(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133698
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】排液回収容器、及び、排液回収装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20230920BHJP
A61G 12/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
A61M1/00 120
A61G12/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038819
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】512208305
【氏名又は名称】有限会社エイコー産業
(74)【代理人】
【識別番号】100157428
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 聞平
(72)【発明者】
【氏名】岡安 伸
【テーマコード(参考)】
4C077
4C341
【Fターム(参考)】
4C077AA19
4C077DD12
4C077DD21
4C077DD23
4C077DD24
4C077DD26
4C077EE04
4C077KK17
4C077KK25
4C341LL07
4C341LL30
(57)【要約】
【課題】尿などの排液を回収するための排液回収容器であって、交差感染が生じるリスクを増やすことなく、排液の廃棄作業を容易化する。
【解決手段】人又は動物の排液を溜める容器又は袋からなる排液貯留部から、排液を回収するための排液回収容器10は、回収対象の排液を導入するための導入部13を有する容器部6と、導入部13に着脱自在に取り付けられる接続チューブ7とを備え、排液貯留部5の排出部5aに接続チューブ7を取り付けることで、排液貯留部5から容器部6へ排液を回収することが可能となる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人又は動物の排液を溜める容器又は袋からなる排液貯留部から、排液を回収するための排液回収容器であって、
回収対象の排液を導入するための導入部を有する容器部と、
前記導入部に着脱自在に取り付けられる接続チューブとを備え、
前記排液貯留部の排出部に前記接続チューブを取り付けることで、前記排液貯留部から前記容器部へ排液を回収することが可能となる、排液回収容器。
【請求項2】
前記導入部は、前記容器部の上面部を斜めに貫通する貫通孔である、請求項1に記載の排液回収容器。
【請求項3】
前記容器部の底面から下方に突出するように、前記底面に接続された排出側継手と、
前記容器部に取り付けられて、前記容器部を支持する複数の脚部とをさらに備えている、請求項1又は2に記載の排液回収容器。
【請求項4】
請求項3に記載の排液回収容器から排液を集めるための貯留容器と、
前記複数の脚部を載置可能な容器載置部と、
前記貯留容器に接続され、且つ、前記排出側継手を上側から連結可能な向きに設けられた導入側継手とを備え、
前記導入側継手は、前記複数の脚部を前記容器載置部に載置する過程で前記排出側継手を上側から連結可能な位置に配置されている、排液回収装置。
【請求項5】
前記排液回収容器を収容するケーシングをさらに備え、
前記ケーシングの上面には、前記複数の脚部に対応する複数の凹部が、前記容器載置部として設けられている、請求項4に記載の排液回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿などの排液の回収に使用される排液回収容器等に関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場などでは、患者から排出される尿を一時的に溜めるために採尿バッグが使用されている。採尿バッグには、患者の泌尿器に接続されたカテーテル等を通じて尿が導入される。特許文献1には、この種の採尿バッグが記載されている。
【0003】
ところで、採尿バッグに溜まった尿は、医療スタッフなどの作業者が手作業でバケツなどの集尿容器に回収し、トイレなどに廃棄される。この廃棄作業の際に、採尿バッグの排出管が集尿容器に触れると、交差感染を引き起こす虞がある。非特許文献1には、採尿バッグから尿を廃棄する際の注意点として、集尿時や破棄時は採尿バッグの排液口が集尿容器に触れないように注意することや、集尿容器は可能な限り個別にすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“ここが危ない!