IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エフ・ダブリュー・エスの特許一覧

<>
  • 特開-アイブロウスタンプ 図1
  • 特開-アイブロウスタンプ 図2
  • 特開-アイブロウスタンプ 図3
  • 特開-アイブロウスタンプ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133696
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】アイブロウスタンプ
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/30 20060101AFI20230920BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20230920BHJP
   B41K 1/02 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
A45D40/30
A45D34/04 510Z
B41K1/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038817
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】522101508
【氏名又は名称】株式会社エフ・ダブリュー・エス
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】小倉 一恵
(57)【要約】
【課題】自眉にスタンプしたときの印影が、眉毛の毛流れを視認することができるものであって、立体感のある自然な眉毛を描くことができるアイブロウスタンプを実現する。
【解決手段】持ち手部11と、持ち手部11に取り付けられたスタンプ部12を備えたアイブロウスタンプ10である。スタンプ部12は、眉墨がつけられるスタンプ面13を有する印形部14と、印形部14が凸設されるベース部16とを備える。印形部14は、複数の凸部15によって形成されている。スタンプ面13から自眉にスタンプされる眉墨の印影が、眉毛の毛流れを視認することができる形状となるように、複数の凸部15がベース部16の所要の位置に設けられている。複数の凸部15のそれぞれは、1本の眉毛の形を象ったものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
持ち手部と、
前記持ち手部に取り付けられたスタンプ部を備えたアイブロウスタンプであって、
前記スタンプ部は、眉墨がつけられるスタンプ面を有する印形部を少なくとも備え、
前記印形部は、複数の凸部によって形成されており、
前記スタンプ面から自眉にスタンプされる眉墨の印影が、眉毛の毛流れを視認することができる形状となるように、前記複数の凸部が所要の位置に設けられている、アイブロウスタンプ。
【請求項2】
前記複数の凸部のそれぞれは1本の眉毛の形を象ったものである、請求項1に記載のアイブロウスタンプ。
【請求項3】
前記スタンプ部は、前記凸部が設けられるベース部を有しており、前記凸部と前記ベース部とは樹脂によって一体に成形されている、請求項1又は2に記載のアイブロウスタンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイブロウスタンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、女性は、眉毛を化粧するときには、アイブロウペンシルやパウダーを使用している。しかし、ペンシルやパウダーにより眉毛を描く場合、時間が長くかかる上、左右の眉毛を対称に描くことが難しいという問題がある。
【0003】
従来から、上記問題点を補うものとして、アイブロウスタンプが利用されている。アイブロウスタンプでは、持ち手部の先端に眉毛を象った印形が取り付けられている。
【0004】
特許文献1、2には、この種のアイブロウスタンプが記載されている。特許文献1のアイブロウスタンプ100では、図4(a)に示すように、回動可能な第1本体101及び第2本体102からなる持ち手部103の上面に、眉毛の形に象られたスタンプ面105を有する印形104(アプリケータ)が取り付けられている。
【0005】
また、特許文献2のアイブロウスタンプ200では、図4(b)に示すように、三日月状の持ち手部201の上面に印形202(スタンプ部)が取り付けられている。印形202のスタンプ面203も眉毛の形に象られている。
【0006】
ユーザがアイブロウスタンプ100,200を使用するときは、眉墨パウダーを収容した専用のスタンプ台を用いてスタンプ面105,203に眉墨をつけた後、印形104,202の部分を自眉に押し付けるようにすればよい。
