(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133667
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
B05C 5/02 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
B05C5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038773
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岸谷 征典
【テーマコード(参考)】
4F041
【Fターム(参考)】
4F041AA11
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA05
4F041BA10
4F041BA11
4F041BA32
4F041BA35
4F041BA36
4F041BA53
4F041BA59
4F041CA03
4F041CA13
4F041CA17
4F041CA18
4F041CA23
(57)【要約】
【課題】従来よりも塗布液を精度よく塗布することができる塗布装置を提供することを目的としている。
【解決手段】長尺方向に搬送される基材に塗布液を塗布して塗膜を形成する塗布装置であって、基材の幅方向に長く塗布液を溜める空間であり供給路を介して塗布液が供給されるマニホールドと、前記マニホールドと繋がった前記幅方向に長いスリットと、前記マニホールドから前記スリットを経由して塗布液を吐出する吐出口と、を有し、搬送される基材に対して塗布液を塗布する塗布部と、前記供給路内に配置され、塗布液の供給と停止を切り替える供給バルブと、前記スリットにおける塗布液の流量を調節する流量調節手段と、を備えており、前記流量調節手段は、塗布液の流路において前記供給バルブよりも下流に位置する部分と連通するよう設けられ、塗布液が充填される充填部と、前記充填部内に出し入れされ、前記充填部の容積を変化させることで、前記スリットにおける塗布液の流量を調節する容積調節部と、を有する構成とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺方向に搬送される基材に塗布液を塗布して塗膜を形成する塗布装置であって、
基材の幅方向に長く塗布液を溜める空間であり供給路を介して塗布液が供給されるマニホールドと、前記マニホールドと繋がった前記幅方向に長いスリットと、前記マニホールドから前記スリットを経由して塗布液を吐出する吐出口と、を有し、搬送される基材に対して塗布液を塗布する塗布部と、
前記供給路の途中に配置され、塗布液の供給と供給の停止を切り替える供給バルブと、
前記スリットにおける塗布液の流量を調節する流量調節手段と、を備えており、
前記流量調節手段は、塗布液の流路において前記供給バルブよりも下流に位置する部分と連通するよう設けられ、塗布液が充填される充填部と、
前記充填部内に出し入れされ、前記充填部の容積を変化させることで、前記スリットにおける塗布液の流量を調節する容積調節部と、を有することを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記流量調節手段は、複数の前記充填部と、各々の前記充填部の容積を変化させる複数の容積調節部と、を有し、
各々の前記充填部が、前記幅方向に配列されることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記流量調節手段は、前記塗布部により形成する塗膜の始端である塗布開始部を形成するとき、前記幅方向の端部寄りに配置された各々の前記充填部内から容積調節部の少なくとも一部を出すことで前記充填部の容積を大きくし、
前記塗布部により形成する塗膜の終端である塗布終了部を形成するとき、前記幅方向の中央部寄りに配置された各々の前記充填部内から容積調節部の少なくとも一部を出すことで前記充填部の容積を大きくすることを特徴とする請求項2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記充填部が、前記スリットに連通して設けられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の塗布装置。
【請求項5】
前記充填部が、前記スリットにおいて前記マニホールドよりも前記吐出口寄りの位置に連通して設けられることを特徴とする請求項4に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に搬送される基材の表面に、塗布液を塗布して塗膜を形成する塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、リチウムイオン電池の電池用極板は、ロールトゥロールで搬送される基材に活物質、バインダー、導電助剤および溶媒を含むスラリー(以下、塗布液)が塗布されて製造されている。
【0003】
