(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133754
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】加温装置
(51)【国際特許分類】
C21D 1/44 20060101AFI20230920BHJP
C21D 9/28 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
C21D1/44
C21D9/28 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038925
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】木村 亮二
(72)【発明者】
【氏名】野中 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】橘 秀基
【テーマコード(参考)】
4K042
【Fターム(参考)】
4K042AA14
4K042BA14
4K042DB08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】熱処理されたワークを適切な温度で加温することができる加温装置を提供する。
【解決手段】加温装置1は、槽2と、ワークを保持するワーク保持機構10と、前記ワーク保持機構10に保持された前記ワークが前記液体内に入り又は前記液体から出るように前記ワーク保持機構10を鉛直方向に移動させるとともに、前記ワークが水平方向に対して傾斜するように前記ワーク保持機構10を回動させる昇降機構20と、前記昇降機構20の動作を制御する制御装置30と、を備え、前記制御装置30は、前記昇降機構20に、前記ワーク保持機構10を下降させ、前記ワークを前記液体内に浸す下降動作と、前記下降動作の後に前記ワーク保持機構10を上昇させ、前記ワークを前記液体から出す上昇動作と、前記上昇動作の後に前記ワーク保持機構10を回動させ、前記ワークを傾斜させる水切り動作と、を行わせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する槽と、
ワークを保持するワーク保持機構と、
前記ワーク保持機構に保持された前記ワークが前記液体内に入り又は前記液体から出るように前記ワーク保持機構を鉛直方向に移動させるとともに、前記ワークが水平方向に対して傾斜するように前記ワーク保持機構を回動させる昇降機構と、
前記昇降機構の動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記昇降機構に、
前記ワーク保持機構を下降させ、前記ワークを前記液体内に浸す下降動作と、
前記下降動作の後に前記ワーク保持機構を上昇させ、前記ワークを前記液体から出す上昇動作と、
前記上昇動作の後に前記ワーク保持機構を回動させ、前記ワークを傾斜させる水切り動作と、
を行わせる、加温装置。
【請求項2】
前記ワークが車両のシャフトであって、
前記下降動作では、前記制御装置は、前記シャフトが水平姿勢で下降するように前記昇降機構を動作させる、
請求項1に記載の加温装置。
【請求項3】
前記ワークが車両のシャフトであって、
前記水切り動作では、前記制御装置は、前記昇降機構に、
前記ワークが、前記ワークの一端側が他端側よりも低くなる第1傾斜姿勢に傾斜するように、前記ワーク保持機構を回動させる第1動作と、
前記ワークが、前記ワークの前記他端側が前記一端側よりも低くなる第2傾斜姿勢に傾斜するように、前記ワーク保持機構を回動させる第2動作と、
を行わせる、
請求項1又は2に記載の加温装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記第1動作において前記ワークが傾斜する角度と、前記第2動作において前記ワークが傾斜する角度と、前記ワークの種別とを関連付けて記憶する記憶部を有し、
操作者から前記ワークの種別の入力を受け付けた場合に、前記記憶部を参照して、前記昇降機構に入力された前記ワークの種別に対応する傾斜角度で前記第1動作及び前記第2動作を行わせる、
請求項3に記載の加温装置。
【請求項5】
前記ワーク保持機構は、
前記ワークの一部を保持するワーク受けと、
前記ワーク受けが取り付けられるアーム部材と、
を有し、
