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  • 特開-捕獲器 図1
  • 特開-捕獲器 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133511
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】捕獲器
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/10 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
A01M1/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126277
(22)【出願日】2023-08-02
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2022-03-01
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター「イノベーション創出強化研究推進事業(スクミリンゴガイの被害撲滅に向けた総合的管理技術の革新および防除支援システムの開発プロジェクト)」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】510010414
【氏名又は名称】大栄工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】遊佐 陽一
(57)【要約】
【課題】害虫などの捕獲対象を捕獲するための捕獲器について捕獲作業やメンテナンス作業を容易なものとすること。
【解決手段】本発明では、捕獲対象を誘引する誘引剤を載置するための中空箱型状の捕獲器本体(2)に捕獲対象が侵入可能かつ脱出困難なアタッチメント(3)を着脱自在に設けることにした。また、本発明では、前記アタッチメント(3)の入口部分下側を捕獲器本体(2)の内部に向けて上方に傾斜させた形状にして、捕獲器本体(2)の内部で捕獲器本体(2)の底とアタッチメント(3)との間に段差を形成することにした。さらに、本発明では、前記アタッチメント(3)の外周に捕獲対象が忌避する忌避物(銅テープ30)を付着させることにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
捕獲対象を誘引する誘引剤を載置するための中空箱型状の捕獲器本体に捕獲対象が侵入可能かつ脱出困難なアタッチメントを着脱自在に設けたことを特徴とする捕獲器。
【請求項2】
前記アタッチメントの入口部分下側を捕獲器本体の内部に向けて上方に傾斜させた形状にして、捕獲器本体の内部で捕獲器本体の底とアタッチメントとの間に段差を形成したことを特徴とする請求項1に記載の捕獲器。
【請求項3】
前記アタッチメントの外周に捕獲対象が忌避する忌避物を付着させたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の捕獲器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫などを捕獲するための捕獲器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、農作物や人に危害を加える害虫・害鳥・害獣など(捕獲対象)は、駆除のために捕獲器が用いられている。
【0003】
たとえば、スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)は、農業害虫として知られており、水田での駆除が必要である。そのため、水田においてスクミリンゴガイを捕獲して駆除する捕獲器として、柄の先端に袋状のネットを取付けるとともに、ネットの先端にブラシを設けた捕獲器などが発明されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-101609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の捕獲器では、水田において人手により捕獲器を用いて捕獲対象となるスクミリンゴガイを捕獲するといった作業や捕獲器のメンテナンス作業に多大な労力を要していた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、請求項1に係る本発明では、捕獲器において、捕獲対象を誘引する誘引剤を載置するための中空箱型状の捕獲器本体に捕獲対象が侵入可能かつ脱出困難なアタッチメントを着脱自在に設けることにした。