近年、リチウムイオン電池の電池用極板の製造において、生産性向上のための高速化、塗布液のロス軽減のために間欠塗布方式による塗布装置が提案されている(たとえば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に示す塗布装置は、塗布液を塗布する塗布部と、塗布部に塗布液を供給する供給手段と、を有し、供給手段から塗布部に供給された塗布液が塗布部の内部のマニホールドおよびスリットを経由して、基材に対向する吐出口から吐出される。
【0005】
また、供給手段は、塗布液が貯留されたタンクと、タンクとマニホールドとを接続する供給路と、供給路の途中に設けられ、マニホールドに塗布液を供給する供給バルブと、塗布液を再びタンクに回収する回収バルブと、を有している。特許文献1に示す塗布装置では、これら2つの切替バルブを切り替えることによって、間欠塗布を行っている。これにより、基材上に塗膜が形成された塗布領域が形成される。なお、以下の説明では、基材の搬送方向における各々の塗布領域間の塗膜が形成されていない部分を不塗布領域と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の塗布装置では、塗布液を精度よく塗布することができない場合があった。具体的には、2つの切替バルブは、供給路に設けられているため、吐出口と離れた位置で塗布部による塗布液の塗布量を制御しなければならず、塗布量の制御が困難である。そのため、形成する塗膜を所望の形状にすることができない場合がある。
【0008】
特に、塗布領域が始まる塗膜の始端である塗布開始部と、塗布領域から不塗布領域になる塗膜の終端である塗布終了部を形成するときに、塗布部による塗布液の塗布量が塗布すべき塗布量になるように素早く制御を行う必要がある。しかし、この制御を行うための2つの切り替えバルブが吐出口から離れた位置に設けられているため、塗布部による塗布液の塗布量の制御が間に合わず、基材上に形成された塗膜の塗布開始部と塗布終了部の形状を所望の形状にすることができない。すなわち、塗布液を精度よく塗布することができないため、基材上に所望の形状を有する塗膜を形成することができない。
【0009】
本発明は、上記問題を鑑みてされたものであり、従来よりも塗布液を精度よく塗布することができる塗布装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明の塗布装置は、長尺方向に搬送される基材に塗布液を塗布して塗膜を形成する塗布装置であって、基材の幅方向に長く塗布液を溜める空間であり供給路を介して塗布液が供給されるマニホールドと、前記マニホールドと繋がった前記幅方向に長いスリットと、前記マニホールドから前記スリットを経由して塗布液を吐出する吐出口と、を有し、搬送される基材に対して塗布液を塗布する塗布部と、前記供給路の途中に配置され、塗布液の供給と供給の停止を切り替える供給バルブと、前記スリットにおける塗布液の流量を調節する流量調節手段と、を備えており、前記流量調節手段は、塗布液の流路において前記供給バルブよりも下流に位置する部分と連通するよう設けられ、塗布液が充填される充填部と、前記充填部内に出し入れされ、前記充填部の容積を変化させることで、前記スリットにおける塗布液の流量を調節する容積調節部と、を有することを特徴としている。
【0011】
上記塗布装置によれば、流量調節手段を備え、その流量調節手段が塗布液の流路において供給バルブよりも下流に位置する部分と連通するよう設けられた充填部の容積を容積調節部により調節することによって、より吐出口に近い位置でスリットにおける塗布液の流量を調節することができるため、従来よりも塗布液を精度よく塗布することができる。
【0012】
また、前記流量調節手段は、複数の前記充填部と、各々の前記充填部の容積を変化させる複数の容積調節部と、を有し、各々の前記充填部が、前記幅方向に配列される構成としてもよい。
【0013】
この構成によれば、幅方向に配列するよう設けられた複数の充填部のそれぞれの容積を容積調節手段により変化させている。これにより、スリットにおける塗布液の流量を基材の幅方向にわたって調節することができるため、塗布液をより精度よく塗布することができる。
【0014】
また、前記流量調節手段は、前記塗布部により形成する塗膜の始端である塗布開始部を形成するとき、前記幅方向の端部寄りに配置された各々の前記充填部内から容積調節部の少なくとも一部を出すことで前記充填部の容積を大きくし、前記塗布部により形成する塗膜の終端である塗布終了部を形成するとき、前記幅方向の中央部寄りに配置された各々の前記充填部内から容積調節部の少なくとも一部を出すことで前記充填部の容積を大きくする構成としてもよい。
【0015】
この構成によれば、基材の幅方向における塗膜の幅を塗布開始部と塗布終了部とで均一にすることができる。
【0016】
また、前記充填部が、前記スリットに連通して設けられる構成としてもよい。
【0017】
この構成によれば、より吐出口の近くでスリットにおける塗布液の流量を調節することができるため、塗布液を精度よく塗布することができる。
【0018】
また、各々の前記充填部が、前記スリットにおいて前記マニホールドよりも前記吐出口寄りの位置に連通して設けられる構成としてもよい。
【0019】
