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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133712
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】車両の内装部材
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
B60R13/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038839
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邉 仁一
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 拓也
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BB02
3D023BB08
3D023BC01
3D023BD01
3D023BD03
3D023BD05
3D023BD08
3D023BD12
3D023BD28
3D023BD29
3D023BD30
3D023BD31
3D023BD32
(57)【要約】
【課題】車両において、内装部材の意匠面の状態を維持する。
【解決手段】車両の内装部材は、構造体25Aを備える。当該構造体25Aの上面において、少なくとも一部は、自己修復性樹脂で形成される。乗員が構造体の表面に触れることで傷が当該構造体の表面に付いた場合、当該傷は、自己修復性樹脂の機能により修復される。このため、内装部材の意匠面の状態を維持することができる。その結果、内装部材の見栄えの良さを継続することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内装部材であって、
車両に設けられ、少なくとも一部が自己修復性樹脂で形成された表面を有した構造体、
を備えた車両の内装部材。
【請求項2】
前記構造体は、
樹脂で形成された基体と、
前記樹脂とは異なる自己修復性樹脂で形成された表面を有し、前記基体の表面を覆ったコーティング体と、
を備えた請求項1に記載の車両の内装部材。
【請求項3】
前記構造体は、前記車両のドアの車室側に設けられたドアトリムに設けられた請求項1または請求項2に記載の車両の内装部材。
【請求項4】
前記構造体は、前記ドアトリムにおけるドアハンドルの周辺に設けられた請求項3に記載の車両の内装部材。
【請求項5】
前記構造体は、前記ドアトリムにおけるスイッチの周辺に設けられた請求項3に記載の車両の内装部材。
【請求項6】
前記構造体は、前記ドアトリムの下部に設けられた請求項3に記載の車両の内装部材。
【請求項7】
前記構造体は、前記ドアトリムの上部に設けられた請求項3に記載の車両の内装部材。
【請求項8】
前記構造体は、前記ドアトリムにおけるオーナメントに設けられた請求項3に記載の車両の内装部材。
【請求項9】
前記構造体は、前記ドアトリムにおけるアームレストに設けられた請求項3に記載の車両の内装部材。
【請求項10】
前記構造体は、前記ドアトリムにおけるドアポケットに設けられた請求項3に記載の車両の内装部材。
【請求項11】
前記構造体は、前記車両のインストルメントパネルに設けられた請求項1または請求項2に記載の車両の内装部材。
【請求項12】
前記構造体は、前記車両のステアリングホイールに設けられた請求項1または請求項2に記載の車両の内装部材。
【請求項13】
前記構造体は、前記車両のルーフに設けられた請求項1または請求項2に記載の車両の内装部材。
【請求項14】
前記構造体は、前記車両のフロアに設けられた請求項1または請求項2に記載の車両の内装部材。
【請求項15】
前記構造体は、前記車両のピラーに設けられた請求項1または請求項2に記載の車両の内装部材。
【請求項16】
前記構造体は、前記車両のセンターコンソールに設けられた請求項1または請求項2に記載の車両の内装部材。
【請求項17】
前記構造体は、前記車両のシフトレバーに設けられた請求項1または請求項2に記載の車両の内装部材。
【請求項18】
前記構造体は、前記車両のシートに設けられた請求項1または請求項2に記載の車両の内装部材。
【請求項19】
前記構造体は、前記シートのサイドカバーに設けられた請求項18に記載の車両の内装部材。
【請求項20】
前記構造体は、前記シートのリクライニングカバーに設けられた請求項18に記載の車両の内装部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の内装部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両の内装部材の材料を開示する。当該材料によれば、耐傷付性に優れた内装部材が実現し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-172729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の内装部材においても、乗員が頻繁に触れると、傷がつく。このため、内装部材の意匠面の状態を維持することが難しい。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、車両において、内装部材の意匠面の状態を維持することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、車両の内装部材であって、車両に設けられ、少なくとも一部が自己修復性樹脂で形成された表面を有した構造体(25A)、を備えた。
【0007】
この態様によれば、内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0008】
上記の態様において、前記構造体は、樹脂で形成された基体(39)と、前記樹脂とは異なる自己修復性樹脂で形成された表面を有し、前記基体の表面を覆ったコーティング体(40)と、を備えてもよい。
【0009】
この態様によれば、内装部材で必要な強度を基体で実現しつつ、内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0010】
上記の態様において、前記構造体は、前記車両のドア(5)の車室側に設けられたドアトリム(29)に設けられてもよい。
