(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133533
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】流体力学的渦吸引カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20230914BHJP
A61B 17/22 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
A61B17/3207
A61B17/22
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126784
(22)【出願日】2023-08-03
(62)【分割の表示】P 2020504292の分割
【原出願日】2018-04-10
(31)【優先権主張番号】62/483,580
(32)【優先日】2017-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511000957
【氏名又は名称】ザ・リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ミシガン
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF MICHIGAN
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サバスターノ、ルイス エミリオ
(72)【発明者】
【氏名】プロット、ジェフリー スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】リュー、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、イーハオ
(72)【発明者】
【氏名】シー、アルバート ジョー - ミン
(57)【要約】
【課題】血管腔の中のナビゲーションおよび血栓の血栓除去のための吸引カテーテル・システムを提供すること。
【解決手段】システムは、カテーテル・ルーメンを画定するチューブ状のカテーテル部材と、真空供給源と、回転ドライブ・システムと、チャネルを有するフレキシブル・シャフトと、フレキシブル・シャフトの中に少なくとも部分的に選択的に挿入される随意的なガイドワイヤーとを含む。フレキシブル・シャフトは、チューブ状のカテーテル部材の中に少なくとも部分的に配設されており、その中での連結されていない回転運動および並進運動のために構成されており、また、随意的に、ドライブ・システムによる回転駆動に応答して、コークスクリュー運動力を画定するように構成されており、コークスクリュー運動力は、カテーテル・ルーメンの中の流体力学的渦の形成を結果として生じさせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管腔の中のナビゲーションおよび血栓の血栓除去に関連して使用するための吸引カテーテル・システムであって、前記吸引カテーテル・システムは、
開口した遠位端部、および、カテーテル・ルーメンを画定する内径を有する、チューブ状のカテーテル部材と、
前記血栓を吸引するために、前記カテーテル・ルーメンの中に真空を付与するように、前記チューブ状のカテーテル部材に操作可能に連結されている真空供給源と、
回転ドライブ・システムと、
チャネルを有するフレキシブル・シャフトであって、前記フレキシブル・シャフトは、前記回転ドライブ・システムに操作可能に連結されており、前記回転ドライブ・システムに応答して回転移動するように構成されており、前記フレキシブル・シャフトは、前記チューブ状のカテーテル部材の中に少なくとも部分的に配設されており、その中での連結されていない回転運動および並進運動のために構成されている、フレキシブル・シャフトと、
前記フレキシブル・シャフトの中に少なくとも部分的に選択的に挿入されるガイドワイヤー部材であって、前記ガイドワイヤー部材および前記フレキシブル・シャフトは、集合的に、前記血管腔をナビゲートし、それに沿った前記チューブ状のカテーテル部材の並進移動を操縦するのに十分になっており、前記ガイドワイヤー部材は、前記フレキシブル・シャフトから除去可能であるように構成されている、ガイドワイヤー部材と
を含む、吸引カテーテル・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2017年4月10日に出願された米国仮出願第62/483,580号明細書の利益を主張する。上記の出願の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、カテーテルに関し、より具体的には、可撓性の非形状シャフトの非常に高速の回転によって発生させられる流体力学的渦によって増強される吸引カテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
この章は、本開示に関連する背景情報を提供し、それは、必ずしも先行技術であるわけではない。この章は、本開示の一般的な概要を提供し、その全範囲またはその特徴のすべての包括的な開示ではない。
【0004】
血栓症は、血管の内側の血液塊の形成であり、循環系を通る血液のフローを妨害する。血栓の形成は、体の中の心臓または任意の動脈もしくは静脈の中で起こる可能性があり、たとえば、心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓症、および深部静脈血栓症などのような、無数の医学的問題につながる。迅速な血栓除去は、1)心臓もしくは脳などのような繊細な臓器の動脈の閉塞の場合;2)主要血管の中の血液フローを遮断するか、もしくは、深刻な症状を引き起こす大きな血塊の場合;または、3)薬物の全身送達が危険過ぎるときに、しばしば必要とされる。
【0005】
複数の血栓除去デバイスが、この10年間で出現した。しかし、これらのデバイスは、大きい血塊の負担、「組織された」(すなわち、太い)血塊、および、大きい血管から小さい血管へ延在する血塊に対して、多くの場合に非効果的であり続けており、多くのそのようなデバイスは、それらはカッティング・メカニズムまたは浸軟メカニズムを直接的に血管腔の中へ配設するときに、血塊の遠位塞栓および血管損傷を引き起こす。加えて、デバイスは、一般的に、特定の血管腔サイズに特有のものであり、それは、同じ手順の中で複数のサイズおよびタイプのデバイスを組み合わせる必要性につながる。脳卒中における機械的な血栓除去は、血管の蛇行性および血管壁の繊細な性質に基づいて追加的な課題を提示する。この点において、血塊を除去するために末梢血管系の中で成功裏に使用されてきた機械的な血栓除去メカニズムは(そのうちのいくつかは、下記に説明されている)、複雑な大脳動脈幾何学形状をナビゲートするにはあまりにも嵩張って硬く、微小血管閉塞につながるあまりに多くの血塊粒子を下流に放出し、または、繊細な脳動脈壁にとってあまりに研磨性を持つ。
【0006】
血管内血塊の吸引を強化するためのカテーテル形状の修正が、先行技術に示唆または開示されている。Aklogらによる米国特許第8,075,510号明細書では、吸い込みカニューレが説明されており、それは、第1の直径から相対的により大きい第2の直径へ拡張するように展開可能な漏斗形状の遠位端部を備えている。直径の差は、漏斗の内部表面に沿って円周方向に層流を誘発させ、吸い込みカニューレの遠位端部の中へ渦流れを発生させると考えられる。渦流れの存在下において、そのような流れは、望ましくない材料を遠位端部に向けて方向付けるように作用し、材料がその後に吸い込みによって遠位端部の中へ引き込まれることを可能にすることができる。
【0007】
ウォーター・ジェット血栓除去カテーテルに基づいて血栓除去を実現するために、他のシステムおよび方法が、先行技術において開示されている。説明されているカテーテルは、近位から遠位へのウォーター・ジェット・フロー(たとえば、Neracherによる米国特許第5,135,482号明細書など)を有するか、または、カテーテルの遠位端部におけるウィンドウ、オリフィス、またはギャップを通過し、カテーテルの中へ再進入し、排出ルーメンを通してフローを押す、遠位から近位へ方向付けられるウォーター・ジェット・フロー(たとえば、Bonnetteらによる米国特許第6,676,637号明細書など)を有することが可能である。Bonnette特許は、内側チューブを備えたデュアル・カテーテル・アッセンブリを説明しており、内側チューブは、高圧ルーメンを有しており、高圧ルーメンは、遠位に位置付けされたジェット・エマネーターを備えており、ジェット・エマネーターは、生理食塩水の1つまたは複数のジェットをフロー・ディレクターの遠位端部に向けて方向付けるための1つまたは複数の後ろ向きに方向付けされたオリフィスを有しており、フロー・ディレクターは、血塊を粉砕し、より大きい外側カテーテルの中へ血塊を引きずり込む。
【0008】
動脈および静脈の血行再建術によって血管腔の中の血栓除去のために血塊を粉砕するために、異なる浸軟メカニズムを備えたカテーテル・ベースの器具が、先行技術において示唆または開示されている。これらのデバイスによって、血塊は、より小さいピースへと分解され、そのほとんどは、さらに下流に移動し、中央閉塞を減少させる。Straubによる米国特許第5,876,414号明細書は、螺旋状形状のカッティング・ツールを回転させるロータリー・ドライブ・メカニズムによって構成された、血管をクリーニングするためのカテーテルを開示している。ローターが回転するときに、デュアル・カッティング・スロットが、血管壁に沿って材料に係合して切断する。Findlayによる米国特許第6,238,405号明細書は、遠位端部の近くにある剪断部材に隣接して回転可能なスクリュー・スレッド遠位端部を有する、材料を除去するための別のカテーテル・デバイスを開示している。真空と組み合わせて、「Archimedes」スクリュー作用を適用することによって、血栓が、剪断によって浸軟および除去されるために、デバイスの中へ引き込まれる。Authによる米国特許第5,695,507号明細書は、真空有りまたは真空無しでカテーテルを通して送達される螺旋状に巻かれたコイル・ワイヤーを説明しており、それは、動脈内腔の中の凝血塊の中のカテーテルの外側に配設され、500rpmから6000rpmの好適な速度で回転させられ、フィブリンがシャフトに巻き付けられることを引き起こす。フィブリン・ファイバーが回転するコアに追従するので、それらは、最終的に血塊から引き剥がされ、血塊は、その構造的なネットワークを喪失する。