【0007】
これによりスタンプ面105,203についていた眉墨が自眉の方に転写される。アイブロウスタンプ100,200では、眉毛のメイクにかかる時間が短縮され、同じ形状の眉毛を描くことが容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2021-523768号公報
【特許文献2】特許6546894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来のアイブロウスタンプ100,200は、スタンプ面105,203には凹凸や高低がなく平坦な状態となっている。そのため、スタンプ面105,203から自眉に転写される眉墨も、眉毛の輪郭の内側が一様に塗りつぶされた状態となる。
【0010】
つまり、従来のアイブロウスタンプ100,200は、眉毛の輪郭の内側が一様に眉墨の色に化粧されるので、眉毛の毛流れを視認することができる眉毛を描くことは不可能である。例えば、自眉が少ない女性の場合、従来のアイブロウスタンプ100,200では立体感のある自然な眉毛に仕上げることは難しい。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、眉毛の毛流れを視認することができて、立体感のある自然な眉毛を描くことができるアイブロウスタンプを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
持ち手部と、
持ち手部に取り付けられたスタンプ部を備えたアイブロウスタンプであって、
スタンプ部は、眉墨がつけられるスタンプ面を有する印形部を少なくとも備え、
印形部は、複数の凸部によって形成されており、
複数の凸部は、スタンプ面から自眉にスタンプされる眉墨の印影が、眉毛の毛流れを視認することができる形状となるように、所要の位置に設けられている。
【0013】
本発明は、複数の凸部のそれぞれは1本の眉毛の形を象ったものでもよい。
【0014】
本発明は、スタンプ部は凸部が設けられるベース部を有しており、凸部とベース部とは樹脂によって一体に成形されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、印形部は、複数の凸部が集合することによって形成されている。そして、複数の凸部は、スタンプ面から自眉にスタンプされる眉墨の印影が、眉毛の毛流れを視認することができる形状となるように、所要の位置に設けられている。
【0016】
そのため、本発明では、自眉に印形部のスタンプ面を押し付けるだけで、眉毛の毛流れを視認することができる眉毛を描くことが可能となる。
【0017】
本発明では、複数の凸部のそれぞれは1本の眉毛の形を象ったものであることが好ましい。この場合、各凸部のそれぞれの印影が1本の眉毛の形となってリアリティが増す。また、印影全体としても自然な仕上がりとなる。
【0018】
本発明では、スタンプ部は凸部が設けられるベース部を有しており、凸部とベース部とは樹脂によって一体に成形されていることが好ましい。この場合、印形部は、ベース部の裏面を持ち手部に接着させることで、持ち手部への取り付けが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1(a)は、実施形態に係るアイブロウスタンプを斜め上方から見た斜視図、図1(b)は、実施形態に係るアイブロウスタンプを上方から見た平面図、図1(c)は、実施形態に係るアイブロウスタンプを側方から見た側面図である。
図2図2(a)は、ユーザの左眉付近を正面から見た図、図2(a)は、実施形態に係るアイブロウスタンプをユーザの左眉に押し付けている状態を正面から見た図、図2(c)は、ユーザの左眉に印影が転写された状態を正面から見た図である。
図3図3は、実施形態に係るアイブロウスタンプについて、スタンプ台を用いてスタンプ面に眉墨をつけている状態を側方から見た側面図である。
図4図4(a)は、従来のアイブロウスタンプの一例を示す図、図4(b)は、従来のアイブロウスタンプの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0021】
本実施形態は、図1(a)、図2(a)に示すように、ユーザ1が自眉2にスタンプするときに手3に持つための部位となる略直方体状の持ち手部11と、持ち手部11の上面に取り付けられたスタンプ部12とを備えたアイブロウスタンプ10である。スタンプ部12は、眉墨がつけられるスタンプ面13を有し、全体として眉毛の形を表している印形部14と、印形部14が凸設されたベース部16を備えている。
【0022】