この構成によれば、より吐出口の近くでスリットにおける塗布液の流量を調節することができるため、塗布液をより精度よく塗布することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の塗布装置によれば、従来よりも塗布液を精度よく塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態における塗布装置を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態における塗布装置を概略的に示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態における塗布装置の塗布動作を説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施形態における流量調節手段を示す拡大図である。
【
図5】本発明の一実施形態における塗布装置の塗布動作を説明するための図である。
【
図6】従来の塗布装置により形成された塗膜の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態における塗布装置について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、直交座標系の3軸をX、Y、Zとし、水平方向をX軸方向、Y軸方向と表現し、XY平面と垂直な方向(つまり、鉛直方向)をZ軸方向と表現する。
【0023】
図1は、本実施形態における塗布装置100を概略的に示す図であり、塗布開始部Sの形成時を示している。
図2は、本実施形態における塗布装置100を概略的に示す図であり、塗布終了部Eの形成時を示している。
図3は、本実施形態における塗布装置100の動作を説明するための図であり、
図3(a)は塗布開始部Sの形成時における
図1で示す塗布部2のA-A矢視図であり、
図3(b)は、塗布終了部Eの形成時における
図2で示す塗布部2のB-B矢視図である。
図4は、本実施形態における流量調節手段4を示す拡大図であり、
図4(a)は塗布開始部Sの形成時の動作、
図4(b)は、塗布終了部Eの形成時の動作を示している。
図5は、本実施形態における塗布装置100の動作を説明するための図であり、
図5(a)は、供給バルブ33、回収バルブ35、ボリュームコントロールバルブ4a、4b、およびボリュームコントロールバルブ4c、4dのそれぞれの動作、
図5(b)は、基材Wに形成される塗膜Mの状態を示している。
【0024】
本実施形態における塗布装置100は、
図1に示すように基材Wを搬送する搬送手段1と、基材Wに塗布液Lを塗布する塗布部2と、塗布部2に塗布液Lを供給する供給手段3と、塗布部2が有するスリット22における塗布液Lの流量を調節する流量調節手段4と、を備えている。
【0025】
本実施形態における塗布装置100は、搬送手段1により搬送される基材Wの所定面に塗布部2により塗布液Lを塗布し、塗膜Mを形成する。
【0026】
本実施形態における基材Wは、リチウムイオン電池などの電池の電池用極板となる金属箔であり、正極を構成する場合はアルミニウム箔などが用いられ、負極を構成する場合は銅箔などが用いられる。この基材Wは、一方向に長い帯状のシートであり、搬送手段1により搬送される。
【0027】
本実施形態における塗布液Lは、たとえば、活物質、バインダー、導電助剤、および溶媒を含むスラリーのことであり、リチウムイオン電池などの電池の電池用極板の材料(所謂、電極材料)として用いられる。この塗布液Lを基材Wに塗布することで、基材W上に塗膜が形成される。
【0028】
本実施形態における搬送手段1は、基材Wを搬送するためのものであり、複数のロールが回転することにより基材Wを搬送するロールツーロール方式を採用している。なお、本実施形態では、塗布液Lを塗布する場所に基材Wを案内する塗布ロール11のみを
図1および
図2に示している。また、塗布ロール11は、塗布部2と対向し、後述する吐出口23と所定の間隔を空けて配置される。そのため、塗布部2と一定の間隔を保ちながら基材Wを搬送することができる。
【0029】
本実施形態における塗布部2は、搬送される基材Wに塗布液Lを塗布して塗膜Mを形成するためのものである。塗布部2は、基材Wの幅方向(
図1におけるY軸方向)に沿って長く形成されている。ここで、前述した塗布ロール11が、塗布部2に対して、塗布ロール11の回転軸方向と、塗布部2の幅方向とが平行になるよう所定の間隔を空けて配置される。なお、以下の説明では、基材Wの幅方向を幅方向と呼ぶ。
【0030】
また、塗布部2は、
図1に示すように後述する供給路32に接続され、幅方向に長く塗布液Lを溜める空間であるマニホールド21と、このマニホールド21と繋がった幅方向に広いスリット22と、幅方向においてスリット22と同一の長さで開口し、塗布液Lを吐出する吐出口23により構成される。これにより、マニホールド22に溜められた塗布液Lがスリット22を経由して、吐出口23から基材Wに吐出される。
【0031】
また、吐出口23は、塗布ロール11と基材Wを挟んで対向している。すなわち、吐出口23は基材Wの表面側で基材Wと対向している。これにより、吐出口23と基材Wとの間隔を一定に保った状態で、基材Wの表面側に塗布液Lを塗布することができる。
【0032】
本実施形態における供給手段3は、塗布部2に塗布液Lを供給するためのものである。この供給手段3は、
