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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133496
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】青果物鮮度保持包装容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/50 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
B65D85/50 120
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126016
(22)【出願日】2023-08-02
(62)【分割の表示】P 2018203229の分割
【原出願日】2018-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】大槻 みどり
(72)【発明者】
【氏名】大槻 彰良
(57)【要約】
【課題】温度が様々に変化する環境下においても、青果物の鮮度を良好に保持可能な、新たな包装容器を提供する。
【解決手段】貫通孔を有する合成樹脂フィルムにより構成された青果物鮮度保持包装容器。ここで、合成樹脂フィルムは、少なくとも第1の層および第2の層を備え、第1の層が含む第1の樹脂と、第2の層が含む第2の樹脂は、共通する構造単位を有する。また、青果物鮮度保持包装容器を構成する合成樹脂フィルムを、加熱温度5℃/分で25℃から250℃まで示差走査熱量測定して得られるDSC曲線において、少なくとも2つの融解ピークPおよびPが観察され、融解ピークPのピークトップ温度をTとし、融解ピークPのピークトップ温度をTとしたとき、TとTの差の絶対値は3~40℃である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する合成樹脂フィルムにより構成された青果物鮮度保持包装容器であって、
前記合成樹脂フィルムは、少なくとも第1の層および第2の層を備え、
前記第1の層が含む第1の樹脂と、前記第2の層が含む第2の樹脂は、共通する構造単位を有し、
前記合成樹脂フィルムを、加熱温度5℃/分で25℃から250℃まで示差走査熱量測定して得られるDSC曲線において、少なくとも2つの融解ピークPおよびPが観察され、
前記融解ピークPのピークトップ温度をTとし、前記融解ピークPのピークトップ温度をTとしたとき、TとTの差の絶対値が3~40℃である、青果物鮮度保持包装容器。
【請求項2】
請求項1に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記ピークPおよび前記ピークPのうち、前記DSC曲線の直線状のベースラインを基準としたときの低いほうの高さをH、高いほうの高さをHとしたとき、H/Hの値が0.3~0.9である、青果物鮮度保持包装容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記貫通孔の外周から10mm以内の領域における前記樹脂フィルムの最大厚みをTmax、最小厚みをTminとしたとき、Tmax/Tminが1.05以上である青果物鮮度保持包装容器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記合成樹脂フィルムは複数の貫通孔を有する青果物鮮度保持包装容器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記合成樹脂フィルムは30個以下の貫通孔を有する青果物鮮度保持包装容器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記貫通孔の直径が、30~500μmである青果物鮮度保持包装容器。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記第1の樹脂および前記第2の樹脂は、ポリエチレン、エチレン共重合体、ホモポリプロピレン、プロピレンのランダム共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選ばれる少なくともいずれかである青果物鮮度保持包装容器。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器により青果物を密封した青果物入り包装体。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器を用いて青果物を包装する青果物の鮮度保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青果物鮮度保持包装容器、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法に関する。より具体的には、特定の構成を有する青果物鮮度保持包装容器、その青果物鮮度保持包装容器により青果物を包装した青果物入り包装体、および、その青果物鮮度保持包装容器により青果物を包装して青果物の鮮度劣化を抑制する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜や果物等の青果物は、収穫された後も呼吸作用を持続している。このため、収穫後の貯蔵、流通または保存中に、青果物自身の呼吸によりエネルギーを消費し鮮度劣化を引き起こす。
そこで、適当な包装材料(例えば合成樹脂フィルム)により青果物を包装することで、青果物の鮮度劣化を抑制する検討が、これまで行われてきている。
【0003】
一例として、特許文献1には、坪量が30~70g/mのポリエチレンテレフタレート(PET)系不織布、印刷層、ポリオレフィン系樹脂層が順次積層されている、透湿・通気性包装材料が記載されている。この包装材料の特徴は、ポリオレフィン系樹脂層の所定の領域に、そのポリオレフィン系樹脂層を貫通する複数の孔が形成されてなること等である。
【0004】
別の例として、特許文献2には、外層と最内層との少なくとも2層からなる生野菜包装用積層フィルムが記載されている。このフィルムにおいて、外層は結晶性ポリプロピレンを主成分とする2軸延伸フィルム状物からなり、最内層は、外層の持つ融点よりも10~90℃低い融点を持つオレフィン系ポリマーよりなるフィルム状物である。そして、最内層について、その厚さは4~30μm、表面粗度は中心線平均粗さで0.5μm以下であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-231723号公報
【特許文献2】特開平9-290865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
合成樹脂フィルムを用いて青果物鮮度保持包装容器を構成する場合、通気性の調整などのため、合成樹脂フィルムに孔(典型的には貫通孔)を設ける場合がある。つまり、有孔合成樹脂フィルム(またはそのフィルムで構成された包装容器)を用いて青果物を包装する場合がある。
