンドルケース及びハンドルノブ間の位置ズレを防止するために、ハンドルケースの孔を囲むと共に回動軸の長手方向にてハンドルケースの孔周縁部分からハンドルノブの孔周縁部分に向かって突出する嵌合凸部がハンドルケースに形成され、かつハンドルノブの孔を囲むと共にハンドルケースの嵌合凸部を受け入れ可能とする嵌合受け部がハンドルノブに形成されることがある。これらハンドルケースの嵌合凸部及びハンドルノブの嵌合受け部は、ハンドルケース及びハンドルノブの孔周縁部分を回動軸の長手方向に互いに突き合わせた状態で嵌合する。
【0005】
しかしながら、ユーザがドアを開放するためにハンドルノブを引っ張ったときに、ハンドルノブに過剰な引張力が加えられることがある。特に、ユーザがドアを開放するためにハンドルノブを最大開放位置まで引っ張り、さらに、ユーザが最大開放位置を超えてハンドルノブを移動させようとするようにハンドルノブを引っ張ったときに、ハンドルノブに過剰な引張力が頻繁に加えられる。このような過剰な引張力は、ハンドルノブの嵌合受け部を経由してハンドルケースの嵌合凸部に作用し、その結果、ハンドルケースの嵌合凸部及びその周辺部分に応力集中が発生するおそれがある。
【0006】
このような実情を鑑みると、車両用ドアハンドル機構においては、ハンドルノブに加えられる引張力に起因する応力集中を低減することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決するために、一態様に係る車両用ドアハンドル機構は、車両のドアパネルに取り付けられるハンドルケースと、旋回軸線を中心とした円周方向に旋回可能となるように前記ハンドルケースに取り付けられるハンドルノブとを備え、前記ハンドルケース及び前記ハンドルノブの一方が、前記旋回軸線に沿って突出する嵌合凸部を有し、前記ハンドルケース及び前記ハンドルノブの他方が、前記嵌合凸部と嵌合するように前記嵌合凸部を受ける嵌合受け部を有し、前記ハンドルノブが、前記旋回軸線から離れて位置する取っ手部を有し、前記ハンドルノブが、前記取っ手部を前記ドアパネルに最も接近させた基本位置と、前記取っ手部を前記ドアパネルから最も離した最大開放位置との間における旋回範囲にて旋回可能である、車両用ドアハンドル機構であって、前記ハンドルノブが、前記旋回軸線から離れるように突出するストッパ部を有し、前記ハンドルケースが、前記基本位置から前記最大開放位置に向かう前記円周方向の開放側における前記ハンドルノブの開放旋回を前記最大開放位置にて規制するように前記ストッパ部と当接するストッパ受け部を有し、前記嵌合凸部が、円形の外周縁を有する横断面を含んでおり、前記嵌合凸部が、前記嵌合凸部の突出方向にて前記嵌合凸部の基端から突出する高凸領域と、前記嵌合凸部の突出方向にて前記嵌合凸部の基端から前記高凸領域よりも低く突出する低凸領域とを有し、前記高凸領域及び前記低凸領域が前記嵌合凸部にて前記円周方向に分配されており、前記取っ手部が前記最大開放位置にて前記円周方向の開放側に向かう引張力を受けている状態で、前記嵌合凸部が、前記引張力に基づいて、前記旋回軸線に沿った方向で見て前記ストッパ部及び前記ストッパ受け部の当接部を通る前記嵌合凸部の外周縁の接線に対して垂直な方向にて前記嵌合受け部に押し付けられるストッパ作用部と、前記引張力に基づいて、前記旋回軸線に沿った方向で見て前記円周方向に沿った前記取っ手部の接線方向に対して平行な方向にて前記嵌合受け部に押し付けられる最大開放取っ手作用部とを有し、前記ストッパ作用部が前記最大開放取っ手作用部に対して前記円周方向の開放側に位置しており、前記嵌合凸部は、前記嵌合凸部の最大開放取っ手作用部から前記円周方向の開放側に向かって前記嵌合凸部のストッパ作用部に至る主干渉範囲を有し、前記低凸領域が、前記嵌合凸部の突出方向にて前記嵌合凸部の基端から、前記低凸領域中で最も低く突出する最低凸区域を含み、かつ前記最低凸区域は、前記主干渉範囲の円周方向の中央から前記円周方向の開放側に向かって180°の最低高さ範囲内に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
