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  • 特開-防振ブッシュ 図1
  • 特開-防振ブッシュ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133727
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】防振ブッシュ
(51)【国際特許分類】
   F16F 1/38 20060101AFI20230920BHJP
   F16F 15/08 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
F16F1/38
F16F1/38 S
F16F15/08 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038869
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】522297236
【氏名又は名称】株式会社プロスパイラ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】脇田 靖之
【テーマコード(参考)】
3J048
3J059
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048AD05
3J048BA19
3J048BD01
3J048EA01
3J048EA15
3J059BA42
3J059BC05
3J059EA06
3J059EA13
3J059GA02
3J059GA09
(57)【要約】
【課題】内側部材の取付部の形状が異なっても、同じモールドを用いて弾性体を加硫成形することができる。
【解決手段】振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に取付けられる外筒11、および他方に取付けられるとともに、外筒の内側に配設された内側部材12と、外筒と内側部材とを連結した弾性体13と、を備え、内側部材は、外筒の中心軸線Oが延びる軸方向に延びるとともに、弾性体が連結された筒部14と、筒部内に挿入される平板部15と、を備え、平板部の軸方向の両端部は、筒部から軸方向に突出し、かつ振動発生部および振動受部のうちのいずれか他方に取付けられ、筒部内において、平板部との間に位置する隙間部分に、樹脂材料が充填され、樹脂材料は、筒部と平板部とを接着する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に取付けられる外筒、および他方に取付けられるとともに、前記外筒の内側に配設された内側部材と、
前記外筒と前記内側部材とを連結した弾性体と、を備え、
前記内側部材は、
前記外筒の中心軸線が延びる軸方向に延びるとともに、前記弾性体が連結された筒部と、
前記筒部内に挿入される平板部と、を備え、
前記平板部の前記軸方向の両端部は、前記筒部から前記軸方向に突出し、かつ振動発生部および振動受部のうちのいずれか他方に取付けられ、
前記筒部内において、前記平板部との間に位置する隙間部分に、樹脂材料が充填され、
前記樹脂材料は、前記筒部と前記平板部とを接着する、防振ブッシュ。
【請求項2】
前記筒部の内周面に、前記平板部の表裏面を径方向に挟み込む一対の係止突起が形成されている、請求項1に記載の防振ブッシュ。
【請求項3】
前記筒部の前記軸方向の両端部は、前記外筒から前記軸方向に突出している、請求項1または2に記載の防振ブッシュ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振ブッシュに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に取付けられる外筒、および他方に取付けられるとともに、外筒の内側に配設された内側部材と、外筒と内側部材とを連結した弾性体と、を備えた防振ブッシュが知られている。
内側部材において、振動発生部および振動受部のうちのいずれか他方に取付けられる取付部の形状は、一般に平板状、若しくは筒状となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-169829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の防振ブッシュでは、内側部材をインサート品として弾性体を加硫成形するモールドを、内側部材の取付部の形状に応じて変更する必要があった。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、内側部材の取付部の形状が異なっても、同じモールドを用いて弾性体を加硫成形することができる防振ブッシュを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の防振ブッシュは、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に取付けられる外筒、および他方に取付けられるとともに、前記外筒の内側に配設された内側部材と、前記外筒と前記内側部材とを連結した弾性体と、を備え、前記内側部材は、前記外筒の中心軸線が延びる軸方向に延びるとともに、前記弾性体が連結された筒部と、前記筒部内に挿入される平板部と、を備え、前記平板部の前記軸方向の両端部は、前記筒部から前記軸方向に突出し、かつ振動発生部および振動受部のうちのいずれか他方に取付けられ、前記筒部内において、前記平板部との間に位置する隙間部分に、樹脂材料が充填され、前記樹脂材料は、前記筒部と前記平板部とを接着する。
【0007】
内側部材が、筒部および平板部を備えているので、内側部材において、振動発生部および振動受部のうちのいずれか他方に取付けられる取付部の形状が、平板状の場合は平板部を用い、筒状の場合は、平板部が挿入されていない筒部を用いることが可能になり、内側部材の取付部の形状を選択することができる。
弾性体が、内側部材のうちの筒部に連結されているので、平板部を筒部内に挿入せず、筒部のみをインサート品として弾性体を加硫成形しておき、内側部材の取付部の形状が平板状の場合には、その後、筒部内に平板部を挿入して前記隙間部分に樹脂材料を充填し、筒部と平板部とを接着すればよく、内側部材の取付部の形状に依らず、常に筒部のみをインサート品として弾性体を加硫成形することが可能になり、同じモールドを用いることができる。
【0008】
前記筒部の内周面に、前記平板部の表裏面を径方向に挟み込む一対の係止突起が形成されてもよい。
【0009】
筒部の内周面に、平板部の表裏面を径方向に挟み込む一対の係止突起が形成されているので、筒部内の前記隙間部分に溶融状態の樹脂材料を注入するとき、および使用時に、平板部が筒部に対して位置ずれするのを抑制することができる。