特に最近、青果物の呼吸を考慮したうえで、適当な数、密度および径の孔が設けられた包装容器により青果物を包装することが広く行われてきている。合成樹脂フィルムに孔を設ける方法は、レーザ、熱針など様々な方法がありうる。
【0007】
本発明者らは、有孔合成樹脂フィルムにより構成された包装容器の更なる性能改良を検討する中で、以下のような課題を見出した。
通常、青果物の流通においては、青果物の保管温度は一定ではなく、青果物の温度環境は様々に変化する。本発明者らは、そのような温度変化が様々に変化する環境下においては、青果物の劣化が進行しやすいことを課題として見出した。
そこで、本発明者らは、温度が様々に変化する環境下においても、青果物の鮮度を良好に保持すべく、新たな包装容器の検討を進めた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため、様々な観点から検討を行った。そして、青果物鮮度保持用の包装容器を構成する有孔合成樹脂フィルムを示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSCとも略記される)して得られるDSC曲線(横軸:温度、縦軸:熱流(熱容量))の極大位置や極大の数などが、課題解決に関係しているらしいことを知見した。
この知見に基づき更に検討を進め、以下に提供される発明を完成させた。
【0009】
本発明によれば、
貫通孔を有する合成樹脂フィルムにより構成された青果物鮮度保持包装容器であって、
前記合成樹脂フィルムは、少なくとも第1の層および第2の層を備え、
前記第1の層が含む第1の樹脂と、前記第2の層が含む第2の樹脂は、共通する構造単位を有し、
前記合成樹脂フィルムを、加熱温度5℃/分で25℃から250℃まで示差走査熱量測定して得られるDSC曲線において、少なくとも2つの融解ピークPおよびPが観察され、
前記融解ピークPのピークトップ温度をTとし、前記融解ピークPのピークトップ温度をTとしたとき、TとTの差の絶対値が3~40℃である、青果物鮮度保持包装容器
が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、
前記青果物鮮度保持包装容器により青果物を密封した青果物入り包装体
が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、
前記青果物鮮度保持包装容器を用いて青果物を包装する青果物の鮮度保持方法
が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、温度が様々に変化する環境下においても、青果物の鮮度を良好に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】合成樹脂フィルムの穿孔方法を説明するための、製造装置の断面図である。
図2】合成樹脂フィルムの穿孔方法を説明するための、製造装置の要部拡大断面図である。
図3】合成樹脂フィルムの穿孔方法を説明するための、製造装置の斜視図である。
図4】実施例2の包装容器を構成する合成樹脂フィルムの一部を示差走査熱量測定することで得られたDSC曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
【0015】
本明細書中、「略」という用語は、特に明示的な説明の無い限りは、製造上の公差や組立て上のばらつき等を考慮した範囲を含むことを表す。
本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
【0016】
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
【0017】
以下では、青果物鮮度保持包装容器のことを、単に「包装容器」または「容器」などと表記する場合がある。
以下に説明する包装容器の特徴のうち、温度による熱膨張/収縮などにより値が変動しうる特徴については、25℃環境下での測定値を採用することができる。ただし、測定/環境条件を特に明記している特徴についてはこの限りではない。
【0018】
<青果物鮮度保持包装容器>
本実施形態の青果物鮮度保持包装容器は、貫通孔を有する合成樹脂フィルムにより構成されている。
ここでの合成樹脂フィルムは、少なくとも第1の層および第2の層を備える。
第1の層が含む第1の樹脂と、第2の層が含む第2の樹脂は、共通する構造単位を有する。
また、本実施形態の青果物鮮度保持包装容器を構成する合成樹脂フィルムを、加熱温度5℃/分で25℃から250℃まで示差走査熱量測定して得られるDSC曲線において、少なくとも2つの融解ピークPおよびPが観察される。
ここで、融解ピークPのピークトップ温度をTとし、融解ピークPのピークトップ温度をTとしたとき、TとTの差の絶対値は3~40℃である。
【0019】
このような包装容器により、温度が様々に変化する環境下においても、青果物の鮮度を良好に保持することができるメカニズムは、必ずしも明らかではない。しかし、本発明者らの推定に基づけば、以下のように説明することができる。なお、以下説明により本発明の範囲が限定されるものではない。
【0020】
有孔合成樹脂フィルムを用いて青果物を包装する場合、フィルムに設けられた孔は、温度変化により膨張または収縮すると考えられる。この膨張または収縮により、温度による青果物の呼吸量変化に応じた、適切な量の外気の取り入れ/内気の排出が行われると考えられる。
(有孔合成樹脂フィルムの孔が温度変化により膨張または収縮することについては、例えば特開2014-140349号公報などを参照されたい。)
【0021】
しかし、温度変化が急激かつ/または不規則である場合には、孔の膨張または収縮が適切に行われず、結果として、適切な量の外気の取り入れ/内気の排出が行われなくなってしまうことが考えられる。そうすると、青果物の劣化が進行しやすい。
【0022】
そこで、本実施形態においては、まず、容器を構成する合成樹脂フィルムを、少なくとも第1の層および第2の層を備える多層構成とした。また、第1の層が含む第1の樹脂と、第2の層が含む第2の樹脂として、共通する構造単位を有するものを採用した。
第1の層が含む第1の樹脂および第2の層が含む第2の樹脂として、共通する構造単位を有するものを採用することで、第1の層と第2の層のおおよその膨張/収縮性を合わせるようにしつつ、合成樹脂フィルムが多層であることにより、一方の層が異常に膨張/収縮しようとしたときに、他方の層がそれをある程度抑えることができると考えられる。
【0023】
さらに、本実施形態においては、合成樹脂フィルムとして、(1)加熱温度5℃/分で25℃から250℃まで示差走査熱量測定して得られるDSC曲線において、少なくとも2つの融解ピークPおよびPが観察され、(2)融解ピークPのピークトップ温度をTとし、融解ピークPのピークトップ温度をTとしたとき、TとTの差の絶対値が3~40℃であるものを採用した。
上記(1)および(2)は、容器を構成する合成樹脂フィルム中に、適度に異なる様々な結晶・配向状態が存在することを意味する。
この「適度に異なる様々な結晶・配向状態が、1枚の合成樹脂フィルム中に存在する」ということにより、急激/不規則な温度変化でも、温度変化による開孔変化が「平均化」されやすくなると考えられる。つまり、急激/不規則な温度変化においても、適切な開孔変化を得やすいと考えられる。
