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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133657
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】荷重センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/06 20060101AFI20230920BHJP
   H01M 12/06 20060101ALI20230920BHJP
   H01M 50/682 20210101ALI20230920BHJP
   H01M 6/32 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
G01L1/06
H01M12/06 A
H01M50/682
H01M6/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038755
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005175
【氏名又は名称】藤倉コンポジット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100121049
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 正義
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌樹
【テーマコード(参考)】
5H023
5H025
5H032
【Fターム(参考)】
5H023AA07
5H023AS01
5H023BB05
5H023CC12
5H025AA12
5H025BB06
5H025BB07
5H025CC31
5H025KK05
5H032AA02
5H032AS01
5H032AS02
5H032AS11
5H032BB02
5H032CC01
5H032CC21
(57)【要約】
【課題】荷重を受けて発電を開始する、自己発電型の荷重センサを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の荷重センサ(1)は、金属極(2)及び空気極(3)を有する金属空気電池(5)と、電解液(7)が収容された電解液パック(9)と、荷重を受ける荷重面(S)と、を具備し、前記電解液パックが、前記荷重面から前記荷重を受けることで、前記電解液が、前記電解液パックから前記金属空気電池に供給されて発電する、ことを特徴とする。
【選択図】図1



【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属極及び空気極を有する金属空気電池と、電解液が収容された電解液パックと、荷重を受ける荷重面と、を具備し、
前記電解液パックが、前記荷重面から前記荷重を受けることで、前記電解液が、前記電解液パックから前記金属空気電池に供給されて発電する、
ことを特徴とする荷重センサ。
【請求項2】
前記電解液パックが破壊されることにより、前記電解液が漏出して発電する、ことを特徴とする請求項1に記載の荷重センサ。
【請求項3】
前記荷重面から前記電解液パックに対し圧縮荷重が作用して、前記電解液パックから前記電解液が漏出する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の荷重センサ。
【請求項4】
前記荷重面を支持するとともに、前記圧縮荷重が作用する方向に前記荷重面の移動を許容する支持部材が設けられており、前記電解液パックは、前記支持部材の内側に配置される、ことを特徴とする請求項3に記載の荷重センサ。
【請求項5】
前記荷重面は、折れ曲がり可能な構成であり、前記荷重を受けて、前記荷重面が折れ曲がることで前記電解液パックから前記電解液が漏出する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の荷重センサ。
【請求項6】
前記荷重面から前記電解液パックに対し引張荷重が作用して、前記電解液パックから前記電解液が漏出する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の荷重センサ。
