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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133637
(43)【公開日】2023-09-26
(54)【発明の名称】文書作成システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/93 20190101AFI20230919BHJP
【FI】
G06F16/93
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038735
(22)【出願日】2022-03-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】502351659
【氏名又は名称】株式会社医療情報技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100196760
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】姫野 信吉
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175LA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】制度変更時等に必要な改変とその影響範囲を、個々の外部アプリ内に限定することで、改変作業効率を向上させ、可能ならばアプリ内改変作業を実務現場で簡単に行えるようにして、改変費用を激減させ、柔軟に制度変更等に対応できる文書作成システムを提供する。
【解決手段】文書作成システムにおいて、文書データを記録、管理する文書データ管理手段を備えた基幹プログラムと、基幹プログラムから処理に必要なデータを受け取って処理を行う、基幹プログラムから独立した少なくとも1つのプログラム(外部アプリ)を備え、基幹プログラムと外部アプリ群とが連携して文書作成を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書作成システムにおいて、(i)文書データを記録、管理する文書データ管理手段を備えた基幹プログラムと、(ii) (i)から処理に必要なデータを受け取って処理を行う、前記基幹プログラムから独立した少なくとも1つのプログラム(外部アプリ)を備え、 (i)(ii)の両者が連携して文書作成を行うことを特徴とした文書作成システム。
【請求項2】
前記外部アプリから前記基幹プログラムに対して、処理に必要とする文書要素データの送信要求を送信し(必要文書要素データ要求手段)、当該文書要素データを受信する(必要文書要素データ受信手段)ための外部アプリAPIを備えていることを特徴とする請求項1記載の文書作成システム。
【請求項3】
前記基幹プログラムは、前記必要文書要素データ要求手段に応じて、文書データ管理手段から文書リストを取得し(文書リスト取得手段)、前記文書リストの中から必要な特定文書デーデータを取得し(特定文書データ取得手段)、前記特定文書データから前記必要文書要素データ要求手段の要求に応じて必要な文書要素データを抽出する必要文書要素データ抽出手段を備えていることを特徴とする請求項1~2いずれか記載の文書作成システム。
【請求項4】
前記外部アプリAPIは、さらに、前記外部アプリで作成された文書データを基幹プログラムに送信する外部アプリ作成文書データ送信手段を備えたことを特徴とする請求項1~2いずれか記載の文書作成システム。
【請求項5】
前記基幹プログラムは、前記外部アプリで作成された作成文書データを受信し、前記文書データを文書データ管理手段に登録する文書データ登録手段を備えていることを特徴とする請求項1、2又は4記載の文書作成システム。
【請求項6】
前記外部アプリにおいて、作成する文書の書式を、前記アプリ外から参照する文書書式参照手段を備えていることを特徴とする請求項1~5いずれか記載の文書作成システム。
【請求項7】
前記外部アプリにおいて、処理に必要なデータベースを当該アプリ自体が管理する外部アプリ用データベース管理手段を備えていることを特徴とする請求項1~6いずれか記載の文書作成システム。
【請求項8】
前記文書作成システムにおいて、文書作成の状況ごとの画面表示パターン名を管理する画面表示パターン管理手段、前記画面表示パターンごとに表示する外部アプリまたは基幹プログラムの出力の表示位置、表示大きさを管理する画面表示パターン内訳管理手段を備え、文書作成の状況ごとに適した画面表示パターンを選択可能とした画面表示パターン選択手段を備えたことを特徴とする請求項1~7いずれか記載の文書作成システム。
【請求項9】
前記画面表示パターン管理手段は、ユーザーごとに画面表示パターンを作成可能とする画面表示パターンユーザー毎作成管理手段を備えたことを特徴とする請求項1~8いずれか記載の文書作成システム。
