IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルプス電気株式会社の特許一覧

特開2023-133650取り付け構造、スイッチ、及び、ゲームコントローラ
<>
  • 特開-取り付け構造、スイッチ、及び、ゲームコントローラ 図1
  • 特開-取り付け構造、スイッチ、及び、ゲームコントローラ 図2
  • 特開-取り付け構造、スイッチ、及び、ゲームコントローラ 図3
  • 特開-取り付け構造、スイッチ、及び、ゲームコントローラ 図4
  • 特開-取り付け構造、スイッチ、及び、ゲームコントローラ 図5
  • 特開-取り付け構造、スイッチ、及び、ゲームコントローラ 図6
  • 特開-取り付け構造、スイッチ、及び、ゲームコントローラ 図7
  • 特開-取り付け構造、スイッチ、及び、ゲームコントローラ 図8
  • 特開-取り付け構造、スイッチ、及び、ゲームコントローラ 図9
  • 特開-取り付け構造、スイッチ、及び、ゲームコントローラ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133650
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】取り付け構造、スイッチ、及び、ゲームコントローラ
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/02 20060101AFI20230920BHJP
   A63F 13/24 20140101ALI20230920BHJP
   H01H 13/04 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H01H9/02 L
A63F13/24
H01H13/04 C
H01H9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020138790
(22)【出願日】2020-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 礼純
(72)【発明者】
【氏名】小原 啓志
【テーマコード(参考)】
5G052
5G206
【Fターム(参考)】
5G052AA12
5G052BB01
5G052HB06
5G052HC04
5G206AS50N
5G206AS50P
5G206CS04H
5G206ES04K
5G206ES04N
5G206ES22N
5G206ES42K
5G206FS32K
5G206FU03
5G206GS12
5G206KS15
5G206KS38
5G206NS02
5G206PS08
5G206PS09
(57)【要約】
【課題】十分な耐荷重が得られる、取り付け構造、スイッチ、及び、ゲームコントローラを提供する。
【解決手段】取り付け構造は、回路基板の所定の位置に切り込みを形成し、前記切り込み内に収納されるようにスイッチを配置する取り付け構造において、前記回路基板の前記切り込みは円弧状の凹部を有し、前記スイッチの背面は、前記切り込みの円弧状の凹部に対応した円弧状の凸部を有し、前記円弧状の凹部に前記円弧状の凸部を当接させることによって前記スイッチが前記回路基板に取り付けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板の所定の位置に切り込みを形成し、前記切り込み内に収納されるようにスイッチを配置する取り付け構造において、
前記回路基板の前記切り込みは円弧状の凹部を有し、
前記スイッチの背面は、前記切り込みの円弧状の凹部に対応した円弧状の凸部を有し、
前記円弧状の凹部に前記円弧状の凸部を当接させることによって前記スイッチが前記回路基板に取り付けられる、取り付け構造。
【請求項2】
前記回路基板の前記切り込みは、円弧形状が連なった2つ以上の前記凹部を有し、
前記スイッチの背面は、円弧形状が連なった2つ以上の凸部を有する、請求項1に記載の取り付け構造。
【請求項3】
前記回路基板の前記切り込みは、ドリル加工によって形成されている、請求項1又は2記載の取り付け構造。
【請求項4】
前記回路基板の前記切り込みの円弧状の前記凹部は、前記スイッチの押圧部を挿通する筐体の孔部の位置を基準として、ドリル加工によって円弧状に形成されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の取り付け構造。
【請求項5】
前記回路基板は前記切り込みの入口に前記切り込みの内部よりも前記入口の開口の内側に突出する突出部を有し、前記円弧状の凹部に前記円弧状の凸部を当接させた状態で、前記スイッチは前記突出部によって前記切り込み内に保持される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の取り付け構造。