【請求項7】
前記荷重面は、前記金属極の表面、前記空気極の表面、或いは、前記金属空気電池以外の部材の表面にて構成される、ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の荷重センサ。
【請求項8】
前記金属空気電池及び前記電解液パックを収納する筐体を有し、前記筐体は荷重面を備え、前記筐体と前記金属空気電池の間に、前記電解液パックが配置される、ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の荷重センサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属空気電池の構成を備えた荷重センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より物体の移動などを検知する検知センサが知られているが、外部電源を必要とする構成では、定期的なメンテナンスが必要であったり、使用環境によっては、外部電源を得ることが困難であったり、不可能な場合があった。そこで、外部電源を不要とする検知センサが求められた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-141684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明には、外力の付与を受けて電池を起動させる電池起動装置が開示されている。
【0005】
電池起動装置では、外力により、磁性体である破壊部が加速度を受けて、電解液収納部と電極収納部との区画部を破壊して電解液が漏れ出し、電極に接触することで電池が起動する。
【0006】
このように、特許文献1の構成では、破壊部(磁性体)が筒状部内を加速度的に移動し衝突による破壊を促して電解液を漏出させており、構造が複雑化し且つ大型化する。しかも、破壊部が一定の加速度を得ないと電解液収納部を破壊できず、電解液収納部と電極収納部との区画部を破壊できるほどの衝撃が加わる用途にのみ限定される。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、荷重を受けて発電を開始する、自己発電型の荷重センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における荷重センサは、金属極及び空気極を有する金属空気電池と、電解液が収容された電解液パックと、荷重を受ける荷重面と、を具備し、前記電解液パックが、前記荷重面から前記荷重を受けることで、前記電解液が、前記電解液パックから前記金属空気電池に供給されて発電する、ことを特徴とする。
本発明では、前記電解液パックが破壊されることにより、前記電解液が漏出して発電することが好ましい。
【0008】
本発明では、前記荷重面から前記電解液パックに対し圧縮荷重が作用して、前記電解液パックから前記電解液が漏出することが好ましい。このとき、前記荷重面を支持するとともに、前記圧縮荷重が作用する方向に前記荷重面の移動を許容する支持部材が設けられており、前記電解液パックは、前記支持部材の内側に配置される構成にできる。
【0009】
また、本発明では、前記荷重面は、折れ曲がり可能な構成であり、前記荷重を受けて、前記荷重面が折れ曲がることで前記電解液パックから前記電解液が漏出することが好ましい。
或いは、本発明では、前記荷重面から前記電解液パックに対し引張荷重が作用して、前記電解液パックから前記電解液が漏出することが好ましい。
本発明では、前記荷重面は、前記金属極の表面、前記空気極の表面、或いは、前記金属空気電池以外の部材の表面にて構成されることが好ましい。
【0010】
本発明では、前記金属空気電池を収納する筐体を有し、前記筐体は荷重面を備え、前記筐体と前記金属空気電池の間に、前記電解液パックが配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、荷重を受けることで発電する自己発電型の荷重センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1Aは、第1の実施の形態における荷重センサの断面図であり、図1Bは、図1Aの荷重センサが荷重を受けた後の状態を示す断面図である。