図1(a)のアイブロウスタンプ10は左眉用であるが、アイブロウスタンプ10は、右眉用のアイブロウスタンプ(図示省略)とセットで販売される。左眉用のアイブロウスタンプ10と右眉用のアイブロウスタンプは左右対称に形成され、構成は同じである。以下では、左眉用のアイブロウスタンプ10と右眉用のアイブロウスタンプの説明をまとめて行うものとする。
【0023】
本明細書では、図1(a)~図1(c)に示すように、平面視したときに眉毛の形状に象られたスタンプ面13が直下に見える置き方を基準にして上下、左右、前後の方向を規定する。すなわち、持ち手部11に対し、「上」「上側」とは、スタンプ部12が取り付けられている面の方向を、「下」「下側」とは、スタンプ部12が取り付けられている面と対向する面の方向を意味する。また、持ち手部11に対し、「右」「右側」とは、スタンプ面13の眉頭部21に近接した側面の方向を、「左」「左側」とは、スタンプ面13の眉尻部22に近接した側面の方向を意味する。また、持ち手部11に対し、「後」「後ろ側」とは、スタンプ面13の眉山部23に近接した側面の方向を、「前」「前側」とは眉山部33に近接した側面と対向する側面の方向を意味する。
【0024】
[本実施形態の構成]
印形部14は、互いに分離して独立している複数の凸部15によって形成されている。本実施形態では、スタンプ面13は連続した平坦な面ではなく、凸部15のそれぞれに眉墨がつけられる端面15aが存在し、これら端面15aが集合して眉毛の形状を象ったスタンプ面13が形成されている。凸部15の個数は、たとえば40~50個であるが、それよりも少なくてもよいし、多くてもよい。
【0025】
複数の凸部15はベース部16の表面から上向きに凸設されて所要の高さを有するように構成されている。凸部16の高さは、眉墨インクを含浸させたスタンプ台を使用してスタンプ面13に眉墨を付けたときに、ベース部16には眉墨が付かないように、例えば1~3mmの範囲としている。
【0026】
凸部15は、図1(a)及び図2(c)に示すように、自眉2にスタンプされる眉墨の印影4が、眉毛の毛流れを視覚によって確認することができる形状となるように所要の位置に配置されてスタンプ面13を形成している。
【0027】
具体的に、図1(b)に示すように、複数の凸部15によって、スタンプ面13の右端側に眉頭部21が、左端側に眉尻部22が、後側に眉山部23が形成されている。また、眉毛の輪郭の内側には、眉毛の毛流れが40~50本程度形成されている。なお、本実施形態では、眉毛の輪郭のラインのみを示す凸部15は存在しない。
【0028】
凸部15のそれぞれは1本の眉毛の形を象ったものである。具体的に、図1(b)に示すように、凸部15の端面15aの形状は、一方の端部15aaは幅が太く、他方の端部15abは幅が細い。凸部15は、一方の端部15aaから他方の端部15abに向かうに従い先細りした形状とすることで、1本の眉毛の形を象ったものとなっている。幅が太い一方の端部15aaは眉毛の毛根側を表現しており、幅が細い他方の端部15abは眉毛の毛先側を表現している。
【0029】
例えば、眉頭部21付近では、前側から後ろ側に向けて基本的には縦向きの毛流れが感じられるように、凸部15が形成されている。眉頭部21付近では、幅が太い一方の端部15aaは前側に、幅が細い他方の端部15abは後ろ側に位置している。そして、スタンプ面13の左右方向中央部に近づくに従い、眉毛の毛流れが左斜め上方向となるように毛流れの方向を変化させている。
【0030】
眉尻部22付近では、右側から左側に向けて基本的には横向きの毛流れが感じられるように、凸部15が形成されている。眉尻部22に向かう眉毛の流れは、眉山23を含む後ろ側と眉山23を含まない前側とで毛流れが異なるものとなっている。
【0031】
眉山23を含む後ろ側では、幅が太い一方の端部15aaは右上に、幅が細い他方の端部15abは左下に位置させて、左斜め下方向に毛流れが感じられるように凸部15が配置されている。また眉山23の少し右側の中央部付近では、上向きのアーチ状の毛流れが感じられるように、凸部15が配置されている。
【0032】
眉山23を含まない前側では、幅が太い一方の端部15aaは右下に、幅が細い他方の端部15abは左上に位置させて、左斜め上方向に毛流れが感じられるように凸部15が配置されている。また、眉尻部22付近では、毛流れはほぼ水平となっている。
【0033】
本実施形態では、スタンプ部12は、凸部15が設けられるベース部16を有し、凸部15とベース部16とは樹脂によって一体に成形されている。ベース部16の厚みは凸部15の高さと同程度であればよく、例えば1~3mmである。ベース部16の裏面と持ち手部11は接着剤によって固定されている。
【0034】