【請求項10】
前記外部アプリ群に共通のプログラム要素を括りだし、外部アプリ開発の雛型を提供する外部アプリ雛形提供手段を備えたことを特徴とする請求項1~9いずれか記載の文書作成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書作成、とりわけ医療上の文書作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場などでは、観察記録文書、医療上の行為を指示する文書、行為の結果を記録する文書など等、多くの文書が作成される。医療の複雑さの増大、ミスの発生を予防する安全性の確保などの要請から、文書を作成、記録、参照するシステムは徐々に膨張を続けている。
この出願に関連する先行技術文献としては次のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2000-309420号公報
【特許文献2】特許第3926778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の文書作成システムは、単一のシステムで全てをカバーしようとしてきた。そのためプログラムの総量は増大して、開発費、保守費用も増加の一方である。一部のシステムでは、医師用、看護用などのモジュールを分割して開発、必要に応じて組合せる仕組みも提案されているが、モジュール間の情報連携が欠如しているため、他の業種の情報が得られにくく、作業効率を阻害している。
法令の改正に伴い、揃えておくべき文書の種類、さらに文書内の項目、項目のレイアウトも頻繁に変更される。この変更に対応するためには文書システム本体のソフトウェアの改変が必要であるが、変更がシステム全体に影響する可能性が有るため、バグを作りこまないようにするための膨大な作業工数を要する。そのたびに多額に費用が発生し、経営を圧迫する要因となっているのが現状である。
【0005】
本発明はかかる従来の問題点を解決するためになされたものであって、文書作成システムを、(1)比較的変更の少ない案件管理、文書作成/編集、文書記録、文書編集などの基本部分(以下「基幹プログラム」)と、(2)変更が頻繁である文書出力部分は、前記基幹プログラムとは独立した、少なくとも一つのプログラム群(以下、「外部アプリ」群)に分割した構成としたことである。その目的とするところは、制度変更時等に必要な改変とその影響範囲を、個々の外部アプリ内に限局することで、改変作業効率が向上すること、可能ならばアプリ内改変作業を実務現場で簡単に行えるようにして(いわゆるDX:Digital Transformation)、改変費用を激減させることで、柔軟に制度変更等に対応できる文書作成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための手段として、請求項1記載の文書作成システムでは、文書作成システムにおいて、(i)文書データを記録、管理する文書データ管理手段を備えた基幹プログラムと、(ii) (i)から処理に必要なデータを受け取って処理を行う、前記基幹プログラムから独立した少なくとも1つのプログラム(外部アプリ)を備え、 (i)(ii)の両者が連携して文書作成を行うことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の文書作成システムでは、請求項1記載の文書作成システムにおいて、前記外部アプリから前記基幹プログラムに対して、処理に必要とする文書要素データの送信要求を送信し(必要文書要素データ要求手段)、当該文書要素データを受信する(必要文書要素データ受信手段)ための外部アプリAPIを備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の文書作成システムでは、請求項1~2いずれか記載の文書作成システムにおいて、前記基幹プログラムは、前記必要文書要素データ要求手段に応じて、文書データ管理手段から文書リストを取得し(文書リスト取得手段)、前記文書リストの中から必要な特定文書デーデータを取得し(特定文書データ取得手段)、前記特定文書データから前記必要文書要素データ要求手段の要求に応じて必要な文書要素データを抽出する必要文書要素データ抽出手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の文書作成システムでは、請求項1~2いずれか記載の文書作成システムにおいて、前記外部アプリAPIは、さらに、前記外部アプリで作成された文書データを基幹プログラムに送信する外部アプリ作成文書データ送信手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の文書作成システムでは、請求項1、2又は4記載の文書作成システムにおいて、前記基幹プログラムは、前記外部アプリで作成された作成文書データを受信し、前記文書データを文書データ管理手段に登録する文書データ登録手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の文書作成システムでは、請求項1~5いずれか記載の文書作成システムにおいて、前記外部アプリにおいて、作成する文書の書式を、前記アプリ外から参照する文書書式参照手段を備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の文書作成システムでは、請求項1~6いずれか記載の文書作成システムにおいて、前記外部アプリにおいて、処理に必要なデータベースを当該アプリ自体が管理する外部アプリ用データベース管理手段を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の文書作成システムでは、請求項1~7いずれか記載の文書作成システムにおいて、前記文書作成システムにおいて、文書作成の状況ごとの画面表示パターン名を管理する画面表示パターン管理手段、前記画面表示パターンごとに表示する外部アプリまたは基幹プログラムの出力の表示位置、表示大きさを管理する画面表示パターン内訳管理手段を備え、文書作成の状況ごとに適した画面表示パターンを選択可能とした画面表示パターン選択手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の文書作成システムでは、請求項1~8いずれか記載の文書作成システムにおいて、前記画面表示パターン管理手段は、ユーザーごとに画面表示パターンを作成可能とする画面表示パターンユーザー毎作成管理手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項10記載の文書作成システムでは、請求項1~9いずれか記載の文書作成システムにおいて、前記外部アプリ群に共通のプログラム要素を括りだし、外部アプリ開発の雛型を提供する外部アプリ雛形提供手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の文書作成システムでは、文書作成システムにおいて、(i)文書データを記録、管理する文書データ管理手段を備えた基幹プログラムと、(ii) (i)から処理に必要なデータを受け取って処理を行う、前記基幹プログラムから独立した少なくとも1つのプログラム(外部アプリ)が連携して文書作成を行う。
【0017】
請求項2記載の文書作成システムでは、外部アプリから前記基幹プログラムに対して、処理に必要とする文書要素データの送信要求を送信し(必要文書要素データ要求手段)、当該文書要素データを受信する(必要文書要素データ受信手段)ための外部アプリAPIを備えている。
【0018】
請求項3記載の文書作成システムでは、基幹プログラムは、前記必要文書要素データ要求手段に応じて、文書データ管理手段から文書リストを取得し(文書リスト取得手段)、前記文書リストの中から必要な特定文書デーデータを取得し(特定文書データ取得手段)、前記特定文書データから前記必要文書要素データ要求手段の要求に応じて必要な文書要素データを抽出する必要文書要素データ抽出手段を備えている。
【0019】
請求項4記載の文書作成システムでは、外部アプリ作成文書データ送信手段を備えているので、外部アプリAPIは、さらに、前記外部アプリで作成された文書データを基幹プログラムに送信する。
【0020】
請求項5記載の文書作成システムでは、文書データ登録手段を備えているので、外部アプリで作成された作成文書データを受信し、前記文書データを文書データ管理手段に登録する。
【0021】
請求項6記載の文書作成システムでは、文書書式参照手段を備えているので、作成する文書の書式を、アプリ外から参照する。
【0022】
請求項7記載の文書作成システムでは、外部アプリ用データベース管理手段を備えているので、処理に必要なデータベースを当該アプリ自体が管理する。
【0023】
請求項8記載の文書作成システムでは、文書作成の状況ごとの画面表示パターン名を管理する画面表示パターン管理手段、前記画面表示パターンごとに表示する外部アプリまたは基幹プログラムの出力の表示位置、表示大きさを管理する画面表示パターン内訳管理手段を備え、文書作成の状況ごとに適した画面表示パターンを選択可能とした画面表示パターン選択手段を備えている。
【0024】
請求項9記載の文書作成システムでは、画面表示パターンユーザー毎作成管理手段を備えているので、ユーザーごとに画面表示パターンを作成可能とする。
【0025】
請求項10記載の文書作成システムでは、外部アプリ雛形提供手段を備えるので、外部アプリ群に共通のプログラム要素を括りだし、外部アプリ開発の雛型を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明のハードウェア構成図を示す。