図2図2Aは、第2の実施の形態における荷重センサの断面図であり、図2Bは、図2Aの荷重センサが荷重を受けた後の状態を示す断面図である。
図3図3Aは、第3の実施の形態における荷重センサの断面図であり、図3Bは、図3Aの荷重センサが荷重を受けた後の状態を示す断面図である。
図4図4Aは、第4の実施の形態における荷重センサの断面図であり、図4Bは、図4Aの荷重センサが荷重を受けた後の状態を示す断面図である。
図5図5Aは、第5の実施の形態における荷重センサの断面図であり、図5Bは、図5Aの荷重センサが荷重を受けた後の状態を示す断面図である。
図6】本実施の形態における荷重センサを備えた検知装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0014】
<本実施の形態の荷重センサに至る経緯>
物体の移動等を検知可能なセンサにおいて外部電源を必要とする構成では、動作点検が必要であったり、屋外など外部電源の設置が困難な環境下での使用には不向きであった。そこで外部電源を必要としない自己発電型の検知センサが求められた。
【0015】
例えば、特許文献1には、外部電源を必要とせず、所定の事象が発生したときに電池が起動する電池起動装置の発明が開示されているが、磁性体からなる破壊部の衝突に伴う破壊を促して電池を起動させる大掛かりな装置であり、構造が複雑化し且つ大型化した。
【0016】
そこで、本発明者らは、鋭意研究を行った結果、荷重を受けることで、電解液が収容された電解液パックから電解液が漏出し、発電を開始する荷重センサを開発するに至った。
【0017】
<第1の実施の形態における荷重センサ1の説明>
図1Aは、第1の実施の形態における荷重センサ1の断面図であり、図1Bは、図1Aの荷重センサ1が荷重を受けた後の状態を示す断面図である。
【0018】
図1Aに示す荷重センサ1は、金属極2と、空気極3と、金属極2と空気極3との間に介在するセパレータ4とを有する金属空気電池5を備える。金属空気電池5は、金属空気電池5の設置面を備えた保持体6a及び金属空気電池の表面側を覆う蓋体6bを有する筐体6内に収容されている。そして、金属空気電池5と蓋体6bとの間に、電解液7が収容体8内に収容された電解液パック9が配置されている。
【0019】
図1Aに示すように、空気極3は、保持体6aの表面に対向しており、金属極2は、電解液パック9に対向している。図示しないが、例えば、保持体6aには穴が設けられており、穴を通して空気を空気極3に接触させることができる。ただし、保持体6aに穴を設けることは必須でない。
【0020】
限定されるものではないが、金属極2及び空気極3を、薄いシート状で形成でき、金属極2、空気極3及びセパレータ4を積層した薄膜のラミネート構造で形成できる。例えば、金属極2の厚みは、0.05~5.0mm程度であり、空気極3の厚み(集電体を含む)は、0.4~2.0mm程度である。また、セパレータ4の積層枚数やセパレータ4の厚さに応じて、金属極2と空気極3の間の距離を調節できる。また、セパレータ4は設けられておらず、或いはセパレータ4が一部のみに設けられ、金属極2と空気極3とが空間を介して対向していてもよい。
【0021】
本実施の形態では、金属極2とセパレータ4との間、及び空気極3とセパレータ4との間を、粘着層を介して固定することができる。このとき、粘着層は、金属極2及び空気極3の縁部に部分的に設けられることで、金属極2及び空気極3の中央部を、検知領域として適切に機能させることができる。
【0022】
金属極2は、マグネシウム(Mg)、Mg合金、亜鉛(Zn)、Zn合金、アルミニウム(Al)、或いは、Al合金のうちいずれかで形成されることが好ましい。このうち、金属極2は、Mg、或いは、Mg合金で形成されることがより好ましい。
【0023】
空気極3は、集電体と触媒層(反応部)とを有して構成される。集電体に求められる特性は、金属極2から放出される電子を、触媒層へ伝える導電性と、酸素を透過させる通気性である。集電体の構成を限定するものでないが、例えば、金網や発泡金属等、既存のものを用いることができる。また、触媒層に求められる特性は、液体を外部に放出しない疎水性及び、酸素を透過させる通気性である。触媒層には既存の材質を用いることができる。触媒層は、少なくとも集電体の一方の面に形成されており、触媒層は、セパレータ4に密接している。
