(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133788
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】結束装置、結束システム、消耗品装填装置、消耗品装填システム及び消耗品装填方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/12 20060101AFI20230920BHJP
B65B 13/18 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
E04G21/12 105E
B65B13/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038982
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴大
(72)【発明者】
【氏名】野田口 洋成
【テーマコード(参考)】
3E052
【Fターム(参考)】
3E052AA08
3E052BA18
3E052CB05
3E052CB07
3E052FA06
3E052FA12
3E052HA09
3E052JA01
3E052LA05
(57)【要約】
【課題】消耗品であるワイヤの装填を行えるようにした結束装置を提供する。
【解決手段】結束装置100Aは、ワイヤで鉄筋を結束する鉄筋結束機1Aが取り付けられる結束機装着部110Aと、鉄筋結束機1Aのマガジン2に収容されたリール20と交換される交換用のリール20を収容するリール貯蔵部210Aと、鉄筋結束機1Aのマガジン2に収容された交換対象のリール20を取り出し、リール貯蔵部210Aに収容された交換用のリール20を、鉄筋結束機1Aのマガジン2に収容するリール交換部220Aを備える。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品で結束物を結束する結束部と、
前記結束部に供給される消耗品を収容する消耗品収容部と、
前記消耗品収容部に装填される消耗品を収容する装填用消耗品収容部と、
前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品を前記消耗品収容部に装填する装填部と
を備えた結束装置。
【請求項2】
消耗品で結束物を結束する結束部が取り付けられる装着部と、
前記結束部に供給される消耗品を収容する消耗品収容部と、
前記消耗品収容部に装填される消耗品を収容する装填用消耗品収容部と、
前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品を前記消耗品収容部に装填する装填部と
を備えた結束装置。
【請求項3】
前記装填部は、前記消耗品収容部に収容された消耗品の状態に基づき、前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品を前記消耗品収容部に装填する
請求項1または請求項2に記載の結束装置。
【請求項4】
前記装填部は、前記消耗品収容部に収容された消耗品の残量に基づき、前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品を前記消耗品収容部に装填する
請求項3に記載の結束装置。
【請求項5】
前記装填部は、前記消耗品収容部に収容された消耗品の種類に基づき、前記装填用消耗品収容部に収容された別の種類の消耗品を前記消耗品収容部に装填する
請求項3に記載の結束装置。
【請求項6】
前記装填部は、前記消耗品収容部に収容された消耗品の不具合の有無に基づき、前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品を前記消耗品収容部に装填する
請求項3に記載の結束装置。
【請求項7】
前記消耗品収容部と前記装填用消耗品収容部に収容される消耗品は、消耗品担持体に取り出し可能に担持され、
前記消耗品収容部と前記装填用消耗品収容部は、消耗品担持体が着脱可能に収容され、
前記装填部は、前記消耗品収容部に収容された消耗品担持体を取り出し、前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品担持体を前記消耗品収容部に装填する
請求項1または請求項2に記載の結束装置。
【請求項8】
前記装填部は、前記消耗品収容部に収容された消耗品担持体が担持する消耗品の状態に基づき、前記消耗品収容部から消耗品担持体を取り出し、前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品担持体を前記消耗品収容部に装填する
請求項7に記載の結束装置。
【請求項9】
前記装填部は、前記消耗品収容部に収容された消耗品担持体が担持する消耗品の残量に基づき、前記消耗品収容部から消耗品担持体を取り出し、前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品担持体を前記消耗品収容部に装填する
請求項8に記載の結束装置。
【請求項10】
前記装填部は、前記消耗品収容部に収容された消耗品担持体が担持する消耗品の種類に基づき、前記消耗品収容部から消耗品担持体を取り出し、前記装填用消耗品収容部に収容された別の種類の消耗品を担持した消耗品担持体を前記消耗品収容部に装填する
請求項8に記載の結束装置。
【請求項11】
前記装填部は、前記消耗品収容部に収容された消耗品担持体及び/または消耗品担持体が担持する消耗品の不具合の有無に基づき、前記消耗品収容部から消耗品担持体を取り出し、前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品担持体を前記消耗品収容部に装填する
請求項8に記載の結束装置。
【請求項12】
前記結束部は、前記消耗品収容部を備えた
請求項1から請求項11の何れか1項に記載の結束装置。
【請求項13】
前記消耗品収容部から前記結束部に消耗品を供給する供給部を備えた
請求項1から請求項12の何れか1項に記載の結束装置。
【請求項14】
前記結束部と前記消耗品収容部と前記装填用消耗品収容部と前記装填部との間で、消耗品の装填に関連する消耗品装填情報の通信を行う情報通信部を備えた
請求項1から請求項13の何れか1項に記載の結束装置。
【請求項15】
消耗品で結束物を結束する結束部と、
前記結束部に供給される消耗品を収容する消耗品収容部と、
前記消耗品収容部に装填される消耗品を収容する装填用消耗品収容部と、
前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品を前記消耗品収容部に装填する装填部と
を備えた結束システム。
【請求項16】
前記結束部と前記消耗品収容部と前記装填用消耗品収容部と前記装填部の何れか1つまたは2つ以上から構成される複数の装置が組み合わせられた