【請求項6】
回路基板の所定の位置に形成された切り込み内に収納されるスイッチであって、
前記スイッチの背面は、前記回路基板の前記切り込みが有する円弧状の凹部に対応した円弧状の凸部を有し、
前記円弧状の凹部に前記円弧状の凸部を当接させることによって前記回路基板に取り付けられる、スイッチ。
【請求項7】
孔部を有する筐体と、
前記筐体の内部に配置され、円弧状の凹部を有する切り込みが形成された回路基板と、
前記筐体の内部に配置され、前記円弧状の凹部に対応した円弧状の凸部を有する背面を有するスイッチと、
前記孔部に挿通され、前記筐体の外部から前記スイッチを押圧可能にする操作部材と
を含む、ゲームコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り付け構造、スイッチ、及び、ゲームコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、回路部品をマウントして所定の回路を形成する回路基板の所定の位置に切り込みを形成し、前記切り込み内に収納されるようにジャックを配するジャック装置がある。前記回路基板の切り込みの側面に切欠きを形成するとともに、前記ジャックの側部にリブを形成し、前記リブを前記切欠きに係合させて前記ジャックに加わる接続および離脱方向の力を受けるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06-060927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のジャック装置は、リブが直方体状であり、切り欠きは直方体状のリブに合わせた直方体状の切り欠きであるため、回路部品に荷重が掛かるような用途では、十分な耐荷重を得ることができない場合がある。
【0005】
そこで、十分な耐荷重が得られる、取り付け構造、スイッチ、及び、ゲームコントローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の取り付け構造は、回路基板の所定の位置に切り込みを形成し、前記切り込み内に収納されるようにスイッチを配置する取り付け構造において、前記回路基板の前記切り込みは円弧状の凹部を有し、前記スイッチの背面は、前記切り込みの円弧状の凹部に対応した円弧状の凸部を有し、前記円弧状の凹部に前記円弧状の凸部を当接させることによって前記スイッチが前記回路基板に取り付けられる。
【発明の効果】
【0007】
十分な耐荷重が得られる、取り付け構造、スイッチ、及び、ゲームコントローラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態のスイッチ100を示す斜視図である。
図2】スイッチ100の分解図である。
図3】スイッチ100と基板50を示す図である。
図4】スイッチ100を基板50に取り付けた状態を示す図である。
図5】基板50を示す図である。
図6】スイッチ100を基板50に取り付けた状態を示す図である。
図7】基板50の加工方法と、スイッチ100の取付方法を説明する図である。
図8】基板50に取り付けられたスイッチ100の押圧部材140が押圧される状態を示す図である。
図9】基板50に取り付けられたスイッチ100の押圧部材140が押圧される状態を示す図である。
図10】ゲームコントローラ200を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の取り付け構造、スイッチ、及び、ゲームコントローラを適用した実施形態について説明する。
【0010】
<実施形態>
図1は、実施形態のスイッチ100を示す斜視図である。図2は、スイッチ100の分解図である。図3は、スイッチ100と基板50を示す図である。図4は、スイッチ100を基板50に取り付けた状態を示す図である。図5は、基板50を示す図である。図6は、スイッチ100を基板50に取り付けた状態を示す図である。以下では、XYZ座標系を定義して説明する。また、以下では、説明の便宜上、-Z方向側を下側又は下、+Z方向側を上側又は上と称すが、普遍的な上下関係を表すものではない。
【0011】
スイッチ100は、筐体110、金属プレート120A、120B、メタルコンタクト130A、リーフスプリング130B、押圧部材140、及びフレーム150を含む。
【0012】
