(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133594
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】パワーフォトダイオード構造体、その作製方法、及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/10 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
H01L31/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127677
(22)【出願日】2023-08-04
(62)【分割の表示】P 2022500564の分割
【原出願日】2020-07-15
(31)【優先権主張番号】62/874,487
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/978,281
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518096478
【氏名又は名称】エスエルティー テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SLT Technologies, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ドリュー ダブリュ カードウェル
(72)【発明者】
【氏名】マーク ピー デヴリン
(57)【要約】
【課題】III族金属窒化物及びガリウム系基板をベースとする、パワーフォトダイオード構造体及びデバイスの製造及び応用に関連する技法を提供する。
【解決手段】GaN、AlN、InN、InGaN、AlGaN、及びAlInGaNのうちの1つ以上を含むフォトダイオードデバイス、構造体及びデバイスを製作するための技法を含む。このような構造体又はデバイスは、オプトエレクトロニクスデバイス、フォトダイオード、光ファイバ給電(power‐over‐fiber)レシーバ等を含む多様な用途に使用できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトダイオード構造体において:
第1の表面及び第2の表面を有する基板であって、
前記第2の表面は前記第1の表面の反対側であり、
前記基板は、単結晶III族金属窒化物であり、
前記基板の前記第1の表面は、(0001)+c面、{10-10}m面、若しくは{11-2±2}、{60-6±1}、{50-5±1}、{40-4±1}、{30-3±1}、{50-5±2}、{70-7±3}、{20-2±1}、{30-3±2}、{40-4±3}、{50-5±4}、{10-1±1}、{10-1±2}、{10-1±3}のうちの1つから選択される半極性面の、5°以内の結晶方位を有するか、又は(000-1)と2°~5°だけ異なる、基板;
前記基板の前記第1の表面上に配置されたn型層及びp型層であって、前記n型層及び前記p型層はそれぞれAlxInyGa1-x-yN(ただし0≦x,y,x+y≦1)を含み、ドーパント濃度が少なくとも1×1016cm-3である、n型層及びp型層;
前記n型層と前記p型層との間に配置された1つ以上の吸収体層であって、前記1つ以上の吸収体層は、AlxInyGa1-x-yN(ただし0≦x,y,x+y≦1)を含み、転位密度が約109cm-2未満である、1つ以上の吸収体層;
前記p型層上に配置されたp側電気接触層であって、前記p側電気接触層は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長について少なくとも70%の平均反射率と、3×10-3Ωcm2未満の接触抵抗とを有する、p側電気接触層;
前記基板の前記第2の表面上に配置されたn側電気接触層であって、前記n側電気接触層は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長について少なくとも70%の平均反射率と、1×10-3Ωcm2未満の接触抵抗とを有する、n側電気接触層;並びに
受光面であって、前記受光面は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長を有する、前記受光面にある角度で入射する光を、前記n側電気接触層及び前記p側電気接触層から少なくとも1回反射させるように位置合わせされる、受光面
を備える、フォトダイオード構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、光ファイバを通した電力の伝送のための技法に関し、特にバルクガリウム及び窒素含有極性、半極性又は非極性材料上に作製された、高電流密度パワーフォトダイオード構造体のための技法に関する。本発明は、特に光ファイバ、他のオプトエレクトロニクスデバイス、及び同様の製品による、電気エネルギへの光エネルギの変換を含む用途に適用できる。
【背景技術】
【0002】
電力は典型的には、例えば銅線である電線を介して伝送される。しかしながらこのような電線は重く煩雑で高価なものとなる場合があり、また伝送される電力は電磁干渉を受ける場合がある。これらの制約のうちのいくつかは、光ファイバを介して電力を伝送することによって克服できるが、現在の性能ではこのようなアプローチは依然として商業的には実行不可能である。更に、現在のアプローチは一般に赤外波長の光を伴い、これは可視光に比べて、周囲環境の温度変動に対する感度が高いこと等の特定の欠点を有する。
【0003】
窒化ガリウム(GaN)系オプトエレクトロニクスデバイス及び電子デバイスは、商業的に極めて重要である。これらのデバイスの中で最もよく開発されているものとしては、発光ダイオード(LED)及びレーザダイオードが挙げられ、GaN系パワーダイオード及びトランジスタはますます重要になっている。新たな用途にも関心が集まっている。非特許文献1は、レーザダイオードを用いて電力を光パワーに変換する用途について記載しており、光パワーを光ファイバに結合して遠隔地に伝送した後、フォトダイオードを用いて光パワーを再び電力に変換する。レーザダイオード及びフォトダイオードはいずれもGaN・オン・サファイアデバイスをベースとしており、システム性能は比較的低かった。フォトダイオードは特に課題となっており、報告された効率は17%であった。GaN系太陽電池も多数のグループによって報告されており、これは典型的には低電力(約1太陽)用途のためにGaN・オン・サファイア構造を利用するものである。他の材料系に関して当該技術分野で公知の集光型太陽電池構造でさえ、本発明の主な焦点である電流密度よりも大幅に低い電流密度しか生成できない。
【0004】
レーザダイオードについては、欠陥密度が大幅に低減されており、長年にわたって最適化及び改善が続けられてきたGaN・オン・GaNデバイスにおいては、優れた性能及び信頼性が得られることが公知である。フォトダイオードについては、実施された研究はかなり少ない。例えば特許文献1はGaN・オン・GaNフォトダイオードを開示しているが、詳細な性能特性は報告されておらず、またこのデバイスは、光ファイバを伴うパワーダイオード用途ではなく、光検出器用途のためのものであった。
【0005】
近赤外波長のGaAs系レーザ及びフォトダイオードを用いた、関連する用途が開示されている。しかしながら、窒化物ベースのフォトダイオードは、そのバンドギャップが大きいことにより、対応するGaAs系デバイス及びシステムに比べて、昇温下及び高い入力パワーレベルにおいて相当に高い開回路電圧及び優れた効率を可能とするはずである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,806,508号明細書(D’Evelyn等)
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】De Santi, and coauthors [Materials 11,153 (2018)]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上から、GaN系パワーフォトダイオードを改良するための技法が強く望まれていることがわかる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の実施形態は、第1の表面及び第2の表面を有する基板を含むフォトダイオード構造体を提供でき、上記基板の上記第2の表面は上記第1の表面の反対側であり、上記基板は、単結晶III族金属窒化物であり、上記基板の上記第1の表面は、(0001)+c面、{10-10}m面、若しくは{11-2±2}、{60-6±1}、{50-5±1}、{40-4±1}、{30-3±1}、{50-5±2}、{70-7±3}、{20-2±1}、{30-3±2}、{40-4±3}、{50-5±4}、{10-1±1}、{10-1±2}、{10-1±3}のうちの1つから選択される半極性面の、5°以内の結晶方位を有するか、又は(000-1)と2°~5°だけ異なる。上記フォトダイオード構造体はまた:上記基板の上記第1の表面上に配置されたn型層及びp型層であって、上記n型層及び上記p型層はそれぞれAlxInyGa1-x-yN(ただし0≦x,y,x+y≦1)を含み、ドーパント濃度が少なくとも1×1017cm-3である、n型層及びp型層;上記n型層と上記p型層との間に配置された1つ以上の吸収体層であって、上記1つ以上の吸収体層は、AlxInyGa1-x-yN(ただし0≦x,y,x+y≦1)を含み、転位密度が約109cm-2未満である、1つ以上の吸収体層;上記p型層上に配置されたp側電気接触層であって、上記p側電気接触層は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長について少なくとも70%の平均反射率と、3×10-3Ωcm2未満の接触抵抗とを有する、p側電気接触層;上記基板の上記第2の表面上に配置されたn側電気接触層であって、上記n側電気接触層は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長について少なくとも70%の平均反射率と、1×10-3Ωcm2未満の接触抵抗とを有する、n側電気接触層;並びに受光面であって、上記受光面は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長を有する、上記受光面にある角度で入射する光を、上記n側電気接触層及び上記p側電気接触層から少なくとも1回反射させるように位置合わせされる、受光面を含む。上記フォトダイオード構造体はまた、少なくとも10Acm-2の電流密度を生成する照明レベルの下で少なくとも50%の曲線因子を特徴とすることができる。
【0010】
本開示の実施形態は更に:1つ以上の吸収体層であって、上記1つ以上の吸収体層は、AlxInyGa1-x-yN(ただし0≦x,y,x+y≦1)を含む、1つ以上の吸収体層;n型層及びp型層であって、上記1つ以上の吸収体層は上記n型層の上に配置され、上記p型層は上記1つ以上の吸収体層の上に配置される、n型層及びp型層;第1の表面及び第2の表面を有するキャリア基板であって、上記キャリア基板の上記第1の表面は、上記p型層の上又は上記n型層の下に配置される、キャリア基板;上記p型層と電気的に接触した状態で配置されたp側電気接触層であって、上記p側電気接触層は3×10-3Ωcm2未満の接触抵抗を有する、p側電気接触層;上記p型層及び上記キャリア基板の上記第2の表面のうちの一方の上に配置された、p側反射層であって、上記p側反射層は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長について少なくとも70%の平均反射率を有する、上記p側反射層;上記n型層と電気的に接触した状態で配置された、n側電気接触層であって、上記n側電気接触層は1×10-3Ωcm2未満の接触抵抗を有する、n側電気接触層;上記n型層及び上記キャリア基板の上記第2の表面のうちの一方の上に配置された、n側反射層であって、上記n側反射層は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長について少なくとも70%の平均反射率を有する、n側反射層;並びに受光面であって、上記受光面は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長を有する、上記受光面にある角度で入射する光を、上記n側反射層及び上記p側反射層から少なくとも1回反射させるように位置合わせされる、受光面を含む、フォトダイオード構造体を提供できる。上記n型層及び上記p型層はそれぞれAlxInyGa1-x-yN(ただし0≦x,y,x+y≦1)を含み、ドーパント濃度が少なくとも1×1016cm-3である。上記キャリア基板は、390ナノメートル~460ナノメートルの波長において略透明である。
【0011】
本開示の実施形態は更に:第1の表面、第2の表面、及び第3の表面を有する、基板;上記基板の上記第1の表面の上に配置された、n型層及びp型層;上記n型層と上記p型層との間に配置された、1つ以上の吸収体層;上記p型層の上に配置された、p型電極層;上記基板の上記第2の表面の上に配置された、n型電極層;並びに受光面を含む、フォトダイオード構造体を提供でき、上記第3の表面は上記受光面を備え、これを通して受光された光を、上記n型電極層と上記p型電極層との間で少なくとも1回反射させるよう構成される。上記n型電極層は、その中に形成された開口のアレイを含み、また390ナノメートル~460ナノメートルの波長において少なくとも70%の平均反射率を有する。上記p型電極層は、その中に形成された開口のアレイを含み、また390ナノメートル~460ナノメートルの波長において少なくとも70%の平均反射率を有する。上記1つ以上の吸収体層は、AlxInyGa1-x-yN材料(ただし0≦x,y,x+y≦1)を含み、約109cm-2未満の転位密度を有する。上記n型層及び上記p型層はそれぞれAlxInyGa1-x-yN材料(ただし0≦x,y,x+y≦1)を含み、少なくとも1×1016cm-3のドーパント濃度を有する。上記基板の上記第2の表面は上記第1の表面の反対側であり、上記基板の上記第3の表面は上記第1の表面及び上記第2の表面に対してある角度で位置合わせされており、上記基板は単結晶III族金属窒化物であり、上記基板の上記第1の表面は、(0001)+c面、{10-10}m面、若しくは{11-2±2}、{60-6±1}、{50-5±1}、{40-4±1}、{30-3±1}、{50-5±2}、{70-7±3}、{20-2±1}、{30-3±2}、{40-4±3}、{50-5±4}、{10-1±1}、{10-1±2}、{10-1±3}のうちの1つから選択される半極性面の、5°以内の結晶方位を有するか、又は(000-1)と2°~5°だけ異なる。
【0012】
本開示の実施形態は、n型層とp型層との間に存在する1つ以上の吸収体層を備える、フォトダイオード構造体を含んでよく、上記吸収体層並びに上記n型層及び上記p型層はそれぞれ、AlxInyGa1-x-yN(ただし0≦x,y,x+y≦1)を含み、また約109cm-2未満の転位密度を有し、上記n型非吸収体層及び上記p型非吸収体層は少なくとも1×1016cm-3のドーパント濃度を特徴とし、上記吸収体層は、約390ナノメートル~460ナノメートルの波長を有する光の、効率的な電力変換のために構成され、上記構造体は、少なくとも10Acm-2の電流密度を生成する照明レベルの下で少なくとも50%の曲線因子を特徴とする。
【0013】