一態様に係る車両用ドアハンドル機構においては、ハンドルノブに加えられる引張力に起因する応力集中を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る車両用ドアハンドル機構を含むドアを概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る車両用ドアハンドル機構を概略的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2の車両用ドアハンドル機構からハンドルノブを取り外した状態を概略的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る車両用ドアハンドル機構を、ハンドルノブを基本位置とした状態で
図2の矢印X1から見て概略的に示す前方図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る車両用ドアハンドル機構を、ハンドルノブを最大開放位置とした状態で
図2の矢印X1から見て概略的に示す前方図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る車両用ドアハンドル機構のハンドルケースの嵌合凸部及びその周辺部分を概略的に示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るハンドルケースを車両幅方向の内方側から見て概略的に示す斜視図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るハンドルケースを
図6の矢印X2から見て概略的に示す図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係るハンドルケースを
図6の矢印X3から見て概略的に示す図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係るハンドルケースを
図6の矢印X4から見て概略的に示す図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係るハンドルケースを
図6の矢印X5から見て概略的に示す図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係るハンドルケースを
図6の矢印X6から見て概略的に示す図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態に係る車両用ドアハンドル機構のハンドルノブを車両幅方向の内方側から見て概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1及び第2実施形態に係る車両用ドアハンドル機構について以下に説明する。特に、各実施形態においては、自動車のドアに適用されるドアハンドル機構を説明する。しかしながら、ドアハンドル機構は、自動車以外の車両のドアに適用することもできる。例えば、ドアハンドル機構は、建設車両、農業車両、産業車両等のドアに適用することもできる。
【0011】
各実施形態においては、車両のフロントサイドドアに適用されるドアハンドル機構を説明する。しかしながら、ドアハンドル機構は、車両のサイドドア以外のドアに適用することもできる。例えば、ドアハンドル機構は、車両のリアサイドドア、バックドア等に適用することもできる。
【0012】
また、以下の説明に用いられる図面においては、車両を基準とした方向が次のような矢印によって定義されている。
図1~
図13においては、車両前方は片側矢印Fによって示され、かつ車両後方は片側矢印Rによって示される。車両前後方向は片側矢印F及び片側矢印Rによって示される。
図1~
図13においてはまた、車両幅方向は両側矢印Wによって示され、車両上方は片側矢印Uによって示され、かつ車両下方は片側矢印Lによって示される。車両上下方向は片側矢印U及び片側矢印Lによって示される。
【0013】
「第1実施形態」
第1実施形態に係る車両用ドアハンドル機構について説明する。
【0014】
「車両用ドアハンドル機構の概略」
図1~