図2】基幹プログラムと外部アプリ群の関係を示すソフトウェア構成図である。
図3(a)(b)(c)】基幹プログラム内のデータ管理の形態を示す。(a) 案件ID管理手段の一例である。(b) 文書カテゴリー管理手段の一例である。(c) 文書カテゴリー内セクション管理手段の一例である
図3(d)】(d) 文書データ管理手段の一例である。
図4】文書データ入出力手段の説明図である。
図5】外部アプリデータ入出力手段の説明図である。(a) 外部アプリが必要とする文書要素を出力する際の処理の流れを示す。(b) 外部アプリ作成された文書データを基幹プログラムの文書データ管理手段に登録する際の処理の流れを示す。
図6(a)】(a) 外部アプリで、新規文書を作成する例を示す。
図6(b)】(b) 外部アプリで、新規文書を作成する別の例を示す。
図7】本発明の好ましい画面表示の様式を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明のハードウェア構成図を示す。 院内サーバーは施設内にあって本発明の文書作成システムが動作している。有線ないし無線LANで院内の端末は連結されている。端末はPC、タブレット、スマートフォンなどのデバイス群からなる。必要に応じてクラウド上にもメインないしバックアップ用のサーバーを設置することも可能である。
院外に存在するデバイスからも、ウェブ回線あるいは公衆回線を経由して、院内ないしクラウド内サーバーへのアクセスも可能である。
【0028】
図2は、基幹プログラムと外部アプリ群の関係を示すソフトウェア構成図である。
比較的変更の少ない案件ID管理、文書作成/編集、文書記録、文書編集などの基幹プログラムと、前記基幹プログラムとは独立した、変更が頻繁である文書出力部分を担当する少なくとも一つの外部アプリ群からなり、両者を、外部アプリAPIで連携したソフトウェア構成としている。
API はアプリケーション・プログラミング・インタフェースの略であり、アプリケーション・ソフトウェア間のデータ連携を構築、統合するための一連の定義と通信プロトコルである。
【0029】
基幹プログラムは、案件を区別するID(医療機関では患者ID)を管理する案件ID管理手段、案件ごとに作成される文書の種類(カテゴリー)、当該文書カテゴリー内に記載されるセクションを管理する文書カテゴリー内セクション管理手段、前記案件IDごと、前記文書カテゴリーごと、文書カテゴリー内セクションごとに、文書データを記録、検索する文書データ管理手段、さらに新規文書データを作成する、既存文書データを編集する、文書データを表示、印刷するといった機能を有する文書データ入出力手段から構成されている(以上は、文書作成システムの標準的な基幹プログラムの構成である)。文書カテゴリー内セクション管理手段は、当該文書カテゴリーの構造がフラットでセクション分けが不要な場合は、必ずしも必要ではない。
【0030】
本発明では、さらに文書データから必要な文書要素データを抽出し、外部アプリAPIを介してアプリに送信する、逆にアプリから送信された文書データを受信して内容を表示したり、必要に応じて前記文書データ入出力手段を介して文書データ管理手段に当該文書データを記録したりする外部アプリデータ入出力手段を備えている。
【0031】
外部アプリ側では、前記外部アプリデータ入出力手段、外部アプリAPIを介して受信した文書要素データを用いて種々の処理を行い、処理結果を表示、印刷する。必要に応じて作成された処理結果の新規文書を、基幹プログラムに対して、外部アプリAPIを介して外部アプリデータ入出力手段に送信する。基幹プログラムは、必要に応じて受信した前記文書データを文書データ管理手段に登録する。
【0032】
外部アプリ群は、基幹プログラムと同一のデバイスにあっても良いし、一部または全部が別の独立したデバイスにあっても良い。各アプリは、デバイスに常駐しても良いし(常駐型外部アプリ)、必要に応じてデバイスに配信され、動作後消去されても良い(一過性外部アプリ)。外部アプリAPIにおける外部アプリと基幹プログラムの通信は、デバイス内のメモリーを介するもの、通信回線を介するもの、一時的なファイルを介するもの等、必要に応じて使い分けてよい。
【0033】
同一デバイスを複数のスタッフが共用している際は、当該外部アプリがどの案件に関して基幹プログラムと連携しているかが不明となる危険がある。これを防ぐためには、基幹プログラムから外部アプリAPIを介して、案件IDと起動すべきアプリの指定を送信し、指定されたアプリが指定された案件IDに関してのみ起動する必要がある(一過性外部アプリの場合)。
指定されたアプリが常駐型アプリの場合は、基幹プログラムを共用しているスタッフごとに案件IDを個別に管理して、スタッフの担当している案件のデータが混乱しないようにする必要がある。
【0034】