セパレータ4は、電気的に絶縁性、イオン透過性、及び、液浸透性を有する材質で形成される。例えば、不織布、織布、多孔性薄膜等である。
【0024】
図1Aに示すように、セパレータ4は、金属極2及び空気極3と重なる面積よりも大きい面積で形成されることが好ましい。これにより、セパレータ4には、金属極2及び空気極3の端部から外方に突出する突出部4aが設けられる。突出部4aは、電解液パック9から漏出する電解液7と接触する領域である。また、金属極2と空気極3との面積が異なる場合、少なくとも、面積の小さい電極からセパレータ4の一部が突出する形態にできる。また、電解液7が、金属極2を介してセパレータ4に浸透可能な構成であれば、セパレータ4は、金属極2及び空気極3と同じ面積で形成されてもよい。例えば、金属極2には、貫通する穴が設けられており、この穴を通して電解液7がセパレータ4に浸透する構成である場合、セパレータ4は、金属極2及び空気極3と同じ面積で形成され、金属極2、セパレータ4及び空気極3の端部は揃っていてもよい。また、金属極2と空気極3との面積が異なる場合、セパレータ4を、面積の小さい側の電極と同じ面積で形成することもできる。
【0025】
図1Aに示すように、金属空気電池5の表面側に配置された蓋体6bの表面Sは、荷重F1を受ける荷重面(以下、荷重面Sと記載する)である。
【0026】
蓋体6bと金属空気電池5の間に介在する電解液パック9を構成する収容体8は、例えば、樹脂フィルムや紙製等の袋体である。ただし、所定の荷重F1を受けて破壊される構成であれば、収容体8はプラスチックや木製等からなる容器であってもよい。
【0027】
電解液パック9は、蓋体6b及び金属空気電池5に接着等により固定されている。或いは、蓋体6bが可撓性材料で形成され、蓋体6bの端部が保持体6aに固定されることで、電解液パック9が、蓋体6bと金属空気電池5の間に隙間なく挟持される構成では、接着は必要に応じて施してよい。
【0028】
図1Aでは、荷重面Sから電解液パック9に対し圧縮荷重(以下、圧縮荷重F1と記載する)が作用する。「圧縮荷重F1」とは、電解液パック9に対して作用する荷重F1の方向が、電解液パック9を圧縮する、或いは圧し潰す方向に作用する力を指す。
【0029】
電解液パック9に対する圧縮荷重F1の作用により、図1Bに示すように、電解液パック9の収容体8が破れて、電解液7が外部に漏れ出し、セパレータ4に供給される。セパレータ4には、液接触領域となる突出部4aが設けられており、例えば、食塩水である電解液7は、突出部4aから、金属極2と空気極3の間に重なるセパレータ4の中央方向に浸透する。
【0030】
電解液7が、セパレータ4に浸透すると、例えば、金属極2が、Mgであるとき、金属極2側では、下記(1)で示す酸化反応が生じる。また、空気極3においては、下記(2)で示す還元反応が生じる。したがって、金属空気電池5の全体としては、下記(3)に示す反応が起こり、発電(放電)が行われる。
(1)2Mg →2Mg2++4e
(2)O+2HO+4e →4OH
(3)2Mg+O+2HO →2Mg(OH)
【0031】
このように、第1の実施の形態の荷重センサ1では、電解液パック9が荷重面Sから圧縮荷重F1を受けることで、電解液パック9が破壊されて電解液7が金属極2と空気極3との間に供給され、発電する。
【0032】
図6に示すように、本実施の形態における荷重センサ1は、金属空気電池5と、電解液パック9の他、送信部51を有する。例えば、送信部51は無線基板である。本実施の形態では、無線報知を可能とするが、更に、その機能に付随して次のような機能を持たせることも可能である。すなわち、金属空気電池5では、荷重を受けることで電解液7の漏出による電池反応が生じ電圧値が変化する。この電圧変化に基づく検知信号を、送信部51から無線で受信部52に送信する。受信部52では受信した検知信号に基づいて、物体が移動等したことを検知し、用途に応じた動作を起こすことができる。なお、無線通信に限定するものでなく、有線により電圧の変化を検知することもできる。
【0033】