【0007】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記アタッチメントの入口部分下側を捕獲器本体の内部に向けて上方に傾斜させた形状にして、捕獲器本体の内部で捕獲器本体の底とアタッチメントとの間に段差を形成することにした。
【0008】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記アタッチメントの外周に捕獲対象が忌避する忌避物を付着させることにした。
【発明の効果】
【0009】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0010】
すなわち、本発明では、捕獲器において、捕獲対象を誘引する誘引剤を載置するための中空箱型状の捕獲器本体に捕獲対象が侵入可能かつ脱出困難なアタッチメントを着脱自在に設けることにしているために、水田等に捕獲器を載置することで捕獲対象の捕獲を行うことができ、捕獲器本体とアタッチメントとをそれぞれ保守・清掃することができるので、捕獲作業やメンテナンス作業を容易なものとすることができる。
【0011】
特に、前記アタッチメントの入口部分下側を捕獲器本体の内部に向けて上方に傾斜させた形状にして、捕獲器本体の内部で捕獲器本体の底とアタッチメントとの間に段差を形成することにしているために、捕獲器本体の内部に誘引した捕獲対象がアタッチメントから脱出してしまうのを防ぐことができる。
【0012】
また、前記アタッチメントの外周に捕獲対象が忌避する忌避物を付着させることにしているために、捕獲器本体の内部に誘引した捕獲対象がアタッチメントから脱出してしまうのをより一層防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る捕獲器を示す斜視図(閉じた状態(a)、開いた状態(b))。
図2】同外観図(平面図(a)、正面図(b)、右側面図(c))。
図3】同内部断面図(平面中央断面図(a)、正面中央断面図(b))。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る捕獲器の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1図3に示すように、捕獲器1は、中空箱型状の捕獲器本体2の左右側部に捕獲対象が侵入可能かつ脱出困難なアタッチメント3,3を着脱自在に設けるとともに、捕獲器本体2の内側中央部に捕獲対象を誘引する誘引剤を収容する誘引剤収容体4を着脱自在に設けている。なお、以下の説明では、捕獲対象としてスクミリンゴガイの場合について説明するが、本発明に係る捕獲器1は、スクミリンゴガイに限られず、外来生物等を捕獲対象とすることもできる。
【0016】
捕獲器本体2は、同一形状の上側本体5と下側本体6との後端部同士を蝶番7,7で開閉自在に連結している。なお、上側本体5と下側本体6とは同一形状のものを上下反転させた状態で上下に重ねて使用しており、形状ついては以下に下側本体6について説明する。
【0017】
下側本体6は、横長矩形状の平板8の前後左右端に側壁9~12を垂直状に設けて、上方を開口させている。
【0018】
平板8には、中央部に誘引剤収容体4を係止するための矩形枠状のガイド13を凸状に形成するとともに、その周囲に貫通孔14を前後及び左右に間隔をあけて設けている。
【0019】
前側の側壁9には、上端中央部にハンドル15を水平状に設けるとともに、下端部と平板8との角部に貫通孔16を左右に間隔をあけて設けている。
【0020】
後側の側壁10には、上端部に蝶番7を左右に間隔をあけて取付けるとともに、下端部と平板8との角部に貫通孔17を左右に間隔をあけて設けている。
【0021】
左右側の側壁11,12には、中央部にU字状の切欠を形成するとともに切欠にアタッチメント3を着脱自在に装着するための溝状の嵌入凹部18を形成している。
【0022】
アタッチメント3は、捕獲器本体2に装着された状態で外側(捕獲器本体2の外部側)から内側(捕獲器本体2の内部側)に連通する中空状のアタッチメント本体19の内側に閉塞体20を蝶番21を介して開閉自在に取付けている。
【0023】
アタッチメント本体19は、上下左右に側壁22~25を設けて外側端と内側端に開口を形成している。アタッチメント本体19は、上側の側壁22を外側から内側に向けて下方に傾斜させ、下側の側壁23を外側から内側に向けて上方に傾斜させ、左側の側壁24を外側から内側に向けて右側方に傾斜させ、右側の側壁25を外側から内側に向けて左側方に傾斜させて、外側(捕獲器本体2の外部側)から内側(捕獲器本体2の内部側)に向けて先細り状の入口部分を形成している。
【0024】