そして、急激/不規則な温度変化においても、適切な開孔変化を得やすいことにより、様々な保存・輸送条件下でも、青果物の鮮度を良好に保持しやすいものと推測される。
【0024】
特に、本実施形態では、第1の層が含む第1の樹脂と、第2の層が含む第2の樹脂として、共通する構造単位を有するものを採用する(つまり、第1の樹脂および第2の樹脂として、似たものを用いる)にもかかわらず、DSC曲線において少なくとも2つの融解ピークが観測されるよう、新たにフィルムを設計することで、急激/不規則な温度変化に対しても好ましい青果物鮮度保持効果が得られるようにしている。
【0025】
なお、本実施形態の包装容器を製造するに当たっては、(1)樹脂フィルムを構成する素材の選択、(2)樹脂フィルムの製造方法などが重要である。これらについて追って詳述するが、例えば、(1)素材の選択については、第1の樹脂としてホモポリプロピレンを選択し、第2の樹脂としてランダムポリプロピレンを選択する、第1の樹脂および第2の樹脂として融点がある程度異なるものを選択する、等により本実施形態の包装容器を得やすい。また、(2)樹脂フィルムの製造方法については、共押出法により第1の層および第2の層を形成する、その際の第1の層および第2の層の厚みを適切に調整する、適切な2軸延伸を行う、等の方法を適用することが好ましい。
【0026】
示差走査熱量測定やDSC曲線について補足する。
示差走査熱量測定は、市販の示差走査熱量測定装置を用いて行うことができる。例えば、SII社の装置(品番:DSC6220)等を用いて、昇温条件:5℃/分、25~250℃の条件で行うことができる。また、データの解析は装置に付属のSII社のソフトウェアにより行うことができる。
【0027】
示差走査熱量測定においては、包装容器を構成する合成樹脂フィルムの一部を切り出して測定サンプルとする。この際、切り出す部位としては、孔が設けられていない部分を選択することが好ましい(孔の周囲は、穿孔時の樹脂の融解などのため、適切な測定ができない可能性があるため)。
【0028】
ピークトップ温度TおよびTは、25~250℃の温度領域内において、互いに3~40℃異なればよい。素材の入手性や設計・製造のしやすさなどのから、TとTの差の絶対値は、好ましくは3~10℃、より好ましくは4~9℃である。
そのものの値は、25~250℃の温度領域内であれば特に限定されない。素材の入手性や設計・製造のしやすさなどの点で、例えば140~180℃、好ましくは150~170℃である。
そのものの値は、25~250℃の温度領域内であれば特に限定されない。例えば、Tと同程度であることができる。
DSC曲線において、もし3つ以上の融解ピークが確認される場合は、一番高温側のピークトップ温度と、一番低温側のピークのピークトップ温度との差が、3~40℃であることが好ましい。
【0029】
ピークPおよび前記ピークPのうち、DSC曲線の直線状のベースラインを基準としたときの低いほうの高さをHとし、高いほうの高さをHとしたとき、H/Hの値は、好ましくは0.3~0.9であり、より好ましくは0.4~0.8である。Hの大きさとHの大きさが同程度の大きさであることにより、急激/不規則な温度変化においても、一定の適切な開孔変化を得やくなり、結果、より良好な鮮度保持性能が得られると考えられる。
【0030】
本実施形態の包装容器の素材、性状などについてより具体的に説明する。
【0031】
・素材
包装容器を構成する合成樹脂フィルムの原料(素材)は、任意の合成樹脂であってよい。
例えば、合成樹脂フィルムの第1の層は、第1の樹脂として、ポリエチレン、エチレン共重合体、ホモポリプロピレン、プロピレンのランダム共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。また、合成樹脂フィルムの第2の層も、上記のうち少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。ただし、上述のように、第1の樹脂と、第2の樹脂は、共通する構造単位を有する。
【0032】
ここで、第1の樹脂と第2の樹脂が「共通する構造単位を有する」とは、第1の樹脂と第2の樹脂が、同じ化学構造のモノマーに由来する構造単位を有するということを意味する。
例えば、第1の樹脂と第2の樹脂が、ともにホモポリプロピレンである場合は、当然、「共通する構造単位を有する」場合に該当する。
また、別の例として、第1の樹脂がホモポリプロピレンであり、第2の樹脂がプロピレンのランダム共重合体である場合も、「共通する構造単位を有する」場合に該当する。第1の樹脂と第2の樹脂は、どちらも、プロピレンモノマーに由来する構造単位(-CH-CH(CH)-)を共通して有するためである。
【0033】
また、一態様として、第1の層および/または第2の層は、2種以上の樹脂を含んでもよい。このようにすることで、TとTの差の絶対値やH/Hの値などを、より所望の値に設計しやすくなる。
例えば、第1の層がホモポリプロピレンを含み、第2の層がホモポリプロピレンおよびプロピレンのランダム共重合体とのブレンド(混合物)であることが好ましい。この場合、第1の樹脂はホモポリプロピレンであり、第二の樹脂はプロピレンのランダム共重合体である。
【0034】
第1の層および第2の層は、特に、ホモポリプロピレンおよび/またはプロピレンのランダム共重合体を含むことが好ましい。ポリプロピレン系ポリマーには、コストや入手性に加え、ピークトップ温度TやTを適当な数値に設計しやすいといったメリットもある。
プロピレンのランダム共重合体としては、例えば、プロピレンとエチレンの共重合体、プロピレンと炭素数4~10のαオレフィンとの共重合体などを挙げることができる。
【0035】
第1の樹脂および第2の樹脂として、それぞれ適切なものを選択することで、ピークトップ温度TとTの差の絶対値が3~40℃である合成樹脂フィルム(および包装容器)を設計しやすい。例えば、第1の樹脂として、ホモポリプロピレンを選択し、第2の樹脂として、プロピレンのランダム共重合体を選択することで、TとTの差の絶対値が3~40℃である合成樹脂フィルムを得やすい。
【0036】
なお、第1の樹脂および第2の樹脂の選択の別観点として、融点および/またはガラス転移点が異なる樹脂2種を選択することも考えられる。
例えば、第1の樹脂として、融点が150~170℃(好ましくは155~165℃)のものを選択し、第2の樹脂として、融点が130~150℃(好ましくは135~145℃)のものを選択することができる。
【0037】
第1の層および/または第2の層は、必要に応じて、防曇剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0038】
・層構成、厚み等
包装容器を構成する合成樹脂フィルムの層構成や厚みなどは、基本的には包装容器の強度やハンドリング性などに基づき適宜設計することができる。
第1の層の厚みは、例えば5~50μm、好ましくは7~40μmである。
第2の層の厚みは、例えば第1の層と同程度とすることができる。