図3(a)~図3(d)は、基幹プログラム内のデータ管理手段の形態を示す。
図3(a)は、案件ID管理手段の一例である。
案件のID#(医療機関であれば患者ID#)のリストを管理している。
文書データは、この案件IDに紐づけられて管理される。
図3(b)は、文書カテゴリー管理手段の一例である。
案件に関する文書データは、この文書カテゴリー管理手段で定義されている文書カテゴリー#ごとに整理されて記録される。
図3(c)は、文書カテゴリー内セクション管理手段の一例である。
文書カテゴリーごとに、内部に備えるセクション#が定義され、それぞれのセクション#に応じた文書のデータが記録される。
図3(d)は、文書データ管理手段の一例である。
文書ごとに文書ID#が付与され、当該文書の属する案件ID#(本例では患者ID#)、文書カテゴリー#とともに、文書データが、文書内部のセクションごとに整理され記録されている。
本例では、全てのセクション内のデータをまとめて記録しているが、文書データをセクションごとに分割し、別々の行(レコード)として記録しても良い。また、本例ではセクション名を行頭に明示しているが、暗示的方法でセクション名が特定できれば、セクション名の明示は必ずしも必要ではない。
図3(a)~(d)では、リレーショナルデータベースという表形式を用いた文書データ管理としているが、場合によっては、CODASYLなどのようにネットワーク型あるいは階層型データベースを用いても良い。
【0035】
図4は、文書データ入出力手段の説明図である。
前記図3に示したような文書データ管理手段から、ある文書カテゴリーの文書リストを得るなど、検索条件に合致した文書のリストを求め(文書リスト取得手段)、当該リストから特定の文書を選択して当該文書の文書データを取得する(特定文書データ取得手段)。取得した文書データは、基幹プログラム内で表示や印刷しても良いし、外部アプリデータ入出力手段を介して外部アプリに出力しても良い。
また、既存文書編集手段において文書データ内容の追加、変更などの編集を行い、文書登録手段により当該文書に編集内容を反映させる。
指定された文書カテゴリーで新規文書が作成された場合は(新規文書作成手段)、作成された新規文書データを、文書登録手段を介して文書データ管理手段に登録する。
さらに、外部アプリで作成された文書データは、新規文書作成手段、文書登録手段を介して、文書データ管理手段に登録される。前記外部アプリで作成された文書データか既存の文書データを編集したものである場合は、既存文書編集手段、文書登録手段を介して、文書データ管理手段に登録される。
【0036】
図5は、外部アプリデータ入出力手段の説明図である。
図5(a)は、外部アプリが必要とする文書要素を出力する際の処理の流れを示す。
外部アプリからは、外部アプリAPIを介して外部アプリ入出力手段に対して、特定文書データ取得手段で取得された文書データから外部アプリでの処理に必要な文書要素の抽出を要求する(必要文書要素データ抽出要求手段)。
抽出された文書要素データは、外部アプリAPIを介して、当該文書要素データを要求した外部アプリに対して送信される(必要文書要素データ受信手段)。
外部アプリは、処理の必要に応じて複数の文書から文書要素データを受信し、処理を行い、処理結果を当該アプリの単独処理として表示、印刷する。あるいは新規文書を作成して外部アプリデータ入出力手段に送信したりする(作成文書データ送信手段)。
場合によっては、当該アプリが作成した既存の文書データを基幹プログラムから受信し、編集したのち、基幹プログラムへ送信して当該文書データの修正を行っても良い。
ここで、文書要素とは、文書データのうち当該処理に必要とされるデータの塊を意味する。文書要素の大きさ(データの粒度)は、文書全体、文書内の特定のセクション全体、セクション内でタグ付けされた特定の語句など任意に指定すればよい。
タグ付けは、「氏名:山田太郎」のように明示的に行っても良いし、「体温は38.5℃であった」などから「体温」というタグを暗示的に抽出し、それに続く「38.5℃」を文書要素としても良い。
なお、一過性外部アプリの場合、基幹プログラムから当該外部アプリへ送信すべき文書要素データは自明であるので、前記必要文書要素データ抽出要求手段は省略しても良い。
【0037】
図5(b)は、外部アプリ作成された文書データを、基幹プログラムの文書データ管理手段に登録する際の処理の流れを示す。
当該文書データは、外部アプリAPIを介して外部アプリ作成文書データ送信手段によって、基幹プログラムに送信され、文書データ入出力手段の新規文書データ作成手段または既存文書データ編集手段に渡され、文書データ管理手段に登録される。
なお、図5(a)、図5(b)では、図の複雑さを避けるため、文書データ入出力手段、外部アプリデータ入出力手段の内部で、処理の説明に必要な部分のみ表示している。
図5(a)、図5(b)は、基幹プログラムと外部アプリの連携を行う一例であって、この構成に限定されるものではない。