これは、赤血球を循環系の中へ解放して戻すことにつながる。その理由は、不溶性材料が、後の身体からの抽出のために、コア・ワイヤーの上に保持されるからである。米国特許第6,090,118号明細書は、ワイヤーを備えた機械的な血栓除去デバイスを開示しており、ワイヤーは、カテーテルの遠位に延在しており、血栓を分解または浸軟させるために、定常波を生成させるように回転させられる。米国特許出願公開第2002/0173812号明細書は、血栓除去ワイヤーを開示しており、それは、その遠位端部に波状の形状を有しており、実質的に真っ直ぐな非展開された位置においてシースの中に含有されている。シースが後退させられるときには、ワイヤーの遠位部分が露出させられ、ワイヤーがその非線形の波状の構成に戻ることを可能にする。モーターの作動は、ワイヤーの回転移動を引き起こし、波パターンを生成させ、血栓を浸軟させる。血塊を分裂させるための他の波状のまたはS字形状のロータリー・ワイヤーが、米国特許第9,282,992号明細書および米国特許第6,926,725号明細書、および米国特許出願公開第2004/0006306号明細書、米国特許出願公開第2017/0007290号明細書、および米国特許出願公開第2017/0007290号明細書に開示されている。上述のデバイスは、壊れやすい脳血管の中に見出される曲がりくねった通路を通過することを意図されない。その理由は、それらが、血塊材料を下流に放出し、脳卒中を引き起こすこととなるからであり、または、血管腔の中に直接的に配設されている浸軟メカニズムの作動が、繊細な血管の血管損傷につながることとなるからである。
【0009】
別のロータリー血栓除去メカニズムが、Nitaによる米国特許出願公開第2016/0166266号明細書に開示されており、それは、吸引カテーテルの中に配設されている形状決めされた先端部を備えた回転する長手方向のカッティング・エレメントを備えている。この回転するエレメントは、中間カテーテルなどのような補助「サポート・エレメント」の助けによって、吸引カテーテルがターゲットに到達した後に、適切な位置へ前進させられる。回転するエレメントを複雑な生体構造を通してカテーテルの端部の近くの位置へ前進させるために、それは、よじれまたはルーピング(looping)なしに押されるのに十分な剛性を有していなければならない。加えて、回転エレメントは、血塊浸軟のためのカッティング・ツールとしての役割を果たすために十分な剛性を備えるように構築される。この先行技術においてロータリー・エレメントの必要とされる剛性は、内側ガイドワイヤーの上を同軸にナビゲートされることができないこととともに、吸引カテーテルの先端部を超える、血管系の中の外傷を与えないナビゲーションのためのその使用を妨げることとなる。追加的に、ロータリー・エレメントの必要とされる剛性は、カテーテルの内側壁部に対抗して、大きい半径方向の力を生成させ、カテーテルの高い摩擦および急速な摩耗につながる。これは、特に、回転するエレメントが高い速度の回転のときにコークスクリュー運動を獲得する場合に関係しており、強力な流体力学的渦を発生させるために必要とされるトルク荷重を下回ってメカニズムが動作することを必要とする。
【0010】
先行技術は、幅の狭い非常に曲がりくねった血管系の中へのナビゲーションおよび閉塞材料をクリアにするための能力の両方に適切なスタンドアロンのデバイスを開示していない。そのような技術は、開発するのに挑戦的であることとなる。その理由は、安全な血管内ナビゲーションおよび同時の血塊浸軟のために必要とされる特徴が、一般的に対置させられるからである。
【発明の概要】
【0011】
本教示は、曲がりくねった血管系の中への外傷を与えないナビゲーションおよび機械的な血栓除去の両方のためのデバイスを生成させるために、先行技術の欠点を克服する。デバイスは、ガイドワイヤーの上を複雑な血管系の中に外傷を与えることなく展開され得る可撓性のナビゲーション・エレメントを含有する。このナビゲーション・エレメントは、(ナビゲーション・エレメントのルーメンの内側のガイドワイヤーおよびナビゲーション・エレメント自身の連結された剛性に基づいて)「足場」を提供し、挑戦的なターゲットへのより大きい直径の吸引カテーテルの同軸の前進を可能にする。このナビゲーション・エレメントは、その後に、カテーテルの中でシールドされ得り、外部真空と協働して「血栓除去エレメント」として作動させられ、血塊除去のための流体力学的渦およびコークスクリュー移動を発生させることが可能である。本発明の教示によれば、この技術は、ターゲット血管の中への強化されたナビゲーションのために、および、妨害的な血栓を除去することによる完全な再疎通のために、一体化されたメカニズムを提供する。ナビゲーションと血栓除去モードとの間を可逆的に移行することができるそのようなシステムは、より高速でより効率的でより簡単な血栓塞栓性材料の除去を可能にすることとなる。
【0012】
適用可能なさらなるエリアは、本明細書で提供される説明から明らかになることとなる。この概要のなかの説明および特定の例は、単に図示の目的のためのものであることを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書で説明されている図面は、単に、選択された実施形態およびすべてではないが考えられる実装形態の例示目的のためのものであり、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0014】
【
図1】本教示の原理による吸引カテーテル・システムを図示する分解斜視図である。
【
図2】本教示の原理による吸引カテーテル・システムの側面図であり、ガイドワイヤーが据え付けられており、ナビゲーション・エレメントが吸引カテーテルの遠位先端部を越えて延在させられていることを示す図である。
【
図3】本教示の原理による吸引カテーテル・システムの側面図であり、ガイドワイヤーが除去されており、ナビゲーション・エレメントが遠位開口部においてまたは吸引カテーテルの中を後退させられていることを示す図である。
【
図4】本教示の原理による吸引カテーテル・システムを図示する断面図である。
【
図5】本教示の原理による伸縮式のハイポチューブ・シールを図示する断面図である。
【
図6】本教示の原理によるギヤ・セットを図示する断面図である。
【
図7A】本教示の原理によるカテーテルの中に配設されているフレキシブル・シャフトを図示する概略端面図である。
【
図7B】本教示の原理によるカテーテルの中に配設されているフレキシブル・シャフトを図示する概略端面図である。
【
図7C】本教示の原理によるカテーテルの中に配設されているフレキシブル・シャフトを図示する概略端面図である。
【
図7D】本教示の原理によるカテーテルの中に配設されているフレキシブル・シャフトを図示する概略端面図である。
【
図8A】本教示のいくつかの実施形態によるフレキシブル・シャフトの斜視図である。
【
図8B】本教示のいくつかの実施形態による、カテーテルの中に配設されている
図8Aのフレキシブル・シャフトの側面図である。
【
図8C】フレキシブル・シャフトの変化するプロファイルを図示する概略断面図である。
【
図8D】フレキシブル・シャフトの変化するプロファイルを図示する概略断面図である。
【
図9A】本教示のいくつかの実施形態による、流体力学的な誘発特徴および/または偏心特徴を有するフレキシブル・シャフトの斜視図である。
【
図9B】本教示のいくつかの実施形態による、流体力学的な誘発特徴および/または偏心特徴を有するフレキシブル・シャフトの端面図である。
【
図9C】本教示のいくつかの実施形態による、流体力学的な誘発特徴および/または偏心特徴を有するフレキシブル・シャフトの斜視図である。
【
図9D】本教示のいくつかの実施形態による、流体力学的な誘発特徴および/または偏心特徴を有するフレキシブル・シャフトの端面図である。
【
図9E】本教示のいくつかの実施形態による、流体力学的な誘発特徴および/または偏心特徴を有するフレキシブル・シャフトの斜視図である。
【
図9F】本教示のいくつかの実施形態による、流体力学的な誘発特徴および/または偏心特徴を有するフレキシブル・シャフトの端面図である。
【
図10A】本教示のいくつかの実施形態による、偏心特徴を有するフレキシブル・シャフトの斜視図および端面図である。
【
図10B】本教示のいくつかの実施形態による、偏心特徴を有するフレキシブル・シャフトの斜視図および端面図である。
【
図10C】本教示のいくつかの実施形態による、偏心特徴を有するフレキシブル・シャフトの斜視図および端面図である。
【
図10D】本教示のいくつかの実施形態による、偏心特徴を有するフレキシブル・シャフトの斜視図および端面図である。
【
図11A】本教示のいくつかの実施形態による、フレキシブル・シャフトとともに使用するためのシャフト先端部の斜視図である。
【
図11B】本教示のいくつかの実施形態による、フレキシブル・シャフトとともに使用するためのシャフト先端部の斜視図である。
【
図11C】本教示のいくつかの実施形態による、フレキシブル・シャフトとともに使用するためのシャフト先端部の端面図である。
【
図11D】本教示のいくつかの実施形態による、フレキシブル・シャフトとともに使用するためのシャフト先端部の斜視図である。
【
図11E】本教示のいくつかの実施形態による、フレキシブル・シャフトとともに使用するためのシャフト先端部の斜視図である。
【
図11F】本教示のいくつかの実施形態による、フレキシブル・シャフトとともに使用するためのシャフト先端部の斜視図である。
【
図12】本教示のいくつかの実施形態による、カテーテルおよびフレキシブル・シャフトの部分断面図である。
【
図13A】本教示のいくつかの実施形態による、流体および/またはガイドワイヤー送達システムを有するカテーテルおよびフレキシブル・シャフトの部分断面図である。
【
図13B】本教示のいくつかの実施形態による、流体および/またはガイドワイヤー送達システムを有するカテーテルおよびフレキシブル・シャフトの部分断面図である。
【
図13C】本教示のいくつかの実施形態による、流体および/またはガイドワイヤー送達システムを有するカテーテルおよびフレキシブル・シャフトの部分断面図である。
【
図14A】本教示のいくつかの実施形態による、血栓除去の間のカテーテルおよびフレキシブル・シャフトの運動応答を図示する、カテーテルおよびフレキシブル・シャフトの部分断面図である。
【
図14B】本教示のいくつかの実施形態による、血栓除去の間のカテーテルおよびフレキシブル・シャフトの運動応答を図示する、カテーテルおよびフレキシブル・シャフトの部分断面図である。
【