前記ワーク受けは、前記アーム部材に対して交換可能に設けられている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の加温装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加温装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のシャフトなどの鋼材部品の表面全体に対して表面硬化処理が実施され、鋼材部品を硬化させる技術が知られている。表面硬化処理としては、焼入れ、浸炭焼入れ、窒化焼入れ又は浸炭窒化焼入れ等の熱処理が行われる(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
熱処理された鋼材部品は、後処理工程において例えば電気式加熱炉で加温され、その後、曲がりを矯正する工程が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気式加熱炉でシャフト等のワークを加熱する場合、例えばワークが高温となりすぎるなど適切な温度で加温し難いという問題があった。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、熱処理されたワークを適切な温度で加温することができる加温装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様においては、液体を収容する槽と、ワークを保持するワーク保持機構と、前記ワーク保持機構に保持された前記ワークが前記液体内に入り又は前記液体から出るように前記ワーク保持機構を鉛直方向に移動させるとともに、前記ワークが水平方向に対して傾斜するように前記ワーク保持機構を回動させる昇降機構と、前記昇降機構の動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記昇降機構に、前記ワーク保持機構を下降させ、前記ワークを前記液体内に浸す下降動作と、前記下降動作の後に前記ワーク保持機構を上昇させ、前記ワークを前記液体から出す上昇動作と、前記上昇動作の後に前記ワーク保持機構を回動させ、前記ワークを傾斜させる水切り動作と、を行わせる、加温装置が提供される。
【0008】
前記ワークが車両のシャフトであって、前記下降動作では、前記制御装置は、前記シャフトが水平姿勢で下降するように前記昇降機構を動作させてもよい。
【0009】
前記ワークが車両のシャフトであって、前記水切り動作では、前記制御装置は、前記昇降機構に、前記ワークが、前記ワークの一端側が他端側よりも低くなる第1傾斜姿勢に傾斜するように、前記ワーク保持機構を回動させる第1動作と、前記ワークが、前記ワークの前記他端側が前記一端側よりも低くなる第2傾斜姿勢に傾斜するように、前記ワーク保持機構を回動させる第2動作と、とを行わせてもよい。
【0010】
前記制御装置は、前記第1動作において前記ワークが傾斜する角度と、前記第2動作において前記ワークが傾斜する角度と、前記ワークの種別とを関連付けて記憶する記憶部を有し、操作者から前記ワークの種別の入力を受け付けた場合に、前記記憶部を参照して、前記昇降機構に入力された前記ワークの種別に対応する傾斜角度で前記第1動作及び前記第2動作を行わせてもよい。
【0011】
前記ワーク保持機構は、前記ワークの一部を保持するワーク受けと、前記ワーク受けが取り付けられるアーム部材と、を有し、前記ワーク受けは、前記アーム部材に対して交換可能に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、熱処理されたワークを適切な温度で加温することができる加温装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態の加温装置の斜視図である。
【
図5】加温装置の動作の一例のフローチャートである。
【
図6】ワーク受けが交換可能に構成されていることを説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施形態の加温装置1の斜視図である。
図2は、ワーク保持機構10の一部を示す。実施形態では、ワークとして車両のシャフト5を例示する。
【0015】
加温装置1は、熱処理された後のシャフト5を加温するための装置である。加温装置1は、槽2と、ワーク保持機構10と、昇降機構20と、制御装置30とを備える。
【0016】