第1の層と第2の層の厚み比(第2の層の厚み/第1の層の厚み)は、例えば0.2~5、好ましくは0.25~4である。第1の層の厚みと第2の層の厚みとを同程度とすることが、前述の推定メカニズムの観点からは好ましいと考えられる。
【0039】
合成樹脂フィルムは、第1の層と第2の層のみからなる2層構成であってもよいし、その他の層を備える3層以上の構成であってもよい。その他の層の例としては、第1の層と第2の層とを接着するための接着層、ヒートシール性を高めるためのシーラント層などが挙げられる。
その他の層は任意の場所に存在してもよい。例えば、第1の層と第2の層の間に存在しもよいし、第1の層における第2の層とは反対側や、第2の層における第1の層とは反対側に存在してもよい。
【0040】
合成樹脂フィルム全体の厚みは、例えば10~100μm、好ましくは20~40μmである。適度な厚みとすることで、適度な強度を得つつ、包装容器のハンドリング性を高めることができる。
【0041】
・孔について
前述のように、本実施形態の包装容器を構成する合成樹脂フィルムは、貫通孔を有する。
【0042】
包装容器を構成する合成樹脂フィルムは、貫通孔を1つのみ有していてもよいし、複数(2つ以上)の貫通孔を有していてもよい。つまり、1つの包装容器には、1個または2個以上の貫通孔が設けられている。
貫通孔の数が複数であるほうが、温度による青果物の呼吸量変化に応じた、適切な量の外気の取り入れ/内気の排出が行われやすいというメリットがある。また、貫通孔の数が複数であることにより、たとえ温度変化による開孔変化が孔ごとにバラついていたとしても、そのバラつきが「平均化」され、容器全体としてより適切な開孔変化を得やすいとも考えられる。
【0043】
包装容器を構成する合成樹脂フィルムが有する貫通孔の数の上限は特に限定されないが、好ましくは50個以下、より好ましくは40個以下である。貫通孔の数が多すぎないことで、過度な換気が抑えられ、Modified Atmosphere(MA環境)と呼ばれる、青果物の鮮度保持に好ましい環境をより容易に得やすいと考えられる。
【0044】
貫通孔の直径は、好ましくは30~500μm、より好ましくは50~300μm、さらに好ましくは60~200μmである。孔の直径を適切に設計することで、外気の取り入れ/内気の排出が十二分に制御されることとなり、青果物の鮮度劣化を一層抑えることができると考えられる。
なお、包装容器を構成する合成樹脂フィルムが複数の孔を有する場合、全ての貫通孔の直径が、上記数値範囲に収まっていることが好ましい。これは、ひとつには製造のしやすさのためである。また、複数の孔において、おおよその膨張/収縮性を合わせやすくなり、結果、温度変化による開孔変化が「平均化」されやすくなるという側面もある。
【0045】
ここで、「孔の直径」とは、孔の形状が略円状とはみなせない場合には、孔の開孔面積と同じ面積を有する真円の直径(真円相当径)のことを意味するものとする。
孔は、好ましくは略円状または略楕円状であるが、スリット状などであってもよい。
【0046】
前述のように、孔が複数存在する場合、全ての孔の直径が、上記の直径に収まることが好ましい。
ただし、孔が複数存在する場合、一部の孔の直径が30~500μmの範囲外である態様を本発明は排除するものではない。例えば、一部の孔の直径は30μm未満であってもよい。一部の孔の直径が30μm以下であっても、他の孔の直径が30~500μmであれば、容器の内外で適切な換気がなされ、青果物の鮮度保持の効果が得られると考えられるためである。
【0047】
孔の周囲には、「こぶ」が存在することが好ましい。
具体的には、孔の外周から10mm以内の領域における樹脂フィルムの最大厚みをTmax、最小厚みをTminとしたとき、Tmax/Tminが1.05以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、1.5以上であることが更に好ましい。また、Tmax/Tminは、8以下であることが好ましく、6.5以下であることがより好ましく、5以下であることが更に好ましい。
ここで、「孔の外周から10mm以内の領域」とは、例えば、包装容器を構成する合成樹脂フィルムにおいて、孔の中心点から孔の周縁部(外周)に直線を引いたとき、その直線上において、その直線と孔の周縁部との交点から貫通孔の中心点とは逆方向に10mm離れた箇所までの範囲を指す。
maxおよびTminの測定方法(すなわち、局所的なフィルム膜厚の測定方法)については、後述の実施例を参照されたい。
【0048】
孔の周囲に「こぶ」が存在することにより、孔およびその周辺の構造が堅牢となると考えられる。そして、温度変化が繰り返されても、孔の直径や形状が安定的に維持されやすくなると考えられる。結果、青果物の鮮度保持効果を一層確実に得ることができると考えられる。
孔の周囲の「こぶ」は、例えば、後述のレーザにより合成樹脂フィルムを穿孔することで形成することができる。
【0049】
孔の「数」とは別観点として、孔の「密度」、すなわち、包装容器の内表面の単位面積当たりの孔の数を指標として包装容器を設計してもよい。
孔の密度は、例えば1~1500個/m、好ましくは2~1000個/mの範囲で調整することができる。
【0050】
さらに別観点として、包装容器に設けられた孔の「面積」を指標として、包装容器内外の換気性などを調整してもよい。具体的には、包装容器が有する孔の総開孔面積をS、包装容器の内表面の面積をSとしたとき、式:(S/S)×100で定義される開孔面積比率(%)が、1.0×10-9~1.0×10-4であることが好ましく、1.0×10-8~1.0×10-3であることがより好ましい。
【0051】
付言するに、上記までの説明で何度か述べた、孔の「温度変化による膨張または収縮」について、定量的には例えば以下のように表現できる。
5℃での開孔面積比率(定義は上記式のとおり)をR、40℃での開孔面積比率をR40としたとき、{(R40-R)/R}×100で表される開孔変化率の値が、例えば-5~20であり、好ましくは-4~15、より好ましくは-3~12である。
【0052】
孔が温度変化により適度に膨張/収縮するようにするためには、例えば、穿孔を適切に行うことが重要である。例えば、後述のレーザによる穿孔において、穿孔対象物であるフィルムを搭載させる支持台の形状や、レーザのエネルギー、レーザの照射距離等の各因子を高度に制御することが重要である。
フィルムに孔を設ける際に上記各因子を高度に制御することによって、ひずみのない開孔部が得られると考えられる。すなわち、フィルムに孔を設ける際に上記各因子を高度に制御することで、ひずみのない孔を設けることができる。これにより、開孔部の外周には、周縁補強効果を奏することができるため、温度変化による空気の膨張や収縮とともに、開孔面積が適切に変化するものと考えられる。
【0053】
・気体の透過率
包装容器を構成する合成樹脂フィルムの、酸素等の気体の透過性を適切に調整・設計することで、青果物の呼吸環境をより好ましく制御することができる。
【0054】
具体的には、包装容器を構成する樹脂フィルムの酸素透過度は、好ましくは1×10~1.5×10cc/m・day・atm、より好ましくは5×10~1×10cc/m・day・atmである。なお、ここでの酸素透過度は、23℃、50%RHの条件で測定される。