本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上で概説した本開示の更に詳細な説明を、実施形態を参照して得ることができる。これらの実施形態の一部は添付の図面に図示されている。しかしながら、添付の図面は例示的な実施形態のみを図示したものであるため、本開示の範囲を制限するものとみなしてはならず、他の同等に有効な実施形態を認めることができることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示のある実施形態に従って調製された窒化物系パワーフォトダイオード構造体を示す簡略図
【
図2】本開示のある実施形態に従って調製された代替的な窒化物系パワーフォトダイオード構造体を示す簡略図
【
図3】本開示のある実施形態に従って調製された別の代替的な窒化物系パワーフォトダイオード構造体を示す簡略図
【
図4】本開示のある実施形態によるフォトダイオードに関する曲線因子の定義を示す簡略図
【
図5】本開示の第1の比較用実施形態によるフォトダイオードの照明時電流‐電圧挙動(illuminated current‐voltage behavior)及び曲線因子を示す簡略図
【
図6】本開示の第2の比較用実施形態によるフォトダイオードの照明時電流‐電圧挙動及び曲線因子を示す簡略図
【
図7】本開示のある実施形態によるフォトダイオード構造体内の半導体層の概略図を示す簡略図
【
図8A】本開示のある実施形態によるフォトダイオード構造体に関する、印加された電流の関数としての光電流を示す概略図
【
図8B】本開示のある実施形態によるフォトダイオード構造体内の位置の関数としての局所的帯域構造を示す簡略図
【
図9A】本開示のある実施形態によるフォトダイオード構造体に関する、印加された電流の関数としての光電流を示す概略図
【
図9B】本開示のある実施形態によるフォトダイオード構造体内の位置の関数としての局所的帯域構造を示す簡略図
【
図10A】本開示のある実施形態によるフォトダイオード構造体に関する、印加された電流の関数としての光電流を示す概略図
【
図10B】本開示のある実施形態によるフォトダイオード構造体内の位置の関数としての局所的帯域構造を示す簡略図
【
図11】本開示のある実施形態による照明時のフォトダイオード構造体に関する、印加された電流の関数としての光電流を示す概略図
【
図12】本開示のある実施形態による照明時のフォトダイオード構造体に関する、印加された電流の関数としての光電流を示す概略図
【
図13A】本開示のある実施形態に従って調製された別の代替的な窒化物系パワーフォトダイオード構造体を示す概略図
【
図13B】本開示のある実施形態による窒化物系パワーフォトダイオード構造体から基板を取り外すための方法を示す概略図
【
図13C】本開示のある実施形態による窒化物系パワーフォトダイオード構造体から基板を取り外すための方法を示す概略図
【
図13D】本開示のある実施形態に従って調製された別の代替的な窒化物系パワーフォトダイオード構造体を示す概略図
【
図14A】本開示のある実施形態に従って調製された代替的なフォトダイオード構造体を示す概略図
【
図14B】本開示のある実施形態に従って調製された代替的なフォトダイオード構造体を示す概略図
【
図15】本開示の1つ以上の実施形態によるInGaN/GaNフォトダイオード構造体の照明時I‐V性能特性の表
【発明を実施するための形態】
【0015】
理解を容易にするために、可能な場合は同一の参照番号を使用して、複数の図面に共通している同一の要素を示した。ある1つの実施形態の要素及び特徴を、更なる説明なしに、他の実施形態に有益なものとして組み込むことができることが企図されている。
【0016】
本開示によると、III族金属窒化物及びガリウム系基板をベースとする、パワーフォトダイオード構造体及びデバイスの製造及び応用に関連する技法が提供される。より具体的には、本開示の実施形態は、GaN、AlN、InN、InGaN、AlGaN、及びAlInGaNのうちの1つ以上を含むフォトダイオードデバイス、構造体及びデバイスを製作するための技法を含む。このような構造体又はデバイスは、オプトエレクトロニクスデバイス、フォトダイオード、光ファイバ給電(power‐over‐fiber)レシーバ等を含む多様な用途に使用できる。
【0017】
上述のように、レーザ及びフォトダイオードは、GaAs材料系で比較的良好に開発されている。ヒ化物系と窒化物系との間の材料特性の重要な違いの1つは、ヒ化物の場合は、例えばAlGaAsによって、格子定数に対する影響を最小限に抑えてバンドギャップを容易に変更できるものの、窒化物の場合はそうではないことである。窒化物吸収体層を組み込んだ従来のフォトダイオードパッケージアーキテクチャでは、入射光の大半を吸収するために、数百ナノメートルのオーダーの吸収体層の厚さが必要となる場合がある。吸収体層の吸収係数を1×105cm-1とすると、1回に吸収される光は、50、100、200、300、及び400nmの厚さに関してそれぞれおよそ39%、63%、87%、95%、及び98%である。窒化物の場合、青色又は紫色光を効率的に吸収するために十分なインジウム(In)を含む上述のような厚さのInGaNは、歪みが大きくなりすぎて、転位の生成による又は割れによる緩和を回避できない可能性がある。本発明らは、この問題を回避するためのアプローチを発見した。上記アプローチには、比較的薄い吸収体層を用いた場合であっても100%に近い光吸収を達成するための、吸収体層を通る長い光路が関与する。更なる利点としては、優れた熱放散、グリッドシャドー損失がゼロであるか又は極めて低いこと、及び長い有効少数キャリア寿命が挙げられる。ここで有効少数キャリア寿命(effective minority carrier lifetime)には、吸収体層が放出した光子の再吸収として定義される光子リサイクルが含まれる。
【0018】
更に、エピタキシャル成長層の積層体等のフォトダイオード構造体は、発光ダイオード(LED)及びレーザダイオード(LD)の構造に対して、類似点及び相違点の両方を有する。例えばLED及びLD構造体は共に、アクティブ領域からの電子の損失を最小限に抑えて、アクティブ領域内での放射性キャリアの再結合を促進するために、通常、p型層内に電子ブロッキング層を含む。しかしながらこのような構造は、フォトダイオード構造体の直列抵抗を増大させる可能性があり、逆効果になる可能性がある。同様に、LD構造体は通常、クラッド層、光閉じ込め層、及び分離閉じ込めヘテロ構造(separate confinement heterostructure:SCH)層のうちの1つ以上を含み、これらはフォトダイオードの性能を損なう可能性がある。というのは、これらの設計は本出願とは異なる考慮事項に依拠しているためである。
【0019】
フォトダイオードのための効果的なエピタキシャル構造を設計するために、一般的にも、またアクティブ層がInGaN若しくはGa(In)Nを含むか又はInGaN若しくはGa(In)Nからなる特定の場合に関しても、高いレベルの活性層の光吸収及び高いレベルの少数キャリアの回収効率により、検出感度及び動作電流Impが上昇する。点欠陥、並びに転位積層欠陥等の拡張欠陥の両方の欠陥濃度が低いと、ショックレー・リード・ホール(Shockley‐Read‐Hall)非放射性再結合が低減され、これにより、より高い動作電圧Vmpが得られる。また、欠陥の濃度が低いと、光が強い条件(即ち光パワー(ワット)が高い条件)下でのフォトダイオードの性能を改善することもできる。フォトダイオードの効率ηは、η=Vmp×Imp/Pinとして記述でき、ここでPinは入力放射パワーである。
【0020】
フォトダイオードの効率ηを表現する別の方法は、
図4に概略図で示されているように、η=V
oc×I
sc×FF/P
inであり、ここでV
ocは開回路電圧であり、I
scは短絡電流であり、FFは曲線因子である。半導体フォトダイオードの効率ηを表現する更に別の方法は、η=(eV
oc/E
g)×OA×IQE×FF×E
g/(hν)であり、ここでeは電子の電荷であり、E
gは半導体のバンドギャップであり、OAは光吸収(又は吸収体層に吸収された入射光子の割合)であり、IQEは、内部効率(回収される電子‐正孔ペアを生成する、吸収された光子の割合)であり、hはプランク定数であり、νは光子エネルギである。好ましい実施形態では、FFは50%超、60%超、70%超、80%超、又は90%超である。
【0021】
大半がGaN・オン・サファイア構造を用いて製作される、はるかに低い光子フラックス用に設計された従来技術のフォトダイオードに対して、GaN・オン・GaN構造を含む本発明のフォトダイオードは、半導体層の組成及びドーピングの注意深い最適化、並びに多反射励起アーキテクチャと共に使用するための高反射能と、高電流密度における横方向のオーミック損失を最小限に抑えるための非常に低い接触抵抗とを備えた、大面積のp側及びn側電気接点による、高い変換効率を特徴とする。特定の実施形態では、本発明のフォトダイオード構造体は、
図2に概略図で示されているように、照明が単一のレーザ又は複数のレーザによって提供されて、縁部を通って又はアパーチャを通って構造体に入射する用途のために設計される。特定の実施形態では、レーザ光は、フォトダイオード構造体の縁部に、又はフォトダイオード構造体に形成されたアパーチャに、光ファイバ、レンズ、又は導波路を用いて結合される。特定の実施形態では、本発明のフォトダイオード構造体には更に、はるかに低い転位密度が組み込まれ、これは、より高い電流のためのより長い少数キャリア拡散長に加えて、より高い開回路電圧及び曲線因子のためのより長い少数キャリア寿命を有する。更に本発明のデバイスは、より簡潔な設計及び直列抵抗の低減のための、垂直配向パワーデバイスにおける垂直輸送を可能にする導電性基板と、吸収体層の屈折率と非常に類似した屈折率を有し、光損失を最小化する透明基板とを含んでよい。特定の実施形態では、基板は非極性又は半極性結晶方位を有し、これにより、最適なデバイス性能のための偏光場の微調整が可能である。
【0022】
図1~3は、III族金属窒化物系フォトダイオード構造体の簡略図を示す。
図1を参照すると、基板101が提供される。特定の実施形態では、基板101は単結晶III族金属窒化物、ガリウム含有窒化物、又は窒化ガリウムを含む。基板101は、HVPEによって、アモノサーマル成長によって、又はフラックス法によって、成長させることができる。特定の実施形態では、基板101は、単結晶III族金属窒化物層1104をサファイア(Al
2O
3)、炭化ケイ素(SiC)若しくはケイ素等の材料からなるか又はこれらの材料を含むテンプレート基板1101の上に堆積又は成長させた、テンプレートである。代替実施形態では、テンプレート基板1101は、ガリウムヒ素、ゲルマニウム、ケイ素‐ゲルマニウム合金、MgAl
2O
4スピネル、ZnO、ZrB
2、BP、InP、AlON、ScAlMgO
4、YFeZnO
4、MgO、Fe
2NiO
4、LiGa
5O
8、Na
2MoO
4、Na
2WO
4、In
2CdO
4、アルミン酸リチウム(LiAlO
2)、LiGaO
2、Ca
8La
2(PO
4)
6O
2、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)等からなってよく、又はこれらを含んでよい。基板101の大面積表面のうちの一方又は両方は、研磨及び/又は化学機械研磨されていてよい。基板101の大面積表面102は、(0001)+c面、(000-1)-c面、{10-10}m面、{11-2±2}、{60-6±1}、{50-5±1}、{40-4±1}、{30-3±1}、{50-5±2}、{70-7±3}、{20-2±1}、{30-3±2}、{40-4±3}、{50-5±4}、{10-1±1}、{10-1±2}、{10-1±3}、{21-3±1}、又は{30-3±4}の5°以内、2°以内、1°以内、又は0.5°以内の結晶方位を有してよい。面{30-3±4}は、{30-34}面及び{30-3-4}面を意味するものと理解される。表面102は、(hkil)半極性方位を有し、ここでi=-(h+k)であり、lと、h及びkのうちの少なくとも一方とは、ゼロでない。特定の実施形態では、テンプレート基板1101はサファイアからなるか又はサファイアを含み、(0001)、(10-10)、(10-12)、(22-43)、又は(11-23)の5°以内、2°以内、1°以内、又は0.5°以内の結晶方位を有する大面積表面を有する。特定の実施形態では、テンプレート基板1101はサファイアからなるか又はサファイアを含み、{11-20}a面に向かって、{10-10}m面に向かって、又はa面とm面との間の面に向かって、(0001)から約0.5°~約8°、又は約2°~約4°だけ方位がずれている、大面積表面を有する。特定の実施形態では、テンプレート基板1101は、立方構造と、{111}、{100}、{110}、又は{114}の5°以内、2°以内、1°以内、又は0.5°以内の結晶方位を有する大面積表面とを有する。他の方位も選択できる。
【0023】
表面102は、約0.2ミリメートル~約600ミリメートルの最大寸法、及び約0.2ミリメートル~約600ミリメートルの最小寸法を有してよく、基板101は、約10マイクロメートル~約10ミリメートル、又は約100マイクロメートル~約2ミリメートルの厚さを有してよい。特定の実施形態では、基板101は略円形であり、1つ以上のオリエンテーション・フラット(orientation flat)を有する。代替実施形態では、基板101は略長方形である。特定の実施形態では、大面積表面102は、約50mm、100mm、125mm、150mm、200mm、250mm、又は300mmの最大寸法を有する。大面積表面102の結晶方位の変動は、約5°未満、約2°未満、約1°未満、約0.5°未満、約0.2°未満、約0.1°未満、又は約0.05°未満であってよい。
【0024】
基板101は、約107cm-2未満、約106cm-2未満、約105cm-2未満、約104cm-2未満、約103cm-2未満、又は約102cm-2未満の表面貫通転位密度を有してよい。基板101は、約104cm-1未満、約103cm-1未満、約102cm-1未満、約10cm-1未満、又は約1cm-1未満の積層欠陥密度を有してよい。基板101は、約500arcsec未満、約300arcsec未満、約200arcsec未満、約100arcsec未満、約50arcsec未満、約35arcsec未満、約25arcsec未満、又は約15arcsec未満の対称X線ロッキングカーブ半値全幅(FWHM)を有してよい。基板101は、少なくとも1つ又は少なくとも2つの独立した又は直交する方向において、0.1メートル超、1メートル超、10メートル超、100メートル超、又は1000メートル超の結晶曲率半径を有してよい。ある具体的実施形態では、基板101は、約105cm-2未満の表面貫通転位密度、約10cm-1未満の積層欠陥密度、及び約50arcsec未満の対称X線ロッキングカーブ半値全幅(FWHM)を有する。大半の従来技術のフォトダイオードに比べて基板の転位密度が低減されることによって、フォトダイオードの半導体層の転位密度の低下、並びに高電流密度における、より高い開回路電圧Voc及びより高い効率が得られると期待される。
【0025】
いくつかの実施形態では、基板101は、貫通転位の濃度が比較的低い領域で隔てられた、貫通転位の濃度が比較的高い領域を含んでよい。比較的高濃度の領域における貫通転位の濃度は、約105cm-2超、約106cm-2超、約107cm-2超、又は約108cm-2超であってよい。比較的低濃度の領域における貫通転位の濃度は、約106cm-2未満、約105cm-2未満、又は約104cm-2未満であってよい。これと共に、又はこれとは別個に、基板101は、導電率が比較的低い領域で隔てられた、導電率が比較的高い領域を含んでよい。基板101は、約10マイクロメートル~約100ミリメートル、又は約0.1ミリメートル~約10ミリメートルの厚さを有してよい。基板101は、少なくとも約5ミリメートル、少なくとも約10ミリメートル、少なくとも約25ミリメートル、少なくとも約50ミリメートル、少なくとも約75ミリメートル、少なくとも約100ミリメートル、少なくとも約150ミリメートル、少なくとも約200ミリメートル、少なくとも約300ミリメートル、少なくとも約400ミリメートル、又は少なくとも約600ミリメートルの、直径を含む寸法を有してよい。ある具体的実施形態では、基板101は、約250マイクロメートル~約600マイクロメートルの厚さ、約15ミリメートル~約160ミリメートルの最大横方向寸法又は直径を有し、貫通転位の濃度が約104cm-2未満である領域を含む。
