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特開2023-133421エステルおよびエーテル単位のコポリマー、その製造方法およびその使用
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  • 特開-エステルおよびエーテル単位のコポリマー、その製造方法およびその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133421
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】エステルおよびエーテル単位のコポリマー、その製造方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/66 20060101AFI20230914BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20230914BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20230914BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20230914BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20230914BHJP
   H01M 10/054 20100101ALI20230914BHJP
   C08G 63/91 20060101ALN20230914BHJP
【FI】
C08G63/66
H01M10/0565
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M10/052
H01M10/054
C08G63/91
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023120209
(22)【出願日】2023-07-24
(62)【分割の表示】P 2020541980の分割
【原出願日】2019-02-05
(31)【優先権主張番号】2,994,005
(32)【優先日】2018-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(71)【出願人】
【識別番号】513138072
【氏名又は名称】ハイドロ-ケベック
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バジル コマリウ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-クリストフ ダイグル
(72)【発明者】
【氏名】ピエール-ミシェル ジャルベール
(72)【発明者】
【氏名】ジル ラジョワ
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン ギャニオン
(72)【発明者】
【氏名】アブデルバスト ジェルフィ
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル アルマンド
(72)【発明者】
【氏名】カリム ザジブ
(57)【要約】
【課題】 コポリマーを提供すること
【解決手段】 本技術は、電気化学的電池、特にリチウムバッテリー、ナトリウムバッテリー、カリウムバッテリーおよびリチウムイオンバッテリーなどの電気化学的蓄電池で使用するための少なくとも1つのエステル繰り返し単位および1つのエーテル繰り返し単位を含むポリマーに関する。より具体的には、固体ポリマー電解質(SPE)として、ゲル電解質を形成するためのマトリックスとして、または電極材料中のバインダーとしてのこのポリマーの使用も企図される。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、適用される法律に基づいて、2018年2月5日に提出されたカナダ特許出願第2,994,005号の優先権を主張する。その内容は、参照によりその全体がおよび全目的のために本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、ポリマー分野、および電気化学的用途、特にリチウムバッテリーにおけるその使用に関する。より具体的には、本技術は固体ポリマー電解質(SPE)として、ゲル電解質形成のためのマトリックスとして、または電極材料におけるバインダーとして使用するためのポリマーの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のバッテリーは、一般的に炭酸エチレン、炭酸プロピレン、および炭酸ジエチルなどの液体電解質を使用し、LiPF、LiTFSI、およびLiFSIなどのイオン性塩を効率的に可溶化ならびにイオン化することができる。しかしながら、これらの液体電解質は、重大な安全性および毒性の問題を提起する。
【0004】
リチウムイオン技術は、今日のバッテリー市場で優位を占めているが、アノードとしてリチウムなどのアルカリ金属の使用が、より一般的になっている。これは、これらの材料の非常に高いエネルギー密度によって説明される。他方、これらの金属は、液体電解質と反応し、液体電解質の劣化を引き起こし、その結果、使用中にバッテリーの性能が徐々に低下する可能性がある。加えて、これらの金属の使用に関する主な問題の1つは、樹状構造の形成であり、樹状構造がセパレーターを貫通してしまう際に、電極間の激しい短絡をもたらす可能性がある。この反応は、電解質の発火をもたらす可能性があり、バッテリーの爆発のポイントにさえ至る可能性がある(Guo, Y. et al., Advanced Materials, 29.29 (2017): 1-25参照)。電解質の劣化は、反応性かつ毒性の副産物も生成する可能性があり、副産物は、電気化学的システムの容量を大きく減少させることに加え、長期的に使用者を追加の危険にさらす可能性がある。
【0005】
これらの安全性および安定性の問題は、アルカリ金属に対してより安定な不揮発性、不燃性の固体ポリマー電解質(SPE)の使用によって著しく軽減できる。そのようなシステムの結果として得られる弾性は、バッテリーの新しい構成をデザインし、例えば光化学電池および柔軟な蓄電池におけるそれらの使用のような新しい用途を標的にすることを可能にする。結果として得られる弾性は、バッテリーの耐衝撃性を向上することを可能にする。さらに、ポリマーの機械的な特性を変えることによって、樹状構造の形成を防ぐことができる(Mindemark, J. et al., Polymer 63 (2015): 91-98参照)。このような樹状構造の形成は、高い輸率を有するポリマーの使用によって大幅に、またはさらに完全に阻害することもできる(Brissot,
C. et al., Journal of Power Sources 81-82 (1999): 925-929参照)。したがって技術的な用途の可能性を広げることに加え、SPEの使用は、固体状態の電気化学的システムをデザインすることを可能にし、この固体状態の電気化学的システムは、液体電解質の使用に基づく対照物よりずっと安全で効率的である。
【0006】
1975年にV. Wrightは、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)が、塩を可溶化できることを証明した。その後、Armand, M.B.らが、バッテリーにおけるSPEとしてのその使用を最初に提案した(Armand, M. B. et al
., Fast Ion Transport in Solids (1979): 131参照)。ポリマーが溶融状態にある場合、このポリマーのイオン導電率は非常に高い(10-3S.cm-1のオーダー)(Hallinan Jr, D.T. et al., Annual review of materials research
43 (2013): 503-525参照)。加えて、この材料は、安価で、無毒性であり、既存の技術に容易に適用可能である。しかしながら、この準結晶性ポリマーは、そのイオン導電性がその融点(すなわち約64℃)より低い操作温度で大幅に低下する。この特性は、その結晶相におけるイオン輸送が著しくより困難であることに起因するものである(Armand, M., Solid State Ionics 9 (1983): 745-754参照)。それ以来、大部分の研究は、その結晶化度を減少させるためにその構成を改変することに焦点を当ててきた。より具体的には、分枝ポリマーおよびブロックコポリマーの形成による。しかしながら、今日、この型のポリマーの限界が近づいているように見える。実際、他の要因がSPEとしてのこのポリマーの使用を制限し、これには、ポリマーによるリチウムイオンの強力な錯形成によるその低い輸率(0.3未満)が挙げられ、これは、バッテリー中の大幅な電荷分離、樹状構造の形成および約4Vの電位に制限された電気化学的安定性をもたらし、これにより、ニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)およびリチウムコバルト二酸化物(LiCoO)などの高電圧材料でのその使用が困難になる(He, W. et al., 上記参照)。
【0007】
しかしながら、SPEとして使用できるLiカチオンを効率的に溶媒和することができる他のポリマー構造がある。これらのポリマー構造は、一般的に-O-、-C=O-、および-O-(C=O)-O-官能基を含む。その中には、エーテル(テトラヒドロフラン(THF)、オキセタン、1、3-ジオキソラン、およびプロピレンオキシドなど)、エステル(例えば、カプロラクトン)およびカーボネート(例えば、炭酸エチレン、炭酸トリメチレン、および炭酸プロピレン)がある。
【0008】
例えば、ポリカプロラクトンは、良好なイオン導電性を有する(Lin, C-K. et al., Polymer 52.18 (2011): 4106-4113参照)。しかしながら、ポリ(エチレンオキシド)と同様に、このポリマーは、準結晶であり、約60℃で結晶化するため、より高温での使用が制限される。その構成を改変することによって、および主にカプロラクトン以外の単位を導入することによって、このポリマーの結晶化度を低下させることができる(Mindemark, J. et al.,
Journal of Power Sources 298 (2015): 166-170参照)。4.1×10-5S.cm-1より高い導電率を有することに加えて、カプロラクトン単位に基づくこれらのコポリマーは、大きい輸率(0.6より大きい)を有する。カプロラクトンに基づく固体ポリマー電解質の使用は、この分子が、バイオベースであり、生体適合性であり、生分解性であり得、重合ステップがエチレンオキシドの重合ステップより単純で安全であるため、さらに興味深い。しかしながら、ポリカプロラクトンの結晶化度を壊すのに現在使用される単位は、高価であり、コポリマーのガラス転移(T)を増加させ、このことは、一般的にイオン導電率における負の効果を有する。そのため、この型のポリマーの性能を向上させる新しい戦略を見つける必要がある。
SPEは、熱可塑性または熱硬化性形体であり得る。多数の研究が、架橋SPEの使用を報告しており、特に、それらの優れた機械的特性だけでなく、それらが電解質ならびに正極および負極間の物理的なセパレーターの両方の役割を果たすことができるため、樹状突起の形成を妨げる(Khurana, Rachna, et al., Journal of the American Chemical Society 136.20 (2014): 7395-7402;およびLu, Q. et al., Advanced Materials 29.13 (2017)参照)。加えて、架橋密度が大きい場合、それらは一般的に高電圧安定性が向上する。架橋SPEの圧倒的多数は、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド単位の使用に基づいている(L
u, Q. et al.; Porcarelli, L. et al., Scientific reports 6 (2016): 19892; Lin, Z.