本実施の形態の荷重センサ1は、外部電源を必要とせず、上記のように、例えば、無線或いは有線で、電圧の変化を検知することができる。無線で、金属空気電池5で得られた検知信号を送信部51から受信部52に送る場合、無線方式を限定するものでなく、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi等、既存の方式を用いることができる。
図6に示す通信構成は、図2以降の実施の形態においても適用される。
【0034】
<第2の実施の形態における荷重センサ10の説明>
図2Aは、第2の実施の形態における荷重センサ10の断面図であり、図2Bは、図2Aの荷重センサ10が荷重を受けた後の状態を示す断面図である。図2の荷重センサ10において、図1と同じ部分は図1と同じ符号を付した。
【0035】
図2Aに示す荷重センサ10には、蓋体6bを保持体6aとの間に支持するとともに、圧縮荷重F1が作用する方向(図示下方向)に蓋体6bの移動を許容する支持部材6cが設けられている。そして、電解液パック9は、支持部材6cの内側に配置される。
【0036】
支持部材6cは蓋体6bより剛性が低いか、或いは強度が低い。したがって、支持部材6cは、荷重面Sから圧縮荷重F1を受けて、変形或いは破壊される。例えば、支持部材6cは、弾性体であり、図2Aに示す圧縮荷重F1により、蓋体6bが、支持部材6cを圧縮する方向(図示下方向)に移動する。図2Bは、蓋体6bが図示下方向に移動した状態を示す。蓋体6bの移動に伴い、電解液パック9は、荷重面Sから圧縮荷重F1を受けて、収容体8が破壊され電解液7が外部に漏出する。外部に漏出した電解液7は、金属極2と空気極3の間のセパレータ4に浸透し、発電が開始される。
【0037】
図2Aに示す荷重センサ10では、支持部材6cにより荷重面Sを安定して支持でき、設定した圧縮荷重F1に応じて、支持部材6cが変形或いは破壊することにより、圧縮荷重F1の測定範囲を精度よく定めることができる。
【0038】
<第3の実施の形態における荷重センサ20の説明>
図3Aは、第3の実施の形態における荷重センサ20の断面図であり、図3Bは、図3Aの荷重センサ20が荷重を受けた後の状態を示す断面図である。荷重センサ20において、図1Aに示す荷重センサ10と同じ部材については同じ符号を付した。
【0039】
図3Aに示す荷重センサ20では、蓋体21の表面の荷重面Sが荷重F2を受けた際、図3Bに示すように、蓋体21は、荷重F2を受けた中央付近から図示下方に折れ曲がるように構成されている。
【0040】
蓋体21の両端は、保持体6aとの間に支持部材22を介して支持されている。支持部材22は荷重F2を受けても変形しにくく且つ破壊されない剛性及び強度を有している。したがって、荷重面Sに荷重F2が作用しても、蓋体21の両端は定位置で保持される。
【0041】
図3Aに示す実施の形態では、蓋体21は、第1の蓋片21aと第2の蓋片21bとを有しており、蓋体21の中央部に荷重F2が作用すると、蓋体21は、各蓋片21a、21bの外側端部が定位置に保持されたまま、各蓋片21a、21bの内側端部が下方に移動するように、折れ曲がる。
【0042】
図3Aに示すように、第1の蓋片21a及び第2の蓋片21bの内側端部21cは、外側端部21dよりも厚みが薄くなっている。図3Aでは、第1の蓋片21a及び第2の蓋片21bの各内側端部21cの間に多少隙間が空いているが、第1の蓋片21a及び第2の蓋片21bの各内側端部21cが接触していてもよい。また、第1の蓋片21aと第2の蓋片21bとが一体化していてもよい。
【0043】
図3Aに示すように、電解液パック9が蓋体21に内包されている。電解液パック9は、各蓋片21a、21bを跨ぐように配置される。図3Aに示すように、荷重F2が、各蓋片21a、21bの間に作用すると、各蓋片21a、21bが支持部材22に固定された外側端部21dを支点として下方向に移動し、蓋体21全体から見れば、蓋体21の中央が下方に折れ曲がるように変形する。このような蓋体21の屈曲動作により、図3Bに示すように、蓋体21に支持された電解液パック9は、その収容体8の下部が両側に引っ張られて破れ、電解液7が収容体8の内部から漏出する。そして漏出した電解液7が金属極2と空気極3の間のセパレータ4に浸透し、発電が開始される。
【0044】