【0011】
この態様によれば、乗員が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0012】
上記の態様において、前記構造体は、前記ドアトリムにおけるドアハンドル(30)の周辺に設けられてもよい。
【0013】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0014】
上記の態様において、前記構造体は、前記ドアトリムにおけるスイッチ(33)の周辺に設けられてもよい。
【0015】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0016】
上記の態様において、前記構造体は、前記ドアトリムの下部に設けられてもよい。
【0017】
この態様によれば、乗員の足が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0018】
上記の態様において、前記構造体は、前記ドアトリムの上部に設けられてもよい。
【0019】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0020】
上記の態様において、前記ドアトリムにおけるオーナメント(31)に設けられてもよい。
【0021】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0022】
上記の態様において、前記ドアトリムにおけるアームレスト(32)に設けられてもよい。
【0023】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0024】
上記の態様において、前記ドアトリムにおけるドアポケット(34)に設けられてもよい。
【0025】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0026】
上記の態様において、前記車両のインストルメントパネル(18)に設けられてもよい。
【0027】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0028】
上記の態様において、前記構造体は、前記車両のステアリングホイール(17)に設けられてもよい。
【0029】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0030】
上記の態様において、前記車両のルーフ(4)に設けられてもよい。
【0031】
この態様によれば、乗員の頭が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0032】
上記の態様において、前記構造体は、前記車両のフロア(1)に設けられてもよい。
【0033】
この態様によれば、乗員の足が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0034】
上記の態様において、前記構造体は、前記車両のピラー(2、3)に設けられてもよい。
【0035】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0036】
上記の態様において、前記構造体は、前記車両のセンターコンソール(19)に設けられてもよい。
【0037】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0038】
上記の態様において、前記構造体は、前記車両のシフトレバー(20)に設けられてもよい。
【0039】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0040】
上記の態様において、前記構造体は、前記車両のシート(6)に設けられてもよい。
【0041】
この態様によれば、乗員が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0042】
上記の態様において、前記シート6のサイドカバー(36)に設けられてもよい。
【0043】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0044】
上記の態様において、前記シート6のリクライニングカバー(37)に設けられてもよい。
【0045】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明は、車両の内装部材であって、車両に設けられ、少なくとも一部が自己修復性樹脂で形成された表面を有した構造体(25A)、を備えた。
を備えた。
【0047】
この態様によれば、内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0048】
上記の態様において、前記構造体は、樹脂で形成された基体(39)と、前記樹脂とは異なる自己修復性樹脂で形成された表面を有し、前記基体の表面を覆ったコーティング体(40)と、を備えてもよい。
【0049】
この態様によれば、内装部材で必要な強度を基体で実現しつつ、内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0050】
上記の態様において、前記構造体は、前記車両のドア(5)の車室側に設けられたドアトリム(29)に設けられてもよい。
【0051】
この態様によれば、乗員が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0052】
上記の態様において、前記構造体は、前記ドアトリムにおけるドアハンドル(30)の周辺に設けられてもよい。
【0053】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0054】
上記の態様において、前記構造体は、前記ドアトリムにおけるスイッチ(33)の周辺に設けられてもよい。
【0055】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0056】
上記の態様において、前記構造体は、前記ドアトリムの下部に設けられてもよい。
【0057】
この態様によれば、乗員の足が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0058】
上記の態様において、前記構造体は、前記ドアトリムの上部に設けられてもよい。