槽2は、温水を収容する容器である。槽2は、水平な姿勢のシャフト5を収容できる形状に形成されている。槽2は、水を所定の温度に加温し、その温度を保つための加温手段(不図示)を有している。加温装置1の動作時、加温手段は、例えば水を60°程度まで温めて保温する。
【0017】
(ワーク保持機構10)
ワーク保持機構10は、シャフト5を保持するための機構である。ワーク保持機構10は、ワーク受け11と、アーム部材15とを有する。シャフト5は、どのような形状であってもよいが、
図1の例では、一例としてシャフト5の両端に内孔5a及び内孔5bが形成されている。
【0018】
ワーク受け11は、シャフト5を保持する部品であり、
図2に示すように、一対の受け部材12と、支持部材13とを有する。受け部材12には、凹部12aが形成されており、この凹部12aにシャフト5が載せられる。凹部12aの形状、及び、受け部材12どうしの間隔は、シャフト5の形状に基づき設計されている。ワーク受け11は、アーム部材15に対して交換可能に設けられていてもよい。ワーク受け11の交換を可能にするための具体的な構造については、
図6及び
図7を参照して後述する。なお、受け部材12は3つ以上設けられていてもよい。
【0019】
アーム部材15は、ワーク受け11が取り付けられる部材である。アーム部材15は、具体的には、槽2の上方で鉛直方向に延在しており、上端側が昇降機構20に固定され、下端側にワーク受け11が取り付けられる。
【0020】
(昇降機構20)
昇降機構20は、鉛直駆動部21と、回動駆動部22とを有する。昇降機構20は、ワーク保持機構10に保持されたシャフト5が温水内に入り又は温水から出るようにワーク保持機構10を鉛直方向に移動させる。昇降機構20は、また、シャフト5が水平方向に対して傾斜するようにワーク保持機構10を回動させる。
【0021】
鉛直駆動部21は、支柱部材21aと、駆動源(不図示)とを有している。支柱部材21aは、鉛直方向に延在しており、ワーク保持機構10を鉛直方向に移動可能な状態で支持している。駆動源は、例えばモータであり、この駆動源からの駆動力によってワーク保持機構10が鉛直方向に移動する。
【0022】
回動駆動部22は、ワーク保持機構10を軸Axを中心に回動させるための機構である。軸Axは、一例として水平方向に延在する軸である。軸Axは、アーム部材15の上端側に位置している。回動駆動部22は例えばモータ等の駆動源を有し、この駆動源からの駆動力によって、回動駆動部22はワーク保持機構10を軸Ax周りに回動させる。
【0023】
(制御装置30)
制御装置30は、昇降機構20の動作を制御するための制御回路であり、不図示の記憶部を有する。制御装置30は、昇降機構20に、下降動作、上昇動作、及び水切り動作(回動動作)を行わせる。
図3は、下降動作を説明するための図である。
図4は、水切り動作を説明するための図である。
【0024】
下降動作では、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、昇降機構20は、ワーク保持機構10に保持されたシャフト5が槽2の温水に浸されるように、ワーク保持機構10を下降させる。昇降機構20は、一例として、シャフト5を水平な姿勢で下降させる。
【0025】
上昇動作では、昇降機構20は、ワーク保持機構10に保持されたシャフト5が槽2から出るように、ワーク保持機構10を上昇させる。制御装置30は、シャフト5が水の中に浸されている時間が所定の時間に達したら、ワーク保持機構10を上昇させる。具体的には、制御装置30は、ワーク保持機構10を下降させた後、所定の時間が経過したら、ワーク保持機構10を上昇させる。
【0026】
シャフト5を温水に浸す時間(加温時間)は、シャフト5の形状、シャフト5の材質、熱処理の内容、及び水の温度等によって決定される。制御装置30は、例えば、操作者からの加温時間の入力を受け付け、入力された時間(一例として「90秒」)を加温時間に設定してもよい。
【0027】
制御装置30の記憶部が、シャフト5の種別と加温時間とを関連付けて記憶していてもよい。制御装置30は、操作者からシャフト5の種別の入力を受け付けた場合に、記憶部を参照して、入力されたシャフト5に対応する加温時間を読み出し、読み出した時間を加温時間として設定してもよい。
【0028】
水切り動作では、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、昇降機構20は、シャフト5から水を落下させるために、シャフト5を傾斜させる。制御装置30は、昇降機構20に、