図3Aでは、電解液パック9が蓋体21に内包されているが、蓋体21が折れ曲がった際に電解液パック9が破壊されればよいため、電解液パック9の配置を限定するものではない。例えば、電解液パック9を蓋体21の下面に配置してもよい。また、蓋体21そのものが、電解液パック9であってもよい。例えば、一体化された蓋片21a、21bが夫々収容体であり、各収容体に電解液7が収容されている。そして、蓋体21が荷重F2を受け折れ曲がることで蓋片21a、21bの間の接続部分が破れて、電解液7が漏出する。
第3の実施の形態の荷重センサ20は、蓋体21の中央付近に主に荷重F2が作用する用途に適切に使用される。
【0045】
第3の実施の形態の荷重センサ20では、荷重面Sは、折れ曲がり可能な構成であり、荷重F2を受けて、荷重面Sが折れ曲がることで、電解液パック9が破壊されて電解液7が金属極2と空気極3との間に供給され、発電する。
【0046】
<第4の実施の形態における荷重センサ30の説明>
図4Aは、第4の実施の形態における荷重センサ30の断面図であり、図4Bは、図4Aの荷重センサ30が荷重を受けた後の状態を示す断面図である。荷重センサ30において、図1Aに示す荷重センサ10と同じ部材については同じ符号を付した。
【0047】
図4Aに示す荷重センサ30では、蓋体31が、第1の蓋片31aと第2の蓋片31bに分割されている。図4Aに示すように、各蓋片31a、31bの外側端部31dが、保持体6aとの間に支持部材32を介して支持されている。
【0048】
支持部材32は、蓋体31よりも低剛性或いは低強度の材料であり、図4Aに示す荷重F3を受けた支持部材32は、図4Bに示すように、荷重F3が作用する方向に変形或いは破壊される。或いは、蓋体31は、荷重F3を受けた方向にスライド可能に支持されていてもよい。
【0049】
図4Aに示すように、電解液パック9が蓋体31に内包されている。電解液パック9は、第1の蓋片31aから第2の蓋片31bに跨いで配置されている。
【0050】
図4Aに示すように、荷重面Sが荷重F3を受けて蓋体31の両側が引っ張られると支持部材32の変形や破壊し、或いは、支持部材32の表面をスライド移動することで、一対の蓋片31a、31bが互いに離れる方向に移動する。これにより、電解液パック9に対し荷重面Sから引張荷重F3が作用し、図4Bに示すように、電解液パック9が破壊されて電解液7が漏出する。「引張荷重」とは、電解液パック9に対する荷重F3が作用する方向が、該電解液パック9を引き伸ばす方向に作用する力を指す。そして漏出した電解液7が金属極2と空気極3の間のセパレータ4に浸透し、発電が開始される。
【0051】
図4Aに示す蓋体31は、第1の蓋片31aと第2の蓋片31bに分割されておらず一体化していてもよい。この場合、例えば、第1の蓋片31aの内側端部31cと第2の蓋片31bの内側端部31cとが外側端部1dより薄い厚みで形成されており、引張荷重F3により各蓋片31a、31bの内側端部31c間が離れる方向に引っ張られて分断されることで、電解液パック9の収容体8が破壊されて電解液7が漏出する。
【0052】
また、蓋体31が電解液パックそのものであり、引張荷重F3により第1の蓋片31aと第2の蓋片31bの間の接続部分が破壊されることで、電解液7が漏出する構成であってもよい。
また、図4Aのように電解液パック9は蓋体31に内包されず、蓋体31の下面側に配置されるなどしてもよい。
【0053】
このように、第4の実施の形態の荷重センサ30では、電解液パック9が荷重面Sから引張荷重F3を受けることで、電解液パック9が破壊されて電解液7が金属極2と空気極3との間に供給され、発電する。
【0054】
<第5の実施の形態における荷重センサ40の説明>
図5Aは、第5の実施の形態における荷重センサ40の断面図であり、図5Bは、図5Aの荷重センサ40が荷重を受けた後の状態を示す断面図である。荷重センサ40において、図1Aに示す荷重センサ10と同じ部材については同じ符号を付した。
【0055】
図5Aに示す荷重センサ40は、下から金属極2、セパレータ4及び空気極3の順に積層された金属空気電池5が設けられ、金属空気電池5は筐体41内に配置される。図5Aに示すように、空気極3の表面は外部に露出した状態であり、空気極3の表面が荷重面Sとされている。
図5Aに示すように、金属空気電池5と筐体41の間に電解液パック9が配置されている。
【0056】