【0026】
基板101は、基板の残部、例えばテンプレート基板1101からの表面層1104の容易な分離のための離脱層1103を備えてよい。いくつかの実施形態では、離脱層1103は、テンプレート基板が略透明となって光吸収係数が50cm-1未満となる少なくとも1つの波長において、1000cm-1超の光吸収係数を有し、これにより、例えば少なくとも1つのデバイス構造体の製作後に、レーザリフトオフ技法によって基板を取り外すことができる。特定の実施形態では、離脱層1103は、Coで強くドープされてその光吸収係数が全可視スペクトルにわたって5000cm-1超まで上昇したGaNを含むか、又はこれからなる。具体的な一実施形態では、厚さ0.5マイクロメートル~50マイクロメートルのCoドープ離脱層1103は、鉱化剤への添加剤としてのCoF2と、高品質GaN種結晶からなるテンプレート1101とを用いて、テンプレート基板1101上にアモノサーマル成長によって形成される。別の具体的実施形態では、Coドープ離脱層1103は、シクロペンタジエニルコバルトジカルボニル((C5H5)Co(CO)2)、コバルト(II)アセチルアセトネート(Co(CH3C(O)CHC(O)CH3)2)、コバルトトリカルボニルニトロシル(Co(CO)3NO)、ジコバルトオクタカルボニル(Co2(CO)8)、及びテトラコバルトドデカカルボニル(Co4(CO)12)のうちの少なくとも1つをドーパント前駆物質として使用して、高品質GaN基板1101上に、MOCVDによって形成される。更に別の具体的実施形態では、Coドープ離脱層1103は、シクロペンタジエニルコバルトジカルボニル((C5H5)Co(CO)2)、コバルト(II)アセチルアセトネート(Co(CH3C(O)CHC(O)CH3)2)、コバルトトリカルボニルニトロシル(Co(CO)3NO)、ジコバルトオクタカルボニル(Co2(CO)8)、及びテトラコバルトドデカカルボニル(Co4(CO)12)のうちの少なくとも1つをドーパント前駆物質として使用して、高品質GaN基板1101上に、水素化物気相成長法(hydride vapor phase epitaxy:HVPE)によって形成される。更なる詳細は米国特許第8,148,801号明細書に記載されており、上記文献は参照によりその全体が本出願に援用される。いくつかの実施形態では、離脱層1103はInGaNを含み、以下で説明される吸収体層よりも低いバンドギャップを有し、これにより、例えば少なくとも1つのデバイス構造体の製作後に、光電気化学エッチング技法によって基板を取り外すことができる。ある具体的実施形態では、離脱層1103は、InGaN及びGaN又はAlGaNの歪み層超格子を含むか又はこれからなり、この歪み層超格子内のパーセント(%)インジウム(In)は吸収体層内よりも高く、またこの離脱層1103は高品質GaN基板1101上にMOCVDによって成長させられる。InGaN離脱層の更なる詳細は、米国特許第,866,149号明細書、及び米国特許出願公開第2019/0088495号明細書に更に詳細に記載されており、これらの文献はそれぞれ、参照によりその全体が本出願に援用される。
【0027】
特定の実施形態では、基板101は、テンプレート基板1101の表面に結合した、又は上記表面上に形成された、III族金属窒化物層1104からなる。III族金属窒化物層1104はガリウムを含んでよい。III族金属窒化物層は、HVPE、有機金属気相成長法(metalorganic chemical vapor deposition:MOCVD)、分子線エピタキシー法(molecular beam epitaxy:MBE)等によって堆積させることができる。III族金属窒化物層1104は、約1マイクロメートル~約100マイクロメートル、約2マイクロメートル~約25マイクロメートル、又は約3マイクロメートル~約15マイクロメートルの厚さを有してよい。特定の実施形態では、III族金属窒化物層1104は、ウルツ鉱結晶構造、及び(0001)+c面、(000-1)-c面、{10-10}m面、{11-2±2}、{60-6±1}、{50-5±1}、{40-4±1}、{30-3±1}、{50-5±2}、{70-7±3}、{20-2±1}、{30-3±2}、{40-4±3}、{50-5±4}、{10-1±1}、{10-1±2}、{10-1±3}、{21-3±1}、又は{30-3±4}の5°以内、2°以内、1°以内、又は0.5°以内の結晶方位を有する。特定の実施形態では、核形成層(図示せず)がテンプレート基板1101とIII族金属窒化物層1104との間の境界に存在する。特定の実施形態では、上記核形成層は、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、及び酸化亜鉛のうちの1つ以上からなるか、又はこれらを含む。特定の実施形態では、上記核形成層は、低温MOCVD、スパッタリング、及び電子ビーム蒸着のうちの少なくとも1つによって、テンプレート基板1101上に堆積させられる。特定の実施形態では、上記核形成層は、約1ナノメートル~約200ナノメートル、又は約10ナノメートル~約50ナノメートルの厚さを有する。特定の実施形態では、上記基板は更に、1つ以上の歪み管理層、例えばAlGaN層又は歪み層超格子を含む。
【0028】
特定の実施形態では、表面102は、約1×1016cm-3超、約1×1017cm-3超、又は約1×1018cm-3超の、酸素(O)及び水素(H)のうちの少なくとも一方の原子不純物濃度を有する。特定の実施形態では、Oの原子不純物濃度に対するHの原子不純物濃度の比は、約1.1~約1000、又は約5~約100である。特定の実施形態では、表面102は、約1×1015cm-3超、約1×1016cm-3超、約1×1017cm-3超、又は約1×1018cm-3超の、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、フッ素(F)、塩素(Cl)、ホウ素(Br)、及びヨウ素(I)のうちの少なくとも1つの不純物濃度を有する。特定の実施形態では、表面102は、較正済み二次イオン質量分析(secondary ion mass spectrometry:SIMS)によって定量化した場合にそれぞれ約1×1016cm-3~1×1019cm-3、約1×1016cm-3~2×1019cm-3、1×1017cm-3未満、1×1016cm-3未満、及び1×1016cm-3未満の、O、H、炭素(C)、Na、及びKの不純物濃度を有する。別の実施形態では、表面102は、較正済み二次イオン質量分析(SIMS)によって定量化した場合にそれぞれ約1×1016cm-3~1×1019cm-3、約1×1016cm-3~2×1019cm-3、1×1017cm-3未満、及び約3×1015cm-3~1×1018cm-3の、O、H、C、並びにNa及びKのうちの少なくとも一方の不純物濃度を有する。更に別の実施形態では、表面102は、較正済み二次イオン質量分析(SIMS)によって定量化した場合にそれぞれ約1×1016cm-3~1×1019cm-3、約1×1016cm-3~2×1019cm-3、1×1017cm-3未満、及び約1×1015cm-3~1×1019cm-3の、O、H、C、並びにF及びClのうちの少なくとも一方の不純物濃度を有する。いくつかの実施形態では、表面102は較正済み二次イオン質量分析(SIMS)によって定量化した場合に約5×1017cm-3~1×1019cm-3の、Hの不純物濃度を有する。ある具体的実施形態では、基板101は、約3175cm-1において赤外線吸収ピークを有し、単位厚さあたりの吸光度は約0.01cm-1超である。
【0029】
基板101は、いずれの立方体又は他の結晶構造を実質的に含まないウルツ鉱構造を特徴とすることができ、上記他の構造は、実質的にウルツ鉱である構造に対して、約0.1体積%未満である。
【0030】
基板101は、約25マイクロメートル未満、約10マイクロメートル未満、約5マイクロメートル未満、約2マイクロメートル未満、又は約1マイクロメートル未満の全体厚さ変動(total thickness variation:TTV)、及び約200マイクロメートル未満、約100マイクロメートル未満、約50マイクロメートル未満、約25マイクロメートル未満、又は約10マイクロメートル未満のマクロ屈曲(macroscopic bow)を特徴とすることができる。基板101は、約2cm-2未満、約1cm-2未満、約0.5cm-2未満、約0.25cm-2未満、又は約0.1cm-2未満の、直径又は特性寸法が約100マイクロメートル超である表面102上のマクロ欠陥の濃度を有してよい。基板101の大面積表面102にわたるミスカット角度の変動は、2つの直交する結晶学的方向それぞれにおいて約5°未満、約2°未満、約1°未満、約0.5°未満、約0.2°未満、約0.1°未満、約0.05°未満、又は約0.025°未満であってよい。少なくとも10μm×10μmの面積にわたって測定された表面102の2乗平均平方根表面粗度は、約0.5ナノメートル未満、約0.2ナノメートル未満、約0.15ナノメートル未満、約0.1ナノメートル未満、又は約0.05ナノメートル未満であってよい。基板101はn型導電率を特徴としてよく、ここでキャリア濃度は約1×1017cm-3~約3×1019cm-3であり、キャリア移動度は約100cm2/V・sである。特定の実施形態では、基板101は透明度が高く、405ナノメートル又は450ナノメートルの波長における光吸収係数は、約10cm-1未満、約5cm-1未満、約2cm-1未満、約1cm-1未満、約0.5cm-1未満、約0.2cm-1未満、又は約0.1cm-1未満である。
【0031】
特定の実施形態では、AluInvGa1-u-vN層(ただし0≦u,v,u+v≦1)を含む1つ以上のn型の第1の非吸収体層105が、基板上に堆積させられる。特定の実施形態では、1つ以上の追加の層を堆積させることにより、全体的構造内の応力の管理を補助する。第1の非吸収体層105中のキャリア濃度は、約1016cm-3~1020cm-3であってよい。特定の実施形態では、ケイ素、ゲルマニウム、又は酸素が、第1の非吸収体層105中のドーパントである。特定の実施形態では、ゲルマニウムがn型ドーパントとして選択される。特定の実施形態では、第1の非吸収体層105中のキャリア濃度は、5×1017cm-3~1020cm-3又は2×1018cm-3~6×1019cm-3である。基板105が(0001)+c面方位を有する場合、圧電場をより効果的にスクリーニングして効率的なキャリア回収を実施できるため、高いドーピングレベルが特に望ましいものとなり得る。第1の非吸収体層内の境界に、急激な又は段階的な組成又はドーピングプロファイルを組み込むことができる。堆積は、有機金属気相成長法(MOCVD)又は分子線エピタキシー法(MBE)を用いて実施できる。例えば上記基板を、MOCVDリアクタのサセプタ上に配置してよい。リアクタを閉じ、排気し、再充填した後、サセプタを窒素含有ガスの存在下で約800~約1350℃の温度まで加熱してよい。ある具体的実施形態では、サセプタを、流動アンモニア下でおよそ1185℃まで加熱する。トリメチルガリウム(trimethyl gallium:TMG)、トリエチルガリウム(triethyl gallium:TEG)、又はトリイソプロピルガリウムといったガリウム含有有機金属前駆物質の流れを、キャリアガス中で、合計流量およそ1~50標準立方センチメートル/分(sccm)で開始させてよい。キャリアガスは水素、ヘリウム、窒素、又はアルゴンを含んでよい。成長中のIII族前駆物質(トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリメチルインジウム、トリメチルアルミニウム)の流量に対するV族前駆物質(アンモニア)の流量の比は、約2000~約12000である。合計流量が約0.1~10sccmの、キャリアガス中のジシランの流れを開始させてよい。特定の実施形態では、ドーピングは、SiH4、Si2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、GeH4、GeCl4、O2、及びH2Oのうちの1つ以上を、流入するガスに添加することによって達成される。特定の実施形態では、1つ以上の非吸収体層は変成バッファ層であり、層間の格子定数の差の適合を容易にする。特定の実施形態では、第1の非吸収体層のドーピングレベルは、2つ以上のドーピングレベル及び/又は段階的なドーピングレベルを伴う不均一なものであってよい。特定の実施形態では、基板温度は第1の非吸収体層の堆積中に変動する。特定の実施形態では、基板温度は、第1の非吸収体層の第1の部分については、例えば1100~1350℃という高い値に保持され、その後、第1の非吸収体層の第2の部分については、より低い値、例えば吸収体層の堆積時の温度と同一の温度、例えば約700~約950℃へと低減される。特定の実施形態では、第1の非吸収体層の上記第2の部分の厚さは、約1ナノメートル~約20ナノメートルである。
【0032】
所定の厚さを達成するための所定の期間にわたるn型の第1の非吸収体層105の堆積に続いて、吸収体層107を堆積させる。特定の実施形態では、上記吸収体層は、基板温度約700~約950℃においてMOCVDによって堆積させられる。MOCVDにおいてトリメチルインジウム(TMIn)、トリエチルインジウム(TEIn)、及びトリイソプロピルインジウムのうちの少なくとも1つを前駆物質として使用することにより、インジウムを吸収体層に添加できる。上記吸収体層の堆積速度は、約0.005~約1ナノメートル/秒、又は約0.01~約0.5ナノメートル/秒、又は約0.02~約0.2ナノメートル/秒となるように選択してよい。特定の実施形態では、上記吸収体層は意図せずドープされている。特定の実施形態では、上記吸収体層は、酸素、ケイ素、又はゲルマニウムをドーパントとして約5×1015cm-3~約5×1019cm-3、又は約5×1016cm-3~約5×1018cm-3のドーパント濃度で用いて、n型ドープされる。特定の実施形態では、上記吸収体層は、Mgをドーパントとして約5×1015cm-3~約5×1019cm-3、又は約5×1016cm-3~約5×1018cm-3のドーパント濃度で用いて、p型ドープされる。上記吸収体層は、単一の量子井戸、又は2~50個の量子井戸を含む複数の量子井戸を含んでよい。いくつかの実施形態では、上記吸収体層は約10~約30個の量子井戸を含む。量子井戸は、InGaN井戸及びGaNバリア層を含んでよい。他の実施形態では、井戸層及びバリア層はそれぞれAlwInxGa1-w-xN及びAlyInzGa1-y-zN(ただし0≦w,x,y,z,w+x,y+z≦1、w<u,y及び/又はx>v,z)を含み、これにより、1つ以上の井戸層のバンドギャップが、1つ以上のバリア層のバンドギャップ及び非吸収体層のバンドギャップ未満となる。井戸層及びバリア層はそれぞれ、約0.5ナノメートル~約20ナノメートルの厚さを有してよい。特定の実施形態では、バリア層は、約1ナノメートル~約3ナノメートル、約3ナノメートル~約5ナノメートル、約5ナノメートル~10ナノメートル、又は約10ナノメートル~15ナノメートルの厚さを有する。特定の実施形態では、井戸層は、0.5ナノメートル~約1.5ナノメートル、約1.5ナノメートル~約2.5ナノメートル、約2.5ナノメートル~約3.5ナノメートル、約3.5ナノメートル~約4.5ナノメートル、又は約4.5ナノメートル~約10ナノメートルの厚さを有する。別の実施形態では、上記吸収体層は、厚さ約20nm~約500nmのInGaN若しくはAlwInxGa1-w-xN層がGaN若しくはAlyInzGa1-y-zN層に取り囲まれた(ただしw<u、y及び/若しくはx>v、z)、二重ヘテロ構造を含むか、又は上記二重ヘテロ構造からなる。特定の実施形態では、上記二重ヘテロ構造の厚さは、約10ナノメートル~約25ナノメートル、約25ナノメートル~約40ナノメートル、約40ナノメートル~約60ナノメートル、約60ナノメートル~約100ナノメートル、約100ナノメートル~約200ナノメートル、又は約200ナノメートル超である。上記吸収体層内の境界に、急激な又は段階的な組成又はドーピングプロファイルを組み込むことができる。この活性層の組成及び構造は、事前に選択された波長における、例えば405ナノメートルにおける、又は450ナノメートルにける、光の吸収を提供するように選択される。特定の実施形態では、上記波長は約400ナノメートル~約500ナノメートルとなるように選択される。上記吸収体層は、フォトルミネッセンス分光法によって特性決定できる。特定の実施形態では、上記吸収体層の組成は、フォトルミネッセンススペクトルが、フォトダイオード構造体の所望の光吸収波長よりも5ナノメートル~50ナノメートル又は10ナノメートル~25ナノメートルだけ長い波長のピークを有するように、選択される。特定の実施形態では、吸収体層内の品質及び層の厚さは、X線回折によって特性決定される。