図4(a)のように、シャフト5が第1傾斜姿勢にとなるようにワーク保持機構10を回動させる第1動作と、
図4(a)のように、シャフト5が第2傾斜姿勢に傾斜するようにワーク保持機構10を回動させる第2動作とを行わせる。
【0029】
第1傾斜姿勢は、一例としてシャフト5の一端側(図面の右側)が低くなる姿勢のことをいう。第2傾斜姿勢は、一例としてシャフト5の他端側(図面の左側)が低くなる姿勢のことをいう。シャフト5が温水から引き上げられた後に、このようにシャフト5を傾斜させることで、水平姿勢では落下させることができないシャフト5内の水を落下させることができる。
【0030】
第1動作及び第2動作におけるシャフト5の傾斜角度は、対象のシャフト5の形状に応じて決定される。制御装置30は、例えば、操作者からの傾斜角度の入力を受け付け、入力された角度(一例として、第1動作が水平方向に対して「20°」、第2動作が水平方向に対して「90°」)を傾斜角度に設定してもよい。シャフト5の形状によっては、シャフト5は左右両方に傾斜させられる必要はなく、左右いずれか一方のみに傾斜させられてもよい。なお、シャフト5には、軸方向だけはなく、例えば径方向に凹部や孔が形成されていることもある。シャフト5の傾斜角度は、こうした凹部や孔から水を除去することができるような角度に設定されることが好ましい。
【0031】
制御装置30の記憶部が、第1動作のシャフト5の傾斜角度と、第2動作の傾斜角度と、シャフト5の種別とを関連付けて記憶していてもよい。制御装置30は、操作者からシャフト5の種別の入力を受け付けた場合に、記憶部を参照して、入力されたシャフト5に対応する傾斜角度で、昇降機構20に第1動作及び前記第2動作を行わせてもよい。
【0032】
制御装置30は、例えば、下降動作、上昇動作、及び水切り動作の一連の動作を含むシーケンス動作を行う。制御装置30の記憶部は、一例として、各動作の動作条件(一例として、昇降機構20の移動速度、シャフト5に浸す時間、水切り動作の傾斜角度など)を記憶している。記憶部は、シャフト5の種別ごとに異なる動作条件を記憶しており、操作者からの入力に応じて制御装置30が入力されたシャフト5に対応する動作条件を決定し、その動作条件で昇降機構20を動作させてもよい。
【0033】
(加温装置1の動作)
以下、加温装置1の動作例について説明する。
図5は、加温装置1の動作の一例のフローチャートである。加温装置1が動作を開始する前に、操作者によって、対象のシャフト5を保持するためのワーク受け11がアーム部材15に取り付けられているものとする。シャフト5は、ワーク保持機構10に水平な姿勢で保持されているものとする。槽2の水は約60°に保温されているものとする。
【0034】
まず、ステップS1において、制御装置30は、
図3(a)及び
図3(b)に示す通り、昇降機構20がワーク保持機構10を下降させるように、昇降機構20の動作を制御する。これにより、シャフト5が槽内の温水に浸される。
【0035】
制御装置30は、昇降機構20が下降した後、所定の時間のあいだ昇降機構20を下降位置に保持させる(ステップS2)。これにより、シャフト5が所定の時間のあいだ槽内で保持され、温水によって加温される。シャフト5の加温時間は例えば90秒である。シャフト5が温水に浸されることで、熱処理によって生じた残留応力が緩和される。その結果、後工程であるシャフト5の曲げ矯正加工においてシャフト5の損傷が生じ難くなる。
【0036】
次いで、ステップS3において、制御装置30は、昇降機構20がワーク保持機構10を上昇させるように、昇降機構20の動作を制御する。これにより、シャフト5が温水から引き上げられる。なお、後で行われる水切り動作において昇降機構20がシャフト5を傾斜させた場合にシャフト5の端部が温水に接しないように、シャフト5は十分な高さまで持ち上げられる。
【0037】
次いで、ステップS4において、制御装置30は、昇降機構20に水切り動作の第1動作を行わせる。具体的には、制御装置30は昇降機構20の動作を制御し、
図4(a)に例示するように、昇降機構20がワーク保持機構10を軸Axを中心として時計回りに回動させる。これにより、シャフト5は、図示右側の端部が下方となるような姿勢で傾斜する。
【0038】
