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特開2023-13352データ記録システム、ストレージデバイス、受像装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013352
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】データ記録システム、ストレージデバイス、受像装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/91 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
H04N5/91
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117472
(22)【出願日】2021-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】390040187
【氏名又は名称】株式会社バッファロー
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【弁理士】
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】加藤 義隆
(72)【発明者】
【氏名】石井 俊
(72)【発明者】
【氏名】大野 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】堀部 雅彦
【テーマコード(参考)】
5C053
【Fターム(参考)】
5C053FA15
5C053GB06
5C053JA21
5C053LA07
(57)【要約】
【課題】テレビジョン装置のメーカーに応じたファイルシステムでの移行が可能なデータ記録システム、ストレージデバイス、受像装置、及びプログラムを提供する。
【解決手段】受像装置10が、当該受像装置10のメーカーに関係する製品関係情報を取得し、当該取得した製品関係情報を参照して、第1のストレージデバイス20から第2のストレージデバイス30への録画データの移行処理を含む所定処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受像装置と、録画データを記録する第1のストレージデバイスと、第2のストレージデバイスとを含むデータ記録システムであって、
前記受像装置は、テレビジョン番組を受信可能な受像装置であって、
受像装置のメーカーに関係する製品関係情報を取得する取得手段と、
取得した製品関係情報を参照して、前記第1のストレージデバイスから第2のストレージデバイスへの録画データの移行処理を含む所定処理を実行する処理実行手段と、
を含む、
データ記録システム。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ記録システムであって、
前記受像装置の前記処理実行手段は、前記製品関係情報が所定の条件を満足するときに、前記第1のストレージデバイスのUSBシリアル値を、前記第2のストレージデバイスのUSBシリアル値として複写する処理を含むデータ記録システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のデータ記録システムであって、
前記受像装置の前記処理実行手段は、前記製品関係情報が所定の条件を満足するときに、当該製品関係情報に応じて予め定められた方法で、前記第2のストレージデバイスの録画データの記録領域を拡張する処理を実行するデータ記録システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ記録システムであって、
前記受像装置の前記処理実行手段は、前記移行処理後に、前記製品関係情報に応じて予め定められた方法で、前記第1のストレージデバイスに格納された録画データの再生を不能とする処理を実行するデータ記録システム。
【請求項5】
テレビジョン番組を受信可能な受像装置に接続されるストレージデバイスであって、
受像装置のメーカーに関係する製品関係情報を参照して、他のストレージデバイスからの録画データの移行を受け入れるストレージデバイスであって、
前記製品関係情報に基づいて定められる記録態様で、前記移行処理の対象となったデータを記録するストレージデバイス。
【請求項6】
テレビジョン番組を受信可能な受像装置であって、
前記受信したテレビジョン番組の録画データを記録可能な第1のストレージデバイスと第2のストレージデバイスとに接続され、