図13を参照して、本実施形態に係る車両用ドアハンドル機構10の概略について説明する。すなわち、ドアハンドル機構10は概略的には次のように構成される。
図1~
図3に示すように、ドアハンドル機構10は、車両のフロントサイドドア(以下、必要に応じて、単に「ドア」という)1に適用される。かかるドア1はドアパネル2を有する。
【0015】
図2~
図12に示されるように、ドアハンドル機構10は、ドアパネル2に取り付けられるハンドルケース20を有する。
図1、
図2、
図4、
図5及び
図13に示されるように、ドアハンドル機構10は、旋回軸線10aを中心とした円周方向(
図2~
図13にて片側矢印O及び片側矢印Cにより示す)に旋回可能となるようにハンドルケース20に取り付けられるハンドルノブ30を有する。
【0016】
図3~
図12を参照すると、ハンドルケース20は、旋回軸線10aに沿って突出する2つの嵌合凸部21,22、すなわち、第1嵌合凸部21及び第2嵌合凸部22を有する。第1及び第2嵌合凸部21,22は、旋回軸線10aに沿って互いに対して反対側に突出する。
図4、
図5、及び
図13を参照すると、ハンドルノブ30は、第1嵌合凸部21及び第2嵌合凸部22とそれぞれ嵌合するように第1嵌合凸部21及び第2嵌合凸部22をそれぞれ受ける第1嵌合受け部31及び第2嵌合受け部32を有する。すなわち、第1嵌合凸部21は第1嵌合受け部31に対応し、かつ第2嵌合凸部22は第2嵌合受け部32に対応する。しかしながら、ドアハンドル機構は、ハンドルケースが第2嵌合凸部を有さず、かつハンドルノブが第2嵌合受け部を有さないように構成することもできる。
【0017】
図2、
図4、
図5、及び
図13に示すように、ハンドルノブ30は、旋回軸線10aから離れて位置する取っ手部33を有する。ハンドルノブ30はまた、旋回軸線10aから離れるように突出するストッパ部34を有する。
図4及び
図5を参照すると、ハンドルノブ30は、取っ手部33をドアパネル2に最も接近させた基本位置と、取っ手部33をドアパネル2から最も離した最大開放位置との間における旋回範囲にて旋回可能である。ハンドルノブ30は、基本位置から最大開放位置に向かう円周方向の開放側(片側矢印Oにより示す)と、最大開放位置から基本位置に向かう円周方向の閉鎖側(片側矢印Cにより示す)とに旋回可能である。
【0018】
図3~
図9に示すように、ハンドルケース20は、円周方向の開放側におけるハンドルノブ30の開放旋回を最大開放位置にて規制するようにストッパ部34と当接するストッパ受け部23を有する。さらに、
図3~
図12に示すように、第1嵌合凸部21が、円形の外周縁を有する横断面を含んでいる。第1嵌合凸部21は、その突出方向にて第1嵌合凸部21の基端から突出する高凸領域24を有する。第1嵌合凸部21は、その突出方向にて第1嵌合凸部21の基端から高凸領域24よりも低く突出する低凸領域25を有する。高凸領域24及び低凸領域25は第1嵌合凸部21にて円周方向に分配されている。
【0019】
図5に示すように、取っ手部33が最大開放位置にて円周方向の開放側に向かう引張力(片側矢印M1により示す)を受けている状態(以下、必要に応じて、「最大開放取っ手引張状態」という)で、第1嵌合凸部21が、引張力に基づいて、旋回軸線10aに沿った方向(以下、必要に応じて、「旋回軸線方向」という)(両側矢印Qにより示す)で見てストッパ部34及びストッパ受け部23の当接部Aを通る第1嵌合凸部21の外周縁の接線J(一点鎖線により示す)に対して垂直な方向(以下、必要に応じて、「ストッパ作用方向」という)(片側矢印Pにより示す)にて第1嵌合受け部31に押し付けられるストッパ作用部21aを有する。最大開放取っ手引張状態で、第1嵌合凸部21が、引張力に基づいて、旋回軸線方向で見て円周方向に沿った取っ手部33の接線方向に対して平行な方向(以下、必要に応じて、「最大開放取っ手作用方向」という)(片側矢印N1により示す)にて第1嵌合受け部31に押し付けられる最大開放取っ手作用部21bを有する。
【0020】