また、アタッチメント本体19は、上下左右の側壁22~25の外側外周に鍔状の嵌入凸部26を形成しており、嵌入凸部26を捕獲器本体2(上側本体5及び下側本体6)の嵌入凹部18に嵌入させることで捕獲器本体2に着脱自在に装着されるようにしている。
【0025】
このように、アタッチメント3は、アタッチメント本体19の内側の開口を閉塞体20で閉塞するとともにアタッチメント本体19の上側の側壁22と閉塞体20とを蝶番21で接続しており、アタッチメント本体19の外側の開口から侵入したスクミリンゴガイが閉塞体20を押し開けて捕獲器本体2の内部に侵入することができるようになっており、一方、捕獲器本体2の内部に侵入したスクミリンゴガイが内側から外側に向けて閉塞体20を押圧しても閉塞体20とアタッチメント本体19の内側の開口とが当接してスクミリンゴガイが容易には内側から外側に脱出することができないようになっている。
【0026】
また、アタッチメント3は、先細り状の入口部分下側(アタッチメント本体19の下側の側壁23)を捕獲器本体2の内部に向けて上方に傾斜させて、捕獲器本体2の外部においてアタッチメント3の外側と水田の載置面との間に段差を形成させるとともに、捕獲器本体2の内部においてアタッチメント3の内側と捕獲器本体2の底(下側本体6の平板8の上面)との間に段差を形成させており、これにより、誘引剤収容体4に収容された誘引剤に誘引されたスクミリンゴガイが一斉に侵入して閉塞体20が開放され続けることが無いようにするとともに、スクミリンゴガイが閉塞体20から脱出してしまうことが無いようにしている。
【0027】
さらに、アタッチメント3は、外周(ここでは、下側及び左右の側壁23,24,25)にスクミリンゴガイに対して忌避作用を有する銅テープ30を貼着することによってスクミリンゴガイが忌避する忌避物を付着されている。これにより、捕獲器本体2の内部に侵入したスクミリンゴガイがアタッチメント3に沿って移動するのを忌避物によって阻止することができスクミリンゴガイが外側に脱出することができないようになっている。
【0028】
誘引剤収容体4は、捕獲器本体2の中央部のガイド13の内側に嵌入される上下のベース27,27の間に上下に貫通する筒状の周壁28を設けるとともに、周壁28に貫通孔29を上下左右に間隔をあけて形成している。
【0029】
捕獲器1は、以上に説明したように構成しており、誘引剤収容体4に誘引剤を収容して水田に載置することで、スクミリンゴガイが誘引剤に誘引されてアタッチメント3から捕獲器本体2の内部に侵入し、アタッチメント3によってスクミリンゴガイが脱出することができず、これにより、スクミリンゴガイを捕獲して駆除することができる。
【0030】
また、捕獲器本体2(上側本体5及び下側本体6)に貫通孔14,16,17を形成しているために、水田に載置することで捕獲器本体2の内部にまで水が浸入するために、誘引剤で誘引されたスクミリンゴガイを捕獲器本体2の内部にまで侵入させて捕獲することができる。
【0031】
以上に説明したように、上記捕獲器1は、スクミリンゴガイを誘引する誘引剤を載置するための中空箱型状の捕獲器本体2にスクミリンゴガイが侵入可能かつ脱出困難なアタッチメント3を着脱自在に設けた構成となっている。
【0032】
そのため、上記構成の捕獲器1では、水田等に捕獲器1を載置することでスクミリンゴガイの捕獲を行うことができ、捕獲器本体2とアタッチメント3とをそれぞれ保守・清掃することができるので、捕獲作業やメンテナンス作業を容易なものとすることができる。
【0033】
また、上記捕獲器1は、アタッチメント3の入口部分下側(側壁23)を捕獲器本体2の内部に向けて上方に傾斜させた形状にして、捕獲器本体2の内部で捕獲器本体2の底(平板8の上面)とアタッチメント3(側壁23)との間に段差を形成した構成となっている。
【0034】
そのため、上記構成の捕獲器1では、捕獲器本体2の内部に誘引したスクミリンゴガイがアタッチメント3から脱出してしまうのを防ぐことができる。
【0035】
また、上記捕獲器1は、アタッチメント3の外周にスクミリンゴガイが忌避する忌避物(銅テープ30)を付着させた構成となっている。
【0036】
そのため、上記構成の捕獲器1では、捕獲器本体2の内部に誘引したスクミリンゴガイがアタッチメント3から脱出してしまうのをより一層防ぐことができる。
【符号の説明】
【0037】
1 捕獲器 2 捕獲器本体
3 アタッチメント 4 誘引剤収容体
5 上側本体 6 下側本体
7 蝶番 8 平板
9~12 側壁 13 ガイド
14 貫通孔 15 ハンドル
16 貫通孔 17 貫通孔
18 嵌入凹部 19 アタッチメント本体
20 閉塞体 21 蝶番
22~25 側壁 26 嵌入凸部
27 ベース 28 周壁
29 貫通孔 30 銅テープ
図1
図2
図3