et al., Nano Energy 41 (2017): 646-653;
and Kono, M. et al., Journal of the Electrochemical Society 136(1998): 1521-1527参照)。Hydro-Quebecの特許(WO2003063287 A2)は、特
に架橋エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーの例を提供する。いくつかの研究が、それらのイオン導電性を増加するために、これらの架橋SPEの3次元ネットワークにおける可塑化剤(溶媒など)の添加を報告している。しかしながら、これらのゲルポリマー電解質は、それらの機械的特性が減少し、それは樹状突起の形成、およびリチウムと接する有機分子の低い安定性の問題を呼び戻す。研究は、熱硬化性ベースとしてポリエーテル(ポリ(エチレンオキシド)以外)、ポリエステル、およびポリカーボネートなどの他の型のポリマーの使用を提案する。例えば、低分子量のカプロラクトンオリゴマーが、エレクトロクロミックシステムにおける用途のためのシリコーンベースのハイブリッドイオン導電性電解質のために使用されている(Pereira, R. F. P. et al., Electrochimica Acta 211 (2016): 804-813; Leones, R. et al., Solar Energy Materials and Solar Cells 169 (2017): 98-106;およびFernandes, M. et al., ACS applied materials & interfaces 3.8 (2011): 2953-2965参照)。しかしながら、室温での低いイオン導電率(10-6S/cm未満)を有することに加えて、この型の電解質は、数週間のエイジングを必要とする。Ugur, M. H.らは、ポリウレタンアクリレート単位を介したポリカプロラクトンの架橋に基づくSPEを提案し、これは、液体電解質をしみこませると、室温で1×10-4S/cmのイオン導電率に到達することを可能にすること(Ugur, M. H. et al., Chemical Papers 68.11 (2014): 1561-1572参照)。システムの分極が高いことを考慮すると、提示された唯一のサイクル結果は、決定的ではなかった。Alloin, F.らは、ポリテトラヒドロフランオリゴマーを架橋してSPEを形成することを提案する。しかしながら、彼らはテトラヒドロフラン繰り返し単位に基づく熱硬化性ポリマーが、エチレンオキシド単位に基づく対照物より劣ったイオン導電体であることを示す(Alloin, F. et al., Electrochimica Acta 43.10 (1998): 1199-1204参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2003/063287号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Guo, Y. et al., Advanced Materials, 29.29 (2017): 1-25
【非特許文献2】Mindemark, J. et al., Polymer 63 (2015): 91-98
【非特許文献3】Brissot, C. et al., Journal of Power Sources 81-82 (1999): 925-929
【非特許文献4】Armand, M. B. et al., Fast Ion Transport in Solids (1979): 131
【非特許文献5】Hallinan Jr, D.T. et al., Annual review of materials research 43 (2013): 503-525
【非特許文献6】Armand, M., Solid State Ionics 9 (1983): 745-754
【非特許文献7】Lin, C-K. et al., Polymer 52.18 (2011): 4106-4113
【非特許文献8】Mindemark, J. et al., Journal of Power Sources 298 (2015): 166-170
【非特許文献9】Khurana, Rachna, et al., Journal of the American Chemical Society 136.20 (2014): 7395-7402
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
第一の局面によると、本開示は、少なくとも1つのエステル繰り返し単位および1つのエーテル繰り返し単位を含むポリマーに関し、前記ポリマーは、式1:
【化1】

のものであり、ここで、
x、yおよびzは、ポリマーの平均分子量が200g/molから5,000,000g/molの間であり、xが1以上であり、y+zが1以上であるように、それぞれ独立して選択される整数であり、
およびRは、水素、C1-21アルキル、C2-22アルケニル、C1-10アルコキシアリル、C1-10アルキル(アクリレート)、およびC1-10アルキル(メタクリレート)からそれぞれ独立して選択される直鎖状または分枝状の置換基であり、
n、m、o、およびpは、整数であり、oは1から10の間であり、n、m、およびpは0から10の間であり、
AおよびBは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アセチル、アルコキシル、エポキシ含有基、フラン含有基、第1級アミン含有基、マレイミド含有基、アクリレート含有基、および酸基からそれぞれ独立して選択される置換されているまたは置換されていない基である。
一実施形態によると、nは0から3の間であり、Rは水素、メチル、-CH-O-CH-CH=CH基および-CH=CH基から選択され、oは2から4の間であり、pは2から4の間であり、mは0から4の間であり、Rは水素およびメチルから選択される。例えば、Rは水素であり、n=3であり、AおよびBはアクリレートであり、Rは水素であり、m=4である。
【0012】
例えば、本明細書で定義されるようなポリマーは、熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性ポリマーである。
【0013】
他の実施形態によると、A、B、RおよびR基の少なくとも一つは、前記ポリマーの架橋を可能にする官能基を含む。
【0014】
一実施例によると、架橋は、ラジカル型反応、ディールスアルダー反応、クリックケミストリー、アルケンのヒドロチオール化反応、開環反応、加硫、付加環化、エステル化、およびアミド化から選択される反応によって行われる。
【0015】
一実施例によると、架橋は、UV照射によって、熱処理によって、マイクロ波によって、電子ビーム下で、ガンマ線照射によって、またはX線照射によって行われる。
【0016】
一実施例によると、架橋は、架橋剤、熱開始剤、触媒、可塑剤、または少なくとも2つのこれらの組合せの存在下で行われる。
【0017】
他の局面は、本明細書で定義されるような少なくとも1つのポリマーと、1つまたは複数の液体電解質、イオン性塩、イオン性液体、ポリマー、無機粒子、非プロトン性極性溶媒、もしくは添加剤とを含む組成物に関する。
【0018】
他の局面によると、本記述は本明細書で定義されるようなポリマーを含む電解質に関する。例えば、電解質は固体ポリマー電解質(SPE)またはゲル電解質である。
【0019】
一実施形態によると、電解質はさらにイオン性塩、イオン性液体、セパレーター、非プロトン性極性溶媒、添加剤、または少なくとも2つのこれらの組合せを含む。
【0020】
一実施例によると、イオン性塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレート(LiTDI)、リチウム4,5-ジシアノ-1,2,3-トリアゾレート(LiDCTA)、リチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(LiBETI)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiBOB)、硝酸リチウム(LiNO)、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)、フッ化リチウム(LiF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiSOCF)(LiTf)、フルオロアルキルリン酸リチウムLi[PF(CFCF] (LiFAP)、テトラキス(トリフルオロアセトキシ)ホウ酸リチウムLi[B(OCOCF] (LiTFAB)、ビス(1,2-ベンゼンジオラト(2-)-O,O')ホウ酸リチウムLi[B(C] (LB
BB)、およびそれらの組合せから選択されるリチウム塩である。
【0021】
他の実施例によると、非プロトン性極性溶媒は、炭酸エチレン(EC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸エチルメチル(EMC)、γ-ブチロラクトン(γ-BL)、炭酸ビニレン(VC)、酪酸メチル(MB)、γ-バレロラクトン(γ-VL)、1,2-ジメトキシエタン(DME)、1,2-ジエトキシエタン(DEE)、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグリム、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、炭酸プロピレン誘導体、テトラヒドロフラン、およびそれらの混合物から選択される。