スイッチ100は、オフ(非導通状態)の時には、メタルコンタクト130Aは金属プレート120B(周辺固定接点121B)には接触しているが、金属プレート120A(中央固定接点121A)には接触していない。すなわち、金属プレート120Aと金属プレート120Bとは電気的に接続されていない状態である。また、スイッチ100は、押圧部材140を下方向に押圧することによって、リーフスプリング130Bを介してメタルコンタクト130Aを押圧し、メタルコンタクト130Aが金属プレート120Aに接触して、金属プレート120Aと金属プレート120Bとはメタルコンタクト130Aを介して電気的に接続され、オン(導通状態)になるスイッチである。メタルコンタクト130Aを金属プレート120Aに接触させるために押圧部材140を押すストロークは、非常に短く、0.25mmである。
【0013】
筐体110は、樹脂製であり、金属プレート120A、120Bを保持する。筐体110と金属プレート120A、120Bは、インサート成型によって一体的に作製される。換言すれば、金属プレート120A、120Bは、インサート成型により筐体110に埋め込まれる。筐体110は、開口部111と、開口部111に連通する収納部112とを有する。開口部111は、+Z方向側の面に形成されている。また、筐体110は、底壁113と側壁114とを有する。底壁113は、筐体110の底にある板状の部分であり、側壁114は、底壁113の四方で上側に向かって延在している側壁である。底壁113と側壁114に囲まれた空間が収納部112である。
【0014】
収納部112は、開口部から下側に向かって形成されており、収納部112の底部には底壁113が設けられている。底壁113には金属プレート120Aの中央固定接点121Aと、金属プレート120Bの周辺固定接点121Bとが配置され、収納部112に表出している。収納部112には、中央固定接点121Aと周辺固定接点121Bの上側に、メタルコンタクト130Aとリーフスプリング130Bがこの順に重ねて配置され、その上に押圧部材140が配置される。
【0015】
底壁113は、筐体110の底の部分であり、平面視で矩形状の板状の部分である。底壁113は、金属プレート120A、120Bを保持し、金属プレート120Aの中央固定接点121Aと、金属プレート120Bの周辺固定接点121Bとの上面を表出させている。
【0016】
側壁114は、底壁113の四辺に沿って設けられており、底壁113のうちの収納部112よりも外側の部分の上から上方向に延在している。側壁114の+Z方向側の四隅には、+Z方向に突出する4つの凸部114Aが設けられている。凸部114は、円筒状である。
【0017】
また、筐体110は、基部110Aと固定部110Bとを有する。基部110Aは、筐体110のうち基板50の切り込み51に位置が合わせられて当接される部分であり、固定部110Bの+Z方向側から+X方向に延在している。基部110Aには、底壁113と、底壁113の四辺に設けられる側壁114のうちの三辺の部分とが含まれる。
【0018】
基部110Aは、-Z方向側の表面(スイッチ100の背面)に、2つの円弧状の凸部111Aを有するとともに、+X方向側の±Y方向側の端部に係合部112Aを有する。2つの凸部111Aは、基板50の切り込み51の2つの円弧状の凹部51Aの形状に合わせられている。基部110AのX方向の長さは、基板50のX方向の長さ(厚さ)よりも長い。
【0019】
ここで、基板50は、一例としてゲームコントローラ等の電子機器の筐体の内部に配置される配線基板であり、図示しない配線を含む。また、一例として、筐体110のX方向の長さは約6mm~約7mm、Y方向の長さは、約8mm~約9mm、Z方向の厚さは約4mm~約5mmである。基板50のX方向の厚さは約1mm~約2mmであり、切り込み51のY方向の長さは、一例として約8mm~約9mm、Z方向の深さは約4mm~約5mmである。このように切り込み51は小さいため、ドリル加工で形成する。2つの凹部51Aの円弧形状は、各凹部51Aの位置にドリルを位置させて、ドリルの位置を動かさずに基板50を円形に打ち抜いたことによって形成される円弧形状である。
【0020】
ドリル加工における寸法誤差は約±0.05mmであり、ルーターを移動させながら加工する場合の寸法誤差(約±0.1mm~約0.2mm)に比べると非常に小さい。図5に示すように、切り込み51は、YZ面視で+Z方向側の入口51BのY方向の寸法に比べて、入口51Bよりも-Z方向側(奥側)に位置する2つの凹部51AのY方向の寸法の方が大きい。すなわち、入口51Bは、2つの凹部51AのうちのY方向において最も広がった部分よりも、Y方向において入口51Bの開口の内側に突出する突出部51B1を有する。各凹部51Aは、YZ面視で円周の1/3に相当する円弧(120度に相当する円弧)を有し、X方向に延在している。2つの凹部51Aの間には、Y方向に沿って延在する直線部分51Cが存在し、2つの凹部51Aは、Y方向において離間している。このような切り込み51にスイッチ100を図6に示すように取り付ける際には、2つの凹部51Aと筐体110の2つの凸部111Aとの位置をYZ面視で合わせた状態で、切り込み51の-X方向側から基部110Aを切り込み51の中に挿入すればよい。これにより、スイッチ100と基板50との取り付け構造10が完成する。なお、入口51Bは、突出部51B1を有していなくてもよい。入口51Bの開口部は、2つの凹部51AのうちのY方向において最も広がった部分とY方向において同一の位置にあってもよく、Y方向において外側にあってもよい。