【0059】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0060】
上記の態様において、前記ドアトリムにおけるオーナメント(31)に設けられてもよい。
【0061】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0062】
上記の態様において、前記ドアトリムにおけるアームレスト(32)に設けられてもよい。
【0063】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0064】
上記の態様において、前記ドアトリムにおけるドアポケット(34)に設けられてもよい。
【0065】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0066】
上記の態様において、前記車両のインストルメントパネル(18)に設けられてもよい。
【0067】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0068】
上記の態様において、前記構造体は、前記車両のステアリングホイール(17)に設けられてもよい。
【0069】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0070】
上記の態様において、前記車両のルーフ(4)に設けられてもよい。
【0071】
この態様によれば、乗員の頭が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0072】
上記の態様において、前記構造体は、前記車両のフロア(1)に設けられてもよい。
【0073】
この態様によれば、乗員の足が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0074】
上記の態様において、前記構造体は、前記車両のピラー(2、3)に設けられてもよい。
【0075】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0076】
上記の態様において、前記構造体は、前記車両のセンターコンソール(19)に設けられてもよい。
【0077】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0078】
上記の態様において、前記構造体は、前記車両のシフトレバー(20)に設けられてもよい。
【0079】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0080】
上記の態様において、前記構造体は、前記車両のシート(6)に設けられてもよい。
【0081】
この態様によれば、乗員が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0082】
上記の態様において、前記シート6のサイドカバー(36)に設けられてもよい。
【0083】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0084】
上記の態様において、前記シート6のリクライニングカバー(37)に設けられてもよい。
【0085】
この態様によれば、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
図1】車室内の斜視図
図2】運転席側のドアの正面図
図3】シートの前部の斜視図
図4】構造体の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0087】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両の内装部材を自動車に適用した実施形態が説明される。
【0088】
(第1実施形態)
図1において、フロア1は、車両の床面である。フロントピラー2は、車両の前部の右側の柱である。センターピラー3は、車両の中央部の右側の柱である。ルーフ4は、車両の屋根である。運転席側のドア5は、車両の前部の右側に対して開閉自在に設けられる。運転席のシート6は、車室の前部の右側に設けられる。シート6は、シート本体7と回動装置8とスライド装置9とリクライニング装置10とを備える。
【0089】
シート本体7は、シートクッション11とシートバック12とヘッドレスト13とを備える。シートバック12は、シートクッション11の後部に設けられる。ヘッドレスト13は、シートバック12の上部に設けられる。
【0090】
スライド装置9は、一対のロアレール14と一対のアッパーレール15とを備える。一対のロアレール14は、長手方向を前後方向にして設けられる。一対のアッパーレール15は、長手方向を前後方向にしてシートクッション11の下面に設けられる。一対のアッパーレール15は、一対のロアレール14に前後方向にそれぞれ案内される。
【0091】
回動装置8は、スライド装置9のアッパーレール15とシートクッション11との間に設けられる。回動装置8は、アッパーレール15に対してシートクッション11を鉛直軸回りに回動自在に支持する。
【0092】
リクライニング装置10は、シートクッション11の後部とシートバック12の下部とを連結する。リクライニング装置10は、シートクッション11に対してシートバック12を水平軸回りに回動自在に支持する。リクライニング装置10は、シートクッション11に対してシートバック12を任意の角度に支持する。
【0093】
シート用制御装置16は、シートクッション11の下部に設けられる。シート用制御装置16は、シート本体7の動作を制御する機能を備える。
【0094】
ステアリングホイール17は、車室の前部の右側においてシート6の前方に設けられる。インストルメントパネル18は、車室の前部に設けられる。センターコンソール19は、車室においてシート6の左側に設けられる。シフトレバー20は、センターコンソール19の前部に設けられる。ダッシュボードDは、助手席の側においてインストルメントパネル18の下方に設けられる。
【0095】
ナビゲーションシステム21は、インストルメントパネル18に収納される。ナビゲーションシステム21は、表示装置22と音声出力装置23とナビゲーション用制御装置24とを備える。
【0096】
表示装置22は、情報を表示する機能を備える。音声出力装置23は、情報を音声で出力する機能を備える。ナビゲーション用制御装置24は、表示装置22と音声出力装置23とを制御する機能を備える。