図1に示すように塗布液Lを貯留するタンク31と、タンク31とマニホールド21とを接続する供給路32と、塗布液Lを送液する図示しない送液ポンプと、供給路32の開閉を制御する供給バルブ33と、供給路32とタンク31に接続される回収路34と、回収路34の開閉を制御する回収バルブ35と、を有している。
【0033】
タンク31は、塗布液Lを貯留するためのものである。また、送液ポンプは、塗布液Lを圧送するためのものであり、たとえば、ギアポンプなどである。
【0034】
供給路32は、
図1に示すようにマニホールド21とタンク31とを接続し、タンク31からマニホールド21へ塗布液Lが送液ポンプにより送液される流路である。なお、本実施形態における供給路32は、幅方向におけるマニホールド21の中央部に接続されている。また、供給路32の途中に供給バルブ33が配置される。
【0035】
供給バルブ33は、供給路32の開閉を制御して塗布液Lの供給と供給の停止を切り替えるためのものであり、
図1に示すように弁体33aと、シャフト33bと、弁体駆動手段33cと、を有している。
【0036】
弁体33aは、供給路32の途中に配置され、供給路32を開閉するものであり、シャフト33bの先端とつながっている。また、弁体駆動手段33cは、弁体33aの位置を変化させるための駆動源であり、たとえば、エアシリンダーや電動モーターなどである。
【0037】
この弁体駆動手段33cは、
図1および
図2に示すように弁体33aにつながるシャフト33bを供給路32の開閉方向に移動させることによって、弁体33aにより供給路32を開閉する。なお、弁体駆動手段33cの制御は、図示しない制御部により行われる。この制御部はたとえば、汎用のコンピューターのことである。
【0038】
これら構成により、供給バルブ33は、塗布部2への塗布液Lの供給と供給の停止を切り替えることができる。この塗布部2への塗布液Lの供給と供給の停止を断続的に行うことで、搬送手段1により搬送される基材Wに塗布液Lを間欠的に塗布することができる。ここでいう、間欠的に塗布するとは、
図5(b)に示すように基材W上に塗膜Mが形成された塗布領域Tを断続的に形成することである。なお、以下の説明では、基材Wの搬送方向(
図1におけるX軸方向)における塗布領域T間の塗膜Mが形成されていない部分を不塗布領域Nと呼ぶ。
【0039】
回収路34は、
図1に示すように塗布液Lの流路において供給バルブ33よりも上流に位置する供給路32とタンク31に接続され、供給路32からタンク31へ塗布液Lが送液ポンプにより送液される流路である。また、回収路34の途中に回収バルブ35が配置される。
【0040】
回収バルブ35は、回収路34の開閉を制御して塗布液Lの回収と回収の停止を切り替えるためのものであり、
図1に示すように弁体35aと、シャフト35bと、弁体駆動手段35cと、を有している。
【0041】
弁体35aは、回収路34の供給路32との接続部に配置され、回収路34を開閉するものであり、シャフト35bの先端とつながっている。また、弁体駆動手段35cは、弁体35aの駆動源であり、たとえば、エアシリンダーや電動モーターなどである。
【0042】
この弁体駆動手段35cは、
図1および
図2に示すように弁体35aにつながるシャフト35bを回収路34の開閉方向に移動させることによって、弁体35aにより回収路34を開閉する。この弁体駆動手段33cの制御は、前述した制御部により行われる。
【0043】
これら構成により、回収バルブ35は、タンク31への塗布液Lの回収と回収の停止を切り替えることができる。
【0044】
また、回収バルブ35による回収路34の開閉動作は、
図5(a)に示すように供給バルブ33による供給路32の開閉動作に合わせて行う。具体的には、
図1および
図2に示すように回収バルブ35は、供給バルブ33により供給路32を開状態にするときに回収路34を閉状態とし、供給バルブ33により供給路31を閉状態にするときに回収路34を開状態とする。
【0045】
これにより、供給バルブ33により供給路32を閉状態にするときに供給バルブ33よりも上流に位置する供給路32内の塗布液Lの内圧が高くなることを防ぐことができる。そのため、供給バルブ33により供給路32を閉状態から開状態に切り替えたときに塗布液Lが塗布部2に多く供給されることを防ぐことができ、基材Wに形成される塗膜Mの塗布領域Tが始まる始端である塗布開始部S(
図5(b)を参照)が盛り上がることを防ぐことができる。
【0046】
また、供給バルブ33により供給路32を開状態から閉状態に切り替えたときに、供給路32から塗布部2に塗布液Lが漏れ出ることを防ぐことができる。そのため、塗膜Mの塗布領域Sから不塗布領域Nになる終端を塗布終了部E(
図5(b)を参照)において塗布液Lの液切れがよくなり、不塗布領域Nに塗布液Lが付着することを防ぐことができる。
【0047】
本実施形態における塗布装置100には、スリット22における塗布液Lの流量を調節する流量調節手段4であるボリュームコントロールバルブ4a、4b、4c、4dが
図3(a)に示すようにスリット22の幅方向にわたって配列するよう設けられている。
【0048】
各々のボリュームコントロールバルブ4は、