【0010】
前記筒部の前記軸方向の両端部は、前記外筒から前記軸方向に突出してもよい。
【0011】
筒部における軸方向の両端部が、外筒から軸方向に突出しているので、筒部における軸方向の両端部を、振動発生部および振動受部のうちのいずれか他方に取付けられる取付部として用いる場合に、この取付部を振動発生部および振動受部のうちのいずれか他方に容易に取付けることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、内側部材の取付部の形状が異なっても、同じモールドを用いて弾性体を加硫成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態として示した防振ブッシュの縦断面図である。
図2図1のII-II線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、防振ブッシュの一実施形態を、図1および図2を参照しながら説明する。
防振ブッシュ1は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に取付けられる外筒11、および他方に取付けられるとともに、外筒11の内側に配設された内側部材12と、外筒11と内側部材12とを連結した弾性体13と、を備えている。
【0015】
防振ブッシュ1は、例えば自動車用のサスペンションブッシュやエンジンマウント、あるいは工場に設置される産業機械のマウント等として用いられる。
以下、外筒11の中心軸線Oに沿う方向を軸方向という。また、防振ブッシュ1を軸方向から見た平面視において、中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0016】
弾性体13は、ゴム材料で形成されている。弾性体13は、外筒11の内周面に加硫接着されている。
内側部材12は、軸方向に延びるとともに、弾性体13が連結された筒部14と、筒部14内に挿入される平板部15と、を備えている。筒部14および平板部15は、例えば金属材料等で形成されている。筒部14の外周面に、弾性体13が加硫接着されている。
【0017】
筒部14は、中心軸線Oと同軸に配設されている。筒部14の軸方向の両端部は、外筒11から軸方向に突出している。筒部14の内周面に、平板部15の表裏面を径方向に挟み込む一対の係止突起16が形成されている。係止突起16は、軸方向に延びる直方体状に形成されている。係止突起16における軸方向の両端面は、筒部14における軸方向の両端開口縁と段差無く連なっている。一対の係止突起16における径方向の内端面が、平板部15の表裏面に各別に当接している。
【0018】
平板部15の軸方向の両端部は、筒部14から軸方向に突出し、かつ振動発生部および振動受部のうちのいずれか他方に取付けられる。平板部15の軸方向の両端部に、振動発生部および振動受部のうちのいずれか他方に平板部15を取付けるための装着孔15aが形成されている。この装着孔15aは、平板部15を板厚方向に貫く貫通孔となっている。この板厚方向は、係止突起16が、筒部14の内周面から径方向に突出している方向と一致している。軸方向から見て、平板部15の側面は、筒部14の内周面に当接、若しくは近接している。軸方向から見て、平板部15における軸方向の両端面の中心に、中心軸線Oが位置している。つまり、平板部15は、中心軸線Oと同軸に配設されている。
【0019】
筒部14内において、平板部15との間に位置する隙間部分に、樹脂材料17が充填されている。樹脂材料17は、筒部14と平板部15とを接着している。樹脂材料17は、筒部14内における軸方向の全長にわたって設けられている。
【0020】
次に、以上のように構成された防振ブッシュ1の製造方法について説明する。
【0021】
まず、外筒11および筒部14をインサート品として、弾性体13を加硫成形し、かつ弾性体13を外筒11の内周面および筒部14の外周面に加硫接着する。
そして、内側部材12において、振動発生部および振動受部のうちのいずれか他方に取付けられる取付部の形状が、平板状の場合には、平板部15を筒部14内に挿入した状態で、筒部14内において、平板部15との間に位置する隙間部分に、樹脂材料17を射出成形により充填し、樹脂材料17により筒部14と平板部15とを接着する。
【0022】
以上説明したように、本実施形態による防振ブッシュ1によれば、内側部材12が、筒部14および平板部15を備えているので、内側部材12において、振動発生部および振動受部のうちのいずれか他方に取付けられる取付部の形状が、平板状の場合は平板部15を用い、筒状の場合は、平板部15が挿入されていない筒部14を用いることが可能になり、内側部材12の取付部の形状を選択することができる。
【0023】
弾性体13が、内側部材12のうちの筒部14に連結されているので、平板部15を筒部14内に挿入せず、筒部14のみをインサート品として弾性体13を加硫成形しておき、内側部材12の取付部の形状が平板状の場合には、その後、筒部14内に平板部15を挿入して前記隙間部分に樹脂材料17を充填し、筒部14と平板部15とを接着すればよく、内側部材12の取付部の形状に依らず、常に筒部14のみをインサート品として弾性体13を加硫成形することが可能になり、同じモールドを用いることができる。
【0024】
筒部14の内周面に、平板部15の表裏面を径方向に挟み込む一対の係止突起16が形成されているので、筒部14内の前記隙間部分に溶融状態の樹脂材料17を注入するとき、および使用時に、平板部15が筒部14に対して位置ずれするのを抑制することができる。
【0025】
筒部14における軸方向の両端部が、外筒11から軸方向に突出しているので、筒部14における軸方向の両端部を、振動発生部および振動受部のうちのいずれか他方に取付けられる取付部として用いる場合に、この取付部を振動発生部および振動受部のうちのいずれか他方に容易に取付けることができる。
【0026】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0027】
例えば、係止突起16における径方向の内端面は、平板部15の表裏面から径方向に離れてもよい。
筒部14の内周面に、係止突起16を設けなくてもよい。
平板部15の側面は、筒部14の内周面から径方向に離れてもよい。
外筒11および筒部14それぞれにおける軸方向の端部は、軸方向の同じ位置に位置してもよい。
【0028】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 防振ブッシュ
11 外筒
12 内側部材
13 弾性体
14 筒部
15 平板部
16 係止突起
17 樹脂材料
O 中心軸線
図1
図2