ストッパ作用部21aは、最大開放取っ手作用部21bに対して円周方向の開放側に位置している。言い換えれば、ストッパ作用部21aは、最大開放取っ手作用部21bから円周方向の開放側に向かって約180°の範囲内に位置している。低凸領域25の円周方向の一部は、第1嵌合凸部21の最大開放取っ手作用部21bから円周方向の開放側に向かって第1嵌合凸部21のストッパ作用部21aに至る第1嵌合凸部21の主干渉範囲(両側矢印K1により示す)内に配置されている。
【0021】
さらに、ドアハンドル機構10は、概略的には次のように構成することができる。
図4及び
図5を参照すると、ハンドルノブ30の取っ手部33は、ハンドルノブ30が旋回範囲内のいずれにあっても、旋回軸線10aに対して車両下方であり、かつ旋回軸線10aよりもドアパネル2から離れるように位置するか、又は旋回軸線10aの真下に位置する。
図5及び
図8に示すように、低凸領域25の円周方向の少なくとも一部は、ハンドルノブ30が旋回範囲内のいずれにあっても、旋回軸線10aに対して車両下方に位置する第1嵌合凸部21の下側範囲(両側矢印K2により示す)内に配置されている。
【0022】
図3~
図12に示すように、低凸領域25は、第1嵌合凸部21の突出方向にて第1嵌合凸部21の基端から、低凸領域25中で最も低く突出する最低凸区域26を含む。
図5に示すように、最低凸区域26は、主干渉範囲の円周方向の中央21c(一点鎖線により示す)から円周方向の開放側に向かって約180°の最低高さ範囲(両側矢印K3により示す)内に配置されている。特に
図10に示すように、最低凸区域26は、第1嵌合凸部21を通過する旋回軸線10aから、第1嵌合凸部21の外周縁に向かうに従って低くなるように傾斜している。
【0023】
図3~
図12に示すように、高凸領域24の円周方向の一方端が低凸領域25の円周方向の他方端と隣接する。高凸領域24の円周方向の他方端が低凸領域25の円周方向の一方端と隣接する。低凸領域25は、高凸領域24の円周方向の他方端から最低凸区域26の円周方向の一方端に向かうに従って低くなる略S字形状を成すように傾斜する一方移行区域27を有する。低凸領域25はまた、高凸領域24の円周方向の一方端から最低凸区域26の円周方向の他方端に向かうに従って低くなる略S字形状を成すように傾斜する他方移行区域28を有している。
【0024】
図8に示すように、低凸領域25の円周方向の一方端が、最低凸区域26の円周方向の中央26aから円周方向の一方側に向かって約90°の一方側範囲(両側矢印K4により示す)内に配置される。低凸領域25の円周方向の他方端が、最低凸区域26の円周方向の中央26aから円周方向の他方側に向かって約90°の他方側範囲(両側矢印K5により示す)内に配置されている。なお、円周方向の一方側は円周方向の開放側(片側矢印Oにより示す)と一致し、かつ円周方向の他方側は円周方向の閉鎖側(片側矢印Cにより示す)と一致する。さらに、低凸領域25の円周方向の一方端及び他方端が、最低凸区域26の円周方向の中央26aを基準として円周方向にて互いに対して対称に配置されている。
【0025】
「車両用ドアハンドル機構の詳細」
図1~
図13を参照して、本実施形態に係る車両用ドアハンドル機構10の詳細について説明する。すなわち、ドアハンドル機構10は詳細には次のように構成することができる。
図2に示すように、ドアハンドル機構10は、ハンドルケース20の第1及び第2嵌合凸部21,22を貫通するように旋回軸線10aに沿って配置される旋回シャフト40を有する。旋回シャフト40の長手方向の両端部40a,40bは、第1及び第2嵌合凸部21,22からそれぞれ突出する。旋回シャフト40の両端部40a,40bはまた、ハンドルノブ30によって支持される。なお、旋回シャフト40は、
図3~
図5においては省略されている。
【0026】
図1~
図3に示すように、ドアパネル2はドアアウターパネルとなっている。
図2及び
図3に示すように、ハンドルケース20は、ドアパネル2の外表面2a上に配置される。さらに、ハンドルケース20は、車両の外部から車両の内部に向かって凹むドアパネル2の窪み2b内に配置される。ハンドルケース20は、旋回軸線10aは、それに略直交する方向にてドアパネル2の外表面2aと間隔を空けるように位置する。
【0027】
図3~