基幹プログラムから必要な文書要素を抽出して外部アプリAPIを介して外部アプリに送信すること、外部アプリの処理結果として作成/編集された文書データを、外部アプリAPIを介して基幹プログラムに送信し登録することが可能であれば、前記手段群は任意の構成に変更できる。
【0038】
図6(a)は、外部アプリで、新規文書を作成する例を示す。
外部アプリは、外部アプリAPIを介して、処理に必要な文書要素データの要求を基幹プログラムに送信する(必要文書要素データ要求手段)。
基幹プログラムから処理に必要な、要求した文書要素データを受信し(必要文書要素データ受信手段)、当該外部アプリで定められた書式に従い文書要素を配列し新規文書(この例では入院サマリー)を作成する。
作成された新規文書は、表示、印刷して外部アプリ内で処理を完結しても良いし、外部アプリAPIを介して基幹プログラムに送信し(外部アプリ作成文書データ送信手段)、文書データ管理手段に登録しても良い。
前記外部アプリで定められた書式は、外部アプリ内に直接記述しても良いが、書式を定義した適切なスプレッドシートや定型文書などで定義された書式を当該外部アプリ外から呼び出してもよい(文書書式参照手段)。
後者の方が、法改正等で書式変更が必要な際、外部アプリ自体は変更せずに、書式を定義したスプレッドシートや定型文書などで定義された書式の記載を変更するだけで済むので、より好ましい形態といえよう。
【0039】
図6(b)は、外部アプリで、新規文書を作成する別の例を示す。
本外部アプリは、基幹プログラムから処方薬リスト、アレルギー歴、疾患名リストを受信する。本外部アプリは、薬剤別用法用量リスト、薬剤別禁忌処方対象疾患名リスト、薬剤別相互作用薬剤リストなどのデータベースを管理している(外部アプリ用データベース管理手段)。
これらのデータベースは、当該外部アプリ内に構築しても良いし、独立したデータベース群として、適宜必要なデータを読みだしても良い。
後者の方がデータベースの更新が簡便であり、より好ましい形態であろう。
受信した処方薬リスト、アレルギー歴、疾患名リストと、データベースから得られた情報を照合し、個々の薬剤の用法用量が適正範囲内か、禁忌とされている疾患に罹患していないか、処方されている薬剤間に作用の増強や減弱といった相互作用が無いかなど等の確認を行う。
警告すべき内容があれば、リストアップし、処方チェック警告文書を作成し表示する。
警告に応じて処方が変更されることが多いが、警告があっても、医師の裁量で敢えて処方を行う場合もある。
この際は、警告文に対して敢えて処方する医師の確認入力を求め、当該確認も含めた処方チェック警告文書を作成し、外部アプリ作成文書データ送信手段で基幹プログラムに送信、登録する。このようにすれば、薬剤師などの職種のスタッフも主治医の意図が明確となるので、定型外処方の問い合わせの作業が不要となる。
【0040】
外部アプリの開発に当たって、ユーザーIDの管理、セキュリティ、外部アプリAPIを介した基幹プロブラムとの交信のやり方など共通の部分が多い。
これらの共通部分を括りだし、フレームワークとして定義しておき、当該アプリ特有の動作のみを記述すれば外部アプリが開発できるようにしておけば(Software Development Kit:SDK)、現場の専門知識はあるがソフトウェア開発の経験が乏しい現場スタッフでも外部アプリの開発が容易となる。
これにより、文書作成システム全体を、低コストで開発、保守することが可能になる。
【0041】
図7は、本発明の好ましい画面表示の様式である画面表示パターン管理手段を示す。
外来初診、外来再診、入院時、入院後経過、看護日誌作成時など等、文書を作成、参照する際に必要な情報は異なる。
複数の文書カテゴリーに前記必要情報が散在する際は、関連する文書カテゴリーの文書を同時に画面表示できれば、効率的に作業が行える。
(a)画面表示パターン登録手段では、作業の状況(シーン)に応じた画面表示パターンを登録する。必要に応じて、適切な前記画面表示パターンを選択する(画面表示パターン選択手段)。
(b)画面表示パターン内訳管理手段では、個々の文書表示を行う外部アプリと、その画面上の表示位置、大きさを定義する。必要あれば、基幹プログラムの表示も併用する。
(c)はデバイス上の表示画面である。各々のアプリの表示は、BASICやCOBOLなどの固有言語でプログラムを書いても良いが、現在標準的に使用されているHTMLを用いWEBブラウザでの表示とすることが、より望ましい。
なぜなら、通常のパソコン、タブレット、スマートフォンなどのデバイスによらず表示が行え、WEBブラウザ関連の種々のサポートプログラムが併用できるからである。
(a)(b)の登録は、組織全体で共有しても良いし、個々のユーザーが追加で定義しても良い。
【0042】
