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  • 特開-組合せ計量装置 図1
  • 特開-組合せ計量装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133757
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】組合せ計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/387 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
G01G19/387 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038933
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】影山 寿晴
(57)【要約】      (修正有)
【課題】動作中に周辺に作業者が近づいてくることによる計量誤差の発生及び埃や異物等の物品への混入を抑制する。
【解決手段】一実施形態に係る組合せ計量装置1は、外部から投入される物品を受け取り下流へ搬送する搬送部11と、上部が開口するトラフ21と、トラフ21内に配置されるスクリュー22と、駆動部40と、駆動部40を制御し、物品をトラフ21内において搬送させる制御部50と、トラフ21内から受け取った物品を計量する計量部WHと、組合せ計量装置1の周辺の環境を示す情報を取得する取得部45とを備える。制御部50は、かかる情報に基づいて組合せ計量装置1の周辺における作業者の存在を検知し、作業者の存在を検知した場合、作業者の存在検知前における第1動作モードに代えて、駆動部40に対してスクリュー22の回転を停止させる、或いは、スクリュー22のトルク又は速度を低下させた第2動作モードに遷移させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組合せ計量装置であって、
外部から投入される物品を受け取り下流へ搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記物品を受け取り、上部が開口するトラフと、
前記トラフ内に配置されるスクリューと、
前記スクリューを回転させる駆動部と、
前記駆動部を制御し、前記トラフ内で前記スクリューを回転させ、前記物品を前記トラフ内において搬送させる制御部と、
前記トラフ内から受け取った前記物品を計量する計量部と、
前記組合せ計量装置の周辺の環境を示す情報を取得する取得部と、を備え、
前記制御部は、
前記情報に基づいて、前記組合せ計量装置の周辺における作業者の存在を検知し、
前記作業者の存在を検知した場合、前記作業者の存在検知前における第1動作モードに代えて、前記駆動部に対して前記スクリューの回転を停止させる或いは、前記スクリューのトルク又は速度を低下させた第2動作モードに遷移させる、組合せ計量装置。
【請求項2】
前記取得部は、少なくとも前記組合せ計量装置の周辺の1m以内の範囲において前記情報を取得する、請求項1に記載の組合せ計量装置。
【請求項3】
前記取得部は、ToF(Time of Flight)センサであり、
前記制御部は、前記ToFセンサによる検出結果に基づき、前記作業者の存在を検知する、請求項1又は2に記載の組合せ計量装置。
【請求項4】
前記取得部は、カメラであり、
前記制御部は、前記カメラにより撮像された画像に基づき、前記作業者の存在を検知する、請求項1又は2に記載の組合せ計量装置。
【請求項5】
前記制御部は、過去に撮影された画像と現在撮影して得られた画像との差分画像を取得し、前記差分画像に基づき前記作業者の存在を検知する、請求項4に記載の組合せ計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組合せ計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トラフ内で回転することにより、トラフ内に投入された物品を計量部に向けて搬送するスクリューを備えた組合せ計量装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6713666
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の組合せ計量装置の動作中に、周辺に作業者が近づいてくると、振動等により計量誤差が発生する可能性があった。さらに、作業者に起因する埃や異物等が物品に混入し衛生面で好ましくないという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、動作中に周辺に作業者が近づいてくることによる計量誤差の発生及び埃や異物等の物品への混入を抑制することができる組合せ計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る組合せ計量装置は、外部から投入される物品を受け取り下流へ搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される前記物品を受け取り、上部が開口するトラフと、前記トラフ内に配置されるスクリューと、前記スクリューを回転させる駆動部と、前記駆動部を制御し、前記トラフ内で前記スクリューを回転させ、前記物品を前記トラフ内において搬送させる制御部と、前記トラフ内から受け取った前記物品を計量する計量部と、前記組合せ計量装置の周辺の環境を示す情報を取得する取得部と、を備え、前記制御部は、前記情報に基づいて、前記組合せ計量装置の周辺における作業者の存在を検知し、前記作業者の存在を検知した場合、前記作業者の存在検知前における第1動作モードに代えて、前記駆動部に対して前記スクリューの回転を停止させる或いは、前記スクリューのトルク又は速度を低下させた第2動作モードに遷移させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、動作中に周辺に作業者が近づいてくることによる計量誤差の発生及び埃や異物等の物品への混入を抑制できる組合せ計量装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る組合せ計量装置1の全体構成の一例を説明する図である。