【0097】
例えば、ナビゲーション用制御装置24は、人工衛星を利用したGPS(Global Positioning System)信号等の測位信号を受信して、車両の現在位置を検出する。ナビゲーション用制御装置24は、現在位置から目的地までの経路を探索する。ナビゲーション用制御装置24は、現在位置から目的地までの経路に関する情報を表示装置22に表示させたり音声出力装置23に音声で出力させたりする。
【0098】
図1において、複数の構造体25A~25Gは、内装部材の少なくとも一部に設けられる。各構造体25A~25Gの表面において、少なくとも一部は、自己修復樹脂で形成される。
【0099】
例えば、構造体25A~25Gは、インストルメントパネル18の中央部に設けられる。例えば、構造体25Bは、ステアリングホイール17において全体的に設けられる。例えば、構造体25Cは、ルーフ4において全体的に設けられる。例えば、構造体25Dは、フロア1において全体的に設けられる。例えば、構造体25Eは、フロントピラー2において全体的に設けられる。例えば、構造体25Fは、センターピラー3において全体的に設けられる。例えば、構造体25Gは、センターコンソール19の上部において全体的に設けられる。構造体25Hは、シフトレバー20のグリップ部において全体的に設けられる。構造体25Jは、ダッシュボードDにおいて全体的に設けられる。
【0100】
図2において、図示されないアウタパネルは、ドア5の外面となる。アウタパネルの上部は、開口する。インナパネル27は、アウタパネルの車室側に設けられる。インナパネル27の上部は、開口する。ウィンドウガラス28は、アウタパネルとインナパネル27との間に設けられる。ウィンドウガラス28は、アウタパネルとインナパネル27との開口部に対して開閉自在に設けられる。ドアトリム29は、インナパネル27の下部の車室側に設けられる。ドアトリム29は、車室の側面となる。
【0101】
ドアハンドル30は、ドアトリム29の上部かつ前部に設けられる。オーナメント31は、ドアトリム29の上部かつ後部に設けられる。アームレスト32は、ドアトリム29の上下方向の中間部に設けられる。アームレスト32は、ドアトリム29から車室の側に張り出す。アームレスト32は、前後方向に沿って延在する。スイッチ33は、アームレスト32の前部の上面に設けられる。スイッチ33は、ウィンドウガラス28を昇降する際に使用される。ドアポケット34は、アームレスト32の下方においてドアトリム29の下部に設けられる。ドアポケット34は、上方に開口する。
【0102】
図2において、複数の構造体35A~35Gは、内装部材の少なくとも一部に設けられる。各構造体35A~35Gの表面において、少なくとも一部は、自己修復樹脂で形成される。図2において、各構造体35A~35Gが配置される領域が模式的に図示される。
【0103】
例えば、構造体35Aは、ドアハンドル30の周辺に設けられる。例えば、構造体35Bは、アームレスト32においてスイッチ33の周辺に設けられる。例えば、構造体35Cは、ドアトリム29の下縁部に設けられる。例えば、構造体35Dは、ドアトリム29の上縁部かつ前部に設けられる。例えば、構造体35Eは、ドアトリム29の上縁部かつ後部に設けられる。例えば、構造体35Fは、オーナメント31に設けられる。例えば、構造体35Gは、ドアポケット34に設けられる。
【0104】
図3に示されるように、シート6は、サイドカバー36とリクライニングカバー37とを備える。サイドカバー36は、シートクッション11の右側部を覆う。リクライニングカバー37は、リクライニング装置10の右端部を覆う。
【0105】
図3において、複数の構造体38A、38Bは、内装部材の少なくとも一部に設けられる。各構造体38A、38Bの表面において、少なくとも一部は、自己修復樹脂で形成される。
【0106】
例えば、構造体38Aは、サイドカバー36において全体的に設けられる。例えば、構造体38Bは、リクライニングカバー37において全体的に設けられる。
【0107】
図4は構造体25Aの構造の例を示す。構造体25Aは、基体39とコーティング体40とを備える。基体39は、ポリプロピレン等の樹脂で形成される。コーティング体40の表面は、基体39の樹脂とは異なる自己修復性樹脂で形成される。コーティング体40は、基体39の表面を覆う。
【0108】
例えば、自己修復性樹脂は、活性エネルギー線硬化性組成物が活性エネルギー線の照射により硬化した樹脂である。この際の活性エネルギー線は、紫外線、可視光線、赤外線、電子線、β線、γ線等である。例えば、自己修復性樹脂は、ポリアミド化合物で形成されたポリマーである。
【0109】
活性エネルギー線硬化性組成物は、公知の組成物を適用可能である。活性エネルギー線硬化性化合物は、例えば分子内に重合性二重結合基を含有する化合物(モノマーやオリゴマー)を含む。ここで、重合性二重結合基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アリル基、ビニル基等が挙げられる。
【0110】
活性エネルギー線硬化性組成物は、ポリエーテル骨格のウレタン(メタ)アクリレート化合物、ポリカプロラクトン骨格のウレタン(メタ)アクリレート化合物およびポリカーボネート骨格のウレタン(メタ)アクリレート化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましく、少なくともポリエーテル骨格のウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有することがより好ましい。また、後述する自己修復性積層体のクラック伸度を大きくするという観点から、活性エネルギー線硬化性組成物は、ポリカーボネート骨格のウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有することが好ましい。
【0111】
活性エネルギー線硬化性組成物は、例えば、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、一官能エチレン性不飽和モノマー、樹脂微粒子、及び光重合開始剤を含有してもよい。また、活性エネルギー線硬化性組成物は、例えば、同一分子内に水酸基と活性エネルギー線硬化性の環状イミド基を有する化合物と、酸無水物とのハーフエステル、及び分子内に一つ以上のグリシジル基を有するエポキシ化合物とを反応させた化合物を含有してもよい。