尿廃棄”[online],福岡県済生会八幡総合病院 感染管理認定看護師 上原 雅子,[令和4年3月7日検索],インターネット<URL:http://kansenjuku.com/wp-content/uploads/2021/03/%E8%AC%9B%E6%BC%94%E2%91%A3%E3%80%90%E4%B8%8A%E5%8E%9F%E3%81%95%E3%82%93%E3%80%91%EF%BE%92%EF%BE%83%EF%BE%9E%EF%BD%A8%EF%BD%B6%EF%BE%99%EF%BD%BD%EF%BE%80%EF%BD%AF%EF%BE%8C%EF%BD%BE%EF%BE%90%EF%BE%85%EF%BD%B0%E3%81%93%E3%81%93%E3%81%8C%E5%8D%B1%E3%81%AA%E3%81%84%E5%B0%BF%E5%BB%83%E6%A3%84.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、集尿容器を個別にすると、患者ごとに集尿容器の洗浄及び消毒が必要となり、作業者の負担が大きい。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、尿などの排液を回収するための排液回収容器であって、交差感染が生じるリスクを増やすことなく、排液の廃棄作業を容易化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するべく、第1の発明は、人又は動物の排液を溜める容器又は袋からなる排液貯留部から、排液を回収するための排液回収容器であって、回収対象の排液を導入するための導入部を有する容器部と、導入部に着脱自在に取り付けられる接続チューブとを備え、排液貯留部の排出部に接続チューブを取り付けることで、排液貯留部から容器部へ排液を回収することが可能となる、排液回収容器である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、導入部は、容器部の上面部を斜めに貫通する貫通孔である。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、容器部の底面から下方に突出するように、底面に接続された排出側継手と、容器部に取り付けられて、容器部を支持する複数の脚部とをさらに備えている。
【0011】
第4の発明は、第3の発明の排液回収容器から排液を集めるための貯留容器と、複数の脚部を載置可能な容器載置部と、貯留容器に接続され、且つ、排出側継手を上側から連結可能な向きに設けられた導入側継手とを備え、導入側継手は、複数の脚部を容器載置部に載置する過程で排出側継手を上側から連結可能な位置に配置されている、排液回収装置である。
【0012】
第5の発明は、第4の発明において、排液回収容器を収容するケーシングをさらに備え、ケーシングの上面には、複数の脚部に対応する複数の凹部が、容器載置部として設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、容器部の導入部に対して、接続チューブが着脱自在である。排液貯留部の排液を廃棄する際は、排液貯留部の排出部に接続チューブを接続することで、接続チューブを介して排液貯留部から容器部に排液を回収することができる。そして1人の排液の回収が終わると、排液貯留部の排出部及び容器部の導入部から接続チューブを取り外し、別の接続チューブに交換して、次の人の排液の回収を行うことができる。すなわち、人ごとに接続チューブの交換が可能であり、これにより感染経路が遮断される。そのため、複数の人を対象とする排液の回収において、容器部を途中で洗浄することなく、容器部を使用し続けることができる。従って、人ごとに集尿容器の洗浄及び消毒が必要であった従来に比べて、排液の回収が容易になり、排液の廃棄作業も容易になる。本発明によれば、交差感染が生じるリスクを増やすことなく、排液の廃棄作業を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係る排液回収システムの斜視図である。
【
図2】
図2は、排液回収システムの排液回収容器に対し、採尿バッグから尿を回収している様子の斜視図である。
【
図3】
図3は、排液回収システムの断面を表す概略構成図である。
【
図4】
図4は、排液回収システムを使用して、採尿バッグから尿を回収する作業を説明するための図である。
【
図5】
図5は、排液回収システムの排液回収装置の貯留容器から尿を廃棄する作業や、貯留容器を洗浄する作業を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0016】
本実施形態は、
図1に示すように、排液回収容器10及び排液回収装置30を備えた排液回収システム100である。排液回収システム100は、病院などの医療現場において患者の尿(排液)を溜める採尿バッグ(排液貯留部)5の尿を廃棄するために使用される。なお、排液貯留部は、採尿バッグ(袋)ではなく、容器であってもよいし、廃棄する排液は尿以外であってもよい。
図1(b)は、矢印Aの方向に排液回収装置30を見た斜視図である。
【0017】
[排液回収容器について]
排液回収容器10は、回収対象の尿を導入するための導入部13を有する容器部6と、採尿バッグ5の排出管(排出部)5aと容器部6の導入部13とのそれぞれに着脱自在に取り付けられて採尿バッグ5と容器部6とを接続する接続チューブ7とを備えている(