【0022】
他の局面によると、本記述は、電気化学的に活性な材料および本明細書で定義されるようなポリマーを含む電極材料に関する。例えば、ポリマーはバインダーである。
【0023】
追加の局面によると、本記述は、負極、正極および電解質を含む電気化学的電池に関し、ここで負極、正極および電解質の少なくとも1つは、本明細書で定義されるようなポリ
マーを含む。
【0024】
一実施形態によると、正極は、正極の電気化学的に活性な材料およびバインダー、必要に応じて電子導電性材料、またはそれらの組合せを含む。例えば、バインダーは、本明細書で定義されるようなポリマーを含む。例えば、導電性材料は、カーボンブラック、KetjenTM carbon、アセチレンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、およびカーボンファイバー(カーボンナノファイバーまたは気相で形成されるVGCFなど)または少なくとも2つのそれらの組合せから選択される。
【0025】
最後に、本記述は、本明細書で定義されるような少なくとも1つの電気化学的電池を含む電気化学的蓄電池に関する。例えば、電気化学的蓄電池は、リチウムバッテリー、ナトリウムバッテリー、カリウムバッテリー、およびリチウムイオンバッテリーから選択される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、一実施形態によるバッテリーの安定性サイクル結果を示し、ここで、実施例4(a)に記載されるように(A)最初の5サイクルについてのC/24の充電/放電速度およびその後の温度50℃でのC/2の速度;ならびに(B)温度50℃でのC/5の充電/放電速度、での放電容量および効率を記録した。
【0027】
図2図2は、実施例4(a)に記載されるような放電容量の結果を示し、これは、一実施形態によるバッテリーについての異なる充電/放電速度および異なる温度での放電容量の結果である。
【0028】
図3図3は、一実施形態によるバッテリーについての実施例4(a)に記載されるような安定性サイクル結果を示す。
【0029】
図4図4は、一実施形態による対称的な電池についての実施例4(b)に記載されるようなサイクリックボルタンメトリーの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(詳細な説明)
本明細書に使用されるすべての技術的および科学的な用語ならびに語句は、本技術に関する場合に当業者によって一般的に理解される定義と同じ定義を有する。本明細書で使用されるいくつかの用語および語句の定義は、それでもやはり以下で提供される。
【0031】
本明細書に使用するような用語「約」は、およそ、ほぼ、および周囲、を意味する。用語「約」が数値と関連して使用される場合、それは、例えば、公称値に対して10%の変動だけ上下にその数値を改変する。この用語は、例えば、測定装置の実験誤差または値の丸めも考慮に入れることができる。
【0032】
値の範囲が、本出願で言及されている場合、その範囲の下限および上限は、他に示されない限り、常に定義に含まれる。
【0033】
本明細書に記載の化学構造は、分野の基準に従って描写される。また描写されている炭素原子などの原子が、不完全な原子価を伴うように見える場合、原子価は、たとえ水素原子が明白に示されていなくても、1つまたは複数の水素原子によって充足されているとみなされる。
【0034】
本明細書において使用する場合、用語「アルキル」は、直鎖や分枝アルキル基を含む、
1個から21個の間の炭素原子を有する飽和炭化水素基を指す。アルキルの非限定的な例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、および類縁体を含み得る。用語「C-Cアルキル」は、1個から示された「n」個の数の炭素原子を有するアルキル基を指す。
【0035】
本明細書において使用する場合、用語「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を2個の炭素間に含む不飽和の炭化水素を指す。アルケニル基の非限定的な例は、ビニル、アリル、1-プロペン-2-イル、1-ブテン-3-イル、1-ブテン-4-イル、2-
ブテン-4-イル、1-ペンテン-5-イル、1,3-ペンタジエン-5-イルなどを含む。用語「C-Cアルケニル」は、2個から示された「n」個の数の炭素原子を有するアルケニル基を指す。
【0036】
本明細書において使用する場合、用語「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を2個の炭素原子間に含む不飽和の炭化水素を指す。アルキニル基の非限定的な例は、エチニル基、1-プロピン-3-イル、1-ブチン-4-イル、2-ブチン-4-イル、1-ペンチン-5-イル、1,3-ペンタジイン-5-イルなどを含む。用語「C-Cアルキニル」は、2個から示された「n」個の数の炭素原子を有するアルキニル基を指す。
【0037】
本明細書で使用する場合、用語「アルコキシ」は、結合している酸素原子を有するアルキル基であり、この酸素原子は2つの炭素原子間にある基を指す。用語「アルコキシ」は、置換されている、および置換されていないアルコキシ基の両方を含む。代表的なアルコキシ基は、1個から約10個の炭素原子を有する基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシなどを含む。
【0038】
基に関する場合の用語「置換されている」は、少なくとも1つの水素原子が、適切な置換基で置き換えられている基を指す。これらの置換基も、もし可能ならば、例えば、もしそれが、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基などを含むならば置換され得る。
【0039】
本出願は、コポリマーの繰り返し構造に欠陥を導入し、そうすることで単独で使用されるホモポリマーと比較して結晶化度の低下をもたらすエーテルおよびエステル繰り返し単位の両方を含むコポリマーを記載する。エーテルおよびエステル繰り返し単位の良好な電気化学的および物理化学的な特性を組み合わせることによって、これらのコポリマーは、機能的なSPEを室温で得ることを可能にする。これらの特性は、本明細書に記載のコポリマーが、ゲル電解質マトリクスの組成物において、ナノ粒子の添加に基づく複合物で、または電極におけるバインダーとして、使用される際にも有用である。アニオンと比較してリチウムイオンの限られた拡散が、樹状突起の核生成の要因である濃度勾配の形成を誘発することがわかったので、この望ましくない反応を防ぐために可能な限り高い輸率を有するポリマーを使用することが不可欠である。本出願のポリマーは、対象となる用途で一般に使用されるポリ(エチレンオキシド)と比較して高い輸率を有する。
【0040】
したがって本出願は、低い結晶化温度、非常に低いガラス転移(T)、および高い輸率を有するコポリマーを記載し、これは、室温でのSPEの効率的な使用のために望ましい。本明細書に記載のコポリマーは、異なる刺激によって架橋され、例えば、高い機械特性を有し、耐久性があり、樹状突起の形成を防ぐ熱硬化性ポリマーを形成することができる。機械的強度も、SiO、Al、TiOまたは任意の他の適切なナノ粒子などのナノ粒子の添加によって補強され得る。その3次元ネットワークに、液体電解質および/またはイオン性液体を含侵させ、ポリマーのイオン導電性を増加させながら、樹状突
起の形成を阻害することができる優れた機械特性を保持する時、これらの架橋ポリマーは、「ハード」ポリマーゲルベースとしても使用され得る。そのため本出願は、その不十分な機械特性がそのような樹状突起の形成を妨げることができず、そのイオン電導性のない主構造が多量の液体電解質の使用を示唆する、リチウムイオンバッテリーにおいて一般的に使用されるゲルを置き換えることができることを記載する。
【0041】
本記述は、少なくとも1つのエステル繰り返し単位および1つのエーテル繰り返し単位を含むポリマーに関する。例えば、前記ポリマーは、式1:
【化2】

で表され、ここで、
x、yおよびzは、ポリマーの平均分子量が200g/molから5,000,000g/molの間であり、xが1以上であり、y+zが1以上であるように、それぞれ独立して選択される整数であり、
およびRは、水素、C1-21アルキル、C2-22アルケニル、C1-10アルコキシアリル、C1-10アルキル(アクリレート)、およびC1-10アルキル(メタクリレート)からそれぞれ独立して選択される直鎖状または分枝状の置換基であり、
n、m、o、およびpは、ポリマーにおける単位の平均の数を表す整数であり、oは1から10の間であり、n、m、およびpは0から10の間であり、
AおよびBは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アセチル、アルコキシル、エポキシ含有基、フラン含有基、第1級アミン含有基、マレイミド含有基、アクリレート含有基、および酸基からそれぞれ独立して選択される置換されているまたは置換されていない基である。
【0042】
一実施例によると、エーテル単位を形成するために使用される重合前のモノマーは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、オキシメチレン、トリメチレンオキシド、トリオキシメチレン、アリルグリシジルエーテル、および3,4-エポキシ-1-ブテンであり得る。あるいは、nは、0から3の間であり、Rは、水素、メチル、-CH-O-CH-CH=CH基、および-CH=CH基から選択される。興味深い一変形によると、Rは、水素であり、nは3である。