受像装置のメーカーに関係する製品関係情報を取得する取得手段と、
取得した製品関係情報を参照して、前記第1のストレージデバイスから第2のストレージデバイスへの録画データの移行処理を含む所定処理を実行する処理実行手段と、
を含む受像装置。
【請求項7】
テレビジョン番組を受信可能な受像装置であって、前記受信したテレビジョン番組の録画データを記録可能な第1のストレージデバイスと第2のストレージデバイスとに接続される受像装置を、
受像装置のメーカーに関係する製品関係情報を取得する取得手段と、
取得した製品関係情報を参照して、前記第1のストレージデバイスから第2のストレージデバイスへの録画データの移行処理を含む所定処理を実行する処理実行手段と、
として機能させるプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ記録システム、ストレージデバイス、受像装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、汎用のオペレーティングシステムを搭載し、種々のアプリケーションプログラムを実行可能としたテレビジョン装置の利用が普及しつつある。
【0003】
こうしたテレビジョン装置では、ハードディスク等のストレージ装置の接続を可能とし、当該ストレージ装置に対して受信した番組の録画データを記録できるものが存在する。しかしながら、この録画データの記録にあたっては、テレビジョン装置のメーカーによって、想定しているファイルシステム等の記録の条件が異なっているのが現状である。
【0004】
なお、転送先ファイルシステムのファイルの配置情報(ファイルシステムのFATなど)を取得して記憶しておき、サーバからの指示を受けて、当該記憶している配置情報を参照して、既存のファイルに上書きとならないよう格納位置を判断して、ファイルの転送を行うという技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-091496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
こうした現状の下、テレビジョン装置のメーカーごとの条件を考慮せずにストレージ装置の置き換えを行おうとすると、転送した録画データが再生できなかったり、置き換え後のストレージデバイスの容量を活用できなかったりといった事象が発生し、テレビジョン装置のメーカーに応じたファイルシステムでの移行に支障があった。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、テレビジョン装置のメーカーに応じたファイルシステムでの移行が可能なデータ記録システム、ストレージデバイス、受像装置、及びプログラムを提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来例の問題点を解決するための本発明の一態様は、受像装置と、録画データを記録する第1のストレージデバイスと、第2のストレージデバイスとを含むデータ記録システムであって、前記受像装置は、テレビジョン番組を受信可能な受像装置であって、受像装置のメーカーに関係する製品関係情報を取得する取得手段と、取得した製品関係情報を参照して、前記第1のストレージデバイスから第2のストレージデバイスへの録画データの移行処理を含む所定処理を実行する処理実行手段と、を含むこととしたものである。
【0009】
このデータ記録システムによると、受像装置のメーカーに関係する製品関係情報を参照して、受像装置のメーカーに応じた録画データの移行処理を行うことができる。
【0010】
またここで、前記受像装置の前記処理実行手段は、前記製品関係情報が所定の条件を満足するときに、前記第1のストレージデバイスのUSBシリアル値を、前記第2のストレージデバイスのUSBシリアル値として複写する処理を含んでもよい。
【0011】
この例によると、受像装置がUSBシリアル値を利用して録画データを管理する場合であっても、録画データ等の再生が可能となる。
【0012】
さらに、前記受像装置の前記処理実行手段は、前記製品関係情報が所定の条件を満足するときに、当該製品関係情報に応じて予め定められた方法で、前記第2のストレージデバイスの録画データの記録領域を拡張する処理を実行してもよい。
【0013】
このようにすると、録画データの移行時に記録領域を拡大できる。
【0014】
また、前記受像装置の前記処理実行手段は、前記移行処理後に、前記製品関係情報に応じて予め定められた方法で、前記第1のストレージデバイスに格納された録画データの再生を不能とする処理を実行してもよい。