図12を参照すると、第1及び第2嵌合凸部21,22のそれぞれは、ハンドルケース20の旋回軸線方向の中央から同外方に向かう方向に突出する。第1及び第2嵌合凸部21,22はまた、互いに対して旋回軸線方向の反対側に突出する。しかしながら、第1及び第2嵌合凸部のそれぞれを、ハンドルケースの旋回軸線方向の外方から同中央に向かう方向に突出させることもできる。また、第1及び第2嵌合凸部の一方を、ハンドルケースの旋回軸線方向の中央から同外方に向かう方向に突出させることができ、かつ第1及び第2嵌合凸部の他方を、ハンドルケースの旋回軸線方向の外方から同中央に向かう方向に突出させることができる。また、ハンドルケースが、第2嵌合凸部の代わりに第2嵌合受け部を有することができ、かつハンドルノブが、第2嵌合受け部の代わりに第2嵌合凸部を有することができる。
【0028】
また、第1及び第2嵌合凸部21,22のそれぞれは、旋回シャフト40を挿入可能とするように貫通する貫通孔21d,22aを有する。特に明確に図示はしないが、第2嵌合凸部22は、第1嵌合凸部21の高凸領域24及び低凸領域25とそれぞれ同様の高凸領域及び低凸領域を有することもでき、又はこれらの高凸領域及び低凸領域を有さないこともできる。第2嵌合凸部22が高凸領域及び低凸領域を有する場合は、第2嵌合凸部22は、第1嵌合凸部21に対して旋回軸線方向にて略対称に形成することができる。
【0029】
図4、
図5、及び
図13を参照すると、ハンドルノブ30は、円周方向の閉鎖側に向かって付勢される。ハンドルノブ30の第1及び第2嵌合受け部31,32の内周縁は、ハンドルケース20の第1及び第2嵌合凸部21,22の外周縁にそれぞれ対応するように形成される。
図4に示すように、ハンドルノブ30の取っ手部33は、ハンドルノブ30が基本位置にある状態で車両下方に突出するように配置される。特に、取っ手部33は、ハンドルノブ30が基本位置にある状態で、旋回軸線10aに対して車両下方であり、かつ旋回軸線10aよりもドアパネル2から離れるように位置するか、又は旋回軸線10aの真下に位置する。取っ手部33は、ハンドルノブ30が最大開放位置にある状態で、旋回軸線10aに対して車両下方であり、かつ旋回軸線10aよりもドアパネル2から離れるように位置する。
【0030】
図4、
図5、及び
図8に示すように、ハンドルケース20のストッパ受け部23は、第1嵌合凸部21に対して車両下方であり、かつ第1嵌合凸部21よりもドアパネル2に接近するように位置する。
図5に示すように、ハンドルノブ30のストッパ部34は、ハンドルノブ30が最大旋回位置にある状態で、ハンドルケース20のストッパ受け部23と当接するように形成される。また、
図4に示すように、ストッパ部34は、ハンドルノブ30が最大旋回位置よりも基本位置寄りに位置する状態で、ハンドルケース20のストッパ受け部23と間隔を空けるように形成される。
【0031】
図3~
図9に示すように、ハンドルケース20のストッパ受け部23は、旋回軸線方向にて第2嵌合凸部22よりも第1嵌合凸部21に接近するように位置する。
図13に示すように、ハンドルノブ30のストッパ部34は、旋回軸線方向にて第2嵌合受け部32よりも第1嵌合受け部31に接近するように位置する。そのため、ハンドルノブ30のストッパ部34は、旋回軸線方向にて第2嵌合凸部22よりも第1嵌合凸部21に接近するように位置する。
【0032】
図3~
図9に示すように、ハンドルケース20のストッパ受け部23は、その少なくとも一部を旋回軸線方向にて第1嵌合凸部21とオーバーラップさせるように配置される。
図13に示すように、ハンドルノブ30のストッパ部34は、その少なくとも一部を旋回軸線方向にて第1嵌合受け部31とオーバーラップさせるように配置される。そのため、ストッパ部34は、その少なくとも一部を旋回軸線方向にて第1嵌合凸部21とオーバーラップさせるように配置される。
図5に示すように、ストッパ部34とストッパ受け部23との当接部Aもまた、その少なくとも一部を旋回軸線方向にて第1嵌合凸部21とオーバーラップさせるように配置される。
【0033】
「車両用ドアハンドル機構にて引張力に基づいて生じる力の作用」