【0043】
他の実施例によると、エステル単位を形成するために使用される重合前のモノマーは、例えば、1,4-アジピン酸ブチレン、1,3-コハク酸プロピレン、アジピン酸エチレン、1,3-グルタル酸プロピレン、およびコハク酸エチレンであり得る。あるいは、エステル単位は、α-アセトラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、およびε-カプロラクトンなどのラクトンの開環を介して得ることができる。他の代替によると、それらはラクチドまたはグリコリドの開環によって得ることができる。他の代替によると、oは、2から4の間であり、pは2から4の間である。他の代替によると、mは0から4の間であり、Rは、水素およびメチルから選択される。興味深い一変形によると、Rは、水素であり、mは4である。
【0044】
一実施例によると、Aはアクリレート基である。他の実施例によると、Bはアクリレー
ト基である。興味深い一変形によると、AおよびBは、アクリレート基である。
【0045】
興味深い一変形によると、Rは、水素であり、nは3であり、Rは水素であり、mは4であり、AおよびBは、アクリレート基である。興味深い他の変形によると、Rは、水素であり、nは3であり、Rは水素であり、mは4であり、zは0であり、AおよびBは、アクリレート基である。例えば、ポリマーは式II:
【化3】

で表され、ここで、
x、yおよびzは、上記で定義したとおりである。
【0046】
一実施例によると、式IIのポリマーは、スキーム1:
【化4】

に記載の重合プロセスによって調製され得る。
【0047】
一実施例によると、式Iのポリマーの平均分子量は、200g/molから5,000,000g/molの間、具体的には200g/molから1,000,000g/molの間、より具体的には200g/molから500,000g/molの間、さらにより具体的には400g/molから100,000g/molの間、理想的には400g/molから20,000g/molの間であり、上限および下限は含まれる。他の実施例によると、式IIのポリマーの平均分子量は、200g/molから5,000,000g/molの間、具体的には200g/molから1,000,000g/molの間、より具体的には200g/molから500,000g/の間、さらにより具体的には400g/molから100,000g/molの間、理想的には400g/molから20,000g/molの間であり、上限および下限は含まれる。
【0048】
エステルおよびエーテル繰り返し単位は、交互に、ランダムに、またはブロック状に配
列され得る。他の実施例によると、エステルおよびエーテル繰り返し単位は、直鎖状、星状、および分枝状の形状から選択される形状でポリマーにそれぞれ結合される。一変形によると、ポリマーは、櫛状ポリマーおよび樹状ポリマーを含む、分枝または多分枝ポリマーである。他の変形によると、ポリマーは、星状ポリマーであり、前記星状ポリマーの直鎖は、均一な長さおよび構造であるか、あるいは、それらは、不均一な長さおよび構造である。
【0049】
一実施例によると、本記述のポリマーは、その構造において、ポリマーの制御された架橋を可能にすることができる、1つまたは複数のイオン伝導体セグメントおよび1つまたは複数の機能の両方を有することができる。一実施例によると、ポリマーは、異なる外部刺激下でその制御された架橋を可能にする官能基をさらに含む。例えば、A、B、RおよびR基の少なくとも1つは、前記ポリマーの架橋を可能にする官能基を含む。例えば、架橋により、高電圧に非常に耐性のある三次元構造を得ることが可能になり、さらに樹状突起形成の防止が可能になる。選択された繰り返し単位は、ポリマーに高い輸率を与えることができる。架橋は、ラジカル型反応、ディールス・アルダー反応、クリックケミストリー、アルケンヒドロチオール化反応、開環反応、加硫、付加環化、エステル化、およびアミド化から選択される反応により行うことができる。例えば、架橋は、UV照射により、熱処理により、マイクロ波により、電子ビーム下で、ガンマ照射により、またはX線照射により行われる。架橋は、架橋剤、熱開始剤、UV開始剤、触媒、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(またはテトラグライム)、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル(PEGDME)などの可塑剤、および従来の液体電解質、溶融塩電解質(イオン性液体)など、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせの存在下でも実行できる。例えば、UV架橋剤は、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(IrgacureTM 651)である。
【0050】
別の実施例によると、前記ポリマーは、熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性ポリマーである。
【0051】
一変形によると、前記ポリマーは、本明細書で定義される少なくとも1つのポリマー、および1つまたは複数の液体電解質、イオン性塩、イオン性液体、ポリマー、無機粒子、非プロトン性極性溶媒、または添加剤を含む組成物に含めることができる。
【0052】
一変形によると、前記ポリマーは、固体またはゲル電解質などの電解質に含まれ得る。本明細書に記載のポリマーが、固体またはゲル電解質で使用される場合、後者は、液体電解質、イオン性塩、イオン性液体、別のポリマー、セパレーター、単一イオンポリマー、無機粒子、非プロトン性極性溶媒、添加剤、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせをさらに含むことができる。例えば、架橋密度および挿入する基を変化させることにより、樹状突起の形成を防止する優れた機械的特性を維持しながら、高度にイオン伝導性の含浸材料を得ることが可能である。イオン性塩の添加は、ポリマーの輸率およびそのイオン伝導性も増加させることができる。
【0053】
一変形によると、電解質は、電気化学的電池または電気化学的蓄電池、例えば「全固体」型の電気化学的蓄電池で使用できる固体ポリマー電解質(SPE)である。興味深い別の変形によると、電解質はゲル電解質である。
【0054】
一実施例によると、本明細書のポリマーは、その構造において、正極もしくは負極の1つもしくは複数の要素の表面上、またはSPEに含まれる固体要素の表面へのそのグラフト化をもたらすことができる1つまたは複数の機能をさらに有することができる。
【0055】
セパレーターの非限定的な例には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、
セルロース、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、およびポリプロピレン-ポリエチレン-ポリプロピレン(PP/PE/PE)膜が含まれ得る。
【0056】
例えば、イオン性塩はリチウム塩であり得る。リチウム塩の非限定的な例としては、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレート(LiTDI)、リチウム4、5-ジシアノ-1,2,3-トリアゾレート(LiDCTA)、リチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(LiBETI)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiBOB)、硝酸リチウム(LiNO)、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)、フッ化リチウム(LiF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiSOCF)(LiTf)、フルオロアルキルリン酸リチウムLi[PF(CFCF](LiFAP)、テトラキス(トリフルオロアセトキシ)ホウ酸リチウムLi[B(OCOCF](LiTFAB)、ビス(1,2-ベンゼンジオラト(2-)-O、O')ホウ酸
リチウムLi[B(C](LBBB)、およびそれらの組み合わせまたはそれらを含む組成物が含まれる。興味深い一変形によると、リチウム塩はリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)である。
【0057】
非プロトン性極性溶媒の非限定的な例には、炭酸エチレン(EC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸エチルメチル(EMC)、炭酸ビニレン(VC)、酪酸メチル(MB)、γ-ブチロラクトン(γ-BL)、γ-バレロラクトン(γ-VL)、1,2-ジメトキシエタン(DME)、1,2-ジエトキシエタン(DEE)、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグリム、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、炭酸プロピレン誘導体、テトラヒドロフラン、およびそれらの混合物が含まれる。例えば、非プロトン性極性溶媒は炭酸プロピレン(PC)である。
【0058】
一実施形態によると、電解質組成物中のポリマーの濃度は、5重量%~100重量%、10重量%~100重量%、20重量%~100重量%、30重量%~100重量%、40~100重量%、50~100重量%、60~100重量%、75~100重量%、90~100重量%であり、上限および下限は含まれる。
