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  • 特開-消音和太鼓、及び和太鼓消音方法 図1
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  • 特開-消音和太鼓、及び和太鼓消音方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013360
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】消音和太鼓、及び和太鼓消音方法
(51)【国際特許分類】
   G10D 13/14 20200101AFI20230119BHJP
   G10D 13/10 20200101ALI20230119BHJP
   G10D 13/02 20200101ALI20230119BHJP
【FI】
G10D13/14
G10D13/10 180
G10D13/02 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117484
(22)【出願日】2021-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】521315593
【氏名又は名称】特定非営利活動法人 和太鼓教育研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100205523
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 浩也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 拓也
(57)【要約】
【課題】従来の打楽器消音方法はドラムヘッドに振動吸収材を貼設して消音を行う方法が主だが、打叩音を生み出す鼓面に主に動物の皮を使用する和太鼓では、振動吸収材を鼓面に貼設することは困難であるため、消音和太鼓は存在しなかった。
【解決手段】、和太鼓の胴に、対角線の長さ又は直径が30mm~150mmである多角形状又は円形の孔部と、前記孔部を塞ぐことを目的とする多角形状の蓋部と、を備え、前記孔部及び前記蓋部の胴内側の対角線の長さは前記孔部及び前記蓋部の胴外側の対角線の長さ及び直径より0mm~10mm短く、前記孔部から吸音材を挿入し、前記蓋部を用いて前記孔部を塞ぐことによって、打叩音を軽減することが可能となる。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
和太鼓の胴に、対角線の長さが30mm~200mmである多角形状の孔部と、
前記孔部を塞ぐことを目的とする、多角形状の蓋部と、
を備え、
前記孔部及び前記蓋部の胴内側の対角線の長さは、前記孔部及び前記蓋部の胴外側の対角線の長さより0mm~10mm短く、
前記孔部から吸音材を挿入し、前記蓋部を用いて前記孔部を塞ぐことによって、打叩音を軽減する、
ことを特徴とする消音和太鼓。
【請求項2】
和太鼓の胴に、直径30mm~200mmである円形状の孔部と、
前記孔部を塞ぐことを目的とする、円形状の蓋部と、
を備え、
前記孔部及び前記蓋部の胴内側の直径は、前記孔部及び前記蓋部の胴外側の直径より0mm~10mm短く、
前記孔部から吸音材を挿入し、前記蓋部を用いて前記孔部を塞ぐことによって、打叩音を軽減する、
ことを特徴とする消音和太鼓。
【請求項3】
請求項1、又は請求項2の消音和太鼓であって、
前記蓋部の胴外側に、凹形状の取っ手部と、
を備えることを特徴とする消音和太鼓。
【請求項4】
請求項1、又は請求項2の消音和太鼓であって、
前記蓋部の胴内側に、蓋マグネット部と、
前記孔部付近の前記胴部の内側に、孔マグネット部と、
を備えることを特徴とする消音和太鼓。
【請求項5】
請求項1、又は請求項2の消音和太鼓用いて、
前記蓋部を引き出し、前記孔部を開け、
前記孔部から吸音材を挿入することによって、和太鼓の打叩音を軽減する、
を特徴とする和太鼓の消音方法。
【請求項6】
請求項1、請求項2又は請求項4の吸音材は、
ウレタンスポンジ、フェルト、ウール、ポリエステル又はグラスウールである、
ことを特徴とする消音和太鼓、及び和太鼓の消音方法

前記蓋部を用いて前記孔部を塞ぐ
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は打叩音を消音又は軽減する和太鼓、及び和太鼓消音方法に関する。
【0002】
打楽器の打叩音はかなりの音量となるため、防音設備のない一般の家屋で練習する場合には、発生する音が近隣に迷惑を及ぼすおそれがある。特に夜間などではかかる騒音の発生は問題であり、充分な練習が行なえないでいた。そのため、ドラムなどの打楽器には打叩音の小さいトレーニング用のドラムセットを用いたり、ドラムヘッド上にラバーパットを載置し、当該ラバーパットを介してドラムを打叩する方法が行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3004768号
【特許文献2】特開2010-78661
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明は、ドラムヘッドに振動吸収材を貼設して消音を行っているが、打叩音を生み出す鼓面には主に動物の皮を使用する和太鼓では、振動吸収材を鼓面に貼設することは困難である。特許文献2の発明は、打叩音を生み出す鼓面皮と、当該皮の内面に設けられる消音部材と、該消音部材の内面に設けられる板状部材とから成る三層構造によって消音効果を生み出しているが、構造が複雑な上、通常の和太鼓としては機能しない練習専用太鼓となってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、和太鼓の胴に、対角線の長さが30mm~200mmである多角形状の孔部と、前記孔部を塞ぐことを目的とする、多角形状の蓋部と、を備え、前記孔部及び前記蓋部の胴内側の対角線の長さは前記孔部及び前記蓋部の胴外側の対角線の長さより0mm~10mm短く、前記孔部から吸音材を挿入し、前記蓋部を用いて前記孔部を塞ぐことによって、打叩音を軽減する、ことを特徴としている。
【0006】