図15A】本教示の原理による、カテーテルの中に配設されているフレキシブル・シャフトの運動を図示する概略端面図である。
【
図15B】本教示の原理による、カテーテルの中に配設されているフレキシブル・シャフトの運動を図示する概略端面図である。
【
図15C】本教示の原理による、カテーテルの中に配設されているフレキシブル・シャフトの運動を図示する概略端面図である。
【
図15D】本教示の原理による、カテーテルの中に配設されているフレキシブル・シャフトの運動を図示する概略端面図である。
【
図16A】血栓除去の間のカテーテルの中のフレキシブル・シャフトの軌道並進を図示するグラフである。
【
図16B】血栓除去の間にカテーテルの中に生成される圧力勾配を図示する圧力勾配グラフである。
【
図17A】本教示のいくつかの実施形態による方法を図示する概略図である。
【
図17B】本教示のいくつかの実施形態による方法を図示する概略図である。
【
図17C】本教示のいくつかの実施形態による方法を図示する概略図である。
【
図17D】本教示のいくつかの実施形態による方法を図示する概略図である。
【
図17E】本教示のいくつかの実施形態による方法を図示する概略図である。
【
図17F】本教示のいくつかの実施形態による方法を図示する概略図である。
【
図17G】本教示のいくつかの実施形態による方法を図示する概略図である。
【
図18A】本教示のいくつかの実施形態による方法を図示する概略図である。
【
図18B】本教示のいくつかの実施形態による方法を図示する概略図である。
【
図18C】本教示のいくつかの実施形態による方法を図示する概略図である。
【
図18D】本教示のいくつかの実施形態による方法を図示する概略図である。
【
図19A】本教示のいくつかの実施形態による、血栓除去の間のフレキシブル・シャフトのコークスクリュー運動または螺旋状運動を図示する、カテーテルおよびフレキシブル・シャフトの部分断面図である。
【
図19B】本教示のいくつかの実施形態による、血栓除去の間のフレキシブル・シャフトのコークスクリュー運動または螺旋状運動を図示する、カテーテルおよびフレキシブル・シャフトの部分断面図である。
【
図19C】本教示のいくつかの実施形態による、血栓除去の間のフレキシブル・シャフトのコークスクリュー運動または螺旋状運動を図示する、カテーテルおよびフレキシブル・シャフトの部分断面図である。
【
図19D】本教示のいくつかの実施形態による、血栓除去の間のフレキシブル・シャフトのコークスクリュー運動または螺旋状運動を図示する、カテーテルおよびフレキシブル・シャフトの部分断面図である。
【
図19E】本教示のいくつかの実施形態による、血栓除去の間のフレキシブル・シャフトのコークスクリュー運動または螺旋状運動を図示する、カテーテルおよびフレキシブル・シャフトの部分断面図である。
【
図19F】本教示のいくつかの実施形態による、血栓除去の間のフレキシブル・シャフトのコークスクリュー運動または螺旋状運動を図示する、カテーテルおよびフレキシブル・シャフトの部分断面図である。
【
図19G】本教示のいくつかの実施形態による、血栓除去の間のフレキシブル・シャフトのコークスクリュー運動または螺旋状運動を図示する、カテーテルおよびフレキシブル・シャフトの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
対応する参照番号は、図面のいくつかの図の全体を通して、対応するパーツを示している。
【0016】
ここで、例示的な実施形態が、添付の図面を参照して、より完全に説明されることとなる。この開示が完全であって当業者にその範囲を十分に伝えることができるように、例示的な実施形態が提供される。本開示の実施形態の完全な理解をもたらすべく、特定の構成要素、装置、および、方法の例などの多くの特定の詳細が記載される。当業者であれば分かるように、具体的な詳細が用いられる必要がなく、実施形態の例が多くの異なる形態で具現化されてもよく、および、いずれも開示の範囲を限定するように解釈されるべきでない。いくつかの例示的な実施形態では、周知のプロセス、周知のデバイス構造体、および周知の技術は、詳細には説明されていない。
【0017】
本明細書で使用される専門用語は、特定の例示的な実施形態のみを説明する目的のためのものであり、限定することは意図していない。本明細書で使用されているように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が別段に明確に示唆しなければ、複数形も含むように意図され得る。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(including)」、および/または、「有する」という用語は、包括的であり、したがって、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、エレメント、および/または、コンポーネントの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、エレメント、コンポーネント、および/または、それらのグループの存在または付加を排除しない。本明細書で説明されている方法ステップ、プロセス、および動作は、実施の順序として具体的に識別されていない場合には、議論または図示されている特定の順序でのそれらの実施を必ず必要とするものとして解釈されるべきではない。また、追加的なまたは代替的なステップが用いられ得るということも理解されるべきである。
【0018】
あるエレメントまたは層が、別のエレメントまたは層「の上にある」、「に係合されている」、「に接続されている」、または、「に連結されている」と称されているときには、それは、他のエレメントまたは層の上に直接的にあってもよく、他のエレメントまたは層の上に直接的に係合されていてもよく、他のエレメントまたは層の上に直接的に接続されていてもよく、または、他のエレメントまたは層の上に直接的に連結されてもよく、または介在するエレメントまたは層が存在していてもよい。それとは対照的に、あるエレメントが、別のエレメントまたは層「の直接的に上にある」、「に直接的に係合されている」、「に直接的に接続されている」、または、「に直接的に連結されている」と称されているときには、介在するエレメントまたは層は存在することができない。エレメント同士の間の関係を説明するために使用されている他の語句は、同様に解釈されるべきである(たとえば、「の間に」対「の間に直接的に」、「に隣接して」対「に直接的に隣接して」など)。本明細書で使用されているように、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上の任意のおよびすべての組み合わせを含む。
【0019】
第1の、第2の、第3のなどの用語が、さまざまなエレメント、コンポーネント、領域、層、および/またはセクションを説明するために本明細書で使用されている可能性があるが、これらのエレメント、コンポーネント、領域、層、および/またはセクションは、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つのエレメント、コンポーネント、領域、層またはセクションを、別の領域、層またはセクションから区別するために使用されているに過ぎない可能性がある。「第1の」、「第2の」などのような用語、および、他の数値用語は、本明細書で使用されるときには、文脈によって明確に示唆されなければ、シーケンスまたは順序を暗示していない。したがって、下記に議論されている第1のエレメント、コンポーネント、領域、層、またはセクションは、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2のエレメント、コンポーネント、領域、層またはセクションと呼ばれ得る。
【0020】
「内側」、「外側」、「真下」、「下方」、「下側」、「上方」、「上側」などの空間的に相対的な用語は、図に図示されているように、別のエレメントまたは特徴に対する1つのエレメントまたは特徴の関係を説明するために、説明しやすさのために本明細書で使用されている可能性がある。空間的に相対的な用語は、図に示されている配向に加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる配向を包含することが意図されている可能性がある。たとえば、図の中のデバイスが反転されている場合には、他のエレメントまたは特徴の「下方」または「真下」として説明されているエレメントは、他のエレメントまたは特徴の「上方」に配向されることとなる。したがって、「下方」という例示的な用語は、上方および下方の両方の配向を包含することが可能である。デバイスは、その他の方法で配向されてもよく(90度または他の配向に回転させられてもよい)、本明細書で使用されている空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈され得る。
【0021】
本教示の原理によれば、フレキシブル・シャフト12の回転によって発生させられる流体力学的渦を実装する吸引カテーテル・システム10が提供され、それは、有利な構築および使用の方法を有しており、それは、とりわけ、流体力学的な力および並進移動を発生させ、キャビティーまたはルーメンの中の血塊100または他の妨害する材料(集合的に、本明細書で「血塊100」と称される)に係合し、引っ張りこみ、粉砕し、および/または除去するように構成されている。本明細書で詳細に説明されることとなるように、フレキシブル・シャフト12は、高速で回転し、少なくともカテーテル14の内部壁部によって画定されるエリア(その中にシャフトが配設されている)の中において、シャフトの連結されていない回転および並進運動を伴う。一般的に、フレキシブル・シャフト12は、血栓除去モードの間に10,000RPMよりも大きい速度で回転する。
図16Aは、コンピュータ計算による流体力学モデリングからの、フレキシブル・シャフト12が90,000RPMで回転している状態のカテーテルの断面における圧力場である。回転しているフレキシブル・シャフト12は、それを取り囲む流体を駆動し、同じ方向に回転し、シャフト12とカテーテル壁部17との間のギャップを横切って圧力勾配を生成させる。この圧力勾配は、フレキシブル・シャフト12を押し、カテーテル14の内側で軌道並進を行う。この軌道並進運動は、流体力学的な力、および、シャフト12の長さに沿った質量エレメントの位相遅れとともに、フレキシブル・シャフトがコークスクリュー方式で少なくとも部分的にカテーテルの中で作動することを引き起こすことができる渦を誘発させる。いくつかの実施形態では、フレキシブル・シャフト12の回転は、カテーテル14の内側のフレキシブル・シャフト12の並進運動と直接的には相関付けされていない。回転シャフトのこの並進運動は、閉じ込めカテーテル14の中心軸線に対して垂直の平面に対して、垂直になっているか、平行になっているか、または、それらの任意の組み合わせであることが可能である。いくつかの実施形態では、吸引カテーテル・システム10は、カテーテル14に流体連結されている真空供給源を含む。