【0015】
この例によると、著作権保護に関わる規制に対応できる。
【0016】
また本発明の別の態様は、テレビジョン番組を受信可能な受像装置に接続されるストレージデバイスであって、受像装置のメーカーに関係する製品関係情報を参照して、他のストレージデバイスからの録画データの移行を受け入れるストレージデバイスであって、前記製品関係情報に基づいて定められる記録態様で、前記移行処理の対象となったデータを記録することとしたものである。
【0017】
さらに、本発明のもう一つの態様は、テレビジョン番組を受信可能な受像装置であって、前記受信したテレビジョン番組の録画データを記録可能な第1のストレージデバイスと第2のストレージデバイスとに接続され、受像装置のメーカーに関係する製品関係情報を取得する取得手段と、取得した製品関係情報を参照して、前記第1のストレージデバイスから第2のストレージデバイスへの録画データの移行処理を含む所定処理を実行する処理実行手段と、を含むこととしたものである。
【0018】
本発明のさらにもう一つの態様は、プログラムであって、テレビジョン番組を受信可能な受像装置であって、前記受信したテレビジョン番組の録画データを記録可能な第1のストレージデバイスと第2のストレージデバイスとに接続される受像装置を、受像装置のメーカーに関係する製品関係情報を取得する取得手段と、取得した製品関係情報を参照して、前記第1のストレージデバイスから第2のストレージデバイスへの録画データの移行処理を含む所定処理を実行する処理実行手段と、として機能させることとしたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、受像装置のメーカーに応じた録画データの移行処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係るデータ記録システムの例を表す構成ブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る受像装置の例を表す機能ブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係るデータ記録システムにおいて利用される情報テーブルの例を表す説明図である。
図4】本発明の実施の形態に係るデータ記録システムにおけるストレージデバイスの設定例を表す説明図である。
図5】本発明の実施の形態に係るデータ記録システムの動作例を表す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の態様に係るデータ記録システム1は、図1に例示するように、受像装置10と、録画データを記録する第1のストレージデバイス20と、第2のストレージデバイス30とを含んで構成される。
【0022】
ここで受像装置10は、テレビジョン番組を受信可能な受像装置であり、図1に示されるように、制御部11と、記憶部12と、操作部13と、出力部14と、インタフェース部15と、受像回路部16とを含んで構成される。
【0023】
ここで制御部11は、CPU等のプログラム制御デバイスであり、記憶部12に格納されたプログラムに従って動作する。本実施の形態の一例では、この制御部11は、アンドロイド(登録商標)OSのプログラムを実行しており、このOSの管理下で種々のアプリケーションプログラムを実行する。
【0024】
具体的に本実施の形態の制御部11は、インタフェース部15を介して接続されたストレージデバイスに対して、そのファイルシステムの設定を行うとともに、録画データ(受像した番組を録画したデータファイル)を格納する等の処理を実行する。また本実施の形態では、記憶部12に格納したプログラムを実行することで、この受像装置10のメーカーに関係する製品関係情報を取得する。また制御部11は、当該取得した製品関係情報を参照して、あるストレージデバイス(第1のストレージデバイス)からもう一つのストレージデバイス(第2のストレージデバイス)への録画データの移行処理を含む所定処理を実行する。この制御部11の動作については後に詳しく述べる。
【0025】
記憶部12は、メモリデバイス等であり、制御部11によって実行されるプログラムを保持する。このプログラムは、コンピュータ可読かつ非一時的な記録媒体に格納されて提供され、この記憶部12に複写されたものであってもよいし、ネットワーク等を介して受信され、この記憶部12に格納されたものであってもよい。またこの記憶部12は、制御部11のワークメモリとしても動作する。
【0026】
操作部13は、利用者の操作を受け入れる。出力部14は、制御部11の指示に従い、受像した番組の画像や音声などを出力する。