図3(a)および
図4(a)に示すように塗布液Lが充填される空間である充填部41と、充填部41の容積を変化させる容積調節手段42と、を有している。
【0049】
充填部41は、
図3(a)に示すようにスリット22と開口を通じて連通するよう設けられた空間であり、スリット22に流れる塗布液Lが流入し、充填されるようになっている。なお、充填部41は、
図1に示すようにマニホールド22よりも吐出口23寄りの位置でスリット22に連通する。
【0050】
容積調節手段42は、充填部41の容積を変化させるためのものであり、
図4(a)に示すように容積調節部42aと、シャフト42bと、容積調節部駆動手段42cと、を有している。
【0051】
容積調節部42aは、充填部41内に出し入れされることで、充填部41の容積を調節するためのものであり、
図4(a)に示すようにシャフト42bの先端とつながっている。この容積調節部42aは、充填部41の内壁面と密接しつつ移動するものである。また、容積調節部42aは、略円柱状の部材で構成され、その外周部に図示しないリング状のパッキンが取り付けられており、充填部41内に出し入れされる方向に移動できる構成をしている。
【0052】
容積調節部駆動手段42cは、容積調節部42aの駆動源であり、たとえば、エアシリンダーや電動モーターなどである。この容積調節部駆動手段42cは、
図4(a)および
図4(b)に示すように充填部41内に容積調節部42aを出し入れする方向に容積調節部42aにつながるシャフト42bを移動させることによって、容積調節部42aの位置を変化させる。これにより、充填部41の容積を調節する。この容積調節部駆動手段42cの制御は、前述した制御部により行われる。
【0053】
このようにボリュームコントロールバルブ4は、充填部41の容積を調節することで、スリット22における塗布液Lの流量を調節する。具体的には、
図4(a)に示すボリュームコントロールバルブ4のように容積調節部42aが一部を残して充填部41内から出た初期位置から、
図4(b)に示すボリュームコントロールバルブ4のように容積調節部42aのほとんどが充填部41内に入った位置に移動することで、容積調節部42aの位置が変化した分(
図4(a)の鎖線部C)だけ充填部41の容積が小さくなる。この容積が小さく変化した分だけ、充填部41に充填されていた塗布液Lがスリット22に戻されるため、ボリュームコントロールバルブ4が設けられた位置の近傍に位置するスリット22における塗布液Lの流量が増える。
【0054】
また、
図4(b)に示すボリュームコントロールバルブ4のように容積調節部42aのほとんどが充填部41内に入った位置から
図4(a)に示すボリュームコントロールバルブ4のように容積調節部42aが一部を残して充填部41内から出る位置に移動することで、容積調節部42aの位置が変化した分(
図4(a)の鎖線部C)だけ充填部41の容積が大きくなる。この容積が大きく変化した分だけ、充填部42aにスリット22から塗布液Lが充填されるため、ボリュームコントロールバルブ4が設けられた位置の近傍に位置するスリット22における塗布液Lの流量が減る。
【0055】
なお、容積調節部駆動手段42cによる容積調節部42aの位置の変化量や、容積調節部42aを移動する速度は、基材Wに形成する塗膜Mの形状に応じて適宜変更される。
【0056】
これら構成により、ボリュームコントロールバルブ4は、スリット22における塗布液Lの流量を調節できる。そして、スリット22においてボリュームコントロールバルブ4により流量を調節された塗布液Lが吐出口23から吐出される。すなわち、ボリュームコントロールバルブ4は、塗布部2による塗布液Lの塗布量を調節する。
【0057】
また、ボリュームコントロールバルブ4は、前述したようにスリット22の幅方向わたって配列するよう複数設けられているため、スリット22における塗布液Lの流量を幅方向にわたって調節することができるようになっている。そして、各々のボリュームコントロールバルブ4によりスリット22の幅方向にわたって流量を調節された塗布液Lが吐出口23から吐出される。すなわち、各々のボリュームコントロールバルブ4は、塗布部2による塗布液Lの塗布量を幅方向にわたって調節する。
【0058】
以下に本実施形態における塗布装置100の動作について具体的に説明する。
【0059】
まず、塗布装置100は、塗布部2によって搬送手段1により搬送される基材Wに対して塗布液Lを塗布し、塗布開始部Sを形成する。具体的には、供給バルブ33が、
図2および
図5(a)に示すように閉状態の供給路32を
図1および
図5(a)に示すように開状態にし、送液ポンプによりタンク31から供給路32を通じて塗布液Lをマニホールド21に供給する。そして、マニホールド21に供給された塗布液Lがスリット22を経由して吐出口23から吐出される。
【0060】
ここで、供給路32を開閉する供給バルブ33の動作(以下、供給バルブ33の動作と呼ぶ)と同時に回収バルブ35は、
図2および
図5(a)に示すように開状態の回収路34を
図1および
図5(a)に示すように閉状態にする。
【0061】
また、供給バルブ33の動作および回収路34を開閉する回収バルブ35の動作(以下、回収バルブ35の動作と呼ぶ)と同時に各々のボリュームコントロールバルブ4は、スリット22における塗布液Lの流量を調節する。