【0033】
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の第2の非吸収体層109を次に堆積させる。第2の非吸収体層109はAlsIntGa1-s-tN(ただし0≦s,t,s+t≦1)を含んでよく、吸収体層よりも高いバンドギャップを有し、p型でドープされていてよい。ある具体的実施形態では、第2の非吸収体層109はAlGaNを含む。別の実施形態では、非吸収体層109はAlGaN/GaN多重量子バリア(multi‐quantum barrier:MQB)を含み、これは、厚さがそれぞれ約0.2nm~約5nmの、AlGaN及びGaNの交互になった層を含む。特定の実施形態では、1つ以上の非吸収体層は変成バッファ層であり、層間の格子定数の差の適合を容易にする。上記第2の非吸収体層内の境界に、急激な又は段階的な組成又はドーピングプロファイルを組み込むことができる。いくつかの実施形態では、非吸収体層の光学的設計は、吸収体層を通って基板から伝送される光の約70%超の光反射を達成するように微調整される。
【0034】
次にp型ドープAlqInrGa1-q-rN層111(ただし0≦q,r,q+r≦1)を、吸収体層と、存在する場合は第2の非吸収体層との上に堆積させる。p型層111は、約1016cm-3~1021cm-3のレベルまでMgでドープされていてよく、約5ナノメートル~約1マイクロメートル、約20ナノメートル~約400ナノメートル、又は約100ナノメートル~約250ナノメートルの厚さを有してよい。特定の実施形態では、吸収体層に最も近いp型層中のMgの濃度は、1018cm-3~1021cm-3、3×1018cm-3~3×1020cm-3、又は1019cm-3~2×1020cm-3である。基板105が(0001)+c面方位を有する場合、圧電場をより効果的にスクリーニングして効率的なキャリア回収を実施できるため、高いドーピングレベルが特に望ましいものとなり得る。p型層の最も外側の1~30ナノメートルは、層の残りの部分よりも強くドープされていてよく、これにより電気的接触を改善できる。特定の実施形態では、基板温度はp型ドープ層の堆積中に変動する。特定の実施形態では、基板温度は、p型ドープ層の第1の部分については、低い値、例えば吸収体層の堆積時の温度と同一の温度、例えば約700~約950℃に保持される。その後、p型ドープ層の第2の部分について、基板温度をより高い温度、例えば約750~約1000℃まで上昇させる。特定の実施形態では、p型ドープ層の上記第1の部分の厚さは、約1ナノメートル~約20ナノメートル、又は約20ナノメートル~40ナノメートルである。
【0035】
ある具体的実施形態では、トンネル接合及び別のn型層を、p型層111の上に堆積させる。特定の実施形態では、1つ以上の追加の非吸収体層及び追加の吸収体層を、トンネル接合の上に堆積させる。
【0036】
n型の第1の非吸収体層105、吸収体層107、1つ以上の任意のp型の第2の非吸収体層109、p型層111を含み、また追加の吸収体層、1つ以上のn型クラッド層、及び1つ以上のp型クラッド層も含んでよい、複数の半導体層は、基板101の表面102の結晶方位の約2°以内、約1°以内、又は約0.5°以内までの同一の結晶方位を有し、極めて高い結晶品質を有し、窒素を含み、また109cm-2未満の表面転位密度を有してよい。上記半導体層は、108cm-2未満、107cm-2未満、106cm-2未満、105cm-2未満、104cm-2未満、103cm-2未満、又は102cm-2未満の表面転位密度を有してよい。いくつかの実施形態では、上記半導体層は略透明であり、約700nm~約3077nmの波長及び約3333nm~約6667nmの波長において100cm-1未満、50cm-1未満、又は5cm-1未満の光吸収係数を有する。
【0037】
ある具体的実施形態では、上記半導体層はm面の5°以内の方位を有し、また上面の1-100X線ロッキングカーブのFWHMは、300arcsec未満、100arcsec未満、又は50arcsec未満である。別の具体的実施形態では、上記半導体層はa面の5°以内の方位を有し、また上面の11-20X線ロッキングカーブのFWHMは、300arcsec未満、100arcsec未満、又は50arcsec未満である。更に別の具体的実施形態では、上記半導体層は、{1-10±1}、{1-10±2}、{1-10±3}、{20-2±1}、{30-3±1}、又は{11-2±2}から選択される半極性方位の5°以内の方位を有し、また上面の最低次半極性対称X線ロッキングカーブのFWHMは、300arcsec未満、100arcsec未満、又は50arcsec未満である。別の具体的実施形態では、上記半導体層は(0001)面の5°以内の方位を有し、また上面の0002X線ロッキングカーブのFWHMは、300arcsec未満、100arcsec未満、又は50arcsec未満である。更に別の具体的実施形態では、上記半導体層は、(000-1)c面の10°以内の方位を有し、また上面の0002X線ロッキングカーブのFWHMは、300arcsec未満、100arcsec未満、又は50arcsec未満である。
【0038】
特定の実施形態では、プロセス開発の目的のために、上述の層のうちの1つ以上が欠けている構造を製造することが有用である場合がある。例えば、以下で説明されるような反射性p側電気接点を改善又は最適化する目的で、p型GaN層及び吸収体層を省略してもよい。吸収体層の電気的特性、光学特性、及び材料特性を改善又は最適化する目的で、p側接触層及びp型層のうちの1つ以上を省略してもよい。
【0039】
上記半導体層の結晶方位、並びにドーピング及びバンドギャッププロファイルは、フォトダイオードの性能に大きな影響を及ぼし得る。ヘテロ構造を含む+c面GaN系デバイスに関して、ウルツ鉱結晶構造内のGa‐N結合の強い極性及び反転対称性の欠如を原因とする自発的な圧電的分極により、望ましくないデバイス性能につながり得る強力な電場が生成される可能性があることが公知である。本発明者らは、これらの電場が、特に高電流密度下においてフォトダイオード構造体の性能に悪影響を及ぼし得ることを発見し、またこれらの影響を克服するための複数のアプローチを特定し、本明細書で開示している。
【0040】
+c面基板、即ち結晶方位が(0001)の5°以内、2°以内、1°以内、又は0.5°以内である基板の使用は、高出力フォトダイオード構造体及びフォトダイオードに関して、以下を含む複数の利点を有する:1)大面積のepi‐ready基板を備えた、より成熟した商業用サプライチェーン;2)十分に確立された、安定的なエピタキシャル成長条件;及び3)数桁に及ぶドーパント濃度の比較的容易な制御。しかしながら、以下の比較例で示されているように、比較的標準的なLEDタイプの構造体を使用すると、高い曲線因子を有するフォトダイオードは実現できない場合がある。
【0041】
特定の実施形態では、+c面フォトダイオードの自発的な圧電場の有害な影響は、吸収体層のInのパーセントが上昇するにつれて次第に深刻になるが、吸収体層のn側及びp側両方において高いドーピングレベルを使用することによって軽減される。高電流密度下でのフォトダイオードの性能に対する、バンドギャップアラインメント及び自発的な圧電場の影響を調査した。フォトダイオード性能の分析に使用した上記半導体層を、
図7に概略図で示す。吸収体層730は、n型ドープ層710とp型ドープ層750との間に位置決めされる。任意に、n型クラッド層720がn型ドープ層710と吸収体層730との間に挿入される。任意に、p型クラッド層740が吸収体層730とp型ドープ層750との間に挿入される。簡潔にするために、吸収体層730を厚さ40ナノメートルの二重ヘテロ構造としてモデル化したが、吸収体層が多重量子井戸(MQW)構造からなるか又はこれを含む場合にも、同様の効果が期待される。
【0042】
約473ナノメートル以下の波長を有する光の吸収に適した、In
0.18Ga
0.82Nを含む1つ以上の層を含む吸収体層の場合、
図8Aに示されているように、吸収体層の第1の側部と接触したn型層のドーピングレベルが2.0×10
19cm
-3であり、かつ吸収体層の第2の側部と接触したp型層のドーピングレベルが2.0×10
19cm
-3であるとき、短絡電流及び曲線因子は極めて低い。この極めて低い性能は、
図8Bに示されているように、InGaNとGaNとの間の極性の不連続及びバンドオフセットに関連する電場のスクリーニングの不良によるものと考えられる。しかしながら、吸収体層の第1の側部と接触したn型層のドーピングレベルを3.5×10
19cm
-3まで上昇させ、かつ吸収体層の第2の側部と接触したp型層のドーピングレベルを6.0×10
20cm
-3まで上昇させると、
図9Aに示されているように照明時I‐V性能ははるかに良好なものとなる。この大幅に改善された性能は、
図9Bに示されているように、吸収体層内及びGaN‐InGaN境界の付近における電場のはるかに良好なスクリーニングによるものである。
図15に示された表に示されているように、曲線因子FFの改善は、吸収体層と接触した両方の層のドーピングレベルを上昇させることで達成できる。特に、90%を超える曲線因子は、n型ドープ層を約3.5×10
19cm
-3以上の濃度でドープすることによって、及び約2.0×10
20cm
-3以上の濃度のp型層の活性化ドーピングレベルによって、達成できる。
【0043】
いくつかの実施形態では、フォトダイオード構造体は、n型層、少なくとも1つの吸収体層、及びp型層を含み、これらはそれぞれ、107cm-2未満の貫通転位密度を有する。フォトダイオード構造体はまた、(000-1)-c面と2°~5°だけ異なる結晶方位を有する、1つ以上の吸収体層、n型層、及びp型層を含んでもよい。フォトダイオード構造体はまた、{10-10}m面の5°以内の結晶方位を有する、1つ以上の吸収体層、n型層、及びp型層を含んでもよく、n型層及びp型層はそれぞれ、少なくとも4×1018cm-3のドーパント濃度を特徴とする。フォトダイオード構造体はまた、{10-1-2}、{10-1-1}、{20-2-1}、及び{30-3-1}から選択される半極性平面の5°以内の結晶方位を有する、1つ以上の吸収体層、n型層、及びp型層を含んでもよく、n型層及びp型層はそれぞれ、少なくとも2×1018cm-3のドーパント濃度を特徴とする。
【0044】
図15は、
図7に概略図で示されている構造を有するInGaN/GaNフォトダイオード構造体の照明時I‐V性能特性を含む。簡潔にするために、吸収体層は厚さ40ナノメートルの二重ヘテロ構造としてモデル化されている。
【0045】
約435ナノメートル以下の波長を有する光の吸収に適した、In
0.12Ga
0.88Nを含む1つ以上の層を含む吸収体層の場合、吸収体層の第1の側部と接触したn型層のドーピングレベルが2.0×10
19cm
-3であり、かつ吸収体層の第2の側部と接触したp型層のドーピングレベルが8.0×10
18cm
-3であるとき、曲線因子は60%未満となる。しかしながら、吸収体層の第2の側部と接触したp型層のドーピングレベルを2.0×10
19cm
-3まで上昇させると、曲線因子は略80%まで上昇し、吸収体層の第2の側部と接触したp型層のドーピングレベルを1.0×10
20cm
-3まで更に上昇させると、曲線因子は約93%まで上昇する。
図15の表の中の結果は、吸収体層に隣接するクラッド層のドーピングレベルを、p型ドープ層のドーピングレベルに比べて低下させると、曲線因子が大幅に低下することを示している。この結果は重要である。というのは、ドープされていない吸収体層の堆積までは、完全なドーピングを達成することが困難となり、従って、950℃未満の温度で堆積させたドープされていない吸収体層から、かなり高い温度で堆積させた所望のドーピングレベルを有するp型ドープ層へと切り替えるとすぐに、ドーピングプロファイルに急峻な遷移が生じる可能性があるためである。しかしながら、これも
図15の表に示されているように、曲線因子FFの改善は、吸収体層のn型側部及びp型側部のうちの一方又は両方の上にドープされたクラッド層を導入することによっても達成でき、これは、特に上記クラッド層が、吸収体層のインジウム濃度とn型ドープ層及び/又はp型ドープ層のインジウム濃度との中間のインジウム濃度を有する場合である。クラッド層の中間インジウム濃度は、均一であっても、連続的に傾斜していても、又は階段状に傾斜していてもよい。クラッド層は、歪み層超格子を含んでよい。いくつかの実施形態では、フォトダイオード構造体は、n型クラッド層及びp型クラッド層のうちの少なくとも一方を含み、n型クラッド層はn型層と1つ以上の吸収体層との間にあり、n型クラッド層は少なくとも2×10
19cm
-3のドーパント濃度を有し、またp型クラッド層は1つ以上の吸収体層とp型層との間にあり、p型クラッド層は少なくとも5×10
19cm
-3のドーパント濃度を有する。
【0046】
特定の実施形態では、+c面フォトダイオードの自発的な圧電場の有害な影響は、(000-1)の10°以内、例えば6°以内、5°以内、4°以内、3°以内、2°以内、又は1°以内の結晶方位を有する-c面基板の使用によって軽減される。特定の実施形態では、基板及び半導体層は(000-1)と2°~5°だけ異なる結晶方位を有する。特定の実施形態では、基板及び半導体層は、(000-1)から<10-10>m方向に向かって方位がずれている。特定の実施形態では、基板及び半導体層は、(000-1)から<11-20>a方向に向かって方位がずれている。
図15の表を再び参照すると、吸収体層のすぐ隣のn型ドープ層及びp型ドープ層における、1.0×10
16cm
-3、又は1.0×10
17cm
-3、又は1.0×10
18cm
-3のドーピング濃度は、吸収体層における12%及び18%のインジウム濃度の両方に関して高い曲線因子を達成するために十分なものであることが分かる。基板及び半導体層がそれぞれ-c結晶方位を有する場合、n型ドープ層及びp型ドープ層におけるドーピング濃度が1.0×10
16cm
-3~1.0×10
20cm
-3であれば、8%を超える曲線因子を達成できると考えられる。ある例では、フォトダイオード構造体は、少なくとも10Acm
-2の電流密度を生成する照明レベルの下で少なくとも50%の曲線因子を特徴とする。
【0047】
特定の実施形態では、+c面フォトダイオードの自発的な圧電場の有害な影響は、m面基板、即ち方位が(10-10)の5°以内、2°以内、1°以内、又は0.5°以内である基板の使用によって軽減される。
図15の表を再び参照すると、吸収体層のすぐ隣のn型ドープ層及びp型ドープ層における、2.0×10