【0021】
スイッチ100が基板50に取り付けられると、基部110Aは基板50の切り込み51の内部に嵌め込まれ、2つの凸部111Aは、2つの凹部51Aにそれぞれ当接される。凸部111AのYZ面視における円弧の湾曲形状は、凹部51AのYZ面視における円弧の湾曲形状に合わせられており、2つの凸部111Aの表面の形状は、2つの凹部51Aの表面の形状と合わせられている。このため、スイッチ100が基板50に取り付けられて2つの凸部111Aが2つの凹部51Aにそれぞれ当接した状態では、2つの凸部111Aの表面と、2つの凹部51Aの表面とは、間に隙間が殆ど存在しない状態で面同士で接続される。なお、基部110Aの+X方向側の端部の±Z方向側の角部には、フレーム150の2つの爪部153が係合される。
【0022】
固定部110Bは、底壁113の四辺に設けられる側壁114のうちの基部110Aに含まれない残りの一辺の部分を含んでおり、基部110Aよりも-Z方向側に突出している。固定部110Bの-X方向側における±Y方向側の角部の凹部111Bには、フレーム150の2つの爪部152Aが係合される。
【0023】
金属プレート120Aは、中央固定接点121Aと、端子122Aとを有する。金属プレート120Aは、一例として銅製である。中央固定接点121Aは、押圧部材140が下方向に押圧されていない状態では、メタルコンタクト130Aには接触しておらず、押圧部材140が下方向に押圧された状態では、メタルコンタクト130Aに接触する。端子122Aは、筐体110の固定部110Bの+X方向側の表面及び-Z方向側の表面に沿って延在しており(図3参照)、先端は図2に示すように固定部110Bの-X方向側の表面にまで達している。
【0024】
金属プレート120Bは、周辺固定接点121Bと、端子122Bとを有する。金属プレート120Bは、一例として銅製である。周辺固定接点121Bは、押圧部材140が下方向に押圧されていない状態において、メタルコンタクト130Aの+X方向側の端部に接触しており、押圧部材140が下方向に押圧された状態においてもメタルコンタクト130Aに接触する。端子122Bは、筐体110の固定部110Bの+X方向側の表面及び-Z方向側の表面に沿って延在しており(図3参照)、先端は図2に示すように固定部110Bの-X方向側の表面にまで達している。端子122Bは、端子122Aに沿って延在している。
【0025】
メタルコンタクト130Aは、金属部材で実現される金属ばねであり、中央部の上側にドーム状に突出したドーム部131Aを有する。メタルコンタクト130Aは、可動接点部材の一例である。メタルコンタクト130Aは、一例として、ステンレス製である。
【0026】
ドーム部131Aは、上側から押圧されると下側に凸になる。この状態で、メタルコンタクト130Aは、中央固定接点121Aに接触し、中央固定接点121Aと周辺固定接点121Bを導通させる。メタルコンタクト130Aは、下面に銀めっきが施されている。下面は、電流が流れる中央固定接点121A及び周辺固定接点121Bと接触するからである。
【0027】
リーフスプリング130Bは、メタルコンタクト130Aから銀めっきを取り除いた構成を有する。このため、リーフスプリング130Bは、ドーム部131Bを有する。
【0028】
押圧部材140は、基部141と突出部142とを有する。基部141は円盤状の部分であり、平面視における中央部分の+Z方向側に突出部142が連続的に形成されている。押圧部材140は、一例としてラバー(ゴム)製である。基部141は、収納部112の上端部でリーフスプリング130Bの上に配置される。突出部142は、利用者の押圧操作によって、間接的又は直接的に押圧される部分である。突出部142は、円筒状の形状を有する。
【0029】
フレーム150は、基部151、延在部152、及び爪部153を有する。フレーム150は、金属製であり、一例として板金をパンチング処理で打ち抜いてから折り曲げることによって作製可能である。
【0030】
基部151は、平面視で矩形状の板状部分であり、中央に設けられる開口部151Aと、四隅に設けられる4つの開口部151Bと有する。開口部151Aには押圧部材140の突出部142が挿通される。このため、押圧部材140は開口部151Aを通じて-Z方向に押圧可能である。また、4つの開口部151Bには、筐体110とフレーム150との位置決めのために、筐体110の4つの凸部114Aが挿通される。