【0027】
インタフェース部15は、例えばUSB(Universal Serial Bus)インタフェースを含み、第1のストレージデバイス20や第2のストレージデバイス30に対して接続される。またこのインタフェース部15は、ネットワークインタフェースを含んでもよく、制御部11から入力される指示に従って、ネットワークを介して情報を授受する。
【0028】
受像回路部16は、テレビ番組を受像するチューナー回路等を含む。本実施の形態の例では、この受像回路部16は、受像したテレビ番組の映像や音声などを出力部14に出力するとともに、制御部11に出力し、録画データの生成などの処理に供する。
【0029】
次に、本実施の形態の受像装置の制御部11の動作について説明する。本実施の形態では、この制御部11は、記憶部12に格納されたプログラムを実行することで、機能的に、図2に例示するように、情報取得部21と、移行処理部22とを含む。
【0030】
ここで情報取得部21は、受像装置10自身のメーカーに関係する製品関係情報を取得する。ここで製品関係情報は、受像装置10のメーカーを特定する情報のほか、受像装置10の機種を表す情報等を含んでもよい。
【0031】
移行処理部22は、利用者から入力される指示に従って、第1のストレージデバイス20から第2のストレージデバイス30へと録画データを移行する。具体的に移行処理部22は、第1のストレージデバイス20から第2のストレージデバイス30へとセクタコピー(移行処理)を実行する。
【0032】
移行処理部22は、セクタコピーの終了後、第2のストレージデバイス30のファイルシステムを検証する。この検証は、一般的なファイルの検証の処理、例えばlinux(登録商標)におけるfsckコマンドで実行される処理でよい。
【0033】
移行処理部22は、ここでファイルの検証に成功すると、第1のストレージデバイス20に格納された録画データを再生不能にする処理を行う。本実施の形態では、この移行処理部22は、情報取得部21で取得した製品関係情報に応じて予め定められた方法で、第1のストレージデバイス20に格納された録画データの再生を不能とする処理を実行する。
【0034】
ここでの一例として本実施の形態の受像装置10の記憶部12には、図3に例示するように、製品関係情報(A)に関連付けて、ファイルシステムの種類(T)と、パーティションに関する情報(N)と、後処理に関する情報(P)とを記録した情報テーブル(以下、処理情報と呼ぶ)が格納されているものとする。
【0035】
ここでパーティションに関する情報は例えば、パーティションの構造に関する情報や、録画データと管理データ(ファイルの格納位置などを記録したデータなど)とをそれぞれどのパーティションに格納するかを表す情報などを含む。
【0036】
移行処理部22は、この処理情報から情報取得部21で取得した製品関係情報に関連付けて記録されているファイルシステムの種類(T)と、パーティションに関する情報(N)と、後処理に関する情報(P)とを取得する。そして移行処理部22は、取得したパーティションに関する情報により示される録画データの格納先パーティションと、管理データの格納先パーティションとが互いに異なるパーティションとなっているか否かを調べ、これらが互いに異なるパーティションとなっていれば、管理データが含まれるパーティションを削除して、録画データの再生を不能とする。
【0037】
なお、ここでの削除方法は例えば当該パーティションを「00」や「FF」等の所定のデータや、ランダムなデータで埋めて上書きする方法(以下、完全消去法と呼ぶ)を採用してよい。このような処理としては例えば、英国 HMG Infosec Standard 5, Baseline Standardで規定される方法が知られている。
【0038】
また、移行処理部22は、取得したパーティションに関する情報により示される録画データの格納先パーティションと、管理データの格納先パーティションとが互いに異なるパーティションとなっていない場合は、録画データと管理データとを格納しているパーティション内のデータを完全消去法により削除して、録画データの再生を不能とする。
【0039】
さらに、取得したパーティションに関する情報に、管理データを含むデータをバックアップしているパーティションが存在する旨の情報が含まれる場合、移行処理部22は、当該管理データを含むデータをバックアップしているパーティションについても、その内容を完全消去法により削除する。
【0040】