【0112】
例えば、コーティング体40は、複数の層を備える。この場合、最表層が自己修復性樹脂の層となる。当該コーティング体40は、フィルムインサート成形により基体39と一体化される。例えば、コーティング体40は、活性エネルギー線硬化性組成物が基体39に塗布されたうえで活性エネルギー線の照射により硬化することで形成される。
【0113】
構造体25B~25J、35A~35G、38A、39Aも、構造体25Aと同様の構造である。
【0114】
以上で説明された車両の内装部材によれば、構造体25A等の表面において、少なくとも一部は、自己修復性樹脂で形成される。乗員が構造体25A等の表面に触れることで傷が当該構造体の表面に付いた場合、当該傷は、自己修復性樹脂の機能により修復される。このため、内装部材の意匠面の状態を維持することができる。その結果、内装部材の見栄えの良さを維持することができる。
【0115】
また、コーティング体40は、基体39の表面を覆う。このため、内装部材で必要な強度を基体39で実現しつつ、内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0116】
例えば、構造体35A等は、ドアトリム29に設けられる。このため、乗員が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0117】
例えば、構造体35Aは、ドアハンドル30の周辺に設けられる。このため、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0118】
例えば、構造体35Bは、スイッチ33の周辺に設けられる。このため、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0119】
例えば、構造体35Cは、ドアトリム29の下部に設けられる。このため、乗員の足が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0120】
例えば、構造体35D、35Eは、ドアトリム29の上部に設けられる。このため、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0121】
例えば、構造体35Fは、オーナメント31に設けられる。このため、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0122】
例えば、構造体35Bは、アームレスト32に設けられる。このため、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0123】
例えば、構造体35Gは、ドアポケット34に設けられる。このため、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0124】
例えば、構造体25Aは、インストルメントパネル18に設けられる。このため、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0125】
例えば、構造体25Bは、ステアリングホイール17に設けられる。このため、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0126】
例えば、構造体25Cは、ルーフ4に設けられる。このため、乗員の頭が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0127】
例えば、構造体25Dは、フロア1に設けられる。このため、乗員の足が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0128】
例えば、構造体25Eは、フロントピラー2に設けられる。構造体25Fは、センターピラー3に設けられる。このため、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0129】
例えば、構造体25Gは、センターコンソール19に設けられる。このため、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0130】
例えば、構造体25Hは、シフトレバー20に設けられる。このため、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0131】
例えば、構造体38A等は、シート6に設けられる。このため、乗員が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0132】
例えば、構造体38Aは、サイドカバー36に設けられる。このため、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0133】
例えば、構造体38Bは、リクライニングカバー37に設けられる。このため、乗員の手が触れやすい箇所において内装部材の意匠面の状態を維持することができる。
【0134】
なお、自己修復性樹脂は、紫外線による劣化を避けた方が好ましい。このため、車両において直射日光が当たりにくい箇所において構造体を用いることがより好ましい。本実施形態においては、ドアハンドル30の周辺、スイッチ33の周辺、ドアトリム29の下部、アームレスト32、ドアポケット34、サイドカバー36、リクライニングカバー37であれば、直射日光が当たりにくい。これらの箇所の構造体35A等においては、紫外線による劣化を抑制することができる。
【0135】
以上で具体的実施形態および具体的変形例の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、自己修復樹脂で強度を保てれば、自己修復樹脂のみで内装部材を製造してもよい。
【符号の説明】
【0136】
1 :フロア
2 :フロントピラー
3 :センターピラー
4 :ルーフ
5 :ドア
6 :シート
17 :ステアリングホイール
18 :インストルメントパネル
19 :センターコンソール
20 :シフトレバー
25A~25J :構造体
29 :ドアトリム
30 :ドアハンドル
31 :オーナメント
32 :アームレスト
33 :スイッチ
34 :ドアポケット
35A~35G :構造体
36 :サイドカバー
37 :リクライニングカバー
38A、38B :構造体、
39 :基体
40 :コーティング体
図1
図2
図3
図4