請求項15に記載の結束システム。
【請求項17】
消耗品で結束物を結束する結束部が取り付けられる装着部と、
前記結束部に供給される消耗品を収容する消耗品収容部と、
前記消耗品収容部に装填される消耗品を収容する装填用消耗品収容部と、
前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品を前記消耗品収容部に装填する装填部と
を備えた結束システム。
【請求項18】
前記装着部と前記消耗品収容部と前記装填用消耗品収容部と前記装填部の何れか1つまたは2つ以上から構成される複数の装置が組み合わせられた
請求項17に記載の結束システム。
【請求項19】
消耗品で結束物を結束する結束部に供給される消耗品を収容する消耗品収容部に装填される消耗品を収容する装填用消耗品収容部と、
前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品を前記消耗品収容部に装填する装填部と
を備えた消耗品装填装置。
【請求項20】
消耗品で結束物を結束する結束部に供給される消耗品を収容する消耗品収容部に装填される消耗品を収容する装填用消耗品収容部と、
前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品を前記消耗品収容部に装填する装填部と
を備えた消耗品装填システム。
【請求項21】
消耗品で結束物を結束する結束部が取り付けられる装着部を備え、
前記装着部と前記装填用消耗品収容部と前記装填部の何れか1つまたは2つ以上から構成される複数の装置が組み合わせられた
請求項20に記載の消耗品装填システム。
【請求項22】
消耗品で結束物を結束する結束部に供給される消耗品を収容する消耗品収容部に収容された消耗品の状態に基づき、装填用消耗品収容部に収容された消耗品を前記消耗品収容部に装填する
消耗品装填方法。
【請求項23】
前記消耗品収容部に収容された消耗品の残量に基づき、前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品を前記消耗品収容部に装填する
請求項22に記載の消耗品装填方法。
【請求項24】
前記消耗品収容部に収容された消耗品の種類に基づき、前記装填用消耗品収容部に収容された別の種類の消耗品を前記消耗品収容部に装填する
請求項22に記載の消耗品装填方法。
【請求項25】
前記消耗品収容部に収容された消耗品の不具合の有無に基づき、前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品を前記消耗品収容部に装填する
請求項22に記載の消耗品装填方法。
【請求項26】
前記消耗品収容部と前記装填用消耗品収容部に収容される消耗品は、消耗品担持体に取り出し可能に担持され、
前記消耗品収容部と前記装填用消耗品収容部は、消耗品担持体が着脱可能に収容され、
前記消耗品収容部に収容された消耗品担持体を取り出し、前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品担持体を前記消耗品収容部に装填する
請求項22に記載の消耗品装填方法。
【請求項27】
前記消耗品収容部に収容された消耗品担持体が担持する消耗品の状態に基づき、前記消耗品収容部から消耗品担持体を取り出し、前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品担持体を前記消耗品収容部に装填する
請求項26に記載の消耗品装填方法。
【請求項28】
前記消耗品収容部に収容された消耗品担持体が担持する消耗品の残量に基づき、前記消耗品収容部から消耗品担持体を取り出し、前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品担持体を前記消耗品収容部に装填する
請求項27に記載の消耗品装填方法。
【請求項29】
前記消耗品収容部に収容された消耗品担持体が担持する消耗品の種類に基づき、前記消耗品収容部から消耗品担持体を取り出し、前記装填用消耗品収容部に収容された別の種類の消耗品を担持した消耗品担持体を前記消耗品収容部に装填する
請求項27に記載の消耗品装填方法。
【請求項30】
前記消耗品収容部に収容された消耗品担持体及び/または消耗品担持体が担持する消耗品の不具合の有無に基づき、前記消耗品収容部から消耗品担持体を取り出し、前記装填用消耗品収容部に収容された消耗品担持体を前記消耗品収容部に装填する
請求項27に記載の消耗品装填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
結束物を消耗品で結束する結束装置、結束システム、消耗品装填装置、消耗品装填システム及び消耗品装填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート建造物には強度を向上させるために鉄筋が使用されており、コンクリート打設時に鉄筋が所定の位置からずれないように、ワイヤで結束している。
【0003】
従来から、2本以上の鉄筋にワイヤを巻き、鉄筋に巻いたワイヤを捩じって当該2本以上の鉄筋をワイヤで結束する鉄筋結束機と称す結束機が提案されている。
【0004】
また、手で持って使用する結束機以外に、ロボット本体に鉄筋結束機を保持する鉄筋結束機接続構造及び鉄筋結束ロボットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の鉄筋結束ロボットでは、鉄筋結束機のマガジンに収容されたワイヤが消費されるなど、リールの交換が必要な状態になると、鉄筋結束機をロボット本体から取り外し、人手でリールの交換を行う必要があった。また、従来の鉄筋結束機でも、マガジンに収容されたワイヤが消費されるなど、ワイヤが巻かれたリールの交換が必要な状態になると、人手でリールの交換を行う必要があった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、ワイヤ等の消耗品の装填を行えるようにした結束装置、結束システム、消耗品装填装置、消耗品装填システム及び消耗品装填方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、消耗品で結束物を結束する結束部と、結束部に供給される消耗品を収容する消耗品収容部と、消耗品収容部に装填される消耗品を収容する装填用消耗品収容部と、装填用消耗品収容部に収容された消耗品を消耗品収容部に装填する装填部とを備えた結束装置である。
【0009】
また、本発明は、消耗品で結束物を結束する結束部が取り付けられる装着部と、結束部に供給される消耗品を収容する消耗品収容部と、消耗品収容部に装填される消耗品を収容する装填用消耗品収容部と、装填用消耗品収容部に収容された消耗品を消耗品収容部に装填する装填部とを備えた結束装置である。
【0010】