【0062】
具体的には、
図3(a)および
図3(b)に示すようにスリット22の幅方向の端部寄り設けられたボリュームコントロールバルブ4a、4bと、スリット22の幅方向の中央部寄りに設けられたボリュームコントロールバルブ4c、4dのそれぞれの充填部41の容積を調節することで、スリット22における塗布液Lの流量を幅方向にわたって調節する。
【0063】
より具体的には、ボリュームコントロールバルブ4a、4bは、
図3(b)および
図5(a)に示すように容積調節部42aのほとんどが充填部41内に入った初期位置から、
図3(a)および
図5(a)に示すように容積調節部駆動手段42cにより容積調節部42aが一部を残して充填部41内から出る位置に容積調節部42aを移動させる。
【0064】
これにより、容積調節部42aが初期位置に位置していたときよりも充填部41の容積が大きくなり、この充填部41の容積が大きくなった分の塗布液Lがスリット22から充填部41に充填される。したがって、ボリュームコントロールバルブ4a、4bが設けられた位置の近傍に位置するスリット22の幅方向における端部とその近傍の塗布液Lの流量が減る。
【0065】
そして、ボリュームコントロールバルブ4c、4dは、
図3(b)および
図5(a)に示すように容積調節部42aが一部を残して充填部41内から出た初期位置から、
図3(a)および
図5(a)に示すように容積調節部駆動手段42cにより容積調節部42aのほとんどが充填部41内に入る位置に容積調節部42aを移動させる。
【0066】
これにより、容積調節部42aが初期位置に位置していたときよりも充填部41の容積が小さくなり、この充填部41の容積が小さくなった分の塗布液Lが充填部41からスリット22に戻される。したがって、ボリュームコントロールバルブ4c、4dが設けられた位置の近傍に位置するスリット22の幅方向における中央部とその近傍の塗布液Lの流量が増える。
【0067】
以上により、供給バルブ33により供給路32が開状態になり、塗布部2による塗布液Lの塗布が開始されるまでに各々のボリュームコントロールバルブ4によりスリット22の幅方向にわたって流量を調節された塗布液Lが吐出口23から吐出される。これにより、
図5(b)に示すように塗布開始部Sが形成される。
【0068】
その後、塗布装置100は、
図5(a)に示すように供給バルブ33、回収バルブ35、および各々のボリュームコントロールバルブ4の状態を維持しながら塗布部2による基材Wへの塗布液Lの塗布を続けて塗膜Mを形成していく。
【0069】
次に、塗布装置100は、塗布部2による基材Wへの塗布液Lの塗布を停止し、塗布終了部Eを形成する。具体的には、供給バルブ33が
図1および
図5(a)に示すように開状態の供給路32を
図2および
図5(a)に示すように閉状態にし、塗布部2への塗布液Lの供給を停止する。これにより、塗布部2による基材Wへの塗布液Eの塗布を停止する。
【0070】
ここで、供給バルブ33の動作と同時に回収バルブ35は、
図1および
図5(a)に示すように閉状態の回収路34を
図2および
図5(a)に示すように開状態にし、供給路32における塗布液Lを回収する。
【0071】
また、供給バルブ33の動作および回収バルブ35の動作と同時に各々のボリュームコントロールバルブ4は、スリット22における塗布液Lの流量を調節する。
【0072】
具体的には、ボリュームコントロールバルブ4a、4bは、
図3(a)および
図5(a)に示すように容積調節部42aが一部を残して充填部41内から出た初期位置から、
図3(b)および
図5(a)に示すように容積調節部駆動手段43cにより容積調節部42aのほとんどが充填部41内に入る位置に容積調節部42aを移動させる。
【0073】
これにより、容積調節部42aが初期位置に位置していたときよりも充填部41の容積が小さくなり、この充填部41の容積が小さくなった分の塗布液Lが充填部41からスリット22に戻される。したがって、ボリュームコントロールバルブ4a、4bが設けられた位置の近傍に位置するスリット22の幅方向における端部とその近傍の塗布液Lの流量が増える。
【0074】
そして、ボリュームコントロールバルブ4c、4dは、
図3(a)および
図5(a)に示すように容積調節部42aのほとんどが充填部41内に入った初期位置から、
図3(b)および
図5(a)に示すように容積調節部駆動手段42cにより一部を残して容積調節部42aが充填部41内から出る位置に容積調節部42aを移動させる。
【0075】
これにより、容積調節部42aが初期位置に位置していたときよりも充填部41の容積が大きくなり、この充填部41の容積が大きくなった分の塗布液Lがスリット22から充填部41に充填される。したがって、ボリュームコントロールバルブ4c、4dが設けられた位置の近傍に位置するスリット22の幅方向における中央部とその近傍の塗布液Lの流量が減る。
【0076】
以上により、供給バルブ33により供給路32が閉状態になり、塗布部2による塗布液Lの塗布が完全に停止するまでの間に各々のボリュームコントロールバルブ4によりスリット22の幅方向にわたって流量を調節された塗布液Lが吐出口23から吐出される。これにより、