図4及び
図5を参照して、ドアハンドル機構10において、ハンドルノブ30の取っ手部33に引張力が加えられた場合に、かかる引張力に基づいて、第1嵌合凸部21及び第1嵌合受け部31間に生じる力の作用について説明する。なお、引張力は、典型的には、ユーザがその手によってハンドルノブ30の取っ手部33をドアパネル2から離すように取っ手部33を引っ張ったときに、取っ手部33に加えられる力である。
【0034】
図4に示すように、取っ手部33が基本位置にて円周方向の開放側に向かう引張力(片側矢印M2により示す)を受けている状態(以下、必要に応じて、「基本取っ手引張状態」という)で、第1嵌合凸部21は、引張力に基づいて、旋回軸線方向で見て円周方向に沿った取っ手部33の接線方向に対して平行な方向(以下、必要に応じて、「基本取っ手作用方向」という)(片側矢印N2により示す)にて第1嵌合受け部31に押し付けられる基本取っ手作用部21eを有する。ハンドルノブ30が基本位置にある状態で、取っ手部33が旋回軸線10aに対して車両下方でありかつ旋回軸線10aよりもドアパネル2から離れるように位置する場合、及び取っ手部33が旋回軸線10aの真下に位置する場合のいずれにおいても、基本取っ手作用部21eは、上述した第1嵌合凸部21の下側範囲(両側矢印K2により示す)内に配置されることとなる。
【0035】
図5を参照すると、最大開放取っ手引張状態で、第1嵌合凸部21の最大開放取っ手作用部21bが、引張力に基づいて最大開放取っ手作用方向(片側矢印N1により示す)にて第1嵌合受け部31に押し付けられる。そのため、ハンドルノブ30が最大開放位置にある状態でもまた、最大開放取っ手作用部21bは、第1嵌合凸部21の下側範囲内に配置される。さらに、特に図示はしないが、ハンドルノブ30が、旋回範囲中で基本位置及び最大開放位置以外にある場合であっても、基本取っ手作用部21eから円周方向の開放側に向かって最大開放取っ手作用部21bに至るまでの取っ手作用範囲(両側矢印K6により示す)は、第1嵌合凸部21の下側範囲内に配置される。
【0036】
図5を参照すると、最大開放取っ手引張状態で、第1嵌合凸部21のストッパ作用部21aが、引張力に基づいてストッパ作用方向(片側矢印Pにより示す)にて第1嵌合受け部31に押し付けられる。この場合、ストッパ作用方向にてストッパ作用部21aに作用する力(以下、必要に応じて、「ストッパ押付力」という)は、最大開放取っ手作用方向にて最大開放取っ手作用部21bに作用する力(以下、必要に応じて、「最大開放取っ手押付力」という)よりも大きくなる。
【0037】
以上、本実施形態に係る車両用ドアハンドル機構10は、車両のドアパネル2に取り付けられるハンドルケース20と、旋回軸線10aを中心とした円周方向に旋回可能となるようにハンドルケース20に取り付けられるハンドルノブ30とを有する。ハンドルケース20及びハンドルノブ30の一方であるハンドルケース20が、旋回軸線10aに沿って突出する第1嵌合凸部21を有する。ハンドルケース20及びハンドルノブ30の他方であるハンドルノブ30が、第1嵌合凸部21と嵌合するように第1嵌合凸部21を受ける第1嵌合受け部31を有する。ハンドルノブ30が、旋回軸線10aから離れて位置する取っ手部33を有する。ハンドルノブ30が、取っ手部33をドアパネル22に最も接近させた基本位置と、取っ手部33をドアパネル2から最も離した最大開放位置との間における旋回範囲にて旋回可能である。
【0038】
ハンドルノブ30が、旋回軸線10aから離れるように突出するストッパ部34を有する。ハンドルケース20が、基本位置から最大開放位置に向かう円周方向の開放側におけるハンドルノブ30の開放旋回を最大開放位置にて規制するようにストッパ部34と当接するストッパ受け部23を有する。第1嵌合凸部21が、円形の外周縁を有する横断面を含む。第1嵌合凸部21が、この第1嵌合凸部21の突出方向にて第1嵌合凸部21の基端から突出する高凸領域24と、第1嵌合凸部21の突出方向にて第1嵌合凸部21の基端から高凸領域24よりも低く突出する低凸領域25とを有する。高凸領域24及び低凸領域25が第1嵌合凸部21にて円周方向に分配されている。