図2参照)。接続チューブ7は、例えば可撓性又は柔軟性を有する材料(例えば、ビニール等の樹脂)の管である。接続チューブ7の長さは、例えば10cm以上が好ましい。
【0018】
容器部6は、
図2に示すように、上側が開口された容器本体11と、容器本体11の上側の開口を塞ぐ上蓋12と、上述の導入部13と、容器本体11の底面に接続された排出側継手14と、容器本体11に取り付けられて容器本体11を下側から支持する複数の脚部15とを備えている。
【0019】
容器本体11は、底部11aと、底部11aに一体形成された側壁部11bとを備えている。側壁部11bは、筒状に形成され、底部11aの外周から上方に立ち上がる。容器本体11では、側壁部11bに取っ手16が設けられている。上蓋12は、容器本体11における側壁部11bの上端の外周よりも一回り大きい板状の閉塞部材12aと、閉塞部材12aの上面に設けられた取っ手12bとを備えている。
【0020】
導入部13は、容器部6の上蓋(上面部)12を斜めに貫通する貫通孔である(
図3(a)参照)。但し、導入部13は、容器部6の上蓋(上面部)12を上下方向に貫通する貫通孔など他の構造であってもよい。導入部13は、例えば、閉塞部材12aにおいて中心と外周との間に配置される。なお、導入部13は、側壁部11bの上端部に配置してもよい。
【0021】
導入部13は、外向きの斜め上方向(導入部13に最も近い外周に対し、上側ほど近づく方向)に形成されている。この方向における導入部13の穴径は、接続チューブ7の外形に略等しい。接続チューブ7は、一端が採尿バッグ5の排出管5aの外側に嵌め込まれ、他端が導入部13に嵌め込まれる。なお、接続チューブ7の一端寄りの位置には、容器部6内への落下を防止するために、上蓋12の上面における導入部13の周囲に引っ掛かるストッパー7aが設けられている。ストッパー7aは例えばリング状に形成されている。ストッパー7aは、接続チューブ7に着脱自在としてもよいし、接着などにより固定してもよい。
【0022】
排出側継手14は、容器部6に溜まる尿を排出するための部品である。排出側継手14は、容器部6の底面から下方に突出するように設けられている。排出側継手14は、排液回収装置30の導入側継手33(後述)に連結される。排出側継手14は、例えばオスカプラーにより構成される。なお、排出側継手14の下端は、各脚部15の下端よりも少し上側に位置しており、平坦面に容器本体11を載置した状態では、排出側継手14の下端は平坦面より少し上側に位置する。
【0023】
複数の脚部15の各々は、棒状の部材であり、容器本体11の側壁部11bの外面に固定されている。複数の脚部15は、側壁部11bの周方向に間隔を空けて配置されている。各脚部15は、容器本体11の底面よりも下方に突出しており、容器本体11が浮くように支持する。なお、脚部15の形状や配置は、本実施形態に限定されない。
【0024】
[排液回収装置について]
排液回収装置30は、
図1及び
図3に示すように、略直方体状のケーシング31と、ケーシング31に収容された貯留容器32と、貯留容器32に接続されて排出側継手14を上側から連結可能な向きに設けられた導入側継手33と、貯留容器32に溜まる尿を排出するための排出管34と、排液回収容器10における複数の脚部15を載置可能な容器載置部35とを備えている。排液回収装置30は、ジャッキ42が設けられた台車41において、ジャッキ42上に搭載されている。
【0025】
貯留容器32は、排液回収容器10から排液を集めるための容器である。貯留容器32の容積は、排液回収容器10よりもかなり大きい。貯留容器32には、導入側継手33を介して排液回収容器10から尿が導入される。
【0026】
導入側継手33は、貯留容器32に尿を導入するための部品である。導入側継手33には、排出側継手14が着脱自在に連結される。導入側継手33は、例えばメスカプラーにより構成される。導入側継手33は、入口が上方に臨むように、ケーシング31の上面に取り付けられている。導入側継手33は、貯留容器32の上面部32aを貫通し、出口が貯留容器32内の上部空間に開口している。導入側継手33の入口側に対し、上方から排出側継手14の出口側が挿入されると、導入側継手33と排出側継手14は、内部が連通する状態で連結される。ケーシング31の外側には、導入側継手33から排出側継手14を取り外すための脱着レバー38が設けられている。作業者が脱着レバー38を操作すると、導入側継手33のロック機構が解除されて、排出側継手14を取り外すことができるようになる。
【0027】
排出管34は、柔軟性があるホースである。排出管34は、貯留容器32の底部から延び、ケーシング31の外側に引き出されている。排出管34には、レバー36aの手動操作により開閉する開閉弁36が設けられている。開閉弁36のレバー36aは、真っすぐな棒状に形成され、開閉弁36の閉状態では排出管34に対し略直交する。
図1(b)に示すように、ケーシング31の外面には、開閉弁36のレバー36aを引っ掛けるフック37が設けられている。