図5(b)に示すように塗布終了部Eが形成される。そして、塗布部2による基材Wへの塗布液Lの塗布が停止する。
【0077】
そして、これら塗布装置100の動作を
図5(a)に示すように断続的に行うことで、塗布部2は基材Wに塗布液Lを間欠的に塗布する。これにより、
図5(b)に示すように基材Wに塗膜Mが断続的に形成される。
【0078】
このように上記実施形態における塗布装置100によれば、従来よりも塗布液Lを精度よく塗布することができる。具体的には、塗布装置100では、流量調節手段4であるボリュームコントロールバルブ4をスリット22に連通するよう設けているため、より吐出口に近い位置で塗布液Lの流量を調節することができる。そのため、供給バルブ33による供給路32の開閉動作のみによってスリット22における塗布液Lの流量を調節していた従来の塗布装置よりも塗布部2による塗布液Lの塗布量を精度よく制御することができる。これにより、基材Wに形成される塗膜Mを所望の形状に形成しやすくなる。すなわち、塗布装置100は、従来よりも塗布液Lを精度よく塗布することができる。
【0079】
また、従来よりも吐出口23に近い位置で塗布部2による塗布液Lの塗布の開始と停止の補助を行うことができる。具体的には、塗布開始部Sにおける塗膜Mの盛り上がりや、塗布終了部Eでの塗布液Lの引きずりを防ぎやすくなる。
【0080】
また、ボリュームコントロールバルブ4が、塗布部2の高さ方向に狭いスリット22と連通して設けられていることによって、ボリュームコントロールバルブ4がマニホールド21や供給路32に設けられるよりも塗布部2による塗布液Lの塗布量を応答良く制御することができる。
【0081】
また、複数のボリュームコントロールバルブ4が、幅方向に配列されるように設けられているため、スリット22における塗布液Lの流量を幅方向にわたって調節することができる。そのため、塗布部2による塗布液Lの塗布量をより精度よく制御することができ、基材Wに形成する塗膜Mを所望の形状に形成しやすくなる。
【0082】
また、本実施形態における塗布装置100によれば、基材Wに形成する塗布開始部Sおよび塗布終了部Eを従来よりも精度よく形成することができる。
【0083】
具体的に説明する。塗布装置100は、塗布開始部Sを形成するときに、供給バルブ33により供給路32を閉状態から開状態に、回収バルブ35により回収路34を開状態から閉状態にすることによって、塗布部2に塗布液Lを供給して塗布液Lを基材Wに塗布している。ここで、従来の塗布装置では、塗布部2に供給された塗布液Lがスリット22の幅方向の中央部から端部に向かって広がりながら吐出口23へ送液される。
【0084】
そのため、塗布開始時点では、スリット22の幅方向の端部を流れる塗布液Lが吐出口23に早く到達してしまい、基材Wに塗布されてしまう。これにより、塗布開始部Sが、
図6の鎖線Dで示すような弓形の形状に形成されてしまう。
【0085】
これに対して、本実施形態における塗布装置100では、供給バルブ33の動作および回収バルブ35の動作と同時に、ボリュームコントロールバルブ4a、4bのそれぞれは、各々が設けられた位置と近傍に位置するスリット22の幅方向の端部とその近傍の塗布液Lの流量を減らし、ボリュームコントロールバルブ4c、4dのそれぞれは、各々が設けられた位置と近傍に位置するスリット22の幅方向の中央部とその近傍の塗布液Lの流量を増やしている。
【0086】
そのため、塗布開始時点で、スリット22における塗布液Lの流量を幅方向で均一にすることができる。これにより、吐出口23から吐出される塗布液Lが幅方向で均一になり、塗布開始部Sが弓形の形状に形成されることを防ぐことができる。
【0087】
一方、塗布装置100は、塗布終了部Eを形成するときに、供給バルブ33により供給路32を開状態から閉状態に、回収バルブ35により回収路34を閉状態から開状態にすることによって、塗布部2による基材Wへの塗布液Lの塗布を停止している。ここで、従来の塗布装置では、供給バルブ33により供給路32が開状態から閉状態になるまでの間に、塗布部2に供給されていた塗布液Lがスリット22の幅方向の端部から中央に向かって引き戻されていく。
【0088】
そのため、塗布部2による塗布液Lの塗布が完全に停止するまでの間に塗布される塗布液Lの塗布量は、幅方向の端部に向かうにつれて少なくなる。これにより、形成される塗布終了部Eは、
図6の鎖線Fで示すような前述した塗布開始部Sとは反対の弓形の形状に形成されてしまう。
【0089】
これに対して、本実施形態における塗布装置100では、供給バルブ33の動作および回収バルブ35の動作と同時に、ボリュームコントロールバルブ4a、4bのそれぞれ、各々が設けられた位置と近傍に位置するスリット22の幅方向の端部とその近傍の塗布液Lの流量を増やし、ボリュームコントロールバルブ4c、4dのそれぞれは、各々が設けられた位置と近傍に位置するスリット22の幅方向の中央部とその近傍の塗布液Lの流量を減らしている。
【0090】
そのため、塗布部2による塗布液Lの塗布が完全に停止するまでの間のスリット22における塗布液Lの流量を幅方向で均一にすることができる。これにより、塗布部2による塗布液Lの塗布が完全に停止するまでの間に吐出口23から吐出される塗布液Lを幅方向で均一にすることができ、塗布終了部Eが弓形の形状に形成されることを防ぐことができる。