図5Aに示すように、荷重面Sに荷重F1が作用すると、この荷重F1は、電解液パック9に対して圧縮荷重F1として作用する。これにより、電解液パック9が破壊されて電解液7が漏出し、金属極2と空気極3との間のセパレータ4に供給され発電される。
なお、図5Aでは、空気極3の表面が荷重面Sであるが、金属極2の表面が荷重面Sとなるように構成してもよい。
【0057】
<本実施の形態の効果について>
以上説明した各実施の形態の荷重センサでは、電解液パック9は荷重面Sから荷重を受けることで電解液7が漏出して、金属極2と空気極3との間に供給されて発電する。このように本実施の形態では、電解液パック9が荷重面Sから荷重を受けて電解液7を漏出するシンプルな構造で構成でき、且つ小型化、薄型化された自己発電型センサを実現できる。
荷重により電解液パック9が破壊等されて電解液7が漏出する構成であれば、電解液パック9に作用する荷重は、圧縮荷重でも引張荷重でもどちらでもよい。
【0058】
荷重面Sは、金属極2の表面、空気極3の表面、或いは金属空気電池5以外の部材の表面であってもよい。ここで、金属極2の表面或いは、空気極3の表面を荷重面Sとすることで、荷重センサをより効果的に薄型化できる。一方、金属空気電池5以外の部材の表面を荷重面Sとする形態としては、金属空気電池5を収容する筐体の表面を例示できる。筐体の表面を荷重面Sとすることで、金属空気電池5を外部から適切に保護でき、また測定荷重範囲を精度よく定めることが可能になる。また、筐体の表面を荷重面Sとする構成では、電解液パック9を筐体と金属空気電池5との間に配置でき、電解液パック9を適切に保持でき、また電解液パック9に圧縮荷重或いは引張荷重を適切に作用させることができる。
【0059】
<荷重センサの用途について>
本実施の形態における荷重センサは、様々な用途に適用できる。例えば、物体の移動を検知する用途に適用できる。具体的には、ドアの開閉検知等による防犯センサ、生き物の捕獲センサ、断層や地滑り等の地質変化や雪崩の検知センサ等に使用できる。
物体が移動したことにより荷重が作用して電解液パック9から電解液7が漏出し、発電が開始される。
【0060】
或いは、物体が変化したことを検知する用途に適用できる。具体的には、ドローン等の物体の墜落位置の検知センサ、構造物のひび割れやズレなどの経時変化の検知センサ等に使用できる。
物体の変形や破壊等に基づく変化により荷重が作用して電解液パック9から電解液7が漏出し、発電が開始される。
【0061】
又は、物体の有無を検知する用途に適用できる。具体的には、侵入センサ、盗難センサ等の防犯センサ等に適用できる。
例えば、物体が荷重面Sに乗ったり、或いは荷重面Sに乗っていた物体が無くなることにより荷重が作用して電解液パック9から電解液7が漏出し、発電が開始される。
【0062】
又は、スイッチの押下を検知する用途に適用できる。具体的には、山岳や海洋における遭難時のビーコンや、非常用ボタン等に使用できる。
スイッチが押されることで、荷重が作用して電解液パック9から電解液7が漏出し、発電が開始される。
【0063】
上記用途において、人への報知は、有線、無線、音、光等で行うことができる。なお、荷重の作用方向や大きさ等に応じて、図1図5に示した各実施の形態の荷重センサを適宜選択できる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の荷重センサによれば、物体の移動等の検知センサとして、有効に適用することが出来る。特に、本発明では、小型で且つシンプルな構造の荷重センサを実現でき、且つ荷重センサは、外部電源を必要としない。したがって、使い勝手に優れ、対象物や場所を問わず、簡単に使用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1、10、20、30、40 :荷重センサ
2 :金属極
3 :空気極
4 :セパレータ
4a :突出部
5 :金属空気電池
6、41 :筐体
6a :保持体
6b、21 :蓋体
6c、22、32 :支持部材
7 :電解液
8 :収容体
9 :電解液パック
21、31 :蓋体
21c、31c :内側端部
21d、31d :外側端部
51 :送信部
52 :受信部
F1~F3 :圧縮荷重
S :荷重面
図1
図2
図3
図4
図5
図6