更に、本発明は、消耗品で結束物を結束する結束部と、結束部に供給される消耗品を収容する消耗品収容部と、消耗品収容部に装填される消耗品を収容する装填用消耗品収容部と、装填用消耗品収容部に収容された消耗品を消耗品収容部に装填する装填部とを備えた結束システムである。
【0011】
また、本発明は、消耗品で結束物を結束する結束部が取り付けられる装着部と、結束部に供給される消耗品を収容する消耗品収容部と、消耗品収容部に装填される消耗品を収容する装填用消耗品収容部と、装填用消耗品収容部に収容された消耗品を消耗品収容部に装填する装填部とを備えた結束システムである。
【0012】
更に、本発明は、消耗品で結束物を結束する結束部に供給される消耗品を収容する消耗品収容部に装填される消耗品を収容する装填用消耗品収容部と、装填用消耗品収容部に収容された消耗品を消耗品収容部に装填する装填部とを備えた消耗品装填装置である。
【0013】
また、本発明は、消耗品で結束物を結束する結束部に供給される消耗品を収容する消耗品収容部に装填される消耗品を収容する装填用消耗品収容部と、装填用消耗品収容部に収容された消耗品を消耗品収容部に装填する装填部とを備えた消耗品装填システムである。
【0014】
更に、本発明は、消耗品で結束物を結束する結束部に供給される消耗品を収容する消耗品収容部に収容された消耗品の状態に基づき、装填用消耗品収容部に収容された消耗品を消耗品収容部に装填する消耗品装填方法である。
【0015】
本発明では、結束部に供給される消耗品の状態に基づき、装填用消耗品収容部に収容された消耗品が装填される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、結束部に供給される消耗品の状態に基づき、消耗品を装填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】本実施の形態の結束装置の一例を示す斜視図である。
【
図1B】本実施の形態の結束装置の一例を示す斜視図である。
【
図1C】本実施の形態の結束装置の一例を示す側面図である。
【
図1D】本実施の形態の結束装置の一例を示す側面図である。
【
図1E】本実施の形態の結束装置の一例を示す正面図である。
【
図2】本実施の形態のリール交換部の一例を示す斜視図である。
【
図3A】本実施の形態のロック動作部の一例を示す要部側面図である。
【
図3B】本実施の形態のロック動作部の一例を示す要部側面図である。
【
図3C】本実施の形態のロック動作部の一例を示す要部側面図である。
【
図4】本実施の形態のワイヤ供給部の一例を示す要部側面図である。
【
図5】本実施の形態の結束機装着部の一例を示す要部正面図である。
【
図6】消耗品装填部を備えた結束装置の第1の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【
図7A】消耗品装填部を備えた結束装置の第2の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【
図7B】消耗品装填部を備えた結束装置の第2の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【
図7C】消耗品装填部を備えた結束装置の第2の実施の形態の一例を示す要部拡大斜視図である。
【
図8A】消耗品装填部を備えた結束装置の第3の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【
図8B】消耗品装填部を備えた結束装置の第3の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【
図9A】消耗品装填部を備えた結束装置の第4の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【
図9B】消耗品装填部を備えた結束装置の第4の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【
図9C】消耗品装填部を備えた結束装置の第4の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【
図10】本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す側面図である。
【
図11B】捩じり部の一例を示す内部構成図である。
【
図11C】捩じり部の一例を示す要部平面図である。
【
図11D】捩じり部の一例を示す要部平面図である。
【
図12】本実施の形態の結束装置のリール交換動作の一例を示すフローチャートである。
【
図13A】本実施の形態の結束装置のリール交換動作の一例を示す動作説明図である。
【
図13B】本実施の形態の結束装置のリール交換動作の一例を示す動作説明図である。
【
図13C】本実施の形態の結束装置のリール交換動作の一例を示す動作説明図である。
【
図13D】本実施の形態の結束装置のリール交換動作の一例を示す動作説明図である。
【
図14】情報通信部を備えた結束装置の一例を示す構成図である。
【
図15A】装填状態検知部を備えた結束装置の一例を示す要部構成図である。
【
図15B】ワイヤ装填位置の一例を示す鉄筋結束機の正面図である。
【
図15C】ワイヤ装填位置の一例を示す鉄筋結束機の要部正面図である。
【
図16A】本実施の形態の結束装置の変形例を示す斜視図である。
【
図16B】本実施の形態の結束装置の変形例を示す斜視図である。
【
図17】本実施の形態の結束装置の他の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、消耗品で結束物を結束する結束部と、結束部に消耗品を装填する消耗品装填部を備えた結束装置、消耗品で結束物を結束する結束機(結束部)が装着される結束機装着部と、結束機装着部に装着された結束機に消耗品を装填する消耗品装填部を備えた結束装置、各構成が独立した装置で構成され、複数の装置が組み合わせられた結束システム、結束システムに使用される消耗品装填装置、結束部、結束機に消耗品を装填する消耗品装填システム、及び、結束部、結束機に消耗品を装填する消耗品装填方法の実施の形態について説明する。
【0019】
以下の実施の形態では、結束部及び結束機は、消耗品であるワイヤで結束物である鉄筋を結束する。消耗品であるワイヤは、リールに巻かれた形態で供給される。消耗品装填部の一例である消耗品交換部、消耗品装填装置の一例である消耗品交換装置及び消耗品装填システムの一例である消耗品交換システムは、ワイヤが消費されたリールなど、交換が必要となったリールを、所定の量でワイヤが巻かれたリールなど、交換用のリールと交換することで、消耗品であるワイヤを装填する。なお、ワイヤが消費されたリールは、それ単体で消耗品のワイヤを供給できるものではないことから、リールも結束部及び結束機の消耗品の一例をなすとしてもよい。
【0020】