さらに移行処理部22は、情報取得部21で取得した製品関係情報が所定の条件を満足するとき、当該製品関係情報に応じて予め定められた方法で、第2のストレージデバイス30の録画データの記録領域を拡張する処理を実行してもよい。
【0041】
この処理を行う場合、移行処理部22は、情報取得部21で取得した製品関係情報に関連付けて処理情報に記録されているファイルシステムの種類(T)及びパーティションに関する情報(N)を参照して、録画データを記録するパーティションの格納領域が拡張可能か否かを調べる。そして、録画データを記録するパーティションの格納領域が拡張可能であって、かつ、第1のストレージデバイス20の記録可能容量(空き容量ではなく、データを記録可能な全容量を意味するものとする。以下同様。)よりも第2のストレージデバイス30の記録可能容量が大きい場合に、移行処理部22は次のようにして領域拡張処理を実行する。
【0042】
具体的に、ここでは第1のストレージデバイス20において、図4(a)に例示するように、第1GUIDパーティションテーブル(GPT)と、第2GPTとの間に、録画データ等を格納するパーティション(P0)を含む、少なくとも一つのパーティション(P0,P1,…)が設定されているものとする。
【0043】
このとき、移行処理部22が第2のストレージデバイス30に対して、この第1のストレージデバイス20の内容をセクタコピーすると、図4(b)に示すように、第2GPTの後に空き領域Eができることとなる。そこで移行処理部22は、録画データを記録するパーティション(P0)のすぐ後に、この空き領域Eを移動し、後続のパーティション(第2GPTを含む)を、その後へ移動して、この録画データを記録するパーティションを拡張する(図4(c))。このようなパーティションの拡張処理は、ファイルシステムの種類に応じた、広く知られた方法を採用できる。
【0044】
移行処理部22は、さらに、情報取得部21で取得した製品関係情報に関連付けて処理情報に記録されている後処理に関する情報(P)により規定される後処理を実行してもよい。この後処理としては例えば、第1のストレージデバイス20のUSBシリアル値を取得して、第2のストレージデバイス30のUSBシリアル値を、当該取得した第1のストレージデバイス20のUSBシリアル値に設定する(第2のストレージデバイス30を第1のストレージデバイス20のクローンとする)処理等がある。
【0045】
なお、このようにUSBシリアル値を複写する場合、移行処理部22は予め、第1のストレージデバイス20と第2のストレージデバイス30とのそれぞれの個体識別情報を取得して、再起動により消去されない記憶領域(システム記憶領域や不揮発性のメモリ等)に記録しておく。ここで取得する個体識別情報は、USBシリアル値以外の、例えばベアドライブのシリアル番号などとする。
【0046】
移行処理部22は、移行処理部22による移行処理が行われるときに、これらの個体識別情報が格納されているか否かを調べ、格納されていればさらに、受像装置10に接続されている第1のストレージデバイス20と第2のストレージデバイス30とのそれぞれの個体識別情報が、格納されていた個体識別情報に一致するか否かを調べる。
【0047】
移行処理部22は、ここで受像装置10に接続されている第1のストレージデバイス20と第2のストレージデバイス30とのそれぞれの個体識別情報が、格納されていた個体識別情報に一致するならば、第1のストレージデバイス20と第2のストレージデバイス30とのUSBシリアル値が一致しているか否かを調べ、一致していなければ、USBシリアル値の複写の処理を再度実行する。
【0048】
[動作]
本実施の形態のデータ記録システム1は以上の構成を基本的に備え、次のように動作する。受像装置10は、その受像回路部16で受像したテレビ番組の映像や音声などに基づいて録画データを生成し、利用者の指示に従って、第1のストレージデバイス20に格納する。このときには、第2のストレージデバイス30は必ずしも接続されていなくてもよい。
【0049】
受像装置10は、受像装置10のメーカーが定めた方法で、録画データを第1のストレージデバイス20に格納する。一例としてあるメーカーでは、マイクロソフト社のNTFSファイルシステムのパーティションに録画データを記録し、他のメーカーでは、linux(登録商標)で利用されるext4ファイルシステムのパーティションに録画データを記録する。
【0050】
以下の例では、受像装置10の記憶部12には、図3に例示したように、メーカーの情報を含む製品関係情報(A)に関連付けて、ファイルシステムの種類(T)や、パーティションに関する情報(N)、後処理に関する情報(P)などを記録した処理情報が格納されているものとする。