【0022】
とりわけ
図1を参照すると、いくつかの実施形態では、吸引カテーテル・システム10は、カテーテル14の中に配設されているフレキシブル・シャフト12を含む。カテーテル14は、カテーテル接続ポイント16に選択的に連結され得る。カテーテル接続ポイント16は、カテーテル14が選択的に除去されるか、交換されるか、または、その他の方法で、吸引カテーテル・システム10の残りの部分に対して操作されることを可能にする。いくつかの実施形態では、カテーテル接続ポイント16は、吸引カテーテル・システム10の残りに対するカテーテル14の独立した回転を許容し、ナビゲーション能力を改善する。
【0023】
カテーテル接続ポイント16は、真空ポート・アッセンブリ18に取り付けられ得るか、または、真空ポート・アッセンブリ18と一体的に形成され得り、真空ポート・アッセンブリ18は、真空ポート20および調節可能なカテーテル・スライディング・ロック22を有している。真空ポート20は、カテーテル14の中におよびカテーテル14の遠位端部15に真空圧力を働かせるために、真空供給源24に操作可能に連結されており、本教示の原理にしたがって、カテーテル14の遠位端部15の中へ、および、真空ポート20の中へ、血塊100を吸い込む。いくつかの実施形態では、真空圧力は、おおよそ-100kPaから-5kPaの間の大きさを伴って、おおよそ5Hzから1000Hzの間の異なる周波数で圧力を変化させることによって、動的な方式で送達される。いくつかの実施形態では、真空圧力は、一定になっている。
【0024】
いくつかの実施形態では、カテーテル・スライディング・ロック22は、フレキシブル・シャフト12およびカテーテル14の遠位端部15のカスタマイズ可能なスペーシングを可能にする。いくつかの実施形態では、カテーテル・スライディング・ロック22は、フレキシブル・シャフト12の遠位端部13が最大血塊溶解ゾーンを越えて突出することなく最大血塊溶解ゾーンの中にあるように調節され得る。いくつかの実施形態では、フレキシブル・シャフト12の遠位端部13は、カテーテル14の遠位端部15を越えて延在しない。これは、フレキシブル・シャフト12および関連の組織の接触が回避されるべき用途において、とりわけ有用である。いくつかの実施形態では、フレキシブル・シャフト12の遠位端部13は、カテーテル14の遠位端部15を越えて延在している。これは、フレキシブル・シャフト12および関連の組織の接触が望まれる用途において、とりわけ有用である。
【0025】
いくつかの実施形態では、真空ポート・アッセンブリ18は、伸縮式のハイポチューブ26に連結されており、伸縮式のハイポチューブ26は、シャフト前進スライダー28がカテーテル14の長手方向軸線に沿ってフレキシブル・シャフト12を移動させることを許容し、カテーテル14の遠位端部15のナビゲーションを促進させる。いくつかの実施形態では、シャフト前進スライダー28は、フレキシブル・シャフト12が、少なくとも10mmよりも大きい距離だけ、好ましくは、少なくとも80mmよりも大きい距離だけ、カテーテル14の遠位先端部15を越えて延在することを可能にする。ハイポチューブ26は、伸縮式のハイポチューブ・シール30に沿って延在することが可能であり、伸縮式のハイポチューブ・シール30は、ハイポチューブ26がシールを維持しながら伸縮することを可能にし、(カテーテル14の遠位端部15以外のデバイスのすべてのパーツにおける真空喪失を防止することによって)真空喪失を防止することを助け、それによって、カテーテル14の遠位端部15における真空および血栓除去パワーを最大化する。ハイポチューブ・クランプ31は、オペレーターによる促進のために、伸縮式のハイポチューブ26をシャフト前進スライダー28に固定している。より具体的には、シャフト前進スライダー28は、ユーザーがカテーテル14の遠位端部15を超えてフレキシブル・シャフト12を選択的に前進させることを可能にし、それによって、血管の中でのナビゲーションを促進させることを助ける。
図2は、ナビゲーションのためにカテーテル14の遠位端部15を超えて前進させられたフレキシブル・シャフト12およびガイドワイヤー50を図示している。
図3は、除去されたガイドワイヤー50、および、血栓除去のためにカテーテル14の中の適切な位置にロックされたフレキシブル・シャフト12を図示している。
【0026】
図1、
図4、および
図6を参照すると、ドライブ・システム32が、本教示の原理にしたがって、フレキシブル・シャフト12を回転可能に駆動する(たとえば、回転エネルギーを提供する)ために設けられている。いくつかの実施形態では、ドライブ・システム32は、出力シャフト36を有するモーター34を含み、出力シャフト36は、ギヤ・セット38に操作可能に連結されており、ギヤ・セット38は、フレキシブル・シャフト12に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、改善されたパッケージングおよび効率のために、モーター34は、シャフト前進スライダー28の内部スペースの中に配設されている。フレキシブル・シャフト12および/またはギヤ・セット38は、1つまたは複数の軸受40によって回転可能に支持され得る。
【0027】
吸引カテーテル・システム10のコンポーネントは、ハンドヘルド式のまたは他の適当にサイズ決めされたハウジング42の中に含有され得る。
【0028】
フレキシブル・シャフト
フレキシブル・シャフト12に関する特定の議論によって、いくつかの実施形態では、フレキシブル・シャフト12は、十分なフレキシビリティーを有しており、きついコーナー(典型的に、10mmよりも小さい曲率半径)の周りに曲げられるかまたは湾曲させられることを許容し、また、恒久的な変形を誘発させることなく360度程度の大きさの角度をターンすることを許容するということが理解されるべきである。いくつかの実施形態では、フレキシブル・シャフト12は、耐トルク性になっており、フレキシブル・シャフト12が、故障なく、ドライブ・システム32から血塊100へ高い回転エネルギーを伝達することができるようになっている。
【0029】
この目的のために、
図7A~
図7Dに図示されているように、フレキシブル・シャフト12は、中実であるか、中空であるか、もしくは、それらの組み合わせであることが可能であり、および/または、編組みされているか、もしくは、単一のストランドであるか、または、それらの組み合わせである。中空の構成および/または編組みされた構成は、回転エネルギーの高い伝達効率を保証しながら、フレキシビリティーおよび耐トルク性を増加させることが可能である。中空のフレキシブル・シャフト12を用いる構成では(
図7B~
図7Dを参照)、ガイドワイヤー50は、中空のフレキシブル・シャフト12の中に延在し(
図7Cを参照)、血管系を通したフレキシブル・シャフト12の遠位端部13および/またはカテーテル14のナビゲーションを促進させることが可能であり、および/または、カテーテル14の側壁部の中に形成されたカテーテル14の中空の部分52の中に延在することが可能である(
図7Dを参照)。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤー50は、その遠位端部51において、所定の形状、たとえば、J字、U字など、または、他の形状を含み、望まれる場合には、血管内ナビゲーションを促進させることが可能である。ガイドワイヤー50は、随意的に操縦可能になっており、また、フレキシブル・シャフト12の外側を、および、カテーテル14の遠位端部15の外側を前進させられ、血塊100の中へ、および、ターゲット血管の中へ、フレキシブル・シャフト12およびカテーテル14の前進を促進させることが可能である。そのうえ、フレキシブル・シャフト12は、また、カテーテル14の遠位端部15を越えて、ガイドワイヤーに沿って選択的に前進させられ、追加的な足場を生成させ、所望の位置へのカテーテル14の前進を促進させることを助けることが可能である。所望の位置にカテーテル14を前進させると、フレキシブル・シャフト12は、カテーテル14の遠位先端部15に向けて、カテーテル14の完全に内側にまで引き抜かれ得り、ガイドワイヤー50は、必要に応じて、フレキシブル・シャフト12の中へ、または、デバイスの完全に外側に引き抜かれ得る。次いで、フレキシブル・シャフト12は、高速で回転させられ、本明細書で説明されているように血栓除去を実施する。
【0030】
好適な実施形態では、特定のデバイスおよび手術において、同じフレキシブル・シャフト12が、「ナビゲーション・エレメント」、「足場エレメント」、および「血栓除去エレメント」として使用される。これらの機能は、それらの間で逆に移行され得る。これは、中空のフレキシブル・シャフト12を使用することを通して実現され得り、中空のフレキシブル・シャフト12は、シャフト前進スライダー28によって線形に作動させられ、必要に応じて、同軸のガイドワイヤー50と連結され、異なるモーダリティーおよび強度において、ドライブ・システム32によって作動させられ得る。
【0031】
フレキシブル・シャフト12は、好ましくは、滑らかになっており、テーパー付きの遠位端部を有している(遠位部分は、好ましくは、近位端部と比較して直径がより小さくなっている)。このフレキシブル・シャフト12は、「ナビゲーション・エレメント」として作用するときに、遠位カテーテル開口部を越えて(好ましくは、少なくとも80mm)、複雑で非常に曲がりくねった血管系の中へ、外傷を与えることなくガイドワイヤーの上を前進させられ得る。同軸の内側ガイドワイヤー50の使用は、よじれまたはルーピング(それは、シャフト12がカテーテルの遠位先端部に到達することを妨げる可能性があり、また、シャフト12に損傷を与える可能性がある)なしにカテーテルの内側を前進するためのシャフト12の能力を改善することが可能である。フレキシブル・シャフト12が「ナビゲーション・エレメント」として作用するときには、それは、ドライブ・システム32および/またはオペレーターの手によって発生させられる、揺動運動、回転運動、並進運動、または振動運動を提供され得る。この電動「ナビゲーション・エレメント」は、これらの同軸のエレメントとそれら自身および血管系との間の摩擦を低減させることによって、ガイドワイヤー50、フレキシブル・シャフト12、および/またはカテーテル14の設置を支援することが可能である。これは、吸引カテーテル・システム10が、曲がりくねった幾何学形状を通って前進することを促進させることとなり、また、不規則なルーメンおよび/または狭窄した幾何学形状を通して前進することを促進させることとなり、また、より大きいカテーテルの前進を促進させることとなる。