<本実施の形態の結束装置の全体構成例>
図1A及び
図1Bは、本実施の形態の結束装置の一例を示す斜視図、
図1C及び
図1Dは、本実施の形態の結束装置の一例を示す側面図、
図1Eは、本実施の形態の結束装置の一例を示す正面図である。
【0021】
本実施の形態の結束装置100Aは、ワイヤWで鉄筋Sを結束する鉄筋結束機1Aと、鉄筋結束機1Aが着脱可能に装着される結束機装着部110Aを備える。また、結束装置100Aは、ワイヤWが巻かれたリール20が収容されるリール貯蔵部210Aと、リール貯蔵部210Aに収容されたリール20を鉄筋結束機1Aに装填するリール交換部220Aを備える。
【0022】
鉄筋結束機1Aは結束機または結束部の一例で、消耗品であるワイヤWが収容されるマガジン2を備える。マガジン2は消耗品収容部の一例で、消耗品を取り出し可能に担持する消耗品担持体として、ワイヤWが巻かれるリール20を着脱可能に収容する。なお、ワイヤWは、リール20に巻かれた形態で提供されるものに限らず、ワイヤWがリール20等の芯となる部材を用いずワイヤW自身のみで巻かれた形態でもよく、消耗品担持体を用いずにワイヤWのみがマガジン2に着脱可能に収容される形態でもよい。また、ワイヤWのみが収容されたマガジン、あるいはワイヤWが巻かれるリール20が収容されたマガジンを、鉄筋結束機1Aに対して着脱可能なワイヤカートリッジとし、鉄筋結束機1Aに対しワイヤカートリッジが着脱可能に収容される収容部を消耗品収容部としてもよい。このような構成においてワイヤカートリッジは消耗品担持体の一例であり、鉄筋結束機1Aに収容されたワイヤカートリッジを取り外し、所望のワイヤカートリッジを同鉄筋結束機1Aに装填することが可能に構成される。
【0023】
マガジン2は、開閉可能な蓋部21と、蓋部21を閉じた状態でロックするロック部22を備える。蓋部21は、ヒンジ部21aを支点とした開閉動作でマガジン2に対して開閉し、図示しないバネで蓋部21が開く方向に付勢されている。ロック部22は、ロック部22を作動させる力を受ける被作動部22aを備える。ロック部22は、閉じた状態の蓋部21を押さえる閉位置と、蓋部21の開閉軌跡から退避する開位置との間を、被作動部22aが押される力を受けて、例えば回転動作で移動する。鉄筋結束機1Aの他の構成の詳細は後述する。
【0024】
リール貯蔵部210Aは装填用消耗品収容部の一例で、ワイヤWが巻かれた少なくとも1つの交換用のリール20、本例では複数のリール20が着脱可能に収容される。リール貯蔵部210Aは、リール20の貯蔵部211Aが複数個所に設けられる貯蔵プレート212Aと、軸213Aを支点に貯蔵プレート212Aを回転させる駆動部214Aを備える。
【0025】
貯蔵部211Aは、リール20を貯蔵プレート212Aに対して着脱可能に取り付ける機構を備え、軸213Aを中心とした同心円上に配置される。貯蔵プレート212Aは、駆動部214Aに駆動されて軸213Aを支点に回転する。これにより、リール貯蔵部210Aは、リール交換部220Aによるリール20のピックアップ位置に、任意の貯蔵部211Aを移動させることが可能である。
【0026】
リール交換部220Aは装填部の一例で、マガジン2に収容された使用済のリール20を取り出し、リール貯蔵部210Aに収容された交換用のリール20と交換することで、鉄筋結束機1AにワイヤWを装填する。使用済のリール20とは、ワイヤWが巻かれていない状態、または、ワイヤWが巻かれているものの、その残量が鉄筋Sの結束に必要な結束必要量より少ない状態となっていることを示す。交換用のリール20とは、十分な量のワイヤWが巻かれた状態であることを示す。また、交換用のリール20とは、鉄筋結束機1Aに装填されたリール20に巻かれたワイヤWと同じ種類の十分な量のワイヤWが巻かれたリール20のみならず、異なる種類の十分な量のワイヤWが巻かれたリール20でもよい。
【0027】
図2は、本実施の形態のリール交換部の一例を示す斜視図である。リール交換部220Aは、マガジン2に収容されたリール20を交換するため、リール20を着脱可能に保持する保持部221Aと、保持部221Aを少なくとも鉄筋結束機1Aのマガジン2とリール貯蔵部210Aとの間で移動させる移動部222Aを備える。
【0028】
保持部221Aは、例えば、互いの間隔が近づく方向及び離れる方向に移動する一対の爪部を備え、一対の爪部の間にリール20を保持する。
【0029】
移動部222Aは、複数のアーム部223Aがサーボモータなどで構成される回転可能な軸を有した関節部224Aで連結された多関節のロボットアームで構成される。移動部222Aは、リール貯蔵部210Aに収容されたリール20のピックアップ位置に保持部221Aを移動させるとともに、リール貯蔵部210Aに収容されたリール20を保持可能な向きに、保持部221Aの向きを合わせることが可能である。
【0030】
また、移動部222Aは、鉄筋結束機1Aのマガジン2に収容されたリール20と対向する位置に保持部221Aを移動させるとともに、マガジン2に収容されたリール20を保持可能な向きに、保持部221Aの向きを合わせることが可能である。
【0031】
更に、移動部222Aは、リール20を保持した保持部221Aを、鉄筋結束機1Aのマガジン2と対向する位置に移動させるとともに、保持部221Aで保持したリール20の向きを、マガジン2に装填可能な向きに合わせることが可能である。
【0032】
リール貯蔵部210Aとリール交換部220Aは、鉄筋結束機1Aに対する消耗品であるワイヤWの装填を、リール20を交換することで行う消耗品装填部200Aを構成する。なお、リール貯蔵部210Aとリール交換部220Aを1つの装置として消耗品装填装置を構成してもよい。また、リール貯蔵部210Aとリール交換部220Aをそれぞれ独立した装置として構成し、リール貯蔵装置とリール交換装置を組み合わせて消耗品装填システムを構成してもよい。
【0033】
結束装置100Aは、マガジン2が開閉可能な蓋部21を備えた構成では、リール20を交換する動作を実行するために蓋部21を開閉する必要がある。そこで、結束装置100Aは、マガジン2の蓋部21を開閉する開閉部230Aを備える。本例では、開閉部230Aを結束機装着部110Aに備える。
【0034】
開閉部230Aは、蓋部21のロック部22を作動させるロック動作部231Aと、蓋部21を開閉する開閉動作部232Aを備える。開閉動作部232Aは、蓋部21を開く蓋開部235Aを備える。
【0035】
図3A、
図3B及び
図3Cは、本実施の形態のロック動作部の一例を示す要部側面図である。ロック動作部231Aは、サーボモータなどの図示しない駆動機構に駆動されて矢印C1方向及び逆方向の矢印C2方向に回転する。ロック動作部231Aは、矢印C1方向及び矢印C2方向の回転動作でロック部22の被作動部22aを押し、ロック部22を矢印D1方向及び逆方向の矢印D2方向に回転させることで、ロック部22を、閉じた状態の蓋部21を押さえる閉位置と、蓋部21の開閉軌跡から退避する開位置との間で移動させる。