【0055】
酸素透過度は、たとえば、モコン(MOCON)社製の酸素透過度測定装置(オキシトラン(登録商標)OX-TRAN 1/50)を使用して、JIS K7126-2における付属書Bに準拠した方法で測定することができる。
または酸素透過度の値は、窒素を充填させた直後の包装容器と、窒素を充填させてから一定時間放置した後の包装容器のそれぞれに関し、包装容器内の酸素濃度を測定し、その酸素濃度勾配から算出することもできる。
【0056】
包装容器を構成する合成樹脂フィルムの水蒸気透過度は、好ましくは0~300g/m・day、より好ましくは2~200g/m・dayである。
【0057】
・包装容器としての形状、大きさなど
本実施形態の包装容器の形状や大きさは、青果物を包装可能である限り特に限定されない。包装容器の形状は、典型的には袋状、より具体的には四角形(長方形、正方形等)の袋状である。
あくまで一例であるが、包装容器の大きさは、一般消費者向けの青果物の包装用途では、120mm×200mm~250mm×350mm程度の大きさとすることができる。
【0058】
包装容器において、合成樹脂フィルムの「おもて・うら」は特に限定されない。
例えば、合成樹脂フィルムを用いて袋状の包装容器としたとき、第1の層が第2の層よりも内側に存在してもよいし、第2の層が第1の層よりも内側に存在してもよい。
ただし、第1の層と第2の層で、融点に違いがある場合には、ヒートシール性の観点などから、低融点の層がより内側に存在することが好ましい。
【0059】
<青果物入り包装体、青果物の鮮度保持方法>
上記の青果物鮮度保持包装容器により、青果物を密封することで、青果物入り包装体を製造することができる。また、上記の青果物鮮度保持包装容器を用いて青果物を包装することで、青果物の鮮度を保持する(青果物の劣化を抑制する)ことができる。
【0060】
例えば、まず、青果物鮮度保持包装容器を準備し、その内部空間に適当な量の青果物を収容する。その後、包装容器の開口部に熱シール(ヒートシール加工)を施して、熱シール部分(シール幅は典型的には10mm幅程度)を形成する。以上の手順により、青果物が包装された、青果物入り包装体を得ることができる。そして、包装された青果物の鮮度を保持する(青果物の劣化を抑制する)ことができる。
開口部の閉じ方は、熱シールではなく、粘着テープ、輪ゴム、ひも、密閉可能なフタなどであってもよい。要は、開口部からの気体の出入りが十分に制限される閉じ方であればどのような閉じ方であってもよい。
【0061】
包装対象となりうる青果物は、特に限定されない。青果物の具体例としては、オオバ、ホウレンソウ、コマツナ、ミズナ、ミブナ、アスパラガス、クウシンサイ、レタス、タイム、セージ、パセリ、イタリアンパセリ、ローズマリー、オレガノ、レモンバーム、チャイブ、ラベンダー、サラダバーネット、ラムズイヤー、ロケット、ダンディライオン、ナスタチューム、バジル、ルッコラ、クレソン、モロヘイヤ、セロリ、ケール、ネギ、キャベツ、ハクサイ、シュンギク、サラダナ、サンチュ、フキ、ナバナ、チンゲンサイ、ミツバ、セリ、メキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、ミョウガ、ダイコン、ニンジン、ゴボウ、ラディッシュ、カブ、サツマイモ、ジャガイモ、ナガイモ、ヤマイモ、サトイモ、ジネンジョ、ヤマトイモ、ピーマン、パプリカ、シシトウ、キュウリ、ナス、トマト、ミニトマト、カボチャ、ゴーヤ、オクラ、スィートコーン、エダマメ、サヤエンドウ、サヤインゲン、ソラマメ、菌茸類、などがあげられる。また、柑橘、りんご、ナシ、ブドウ、ブルーベリー、柿、イチゴなどの果実類や切花などでも有効である。
【0062】
青果物は、カットされた状態のもの、具体的には、カット野菜やカットフルーツなどであってもよい。
【0063】
袋内に収容する青果物の量は、袋の大きさや青果物の種類などにより様々であってよい。一般消費者向けの青果物においては、一例としては50~1000g、好ましくは100~800gである。
【0064】
<青果物鮮度保持包装容器の製造方法>
本実施形態の青果物鮮度保持包装容器の製造方法について説明する。
製造は、大きく分けて、(1)合成樹脂フィルムの準備工程、(2)合成樹脂フィルムに孔を設ける穿孔工程および(3)合成樹脂フィルムを包装容器の形態とする工程により行うことができる。また、これら以外の工程を含んでもよい。
(2)と(3)の順番は特に限定されないが、生産性の観点からは(2)の後に(3)を行うことが好ましい。
以下、これらの工程について説明する。
【0065】
(1)合成樹脂フィルムの準備工程
フィルムの製造方法については、押出法(Tダイ法、インフレーション法)、カレンダーリング法、ドライラミ法、押出ラミネーション法等の手法を採用することができる。すなわち、これらの方法のうちいずれかを用いて、第1の樹脂を含む第1の層と、第2の樹脂を含む第2の層とを備えた合成樹脂フィルムを得ることができる。
特に、Tダイ法による2層(多層)共押出が、条件制御のしやすさ等の点から好ましい。
【0066】
第1の層、第2の層、各層の素材の選択や、各層の厚みについては、既に説明したとおりである。よって、改めての説明は省略する。
既に説明したように、第1の層が含む第1の樹脂および第2の層が含む第2の樹脂の種類を適切に選択することなどにより、TとTの差の絶対値を3~40℃としやすくなる。
【0067】
なお、各層の素材の選択に加え、または、各層の素材の選択とは別に、製膜条件(特に冷却条件)を工夫することでも、TとTの差の絶対値を3~40℃とすることも考えられる。一般に、樹脂材料は溶融状態から急冷するほど結晶化度が低くなり、融点(DSC曲線における融解ピークのピークトップ温度と相関)は低くなる傾向にあるためである。
具体的には、製膜時に、フィルムの片面だけに低温ロールを当てて、冷却条件をフィルムの表裏で異ならせることで、第1の層中の樹脂の結晶化度と、第2の層中の樹脂の結晶化度を異なるようにさせることが考えられる。
【0068】
また、フィルム中の結晶状態の制御等の点で、適度な延伸処理を行うことも好ましい。例えば、Tダイから押し出された樹脂を冷却固化し、その後、流れ方向に3~7倍程度(好ましくは4~6倍程度)、さらに、幅方向に7~11倍程度(好ましくは8~10倍程度)、逐次延伸処理を施すことが好ましい。
【0069】
(2)穿孔工程
(1)の準備工程で準備した合成樹脂フィルムに対し、孔を設ける。孔を設ける方法としては、レーザ加工、打ち抜き加工、熱針加工などを挙げることができる。このうち、レーザ加工が、孔の性状の制御のしやすさ、製造装置のメンテナンスのしやすさ(フィルムに非接触で孔を設けることができるため、汚れにくい)、前述の「こぶ」を設けやすい等の観点で好ましい。
【0070】
レーザ加工による穿孔方法の例を詳述する。
図1および図2は、レーザによる穿孔方法を説明するための、製造装置の断面図である。また、図3は、要部斜視図である。以下、これらの図を参照しつつ説明する。
【0071】