【0039】
取っ手部33が最大開放位置にて円周方向の開放側に向かう引張力を受けている状態で、第1嵌合凸部21が、引張力に基づいて、旋回軸線10aに沿った方向で見てストッパ部34及びストッパ受け部23の当接部Aを通る第1嵌合凸部21の外周縁の接線Jに対して垂直な方向にて第1嵌合受け部31に押し付けられるストッパ作用部21aと、引張力に基づいて、旋回軸線10aに沿った方向で見て円周方向に沿った取っ手部33の接線方向に対して平行な方向にて第1嵌合受け部31に押し付けられる最大開放取っ手作用部21bとを有する。ストッパ作用部21aが最大開放取っ手作用部21bに対して円周方向の開放側に位置している。低凸領域25の円周方向の一部が、第1嵌合凸部21の最大開放取っ手作用部21bから円周方向の開放側に向かって第1嵌合凸部21のストッパ作用部21aに至る第1嵌合凸部21の主干渉範囲内に配置されている。
【0040】
そのため、上述したように、最大開放取っ手引張状態で、ストッパ押付力及び最大開放取っ手押付力に起因して第1嵌合凸部21に作用する曲げモーメントは、第1嵌合凸部21の主干渉範囲と重複すると共に高凸領域24よりも低い低凸領域25によって低減することができる。さらには、第1嵌合受け部31が第1嵌合凸部21の主干渉範囲と重複する低凸領域25に乗り上げようとするように、ストッパ押付力及び最大開放取っ手押付力を逃がすことができる。そのため、ハンドルノブ30が最大開放位置にある場合にて、第1嵌合凸部21及びその周辺部分の応力集中を低減することができる。よって、ドアハンドル機構10において、ハンドルノブ30に加えられる引張力に起因する応力集中を低減することができる。
【0041】
本実施形態に係る車両用ドアハンドル機構10においては、ハンドルノブ30の取っ手部33は、ハンドルノブ30が旋回範囲内にある状態で、旋回軸線10aに対して車両下方にあり、かつ旋回軸線10aよりもドアパネル2から離れるように位置するか、又は旋回軸線10aの真下に位置する。上述のように、ハンドルケース20及びハンドルノブ30の一方がハンドルケース20であり、かつハンドルケース20及びハンドルノブ30の他方がハンドルノブ30である。低凸領域25の円周方向の少なくとも一部は、ハンドルノブ30が旋回範囲内にある状態で、旋回軸線10aに対して車両下方に位置する第1嵌合凸部21の下側範囲内に配置されている。
【0042】
そのため、ハンドルノブ30の取っ手部33と旋回軸線10aとの位置関係によれば、ハンドルノブ30が基本位置及び最大開放位置間の旋回範囲のいずれに位置する場合であっても、ハンドルノブ30への引張力に基づいて第1嵌合凸部21の低凸領域25と第1嵌合受け部31との間に押付力が作用することとなる。このような場合において、かかる押付力に起因して第1嵌合凸部21に作用する曲げモーメントは、第1嵌合凸部21の低凸領域25によって低減することができる。さらには、第1嵌合受け部31が低凸領域25に乗り上げるようとするように、当該押付力を逃がすことができる。よって、ハンドルノブ30が旋回範囲内のいずれに位置する場合であっても、第1嵌合凸部21及びその周辺部分の応力集中を低減することができる。
【0043】
本実施形態に係る車両用ドアハンドル機構10においては、低凸領域25が、第1嵌合凸部21の突出方向にて第1嵌合凸部21の基端から、低凸領域25中で最も低く突出する最低凸区域26を含む。最低凸区域26は、主干渉範囲の円周方向の中央21cから円周方向の開放側に向かって約180°の最低高さ範囲内に配置されている。
【0044】
そのため、最低凸区域26が、円周方向にて最大開放取っ手作用部21bよりもストッパ作用部21aに接近するように位置する。この場合、ストッパ作用部21aの突出方向の高さは最大開放取っ手作用部21bの突出方向の高さよりも低くなる。その結果、ストッパ押付力及び最大開放取っ手押付力に起因して第1嵌合凸部21に作用する曲げモーメントを、低凸領域25及びその最低凸区域26によって効率的に低減することができる。さらには、上述のように、ストッパ押付力は最大開放取っ手押付力よりも大きいので、第1嵌合受け部31が最低凸区域26から低凸領域25に効率的に乗り上げようとするように、ストッパ押付力及び最大開放取っ手押付力を効率的に逃がすことができる。