【0036】
すなわち、ロック動作部231Aは、
図3Bに示すように、矢印C1方向の回転動作でロック部22の被作動部22aを押すことで、ロック部22を矢印D1方向に回転させ、蓋部21の開閉軌跡から退避する開位置に移動させる。また、ロック動作部231Aは、
図3Cに示すように、矢印C2方向の回転動作でロック部22の被作動部22aを押すことで、ロック部22を矢印D2方向に回転させ、閉じた状態の蓋部21を押さえる閉位置に移動させる。
【0037】
図3B、
図1C及び
図1Dに示すように、ロック動作部231Aの動作でロック部22が開位置に移動すると、蓋部21は、図示しないバネに付勢される力で開く。図示しないバネに付勢されて蓋部21が開いた状態で、開閉動作部232Aは、軸234Aを回転軸として矢印E1方向に回転することで、
図1Dに示すように、蓋開部235Aがマガジン2と蓋部21の間に入り蓋部21をさらに開き、蓋部21を開いた状態で保持する。また、開閉動作部232Aは、
図1Dに示す状態から、軸234Aを回転軸として矢印E2方向に回転することで、開いた状態の蓋部21を
図1Aに示す蓋閉部236Aが閉じる方向に押して、蓋部21を閉じる。
【0038】
これにより、開閉部230Aは、ロック動作部231Aが蓋部21のロック部22を作動させて蓋部21のロックを解除し、開閉動作部232Aが蓋部21を開く。また、開閉部230Aは、開いている蓋部21を開閉動作部232Aが閉じ、ロック動作部231Aがロック部22を作動させて蓋部21を閉状態でロックする。
【0039】
結束装置100Aは、マガジン2に収容されたリール20に巻かれたワイヤWを、鉄筋結束機1Aに供給するワイヤ供給部240Aを備える。本例では、ワイヤ供給部240Aを結束機装着部110Aに備える。
【0040】
図4は、本実施の形態のワイヤ供給部の一例を示す要部側面図である。ワイヤ供給部240Aは供給部の一例で、マガジン2に収容されたリール20に巻かれたワイヤWを引き出し、鉄筋結束機1Aの後述するワイヤ送り部に装填するローラ241A、ローラ241Aを駆動するモータなどを備える。
【0041】
ワイヤ供給部240Aは、マガジン2の蓋部21が閉じた状態では、
図1A及び
図1Bなどに示すように、マガジン2の外部に位置している。ワイヤ供給部240Aは、マガジン2の蓋部21が開くと、
図4に示すようにマガジン2の内部に移動し、ワイヤWが送られる経路上にローラ241Aが位置して、リール20から引き出されたワイヤWを送る。
【0042】
結束機装着部110Aは装着部の一例で、鉄筋結束機1Aが装着される位置を規定するガイド部111Aを備える。結束機装着部110Aは、ガイド部111Aに鉄筋結束機1Aが装着されると、上述した開閉部230Aでマガジン2の蓋部21を開閉し、リール交換部220Aでリール20の交換が可能となる。
【0043】
図5は、本実施の形態の結束機装着部の一例を示す要部正面図である。結束機装着部110Aは、鉄筋結束機1Aの装着の有無を検知する装着検知部112Aを備える。装着検知部112Aは、例えば光学センサなど、物体の有無を検知可能なセンサで構成される。また、装着検知部112Aは、結束機装着部110Aのガイド部111Aに装着された鉄筋結束機1Aを検出可能であり、本例では、カール形成部5のカールガイド50を検知可能な位置に設けられる。装着検知部112Aは、結束機装着部110Aの所定の位置にガイド部111Aで鉄筋結束機1Aが装着されたことを検知して、結束機検知信号を出力する。
【0044】
結束装置100Aは、上述した結束機装着部110Aと消耗品装填部200Aをそれぞれ独立した装置として構成し、結束機装着装置と消耗品装填装置を組み合わせて結束システムを構成してもよい。
【0045】
また、上述した結束装置100A及び結束装置100Aをシステムとした結束システムは、鉄筋Sを結束する装置またはシステムに組み込まれて使用される。以下に、上述した消耗品装填部を備えた結束装置について、鉄筋Sの結束に必要な全体構成について説明する。なお、以下の説明では、結束装置は結束システムを構成するものであってもよいし、消耗品装填部は消耗品装填装置、消耗品装填システムを構成するものであってもよい。
【0046】
図6は、上述した消耗品装填部を備えた結束装置の第1の実施の形態の一例を示す斜視図である。消耗品装填部200Aを備えた結束装置100A1は、上述した結束機装着部110A、リール貯蔵部210A及びリール交換部220Aを備える。
【0047】
また、結束装置100A1は、格子状に配設された鉄筋Sの各交点を結束箇所P10として、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10に移動させる移動機300Aを備える。
【0048】
移動機300Aは、鉄筋Sの配設面SFに対して近づく方向及び離れる方向に鉄筋結束機1Aを移動させることで、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10に移動させる。
【0049】
結束装置100A1は、複数の鉄筋結束機1Aが、格子状に配設された鉄筋Sの間隔に合わせて設けられる。
【0050】
結束装置100A1は、図示しない搬送機構などの他の移動機で、複数の鉄筋結束機1Aが並ぶ方向と直交する方向に鉄筋Sを配設面SFに沿って移動させることで、各鉄筋結束機1Aを結束箇所P10と対向する位置に移動させる。
【0051】
結束装置100A1は、複数の鉄筋結束機1Aの並ぶ方向と直交する鉄筋Sの一方の延伸方向に沿って延伸する第1のガイドレール301Aにガイドされて、各移動機300Aが移動可能に構成される。
【0052】
また、結束装置100A1は、複数の鉄筋結束機1Aが並ぶ方向と平行な鉄筋Sの他方の延伸方向に沿って延伸する第2のガイドレール302Aにガイドされて、上述した結束機装着部110A、リール貯蔵部210A及びリール交換部220Aが移動し、第1のガイドレール301Aにガイドされて移動機300Aにより所定の位置に移動した鉄筋結束機1Aの当該位置に結束機装着部110Aが移動可能に構成される。消耗品装填部200Aは、第2のガイドレール302Aにガイドされて、結束機装着部110Aを鉄筋結束機1Aと対向する位置に移動させる。そして、移動機300Aは、鉄筋結束機1Aを結束機装着部110Aに対して近づく方向及び離れる方向に移動させることで、鉄筋結束機1Aを結束機装着部110Aに着脱する。
【0053】
なお、結束装置100A1は、第2のガイドレール302Aにガイドされて、鉄筋結束機1Aが結束機装着部110Aの位置に移動可能に構成されていてもよい。移動機300Aは、第2のガイドレール302Aにガイドされて、鉄筋結束機1Aを結束機装着部110Aと対向する位置に移動させ、鉄筋結束機1Aを結束機装着部110Aに対して近づく方向及び離れる方向に移動させることで、鉄筋結束機1Aを結束機装着部110Aに着脱する。