【0032】
シャフト12は、中間カテーテルと実質的に同等の様式で、挑戦的なターゲットへのカテーテル14の同軸オーバー・ザ・シャフト(over-the-shaft)前進を可能にすることによって、「足場エレメント」としての役割を果たすことが可能である。フレキシブル・シャフト12は、カテーテル14のスタンドアロンのオーバー・ザ・シャフト前進を可能にするにはあまりにも可撓性である可能性があるが、シャフト12と内側ガイドワイヤー50との組み合わせは、カテーテル14のオーバー・ザ・シャフト前進のための十分な構造および剛性を提供することが可能である。シャフト12の上でのカテーテル14の前進は、ドライブ・システム32またはオペレーターの手によって動力を与えられる、シャフト12、カテーテル14、またはその両方の組み合わせの揺動運動、回転運動、並進運動、または振動運動のうちの1つまたは組み合わせによって促進され得る。ガイドワイヤー50、シャフト12、およびカテーテル14は、連結された方式でまたは連結されていない方式で、同時にまたはシーケンシャルに、長手方向に並進させられ得る。例として、これらのデバイスのうちのいくつかまたはすべては、他のデバイスのうちのいくつかまたはすべてに対して移動することが可能である。
【0033】
吸引カテーテル14が、ターゲット(それは、一般的に凝血塊の付近または中にある)の中に設置された後に、好適な実施形態では、シャフト12が、カテーテル14の中にシールドされ、ガイドワイヤー50が、シャフト・ルーメンから少なくとも部分的に除去され、シャフト12が、「血栓除去エレメント」としてドライブ・システム32によって作動させられ、
図16Bに示されているように、急な斜めの圧力勾配を伴う流体力学的渦を発生させる。いくつかの実施形態では、
図8A~
図8Bに図示されているように、フレキシブル・シャフト12は、異なる直径および巻線の組み合わせを有する複数のセグメントから構成され得る。すなわち、フレキシブル・シャフト12は、第1のセグメント54および第2のセグメント56(または、追加的なセグメント)を含むことが可能である。これは、フレキシブル・シャフト12が重要なパラメーターに関して最適化されることを可能にし、重要なパラメーターは、たとえば、近位端部における捩じり強度、遠位先端部におけるフレキシビリティー、ならびに、ナビゲーションおよび高速回転の間のシャフトの収縮/伸長傾向(それは、スプリングのように作用し、スプリングは、シャフト12を巻き上げ、締め付け、短縮させることが可能であり、または、シャフト12を巻き戻し、伸長させることが可能である)などである。いくつかの実施形態では、シャフト12の巻線は、反対側方向になっている。いくつかの実施形態では、フレキシブル・シャフト12は、捩じり強度のために、近位端部において、より大きい直径の巻きを含み(好適な実施形態では、0.060”~0.070”の間のIDを有するカテーテルに関して、シャフト12ODは、0.026”~0.040”の間にあり、0.016”~0.024”の間のIDを有しており、おおよそ50Nmm^2から5000Nmm^2の間の曲げ剛性を有しており、ここで、曲げ剛性は、ヤング率にフレキシブル・シャフト12の断面二次モーメントを掛けたものとして定義される)、また、遠位先端部においておよび遠位先端部の近くにおいて、より小さい直径の巻きを含み(典型的に、0.026”~0.034”の間のODであり、0.016”~0.024”の間のIDを有しており、おおよそ5Nmm^2から50Nmm^2の間の曲げ剛性を有している)、曲がりくねった血管を通してナビゲートすることを助ける。このより低い曲げ剛性の遠位長さは、好ましくは、フレキシブル・シャフト12の遠位先端部13から0.5”~20”の間に延在している。
図8Cに図示されているように、複数のシャフト12セグメント構成は、フレキシブル・シャフト12を構築するために使用されるワイヤーの断面サイズを直径d
pから直径d
dへ変化させることによって実現され得り、ここで、直径d
pは、直径d
dよりも大きくなっているか、直径d
dよりも小さくなっているか、または直径d
dとは異なっているということが認識されるべきである。そのうえ、巻線の複数の層が、さまざまな捩じり剛性および曲げ剛性を実現するために追加され得る(
図8Dを参照)。そのうえ、異なる材料は、異なるシャフト剛性を実現するために使用され得る。これらの材料は、一般的に、ステンレス鋼またはニチノールである。また、センタレス研削が、特定のセクションにおけるフレキシブル・シャフト12の外径を低減させ、そのシャフト・セグメントの剛性を低減させるために使用され得る。
【0034】
フレキシブル・シャフト12の外径は、好ましくは、吸引カテーテル14の内径の20~80%である。より大きいシャフト12は、血栓除去の間のより高いトルクおよび曲げ力を許容し、カテーテル14の外傷を与えない同軸の前進を促進させる。しかし、より大きいシャフト12は、真空パワーの降下を引き起こす傾向があり、ナビゲーションの間にガイドワイヤー50の上を血管内スペースの中へ容易に前進することができない。より小さいシャフト12は、より容易にナビゲートし、真空パワー損失を最小化することが可能であるが、カテーテル14の同軸の前進に十分な構造、または、渦発生に必要とされるトルク荷重に抵抗するのに十分な構造を提供することができない。
【0035】
いくつかの実施形態では、同じシャフト12は、異なるゾーンを有し、本明細書で説明されている特徴の組み合わせによって、耐トルク性および回転エネルギーを最適化することが可能である。これらのゾーンは、溶接、糊付け、研削、または、当業者に公知の他の方法によって生成され得る。シャフト設計の変化は、連続的な移行、段階的な移行、または、その両方の組み合わせであることが可能である。たとえば、ドライブ・システム32に最も近いフレキシブル・シャフト12のベースにおいて、フレキシブル・シャフト12の巻線は、非常にきつくなっており、場合によっては、より大きい直径を含み、典型的にその場所において経験される高い捩じり力に抵抗することを助けることが可能である。次いで、フレキシブル・シャフト12の遠位端部に向けて、フレキシブル・シャフト12の巻線、および/または、フレキシブル・シャフト12の直径は、より小さい捩じり力が典型的に遠位端部の近くで経験されるので、漸進的に減少させられ得る。これは、血栓除去を可能にする回転エネルギーの送達を最適化しながら、フレキシビリティーを強化するように作用し、および/または、フレキシブル・シャフト12直径を減少させるように作用することが可能である。
【0036】
いくつかの実施形態では、フレキシブル・シャフト12は、連続的な構造体であることが可能であり、または、複数のセグメントによって形成され得る。これらのセグメントは、たとえば、それに限定されないが、接着剤、溶接、または、回転力の伝達を可能にする他のジョイントを使用して、互いに接続され得る。
【0037】
フレキシブル・シャフト12のコイリング密度(コイル/長さ/数およびフィラーの厚さ)は、異なるフレキシブル・シャフトの中で、または、同じシャフトの長さに沿って、異なっていることが可能である。1つの実施形態では、0.003”~0.008”の間の厚さを有する3つから12個の間のフィラーが存在している。典型的に、より大きいフィラー・カウントおよびより大きいフィラー厚さは、より硬くてより強力なシャフトに対応しており、一方、より小さいフィラー・カウントおよびより小さいフィラー厚さは、より低い曲げ剛性を有するより可撓性でより柔軟なシャフトに対応している。追加的に、より大きい外径を有するシャフトは、典型的に、より小さい外径を有するシャフトと比較したときに、より高い剛性および捩じり強度を有することとなる。
【0038】
フレキシブル・シャフト12の断面設計は、さまざまな異なる幾何学的な形状のものであることが可能であり、形状の例は、それに限定されないが、円形、三角形、正方形、およびその他を含む。フレキシブル・シャフトの断面設計は、異なるシャフトの中で、または、同じシャフトの長さに沿って異なっていることが可能である。したがって、フレキシブル・シャフト12(および、カテーテル14)は、デバイスの合計長さに沿って、一定の直径を有する必要はないということが認識されるべきである。いくつかの場合では、近位端部においてシャフトおよびカテーテル直径を増加させることが有益であることとなり、近位端部では、高い強度および押し込み性、または、よじれもしくはルーピングなしに物体が押される/前進させられるための能力が必要とされるが、しかし、より少ないフレキシビリティーも必要とされる。1つの実施形態では、フレキシブル・シャフト12の近位端部の外径は、おおよそ8フィラー巻線を備えたおおよそ0.036”であり、一方、遠位端部は、4フィラー巻線を備えたおおよそ0.032”である。他の場合では、真空効率および血栓除去有効性を強化するために、カテーテル14の直径を遠位端部に向けて増加させることが有益であることとなる。
【0039】
いくつかの実施形態では、フレキシブル・シャフト12のフレキシビリティーおよび耐トルク性は、フレキシブル・シャフト12の直径、材料、幾何学的特徴、および編組特徴を変化させることによって、ならびに/または、異なる剛性を有するガイドワイヤー50をフレキシブル・シャフト12の中に導入することによって、修正され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、フレキシブル・シャフト12は、ステンレス鋼などのような金属から作製されている。それは、ステンレス鋼フィラメントをマンドレルの周りに巻き付け、中空のシャフトを作り出すことを通して、作製され得る。好ましくは、シャフト12は、中空のチャネルを含み、使用の間の破壊に抵抗するのに十分な捩じり強度を同時に実現しながら、ガイドワイヤー50がシステム・ナビゲーションのためにフレキシブル・シャフト12の中を同軸に前進させられることを可能にする。
【0041】