【0059】
本出願はまた、本明細書で定義されるような電気化学的に活性な材料およびポリマーを含む電極材料を提供する。興味深い一変形によると、バインダーは、本明細書に記載のポリマーを含む。あるいは、本明細書に記載のポリマーは、電気化学的に活性な材料粒子上のコーティングの形態で電極材料中に存在する。
【0060】
本出願はまた、負極、正極および電解質を含む電気化学的電池を提案し、負極、正極および電解質の少なくとも1つは、本出願のポリマーを含む。例えば、ポリマーは、電解質中、または正極および負極の一方、または電極および電解質のうちの一つの中に存在する。一実施例によると、電気化学的電池は、本出願の電解質を含む。興味深い変形によると、負極はリチウムである。
【0061】
例えば、本記述のポリマーは、異なる無機材料と組み合わせ、複合物を形成することができる。例えば、無機粒子は、二酸化チタン(TiO)、二酸化ケイ素(SiO)、
および酸化アルミニウム(Al)などのように不活性であり得る。あるいは、無機粒子は、例えば、チタン酸リチウムランタンLi0.33La0.557TiO(LLTO)、ランタンジルコン酸リチウムLiLaZr12(LLZO)、およびLi6.75LaZr1.75Ta0.2512(LLZTO)などのように活性であり得る。一実施例によると、本記述のポリマーの官能基は、電気化学的に活性または不活性なマイクロまたはナノ粒子にグラフト化して、ポリマーのイオン伝導率/輸率を増加させ、および/または最終複合物の機械的特性を増加させることができる。
【0062】
別の局面によると、正極は、例えば粒子の形態の電気化学的に活性な材料を含む正極材料を含む。電気化学的に活性な正極材料の例には、M'がFe、Ni、Mn、Co、また
はそれらの組み合わせであるLiM'PO、LiV、V、LiMn
、M''がMn、Co、Ni、またはそれらの組み合わせであるLiM''O、M'''がM
n、Co、Al、Fe、Cr、Ti、もしくはZr、またはそれらの組み合わせであるLi(NiM''')Oなどのリチウム金属リン酸塩および複合酸化物が含まれる。正極材
料はまた、電子伝導性材料、バインダー、または両方の組み合わせをさらに含んでもよい。興味深い変形によると、バインダーは、本明細書に記載のポリマーを含む。あるいは、本明細書に記載のポリマーは、電気化学的に活性な材料の粒子上のコーティングとして電極材料中に存在する。
【0063】
一実施形態によると、電子伝導性材料は、カーボンブラック、KetjenTM carbon、アセチレンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、およびカーボンファイバー(カーボンナノファイバーまたは気相で形成されるVGCFなど)、または少なくとも2つのそれらの組合せから選択される。興味深い一変形によると、電子伝導性材料は、アセチレンブラック(デンカカーボンHS100など)およびVGCFの組み合わせである。
【0064】
一実施例によると、正極材料を集電体(例えば、アルミニウムまたは銅)に塗布して、正極を形成することができる。別の変形によると、正極は自立型(autosupportee)であ
り得る。興味深い一変形によると、集電体は、炭素コーティングアルミニウムでできている。
【0065】
別の実施例によると、本記述のポリマーを含むSPE膜および/または電極は、大規模生産のためのロールツーロール処理システム上で連続的に形成することができる。
【0066】
別の局面によると、本出願の電気化学的電池は、電気化学的蓄電池に含まれる。例えば、電気化学的蓄電池は、リチウムバッテリー、ナトリウムバッテリー、カリウムバッテリー、およびリチウムイオンバッテリーから選択される。興味深い一変形によると、電気化学的蓄電池は、リチウムイオンバッテリーである。
【0067】
別の局面によると、本出願の電気化学的蓄電池は、持ち運び可能なデバイス、例えば、携帯電話、カメラ、タブレット、もしくはラップトップにおいて、電気自動車もしくはハイブリッド自動車において、または再生可能エネルギー貯蔵器において使用される。
【実施例0068】
以下の実施例は例示であり、記載された本発明の範囲をさらに限定するものとして解釈されるべきではない。
【0069】
実施例1-ポリマーの合成
(a)架橋ポリマーフィルムの合成:ポリカプロラクトン-ブロック-ポリテトラヒドロフラン-ブロック-ポリカプロラクトン ジアクリレート(ポリマー P1)
ポリマーの合成は、回転子を備えた500mLフラスコ中で、分子量2,000g/molを有する72gの市販のポリカプロラクトン-ブロック-ポリテトラヒドロフラン-ブロック-ポリカプロラクトンを160gのトルエン中に可溶化することによって行った。アクリル酸(12.8g)、ヒドロキノン(0.4g)、およびp-トルエンスルホン酸(1.6g)を次に加えた。その後、溶液を温度80℃で24時間、部分真空下で撹拌し、共沸蒸留によって水を抽出した。次に、溶媒をロータリーエバポレーターを使用して真空下、温度60℃で2時間蒸発させた。次に、200gの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および100mlの水をポリマーを含むフラスコに加えた。
【0070】
次に、溶液をポリマーが中和されるまで撹拌した。一度撹拌を止め、ポリマーをフラスコの底に沈殿させ、上清をデカンテーションした。その後、ポリマーを激しく撹拌しながら6回ナノピュアウォーターで洗浄し、その後遠心分離によって分離した。次に、ポリマーをロータリーエバポレーターを使用して乾燥させ、その後フーリエ変換赤外分光分析(FTIR)、示差走査熱量測定(DSC)、および核磁気共鳴分光法(NMR)によって解析した。
【0071】
このように得たポリマーP1は、次の特性を有した:ガラス転移温度(T)=-78.13℃、および融点(mp)=18~34.5℃。UV照射による架橋の後、Tは-72℃であり、ポリマーはアモルファスであった。
【0072】
(b)ゲルポリマーの合成:ポリカプロラクトン-ブロック-ポリテトラヒドロフラン-ブロック-ポリカプロラクトン ジ-2-(2-メトキシエトキシ)エステル(ポリマーP2)
このポリマーの合成は、磁気バーを備えた500mLフラスコ中で、分子量2,000g/molを有する72gの市販のポリカプロラクトン-ブロック-ポリテトラヒドロフラン-ブロック-ポリカプロラクトンを160gのトルエン中に可溶化することによって行った。その後、11.9gの2-(2-メトキシエトキシ)酢酸、0.4gのヒドロキノン、および1.6gのp-トルエンスルホン酸を加えた。溶液を温度80℃で24時間、部分真空下で撹拌し、共沸蒸留によって水を抽出した。次に、溶媒をロータリーエバポレーターで真空下、温度60℃で2時間蒸発させた。その後、200gの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および100mlの水をポリマーを含むフラスコに加えた。
【0073】
次に、溶液をポリマーが中和されるまで激しく撹拌した。撹拌を止めたら、ポリマーをフラスコの底に沈殿させ、上清をデカンテーションした。その後、ポリマーを激しく撹拌しながら6回ナノピュアウォーターで洗浄し、遠心分離によって分離した。単離したポリマーをロータリーエバポレーターを使用して乾燥させ、その後FTIR、DSC、およびNMRによって解析した。
【0074】
このように得たポリマーP2は、次の特性を有した:T=-76.22℃、およびmp=16.5~26.5℃。
【0075】
実施例2-対称的な電池の調製
実施例2(a)から2(c)の対称的な電池の調製を完全に無水のチャンバー内で行った。
(a)ポリマーP1のみを含む対称的な電池の調製
【0076】
ポリマーP1(3g)をボトル(バイアル)中に3gのエタノール、0.53gのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、および0.015gのIrgacureTM 651(2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、光架橋剤)とともにボルテックスを使用して溶解した。次に溶液をドクターブレード法
によってステンレス鋼集電体上に広げ、その後オーブン中温度75℃で5分間乾燥させてから、窒素の不活性雰囲気の連続フロー下でUVオーブン中に挿入した。強度300WPIを5分間適用し、ポリマーの架橋を誘導した。その後、使用前にコーティングを終夜オーブン中温度75℃で放置した。
【0077】
このように得たポリマーのイオン導電率を2つのステンレス鋼電極間で測定した。値4.41×10-6S/cmを温度30℃で得た。
【0078】
(b)ポリマーP1およびP2を含む対称的な電池の調製
ポリマーP1(3g)およびポリマーP2(3g)をバイアル中に6gのエタノール、1.06gのLiTFSI、および0.015gのIrgacureTM 651とともにボルテックスを使用して溶解した。その後、溶液をドクターブレード法によってステンレス鋼集電体上に広げ、その後オーブン中温度75℃で5分間乾燥させてから、窒素の不活性雰囲気の連続フロー下でUVオーブン中に挿入した。強度300WPIを5分間適用し、ポリマーの架橋を誘導した。その後、使用前にコーティングを終夜オーブン中温度75℃で放置した。
【0079】
このように得たポリマーP1およびポリマーP2を含むポリマーブレンドのイオン導電率を2つのステンレス鋼電極間で測定した。値1.08×10-5S/cmを室温30℃で得た。
【0080】
(c)ポリマーP1および液体電解質を含む対称的な電池の調製