【0045】
本実施形態に係る車両用ドアハンドル機構10においては、最低凸区域26は、第1嵌合凸部21を通過する旋回軸線10aから、第1嵌合凸部21の外周縁に向かうに従って低くなるように傾斜している。そのため、第1嵌合受け部31が最低凸区域26から低凸領域25に乗り上げようとするように、ストッパ押付力及び最大開放取っ手押付力を効率的に逃がすことができる。
【0046】
本実施形態に係る車両用ドアハンドル機構10においては、高凸領域24の円周方向の一方端が低凸領域25の円周方向の他方端と隣接する。高凸領域24の円周方向の他方端が低凸領域25の円周方向の一方端と隣接する。低凸領域25が、高凸領域24の円周方向の他方端から最低凸区域26の円周方向の一方端に向かうに従って低くなるS字形状を成すように傾斜する一方移行区域27と、高凸領域24の円周方向の一方端から最低凸区域26の円周方向の他方端に向かうに従って低くなるS字形状を成すように傾斜する他方移行区域28とを有している。そのため、一方及び他方移行区域27,28によって、第1嵌合凸部21に生ずる応力を効率的に分散することができる。
【0047】
本実施形態に係る車両用ドアハンドル機構10においては、低凸領域25の円周方向の一方端が、最低凸区域26の円周方向の中央26aから円周方向の一方側に向かって約90°の一方側範囲内に配置される。低凸領域25の円周方向の他方端が、最低凸区域26の円周方向の中央26aから円周方向の他方側に向かって約90°の他方側範囲内に配置されている。そのため、第1嵌合凸部21に生ずる応力を効率的に分散することを可能としながら、低凸領域25よりも高い高凸領域24によって、第1嵌合凸部21と第1嵌合受け部31とを確実に嵌合させることができる。
【0048】
本実施形態に係る車両用ドアハンドル機構10においては、低凸領域25の円周方向の一方端及び他方端が、最低凸区域26の円周方向の中央26aを基準として円周方向にて互いに対して対称に配置されている。そのため、第1嵌合凸部21に生ずる応力を効率的に分散することができる。
【0049】
「第2実施形態」
第2実施形態に係る車両用ドアハンドル機構について説明する。本実施形態において、第1実施形態に係る構成要素と同様の名称を用いた構成要素は、特に言及しない限り、かかる第1実施形態に係る構成要素と同様に構成される。
【0050】
特に図示はしないが、本実施形態に係るドアハンドル機構は、以下に述べる構成を除いて、第1実施形態に係るドアハンドル機構10と同様である。すなわち、本実施形態に係るドアハンドル機構においては、ハンドルノブが、第1及び第2嵌合凸部を有し、かつハンドルケースが、これら第1及び第2嵌合凸部にそれぞれ嵌合可能な第1及び第2嵌合受け部を有する。なお、第1実施形態と同様に、ハンドルノブが、第2嵌合凸部の代わりに第2嵌合受け部を有することができ、かつハンドルケースが、第2嵌合受け部の代わりに第2嵌合凸部を有することができる。第1嵌合凸部における低凸領域の円周方向の少なくとも一部は、ハンドルノブが旋回範囲内のいずれにあっても、旋回軸線に対して車両上方に位置する第1嵌合凸部の上側範囲内に配置されている。
【0051】
以上、本実施形態に係るドアハンドル機構においては、第1実施形態に係るドアハンドル機構と同様の効果を得ることができる。
【0052】
ここまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、その技術的思想に基づいて変形及び変更可能である。
【符号の説明】
【0053】
2…ドアパネル
10…車両用ドアハンドル機構、10a…旋回軸線
20…ハンドルケース、21…第1嵌合凸部、21a…ストッパ作用部、21b…最大開放取っ手作用部、21c…主干渉範囲の円周方向の中央、23…ストッパ受け部、24…高凸領域、25…低凸領域、26…最低凸区域、26a…最低凸区域の円周方向の中央、27…一方移行区域、28…他方移行区域
30…ハンドルノブ、31…第1嵌合受け部、33…取っ手部、34…ストッパ部
A…当接部、J…接線