【0031】
延在部152は、基部151の-X方向側における±Y方向側の端部から延在しており、爪部152Aと取付部152Bとを有する。爪部152Aは延在部152の先端に位置し、筐体110の凹部111Bに係合される。取付部152Bは、爪部152Aよりも基部151に近い側にあり、XZ平面に平行な板状部分である。取付部152Bは、基板50の取付パッド52(図5図6参照)に、はんだ等で固定される。取付パッド52は、取付部152を取り付けるためのダミーのパッドであり、スイッチ100のオン/オフに関与するものではない。
【0032】
爪部153は、基部151の+X方向側における±Y方向側の端部から延在しており、筐体110の基部110Aの係合部112Aに係合される。フレーム150は、筐体110に対してメタルコンタクト130A、リーフスプリング130B、及び押圧部材140を位置合わせするとともに、4つの開口部151Bで筐体110に対して位置を合わせた状態で、爪部152A及び153を筐体110に係合させることによって筐体110に固定される。
【0033】
図5に示すように、基板50は、-X方向側の表面の切り込み51の周囲に、2つの取付パッド52と、2つの端子53とを有する。取付パッド52には、フレーム150の取付部152Bが取り付けられ、2つの端子53には、端子122A、122Bのうちの筐体110の固定部110Bの+X方向側の表面(YZ平面に平行な表面)上に位置する部分がはんだ等によって接続される。これにより、2つの端子53と端子122A、122Bとは電気的に接続される。2つの取付パッド52と2つの端子53とに、2つの取付部152Bと端子122A、122Bとをそれぞれ取り付けた状態を図4及び図6に示す。図6では、スイッチ100のうち、基板50の陰になる部分を破線で示す。
【0034】
図7は、基板50の加工方法と、スイッチ100の取付方法を説明する図である。まず図7(A)に示すように、四隅に4つの開口部50A1が設けられた基板50Aを用意し、ドリル加工で隣り合う2つの開口部51A1を形成する。2つの開口部51A1の中心にドリルの中心を合わせ、形成すべき開口部51A1と同一の直径を有するドリルを用いて開口作業を2回行えば、図7(A)に示すように隣り合う2つの円形の開口部51A1を形成することができる。ドリル加工の精度は約0.05mmであるため、真円度が非常に高い開口部51A1を形成することができる。
【0035】
次に、図7(B)に示すように、ルーター加工で基板50Aのうちの基板50の周囲の部分を切除すれば、基板50が完成する。そして、図7(C)に示すように、基板50にスイッチ100を取り付ければよい。具体的には、2つの凹部51Aと筐体110の2つの凸部111Aとの位置をYZ面視で合わせた状態で、切り込み51の-X方向側から基部110Aを切り込み51の中に挿入すればよい。これにより、図7(C)に示すように、スイッチ100と基板50との取り付け構造10が完成する。
【0036】
図8及び図9は、基板50に取り付けられたスイッチ100の押圧部材140が押圧される状態を示す図である。矢印で示すように押圧部材140の突出部142が操作者によって押圧されると、リーフスプリング130Bを介してメタルコンタクト130Aが中央固定接点121A及び周辺固定接点121Bに対して押圧されるため、筐体110の底壁113に押圧荷重が掛かる。底壁113に押圧荷重が掛かることは、基部110Aの背面の2つの凸部111Aに押圧荷重が掛かることと同義である。
【0037】
このとき、押圧方向における奥側にある筐体110の2つの凸部111Aは、基板50の切り込み51の2つの凹部51Aに当接しているため、凸部111Aに掛かる押圧荷重は凹部51Aの表面によって受け止められる。凹部51Aはドリル加工で形成された精度の高い円弧状の湾曲面を有するため、2つの凸部111Aと2つの凹部51Aとの位置ずれが殆ど生じない。2つの凸部111Aは、2つの凹部51Aと面で接触(面同士で接続)しているため、筐体110に掛かる押圧荷重は、図8及び図9で破線の楕円で示す部分(凸部111Aと凹部51Aの当接部分)を介して基板50によって受け止められる。このように、2つの凸部111Aと2つの凹部51Aとが面同士で接触した状態で、2つの凹部51Aが2つの凸部111Aから荷重を受けるので、スイッチ100と基板50との間において十分に大きな耐荷重が得られる。
【0038】