【0028】
容器載置部35は、ケーシング31の上面に形成された複数の凹部35により構成されている。ケーシング31の上面では、複数の凹部35によって、排液回収容器10の各脚部15の載置場所が規定されている。各凹部35は、有底の円筒状に形成され、排液回収容器10の各脚部15を差し込むことが可能な大きさ(直径)を有する。また、ケーシング31の上面では、各脚部15を各凹部35に載置する過程で、排出側継手14が上側から連結される位置に、導入側継手33が配置されている。導入側継手33は、複数の凹部35を結ぶ線により形成される領域(本実施形態では三角形の領域)の中心部に配置されている。
【0029】
貯留容器32には、
図3に示すように、尿の満水状態を作業者に知らせるための満水報知部50が設けられている。満水報知部50は、貯留容器32の上面部32aから上側に延びてケーシング31の上面から突出する透明筒状部51と、透明筒状部51内を上下動可能なインジケータ52と、貯留容器32内に吊り下げられたフロート53と、インジケータ52とフロート53を接続する接続部材54とを備えている。透明筒状部51の上端は、閉塞されている。インジケータ52は、目立つ色で着色されている。
【0030】
また、排液回収装置30は、貯留容器32内を洗浄するための洗浄水供給系統45と、貯留容器32がオーバーフローすることを防止するためのオーバーフロー防止部46とをさらに備えている。
【0031】
洗浄水供給系統45は、水道栓60に連結可能な水道用継手47と、貯留容器32の内部空間の上部に配置されたスプリンクラー48と、水道用継手47とスプリンクラー48とを接続する洗浄用ホース49とを備えている。水道用継手47は、ケーシング31の上面に載置されている。ケーシング31の上面から水道用継手47を移動させることで、ケーシング31内から洗浄用ホース49を引き出し、水道栓60に水道用継手47を連結することができる。
【0032】
オーバーフロー防止部46は、ケーシング31の上面から上方に突出する突出筒61と、貯留容器32の上面部32aから上方に延びて突出筒61内で折り返して下方に延びるオーバーフロー防止配管62とを備えている。オーバーフロー防止配管62の一端は、貯留容器32内において上面部32a近傍に開口している。オーバーフロー防止配管62の他端は、ケーシング31の外面に開口するエア抜き孔63に接続されている。なお、
図3では、ホース49,配管62を太線で表している。
【0033】
[排液回収システムの使用方法について]
排液回収システム100を使用した尿(排液)の廃棄作業について説明を行う。
【0034】
作業者は、尿が溜まった採尿バッグ5の近傍に、排液回収容器10を移動させる。そして、
図2に示すように、採尿バッグ5の排出管5aに接続チューブ7を接続し、閉鎖弁4を操作して排出管5aを開状態にする。これにより、採尿バッグ5から排液回収容器10の容器部6に尿が流入して、尿の回収を行うことができる。尿の回収を終えると、閉鎖弁4により排出管5aを閉状態にして、排出管5aから接続チューブ7を取り外す。
【0035】
次に作業者は、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、排液回収装置30の容器載置部35に容器部6を載置する。つまり、容器載置部35の各凹部35の底面上に、容器部6の各脚部15を載置する。容器部6の載置の過程では、排出側継手14が導入側継手33に連結される。これにより、容器部6から排液回収装置30の貯留容器32に尿が流入して、容器部6に回収した尿が、貯留容器32に集められる。容器部6は空になる。
【0036】
次に作業者は、容器部6の上蓋12の導入部13から接続チューブ7を取り外し、導入部13に対し、清潔な状態の接続チューブ7を取り付ける。そして、作業者は、別の患者の採尿バッグ5から容器部6へ尿の回収を行い、容器部6に回収した尿を貯留容器32に集め、再び接続チューブ7を交換する。この一連の作業を繰り返すことで、貯留容器32に尿が溜まっていく。なお、接続チューブ7の交換タイミングは、容器部6から貯留容器32に尿を移動させる前でもよい。
【0037】
なお、本実施形態では、満水報知部50が設けられているため、貯留容器32が満水近くになると、フロート53に浮力が作用し、
図4(c)に示すように、フロート53と共にインジケータ52が上昇する。作業者は、透明筒状部51内におけるインジケータ52の高さに基づいて、貯留容器32が満水状態又は満水に近い状態であるか否かを、目視で容易に把握することができる。
【0038】
また、本実施形態では、作業者が貯留容器32の満水状態に気が付かない場合に備えて、オーバーフロー防止部46が設けられいる。排液回収装置30では、貯留容器32が満水になった後に容器部6から尿が流入すると、貯留容器32からオーバーフロー防止配管62に尿が流入する。ここで、突出筒61内におけるオーバーフロー防止配管62の折り返し箇所62aの高さは、容器載置部35に容器部6を載置した載置状態の容器部6内の底よりも高い。例えば、折り返し箇所62aの高さは、載置状態の容器部6の真ん中付近である。そのため、貯留容器32からオーバーフロー防止配管62に尿が流入する場合でも、