いくつかの実施形態では、フレキシブル・シャフト12は、複数のルーメンから構成され得り、複数のルーメンは、互いに接続されているか、互いに接続されていないか、または、それらの組み合わせのいずれかである。例として、3つのシャフトが存在することが可能であり、それぞれが、自分自身のルーメンを備えており、3つのシャフトは、追加的なルーメンを形成するように組み合わせられており、ガイドワイヤーが、追加的なルーメンを通してスライドさせられ得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、
図8A~
図8Bおよび
図9A~
図9Fに図示されているように、フレキシブル・シャフト12は、1つまたは複数の流体力学的な誘発特徴58を含み、1つまたは複数の流体力学的な誘発特徴58は、フレキシブル・シャフト12の回転の間の流体力学的な力を強化する。流体力学的な強化特徴58は、それに限定されないが、フレキシブル・シャフト12のシャフト全体に沿って、または、フレキシブル・シャフト12の遠位端部13の近くに、または、フレキシブル・シャフト12の遠位端部13に取り付けられた、フィン、バンプ、リッジ、および表面マイクロ特徴を含むことが可能である。いくつかの実施形態では、流体力学的な強化特徴58は、流体力学的な力を増加させ、血塊100の破壊および/または浸軟を強化する。
【0043】
いくつかの実施形態では、
図8A~
図8B、
図9A~
図9F、および
図10A~
図10Dに図示されているように、フレキシブル・シャフト12は、1つまたは複数の偏心特徴60を含み、フレキシブル・シャフト12の並進運動をさらに誘発させ、血栓除去メカニズムを強化する。いくつかの実施形態では、流体力学的な強化特徴58および偏心特徴60は、両方の機能を果たす同じ特徴であることが可能であるということが理解されるべきである。これらの偏心特徴60は、偏心的に巻かれたシャフト、フレキシブル・シャフト12の一部に固定された偏心質量、フレキシブル・シャフト12の上の偏心先端部、または、それらの組み合わせの形態のものであることが可能である。理想的な偏心特徴60は、依然として、回転の間にフレキシブル・シャフト12の中に並進運動を誘発させるのに十分に大きくなっていながら、フレキシブル・シャフト12のフレキシビリティーを著しく減少させないように、サイズが最小になることとなる。加えて、それは、理想的には、テーパー付きになっているべきであり、また、外傷を与えない構成を有し、シャフトの安全な血管内ナビゲーションを可能にするべきである。この偏心特徴は、任意の長さのものであることが可能であり、フレキシブル・シャフト12の長さに沿って、任意のポイントにまたはいくつかのポイントに配設され得り、また、フレキシブル・シャフト12の最も遠位の端部を越えて延在することさえも可能である。
【0044】
別の実施形態では、シャフト12またはシャフト先端部64に少なくとも部分的に沿ったオフ・センター・チャネルが、偏心特徴を生成させることとなる。
【0045】
また、フレキシブル・シャフト12は、それに限定されないが、フレキシブル・シャフト、流体環境12、および血塊100の間の摩擦を増大させるための研磨コーティング、表面マイクロ特徴、およびパターニングを含む、特徴を有することが可能である。これは、より強力な流体力学的な波、および、フレキシブル・シャフト12による血塊100の把持へと変換することとなり、カテーテル14の中への血塊100の強化されたコークスクリュー内向き牽引力を結果として生じさせる。
【0046】
また、フレキシブル・シャフト12は、それに限定されないが、シャフト12、ガイドワイヤー50、およびカテーテル14の間の摩擦を低減させるために、その長さに少なくとも部分的に沿って、外側ルーメンおよび/または内側ルーメンの中に潤滑コーティングを含む、特徴を有することが可能である。
【0047】
フレキシブル・シャフト12は、前進させられるかまたは引き抜かれ、最大血栓除去ゾーン74の中へのその位置を最適化し、シャフトと係合ゾーンの中の血塊100との間の相互作用を最適化することが可能である。加えて、それは、カテーテル14から完全に引き抜かれ、必要とされる場合には交換され得る。
【0048】
フレキシブル・シャフト12、ガイドワイヤー50、および/またはカテーテル14の前進または後退は、ユーザーの手またはドライブ・システム32によるフレキシブル・シャフト12の非常に低い速度の回転(典型的に、<200rpm)、振動、または揺動(典型的に、2Hzよりも大きい)によって強化され得る。この動作モードは、デバイス・ナビゲーションのためのものであるということが留意されるべきである。血栓除去のために、好適な実施形態は、フレキシブル・シャフト12を伴っており、フレキシブル・シャフト12は、カテーテル14の中に完全に含有されており、本明細書で記載されているように、より高い速度で回転させられる。
【0049】
いくつかの実施形態では、フレキシブル・シャフト12は、本明細書で説明されているように、血管系の中へナビゲートされ得り、次いで、足場として使用され、カテーテル・オーバー・ア・シャフト(catheter over-a-shaft)を前進させることが可能である。カテーテル14の前進または後退は、ユーザーの手またはモーター(渦発生のために高速回転を引き起こすモーターと同じモーターもしくは異なるモーター)によるカテーテル14の非常に低い速度の回転(典型的に、<200rpm)、振動、または揺動(典型的に、2Hzよりも大きい)によって強化され得る。同じシャフトが、異なるゾーンを有し、上記に述べられている特徴の組み合わせによって足場を最適化することが可能である。
【0050】
いくつかの実施形態では、
図8A~
図8Bおよび
図11A~
図11Fに図示されているように、フレキシブル・シャフト12は、シャフト先端部64を含み、シャフト先端部64は、フレキシブル・シャフト12の遠位端部13に接続可能であるか、それに連結されており、または、その他の方法でフレキシブル・シャフト12の遠位端部13から延在している。いくつかの実施形態では、シャフト先端部64は、丸みを付けられ、血管の中のナビゲーションの間に滑らかな外傷を与えない縁部66を有しており、血栓除去モードの間に1つまたは複数の鋭いエッジ68を有することが可能である。これは、それに限らないが、1) 角度の付けられた位置にある溝部を含むことによって実現され得り、2つのエッジ(一方は、鋭いエッジであり、他方は、鈍いエッジである)を結果として生じさせる(
図11A~
図11Cを参照)。フレキシブル・シャフト12が時計回りに回転するときには、鋭いエッジが前方へ移動し、血塊100に係合してカットする(アクティブ血栓除去モード)。フレキシブル・シャフト12が反時計回りに回転するときには(ナビゲーション・モード)、鋭いエッジが、周囲の組織から離れるように移動し、低速回転によって血管腔の中へのシャフト前進を促進させる。シャフト先端部64は、その他の方法で丸みを付けられるかまたは滑らかになっており、ナビゲーション・モードのためにガイドワイヤー50の導入を伴う前進を促進させることが可能である。いくつかの実施形態では、シャフト先端部64は、先端部の中にルーメンを含み、ルーメンは、テーパーを備えたフレキシブル・シャフト12の主長手方向軸線と同軸に配向されており、テーパーは、先端部勾配の周囲部を通して険しさが変化しており、滑らかなおよび丸みを付けられた先端部を結果として生じさせ、ナビゲーション・モードのためのガイドワイヤー50の導入、および、ワイヤー除去のときの血塊100浸軟のためのフレキシブル・シャフト12先端部の中の「スプーン」ノッチを伴う。最後の2つの実施形態、または、そのような実施形態の任意の変形例は、オフ・センター質量を生成させ、オフ・センター質量は、フレキシブル・シャフト12の軌道移動および高速での回転のときの渦発生を強化させることとなるということが留意されるべきである。ガイドワイヤー50の外径はシャフト内径よりも小さいので、オフ・センター質量は、フレキシブル・シャフト12の長手方向軸線から離れるように先端部のルーメンをシフトさせることによって強化され得る。
【0051】
カテーテル
いくつかの実施形態では、カテーテル14は、血管幾何学形状を通してナビゲートされるように構成されており、しなやかな材料から作製されている。いくつかの実施形態では、カテーテル14は、吸い込み力の下でつぶれないように、または、小さい曲げ半径のときによじれないように、十分に硬く作製されている。いくつかの実施形態では、カテーテル14は、曲げに伴うルーメンのよじれを防止するように構造的に補強されている。
【0052】
いくつかの実施形態では、カテーテル14の壁部表面17は、中空のチャネルを有しており、中空のチャネルは、カテーテル14の長さに広がっており、遠位に開口している。この中空のチャネルは、ガイドワイヤー50がカテーテル14の壁部の中に配設されることを可能にする(
図7D)。このガイドワイヤー50は、随意的に操縦可能であり、カテーテル14の遠位端部の外側に血管腔の中へ前進させられ、本明細書で説明されているようにカテーテル14の中のフレキシブル・シャフト12に動力を与えることによって、機械的な血栓除去の前、間、または後に、血塊100の質量の中への、および、ターゲット血管の中へのカテーテル14の前進を促進および方向付けすることが可能である。
【0053】
いくつかの実施形態では、
図12に図示されているように、フレキシブル・シャフト12およびカテーテル14の組み合わせは、1つまたは複数のゾーンを画定することが可能であり、1つまたは複数のゾーンは、とりわけ、血塊100に対して機械的な血栓除去を実施するように適合および構成されている。本明細書で開示されているように、フレキシブル・シャフト12は、カテーテル14の中に位置決めされており、非常に高い速度で回転しており、流体力学的渦およびコークスクリュー移動を生成させ、血塊100をさらに分裂させる。一般的に、血塊係合ゾーン70が、カテーテル14の遠位端部15から位置付けされており、フレキシブル・シャフト12の遠位端部13から近位の場所72へカテーテル14の中を近位に延在している。最大血栓除去ゾーン74が、血塊係合ゾーン70に対してさらに近位に位置付けされているが、最大血栓除去ゾーン74は、いくらかの範囲で、もしくは、すべての範囲で、血塊係合ゾーン70にオーバーラップすることが可能であり、または、全くオーバーラップしないことが可能である。最大血栓除去ゾーン74は、遠位端部76(フレキシブル・シャフト12の遠位端部13を通過して遠位に延在している)および近位端部78(フレキシブル・シャフト12の遠位端部13に対して近位に延在している)において境界を定められ得る。詰まり防止ゾーン80が、最大血栓除去ゾーン74に対してさらに近位に位置付けされており、一般的に、カテーテル14の中に延在している。
【0054】