【0091】
以上により、基材Wに形成する塗膜Mの幅方向における幅を塗布開始部Sと塗布終了部Eとで均一にすることができる。したがって、基材Wに形成する塗布開始部Sおよび塗布終了部Eを従来よりも精度よく形成することができる。
【0092】
また、各々のボリュームコントロールバルブ4は、供給バルブ33の動作および回収バルブ35の動作に合わせてスリット22における塗布液Lの流量を調節しているため、基材Wに形成される塗膜Mの厚みのばらつきを抑えることができる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳述したが、各実施形態における構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の追加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。たとえば、上記実施形態では、塗布装置100が供給路32、供給バルブ33、回収路34および回収バルブ35をそれぞれ一つずつ備える例について説明したが、複数有していてもよい。
【0094】
また、塗布部2と供給バルブ33の間に位置する供給路32を分岐させ、分岐した供給路32をマニホールド21の幅方向に配列して接続してもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、ボリュームコントロールバルブ4がスリット22に連通するよう設けられている例について説明したが、この構成に限らなくてもよい。たとえば、塗布液Lの流路において供給バルブ33よりも下流側に位置する部分(供給路32やマニホールド21)と連通するようのボリュームコントロールバルブ4を設けてもよい。
【0096】
なお、前述したように供給路32、供給バルブ33、回収路34および回収バルブ35を複数有している場合や供給路32が分岐している場合、各々の供給路32において供給バルブ33よりも下流側に位置する部分にボリュームコントロールバルブ4を設けるとよい。
【0097】
また、上記実施形態では、ボリュームコントロールバルブ4が複数設けられている例について説明したが、一つであってもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、スリット22の幅方向の端部寄りに設けられたボリュームコントロールバルブ4a、4bが、同じ動作を行ってスリット22における塗布液Lの流量を調節していたが、形成する塗膜Mの形状に応じて適宜変更してもよい。なお、スリット22の幅方向の中央部寄りに設けられたボリュームコントロールバルブ4c、4dも同様である。すなわち、ボリュームコントロールバルブ4a、4b、4c、および4dは、形成する塗膜Mの形状に応じて、別々に動作してスリット22における塗布液Lの流量を調節してもよい。
【0099】
また、塗布開始部S、塗布終了部Eを形成する際に、スリット22における塗布液Lの流量の調節をボリュームコントロールバルブ4a、4bまたはボリュームコントロールバルブ4c、4dのいずれかの一組のボリュームコントロールバルブ4によって行ってもよい。
【0100】
たとえば、塗布開始部Sの形成時には、ボリュームコントロールバルブ4a、4bによりスリット22の幅方向の端部とその近傍における塗布液Lの流量を減らすことで、スリット22における塗布液Lを幅方向で均一にする。一方、塗布終了部Eを形成時にはボリュームコントロールバルブ4c、4dによりスリット22の幅方向の中央部とその近傍における塗布液Lの流量を減らすことで、スリット22における塗布液Lを幅方向で均一にする。これにより、基材Wに形成する塗膜Mの幅方向における幅を塗布開始部Sと塗布終了部Eとで均一にすることができる。
【0101】
また、各々のボリュームコントロールバルブ4の容積調節部駆動手段42cによる容積調節部42aの位置の変化量は、形成する塗膜Mの形状に応じて適宜変更してもよい。なお、各々のボリュームコントロールバルブ4の容積調節部駆動手段42cによる容積調節部42aの移動速度についても同様である。
【0102】
また、上記実施形態では、各々のボリュームコントロールバルブ4が、供給バルブ33および回収バルブ35と同時に動作していたが、形成する塗膜Mの形状に応じて適宜変更しても構わない。
【符号の説明】
【0103】
100 塗布装置
1 搬送手段
11 塗布ロール
2 塗布部
21 マニホールド
22 スリット
23 吐出口
3 供給手段
31 タンク
32 供給路
33 供給バルブ
33a 弁体
33b シャフト
33c 弁体駆動手段
34 回収路
35 回収バルブ
35a 弁体
35b シャフト
35c 弁体駆動手段
4 流量調節手段(ボリュームコントロールバルブ)
4a ボリュームコントロールバルブ
4b ボリュームコントロールバルブ
4c ボリュームコントロールバルブ
4d ボリュームコントロールバルブ
41 充填部
42 容積調節手段
42a 容積調節部
42b シャフト
42c 容積調節部駆動手段
L 塗布液
M 塗膜
S 塗布開始部
E 塗布終了部
T 塗布領域
N 不塗布領域
W 基材