したがって、十分な耐荷重が得られる、取り付け構造10、及び、スイッチ100を提供することができる。また、凹部51Aはドリル加工で形成された精度の高い円弧状の湾曲面を有する。凹部51Aの円弧は、位置を固定して行ったドリル加工において形成された開口部51A1(図7(A)参照)の一部である。また、2つの凸部111Aは、凹部51Aの形状に合わせて高い精度で成形されている。このため、2つの凸部111Aと2つの凹部51Aとが接する面積が大きく、押圧荷重を分散して2つの凸部111Aと2つの凹部51Aとの間における面荷重を低減し、安定的な接続部が得られる。このことによっても、耐荷重が大きくなり、十分な耐荷重が得られる、取り付け構造10、及び、スイッチ100を提供することができる。
【0039】
ルーター加工はドリル加工に比べて精度が低いため、ルーター加工で凹部51Aのような凹部を形成しても、上述したようなドリル加工で得られる高精度な円弧状の凹部51Aを形成することはできない。また、スイッチ100の背面に設けた2つの凸部111Aは、ドリル加工で形成されるYZ面視における円弧を有する凹部51Aの形状に対応している。このため、押圧部材140に掛かる衝撃を筐体110が受け、筐体110が受ける衝撃を基板50が受ける取り付け構造10は、十分な耐衝撃性を有する。
【0040】
また、ドリル加工で形成された精度の高い円弧状の湾曲面を有する凹部51Aに、凹部51Aの形状に合わせて高い精度で成形した凸部111Aを当接させることによって、基板50にスイッチ100を取り付けるので、非常に高いスイッチ100の取付精度を得ることができる。また、凹部51Aの湾曲面はドリル加工で形成された精度の高い円弧状の湾曲面であり、凸部111Aは、凹部51Aに対応する湾曲面を有する。YZ面視で円弧状に形成され、X方向に延在する湾曲面は、円筒形状の一部分に相当する形状であり、荷重が均等に分散されるため、安定性が非常に高い。
【0041】
また、基板50の切り込み51の入口51Bは、2つの凹部51AのうちのY方向において最も広がった部分よりも、Y方向において入口51Bの開口の内側に位置する突出部51B1を有するため、基部110Aを切り込み51に挿通した状態で、基部110Aが基板50から+Z方向に抜けないように基部110Aを保持する構成になっている。このため、基部110Aが切り込み51から+Z方向に抜けないようにすることができ、基板50に対するスイッチ100の取り付けにおける安定性を確保した取り付け構造10を提供することができる。
【0042】
図10は、ゲームコントローラ200を示す図である。ゲームコントローラ200は、筐体210と2つのボタン220を含む。筐体210の内部には、スイッチ100が取り付けられた基板50が固定されている。筐体210は、右側の拡大図に示すように孔部211を有する。孔部211は、筐体210を貫通し、筐体210の内側と外側を連通している。孔部211には、ボタン220が挿通されており、ボタン220の下部の凸部221が押圧部材140に当接している。操作者がボタン220を押すと凸部221が押圧部材140の突出部142を押圧する。筐体210に固定された基板50には、上述の取り付け構造10によってスイッチ100が取り付けられているため、ボタン220の押圧操作による荷重は基板50によって安定的に受け止められる。
【0043】
したがって、十分な耐荷重が得られるゲームコントローラ200を提供することができる。なお、ここでは、電子機器の一例としてのゲームコントローラ200に取り付け構造10及びスイッチ100を適用した形態について説明したが、取り付け構造10及びスイッチ100は、ゲームコントローラ200以外の様々な電子機器に適用可能である。
【0044】
なお、以上では、基板50が2つの凹部51Aを有し、スイッチ100の筐体110が2つの凸部111Aを有する形態について説明したが、凹部51Aの数は2つに限られず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。同様に、凸部111Aの数は2つに限られず、1つであってもよいし、3つ以上あってもよい。凹部51Aと凸部111Aの数は等しいことが好ましい。
【0045】
以上、本発明の例示的な実施形態の取り付け構造、スイッチ、及び、ゲームコントローラについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 取り付け構造
50 基板
51 切り込み
51A 凹部
51B 入口
51B1 突出部
100 スイッチ
110 筐体
111A 凸部
120A、120B 金属プレート
121A 中央固定接点
121B 周辺固定接点
122A 端子
122B 端子
130A メタルコンタクト
130B リーフスプリング
140 押圧部材
142 突出部
150 フレーム
200 ゲームコントローラ
210 筐体
220 ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10