図4(d)に示すように、オーバーフロー防止配管62の水位62bが、容器部6の液面に等しくなると、容器部6から貯留容器32への尿の流入が停止する。従って、貯留容器32から尿が溢れることを確実に防止することができる。
【0039】
また、排液回収装置30のケーシング31には、清潔な状態(新品、又は、洗浄・消毒済みのもの)の接続チューブ7を入れる籠65が設けられている。一方、導入部13かから取り外した接続チューブ7は、尿で汚れているため、図示しない容器又は袋に回収され、その後、廃棄又は洗浄・消毒される。
【0040】
また、排液回収システム100は、貯留容器32から尿の廃棄を行うことができる。作業者は、汚物流し71の近くに、排液回収装置30を搭載する台車41を移動させる。そして、
図5(a)に示すように、汚物流し71内に排出管34の出口を向けて開閉弁36を開いた状態で、台車41上のジャッキ42により貯留容器32を上昇させると、貯留容器32から汚物流し71へ尿が流入する。これにより、貯留容器32から尿を廃棄することができる。なお、尿の廃棄では、容器載置部35に容器部6を載置した載置状態とすることで、排出側継手14及び導入側継手33を通じて貯留容器32に空気が流入するため、速やかに尿の廃棄を行うことができる。また、ジャッキ42には、足踏みにより昇降がなされるタイプのもの等を用いることができる。
【0041】
排液回収システム100は、汚物流し71などへの尿の廃棄が終わった後に、貯留容器32内の洗浄を行うことができる。作業者は、ケーシング31の上面から水道用継手47を移動させて、水道栓60に水道用継手47を連結する。そして、
図5(b)に示すように、ジャッキ42により貯留容器32を上昇させ、且つ、汚物流し71内に排出管34の出口を向けて開閉弁36を開いた状態のまま、水道栓60を開くことで、洗浄用ホース49を介してスプリンクラー48へ水道水が供給される。これにより、スプリンクラー48から水が噴射されて貯留容器32内が洗浄されると共に、貯留容器32内の水が汚物流し71へ廃棄される。なお、スプリンクラー48には、水が供給されると回転する回転式のものを使用することができる。
【0042】
[実施形態の効果等]
本実施形態では、排液回収容器10の容器部6の導入部13に対して、接続チューブ7が着脱自在である。採尿バッグ5の尿を廃棄する際は、採尿バッグ5の排出管5aに接続チューブ7を接続することで、接続チューブ7を介して採尿バッグ5から容器部6に尿を回収することができる。そして1人の尿の回収が終わると採尿バッグ5の排出管5a及び容器部6の導入部13から接続チューブ7を取り外し、別の接続チューブ7に交換して、次の人の尿の回収を行うことができる。すなわち、人ごとに接続チューブ7の交換が可能であり、これにより感染経路が遮断される。そのため、複数の人を対象とする尿の回収において、容器部6を途中で洗浄することなく、容器部6を使用し続けることができる。従って、従来に比べて、尿の回収が容易になり、廃棄作業も容易になる。
【0043】
本実施形態では、容器部6の導入部13が上蓋12の閉塞部材12aを斜めに貫通する貫通孔である。そのため、簡単な構造で、接続チューブ7の端部を導入部13に保持することができる。
【0044】
本実施形態では、容器部6の底面に排出側継手14が設けられているため、排出側継手14に対応する継手33を連結することで、容器部6から容易に尿を排出させることができる。なお、容器部6に排出側継手14を設けずに、例えばホースを容器部6の上側の開口から入れて、ポンプなどにより容器部6から貯留容器32などに尿を移動させてもよい。
【0045】
本実施形態では、容器載置部35の各凹部35の底面上に、容器部6の各脚部15を載置する過程で、排出側継手14が導入側継手33に連結される。そのため、容器部6から貯留容器32への尿の移動を容易に行うことができる。
【0046】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、接続チューブ7は、可撓性又は柔軟性を有する材料を用いた管であるが、硬質材料を用いた管を使用してもよい。
【0047】
上述の実施形態において、容器載置部35は、ケーシング31の上面に載置場所の目印を記載する等、凹部35以外の構成であってもよい。
【0048】
上述の実施形態において、容器部6として、蓋を有さない容器を使用してもよい。この場合、例えば、容器部6の上面部などに導入部13を設ける。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、尿などの排液の回収に使用される排液回収容器等に適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 排液回収容器
5 排液貯留部(採尿バッグ)
6 容器部
7 接続チューブ
11 容器本体
12 上蓋
13 導入部
14 排出側継手
15 脚部