以上、実施例を説明したが、本発明の具体的な構成は前記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、従来の基幹プログラムの機能の内、どの機能を外部アプリ群に機能配分させるかは任意である。基幹プログラムと外部アプリ群は、通常同一デバイス上で動作させるが、一部の外部アプリを異なるデバイス上で動作させても良い。
また、本明細書では医療を例にとって説明したが、他の分野での応用も本発明に含まれる。
図1
図2
図3(a)(b)(c)】
図3(d)】
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書作成システムにおいて、(i)文書データを記録、管理する文書データ管理手段を備えた基幹プログラムと、(ii) (i)からデータを受け取って処理を行う、前記基幹プログラムから独立した少なくとも1つの外部アプリを備え、
前記外部アプリは、前記基幹プログラムに対して、文書の一部である文書要素データの送信要求を送信する必要文書要素データ要求手段を備えており、当該文書要素データを受信するための外部アプリAPIを備えており、
前記基幹プログラムは、前記必要文書要素データ要求手段に応じて、文書データ管理手段から文書リストを取得する文書リスト取得手段を備え、前記文書リストの中から必要な特定文書データを取得する特定文書データ取得手段を備え、前記特定文書データから前記必要文書要素データ要求手段の要求に応じて必要な文書要素データを抽出する必要文書要素データ抽出手段を備えており、前記(i)(ii)の両者により文書作成を行うことを特徴とする文書作成システム。
【請求項2】
前記外部アプリAPIは、さらに、前記外部アプリで作成された文書データを基幹プログラムに送信する外部アプリ作成文書データ送信手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の文書作成システム。
【請求項3】
前記基幹プログラムは、前記外部アプリで作成された作成文書データを受信し、前記文書データを文書データ管理手段に登録する文書データ登録手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の文書作成システム。
【請求項4】
前記外部アプリにおいて、作成する文書の書式を、前記外部アプリ外から参照する文書書式参照手段を備えていることを特徴とする請求項1~3いずれか記載の文書作成システム。
【請求項5】
文書リストを記録した外部アプリ用データベースを備えたことを特徴とする請求項1~4いずれか記載の文書作成システム。
【請求項6】
前記文書作成システムにおいて、文書作成の状況ごとの画面表示パターン名を管理する画面表示パターン管理手段、前記画面表示パターンの画面上の表示位置、表示大きさを管理する画面表示パターン内訳管理手段を備え、文書作成の状況ごとに適した画面表示パターンを選択可能とした画面表示パターン選択手段を備えたことを特徴とする請求項1~5いずれか記載の文書作成システム。
【請求項7】
前記画面表示パターン管理手段は、ユーザーごとに画面表示パターンを作成可能とする画面表示パターンユーザー毎作成管理手段を備えたことを特徴とする請求項6記載の文書作成システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
前記目的を達成するための手段として、請求項1記載の文書作成システムでは、文書作成システムにおいて、(i)文書データを記録、管理する文書データ管理手段を備えた基幹プログラムと、(ii) (i)からデータを受け取って処理を行う、前記基幹プログラムから独立した少なくとも1つの外部アプリを備え、
前記外部アプリは、前記基幹プログラムに対して、文書の一部である文書要素データの送信要求を送信する必要文書要素データ要求手段を備えており、当該文書要素データを受信するための外部アプリAPIを備えており、
前記基幹プログラムは、前記必要文書要素データ要求手段に応じて、文書データ管理手段から文書リストを取得する文書リスト取得手段を備え、前記文書リストの中から必要な特定文書データを取得する特定文書データ取得手段を備え、前記特定文書データから前記必要文書要素データ要求手段の要求に応じて必要な文書要素データを抽出する必要文書要素データ抽出手段を備えており、前記(i)(ii)の両者により文書作成を行うことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項2記載の文書作成システムでは、請求項1記載の文書作成システムにおいて、前記外部アプリAPIは、さらに、前記外部アプリで作成された文書データを基幹プログラムに送信する外部アプリ作成文書データ送信手段を備えたことを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項3記載の文書作成システムでは、請求項1又は2記載の文