いくつかの実施形態では、カテーテル14の最も遠位のセグメント(たとえば、血塊係合ゾーン70)は、カテーテル14の長手方向軸線に対して所定の角度になっていることが可能である。
【0055】
血塊係合ゾーン70は、血塊100をカテーテル14にアンカー固定し、本明細書で説明されている血栓除去メカニズムを最適化する。加えて、血塊係合ゾーン70は、カテーテル14にアンカー固定された血塊100を維持し、自由な破片の解放を最小化する。圧力勾配、剪断流、および、フレキシブル・シャフト12と接触している血塊100との間の接触力に起因して、コークスクリュー通路を辿る、シャフト軌道並進、シャフト横断方向振動、および、捩じり吸入引張力、ならびに、血塊係合ゾーン70においてオーバーラップする真空の組み合わせは、カテーテル14の中に安全に含有される相乗的な血栓除去環境を提供する。加えて、血塊係合ゾーン70は、安全バッファー・ゾーンを提供し、フレキシブル・シャフト12が高速で回転させられているときに、フレキシブル・シャフト12の周期的な伸長および収縮を可能にし、フレキシブル・シャフト12がカテーテル14の外側(そこでは、フレキシブル・シャフト12が、場合によっては、血管または体腔への損傷を引き起こす可能性がある)に配設されないようになっている。
【0056】
いくつかの実施形態では、カテーテル14の少なくとも最大血栓除去ゾーン74は、補強されたセグメント82を有しており、
図12に示されているように、フレキシブル・シャフト12の運動によって伝達される力およびエネルギーに対するカテーテル14の構造的な抵抗を増加させることとなる。このセグメント82は、耐研磨材料によってコーティングされ得る。いくつかの実施形態では、カテーテル14の遠位端部15および最大血栓除去ゾーン74は、真空によるカテーテル14のルーメンのつぶれを防止するために、構造的に補強され得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、カテーテル14の少なくとも最大血栓除去ゾーン74は、蛍光透視マーカーを含み、フレキシブル・シャフト12の遠位端部13を活性化のための最適な位置に位置決めすることを支援する。
【0058】
いくつかの実施形態では、蛍光透視マーカー、CTマーカー、およびMRIマーカーは、カテーテル14、ガイドワイヤー50、および/またはフレキシブル・シャフト12の任意の部分の中に提供され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、カテーテル14の遠位端部15は、その上に配設されている1つまたは複数の平坦でない特徴84を含む(たとえば、丸みを付けられたバンプ)。いくつかの実施形態では、特徴84は、カテーテル14の長軸線と同じ方向に沿っていることが可能である。特徴84は、血塊100がコークスクリュー経路にしたがって最大血栓除去ゾーン74の中へ内向きに引きずり込まれるときに、高い剪断力の集中エリアに起因して、血塊100を突き抜いてバラバラにすることを助ける。
【0060】
いくつかの実施形態では、
図8Bおよび
図13A~
図13Cに図示されているように、カテーテル14は、壁部の中に、アクセサリー・ルーメン、チャネル、または孔部86を有することが可能であり、流体(生理食塩水溶液、血液、医薬品など)がカテーテル14のルーメンを充填することを可能にし、真空のときのキャビテーションを防止し、流体力学的な力を発生させるために必要とされる環境を維持し、材料の除去を支援する。そのうえ、いくつかの実施形態では、
図7D、
図8B、および
図13A~
図13Cに図示されているように、カテーテル14は、その延在の全体または一部を通してアクセサリー・ルーメンまたはチャネル88を有することが可能であり、ガイドワイヤー50または他のワイヤーがナビゲーションのためにその中に配設されること、または、溶液もしくは医薬品を注入することを可能にする。とりわけ、
図13Aに図示されているように、チャネル88は、カテーテル14の側壁部の中に配設され、流体を送達することが可能である。
図13Cに図示されているように、チャネル88は、カテーテル14の補助チャネルに沿って延在することが可能である。いくつかの実施形態では、流体は、フレキシブル・シャフト12の中空の内部を通して送達され得る(
図13B)。
【0061】
いくつかの実施形態では、カテーテル14の壁部表面17は、中空のチャネルを有しており、中空のチャネルは、カテーテル14の長さの少なくとも一部に広がっており、カテーテル14の遠位端部において、もしくは、カテーテル14のルーメンの中へ、または、それらの組み合わせで開口している。この中空のチャネルは、(シャフトの上の同軸の前進の有無にかかわらず)カテーテル14のナビゲーション・モードの間および血栓除去モードの間の両方において、ガイドワイヤー50の前進がモノレール・システムの中で使用されることを可能にする。後者のオプションでは、フレキシブル・シャフト12は、カテーテル14の内側で非常に高い速度で回転しており、カテーテル14がモノレール・ワイヤーの上を前進させられるかまたは引っ張り戻されている間に、血塊100係合および破砕を引き起こし、モノレール・ワイヤーは、血管腔の中に配設されており、フレキシブル・シャフト12と接触していない(
図8)。
【0062】
いくつかの実施形態では、カテーテル14の壁部表面17は、中空のチャネルを有しており、中空のチャネルは、カテーテル14の長さの少なくとも一部に広がっており、カテーテル14の遠位端部において、もしくは、カテーテル14のルーメンの中へ、または、それらの組み合わせで開口している。この中空のチャネルは、遠位塞栓保護デバイス(たとえば、ネットまたはフィルターなど)の前進を可能にし、遠位塞栓保護デバイスは、血塊100質量を通して前進させられ得り、また、1) 引っ張り戻され、カテーテル14の中への血塊100の進入を促進させることが可能であり、2) 塞栓粒子を捕獲するために、血塊100に対して遠位に留まり、次いで、引っ張り戻され、これらの粒子がカテーテル14によって除去されることを可能にする。
【0063】
いくつかの実施形態では、カテーテル14の壁部表面17は、中空のチャネルを有しており、中空のチャネルは、カテーテル14の長さの少なくとも一部に広がっており、カテーテル14の遠位端部において、もしくは、カテーテル14のルーメンの中へ、または、それらの組み合わせで開口している。この中空のチャネルは、閉塞デバイス(たとえば、バルーンなど)の前進を可能にし、閉塞デバイスは、血塊100質量を通して前進させられ得り、また、次いで、1) 順行性のフローを停止させることによって遠位塞栓を防止するために吹き入れられ得り、2) 引っ張り戻され、カテーテル14の中への血塊100の進入を促進させることが可能である。
【0064】
いくつかの実施形態では、カテーテル14の壁部表面17またはフレキシブル・シャフト12は、医薬品、冷却流体、または他の薬剤をカテーテル14の遠位端部に向けて送達するための中空のチャネルを有することが可能である。
【0065】
いくつかの実施形態では、カテーテル14は、遠位端部15の近くにまたは遠位端部15に、フロー閉塞メカニズム(たとえば、1つまたは複数のバルーンなど)を有することが可能であり、関心の領域に印加される吸い込み力を強化し、圧力(その圧力が起こると、材料が除去されることを必要とする)を低減させ、フローを減少させるかまたは停止させ、遠位塞栓症を最小化する。
【0066】
いくつかの実施形態では、カテーテル14は、望ましくない材料を捕獲するための、および、流体フローからそれを除去するためのフィルター・デバイスを含む。
【0067】
血栓除去力
カテーテル14の中に含有されているフレキシブル・シャフト12の回転は、重要な係合および破砕メカニズム(
図14A~
図14B、
図15A~
図15D、
図16A~
図16B、
図19A~
図19Gを参照)を誘発させ、それは、たとえば、それに限定されないが、以下のものである:
a. カテーテル14の中のフレキシブル・シャフト12の回転、および、カテーテル14の中の血塊100を粉砕するフレキシブル・シャフト12の誘発された連結されていない並進運動(
図14A~
図14Bを参照)に起因して、フレキシブル・シャフト12とカテーテル14の内側壁部表面17との間に生成される流体力学的な力。
b. 真空に連結された、高速シャフト回転および軌道周回によって生成される流体力学的な力は、急な圧力勾配を有する渦を生させ、急な圧力勾配は、カテーテル14のルーメンの中に斜めに配向されており、カテーテル14の内側で回転している(
図16A~
図16Bを参照)。
c. この渦は、内向きにコークスクリュー通路にしたがって捩じり吸入引張力を発生させ、カテーテル14の中への血塊100にさらに係合し、血塊100をアンカー固定し、引っ張り、および粉砕するためにスタンドアロンの真空よりも効果的な剪断応力を生成させる(
図19A~
図19Gを参照)。
d. また、渦は、血塊100と内側壁部17との間の静止摩擦から動摩擦への変換に起因して、血塊100係合、破砕、および、カテーテル14の中での血塊100の近位への内向きの移動を強め、動摩擦は、血塊100と内側壁部17との間により低い抵抗力を作り出す傾向がある。
e. フレキシブル・シャフト12の高周波数励振は、さらに血塊100を粉砕し、フレキシブル・シャフト12がカテーテル14の内側表面を繰り返して打つことを引き起こす(
図15A~
図15Dを参照)。これは、カテーテル14の高周波数(典型的に、100Hzから300Hz)の低振幅振動(典型的に、50μmから200μm)を生成させ、それは、血塊100分裂を支援し、それは、
図14Aの中の「振動」として示されている。
f. フレキシブル・シャフト12の高速回転は、フレキシブル・シャフト12のコイル状ワイヤー設計と組み合わせて、捩じり振動および不安定な乱流に起因して、フレキシブル・シャフト12の周期的な伸長および収縮を誘発させ、それは、
図14Bの中の「伸長および収縮」として示されている。フレキシブル・シャフト12の遠位端部13のこの動的な前方および後方移動は、最大血栓除去有効性のゾーン74を長くする。非限定的な例として、周期的な伸長および収縮は、シャフト材料、巻線パターン、ワイヤー直径、捩じり弾性率、および血管蛇行性などに基づいて、約0.1mmから5mmの中にあることが可能である。
g. フレキシブル・シャフト12の高速回転によって発生させられる流体力学的な力は、フレキシブル・シャフト12の3次元のコークスクリュー移動を誘発させ、カテーテル14の内側壁部表面17と血塊100表面との間でスワイプする。これは、血塊100およびカテーテル14の壁部表面17との間の静止摩擦を最小化し、カテーテル14の壁部表面17から血塊100を取り外し、静止摩擦を動摩擦へ変換することによって血塊100除去を強化する。フレキシブル・シャフト12の3次元のコークスクリュー構成および移動は、高速回転運動(典型的に、10,000RPMよりも大きい)の適用のときに実現されるということが理解されるべきである。