ポリマーP1(3g)および0.53gのLiTFSIを、事前に決めていた量のあらかじめ調製したPC中1MのLiTFSI溶液(表1参照)および0.015gのIrgacureTM 651にボルテックスを使用して溶解した。その後、溶液をドクターブレード法によってステンレス鋼集電体上に広げ、その後窒素の不活性雰囲気の連続フロー下でUVオーブン中に挿入した。強度300WPIを5分間適用し、架橋を誘導した。その後、コーティングをPCの蒸発を防ぐためにオーブンで予熱せずにそのまま使用した。
【表1】
【0081】
(d)ポリマーP1のみを含む対称的な電池(リチウム/SPE/リチウム)の調製
SPEを実施例2(a)に記載されているように、ステンレス鋼集電体をポリプロピレンフィルムに置き換えることにより調製した。その後80μmの厚さのSPEをヘキサンを用いポリプロピレンフィルムからはがし、PTFEシートに移し、別のPTFEシートで覆った。その後2つのPTFEシートの間で挟まれたSPEを打ち抜いて、SPEセパレーターを得、リチウム/SPE/リチウムバッテリーを組み立てた。組み立てはグローブボックス内で行った。
【0082】
ポリマーP1の輸率を2つのリチウム電極間で測定した。平均値の0.71を温度50℃で4つの電池で得た。
【0083】
実施例3-LiFePO/SPE/リチウムバッテリーの調製
(a)ポリマーP1のみを含むLiFePO/SPE/リチウムバッテリーの調製
調製は完全に無水のチャンバー内で行った。6gのポリマーP1を7.53gのエタノール、1.5gのLiTFSIおよび0.03gのIrgacureTM 651とともにボルテックスボトル中で可溶化した。その後、7.53gのこの溶液を遊星式撹拌容器(THINKYTMタイプ)中に移した。その後8.8gの炭素コーティングリン酸鉄リチウム(c-LFP)、0.475gのアセチレンブラック(DenkaTM carbon HS-100)、0.475gの炭素繊維(VGCFタイプ)、熱開始剤として0.015gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、および16gのエタノールを容器の中に加えた。全容量を、各回遊星式撹拌機(THINKYTMタイプ撹拌機)を使用して5回5分間混合して、粉末を分散させ、均一な溶液を得た。その後この正極溶液をドクターブレード法によって炭素コーティングアルミニウム集電体上に広げ、その後オーブン中温度120℃で2時間乾燥させ、架橋した。
【0084】
その後、ポリマー、リチウム塩、およびUV開始剤を含む保存溶液をドクターブレード法によって正極上に広げた。このように得たSPEコーティングを伴う正極をオーブン中温度75℃で5分間乾燥させ、窒素の不活性雰囲気の連続フロー下でUVオーブン中に挿入した。次に強度300WPIを5分間適用し、架橋を誘導した。その後、使用前にコーティングを終夜オーブン中75℃で放置した。
【0085】
バッテリーを45μmの厚さの金属リチウムアノードとともに組み立てた。2つの異なるバッテリーの形式を使用した:ボタン電池およびポーチセル形式。
【0086】
(b)ポリマーP1およびポリマーP2を含むLiFePO/SPE/リチウムバッテリーの調製
調製は完全に無水のチャンバー内で行った。3gのポリマーP1および3gのポリマーP2を6gのエタノール、1.06gのLiTFSI、および0.015gのIrgacureTM 651とともにボルテックスを使用しフラスコ中で可溶化した。その後、6.54gのこの溶液を遊星式撹拌容器(THINKYTMタイプ)中に移した。その後8.24gの炭素コーティングリン酸鉄リチウム(c-LFP)、0.445gのアセチレンブラック(DenkaTM carbon HS-100)、0.445gの炭素繊維(VGCFタイプ)、熱開始剤として0.0075gのAIBN、および16gのエタノールを容器の中に加えた。その後全容量を、実施例3(a)に記載されるように混合して、広げ、乾燥し、架橋した。
【0087】
その後、ポリマー、リチウム塩、およびUV開始剤を含む保存溶液をドクターブレード法によって正極上に広げた。このように得たSPEコーティングを伴う正極をオーブン中温度75℃で5分間乾燥させ、窒素の不活性雰囲気の連続フロー下でUVオーブン中に挿入した。次に強度300WPIを10分間適用し、架橋を誘導した。その後、使用前にコーティングを終夜オーブン中75℃で放置した。バッテリーを実施例3(a)に記載のように組み立てた。
【0088】
実施例4-電気化学的特性
(a)フォーメーションおよびサイクル安定性
実施例3(a)で調製されたバッテリーのフォーメーションおよびサイクル安定性試験を、異なる充電および放電速度ならびに異なる温度で行った。結果は、総合負荷4.39mg/cm、20μmの厚さのSPE、および25μmの厚さの正極を有するバッテリーについて示す。
【0089】
図1Aは、実施例3(a)で得られたバッテリーのサイクルを示す。C/24および5
0℃でのフォーメーション(最初の5回の充電/放電サイクル)の間、安定容量149mAh/gを100%に近い効率で得た。その後バッテリーをC/2(充電/放電)で再び50℃で安定的に起動した。急速な容量の減少が、最初の40サイクルの間に観察され、その後約100mAh/gで安定化した。880サイクルを超えた後、容量は、約100%の高効率を維持しながら、約80mAh/gであった。
【0090】
図1Bは、C/5(充電/放電)の速度および50℃での、実施例3(a)で得られたバッテリーのサイクルを示す。これらのサイクル速度および温度では、最初のサイクルにおける初期容量137mAh/g、257回目のサイクル後の容量123mAh/g、および99.9%の効率を伴う非常に顕著な安定性を観察した。
【0091】
図2は、異なる充電/放電速度および異なる温度での実施例3(a)で得られたバッテリーのサイクルを示す。左右のボックスは、それぞれ50℃および25℃の温度でのサイクル結果を示す。温度50℃で、約150mAh/gの高容量を維持しながら、バッテリーをC/5までサイクルできることが観察された。C/2および1Cの速度で、容量がより急速に減少し、5サイクル後それぞれ120mAh/gおよび40mAh/g未満になることが観察された。25℃での使用時、バッテリーは、C/24で約145mAh/gの高容量を有するが、C/5の速度で40mAh/g未満に減少することが観察された。その後バッテリーを、C/10の速度での安定性について試験し、90サイクルを超えた後、バッテリーは依然として約100mAh/gの容量を有し、安定化する傾向があったことが観察された。
【0092】
実施例3(b)で調製されたバッテリーのフォーメーションおよびサイクル安定性試験を異なる充電および放電速度ならびに異なる温度で行った。結果は、総合負荷5.72mg/cm、20μmの厚さのSPE、および32μmの厚さの正極を含むバッテリーについて示す。
【0093】
図3は、実施例3(b)で得られたバッテリーのサイクルを示す。C/24および50℃でのフォーメーション(最初の4回の充電/放電サイクル)の間、安定容量約141mAh/gを100%に近い効率で得た。その後バッテリーをC/5(充電/放電)で再び50℃で安定的に起動した。これらのサイクル速度および温度で、最初のサイクルにおける初期容量125.9mAh/g、33回目のサイクル後の容量124.2mAh/g、および99.9%の効率を伴う非常に顕著な安定性を観察した。
【0094】
(b)サイクリックボルタンメトリー
実施例2(a)で得られたポリマーP1のみを含む対称的な電池の安定性をサイクリックボルタンメトリーによって評価した。図4は、ポリマーが約4.5Vまで安定であるため、高電圧材料とともに使用できることを示す。結果は、0.1mV/sの走査速度および温度50℃について示す。
【0095】
企図される本発明の範囲から逸脱することなく、上記の実施形態の1つまたはその他に多数の改変を行うことができる。本出願で言及されているいずれの参考文献、特許、または科学文献の文書も、すべての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(項目1)
少なくとも1つのエステル繰り返し単位および1つのエーテル繰り返し単位を含むポリマーであって、前記ポリマーが式1:
【化5】

のものであり、ここで、
x、yおよびzは、前記ポリマーの平均分子量が200g/molから5,000,000g/molの間であり、xが1以上であり、y+zが1以上であるように、それぞれ独立して選択される整数であり、
およびRは、水素、C1-21アルキル、C2-22アルケニル、C1-10アルコキシアリル、C1-10アルキル(アクリレート)、およびC1-10アルキル(メタクリレート)からそれぞれ独立して選択される直鎖状または分枝状の置換基であり、
n、m、o、およびpは、整数であり、oは1から10の間であり、n、m、およびpは0から10の間であり、
AおよびBは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アセチル、アルコキシル、エポキシ含有基、フラン含有基、第1級アミン含有基、マレイミド含有基、アクリレート含有基、および酸基からそれぞれ独立して選択される置換されているまたは置換されていない基である、
ポリマー。
(項目2)
nが0から3の間であり、Rが水素、メチル、-CH-O-CH-CH=CH基、および-CH=CH基から選択される、項目1に記載のポリマー。
(項目3)
が水素であり、n=3である、項目2に記載のポリマー。
(項目4)
oおよびpが、それぞれ2から4の間である、項目1から3のいずれか一項に記載のポリマー。
(項目5)