【0054】
図7A及び
図7Bは、上述した消耗品装填部を備えた結束装置の第2の実施の形態の一例を示す斜視図、
図7Cは、上述した消耗品装填部を備えた結束装置の第2の実施の形態の一例を示す要部拡大斜視図である。消耗品装填部200Aを備えた結束装置100A2は、上述した結束機装着部110A、リール貯蔵部210A及びリール交換部220Aを備える。
【0055】
また、結束装置100A2は、鉄筋結束機1Aをフレーム301Bで吊下した移動機300Bを備える。移動機300Bは、格子状に配設された鉄筋Sの一の方向に沿って、矢印X1、X2方向にフレーム301Bが移動可能に構成されると共に、格子状に配設された鉄筋Sの他の方向に沿って、矢印Y1、Y2方向に鉄筋結束機1Aが移動可能に構成される。また、移動機300Bは、鉄筋結束機1Aを、鉄筋Sの配設面SFに対して近づく矢印Z1方向と離れる矢印Z2方向に移動させる昇降機302Bを備える。
【0056】
移動機300Bは、鉄筋結束機1Aを鉄筋Sの配設面SFに対して近づく方向及び離れる方向と、配設面SFに対して沿った方向に移動させることで、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10に移動させる。
【0057】
また、移動機300Bは、鉄筋結束機1Aを結束機装着部110Aと対向する位置に移動させ、鉄筋結束機1Aを結束機装着部110Aに対して近づく方向及び離れる方向に移動させることで、
図7B、
図7Cに示すように、鉄筋結束機1Aを結束機装着部110Aに装着する
【0058】
図8A及び
図8Bは、上述した消耗品装填部を備えた結束装置の第3の実施の形態の一例を示す斜視図である。消耗品装填部200Aを備えた結束装置100A3は、上述した結束機装着部110A、リール貯蔵部210A及びリール交換部220Aを備える。
【0059】
また、結束装置100A3は、鉄筋結束機1Aを鉄筋Sの配設面SFに沿って走行させる移動機300Cを備える。移動機300Cは、鉄筋Sに乗り、図示しないモータに駆動される無限軌道301Cを備える。移動機300Cは、無限軌道301Cが回転することで、鉄筋Sの延伸方向に沿って移動する。また、左右の無限軌道301Cの回転数を変えることで、移動機300Cの進行方向が変えられ、格子状に配設された鉄筋Sのそれぞれの延伸方向に沿って移動する。更に、移動機300Cは、鉄筋結束機1Aを、鉄筋Sの配設面SFに対して近づく方向と離れる方向に移動させる図示しない昇降機を備える。
【0060】
移動機300Cは、鉄筋結束機1Aを鉄筋Sの配設面SFに沿った方向に移動させるとともに、図示しない昇降機が鉄筋結束機1Aを鉄筋Sの配設面SFに対して近づく方向及び離れる方向に移動させることで、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10に移動させる。
【0061】
また、移動機300Cは、鉄筋結束機1Aを結束機装着部110Aと対向する位置に移動させ、鉄筋結束機1Aを結束機装着部110Aに対して近づく方向に移動させることで、
図8Bに示すように、鉄筋結束機1Aを結束機装着部110Aに装着する。
【0062】
図9A、
図9B及び
図9Cは、上述した消耗品装填部を備えた結束装置の第4の実施の形態の一例を示す斜視図である。消耗品装填部200Aを備えた結束装置100A4は、上述した結束機装着部110A、リール貯蔵部210A及びリール交換部220Aを備える。
【0063】
また、結束装置100A4は、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10に移動させる移動機300Dを備える。更に、結束装置100A4は、移動機300Dに鉄筋結束機1Aを着脱可能に取り付ける着脱部301Dを備える。
【0064】
移動機300Dは、複数のアーム部が軸を構成する関節部を介して回転可能に連結されたロボットアーム等と称す機器で構成される。移動機300Dは、鉄筋結束機1Aを鉄筋Sの配設面SFに対して近づく方向及び離れる方向と、配設面SFに対して沿った方向に移動させることで、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10に移動させる。
【0065】
また、移動機300Dは、
図9Bに示すように、鉄筋結束機1Aを結束機装着部110Aと対向する位置に移動させ、鉄筋結束機1Aを結束機装着部110Aに対して近づく方向に移動させることで、
図9Cに示すように、鉄筋結束機1Aを結束機装着部110Aに装着する。
【0066】
<本実施の形態の鉄筋結束機の構成例>
図10は、本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す側面図である。鉄筋結束機1Aは、交差した2本の鉄筋Sの交点をワイヤWで結束する。本例では、ワイヤWを矢印Fで示す正方向に送る動作で、2本の鉄筋Sの交点の周囲にワイヤWを巻き回し、鉄筋Sの周囲に巻き回したワイヤWを、矢印Rで示す逆方向に送る動作で鉄筋Sに巻き付けて切断した後、ワイヤWを捩じり、2本の鉄筋Sの交点をワイヤWで結束する。
【0067】
鉄筋結束機1Aは、上述した機能を実現するため、ワイヤWが収容されるマガジン2と、ワイヤWを正方向及び逆方向に送るワイヤ送り部3と、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWをガイドするワイヤガイド4を備える。また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回す経路を構成するカール形成部5と、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを切断する切断部6を備える。更に、鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる捩じり部7と、捩じり部7を駆動する駆動部8を備える。
【0068】
マガジン2は、長尺状のワイヤWが繰り出し可能に巻かれたリール20が回転、着脱可能に収納される。ワイヤWは、塑性変形し得る金属線で構成されたワイヤ、金属線が樹脂で被覆されたワイヤ、あるいは撚り線のワイヤが使用される。
【0069】
1本のワイヤWで鉄筋Sを結束する構成では、1本のワイヤWがリール20の図示しないハブ部に巻かれ、リール20が回転しながら1本のワイヤWを引き出せるようになっている。また、複数本のワイヤWで鉄筋Sを結束する構成では、複数本のワイヤWがハブ部に巻かれ、リール20が回転しながら同時に複数本のワイヤWを引き出せるようになっている。例えば、2本のワイヤWで鉄筋Sを結束する構成では、2本のワイヤWがハブ部に巻かれ、リール20が回転しながら同時に2本のワイヤWを引き出せるようになっている。