書作成システムにおいて、前記基幹プログラムは、前記外部アプリで作成された作成文書データを受信し、前記文書データを文書データ管理手段に登録する文書データ登録手段を備えていることを特徴とする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項4記載の文書作成システムでは、請求項1~3いずれか記載の文書作成システムにおいて、前記外部アプリにおいて、作成する文書の書式を、前記外部アプリ外から参照する文書書式参照手段を備えていることを特徴とする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項5記載の文書作成システムでは、請求項1~4いずれか記載の文書作成システムにおいて、文書リストを記録した外部アプリ用データベースを備えたことを特徴とする
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項6記載の文書作成システムでは、請求項1~5いずれか記載の文書作成システムにおいて、前記文書作成システムにおいて、文書作成の状況ごとの画面表示パターン名を管理する画面表示パターン管理手段、前記画面表示パターンの画面上の表示位置、表示大きさを管理する画面表示パターン内訳管理手段を備え、文書作成の状況ごとに適した画面表示パターンを選択可能とした画面表示パターン選択手段を備えたことを特徴とする。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項7記載の文書作成システムでは、請求項6記載の文書作成システムにおいて、前記画面表示パターン管理手段は、ユーザーごとに画面表示パターンを作成可能とする画面表示パターンユーザー毎作成管理手段を備えたことを特徴とする。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
請求項1記載の文書作成システムでは、外部アプリから前記基幹プログラムに対して、処理に必要とする文書要素データの送信要求を送信し(必要文書要素データ要求手段)、当該文書要素データを受信する(必要文書要素データ受信手段)ための外部アプリAPIを備えている。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
請求項1記載の文書作成システムでは、基幹プログラムは、前記必要文書要素データ要求手段に応じて、文書データ管理手段から文書リストを取得し(文書リスト取得手段)、前記文書リストの中から必要な特定文書デーデータを取得し(特定文書データ取得手段)、前記特定文書データから前記必要文書要素データ要求手段の要求に応じて必要な文書要素データを抽出する必要文書要素データ抽出手段を備えている。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
請求項2記載の文書作成システムでは、外部アプリ作成文書データ送信手段を備えているので、外部アプリAPIは、さらに、前記外部アプリで作成された文書データを基幹プログラムに送信する。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
請求項3記載の文書作成システムでは、文書データ登録手段を備えているので、外部アプリで作成された作成文書データを受信し、前記文書データを文書データ管理手段に登録する。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
請求項4記載の文書作成システムでは、文書書式参照手段を備えているので、作成する文書の書式を、アプリ外から参照する。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
請求項5記載の文書作成システムでは、外部アプリ用データベース管理手段を備えているので、処理に必要なデータベースを当該アプリ自体が管理する。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
請求項6記載の文書作成システムでは、文書作成の状況ごとの画面表示パターン名を管理する画面表示パターン管理手段、前記画面表示パターンごとに表示する外部アプリまたは基幹プログラムの出力の表示位置、表示大きさを管理する画面表示パターン内訳管理手段を備え、文書作成の状況ごとに適した画面表示パターンを選択可能とした画面表示パターン選択手段を備えている。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
請求項7記載の文書作成システムでは、画面表示パターンユーザー毎作成管理手段を備えているので、ユーザーごとに画面表示パターンを作成可能とする。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】削除
【補正の内容】