図1の製造装置によれば、巻き出しロール11より巻き出された合成樹脂フィルム12がレーザ照射装置13と回転支持ロール14の間を通過する際、レーザ照射装置13によりパルスレーザのビームを合成樹脂フィルム12に対して照射することができる。こうすることにより、合成樹脂フィルム12に、照射したビームの形状と略同じ形状の孔を設けることができる。
この方法により孔が設けられた合成樹脂フィルム12は、巻き取りロール15により巻き取られる。なお、回転支持ロール14の前後には、2本のガイドロール16を設けることができる。
【0072】
回転支持ロール14の上端は、2本のガイドロール16の上端を結ぶ線よりも上側に位置することができる。これにより、合成樹脂フィルム12を回転支持ロール14に密着するように押し付けることができ、レーザ照射位置の位置決めを行うことができるとともに縦ジワの発生を防ぐことができる。
【0073】
また、図1の製造装置においては、回転支持ロール14を介して、巻き出しロール11と巻き取りロール15とを設けることができる。この図1の製造装置において、ガイドロール16は、回転支持ロール14と巻き出しロール11の間、および回転支持ロール14と巻き取りロール15の間に、それぞれ設けることができる。また、浮きロール17は、巻き出しロール11とガイドロール16の間、およびガイドロール16と巻き取りロール15の間に、それぞれ設けることができる。こうすることで、浮きロール17により合成樹脂フィルム12に対して適当な張力を与えることができる。
【0074】
レーザ照射装置13には、圧縮気体導入路18が設けられ、レーザの照射中に、合成樹脂フィルム12に対して圧縮気体をノズル先端19(図2参照)よりレーザビームに沿って吹き付けることができる。
【0075】
図2は、図1に示す製造装置におけるレーザ照射装置13の要部拡大断面図である。
図2に示すように、レーザ照射装置13のノズル先端19の下方に合成樹脂フィルム12を走行させることができる。
【0076】
パルスレーザ20は、導光路21を通り、出射光学部(レンズ)22によって集束されるため、円錐形ビーム23となってノズル先端19より合成樹脂フィルム12に照射することができる。このときノズル先端19の内径は、通過するパルスレーザ20のビーム径より大きくする。また、出射光学部(レンズ)22によって集束されたパルスレーザ20の焦点位置は、合成樹脂フィルム12のレーザ入射面の反対側の面よりわずかにフィルム外に出た位置とすることが好ましい。
焦点位置を意図的にフィルム外に出た位置とすることで、開孔面積が内表面と外表面で異なる孔を得やすい。
【0077】
円錐形ビーム23を照射することによって、合成樹脂フィルム12におけるビーム照射箇所が溶融、分解、揮散することにより、孔24が形成される。また、通常はこの際に、合成樹脂フィルム12の溶融等により、孔周辺の「こぶ」を形成することができる。
【0078】
合成樹脂フィルム12に穿孔される孔24のピッチは、合成樹脂フィルム12の走行速度とパルスレーザ20のパルス周波数により調整することができる。1基のレーザ照射装置により、1秒間に通常は20~1000個の孔24を開けることができるので、合成樹脂フィルム12の走行速度を速め、高い生産性を達成することもできる。
合成樹脂フィルム12の走行速度は、例えば60m/分程度である。
パルスレーザ20のパルス周波数は、例えば10Hz程度である。
【0079】
合成樹脂フィルム12に穿孔される孔24の形状は、合成樹脂フィルム12を通過する円錐形ビーム23とほぼ同じ形状となり、常に略一定の形状の孔を開けることができる。円錐形台状の孔は、出射光学部(レンズ)22の焦点距離を長くすることにより、円筒形に近づけることができる。
【0080】
なお、レーザ照射中に、レーザ照射装置13を適切に動かすことで、孔の形状を略円状ではなく略楕円状などとすることができる。
【0081】
レーザ照射装置13における導光路21のノズル先端19の近傍には、上記で述べたように圧縮気体導入路18が設けられている。こうすることで、レーザの照射中に、合成樹脂フィルム12に対して圧縮気体をレーザビームに沿って吹き付けることができる。
【0082】
圧縮気体の流量は、穿孔により発生する分解物が、ノズル先端19より侵入して出射光学部(レンズ)22を汚染しないよう、ノズル先端19の風速を2~10m/sに設定することが好ましく、3~6m/sに設定することがより好ましい。
圧縮気体の圧力は、例えば1.0kg/cm(ゲージ圧)程度である。
【0083】
圧縮気体は、特に制限されないが、例えば、圧縮空気のほか、窒素ガス、二酸化炭素ガスなどの不活性ガスを使用することができる。圧縮空気は、取り扱い上の危険がなく、コスト面でも有利である。不活性ガスは、プラスチックフィルムの分解物の酸化を抑え、煤、焦げ、黒化物などを減少することができる。
【0084】
この穿孔方法では、合成樹脂フィルム12におけるレーザ入射面の反対側の面を回転支持ロール14に接触させ、また、回転支持ロール14により合成樹脂フィルム12を支持している。
回転支持ロール14には、例えば、図3に示されるように、レーザ照射位置に対応する溝25を設けることが好ましい。これにより、合成樹脂フィルム12の分解物をレーザ入射面と反対側からも揮散させることができる。
【0085】
図3に示される回転支持ロール14は、5条の溝25を有している。このような回転支持ロール14とともに、5基のレーザ照射装置を使用した場合、合成樹脂フィルム12に5列の孔を設けることができる。
【0086】
レーザ光源の種類は特に限定されない。例えば、ルビーレーザー、ネオジミウムYAGレーザ、ネオジミウムガラスレーザ、炭酸ガスレーザなどを挙げることができる。これらの中で、炭酸ガスレーザは、エネルギー効率が高く、高出力で、熱の除去が容易であるため、特に好適に使用することができる。
レーザの出力は、例えば150ワット程度とすることができる。
【0087】
ここで説明した穿孔方法によれば、樹脂フィルムに高速で、生産性よく孔を設けることができる。孔の形状は、パルスレーザのビーム形状により決まるため、常に略一定の形状の孔を開けることができる。
また、レーザによって穿孔された部分の樹脂フィルムの材料は、大部分が分解、揮散し、圧縮気体により吹き飛ばされる。このため、レーザ照射装置の出射光学部(レンズ)が、分解物により汚染されることもない。
さらに、レーザ照射装置の基数を選定し、パルスレーザの周期と樹脂フィルムの走行速度を調整することにより、孔の位置や密度を所望の値に変更することができる。
【0088】
ここで説明した穿孔方法によれば、孔の直径やと孔の位置など高度に制御することができる。なお、フィルム材料の選別およびレーザ加工条件の選択については、後述する実施例においてさらに詳細に説明する。
【0089】
(3)合成樹脂フィルムを包装容器の形態とする工程
有孔合成樹脂フィルムを包装容器の形態とする方法については、公知の方法を特に制限なく適用することができる。
例えば、後掲の実施例に記載のように、有孔合成樹脂フィルムを適当な大きさの四角形に切ったものを2枚準備し、それらを重ねて、四角形の4辺のうち3辺をヒートシールすることで、袋状の包装容器を製造することができる。ヒートシールのシール幅は、例えば10mm程度である。