【0070】
ワイヤ送り部3は、ワイヤWを挟持して送る一対の送りギア30を備える。ワイヤ送り部3は、図示しない送りモータの回転動作が伝達されて送りギア30が回転する。これにより、ワイヤ送り部3は、一対の送りギア30の間に挟持したワイヤWを、ワイヤWの延在方向に沿って送る。複数本、例えば2本のワイヤWを送り、鉄筋Sを結束する構成では、2本のワイヤWが並列された状態で送られる。
【0071】
ワイヤ送り部3は、送りモータの回転方向の正逆を切り替えることで、送りギア30の回転方向が切り替えられ、矢印Fで示す正方向にワイヤWを送るか、矢印Rで示す逆方向にワイヤWを送るか、ワイヤWの送り方向の正逆が切り替えられる。
【0072】
ワイヤガイド4は、ワイヤWを正方向に送る送り方向に対して、ワイヤ送り部3の上流側及び下流側の所定の位置に設けられる。2本のワイヤWを送り、鉄筋Sを結束する構成では、ワイヤ送り部3の上流側に設けられるワイヤガイド4は、2本のワイヤWの径方向の向きを規制し、進入してきた2本のワイヤWを並列にして、一対の送りギア30の間にガイドする。ワイヤ送り部3の下流側に設けられるワイヤガイド4は、2本のワイヤWの径方向の向きを規制し、進入してきた2本のワイヤWを並列にして、切断部6及びカール形成部5にガイドする。
【0073】
カール形成部5は、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWに巻き癖をつけるカールガイド50と、カールガイド50で巻き癖を付けられたワイヤWを捩じり部7に誘導する誘導ガイド51を備える。鉄筋結束機1Aでは、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWの経路がカール形成部5で規制されることで、ワイヤWの軌跡が
図10に二点鎖線で示すようなループRuとなり、ワイヤWが鉄筋Sの周囲に巻き回される。
【0074】
切断部6は、一対の刃部の相対的な動作でワイヤWを切断する構成で、本例では、固定刃部60と、固定刃部60を支点軸として回転する可動刃部61を備える。切断部6は、捩じり部7の動作が伝達部材62を介して可動刃部61に伝達され、可動刃部61の回転動作で固定刃部60と可動刃部61との間に挟んだワイヤWを切断する。
【0075】
捩じり部7は、ワイヤWを係止する係止部材70と、係止部材70を作動させるスリーブ71を備える。駆動部8は、モータ80と、減速及びトルクの増幅を行う減速機81を備える。
【0076】
捩じり部7は、駆動部8に駆動されることで、スリーブ71が係止部材70を作動させてワイヤWを係止する。また、捩じり部7は、スリーブ71の動作が伝達部材62を介して可動刃部61に伝達され、スリーブ71の動作と連動した切断部6によるワイヤWの切断後、ワイヤWを捩じって鉄筋Sを結束する。
【0077】
鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3、ワイヤガイド4、切断部6、捩じり部7,駆動部8等が本体部10の内部に収納される。鉄筋結束機1Aは、本体部10の延伸方向に沿った一方の端部である先端側(前側とも称す)の内部に捩じり部7が設けられ、他方の端部である後端側(後側とも称す)の内部に駆動部8が設けられる。
【0078】
また、鉄筋結束機1Aは、カール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51が、本体部10の前側の端部に設けられる。鉄筋結束機1Aは、カールガイド50と誘導ガイド51との間に入れられた鉄筋Sが突き当てられる突き当て部16が、本体部10の前側の端部で、カールガイド50と誘導ガイド51との間に設けられる。
【0079】
更に、鉄筋結束機1Aは、作業者が手に持って使用する形態のものを適用する場合、本体部10に手で持って操作可能なハンドル部11を備える。鉄筋結束機1Aは、ハンドル部11が本体部10から下方向に延在し、ハンドル部11の下部にバッテリ15が着脱可能に取り付けられるバッテリ取付部17が設けられる。鉄筋結束機1Aは、
図1Aなどに示す結束装置100Aに使用される場合、バッテリ15を取り付けず、外部から電源の供給を受けてもよい。また、鉄筋結束機1Aは、マガジン2がハンドル部11の前方に設けられる
【0080】
鉄筋結束機1Aは、作業者が手に持って使用する形態のものを適用する場合、ハンドル部11の前側にトリガ12が設けられ、ハンドル部11の内部にスイッチ13が設けられる。鉄筋結束機1Aは、トリガ12の操作で押されるスイッチ13の状態に応じて、制御部14がモータ80及び図示しない送りモータを制御する。
【0081】
なお、結束装置100Aに使用される鉄筋結束機1Aにおいて、トリガ12を備えることで、鉄筋結束機1A単体で動作確認が可能である。但し、結束装置100Aに使用される鉄筋結束機1Aでは、トリガ12及びスイッチ13を備えない構成としてもよい。
【0082】
【0083】
次に、各図を参照して、本実施の形態の捩じり部7の一例について説明する。捩じり部7は、スリーブ71を移動、回転させて、係止部材70を作動させる回転軸72を備える。捩じり部7と駆動部8は、回転軸72とモータ80が減速機81を介して連結され、回転軸72が、減速機81を介してモータ80に駆動される。
【0084】
係止部材70は、回転軸72と連結されるセンターフック70Cと、センターフック70Cに対して開閉する第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lを備える。
【0085】
捩じり部7において、センターフック70C及び第1のサイドフック70R、第2のサイドフック70Lが設けられた側を前側、回転軸72が減速機81と連結される側を後側とする。
【0086】
センターフック70Cは、回転軸72の一方の端部である前端に、回転軸72に対して回転可能、回転軸72と一体的に回転可能、かつ、回転軸72と一体的に軸方向への移動が可能な構成を介して連結される。
【0087】
第1のサイドフック70Rは、回転軸72の軸方向に沿った一方の端部である先端側が、センターフック70Cに対して一方の側部に位置する。また、第1のサイドフック70Rは、回転軸72の軸方向に沿った他方の端部である後端側が、センターフック70Cに軸71bで回転可能に支持される。
【0088】
第2のサイドフック70Lは、回転軸72の軸方向に沿った一方の端部である先端側が、センターフック70Cに対して他方の側部に位置する。また、第2のサイドフック70Lは、回転軸72の軸方向に沿った他方の端部である後端側が、センターフック70Cに軸71bで回転可能に支持される。
【0089】
これにより、係止部材70は、軸71bを支点とした回転動作で、第1のサイドフック70Rの先端側がセンターフック70Cに対して離接する方向に開閉する。また、第2のサイドフック70Lの先端側がセンターフック70Cに対して離接する方向に開閉する。