mが0から4の間であり、Rが水素およびメチルから選択される、項目1から4のいずれか一項に記載のポリマー。
(項目6)
が水素であり、m=4である、項目5に記載のポリマー。
(項目7)
Aがアクリレートである、項目1から6のいずれか一項に記載のポリマー。
(項目8)
Bがアクリレートである、項目1から7のいずれか一項に記載のポリマー。
(項目9)
前記ポリマーの平均分子量が200g/molから1,000,000g/molの間である、項目1から8のいずれか一項に記載のポリマー。
(項目10)
前記ポリマーの平均分子量が200g/molから500,000g/molの間である、項目9に記載のポリマー。
(項目11)
前記ポリマーの平均分子量が400g/molから100,000g/molの間である、項目10に記載のポリマー。
(項目12)
前記ポリマーの平均分子量が400g/molから20,000g/molの間である、項目11に記載のポリマー。
(項目13)
前記ポリマーが、直鎖状、星状、および分枝状から選択される形状である、項目1から12のいずれか一項に記載のポリマー。
(項目14)
前記エステルおよびエーテル繰り返し単位が、交互に、ランダムに、またはブロック状に結合している、項目1から13のいずれか一項に記載のポリマー。
(項目15)
前記A、B、R、およびR基の少なくとも1つが、前記ポリマーの架橋を可能にする官能基を含む、項目1から14のいずれか一項に記載のポリマー。
(項目16)
前記ポリマーが架橋されており、前記ポリマーの架橋が、ラジカル型反応、ディールスアルダー反応、クリックケミストリー、アルケンのヒドロチオール化反応、開環反応、加硫、付加環化、エステル化、およびアミド化から選択される反応によって行われる、項目15に記載のポリマー。
(項目17)
前記ポリマーが架橋されており、前記ポリマーの架橋が、UV照射によって、熱処理によって、マイクロ波によって、電子ビーム下で、ガンマ線照射によって、またはX線照射によって行われる、項目15または16に記載のポリマー。
(項目18)
前記ポリマーが架橋されており、前記ポリマーの架橋が、架橋剤、熱開始剤、UV開始剤、触媒、可塑剤、または少なくとも2つのこれらの組合せの存在下で行われる、項目15から17のいずれか一項に記載のポリマー。
(項目19)
前記架橋剤が、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure
651)である、項目18に記載のポリマー。
(項目20)
前記ポリマーが、熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性ポリマーである、項目1から19のいずれか一項に記載のポリマー。
(項目21)
項目1から20のいずれか一項で定義されるとおりの少なくとも1つのポリマーと、液体電解質、イオン性塩、イオン性液体、ポリマー、無機粒子、非プロトン性極性溶媒、または添加剤から選択される少なくとも1つの要素とを含む組成物。
(項目22)
項目1から20のいずれか一項で定義されるとおりのポリマーを含む電解質。
(項目23)
前記電解質が、固体ポリマー電解質(SPE)である、項目22に記載の電解質。
(項目24)
前記電解質が、ゲル電解質である、項目22に記載の電解質。
(項目25)
前記電解質が、イオン性塩、イオン性液体、セパレーター、非プロトン性極性溶媒、添加剤、または少なくとも2つのこれらの組合せをさらに含む、項目22から24のいずれか一項に記載の電解質。
(項目26)
前記イオン性塩が、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレート(LiTDI)、リチウム4,5-ジシアノ-1,2,3-トリアゾレート(
LiDCTA)、リチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(LiBETI)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiBOB)、硝酸リチウム(LiNO)、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)、フッ化リチウム(LiF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiSOCF)(LiTf)、フルオロアルキルリン酸リチウムLi[PF(CFCF] (LiFAP)、テトラキス(トリフルオロアセトキシ)ホウ酸リチウムLi[B(OCOCF] (LiTFAB)、ビス(1,2-ベンゼンジオラト(2-)-O,O’)ホウ酸リチウムLi[B(C] (LBBB)、およびそれらの組合せから選択されるリチウム塩である、項目25に記載の電解質。
(項目27)
前記非プロトン性極性溶媒が、炭酸エチレン(EC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸エチルメチル(EMC)、炭酸ビニレン(VC)、酪酸メチル(MB)、γ-ブチロラクトン(γ-BL)、γ-バレロラクトン(γ-VL)、1,2-ジメトキシエタン(DME)、1,2-ジエトキシエタン(DEE)、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグリム、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、炭酸プロピレン誘導体、テトラヒドロフラン、およびそれらの混合物から選択される、項目25または26に記載の電解質。
(項目28)
電気化学的に活性な材料および項目1から20のいずれか一項で定義されるとおりのポリマーを含む電極材料。
(項目29)
前記ポリマーがバインダーである、項目28に記載の電極材料。
(項目30)
負極、正極および電解質を含む電気化学的電池であって、ここで前記負極、前記正極および前記電解質の少なくとも1つが、項目1から20のいずれか一項で定義されるとおりのポリマーまたは項目21で定義されるとおりの組成物を含む、電気化学的電池。
(項目31)
前記正極が、正極の電気化学的に活性な材料およびバインダー、必要に応じて電子導電性材料、またはそれらの組合せを含む、項目30に記載の電気化学的電池。
(項目32)
前記バインダーが項目1から20のいずれか一項で定義されるとおりのポリマーを含む、項目31に記載の電気化学的電池。
(項目33)
前記電子導電性材料が、カーボンブラック、KetjenTM carbon、アセチレンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、およびカーボンファイバー(カーボンナノファイバーまたは気相で形成されるVGCFなど)または少なくとも2つのそれらの組合せから選択される、項目31または32に記載の電気化学的電池。(項目34)
項目22から27のいずれか一項で定義されるとおりの電解質を含む、項目30から33のいずれか一項に記載の電気化学的電池。
(項目35)
項目30から34のいずれか一項で定義されるとおりの少なくとも1つの電気化学的電池を含む、電気化学的蓄電池。
(項目36)
前記電気化学的蓄電池が、リチウムバッテリー、ナトリウムバッテリー、カリウムバッテリー、およびリチウムイオンバッテリーから選択される、項目35に記載の電気化学的蓄電池。
【0096】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
少なくとも1つのエステル繰り返し単位および1つのエーテル繰り返し単位を含むポリマーであって、前記ポリマーが式I:
【化6】
のものであり、ここで、
x、yおよびzは、前記ポリマーの平均分子量が200g/molから5,000,000g/molの間であり、xが1以上であり、y+zが1以上であるように、それぞれ独立して選択される整数であり、
およびR は、水素、C 1-21 アルキル、C 2-22 アルケニル、C 1-10 アルコキシアリル、C 1-10 アルキル(アクリレート)、およびC 1-10 アルキル(メタクリレート)からそれぞれ独立して選択される直鎖状または分枝状の置換基であり、
n、m、o、およびpは、整数であり、oは1から10の間であり、n、m、およびpは0から10の間であり、
AおよびBは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アセチル、アルコキシル、エポキシ含有基、フラン含有基、第1級アミン含有基、マレイミド含有基、アクリレート含有基、および酸基からそれぞれ独立して選択される置換されているまたは置換されていない基である、
ポリマー。
(項2)
nが0から3の間であり、R が水素、メチル、-CH -O-CH -CH=CH 基、および-CH=CH 基から選択される、上記項1に記載のポリマー。
(項3)
が水素であり、n=3である、上記項2に記載のポリマー。
(項4)
oおよびpが、それぞれ2から4の間である、上記項1から3のいずれか一項に記載のポリマー。
(項5)
mが0から4の間であり、R が水素およびメチルから選択される、上記項1から4のいずれか一項に記載のポリマー。
(項6)
が水素であり、m=4である、上記項5に記載のポリマー。
(項7)
Aがアクリレートである、上記項1から6のいずれか一項に記載のポリマー。
(項8)
Bがアクリレートである、上記項1から7のいずれか一項に記載のポリマー。
(項9)
前記ポリマーの平均分子量が200g/molから1,000,000g/molの間である、上記項1から8のいずれか一項に記載のポリマー。
(項10)
前記ポリマーの平均分子量が200g/molから500,000g/molの間である、上記項9に記載のポリマー。
(項11)