このようにシャフト5が傾くことで、例えば、シャフト5の内孔5aに溜まっていた水を落下させることができる。シャフト5の傾斜角度は任意であるが、一例として水平方向に対して20°であってもよい。
【0039】
次いで、ステップS5において、昇降機構20に水切り動作の第2動作を行わせる。具体的には、制御装置30は昇降機構20の動作を制御し、
図4(b)に例示するように、昇降機構20がワーク保持機構10を軸Axを中心として反時計回りに回動させる。これにより、シャフト5は、図示左側の端部が下方となるような姿勢で傾斜する。
【0040】
このようにシャフト5が傾くことで、例えば、シャフト5の内孔5bに溜まっていた水を落下させることができる。シャフト5の傾斜角度は任意であるが、一例として水平方向に対して90°であってもよい。
【0041】
その後、ステップS6において、制御装置30は、シャフト5が所定の取り外し姿勢となるように、昇降機構20を動作させ、ワーク保持機構10を軸Ax周りに回動させる。「取り外し姿勢」は、例えばシャフト5が水平となる姿勢であってもよいし、シャフト5が鉛直となる姿勢であってもよい。
【0042】
上述した一連の工程により、加温装置1は、シャフト5を槽内の水に浸す下降動作と、シャフト5を水から出す上昇動作と、シャフト5の水を落とす水切り動作とを含む一連の動作を自動的に行う。
【0043】
以上説明した本実施形態の加温装置1によれば、シャフト5が温水に浸されて残留応力が除去されるとともに、水切り動作によって、シャフト5に溜まった水を良好に落下させることができる。
【0044】
<変形例>
図6は、ワーク受け11が交換可能に構成されていることを説明するための斜視図である。
図7は、ワーク受け11のみを示す斜視図である。
【0045】
加温装置1において、ワーク保持機構10は、ワーク受け11が交換可能に構成されていてもよい。このような構成によれば、シャフト5の種別に応じた形状に設けられた複数のワーク受け11のうちの1つを選択的にワーク保持機構10に対して取り付けることができる。したがって、加温装置1は、様々な種別のシャフト5を保持可能となる。
【0046】
具体的には、一例として、支持部材13の下面に取付け片13aが形成されている(
図7参照)。ワーク受け11は、この取付け片13aがアーム部材15の一部に設けられた受け部(不図示)に挿入されるように、アーム部材15に対して取り付けられる。具体的には、操作者は、ワーク受け11を加温装置1の前方から後方に向けてスライドさせることで、ワーク受け11をアーム部材15に取り付けることができる。
【0047】
ワーク受け11とアーム部材15とを固定するための手段はどのような構造であってもよい。本実施形態では、一例として
図6に示すように、ストッパ部材14がアーム部材15に設けられている。ストッパ部材14は、水平方向の軸周りに上下に回動するように設けられている。
図6(a)のようにワーク受け11がアーム部材15に対して取り付けられた状態で、操作者は、ストッパ部材14を上方に回動させる(
図6(b)参照)。これにより、ワーク受け11とアーム部材15とが固定される。
【0048】
シャフト5の種別を変更する場合、操作者は、アダプタ受け11を取り外し、対象のシャフト5に対応するアダプタ受け11をワーク保持機構10に取り付けることができる。本実施形態の加温装置1では、このように、アダプタ受け11が交換可能であるため、様々な種別のシャフト5に対応することができる。
【0049】
なお、加温装置1は、ストッパ部材14のような固定手段に限らず、アダプタ受け11を固定するためのボルトやクランプといった固定手段を有していてもよい。
【0050】
以上の説明では、加温装置1がシャフト5を水平な姿勢で槽内へと下降させることを説明したが、加温装置1は、水平方向に対して傾斜した姿勢でシャフト5を下降させてもよい。また、以上の説明では槽2に水が収容されることを説明したが、水以外の液体が収容されてもよい。ワークは、シャフト5以外の鋼材部品であってもよい。
【0051】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0052】
1 加温装置
2 槽
5 シャフト
5a 内孔
5b 内孔
10 ワーク保持機構
11 ワーク受け
12 受け部材
12a 凹部
13 支持部材
13a 取付け片
14 ストッパ部材
15 アーム部材
20 昇降機構
21 鉛直駆動部
21a 支柱部材
22 回動駆動部
30 制御装置
Ax 軸