もちろん、これ以外の方法であっても、青果物を包装可能な形状の包装容器を製造することができる任意の方法を適用することができる。
【0090】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【実施例0091】
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0092】
<合成樹脂フィルムの製造(比較例1以外)>
まず、後掲の表1に示される「1層目素材」および「2層目素材」を準備した。
これら2つの素材を、Tダイ(マルチダイ)を用いて、温度230℃で、共押出した。このときの2層の厚み比は、後掲の表1に記載のとおりである。
Tダイから押し出された樹脂を冷却固化した後、流れ方向に5倍、幅方向に9倍の逐次延伸処理を施した。
以上により合成樹脂フィルムを得た。
【0093】
<合成樹脂フィルムの製造(比較例1)>
共押出ではなく、ホモポリプロピレンの単層を押出成形した以外は、上記と同様にして合成樹脂フィルムを得た。
【0094】
<穿孔>
直径318mm、幅725mmのロールに、両端より150mmの位置から100mm間隔で、幅5mm、深さ5mmの溝を図3に示す形状となるように5条有する回転支持ロールを準備した。
レーザ照射装置としては、最大出力150ワットの炭酸ガスレーザを準備した。
このレーザ照射装置5基をそれぞれ、レーザ照射させる位置が、回転支持ロールの溝の位置に対応するように設置した。なお、レーザ照射装置は、合成樹脂フィルムとの距離が10~15mmとなるように設置した。また、レーザの焦点は、合成樹脂フィルムのレーザ入射面の反対側の面よりわずかにフィルム外に出た位置とした。
【0095】
次に、図1および図2に示される装置を用い、回転支持ロールを周速60m/分で回転させることで、回転支持ロールの上に、フィルムを一定の走行速度で走行させ、各レーザ照射装置から一定の間隔でパルスレーザを照射した。このとき、圧縮気体導入路に、圧力1.0kg/cm(ゲージ圧)の窒素ガス圧をかけ、レーザの照射中に、窒素ガスをノズル先端からレーザビームに沿って吹き付けた。
パルスレーザ照射の間隔は、最終的な包装容器1つあたりの孔数が20個程度となるように適宜調整した。
【0096】
<包装容器の製造>
まず、穿孔された各合成樹脂フィルムを2枚重ね合わせた。
その後、インパルスシーラーを用いて、三方(両サイドおよび底)にヒートシール加工を施した。インパルスシーラーとしては、富士インパルス社製、FI-400Y-10PKを用いた。ヒートシール加工は、160℃、シール時間1秒の条件で行い、10mm幅の熱シール部分を形成した。
以上により、略長方形状の袋状の包装容器を得た。得られた包装容器の袋サイズ(外寸)は140×210mmであった。
なお、実施例の包装容器においては、内表面側の層の融点が、外表面側の層の融点よりも低くなるようにし、ヒートシールが容易となるように留意した。
【0097】
<示差走査熱量測定>
まず、上記で得られた包装容器を構成する合成樹脂フィルムの一部(孔が設けられていない部分)を切り出して測定サンプルとした。
その測定サンプルを、SII社の示差走査熱量測定装置(品番:DSC6220)にセットし、昇温条件:5℃/分、25~250℃の条件で測定し、DSC曲線を得た。
データの解析(ピークトップ温度の特定、ベースラインの設定など)は、装置に付属のSII社のソフトウェアにより行った。
以上により、融解ピークのピークトップ温度、ベースラインを基準としたときのピークの高さなどを求めた。そして、TとTの差の絶対値や、H/Hの値を求めた。
参考までに、実施例2の包装容器を構成する合成樹脂フィルムの一部の測定により得られたDSC曲線を図4に示す(図4には、DSC曲線だけでなくDDSC曲線(DSC曲線の微分)も示している)。
【0098】
<孔の性状>
・Tmax/Tmin
孔の外周から10mm以内の領域における合成樹脂フィルムの最大厚みTmaxおよび最小厚みTminについては、JIS K 7130の機械的走査による測定方法(A法)に準じて測定を行った。具体的には、孔周辺領域(孔の外周から10mm以内の領域)において任意に選択した複数点のフィルムの厚みを、JIS K 7130の機械的走査による測定方法(A法)に準じて測定を行った。そして、得られたフィルムの厚みに関する複数の測定結果のうち、最大値をTmax、最小値をTminとした。
【0099】
・孔の直径
孔を光学顕微鏡で観察し、孔の直径を測定した。
なお、今回、各実施例および比較例において、包装容器が備える複数の孔の直径は、ほぼ100μmで揃っていた。
【0100】
<性能評価>
まず、エダマメを洗浄し、そして脱水した。そのエダマメを、上記で作製した包装容器に200gずつ入れ、包装容器の開口部をヒートシールで密封し、青果物入り包装体を得た。
得られた青果物入り包装体に対して、予冷、輸送、青果市場、店舗バックヤード、店舗陳列などの条件を模した温度変化を加えた。具体的には、以下(1)~(5)の順番で温度を変化させた。
(1)7℃、24時間(予冷庫を想定)
(2)15℃、6時間(輸送を想定)
(3)30℃、12時間(青果市場での常温保管を想定)
(4)15℃、6時間(店舗バックヤードを想定)
(5)25℃、48時間(店舗での陳列を想定)
そして、(5)の後のエダマメ(以下では「評価用エダマメ」とも表記する)の莢の変色と食味を、以下のようにして評価した。
【0101】
・莢の変色評価
評価用エダマメと、別途準備した新鮮なエダマメとを目視で比較した。
変色が認められなかった場合を○(良好)、変色が認められた場合を×(不良)とした。
評価は、10人のパネラーで行った。表1では、10人中6人以上が○としたものに○を記載し、そうでないものに×を記載した。
【0102】
・食味評価
評価用エダマメ100gを、600Wの電子レンジで2分加熱して調理した。また、別途準備した新鮮なエダマメ100gについても、同様に調理した。
これらについて、10人のパネラーで食味を評価した。新鮮なエダマメと比較して十分に美味しく感じられた場合を○(良好)、新鮮なエダマメと比較して不味く感じられた場合を×(不良)とした。
表1では、10人中6人以上が○をつけたものに○を記載し、そうでないものには×を記載した。
【0103】
包装容器に関する各種情報や評価結果についてまとめて下表に示す。
下表中、全体厚みの単位はμm、TとTの差の絶対値の単位は℃である。
【0104】
【表1】
【0105】
表1において、素材の略号は以下のとおりである。なお、hPPとrPPの融点差は10℃以上あった。
・hPP:日本ポリプロ社製のホモポリプロピレン素材、品番:FB3B
・rPP:プライムポリマー社製のランダムポリプロピレン素材(エチレンとの共重合体)、品番:WFW5T
・LLDPE(比較例):宇部丸善ポリエチレン社製の直鎖状低密度ポリエチレン素材、品番:1540F
【0106】
表1の実施例1~3より、本実施形態の青果物鮮度保持包装容器を用いて青果物を包装した場合、温度変化が様々に変化する環境下においても、青果物の鮮度を良好に保持可能であることがわかる。
【0107】
一方、比較例1および2の評価結果は、実施例1~3の評価結果よりも悪かった。