19cm
-3のドーピング濃度は、吸収体層における12%及び18%のインジウム濃度の両方に関して90%を超える曲線因子を達成するために十分なものであることが分かる。
【0048】
特定の実施形態では、+c面フォトダイオードの自発的な圧電場の有害な影響は、{20-2-1}又は{30-3-1}の5°以内、2°以内、1°以内、又は0.5°以内の結晶方位を有する半極性基板の使用によって軽減される。
図15の表を再び参照すると、吸収体層のすぐ隣のn型ドープ層及びp型ドープ層における、8.0×10
18cm
-3のドーピング濃度は、吸収体層における12%及び18%のインジウム濃度の両方に関して約90%を超える曲線因子を達成するために十分なものであることが分かる。
【0049】
特定の実施形態では、N極性又は半極性InGaN層の炭素含有量を低減するために、従来のものに近いトリメチルガリウム(TMG)及びトリメチルインジウム(TMIn)ではなく、トリエチルガリウム(TEG)及びトリエチルインジウム(TEIn)を有機金属前駆物質として使用する。例えば、半導体層の炭素含有量は、1×1018cm-3未満、又は1×1017cm-3未満であってよい。特定の実施形態では、水素(H2)と窒素(N2)キャリアガスとの比、基板温度、及び圧力は、N極性半導体層に小さな隆起が形成されるのを最小限に抑えるために最適化される。
【0050】
特定の実施形態では、半導体層をアニーリングに供して、p型ドーパントを電気的に活性化させる。特定の実施形態では、このアニーリングは、半導体層を堆積させるために使用されたMOCVDリアクタ内においてその場で、例えばN2を流しながら約500℃~約900℃の温度まで、実施される。特定の実施形態では、炉内又は急速熱アニーリング(rapid thermal annealing:RTA)オーブン内で、例えばN2を流しながら約400℃~約900℃の温度まで、実施される。特定の実施形態では、アニーリングプロセス中の雰囲気は、O2等の酸化ガスを含有してもよい。特定の実施形態では、アニーリング雰囲気中の上記酸化ガスの割合は、約5%~約95%である。特定の実施形態では、アニーリングプロセスの持続時間は、約1秒~約5時間、又は約10秒~約1時間である。特定の実施形態では、アニーリング後、半導体層の表面を清掃して、更なる堆積のための準備ができた状態にする。特定の実施形態では、この清掃は、塩酸、硝酸、若しくは王水といった鉱酸による処理、ピラニアエッチング、緩衝酸化物エッチング、ドライエッチング、又はアルゴンプラズマ等のプラズマによる処理のうちの1つ以上を含むか、あるいはこれらのうちの1つ以上からなる。
【0051】
特定の実施形態では、透明伝導層をp型半導体層上に堆積させる。特定の実施形態では、上記透明伝導層は、酸化インジウムスズ又はアルミニウム酸化亜鉛等の透明伝導性酸化物(transparent conductive oxide:TCO)を含む。特定の実施形態では、上記透明伝導層は、熱蒸着、電子ビーム蒸着、及びスパッタリングのうちの1つ以上によって堆積させられる。特定の実施形態では、堆積させたTCO層を、約300~700℃の酸素を含有する制御された雰囲気下でアニーリングして、TCO層の光学特性/透明性と電気的特性とを同時に最適化する。特定の実施形態では、上記透明伝導層は約10ナノメートル~約1000ナノメートルの厚さを有する。
【0052】
本開示に記載されているフォトダイオード構造体は、多重反射性幾何学形状を有するパッケージ化されたフォトダイオードで使用するために設計されている。従って、上記構造体の前面及び背面の反射能を最大化することが重要となる。更に、フォトダイオードの効率を最大化するために、接点の電気抵抗を最小限に抑えることが重要となる。そこで
図1を再び参照すると、反射性p側電気接点113をp型半導体層111上に堆積させてよい。ある好ましい実施形態では、反射性p側電気接点の平均反射能は、動作中の光のある特定の入射角又はある特定の範囲の入射角において、70%超、80%超、85%超、又は90%超である。一般に、本明細書中で使用される場合、用語「平均反射能(average reflectivity)」は広義には、390ナノメートル~460ナノメートルのある特定の波長における、またデバイスの動作中のある範囲の入射角の代表例となる、層の表面に対する1つ以上の角度における、ある表面上の少なくとも2つの反射率測定データ点を平均することによって算出された反射率値を指すことを意図している。フォトダイオード構造体の動作中、いくつかの実施形態では、光(又は光放射)は、フォトダイオード構造体の垂直な縁部又は略垂直な縁部に結合され、内部における反射層(例えば
図2の反射ミラー層113又はn側電気接点114)に対する光の入射角は、反射層の平面から測定した場合に約0.1~約30°、約0.2~約20°、又は約0.3~約10°である。ある例では、
図2に示されている受光面252は、フォトダイオード構造体の垂直な縁部、又はフォトダイオード構造体内の垂直な平面として配向される。フォトダイオード構造体のいくつかの実施形態では、光は、フォトダイオード構造体の垂直でない縁部に結合され、内部における反射層に対する入射角は、反射層の平面から測定した場合に約0.1~約60°、約0.2~約40°、又は約0.3~約20°である。フォトダイオード構造体の他の実施形態では、光はアパーチャを介して、フォトダイオード構造体の大面積表面に結合され、内部における反射層に対する入射角は、反射層の平面から測定した場合に約30~90°、約45~90°、又は約60~90°である。フォトダイオード構造体の更に他の実施形態では、光はアパーチャを介して、フォトダイオード構造体の大面積表面に結合されて、斜めの角度で内部反射し、内部における反射層に対する入射角は、反射層の平面から測定した場合に約0.1~約45°、約0.3~約30°、又は約0.5~約20°である。反射性p側電気接点の接触抵抗は、3×10
-3Ωcm
2未満、1×10
-3Ωcm
2未満、5×10
-4Ωcm
2未満、2×10
-4Ωcm
2未満、10
-4Ωcm
2未満、5×10
-5Ωcm
2未満、2×10
-5Ωcm
2未満、又は10
-5Ωcm
2未満である。好ましい実施形態では、接触抵抗は5×10
-5Ωcm
2未満である。反射性p側電気接点は、銀、金、アルミニウム、ニッケル、白金、ロジウム、パラジウム、チタン、クロム、ゲルマニウム、ルテニウム、マグネシウム、スカンジウム等のうちの少なくとも1つを含んでよい。いくつかの実施形態では、反射性p側電気接点は、少なくとも2つの層を含んでよく、又は少なくとも2つの層からなってよく、第1の層は、良好な電気接点を提供するものであり、白金、ニッケル、アルミニウム、又はチタンを含み、0.1~5ナノメートルの厚さを有し、また第2の層は、優れた光反射能を提供するものであり、銀、金、又はニッケルを含み、0.4ナノメートル~1マイクロメートルの厚さを有する。特定の実施形態では、反射性p側接点は、少なくとも3つの層、少なくとも4つの層、若しくは少なくとも5つの層を含んでよく、又は少なくとも3つの層、少なくとも4つの層、若しくは少なくとも5つの層からなってよい。特定の実施形態では、反射性p側接点は3つの層を含み、第1の層は銀を含み、厚さが約1ナノメートル~約200ナノメートルであり、第2の層は適度な好酸素性を有する金属を含み、厚さが約0.5ナノメートル~約2ナノメートルであり、第3の層は銀を含み、厚さが約50ナノメートル~約200ナノメートルである。特定の実施形態では、適度な好酸素性を有する金属は、ニッケルを含むか又はニッケルからなる。特定の実施形態では、適度な好酸素性を有する金属は、銅、コバルト、鉄、及びマンガンのうちの1つ以上を含むか、又は銅、コバルト、鉄、及びマンガンのうちの1つ以上からなる。特定の実施形態では、反射性p側電気接点を堆積させた後にアニーリングして、その反射能を改善し、及び/又はその接触抵抗を低減する。特定の実施形態では、このアニーリングはRTA炉内において約300℃~約1000℃の温度まで実施される。特定の実施形態では、反射性p側接点を、約0.1Torr~約200Torrの分圧の酸素を含有する制御された雰囲気下で、約500~約900℃の温度までアニーリングすることにより、適度な好酸素性を有する金属と銀との間の相互拡散、及び反射性p側接触層中への制御された濃度の酸素の導入を発生させる。好ましい実施形態では、酸素の分圧を約10
‐4Torr未満に低減した後、約250℃未満の温度に反射性p側接点を冷却することにより、過剰な酸化銀の形成を回避する。特定の実施形態では、反射性p側接点は酸素を、約1×10
20cm
-3~約7×10
20cm
-の最大局所濃度で含む。更なる詳細は、参照によりその全体が本出願に援用される米国特許第9,917,227号明細書に記載されている。反射性p側電気接点は、熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、又は別の好適な技法によって堆積させることができる。ある好ましい実施形態では、反射性電気接点は、パワーフォトダイオードのp側電極として機能する。特定の実施形態では、反射性p側接点は平面であり、かつ半導体層に対して平行であり、これは、反射性p側接点の反射能の最大化に役立ち得る。代替実施形態では、反射性p側接点はパターン形成又はテクスチャ形成されており、これは、例えばアパーチャ内の光の入射又は抽出に役立ち得る。
【0053】
特定の実施形態では、特定の反射性表面の反射率の測定は、少なくとも2つの試料タイプを準備することによって実施でき、上記少なくとも2つの試料タイプの一方は反射性表面が無傷のままとされたものであり、もう一方は反射性表面が除去されたものである。これら両方の試料は、測定プローブ光は第1の表面を介して低反射率で結合され、測定対象の反射性表面に相当する第2の表面から反射及び屈折し、第3の表面を介して低内部反射率で結合されるように製作できる。いくつかの実施形態では、第1及び第3の表面での反射は、プローブ光の波長に対して微調整された誘電体反射防止コーティングの適用によって、最小限に抑えられる。第1及び第3の表面での反射は、光が略垂直に入射して第1及び第3の表面を通って伝送されるように試料を製作することによって、更に低減できる。反射性表面に相当する表面及び第3の表面から伝送される光パワーを、両方の試料タイプに関して測定し、これを用いて、当該技術分野で公知の方法に従って、反射性表面の反射率を算出する。
【0054】
特定の実施形態では、約70%超の平均反射能を有する反射性n側電気接点114を、基板101上に堆積させる。ある好ましい実施形態では、反射性n側電気接点の平均反射能は、動作中の光のある特定の入射角又はある特定の範囲の入射角において、80%超、85%超、又は90%超である。反射性n側電気接点の接触抵抗は、3×10-3Ωcm2未満、1×10-3Ωcm2未満、5×10-4Ωcm2未満、2×10-4Ωcm2未満、10‐4Ωcm2未満、5×10-5Ωcm2未満、2×10-5Ωcm2未満、又は10-5Ωcm2未満である。好ましい実施形態では、接触抵抗は5×10-5Ωcm2未満である。反射性n側電気接点は、銀、金、アルミニウム、ニッケル、白金、ロジウム、パラジウム、チタン、クロム等のうちの少なくとも1つを含んでよい。いくつかの実施形態では、反射性n側電気接点は、少なくとも2つの層を含んでよく、又は少なくとも2つの層からなってよく、第1の層は、良好な電気接点を提供するものであり、アルミニウム又はチタンを含み、0.1~5ナノメートルの厚さを有し、また第2の層は、優れた光反射能を提供するものであり、アルミニウム、ニッケル、白金、金、又は銀を含み、10ナノメートル~10マイクロメートルの厚さを有する。特定の実施形態では、反射性n側接点は、少なくとも3つの層、少なくとも4つの層、若しくは少なくとも5つの層を含んでよく、又は少なくとも3つの層、少なくとも4つの層、若しくは少なくとも5つの層からなってよく、これにより、反射能(最大化)、接触抵抗(最小化)、及び堅牢性(最大化)を同時に最適化できる。反射性n側電気接点は、熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、又は別の好適な技法によって堆積させることができる。ある特定の実施形態では、反射性n側電気接点は、パワーフォトダイオードのn側電極として機能する。特定の実施形態では、反射性n側接点は平面であり、かつ半導体層に対して平行であり、これは、反射性n側接点の反射能の最大化に役立ち得る。代替実施形態では、反射性n側接点はパターン形成又はテクスチャ形成されており、これは、例えばアパーチャ内の光の入射又は抽出に役立ち得る。
【0055】
特定の実施形態、特に反射性n側接点がアルミニウムを含む実施形態では、反射性n側接点の接触抵抗を低減するために、基板101の裏側を、塩素含有ガス又はプラズマを用いた反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)で処理する。ある具体的実施形態では、上記塩素含有ガス又はプラズマはSiCl4を含む。特定の実施形態では、反応性n側接点の接触抵抗を低減するために、更なる清掃ステップを実施する。特定の実施形態では、これらの更なる清掃ステップは、塩酸、硝酸、若しくは王水といった鉱酸による処理、緩衝酸化物エッチング、ドライエッチング、又はアルゴンプラズマ等のプラズマによる処理のうちの1つ以上を含むか、あるいはこれらのうちの1つ以上からなる。
【0056】
いくつかの実施形態では、
図2に示されているように、反射性p側電気接点は、不連続p電極215及び反射ミラー層113を含む2要素ミラー/p電極を備える。不連続p電極215は電気接点として最適化され、例えば、ニッケル又は白金の厚さが約20~200nm、金の厚さが約100nm~1マイクロメートルであるニッケル/金、又は白金/金積層体で作製できる。ある好適な実施形態では、不連続p電極215は、1辺が約1マイクロメートル~0.1cmのグリッド開口を有するグリッド電極である。反射ミラー層113は、銀、金、アルミニウム、白金、ロジウム、パラジウム、クロム等のうちの少なくとも1つを含んでよく、p型層111上及びグリッドp電極215上に堆積させることができる。好ましくは、ミラー層は、相互拡散を低減するために、不連続p電極の何らかのアニーリング処理後に堆積させられる。任意に、ニッケル、ロジウム、白金、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウム、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、又はMC
xN
yO
z(ここでMは、アルミニウム、ホウ素、ケイ素、チタン、バナジウム、クロム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、又は希土類金属といった金属元素を含み、x、y、zはそれぞれ0~3である)等の拡散バリア層を、不連続p電極215とミラー層113との間に配置する。動作電流密度が10A/cm
2であり、p型層に関してシート抵抗が4×10
5Ω/sqであり、また電流がp型層からグリッド状の不連続p電極接点215のみに伝導され、反射ミラー層113に直接伝導されないとすると、p型層内での横方向の伝導を原因とするパワー損失の、算出される百分率は、2、5、及び10マイクロメートルのグリッドの間隔に関して、それぞれおよそ0.6、3.6、及び14.5%である。不連続p電極215は、グリッド構成の代わりに、ドット、長方形、円等のアレイとして配設できる。p電極アレイ素子215の間隔は、好ましくは約1マイクロメートル~0.1cmである。反射性金属p電極、又は反射ミラー層と不連続電極との組み合わせの使用により、pドープ層を通る長距離の横方向キャリア輸送を必要とすることなく、従ってデバイス内の横方向のオーミック損失及び直列抵抗を最小限に抑えながら、大面積のパワーフォトダイオードの製作が可能となる。不連続p電極による寄生光吸収は、電極パターンを設計し、不連続p電極パターンに入射する光が大幅に回避されるように光伝播経路を配向することによって、最小限に抑えることができる。