ここで、凸部15とベース部16を一体に成形する手段は、金型成形に限らない。特にユーザ1の好みに合うように、例えば印形部14の前後方向の幅が細いタイプから太いタイプまで数種類のアイブロウスタンプ10を製品化する場合、金型を製作する方法ではコストが嵩む。
【0035】
そこで、本実施形態では、凸部15とベース部16を一体に成形する手段としては、あらかじめ所要の厚みを有する1枚の樹脂板を準備しておき、凸部15となる領域は除き、凸部15以外の領域(最終的にベース部16となる領域)のみに熱と圧力を加えることで樹脂板の厚みを圧縮する方法を用いる。
【0036】
樹脂板に対し必要な部分にのみを熱圧縮する方法によって凸部15とベース部16を一体的に製造すれば、数種類のアイブロウスタンプ10を低コストで、かつ、効率的に製造できる。
【0037】
なお、アイブロウスタンプ10の印形部14を真上から平面視した場合において、眉毛の輪郭の内側の面積に対して、複数の凸部15の各端面15aの面積の合計が占める割合は、例えば30~70%の範囲とすればよい。
【0038】
本実施形態では、デザイン性を考慮して、持ち手部11は透明のプラスチックで構成している。もっとも、持ち手部11は木製又は金属製でもよく、不透明でもよい。持ち手部11のサイズの一例を示すと、左右方向の長さが5.6cm、上下方向の長さが1.0cm、前後方向の長さが1.5cmである。
【0039】
[本実施形態の使用方法及び効果]
アイブロウスタンプ10の使用方法とその効果について、図2(a)~図2(c)及び図3を参照しながら説明を行う。
【0040】
ユーザ1は、前準備として、図2(a)に示すように、自眉2をブラシ等であらかじめ整えておく。
【0041】
次に、ユーザ1は、図3に示すように、スタンプ台30の眉墨インク層31とアイブロウスタンプ10のスタンプ面13を接触させる。このとき、アイブロウスタンプ10を軽くたたくようにして、スタンプ部12の各凸部15のスタンプ面13にそれぞれまんべんなく眉墨がのるようにする。なお、眉墨インク層31は、眉墨インクを多孔性の吸収体に含浸させた層である。眉墨インク層31は、ケース32に収納されている。
【0042】
その後、ユーザ1は、図2(b)に示すように、自眉2の眉頭とスタンプ面13の眉頭21の位置を合わせ、眉頭部21から眉尻部22に向かってゆっくりと押し付けるようにして印形部14の全体が自眉2と接触するようにする。ユーザ1の顔面の曲面に沿わせるようなイメージで、アイブロウスタンプ10を眉頭部21から眉尻部22に向けて順番に接触させるようにするとよい。なお、スタンプ後、必要であれば指やブラシでぼかしてもよい。
【0043】
本実施形態では、複数の凸部15が毛流れを感じさせる眉毛の形となるように配置されている。そのため、自眉2にスタンプ面13を押し付けるだけで、図2(c)に示すように、スタンプ面13から自眉にスタンプされる眉墨の印影4が、眉毛の毛流れを視認することができる眉毛の形状となる。
【0044】
本実施形態では、自眉2にスタンプ面13を押し付けるだけで、眉毛の毛流れを視認できて、立体感のある自然な眉毛を描くことが可能となる。
【0045】
本実施形態では、複数の凸部15のそれぞれは1本の眉毛の形を象ったものである。そのため、凸部15のそれぞれの印影4が、1本の眉毛を表すものとなってリアリティが増す。また、印影全体としても自然な仕上がりとなる。
【0046】
本実施形態では、複数の凸部15からなる印形部14とベース部16が樹脂によって一体に成形されたスタンプ部12を用いている。そのため、印形部14は、凸部15を個々に持ち手部11に接着させる必要はなく、ベース部16の裏面を持ち手部11に接着させることで一括して持ち手部11へ取り付けできる。これによりスタンプ部12の持ち手部11への取り付けが容易となる。
【0047】
本発明は、上述の実施形態に限るものではなく、各請求項に記載の技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【0048】
例えば、上述の実施形態では、スタンプ台30は眉墨インク層31を有したものを開示したが、スタンプ台30は、スタンプ部12に用いる樹脂との親和性を確認できる限り、眉墨パウダー層を有したものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、眉毛のメイクアップをするための化粧用具等に適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 ユーザ
2 自眉
3 指
4 眉墨の印影
10 アイブロウスタンプ
11 持ち手部
12 スタンプ部
13 スタンプ面
14 印形部
15 凸部
16 ベース部
21 眉頭部
22 眉尻部
23 眉山部
図1
図2
図3
図4