請求項2の発明は、和太鼓の胴に、直径30mm~200mmである円形状の孔部と、前記孔部を塞ぐことを目的とする、円形状の蓋部と、を備え、前記孔部及び前記蓋部の胴内側の直径は前記孔部及び前記蓋部の胴外側の直径より0mm~10mm短く、前記孔部から吸音材を挿入し、前記蓋部を用いて前記孔部を塞ぐことによって、打叩音を軽減する、ことを特徴としている。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2の消音和太鼓であって、前記蓋部の胴外側に、凹形状の取っ手部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1、又は請求項2の消音和太鼓であって、前記蓋部の胴内側に、蓋マグネット部と、前記孔部付近の前記胴部の内側に、孔マグネット部と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1、又は請求項2の消音和太鼓用いて、前記蓋部を引き出し、前記孔部を開け、前記孔部から吸音材を挿入することによって、和太鼓の打叩音を軽減すること、を特徴としている。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1、請求項2又は請求項4の吸音材は、ウレタンスポンジ、フェルト、ウール、ポリエステル又はグラスウールであること、を特徴としている。
【0011】
本発明によれば、消音が困難である和太鼓が、非常に簡易的な方法でかつ、効果的な消音が可能となり、消音材を取り出せば通常の和太鼓に戻すことが可能となる。神聖な和太鼓の胴部104に孔をあけ、消音材を挿入するという発想は、当業者は容易に相当できない発明である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る正方形の蓋部101及び正方形の孔部102を備えた消音和太鼓10を正面から見た斜視図である
図2】本発明の実施形態に係る消音和太鼓10から蓋部101を外し、孔部102を開口させた斜視図である
図3】本発明の実施形態に係る円形の蓋部101及び円形の孔部102を備えた消音和太鼓10を正面から見た斜視図ある。
図4】本発明の実施形態に係る孔部102から吸音材30を消音和太鼓10に挿入する様子を示した図である。
図5】本発明の実施形態に係る消音和太鼓10に吸音材30を挿入後に、消音和太鼓10を図1のAに示す位置から切断した断面図である。
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な変形が可能である。さらに、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
本発明の実施形態にかかる消音和太鼓10の詳細を図1乃至図3並びに図5を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る正方形の蓋部101及び正方形の孔部102を備えた消音和太鼓10を正面から見た斜視図、図2は、本発明の実施形態に係る消音和太鼓10から蓋部101を外し、孔部102を開口させた斜視図、図3は、本発明の実施形態に係る円形の蓋部101及び円形の孔部102を備えた消音和太鼓10を正面から見た斜視図、図5は、本発明の実施形態に係る円形の蓋部101及び円形の孔部102を備えた消音和太鼓10を、図1のAに示す位置から切断した断面図である。
【0015】
図1では蓋部101の形状は例示として正方形としているが、ひし形、長方形、三角形又は図3に示す通り、円形(真円形、楕円形を問わない)でもよい。
【0016】
蓋部101は、図2に示す通り、手前に引き出すことで孔を開口させることによって、孔部102を形成する。孔部102を塞ぐ目的として備える蓋部101は、孔部102と同形状である事が望ましい。
【0017】
蓋部101の胴外側に、凹形状の取っ手部101aを備える。凹形状の取っ手部101aに指をかけ、蓋部101を引き出し、孔を開口させることによって、孔部102を形成する。蓋部101の胴内側には、孔部102を塞いだ際に、蓋部101が落ちにくいように蓋マグネット部101m、孔部102付近の胴部104の内側に、孔マグネット部102mを備えても良い。
【0018】
図1乃至図3に示す通り、蓋部101及び孔部102は和太鼓10の胴部104に備えられる。胴部104上における蓋部101及び孔部102の位置については、中央部でもよいし、端部でもよいし、特に問わない。
【0019】
図1及び図4に示す通り、蓋部101及び孔部102の外側対角線の長さ又は直径H1及びW1、並びに、蓋部101及び孔部102の内側対角線の長さ又は直径H2及びW2は、大きいほど吸音材30を挿入及び取り出しがしやすいが、太鼓の強度を考えた場合、20mm~300mm、好ましくは30mm~200mm、さらに好ましくは40mm~150mmである。蓋部101が孔部102にしっかり嵌り、外れないことを鑑みるとH1はH2以上、W1もW2以上であることが望ましく、当該長さの差は0mm~20mm、好ましくは0mm~10mm、さらに好ましくは0mm~5mmである。
【0020】
<実施形態>
次に図2図4及び図5を用いて、消音和太鼓10の打叩音を軽減する方法について示す。図2は、本発明の実施形態に係る消音和太鼓10から蓋部101を外し、孔部102を開口させた斜視図、図4は、本発明の実施形態に係る孔部102から吸音材30を消音和太鼓10に挿入する様子を示した図、図5は、本発明の実施形態に係る消音和太鼓10に吸音材30を挿入後に、消音和太鼓10を図1のAに示す位置から切断した断面図である。
【0021】
(ステップS1)
まず図2に示すように、和太鼓奏者20によって、消音和太鼓10から蓋部101を引き出し、孔部102を開口させる。
【0022】
(ステップS2)
次に図4に示すように、和太鼓奏者20が開口した孔部102から吸音材30を挿入する。ここで吸音材30の素材は音を吸収する素材であれば問わないが、好ましくは、ウレタンスポンジ、フェルト、ウール、ポリエステル又はグラスウールである。
【0023】
(ステップS3)
最後に図5に示すように、蓋部101で再度孔部102を塞ぐ。吸音材30が消音和太鼓10の内部に挿入されることによって、鼓面103をバチ等で叩いた際に、吸音材30が打叩音を軽減する。
【符号の説明】
【0024】
10 消音和太鼓
101 蓋部
101a 凹形状取っ手部
101m 蓋マグネット部
102 孔部
102m 孔マグネット部
103 鼓面
104 胴部
20 和太鼓奏者
30 吸音材
図1
図2
図3
図4
図5