【0057】
フォトダイオード構造体は、p型層の上に配置されたp側電気接触層を含んでよく、上記p側電気接触層は、動作中の光のある特定の入射角又はある特定の範囲の入射角において、390ナノメートル~460ナノメートルの波長に関して少なくとも80%の平均反射率と、1×10-3Ωcm2未満の接触抵抗とを有する。
【0058】
上述のように、本開示に記載されているフォトダイオード構造体は、多重反射性幾何学形状を有するパッケージ化されたフォトダイオードで使用するために設計されている。いくつかの実施形態では、動作中、パッケージ化されたフォトダイオードは、照明源251から1つ以上の波長の光を受け取るように構成される。照明源251は、レーザ又は他の有用な照射源を含んでよい。フォトダイオードのパワー効率を最適化するために、上記構造体の前面及び背面、並びに個片化後の個々のフォトダイオードダイの側部の反射能を最大化することが重要となる。更に、接点の電気抵抗を最小限に抑え、反射性接点構造体(例えば反射性p側接点及び反射性n側接点)に対するフォトダイオードの受光面252の配置を構成することが重要となる。
図2を再び参照すると、例えば405ナノメートル又は450ナノメートルである所望の波長の光は、受光面252を含むアパーチャ(図示せず)を介してフォトダイオード構造体に入射し、基板101及び半導体層内を伝播253して、反射性p側接点113及び反射性n側接点114から、並びに縁部反射体(図示せず)から反射できる。受光面252は一般に、
図2に概略図で示されているように、p型反射性接点113とn型反射性接点114との間に配置されたフォトダイオードの領域に向かって照明源251から放出される放射を提供するように位置決め及び位置合わせされた、フォトダイオードデバイス(又はフォトダイオードダイ)の一部分を含む。いくつかの実施形態では、受光面252は、
図2に概略図で示されているように、フォトダイオードデバイスの縁部上の領域を含んでよい。他の実施形態では、受光面252は、表面255及び256のうちの一方の上の開放領域を含んでよく、これらはそれぞれp型反射性接点113又はn型反射性接点114を形成するために使用された材料の一部を含まない。この構成では、上記開放領域は、照明源251から放出された照射を、p型反射性接点113とn型反射性接点114との間に配置されたフォトダイオードの領域に入射させるよう設計される。いくつかの実施形態では、受光面252は、照明源251から送達された光をp型反射性接点113とn型反射性接点114との間で少なくとも1回反射するように、フォトダイオードデバイスに対して位置合わせされる。照明源251から送達される光は例えば、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長を有することができる。
【0059】
特定の実施形態では、これもまた
図2に示されているように、反射性n側電気接点は、不連続n電極217及び反射ミラー層114を含む2要素ミラー/n電極を備える。不連続n電極217は電気接点として最適化され、例えば、チタンの厚さが約5~200nm、アルミニウム又は金の厚さが約100nm~1マイクロメートルであるチタン/アルミニウム、又はチタン/アルミニウム/金積層体で作製できる。ある好適な実施形態では、不連続n電極217は、1辺が約1マイクロメートル~1センチメートルのグリッド開口を有するグリッド電極である。動作電流密度が10A/cm
2であり、n型GaN基板に関してシート抵抗が0.27Ω/sqであるとすると、基板内での横方向の伝導を原因とするパワー損失の、算出される百分率は、0.2、0.5、及び1cmのグリッドの間隔に関して、それぞれおよそ0.4、2.5、及び9.8%である。特定の実施形態では、この構造体から作製された、個片化されたダイの側部のn側接点を、裏側のn側接点に加えて、又は裏側のn側接点の代わりに、追加する。特定の実施形態では、必要に応じて、n型ドープ層又はp型ドープ層それぞれへのトレンチの形成後に、n接点及びp接点をダイの同じ側に追加する。これらのトレンチは、当該技術分野で公知であるように、リソグラフィ及びドライ又はウェットエッチングによって形成できる。反射性n側ミラー層114は、銀、金、アルミニウム、白金、ロジウム、パラジウム、クロム等のうちの少なくとも1つを含んでよく、基板101の裏側上及びグリッドn電極217上に堆積させることができる。好ましくは、ミラー層は、相互拡散を低減するために、不連続n電極の何らかのアニーリング処理後に堆積させられる。任意に、ニッケル、ロジウム、白金、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウム、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、又はMC
xN
yO
z(ここでMは、アルミニウム、ホウ素、ケイ素、チタン、バナジウム、クロム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、又は希土類金属といった金属元素を含み、x、y、zはそれぞれ0~3である)等の拡散バリア層を、不連続n電極217とミラー層114との間に配置する。不連続n電極217は、グリッド構成の代わりに、ドット、長方形、円等のアレイとして配設できる。n電極アレイ素子217の間隔は、好ましくは約1マイクロメートル~0.1cmである。反射性金属n電極、及び反射ミラー層と不連続電極との組み合わせの使用により、基板101を通る長距離の横方向キャリア輸送を必要とすることなく(これは、透明性を最適化するために基板101のキャリア濃度が低い場合、又は基板101が極めて薄い、例えば約100マイクロメートル未満、約50マイクロメートル未満、若しくは約25マイクロメートル未満である場合に、重要となり得る)、大面積のパワーフォトダイオードの製作が可能となる。不連続n電極による寄生光吸収は、不連続n電極パターンに入射する光が大幅に回避されるように電極パターン及び光伝播経路を設計することによって、最小限に抑えることができる。
【0060】
フォトダイオード構造体はn側電気接触層を含んでよく、上記n側電気接触層は、動作中の光のある特定の入射角又はある特定の範囲の入射角において、390ナノメートル~460ナノメートルの波長に関して少なくとも80%の平均反射率を有し、また5×10-4Ωcm2未満の接触抵抗を有する。
【0061】
いくつかの実施形態では、
図3に示されているように、反射性p側電気接点及び反射性n側電気接点のうちの少なくとも一方は、半透明電流拡散層321を更に備える。半透明電流拡散層321は、酸化ニッケル(NiO)、酸化ニッケル/金(NiO/Au)、NiO/Ag、酸化インジウムスズ(ITO)、p型酸化亜鉛(ZnO)、酸化ルテニウム(RuO
2)等のうちの少なくとも1つを含んでよい。半透明電流拡散層321は、p型GaN層111へ又は基板101への電気的接触、例えばオーミック又は準オーミック挙動を促進する。半透明電流拡散層321における光吸収を最小限に抑えるために、この層は、好ましくは約1nm~約100nmの厚さを有し、70%を超える光透過率を有する。動作電流密度が10A/cm
2であり、p型層の上にある半透明電流拡散層321に関してシート抵抗が25Ω/sqであるとすると、電流拡散層での横方向の伝導を原因とするパワー損失の、算出される百分率は、0.02、0.05、及び0.1cmのグリッドの間隔に関して、それぞれおよそ0.4、2.3、及び9.1%である。
【0062】
いくつかの実施形態では、透明誘電体319を、半透明電流拡散層321の一部分の上、並びにp側電気接点315の間、及び/又はn側電気接点317の間に配置する。上記透明誘電体は、TiO2、Ta2O5、ZrO2、SiO2、SiOx、SiNx、Si3N4、SiOxNy、Al2O3、及びMgF2のうちの少なくとも1つを含んでよい。透明誘電体319は、1/4波長の厚さであってよく、即ち空気中の入射光子波長の1/4を誘電体媒体の屈折率で除算したものにおおよそ等しい厚さを有してよい。例えば、フォトダイオード構造体が405ナノメートルの設計波長を有し、透明誘電体が屈折率およそ2.28のTa2O5からなる場合、透明誘電体319の厚さは、約405/2.28/4=44ナノメートルとして選択できる。透明誘電体319は開放領域を含み、そこにp側電気接点材料315又はn側電気接点材料317が配置される。p側電気接点材料315及びn側電気接点材料317は、ニッケル(Ni)、酸化ニッケル(NiO)、チタン‐タングステン/金(Ti‐W/Au)のうちの少なくとも1つを含んでよい。ある好ましい実施形態では、p側電気接点材料315及び/又はn側電気接点材料317は、透明誘電体上に延在しない。反射性p側電気接点113は透明誘電体及び電気接点材料の上に配置され、様々なグリッド開口において電気接点材料315を電気的に相互接続する。反射性n側電気接点114は透明誘電体及び電気接点材料の上に配置され、様々なグリッド開口において電気接点材料317を電気的に相互接続する。反射ミラー層113及び114はまた、透明誘電体319と協働して、デバイス内で光を反射させるための反射体を画定する。反射性金属接点の更なる変形例は、参照によりその全体が本出願に援用される米国特許第7,119,372号明細書に記載されている。
【0063】
別の一連の実施形態では、
図13A及び13Bに概略図で示されているように、半導体層は1つ以上のキャリア基板1313に転写され、テンプレート基板1101が除去される。
図3に概略図で示されている構造体と比較すると、p側電気接点は同様に半透明電流拡散層321及び不連続p電極315を備えてよく、また半透明電流拡散層321の一部の上に配置された透明誘電体319を更に備えてよい。キャリア基板1313は、p型層111、(存在する場合は)半透明電流拡散層321、(存在する場合は)不連続p側電極315、及び(存在する場合は)透明誘電体319のうちの1つ以上に結合される。キャリア基板1313のこの結合は:接着剤を用いて;キャリア基板1313の第1の表面及びそれが結合させられることになる表面のうちの少なくとも一方の上に堆積させた1つ以上の接着層(図示せず)の間の熱圧縮結合を用いて;又は当該技術分野で公知の別の結合方法によって、達成できる。特定の実施形態では、キャリア基板1313及び接着層は、フォトダイオードに関する関心対象の波長、例えば390ナノメートル~460ナノメートルにおいて、透明である。特定の実施形態では、キャリア基板1313は、ガラス、透明セラミック、シリカガラス、ボロシリケートガラス、アルミノシリケートガラス、石英、サファイア、MgAl
2O
4スピネル、酸化亜鉛、及び酸窒化アルミニウムのうちの1つ以上を含むか、又はこれらからなる。接着層は、SiO
x、GeO
x、SiN
x、AlN
x、GaO
x、Al
2O
3、Sc
2O
3、Y
2O
3、B
2O
3、R
2O
3(Rは希土類元素である)、MgO、CaO、SrO、HfO
2、ZrO
2、Ta
2O
5、B、Al、Si、P、Zn、Ga、Si、Ge、Au、Ag、Ni、Ti、Cr、Zn、Cd、In、Sn、Sb、Tl、及びPbのうちの少なくとも1つ、又はその酸化物、窒化物、若しくは酸窒化物を含んでよく、あるいはこれらからなってよい。接着層は、熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、化学蒸着、プラズマ強化化学蒸着等によって、又は堆積させた金属フィルムの熱酸化によって、堆積させることができる。接着層の厚さは、約1ナノメートル~約10マイクロメートル、又は約10ナノメートル~約1マイクロメートルであってよい。1つ以上の接着層を、例えば約300℃~約1000℃の温度までアニーリングしてよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの接着層を化学機械研磨に供する。ある好ましい実施形態では、少なくとも1つの接着層の2乗平均平方根表面粗度は、20×20μm
2の面積にわたって約0.5ナノメートル未満、又は約0.3ナノメートル未満である。特定の実施形態では、熱圧縮結合は、空気中に1立方センチメートルあたり10,000個未満、1,000個未満、100個未満、又は10個未満の粒子を有する、クリーンルームで実施される。粒子は、ウェハ結合の直前に:スプレー;ブラッシング;又はイオン化された窒素、CO
2ジェット、CO
2スノー、抵抗率が高い水、有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン)等を用いたすすぎによって、上記表面のうちの少なくとも1つから除去できる。いくつかの実施形態では、対向する表面を、液体に浸漬しながら接触させる。任意に、上記表面のうちの少なくとも1つをプラズマに曝露して、ウェハ結合を強化する。熱圧縮結合プロセス中の対向する表面の間の圧力は、約0.1メガパスカル~約100メガパスカルであってよく、約5分~約10時間の期間にわたって温度を約30℃~約950℃、約30℃~約400℃、又は約30℃~約200℃に維持してよい。
【0064】
p側反射層1315を、キャリア基板1313の、フォトダイオード構造体から反対側の表面に堆積させる。p側反射層1315は、銀、誘電体ミラー、及び分布Bragg反射器(distributed Bragg reflector:DBR)のうちの1つ以上を含んでよく、又はこれらからなってよい。p側反射層1315は、動作中の光のある特定の入射角又はある特定の範囲の入射角において、例えば360ナノメートル~460ナノメートルであるフォトダイオードの設計波長で約80%超、約85%超、約90%超、又は約95%超の反射能を有してよい。
【0065】
フォトダイオード構造体は、
図13Bに概略図で示されているように、レーザリフトオフ法によってテンプレート基板1101から分離できる。レーザビーム1321で、基板101の裏側全体を水平走査してよい。窒化物層1104をサファイア等のテンプレート基板1101上に堆積させる特定の実施形態では、紫外線レーザビームを窒化物1104とテンプレート基板1101との間の境界に集束させて、窒化物層1104の裏側の局所的な分解、及びN
2のマイクロ又はナノ気泡の形成を引き起こすことができ、これにより、テンプレート基板1101を、フォトダイオード構造体の残りの部分から分離させることができる。窒化物層1104を、テンプレート基板1101の残りの部分が光吸収係数50cm
-1未満で実質的に透明となる少なくとも1つの波長において1000cm
-1超の光吸収係数を有する離脱層1103上に堆積させる、特定の実施形態では、離脱層1103が強力に吸収している波長を有するレーザビーム1321を離脱層1103上に集束させて、局所的分解及びN
2のマイクロ又はナノ気泡の形成を引き起こすことができ、これにより、テンプレート基板1101を、フォトダイオード構造体の残りの部分から分離させることができる。高品質エピタキシャル層又は半導体構造に望ましくない損傷を引き起こさずに、境界を弱化させる最適な程度は、フォトダイオード構造体の温度、レーザ出力、レーザスポットサイズ、レーザパルス幅、及び/又はレーザパルス数を調整することで達成できる。分離をもたらすレーザのフルエンスは、300~900ミリジュール/平方センチメートル、又は約400mJ/cm
2~約750mJ/cm
2であってよい。レーザビーム1321の均一性は、ビーム経路にビームホモジナイザを含めることによって改善でき、ビームサイズは約4mm×4mmであってよい。いくつかの実施形態では、レーザビーム1321は、静止状態で保持されるのではなく、離脱層を走査又は水平走査する。分離は、分解によって生じる金属の融点より高い温度、例えばガリウム金属の場合は約30℃より高い温度で実施してよい。
【0066】
あるいは