比較例1の評価結果が悪かった原因としては、フィルムが単層構成であったため、急激/不規則な温度変化の下、孔の膨張または収縮が適切に行われず、適切な量の外気の取り入れ/内気の排出が行えなかったことが考えられる。
また、比較例2の評価結果が悪かった原因としては、TとTの差の絶対値が40℃超であった、すなわち、1層目の樹脂と2層目の樹脂の結晶・配向状態が「異なりすぎた」ことにより、急激/不規則な温度変化の下で孔の膨張または収縮が適切に行われなかったことや、温度変化による開孔変化の「平均化」の効果が得られなかったことが考えられる。
【符号の説明】
【0108】
11 巻き出しロール
12 合成樹脂フィルム
13 レーザ照射装置
14 回転支持ロール
15 ロール
16 ガイドロール
17 浮きロール
18 圧縮気体導入路
19 ノズル先端
20 パルスレーザ
21 導光路
22 出射光学部(レンズ)
23 円錐形ビーム
24 孔
25 溝
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する合成樹脂フィルムにより構成された青果物鮮度保持包装容器の製造方法であって、
少なくとも第1の層および第2の層を備え、前記第1の層が含む第1の樹脂と、前記第2の層が含む第2の樹脂は、共通する構造単位を有し、加熱温度5℃/分で25℃から250℃まで示差走査熱量測定して得られるDSC曲線において、少なくとも2つの融解ピークP およびP が観察され、前記融解ピークP のピークトップ温度をT とし、前記融解ピークP のピークトップ温度をT としたとき、T とT の差の絶対値が3~40℃である合成樹脂フィルムを準備する準備工程と、
前記準備工程で準備した前記合成樹脂フィルムに対し、貫通孔を設けて有孔合成樹脂フィルムとする穿孔工程と、
前記穿孔工程で得られた前記有孔合成樹脂フィルムを包装容器の形態とする工程と、
を含む、青果物鮮度保持包装容器の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の青果物鮮度保持包装容器の製造方法であって、
前記ピークP および前記ピークP のうち、前記DSC曲線の直線状のベースラインを基準としたときの低いほうの高さをH 、高いほうの高さをH としたとき、H /H の値が0.3~0.9である、青果物鮮度保持包装容器の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の青果物鮮度保持包装容器の製造方法であって、
前記貫通孔の外周から10mm以内の領域における前記樹脂フィルムの最大厚みをT max 、最小厚みをT min としたとき、T max /T min が1.05以上である青果物鮮度保持包装容器の製造方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器の製造方法であって、
前記合成樹脂フィルムは複数の貫通孔を有する青果物鮮度保持包装容器の製造方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器の製造方法であって、
前記合成樹脂フィルムは30個以下の貫通孔を有する青果物鮮度保持包装容器の製造方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器の製造方法であって、
前記貫通孔の直径が、30~500μmである青果物鮮度保持包装容器の製造方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器の製造方法であって、
前記第1の樹脂および前記第2の樹脂は、ポリエチレン、エチレン共重合体、ホモポリプロピレン、プロピレンのランダム共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選ばれる少なくともいずれかである青果物鮮度保持包装容器の製造方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器の製造方法であって、
前記穿孔工程は、レーザにより行われる、青果物鮮度保持包装容器の製造方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0090】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
貫通孔を有する合成樹脂フィルムにより構成された青果物鮮度保持包装容器であって、
前記合成樹脂フィルムは、少なくとも第1の層および第2の層を備え、
前記第1の層が含む第1の樹脂と、前記第2の層が含む第2の樹脂は、共通する構造単位を有し、
前記合成樹脂フィルムを、加熱温度5℃/分で25℃から250℃まで示差走査熱量測定して得られるDSC曲線において、少なくとも2つの融解ピークP1およびP2が観察され、
前記融解ピークP1のピークトップ温度をT1とし、前記融解ピークP2のピークトップ温度をT2としたとき、T1とT2の差の絶対値が3~40℃である、青果物鮮度保持包装容器。
2.
1.に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記ピークP1および前記ピークP2のうち、前記DSC曲線の直線状のベースラインを基準としたときの低いほうの高さをH1、高いほうの高さをH2としたとき、H1/H2の値が0.3~0.9である、青果物鮮度保持包装容器。
3.
1.または2.に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記貫通孔の外周から10mm以内の領域における前記樹脂フィルムの最大厚みをTmax、最小厚みをTminとしたとき、Tmax/Tminが1.05以上である青果物鮮度保持包装容器。
4.
1.~3.のいずれか1つに記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記合成樹脂フィルムは複数の貫通孔を有する青果物鮮度保持包装容器。
5.
1.~4.のいずれか1つに記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記合成樹脂フィルムは30個以下の貫通孔を有する青果物鮮度保持包装容器。
6.
1.~5.のいずれか1つに記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記貫通孔の直径が、30~500μmである青果物鮮度保持包装容器。
7.
1.~6.のいずれか1つに記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記第1の樹脂および前記第2の樹脂は、ポリエチレン、エチレン共重合体、ホモポリプロピレン、プロピレンのランダム共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選ばれる少なくともいずれかである青果物鮮度保持包装容器。
8.
1.~7.のいずれか1つに記載の青果物鮮度保持包装容器により青果物を密封した青果物入り包装体。
9.
1.~7.のいずれか1つに記載の青果物鮮度保持包装容器を用いて青果物を包装する青果物の鮮度保持方法。