図2図2は、一実施形態に係る組合せ計量装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
以下、図1図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る組合せ計量装置1について説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る計量装置1は、分散テーブル11と、複数のトラフ12と、複数のスクリュー22と、複数のブロック体30と、複数の駆動部40と、取得部45と、制御部50と、複数のプールホッパPHと、複数の計量ホッパWHと、排出シュートCとを具備している。
【0012】
分散テーブル11は、外部(図1の例では、上部)から供給される物品を、回転しながら周囲に分散させながら複数のトラフ21の各々に搬送する。
【0013】
図1に示すように、例えば、分散テーブル11は、頂角が鈍角な円錐部12の中央に、頂角が鋭角な円錐部13を同軸に重ねた形状を有する。円錐部12の直径は、円錐部13の直径よりも大きい。ここで、円錐部12及び円錐部13の表面は、エンボス加工されていてもよい。かかる構成によれば、円錐部12及び円錐部13の表面には、物品が付着しにくい。
【0014】
ここで、分散テーブル11は、外部から投入される物品を受け取り下流へ搬送する搬送部を構成する。
【0015】
図1に示すように、各トラフ21は、分散テーブル11の周囲に配置されており、ホッパに向かって延び、上部が開口する部材である。
【0016】
図1の例では、14本のトラフ21が、分散テーブル11の周りに放射状に配列されているが、トラフ21の数及び配置は、これに限定されない。トラフ21の数及び配置は、例えば、後述のプールホッパPH(ホッパ)の数及び配置に応じて適宜に変更されてもよい。
【0017】
各スクリュー22は、トラフ21内で回転することにより、トラフ21内に投入された物品をホッパに向けて搬送する。
【0018】
例えば、スクリュー22は、螺旋形状に曲げられた金属製又は樹脂製の少なくとも1本以上のロッドを有する。なお、スクリュー22は、直線形状の部材を合成する等の他の形状を有していてもよい。具体的に、スクリュー22は、直線形状を組み合わせることにより、多角形状で形成される構成でも構わない。
【0019】
駆動部40は、スクリューを回転させる。例えば、駆動部40は、モータである。スクリュー22は、駆動部40の駆動軸によって支持される。
【0020】
各ブロック体30は、分散テーブル11から送られてくる物品が隣接するトラフ21の間に侵入するのを規制するために設けられている。
【0021】
各プールホッパPHは、各トラフ21から供給される物品を一時的に保持する。各プールホッパPHの下部は、ゲート(図示せず)がそれぞれ設けられており、ゲートの開閉動作により、プールホッパPHに滞留されている物品は、ゲートの下方に設けられた計量ホッパWHに排出される。
【0022】
各計量ホッパWHは、各プールホッパPHが排出する物品を一時的に保持して、かかる物品の重量値を計量するように構成されている。各計量ホッパWHの下部は、ゲート(図示せず)がそれぞれ設けられており、ゲートの開閉動作により、各計量ホッパWHに滞留されている物品は、ゲートの下方に設けられた排出シュートCに排出される。
【0023】
ここで、計量ホッパWHは、トラフ21内から受け取った物品の重量値を計量する計量部を構成する。なお、本実施形態に係る計量装置1において、計量ホッパWHの直下にブースタホッパBHが設けられる構成でも構わない。
【0024】
後述の制御部50は、計量ホッパWHによって計量された物品の重量値に基づいて組合せ計算し、かかる組合せ計算の結果に基づいて複数のホッパのうちの特定のホッパ(各計量ホッパWH)から物品を排出させる。
【0025】
排出シュートCは、組合せ計算により選択された計量ホッパWHから排出される物品を、一箇所に集合して下方に排出するように構成されている。排出シュートCから排出された物品は、後続の包装装置等へ供給される。
【0026】
取得部45は、組合せ計量装置1の周辺の環境を示す情報を取得する。例えば、取得部45は、ToF(Time of Flight)センサであってもよいし、カメラであってもよいし、圧力センサであってもよい。具体的には、取得部45は、赤外光を照射し、その照射した赤外光が被写体に当たり、その反射光が戻ってくるまでの時間を計測する。取得部45は、この計測時間に基づき、被写体までの距離を計測する。取得部45は、計測して得られた距離に関する情報を組合せ計量装置1の周辺の環境を示す情報として出力する。
【0027】
図1に示すように、取得部45は、人感センサとして構成し、監視エリアZ内における作業者有無に関する情報を組合せ計量装置1の周辺の環境を示す情報として取得してもよい。例えば、取得部45は、監視エリアZの隅に配置されていてもよい。
【0028】
制御部50は、駆動部40を制御し、トラフ21内でスクリュー22を回転させ、物品をトラフ21内において搬送させる。
【0029】