【0051】
利用者が、容量不足などを理由として第1のストレージデバイス20を、第2のストレージデバイス30に置き換えるため、受像装置10に第2のストレージデバイス30を接続して、移行処理のためのプログラムを起動すると、受像装置10が次のように動作する。
【0052】
まず、受像装置10は、図5に例示するように、受像装置10自身のメーカーに関係する製品関係情報を取得する(S11)。そして受像装置10は、第1のストレージデバイス20から第2のストレージデバイス30へのセクタコピー(移行処理)を実行する(S12)。
【0053】
受像装置10は、セクタコピーの終了後、第2のストレージデバイス30のファイルシステムを検証し(S13)、ここで検証に失敗した場合は(S13:失敗)、エラーを報知して(S14)、処理を終了する。
【0054】
一方処理S13において検証に成功したときには(S13:成功)、受像装置10は、処理S11で取得した製品関係情報に関連付けて処理情報に記録されているファイルシステムの種類(T)と、パーティションに関する情報(N)と、後処理に関する情報(P)とを取得する(S15)。
【0055】
そして受像装置10は、取得したパーティションに関する情報により示される録画データの格納先パーティションと、管理データの格納先パーティションとが互いに異なるパーティションとなっているか否かを調べる(S16)。
【0056】
ここで録画データの格納先パーティションと、管理データの格納先パーティションとが互いに異なっていれば(S16:Yes)、第1のストレージデバイス20に記録されている、管理データが含まれるパーティションに対して完全消去法による消去を実行して、第1のストレージデバイス20内の録画データの再生を不能とする(S17)。なお、このとき、処理S15で取得したパーティションに関する情報に、管理データを含むデータをバックアップしているパーティション(バックアップ用パーティション)が存在する旨の情報が含まれる場合、受像装置10は、当該バックアップ用パーティションについても、その内容を完全消去法により削除する。
【0057】
そして受像装置10は、処理S15で取得したファイルシステムの種類(T)やパーティションに関する情報(N)を参照して、録画データを記録するパーティションの格納領域が拡張可能であり、かつ、第1のストレージデバイス20の記録可能容量よりも第2のストレージデバイス30の記録可能容量が大きいか否かを判断する(S18:領域拡張可能性判断)。
【0058】
この処理S18において、録画データを記録するパーティションの格納領域が拡張可能であり、かつ、第1のストレージデバイス20の記録可能容量よりも第2のストレージデバイス30の記録可能容量が大きいときには(S18:Yes)、受像装置10は、当該録画データを記録するパーティションに対して領域拡張処理を実行する(S19)。この処理については既に説明したように、広く知られた方法を採用できるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0059】
受像装置10は、さらに、処理S15で取得した後処理の情報に、実行するべき後処理の指示があるときには、当該指示に従い、後処理を実行する(S20)。この後処理としては既に述べたように、第1のストレージデバイス20のUSBシリアル値を取得して、第2のストレージデバイス30のUSBシリアル値を、当該取得した第1のストレージデバイス20のUSBシリアル値に設定する(第2のストレージデバイス30を第1のストレージデバイス20のクローンとする)処理等である。
【0060】
また処理S18において、録画データを記録するパーティションの格納領域が拡張可能でないか、または、第1のストレージデバイス20の記録可能容量よりも第2のストレージデバイス30の記録可能容量が大きくないときには(S18:No)、受像装置10は処理S20に移行して処理を続ける。
【0061】
さらに処理S16において、録画データの格納先パーティションと、管理データの格納先パーティションとが互いに異なっていない場合(S16:No)、受像装置10は、当該録画データと管理データとを格納しているパーティション内のデータを完全消去法により削除して、録画データの再生を不能とし(S21)、処理S18に移行して処理を続ける。この場合も、処理S15で取得したパーティションに関する情報に、管理データを含むデータをバックアップしているパーティション(バックアップ用パーティション)が存在する旨の情報が含まれる場合、受像装置10は、当該バックアップ用パーティションについても、その内容を完全消去法により削除する。