図13Cに概略図で示されているように、離脱層1103がInGaNを含み、吸収体層のバンドギャップより小さなバンドギャップを有する場合には、光電気化学エッチングによってフォトダイオード構造体をテンプレート基板1101から分離できる。トレンチ1321は、隣接したキャリア基板1313の間に、各半導体層を通って離脱層1103に至るまで形成でき、これによってメサ(mesa)が形成される。トレンチ1321は、当該技術分野で公知であるように、従来のリソグラフィの後にドライエッチング又はウェットエッチングを行うことによって形成できる。次にフォトダイオード構造体を光電気化学エッチング液に浸漬し、離脱層1103が強力に吸収するが他の半導体層は吸収しない波長を有する光で照明する。特定の実施形態では、エッチング液は、水酸化カリウム(KOH)、過硫酸カリウム(K
2S
2O
8)、水酸化ナトリウム(NaOH)、過酸化水素(H
2O
2)、エチレングリコール及び水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)のうちの1つ以上を含む。KOHは、0.01~10モル又は約0.1モル~約2モルの濃度を有してよい。特定の実施形態では、光源は、半導体層が強力に吸収する波長を除外するためのフィルタと結合された、水銀アークランプ、水銀キセノンランプ、タングステンランプ、又はLED等の広帯域光源を含む。光源のフルエンスは約1W/cm
2~約50W/cm
2であってよい。特定の実施形態では、フォトダイオード構造体はアノードに電気的に接続され、別個のカソードはエッチング液に浸漬され、電流が通過すると離脱層1103の溶解が引き起こされ、これはトレンチ1321の基部から始まって横方向に延伸する。他の実施形態では、光電気化学エッチングプロセスは無電解であり、離脱層の酸化及び溶解は、エッチング液中に存在するK
2S
2O
8等の酸化剤によって推進される。所定の時間にわたるエッチングの後、離脱層1103は略溶解され、フォトダイオード構造体をテンプレート基板1101から容易に取り外すことができるようになる。
【0067】
テンプレート基板1101を取り外した後、
図13Dに概略図で示されているように、また上述したように、動作中の光のある特定の入射角又はある特定の範囲の入射角において約70%超、約80%超、又は約90%超の反射能を有する反射性n側電気接点1319を、窒化物層1104の新たに露出した裏側表面1317上に堆積させてよい。いくつかの実施形態では、反射性n側接点1319の堆積の前に、湿式プロセス及び乾式プロセスのうちの1つ以上によって表面1317を清掃する。動作中、照明源251からの光はアパーチャ又は受光面1352を通過し、ビーム1353としてキャリア基板1313に入射し、p側反射層1315と反射性n側接点1319との間で複数回反射される。
【0068】
テンプレート基板の取り外し及びキャリア基板の結合の多様なプロセスが可能である。例えば、
図14Aに概略図で示されているように、不透明の第1のキャリア基板1411を反射性p側接触層113に結合させてよい。そしてテンプレート基板1101を取り外した後、
図14Bに概略図で示されているように、また上述したように、半透明電流拡散層321を、窒化物層1104の新たに露出した裏側表面1417上に堆積させてよい。半透明電流拡散層321は、n型GaN層1104への電気的接触、例えばオーミック又は準オーミック挙動を促進する。いくつかの実施形態では、透明誘電体319は、半透明電流拡散層321の一部分の上、かつ不連続n側電気接点317の間に配置される。次に、関心対象の波長において透明である第2のキャリア基板1413の第1の表面を、層321、317、及び/又は319に結合させてよい。その後、n側反射層1414を第2のキャリア基板1413の第2の表面上に堆積させる。すると、照明源251からの光はアパーチャ又は受光面1452を通過し、ビーム1453としてキャリア基板1313に入射し、反射性p側接触層113とn側反射層1414との間で複数回反射される。
【0069】
特定の実施形態では、フォトダイオード構造体を、個片化の前に特性決定してよい。例えば、透過率又は反射率等の光学特性を、光吸収分光法によって調査してよい。1つ以上の層の形態を、微分干渉顕微鏡(differential interference contrast microscopy:DICM、若しくはNomarski)及び/又は原子間力顕微鏡によって特性決定してよい。1つ以上のエピタキシャル層のルミネッセンス特性を、フォトルミネッセンス分光法、フォトルミネッセンス顕微鏡、及びマイクロ蛍光のうちの1つ以上によって特性決定してよい。1つ以上の層の不純物濃度を、較正済み二次イオン質量分析(SIMS)によって特性決定してよい。1つ以上のエピタキシャル成長層の結晶化度を、x線回折によって特性決定してよい。1つ以上の層の電気的特性を、ホール測定、ファンデルパウ測定、又は非接触抵抗率測定によって特性決定してよい。p側及びn側接点のうちの1つ以上、並びに1つ以上の層の、接触抵抗及び直列抵抗を、伝送線測定(transmission line measurement:TLM)によって調査してよい。フォトダイオードの電気的特性及びパワー変換効率を、暗所での、又は様々な強度の従来の光源若しくはレーザ光源による照明下での電流‐電圧(I‐V)測定によって特性決定してよい。フォトダイオード構造体内での少数キャリアの回収を、量子効率測定によって定量化してよい。フォトダイオード構造体を、エレクトロルミネッセンス測定によって更に特性決定してよい。
【0070】
ウェハレベルの製作の後、個々のフォトダイオードダイを、例えばレーザスクライビング及び分割、レーザ切断、ダイのソーイング等によって分離してよい。結晶軸に対するスクライビング及び分割の方向を選択することにより、縁部の形態を制御できる。例えばc面は、平滑な分割面のためにm面に沿って分割してもよく、又はm面のファセットで構成された粗い分割面のためにa面に沿って分割してもよい。
【実施例0071】
本開示によって提供される実施形態を、以下の比較例及び例示的なプロセス例を参照して更に説明する。本開示の範囲から逸脱することなく、材料及び方法の両方に対する様々な変更を実施可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0072】
比較例1
比較のポイントとして、+c面、GaN・オン・GaNダイを、およそ405ナノメートルで発光する市販のLEDから得て、フォトダイオードとして利用した。LED構造体は、p型GaN層の下にあるAlGaN電子ブロッキング層と、InGaN井戸層及びGaNバリア層を備える多重量子井戸MQW構造体とを含むと考えられる。LED構造体は、MQW層のすぐ隣にある高ドープ層、又はドープされバンドギャップが低減された層を含まないと考えられる。逆電流‐電圧特性を、暗所条件下、及び市販の405nmレーザダイオードによって照明が提供される明所条件下で記録した。結果を
図5において「LIV」曲線として示す。測定された結果から、V
ocは、2.74V、E
g=3.06eV、I
sc=2.6A/cm
2、eV
oc/E
g=0.89、及びFF=46%として評価された。V
oc及びI
scの値は比較的良好であるように見えるが、曲線因子の値の低さは、デバイスの設計の改善が必要であることを示している。対照的に、比較的高い曲線因子を有する曲線が、比較のために
図5に示されている。
【0073】
比較例2
Siドーパントを2×10
18cm
-3の濃度で含有する500ナノメートルのn型ドープGaN層と;これに続く、Siドーパントを4×10
18cm
-3の濃度で含有する100ナノメートルのn型ドープGaN層と;これに続く、意図せずドープされた吸収体層と;これに続く、Mgを1×10
19cm
-3の濃度で含有する90ナノメートルのp型ドープ層と;これに続く、Mgを1×10
20cm
-3の濃度で含有する10ナノメートルのp+型ドープ層とを含む、エピタキシャル構造を、[10-10]に向かって(0001)からおよそ0.4°だけミスカットされたバルクGaN基板上に堆積させた。吸収体層は意図せずドープされており、7ナノメートルのGaN層と、これに続く、交互になった合計10層の4ナノメートルのIn
0.14Ga
0.86N井戸層及び7ナノメートルのGaNバリア層とからなっていた。上記構造を、およそ447ナノメートルのエレクトロルミネッセンスピークによって特性決定した。逆電流‐電圧特性を、暗所条件下、及び市販の405nmレーザダイオードによって照明が提供される明所条件下で記録した。結果を
図6に示す。測定された結果から、V
ocは、2.32V、E
g=2.77eV、I
sc=6.5×10
-3A、eV
oc/E
g=0.84、及びFF=33%として評価された。V
oc及びI
scの値は比較的良好であるように見えるが、曲線因子の値の低さは、デバイスの設計の改善が必要であることを示している。
【0074】
比較例3
Siドーパントを2.0×10
18cm
-3の濃度で含有する1000ナノメートルのn型ドープGaN層と;これに続く、Siドーパントを2×10
19cm
-3の濃度で含有する30ナノメートルのn型ドープGaN層と;これに続く、意図せずドープされた吸収体層と;これに続く、Mgを2×10
19cm
-3の濃度で含有する50ナノメートルのp型ドープ層と;これに続く、Mgを1×10
20cm
-3の濃度で含有する10ナノメートルのp+型ドープ層とを含む、エピタキシャル構造を、[10-10]に向かって(0001)からおよそ0.4°だけミスカットされたバルクGaN基板上に堆積させた。吸収体層は意図せずドープされており、40ナノメートルの二重ヘテロ構造In
0.13Ga
0.87N層からなっていた。上記構造を、およそ435ナノメートルのエレクトロルミネッセンスピークによって特性決定した。逆電流‐電圧特性を、暗所条件下、及び市販の405nmレーザダイオードによって照明が提供される明所条件下で記録した。結果を
図11に示す。測定された結果から、V
ocは、2.43V、E
g=2.85eV、I
sc=0.013A、eV
oc/E
g=0.85、及びFF=38%として評価された。V
oc及びI
scの値は比較的良好であるように見えるが、曲線因子の値の低さは、デバイスの設計の改善が必要であることを示している。
【0075】
比較例4
Siドーパントを2.0×1018cm-3の濃度で含有する1000ナノメートルのn型ドープGaN層と;これに続く、Siドーパントを5.0×1017cm-3の濃度で含有する100ナノメートルのn型ドープGaN層と;これに続く、意図せずドープされた吸収体層と;これに続く、Mgを2×1020cm-3の濃度で含有する50ナノメートルのp型ドープ層と;これに続く、Mgを1×1020cm-3の濃度で含有する10ナノメートルのp+型ドープ層とを含む、エピタキシャル構造を、[10-10]に向かって(0001)からおよそ0.4°だけミスカットされたバルクGaN基板上に堆積させる。吸収体層は意図せずドープされており、40ナノメートルの二重ヘテロ構造In0.18Ga0.82N層からなる。上記構造を、およそ473ナノメートルのエレクトロルミネッセンスピークによって特性決定する。逆電流‐電圧特性を、暗所条件下、及び市販の405nmレーザダイオードによって照明が提供される明所条件下で記録する。測定された結果から、Vocは、2.20V、Eg=2.62eV、eVoc/Eg=0.84、及びFF=45%として評価される。Voc値は比較的良好であるように見えるが、曲線因子の値の低さは、デバイスの設計の改善が必要であることを示している。
【0076】
実施例1
Siドーパントを2.0×1018cm-3の濃度で含有する1000ナノメートルのn型ドープGaN層と;これに続く、Siドーパントを3.0×1019cm-3の濃度で含有する30ナノメートルのn型ドープGaN層と;これに続く、意図せずドープされた吸収体層と;これに続く、Mgを3×1019cm-3の濃度で含有する50ナノメートルのp型ドープ層と;これに続く、Mgを1×1020cm-3の濃度で含有する10ナノメートルのp+型ドープ層とを含む、エピタキシャル構造を、[10-10]に向かって(0001)からおよそ0.4°だけミスカットされたバルクGaN基板上に堆積させる。吸収体層は意図せずドープされており、40ナノメートルの二重ヘテロ構造In0.13Ga0.87N層からなる。上記構造を、およそ435ナノメートルのエレクトロルミネッセンスピークによって特性決定する。逆電流‐電圧特性を、暗所条件下、及び市販の405nmレーザダイオードによって照明が提供される明所条件下で記録する。測定された結果から、Vocは、2.43V、Eg=2.85eV、eVoc/Eg=0.85、及びFF=85%として評価される。
【0077】
実施例2
Siドーパントを2.0×1018cm-3の平均濃度で含有する1000ナノメートルのn型ドープGaN層と;これに続く、Siを4.0×1019cm-3の平均濃度で含有する30nmのn型ドープGaN層と;これに続く、意図せずドープされた吸収体層と;これに続く、Mgを2×1020cm-3の濃度で含有する50ナノメートルのp型ドープ層とを含む、エピタキシャル構造を、[10-10]に向かって(0001)からおよそ0.4°だけミスカットされたバルクGaN基板上に堆積させる。吸収体層は意図せずドープされており、40ナノメートルの二重ヘテロ構造In0.18Ga0.82N層からなる。上記構造を、およそ473ナノメートルのフォトルミネッセンスピークによって特性決定する。逆電流‐電圧特性を、暗所条件下、及び市販の405nmレーザダイオードによって照明が提供される明所条件下で記録する。測定された結果から、Vocは、2.20V、Eg=2.62eV、eVoc/Eg=0.84、及びFF=91%として評価される。
【0078】
実施例3
Siドーパントを2.0×1018cm-3の平均濃度で含有する1000ナノメートルのn型ドープGaN層と;これに続く、Siを5.0×1017cm-3の平均濃度で含有する100nmのn型ドープGaN層と;これに続く、最初の組成がGaNであり、最後の組成がおよそIn0.18Ga0.72Nであり、Siドーパント濃度がおよそ5.0×1017cm-3であり、厚さおよそ6nm厚の、組成の勾配を有するInGaN層と;これに続く、意図せずドープされた吸収体層と;これに続く、Mgを2×1020cm-3の濃度で含有する50ナノメートルのp型ドープ層とを含む、エピタキシャル構造を、[10-10]に向かって(0001)からおよそ0.4°だけミスカットされたバルクGaN基板上に堆積させる。吸収体層は意図せずドープされており、40ナノメートルの二重ヘテロ構造In0.18Ga0.82N層からなる。上記構造を、およそ473ナノメートルのフォトルミネッセンスピークによって特性決定する。逆電流‐電圧特性を、暗所条件下、及び市販の405nmレーザダイオードによって照明が提供される明所条件下で記録する。測定された結果から、Vocは、2.20V、Eg=2.62eV、eVoc/Eg=0.84、及びFF=85%として評価される。
【0079】
実施例4
Siドーパントを3.5×10
18cm
-3の平均濃度で含有する300ナノメートルのn型ドープGaN層と;これに続く、InGaN‐GaN歪み層超格子(strained‐layer‐superlattice:SLS)と;これに続く、最初の組成がおよそIn
0.04Ga
0.96Nであり、最後の組成がおよそIn
0.2Ga
0.8Nであり、Siドーパント濃度がおよそ4.0×10
17cm
-3であり、厚さおよそ6nm厚の、組成の勾配を有するInGaN層と;これに続く、3nmのIn
0.2Ga
0.8N井戸及び9nmのGaNバリア層で構成され、Siドーパントをおよそ3×10
17cm
-3の濃度で含む、9周期多重量子井戸構造と;これに続く、Mgをおよそ2×10
20cm