具体的には、制御部50は、取得部45によって取得された情報に基づいて、組合せ計量装置1の周辺における作業者の存在を検知する。
【0030】
そして、制御部50は、上述の作業者の存在を検知した場合、第1動作モードに代えて、駆動部40に対してスクリュー22の回転を停止させる。
【0031】
或いは、制御部50は、上述の作業者の存在を検知した場合、第1動作モードに代えて、第2動作モードに遷移させる。
【0032】
ここで、第1動作モードは、通常運転時の動作モードである。つまり、第1動作モードは、スクリュー22により物品をプールホッパPHに向けて搬送させる動作モードを意味する。したがって、組合せ計量装置1は、上述の作業者の存在が検知される前は、第1動作モードで運転する。
【0033】
また、第2動作モードは、第1動作モードと比べて、スクリュー22のトルク又は速度を低下させた動作モードである。
【0034】
制御部50は、作業者の作業等によって、上述の作業者の存在を検知した場合、第1動作モードに代えて、駆動部40に対してスクリュー22の回転を停止させるか、第2動作モードに遷移させるかについて設定できる。
【0035】
上述の構成によれば、組合せ計量装置1の周辺における作業者の存在が検知された場合に、駆動部40に対してスクリュー22の回転を停止させる、或いは、第2動作モードに遷移できるため、組合せ計量装置1の動作中に周辺に作業者が近づいてくることによる計量誤差の発生及び埃や異物等の発生を抑制することができる。
【0036】
具体的には、上述の構成によれば、組合せ計量装置1の動作中に、監視エリアZ内に作業者が入ってきた場合、作業者の動作による振動により、各ホッパが揺れてしまい、正確な計量を行うことができなくなってしまうため、正常の運転に代えて停止又は能力を落とすことができる。スクリュー22におけるトルク又は速度を低下させると、作業者の移動による振動が発生した場合であっても、その影響を低減できる。
【0037】
同様に、上述の構成によれば、組合せ計量装置1の動作中に、監視エリアZ内に作業者が入ってきた場合、作業者の動作により発生した埃や異物等が、トラフ21の開口部分から入り込んでしまう可能性があるため、正常の運転を行わないようにすることができる。
【0038】
例えば、取得部45は、少なくとも組合せ計量装置1の周辺の1m以内の範囲(監視エリアZ内)において、組合せ計量装置1の周辺の環境を示す情報を取得してもよい。
【0039】
ここで、組合せ計量装置1の周辺の環境を示す情報は、ToFセンサや圧力センサによる検出結果であってもよいし、カメラによって撮像された画像であってもよい。
【0040】
また、制御部50は、取得部45としてのToFセンサによる検出結果に基づき、作業者の存在を検知してもよい。例えば、制御部50は、ToFセンサによる検出結果に基づき、監視エリアZ内に作業者等が侵入したことを検知することができる。
【0041】
また、制御部50は、取得部45としてのカメラにより撮像された画像に基づき、作業者の存在を検知してもよい。例えば、制御部50は、カメラにより撮像された画像を画像解析し、画像に対して作業者が映し出されているか否かを判定する。そして、制御部50は、この判定結果に基づき、監視エリアZ内に作業者等が侵入したことを検知することができる。
【0042】
ここで、制御部50は、過去に撮影された画像と現在撮影して得られた画像との差分画像を取得し、かかる差分画像に基づき作業者の存在を検知してもよい。例えば、制御部50は、過去に撮像された画像として、監視エリアZ内に誰もいない画像を保存しておき、現在撮像して得られた画像と保存している画像と差分画像内に、作業者等の何らかの物体が存在すると判定した場合に、監視エリアZ内に作業者等が侵入したことを検知することができる。
【0043】
さらに、制御部50は、作業者の存在を検知した場合に、アラーム等で、作業者に対して、組合せ計量装置が運転中であることを通知してもよい。
【0044】
かかる構成によれば、組合せ計量装置1の周辺に侵入防止柵又は組合せ計量装置1における分散テーブル11またはトラフ21を覆い隠すカバー等を設けなくても、運転中の組合せ計量装置1に作業者が近づき、計量誤差の発生及び埃や異物等の物品への混入を抑制できる。
【0045】
以下、図2を参照して、本実施形態に係る組合せ計量装置1の動作の一例について説明する。
【0046】
図2に示すように、ステップS101において、組合せ計量装置1の周辺に設けられている取得部45が、第1動作モードで運転中の組合せ計量装置1の周辺の環境を示す情報を取得する。
【0047】
ステップS102において、制御部50は、かかる組合せ計量装置1の周辺の環境を示す情報に基づいて、監視エリアZ内に作業者の存在を確認する。監視エリアZ内に作業者の存在が確認できた場合には、本動作は、ステップS103に進み、監視エリアZ内に作業者の存在が確認できなかった場合には、本動作は、ステップS101に戻る。
【0048】
ステップS103において、制御部50は、第1動作モードに代えて、駆動部40に対してスクリュー22の回転を停止させるか、或いは、組合せ計量装置1の動作モードを第2動作モードに遷移させる。
【0049】
本実施形態に係る組合せ計量装置1によれば、計量誤差の発生を抑制しつつ、埃や異物等の発生を防ぐことで清掃部位を低減することができ、衛生管理を向上させることができる。
【0050】
上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0051】
1…組合せ計量装置
11…分散テーブル
12、13…円錐部
21…トラフ
22…スクリュー
23…ブロック体
40…駆動部
45…取得部
50…制御部
BH…ブースタホッパ
PH…プールホッパ
WH…計量ホッパ
C…排出シュート
図1
図2