【0062】
本実施の形態のこの例によると、テレビジョン装置のメーカーによって、ストレージ装置への録画データ等の記録フォーマットが異なるという事情があっても、当該録画データ等の転送が可能となり、また、移行元である第1のストレージデバイス20に格納されている録画データを再生不能とするにあたり、再生に必要なデータ部分を選択的に削除することとしている(録画データを含む全データの削除をするものではない)ので、移行前のストレージデバイス内のファイルの再生不能化を含む、移行処理の実行速度を向上できる。
【0063】
さらにこの例によると、第2のストレージデバイス30は、受像装置10のメーカーに関係する製品関係情報を参照して、他のストレージデバイスである第1のストレージデバイス20からの録画データの移行を受け入れ、上記製品関係情報に基づいて定められる記録態様で、移行処理の対象となった録画データを記録することとなる。
【0064】
[削除方法の変形例]
ここまでの説明では、録画データと管理データとが異なるパーティションに格納されているか否かにより、録画データの再生不能化の処理(以下、再生不能化処理と呼ぶ)態様を異ならせ、録画データと管理データとが異なるパーティションに格納されている場合には管理データを格納したパーティションを消去することとしていたが、本実施の形態はこれに限られない。
【0065】
例えば制御部11は、取得した製品関係情報に基づいて再生不能化処理の態様を異ならせてもよい。この例では、処理情報として製品関係情報に関連付けて再生不能化処理の内容を特定する情報を記録しておき、当該記録された情報で特定される再生不能化処理を行うこととしてもよい。
【0066】
[ストレージのメーカーによる制限]
また本実施の形態では、録画データの移行処理を行う制御部11は、移行処理に先立って、移行元のストレージデバイスである第1のストレージデバイス20のメーカーの情報(さらに機種の情報を含んでもよい)と、移行先のストレージデバイスである第2のストレージデバイス30のメーカーの情報(さらに機種の情報を含んでもよい)とを取得し、これらが所定の条件を満足しないときには、移行処理を実行しないよう制御してもよい。
【0067】
この条件としては、例えば、第1,第2のストレージデバイス20,30のメーカーがいずれも予め定めたメーカーであることとしてもよい。また別の条件として、第1のストレージデバイス20の機種よりも、第2のストレージデバイス30の機種のほうが、より新しい機種である、といった条件としてもよい。
【0068】
またここではメーカーや機種の情報を条件としたが、制御部11は、第2のストレージデバイス30の記録可能容量が、第1のストレージデバイス20の記録可能容量以上であるとの条件を、上記メーカー等の条件に代えて、あるいは上記メーカー等の条件とともに判断し、いずれかの条件を満足しない場合には移行処理を実行しないよう制御してもよい。
【0069】
[移行処理]
なお、ここまでの説明で、制御部11は、移行処理部22としての動作を行う際に、受像装置のメーカーの情報などの製品関係情報をキーとして、ファイルシステムの種類(T)と、パーティションに関する情報(N)と、後処理に関する情報(P)とを取得することとしていた。しかしながら本実施の形態はこれだけに限られない。例えば、同じメーカーであっても、製品種類などによって採用しているファイルシステムが異なる場合がある。
【0070】
そこで制御部11は、移行処理部22としての動作を行う際、第1のストレージデバイス20のファイルシステムの種類を特定する。このファイルシステムの種類の特定は、デバイスをマウントする際に参照するファイル(例えば/etc/fstab)を調べるか、あるいは、dfコマンドなどに相当するコマンドを用いて行えばよい。
【0071】
この例では、制御部11は、受像装置のメーカーの情報などの製品関係情報とともに、ここで特定したファイルシステムの種類の情報をキーとして、製品関係情報と、ファイルシステムの種類と、パーティションに関する情報(N)と、後処理に関する情報(P)とを関連付けた情報テーブルから、パーティションに関する情報(N)と、後処理に関する情報(P)とを取得する。そして制御部11は、これらの取得した情報を参照しつつ移行処理を行う。
【符号の説明】
【0072】
1 データ記録システム、10 受像装置、11 制御部、12 記憶部、13 操作部、14 出力部、15 インタフェース部、16 受像回路部、20 第1のストレージデバイス、21 情報取得部、22 移行処理部、30 第2のストレージデバイス。

図1
図2
図3
図4
図5