-3の濃度で含有する100ナノメートルのp型ドープ層とを含む、エピタキシャル構造を、窒化物エピタキシャル層の[0001]の5°以内に対して垂直な基板表面を有するサファイア基板上で、成長させた。吸収体層は、9周期多重量子井戸構造からなっていた。上記構造を、およそ457ナノメートルのフォトルミネッセンスピークによって特性決定した。製作されたデバイスの逆電流‐電圧特性を、暗所条件下、及び市販の405nmレーザダイオードによって照明が提供される明所条件下で記録した。結果を
図12に示す。測定された結果から、V
ocは、2.34V、E
g=2.71eV、I
sc=0.0114A、eV
oc/E
g=0.86、及びFF=78%として評価された。V
oc、I
sc、及びFFの値は比較的良好であるように見える。測定されたFFは、n金属接点を電気的にプローブする方法によって生じる直列抵抗により、人為的に低くなっている。
【0080】
実施例5
Siドーパントを1.0×1018cm-3の平均濃度で含有する1000ナノメートルのn型ドープGaN層と;これに続く、意図せずドープされた、2nmのIn0.18Ga0.82N井戸及び4nmのGaNバリア層で構成された20周期多重量子井戸構造と;これに続く、Mgをおよそ2×1018cm-3の濃度で含有する50ナノメートルのp型ドープ層とを含む、エピタキシャル構造を、[10-10]に向かって(000-1)からおよそ4°だけミスカットされたバルクGaN基板上に堆積させる。吸収体層は9周期多重量子井戸構造からなっていた。上記構造を、およそ470ナノメートルのフォトルミネッセンスピークによって特性決定する。逆電流‐電圧特性を、暗所条件下、及び市販の405nmレーザダイオードによって照明が提供される明所条件下で記録する。測定された結果から、Vocは、2.20V、Eg=2.63eV、eVoc/Eg=0.84、及びFF=88%として評価される。
【0081】
実施例6
Siドーパントを5.0×1018cm-3の平均濃度で含有する1000ナノメートルのn型ドープGaN層と;これに続く、意図せずドープされた、2nmのIn0.18Ga0.82N井戸及び4nmのGaNバリア層で構成された20周期多重量子井戸構造と;これに続く、Mgをおよそ1×1019cm-3の濃度で含有する100ナノメートルのp型ドープ層とを含む、エピタキシャル構造を、(30-3-1)の0.1°以内の結晶方位を有するバルクGaN基板上に堆積させる。上記構造を、およそ470ナノメートルのフォトルミネッセンスピークによって特性決定する。逆電流‐電圧特性を、暗所条件下、及び市販の405nmレーザダイオードによって照明が提供される明所条件下で記録する。測定された結果から、Vocは、2.20V、Eg=2.63eV、eVoc/Eg=0.84、及びFF=88%として評価される。
【0082】
以上は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態を考案でき、その範囲は特許請求の範囲によって決定される。
【0083】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0084】
実施形態1
フォトダイオード構造体において:
第1の表面及び第2の表面を有する基板であって、
前記第2の表面は前記第1の表面の反対側であり、
前記基板は、単結晶III族金属窒化物であり、
前記基板の前記第1の表面は、(0001)+c面、{10-10}m面、若しくは{11-2±2}、{60-6±1}、{50-5±1}、{40-4±1}、{30-3±1}、{50-5±2}、{70-7±3}、{20-2±1}、{30-3±2}、{40-4±3}、{50-5±4}、{10-1±1}、{10-1±2}、{10-1±3}のうちの1つから選択される半極性面の、5°以内の結晶方位を有するか、又は(000-1)と2°~5°だけ異なる、基板;
前記基板の前記第1の表面上に配置されたn型層及びp型層であって、前記n型層及び前記p型層はそれぞれAlxInyGa1-x-yN(ただし0≦x,y,x+y≦1)を含み、ドーパント濃度が少なくとも1×1016cm-3である、n型層及びp型層;
前記n型層と前記p型層との間に配置された1つ以上の吸収体層であって、前記1つ以上の吸収体層は、AlxInyGa1-x-yN(ただし0≦x,y,x+y≦1)を含み、転位密度が約109cm-2未満である、1つ以上の吸収体層;
前記p型層上に配置されたp側電気接触層であって、前記p側電気接触層は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長について少なくとも70%の平均反射率と、3×10-3Ωcm2未満の接触抵抗とを有する、p側電気接触層;
前記基板の前記第2の表面上に配置されたn側電気接触層であって、前記n側電気接触層は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長について少なくとも70%の平均反射率と、1×10-3Ωcm2未満の接触抵抗とを有する、n側電気接触層;並びに
受光面であって、前記受光面は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長を有する、前記受光面にある角度で入射する光を、前記n側電気接触層及び前記p側電気接触層から少なくとも1回反射させるように位置合わせされる、受光面
を備える、フォトダイオード構造体。
【0085】
実施形態2
前記フォトダイオード構造体は、少なくとも50%の曲線因子を特徴とする、実施形態1に記載のフォトダイオード構造体。
【0086】
実施形態3
前記曲線因子は、少なくとも10Acm-2の電流密度を生成する照明レベル下で達成される、実施形態2に記載のフォトダイオード構造体。
【0087】
実施形態4
前記曲線因子は少なくとも80%である、実施形態2に記載のフォトダイオード構造体。
【0088】
実施形態5
前記曲線因子は少なくとも90%である、実施形態4に記載のフォトダイオード構造体。
【0089】
実施形態6
前記1つ以上の吸収体層、前記n型層、及び前記p型層はそれぞれ、(0001)+c面の5°以内の結晶方位を特徴とし、前記n型層及び前記p型層はそれぞれ、少なくとも1×1019cm-3のドーパント濃度を特徴とする、実施形態1に記載のフォトダイオード構造体。
【0090】
実施形態7
n型クラッド層及びp型クラッド層のうちの少なくとも一方を更に備え、
前記n型クラッド層は、前記n型層と前記1つ以上の吸収体層との間にあり、前記n型クラッド層は、少なくとも5×1018cm-3のドーパント濃度を有し、
前記p型クラッド層は、前記吸収体層と前記p型層との間にあり、前記p型クラッド層は、少なくとも1×1019cm-3のドーパント濃度を有する、実施形態1に記載のフォトダイオード構造体。
【0091】
実施形態8
n型クラッド層及びp型クラッド層のうちの少なくとも一方を更に備え、
前記n型クラッド層は、前記n型層と前記1つ以上の吸収体層との間にあり、
前記p型クラッド層は、前記吸収体層と前記p型層との間にあり、
前記n型クラッド層及び前記p型クラッド層のうちの前記少なくとも一方は、前記吸収体層のインジウム濃度と前記n型層又は前記p型層のインジウム濃度との間のインジウム濃度を特徴とする、実施形態1に記載のフォトダイオード構造体。
【0092】
実施形態9
前記1つ以上の吸収体層、前記n型層、及び前記p型層はそれぞれ、(000-1)-c面とは2°~5°だけ異なる結晶方位を特徴とする、実施形態1に記載のフォトダイオード構造体。
【0093】
実施形態10
前記1つ以上の吸収体層、前記n型層、及び前記p型層はそれぞれ、{10-10}m面の5°以内の結晶方位を特徴とし、前記n型層及び前記p型層はそれぞれ、少なくとも2×1018cm-3のドーパント濃度を特徴とする、実施形態1に記載のフォトダイオード構造体。
【0094】
実施形態11
前記1つ以上の吸収体層、前記n型層、及び前記p型層はそれぞれ、{10-1-2}、{10-1-1}、{20-2-1}、及び{30-3-1}から選択される半極性平面の5°以内の結晶方位を特徴とし、前記n型層及び前記p型層はそれぞれ、少なくとも1×1018cm-3のドーパント濃度を特徴とする、実施形態1に記載のフォトダイオード構造体。
【0095】
実施形態12
前記p側電気接触層は前記p型層上に配置され、前記p側電気接触層は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長について少なくとも80%の平均反射率と、1×10-3Ωcm2未満の接触抵抗とを有する、実施形態1に記載のフォトダイオード構造体。
【0096】
実施形態13
前記n側電気接触層は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長について少なくとも80%の平均反射率と、5×10-4Ωcm2未満の接触抵抗とを有する、実施形態1に記載のフォトダイオード構造体。
【0097】
実施形態14
前記n型層、前記1つ以上の吸収体層、及び前記p型層はそれぞれ、107cm-2未満の貫通転位密度を有する、実施形態1に記載のフォトダイオード構造体。
【0098】
実施形態15
前記n型層、前記1つ以上の吸収体層、及び前記p型層はそれぞれ、106cm-2未満の貫通転位密度を有する、実施形態1に記載のフォトダイオード構造体。
【0099】
実施形態16
フォトダイオード構造体であって:
1つ以上の吸収体層であって、前記1つ以上の吸収体層は、AlxInyGa1-x-yN(ただし0≦x,y,x+y≦1)を含む、1つ以上の吸収体層;
n型層及びp型層であって、
前記1つ以上の吸収体層は前記n型層の上に配置され、
前記p型層は前記1つ以上の吸収体層の上に配置され、
前記n型層及び前記p型層はそれぞれAlxInyGa1-x-yN、(ただし0≦x,y,x+y≦1)を含み、少なくとも1×1016cm-3のドーパント濃度を有する、n型層及びp型層;
第1の表面及び第2の表面を有するキャリア基板であって、
前記キャリア基板の前記第1の表面は、前記p型層の上又は前記n型層の下に配置され、
前記キャリア基板は、390ナノメートル~460ナノメートルの波長において略透明である、キャリア基板;
前記p型層と電気的に接触した状態で配置されたp側電気接触層であって、前記p側電気接触層は3×10-3Ωcm2未満の接触抵抗を有する、p側電気接触層;
前記p型層及び前記キャリア基板の前記第2の表面のうちの一方の上に配置された、p側反射層であって、前記p側反射層は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長について少なくとも70%の平均反射率を有する、前記p側反射層;
前記n型層と電気的に接触した状態で配置された、n側電気接触層であって、前記n側電気接触層は1×10-3Ωcm2未満の接触抵抗を有する、n側電気接触層;
前記n側層及び前記キャリア基板の前記第2の表面のうちの一方の上に配置された、n側反射層であって、前記n側反射層は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長について少なくとも70%の平均反射率を有する、n側反射層;並びに
受光面であって、前記受光面は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長を有する、前記受光面にある角度で入射する光を、前記n側反射層及び前記p側反射層から少なくとも1回反射させるように位置合わせされる、受光面
を備える、フォトダイオード構造体。
【0100】
実施形態17
前記フォトダイオード構造体は、少なくとも50%の曲線因子を特徴とする、実施形態16に記載のフォトダイオード構造体。
【0101】
実施形態18
前記曲線因子は、少なくとも10Acm-2の電流密度を生成する照明レベル下で達成される、実施形態17に記載のフォトダイオード構造体。
【0102】
実施形態19
前記曲線因子は少なくとも80%である、実施形態17に記載のフォトダイオード構造体。
【0103】
実施形態20
前記曲線因子は少なくとも90%である、実施形態19に記載のフォトダイオード構造体。
【0104】
実施形態21
前記1つ以上の吸収体層、前記n型層、及び前記p型層はそれぞれ、(0001)+c面の5°以内の結晶方位を特徴とし、前記n型層及び前記p型層はそれぞれ、少なくとも1×1019cm-3のドーパント濃度を特徴とする、実施形態16に記載のフォトダイオード構造体。
【0105】
実施形態22
n型クラッド層及びp型クラッド層のうちの少なくとも一方を更に備え、
前記n型クラッド層は、前記n型層と前記1つ以上の吸収体層との間にあり、前記n型クラッド層は、少なくとも5×1018cm-3のドーパント濃度を有し、
前記p型クラッド層は、前記吸収体層と前記p型層との間にあり、前記p型クラッド層は、少なくとも1×1019cm-3のドーパント濃度を有する、実施形態16に記載のフォトダイオード構造体。
【0106】
実施形態23
n型クラッド層及びp型クラッド層のうちの少なくとも一方を更に備え、
前記n型クラッド層は、前記n型層と前記1つ以上の吸収体層との間にあり、
前記p型クラッド層は、前記吸収体層と前記p型層との間にあり、
前記n型クラッド層及び前記p型クラッド層のうちの前記少なくとも一方は、前記吸収体層のインジウム濃度と前記n型層又は前記p型層のインジウム濃度との間のインジウム濃度を特徴とする、実施形態16に記載のフォトダイオード構造体。
【0107】
実施形態24
前記1つ以上の吸収体層、前記n型層、及び前記p型層はそれぞれ、(000-1)-c面とは2°~5°だけ異なる結晶方位を特徴とする、実施形態16に記載のフォトダイオード構造体。
【0108】
実施形態25
前記1つ以上の吸収体層、前記n型層、及び前記p型層はそれぞれ、{10-10}m面の5°以内の結晶方位を特徴とし、前記n型層及び前記p型層はそれぞれ、少なくとも2×1018cm-3のドーパント濃度を特徴とする、実施形態16に記載のフォトダイオード構造体。
【0109】
実施形態26
前記1つ以上の吸収体層、前記n型層、及び前記p型層はそれぞれ、{10-1-2}、{10-1-1}、{20-2-1}、及び{30-3-1}から選択される半極性平面の5°以内の結晶方位を特徴とし、前記n型層及び前記p型層はそれぞれ、少なくとも1×1018cm-3のドーパント濃度を特徴とする、実施形態16に記載のフォトダイオード構造体。
【0110】
実施形態27
前記p側電気接触層は前記p型層上に配置され、前記p側電気接触層は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長について少なくとも80%の平均反射率と、1×10-3Ωcm2未満の接触抵抗とを有する、実施形態16に記載のフォトダイオード構造体。
【0111】
実施形態28
前記n側電気接触層は、390ナノメートル~460ナノメートルの少なくとも1つの波長について少なくとも80%の平均反射率と、5×10-4Ωcm2未満の接触抵抗とを有する、実施形態16に記載のフォトダイオード構造体。
前記第1のn型層は、1つ以上の吸収体層のインジウム濃度と第2のn型層のインジウム濃度の間であり、かつ、前記吸収体層の前記インジウム濃度の20%~80%である平均インジウム濃度であることにより特徴づけられる、請求項1に記載のフォトダイオード構造体。
前記第1のp型層は、1つ以上の吸収体層のインジウム濃度と第2のp型層のインジウム濃度の間であり、かつ、前記吸収体層の前記インジウム濃度の20%~80%である平均インジウム濃度であることにより特徴づけられる、請求項1に記載のフォトダイオード構造体。
前記第1のn型層は、1つ以上の吸収体層のインジウム濃度と第2のn型層のインジウム濃度の間であり、かつ、前記吸収体層の前記インジウム濃度の20%~80%である平均インジウム濃度であることにより特徴づけられる、請求項1に記載のフォトダイオード構造体。
前記第1のp型層は、1つ以上の吸収体層のインジウム濃度と第2のp型層のインジウム濃度の間であり、かつ、前記吸収体層の前記インジウム濃度の20%~80%である平均インジウム濃度であることにより特徴づけられる、請求項1に記載のフォトダイオード構造体。