h. レスト時に、フレキシブル・シャフト12は、複雑なプリフォームド形状(たとえば、角度、J字、および正弦関数など)の必要性なしに、真っ直ぐな線形のプロファイルを実質的に画定している。いくつかの実施形態では、レスト時におけるフレキシブル・シャフト12の非線形の形状が、本教示に関連して使用され得る。これらの形状は、内側ガイドワイヤー50の除去の後に、固定または獲得され得る。
i. 静止摩擦は、急な圧力勾配によって実質的に低減されるかまたは排除され、急な圧力勾配は、カテーテル14の中に斜めに配向されており、それは、カテーテル14の内側で回転し、カテーテル14のルーメンの全体を通って延在している。
j. また、フレキシブル・シャフト12の移動は、血塊100物質と係合し、内向きのコークスクリュー経路を強化/加速し、さらに血塊100に係合して粉砕する。
k. 本明細書で説明されている同じメカニズムは、最大血栓除去ゾーン74の遠位端部からカテーテル14の近位端部へ減少した強度で起こり、ルーメンが閉塞することを防止し、それは、
図12Aの中の詰まり防止ゾーン80として示されている。
l. フレキシブル・シャフト12の上の特徴(たとえば、それに限定されないが、遠位端部13の上の角度の付けられた偏心質量58、60など)は、軸線方向の力および接線方向の力を血塊100に伝達することによって、血塊100をカテーテル14の中へ引っ張るようにさらに作用する。
【0068】
いくつかの実施形態では、回転シャフト12の軸線方向の力を強化するために、磁石が、カテーテル14およびフレキシブル・シャフト12に追加され得り、フレキシブル・シャフト12がカテーテル14に対して回転させられるときに、対向する磁石の極同士が、周期的に互いに引き付けおよび反発するようになっている。
【0069】
いくつかの実施形態では、システムは、再注入カニューレを含み、患者から除去された流体を患者の中へ再導入して戻すことが可能である。
【0070】
いくつかの実施形態では、回転シャフト12の上の流体力学的な力を強化するために、親水性のコーティングが、シャフト12に適用され得る。
【0071】
方法
図17A~
図17Gを参照すると、いくつかの実施形態では、血塊の浸軟および除去の間に、ガイドワイヤー50が、血管のルーメン/キャビティー/スペースの中を血塊100へ前進させられる(
図17A)。次いで、フレキシブル・シャフト12の遠位端部13が、ガイドワイヤー50に沿って前進させられ、血塊100の質量の付近または中に設置される(
図17B)。シャフト12の長手方向の変位は、ドライブ・システム32による低速回転、揺動、または振動によって促進され得る。次いで、カテーテル14の遠位端部15が、ターゲット血管/キャビティー/スペースの中へナビゲートされ、血塊100の質量の付近または中に設置される(
図17C)。このナビゲーションおよび位置決めの間に、カテーテル14の前進と協働してシャフト12を後退させることも有利である可能性がある。これは、真空ポート・アッセンブリ18および/または吸引カテーテル・システム10によるカテーテル14の手動のまたは自動的な前進と協働して、シャフト前進スライダー28の手動のまたは自動的な後退作動を通して実現され得る。いくつかの実施形態では、カテーテル14は、追加的な支持エレメント(たとえば、ガイディング・カテーテル、イントロデューサー、またはそれらの組み合わせなど)を使用して、内部におよび/または外部にさらに支持され得る。ガイドワイヤー50は、血管または吸引カテーテル・システム10から後退させられるかまたは完全に除去され得る。フレキシブル・シャフト12は、最大血栓除去ゾーン74に到達するように、カテーテル14の中に位置決めされる(
図17D)。フレキシブル・シャフト12が本教示の原理にしたがって高速で回転させられる前に、同時に、および/または後のいずれかに、真空供給源24からの吸い込みが始まり、カテーテル14の血塊係合ゾーン70の中へ血塊100部分を引き込む。血栓除去は、本明細書で説明されているように、カテーテル14の中に完全に含有されている。カテーテル14および血塊100は、血栓除去段階の間に係合されたままになっている(
図17E~
図17Gおよび
図19A~
図19G)。吸い込みは継続し、血塊100は、カテーテル14の最大血栓除去ゾーン74の中へさらに進入する。フレキシブル・シャフト12は、カテーテル14の内側で高速でさらに回転させられ、本明細書で説明されているメカニズムによって血栓除去を発生させる。しかし、血栓除去手順の間に必要とされるときに、フレキシブル・シャフト12の回転は、瞬間的に停止され得り、必要な場合には、再度、ナビゲーション・エレメントおよび足場エレメントになることが可能である。カテーテル14の内側の粉砕された血塊100は、血管腔から離れるように連続的に吸引され、本明細書で説明されているメカニズムによって、カテーテル14の合計長さに沿って、さらなる破砕を受ける。
【0072】
いくつかの実施形態では、血塊100の破砕および/または浸軟は、最大血栓除去ゾーン74の中でのみアクティブである(
図17E~
図17G)。同時に、粉砕されていない血塊100は、血塊係合ゾーン70の中へ内向きに引きずり込まれ、次いで、本明細書で説明されているように、さらなる血栓除去のために、最大血栓除去ゾーン74の中へさらに引きずり込まれる。
【0073】
いくつかの実施形態では、
図17E~
図17Gの中の血栓除去および浸軟の作用は、血塊100の完全な除去が実現されるまで、カテーテル14が血塊100の物質の中へおよびターゲット血管の中へ遠位に前進することを結果として生じさせる(
図17G)。
【0074】
いくつかの実施形態では、
図18A~
図18Dに図示されているように、二次的なワイヤー99が、血栓除去の間にカテーテル14およびフレキシブル・シャフト12をガイドするために使用され得る。二次的なワイヤー99は、カテーテル14のチャネル52の中に位置付けされ得るか、または、そのチャネルに沿って位置付けされ得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、フレキシブル・シャフト12は、フレキシブル・シャフト12の近位端部において、または、フレキシブル・シャフト12の近位端部の近くにおいて作動させられ、少なくともカテーテル14の遠位端部において並進運動を誘発させることが可能である。これは、排他的に、および、回転運動とともに、の両方で使用され、血栓除去能力を増加させることが可能である。
【0076】
いくつかの実施形態では、シャフト12は、カテーテル14の遠位端部15の外側で(たとえば、カテーテル14の遠位端部15を越えて)、高速で回転させられ、軌道移動を辿ることが可能であり、軌道移動は、カテーテル14の直径よりも大きいことが可能である経路に沿って延在している。カテーテル14の外側のシャフト12のこの軌道移動の直径は、回転速度、カテーテル14の外側に突出するシャフト12の長さ、カテーテル14のID、および、シャフト12のフレキシビリティーに依存している。カッティング・ツールとして作用するのに十分な剛性を有するシャフト12の並進移動は、カッティング・コーンを発生させ、組織および血塊100を粉砕することとなる。これは、真空と連結され、粉砕された破片を除去することが可能である。これは、(帯電させられたシャフトまたはシャフト先端部とカテーテル14の最も遠位の開口部との間の)バイポーラー・メカニズムによって連結され、組織浸軟の間のバイポーラー電流および同時の凝固を誘発させる。また、これは、カテーテル14の壁部に沿って中空のチャネル52に連結され得り、それは、流体媒体がカテーテル14の遠位端部にまたはその近くに送達されることを可能にし、それは、次いで、真空によってカテーテル14ルーメンを埋め戻すことが可能である。これは、カテーテル14がまだ液体環境の中へ浸されていないときに、流体力学的な力および並進シャフト運動の発生を可能にすることとなる。
【0077】
いくつかの実施形態では、血管の中から望ましくない材料を除去するための方法は、経皮的にまたはカット・ダウンによって、血管内のアクセスを取得するステップと、シースを導入するステップとを含むことが可能である。次いで、血栓除去システムが、シースを通して血管内のスペースの中へ導入される。ガイドワイヤー50または二次的なワイヤー99が、血塊100へ前進させられ、フレキシブル・シャフト12が、血塊へ前進させられる。いくつかの実施形態では、フレキシブル・シャフト12は、ガイドワイヤー50の上を前進させられる。次いで、カテーテル14が、フレキシブル・シャフト12および/またはガイドワイヤー50の上を血塊100へ前進させられる。次いで、ガイドワイヤー50は、部分的にまたは全体的に除去され得る。次いで、カテーテル14および/またはフレキシブル・シャフト12は、フレキシブル・シャフト12がカテーテル14の中に完全に含有されるように位置決めされる。次いで、真空が、吸引カテーテル・システムに提供される。カテーテルが静止している間にまたは血管腔の中を長手方向に移動している間に、血栓除去メカニズムは活性化させられる。二次的なワイヤー99が使用される場合には、カテーテルは、血栓除去メカニズムがアクティブになっている間に、二次的なワイヤー99の上を長手方向に移動させられる。近位閉塞メカニズムが使用される場合には、バルーンを膨張させ、次いで、血栓除去を活性化させる。遠位閉塞メカニズムが使用される場合には、バルーンを膨張させ、次いで、血栓除去を活性化させる。フィルターの遠位バルーンは、血栓除去が血塊-カテーテル相互作用を強化する前、間、または後に、カテーテルの中へ引っ張り戻され得る。
【0078】
実施形態の先述の説明は、図示および説明の目的のために提供されてきた。それは、包括であることは意図されておらず、または、本開示を限定することは意図されていない。特定の実施形態の個々のエレメントまたは特徴は、一般的に、その特定の実施形態に限定されるのではなく、適用可能な場合には、具体的には示されていない場合でもまたは記載されていない場合でも、相互交換可能であり、選択された実施形態の中で使用され得る。また、同じものが、多くの方式で変化させられ得る。そのような変形例は、本開示から逸脱するものとして見なされるべきではなく、すべてのそのような修正例は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。