前記ポリマーの平均分子量が400g/molから100,000g/molの間である、上記項10に記載のポリマー。
(項12)
前記ポリマーの平均分子量が400g/molから20,000g/molの間である、上記項11に記載のポリマー。
(項13)
前記ポリマーが、直鎖状、星状、および分枝状から選択される形状である、上記項1から12のいずれか一項に記載のポリマー。
(項14)
前記エステルおよびエーテル繰り返し単位が、交互に、ランダムに、またはブロック状に結合している、上記項1から13のいずれか一項に記載のポリマー。
(項15)
前記A、B、R 、およびR 基の少なくとも1つが、前記ポリマーの架橋を可能にする官能基を含む、上記項1から14のいずれか一項に記載のポリマー。
(項16)
前記ポリマーが架橋されており、前記ポリマーの架橋が、ラジカル型反応、ディールスアルダー反応、クリックケミストリー、アルケンのヒドロチオール化反応、開環反応、加硫、付加環化、エステル化、およびアミド化から選択される反応によって行われる、上記項15に記載のポリマー。
(項17)
前記ポリマーが架橋されており、前記ポリマーの架橋が、UV照射によって、熱処理によって、マイクロ波によって、電子ビーム下で、ガンマ線照射によって、またはX線照射によって行われる、上記項15または16に記載のポリマー。
(項18)
前記ポリマーが架橋されており、前記ポリマーの架橋が、架橋剤、熱開始剤、UV開始剤、触媒、可塑剤、または少なくとも2つのこれらの組合せの存在下で行われる、上記項15から17のいずれか一項に記載のポリマー。
(項19)
前記架橋剤が、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure
651)である、上記項18に記載のポリマー。
(項20)
前記ポリマーが、熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性ポリマーである、上記項1から19のいずれか一項に記載のポリマー。
(項21)
少なくとも1つのエステル繰り返し単位および1つのエーテル繰り返し単位を含むポリマーであって、前記ポリマーが式II:
【化7】
のものであり、ここで、
x、yおよびzは、前記ポリマーの平均分子量が200g/molから5,000,00
0g/molの間であり、xが1以上であり、y+zが1以上であるように、それぞれ独立して選択される整数である、ポリマー
(項22)
前記ポリマーの平均分子量が200g/molから1,000,000g/molの間である、上記項21に記載のポリマー。
(項23)
前記ポリマーの平均分子量が200g/molから500,000g/molの間である、上記項22に記載のポリマー。
(項24)
前記ポリマーの平均分子量が400g/molから100,000g/molの間である、上記項23に記載のポリマー。
(項25)
前記ポリマーの平均分子量が400g/molから20,000g/molの間である、上記項24に記載のポリマー。
(項26)
前記エステルおよびエーテル繰り返し単位が、交互に、ランダムに、またはブロック状に結合している、上記項21から25のいずれか一項に記載のポリマー。
(項27)
前記ポリマーが、ポリカプロラクトン-ブロック-ポリテトラヒドロフラン-ブロック-ポリカプロラクトン ジアクリレートである、上記項21から25のいずれか一項に記載のポリマー。
(項28)
ポリカプロラクトン-ブロック-ポリテトラヒドロフラン-ブロック-ポリカプロラクトン ジ-2-(2-メトキシエトキシ)エステルであるポリマー。
(項29)
前記ポリマーが架橋されており、前記ポリマーの架橋が、UV照射によって、熱処理によって、マイクロ波によって、電子ビーム下で、ガンマ線照射によって、またはX線照射によって行われる、上記21から28のいずれか一項に記載のポリマー。
(項30)
前記ポリマーが架橋されており、前記ポリマーの架橋が、架橋剤、熱開始剤、UV開始剤、触媒、可塑剤、または少なくとも2つのこれらの組合せの存在下で行われる、上記項29に記載のポリマー。
(項31)
前記架橋剤が、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure
651)である、上記項30に記載のポリマー。
(項32)
前記ポリマーが、熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性ポリマーである、上記項21から31のいずれか一項に記載のポリマー。
(項33)
上記項1から32のいずれか一項で定義されるとおりの少なくとも1つのポリマーと、液体電解質、イオン性塩、イオン性液体、ポリマー、無機粒子、非プロトン性極性溶媒、または添加剤から選択される少なくとも1つの要素とを含む組成物。
(項34)
上記項1から32のいずれか一項で定義されるとおりのポリマーを含む電解質。
(項35)
前記電解質が、固体ポリマー電解質(SPE)である、上記項34に記載の電解質。
(項36)
前記電解質が、ゲル電解質である、上記項34に記載の電解質。
(項37)
前記電解質が、イオン性塩、イオン性液体、セパレーター、非プロトン性極性溶媒、添
加剤、または少なくとも2つのこれらの組合せをさらに含む、上記項34から36のいずれか一項に記載の電解質。
(項38)
前記イオン性塩が、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF )、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレート(LiTDI)、リチウム4,5-ジシアノ-1,2,3-トリアゾレート(LiDCTA)、リチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(LiBETI)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF )、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiBOB)、硝酸リチウム(LiNO )、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)、フッ化リチウム(LiF)、過塩素酸リチウム(LiClO )、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF )、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiSO CF )(LiTf)、フルオロアルキルリン酸リチウムLi[PF (CF CF ] (LiFAP)、テトラキス(トリフルオロアセトキシ)ホウ酸リチウムLi[B(OCOCF ] (LiTFAB)、ビス(1,2-ベンゼンジオラト(2-)-O,O’)ホウ酸リチウムLi[B(C ] (LBBB)、およびそれらの組合せから選択されるリチウム塩である、上記項37に記載の電解質。
(項39)
前記非プロトン性極性溶媒が、炭酸エチレン(EC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸エチルメチル(EMC)、炭酸ビニレン(VC)、酪酸メチル(MB)、γ-ブチロラクトン(γ-BL)、γ-バレロラクトン(γ-VL)、1,2-ジメトキシエタン(DME)、1,2-ジエトキシエタン(DEE)、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグリム、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、炭酸プロピレン誘導体、テトラヒドロフラン、およびそれらの混合物から選択される、上記項37または38に記載の電解質。
(項40)
電気化学的に活性な材料および上記項1から32のいずれか一項で定義されるとおりのポリマーを含む電極材料。
(項41)
前記ポリマーがバインダーである、上記項40に記載の電極材料。
(項42)
負極、正極および電解質を含む電気化学的電池であって、ここで前記負極、前記正極および前記電解質の少なくとも1つが、上記項1から32のいずれか一項で定義されるとおりのポリマーまたは上記項33で定義されるとおりの組成物を含む、電気化学的電池。
(項43)
前記正極が、正極の電気化学的に活性な材料およびバインダー、必要に応じて電子導電性材料、またはそれらの組合せを含む、上記項42に記載の電気化学的電池。
(項44)
前記バインダーが上記項1から20のいずれか一項で定義されるとおりのポリマーを含む、上記項43に記載の電気化学的電池。
(項45)
前記電子導電性材料が、カーボンブラック、Ketjen TM carbon、アセチレンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、およびカーボンファイバー(カーボンナノファイバーまたは気相で形成されるVGCFなど)または少なくとも2つのそれらの組合せから選択される、上記項43または44に記載の電気化学的電池。
(項46)
上記項34から39のいずれか一項で定義されるとおりの電解質を含む、上記項42か
ら45のいずれか一項に記載の電気化学的電池。
(項47)
上記項42から46のいずれか一項で定義されるとおりの少なくとも1つの電気化学的電池を含む、電気化学的蓄電池。
(項48)
前記電気化学的蓄電池が、リチウムバッテリー、ナトリウムバッテリー、カリウムバッテリー、およびリチウムイオンバッテリーから選択される、上記項47に記載の電気化学的蓄電池。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】