【0090】
スリーブ71は、矢印A1で示す前方向の端部から、回転軸72の軸方向に沿った所定の長さの範囲が、径方向に2分割された形状で、第1のサイドフック70R、第2のサイドフック70Lが入る形状である。また、スリーブ71は、回転軸72の周囲を覆う筒状で、回転軸72が挿入される筒状の空間の内周面に突出する図示しない凸部を有し、この凸部が、回転軸72の外周に軸方向に沿って形成された送りネジ72aの溝部に入る。
【0091】
スリーブ71は、回転軸72が回転すると、図示しない凸部と回転軸72の送りネジ72aの作用により、回転軸72の軸方向に沿った方向である前後方向へ、回転軸72の回転方向に応じて移動する。また、スリーブ71は、回転軸72の軸方向に沿って送りネジ72aの前方向の端部まで移動すると、回転軸72と一体的に回転する。
【0092】
スリーブ71は、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lを開閉する開閉ピン71aを備える。第1のサイドフック70Rは、開閉ピン71aが挿入される開閉ガイド孔73Rを備え、第2のサイドフック70Lは、開閉ピン71aが挿入される開閉ガイド孔73Lを備える。
【0093】
開閉ガイド孔73R、73Lは、スリーブ71の移動方向に沿って延在する溝で構成される。開閉ガイド孔73Rは、スリーブ71と連動して移動する開閉ピン71aの直線方向の動きを、軸71bを支点とした第1のサイドフック70Rの回転による開閉動作に変換する形状を有する。また、開閉ガイド孔73Lは、スリーブ71と連動して移動する開閉ピン71aの直線方向の動きを、軸71bを支点とした第2のサイドフック70Lの回転による開閉動作に変換する形状を有する。
【0094】
第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lは、スリーブ71が矢印A2で示す後側に移動すると、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73R、73Lの形状により、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cから離れる方向に移動する。
【0095】
これにより、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して開き、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に、ワイヤWが通る送り経路が形成される。
【0096】
第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して開いた状態では、ワイヤ送り部3で正方向に送られるワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rの間を通る。センターフック70Cと第1のサイドフック70Rとの間を通るワイヤWは、カール形成部5に誘導される。そして、カール形成部5のカールガイド50で巻き癖が付けられ、誘導ガイド51で捩じり部7に誘導されたワイヤWは、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lの間を通る。
【0097】
第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lは、スリーブ71が矢印A1で示す前側に移動すると、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73R、73Lの形状により、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cから近づく方向に移動する。これにより、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して閉じる。
【0098】
第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間を移動することが可能な形態で係止される。また、第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。
【0099】
鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWは、ワイヤ送り部3でワイヤWを逆方向に送る動作では、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれた部位が、ワイヤWが送られる方向の上流側に位置し、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれた部位が、ワイヤWが送られる方向の下流側の位置する
【0100】
これにより、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWは、ワイヤ送り部3でワイヤWを逆方向に送る動作で、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれた部位が、ワイヤ送り部3方向に引っ張られ、ループRuの径が小さくなって、鉄筋Sに巻き付けられる。
【0101】
スリーブ71は、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWの一方の端部である第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれた部位より先端側を所定の方向に押して曲げることで、ワイヤWを所定の形状に成形する曲げ部71c1を備える。また、スリーブ71は、鉄筋Sに巻き付けられ、切断部6で切断されたワイヤWの他方の端部である終端側を所定の方向に押して曲げることで、ワイヤWを所定の形状に成形する曲げ部71c2を備える。曲げ部71c1及び曲げ部71c2は、スリーブ71の矢印A1で示す前方向の端部に形成される。
【0102】
スリーブ71は、矢印A1で示す前方向に移動することで、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lで係止されたワイヤWの先端側を曲げ部71c1で押して、鉄筋S側へ曲げる。また、スリーブ71は、矢印A1で示す前方向に移動することで、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rで係止され、切断部6で切断されたワイヤWの終端側を曲げ部71c2で押して、鉄筋S側へ曲げる。
【0103】
捩じり部7は、回転軸72の回転動作と連動した係止部材70及びスリーブ71の回転を規制する回転規制部74を備える。回転規制部74は、回転規制羽根74aをスリーブ71に備え、回転規制羽根74aが係止される図示しない回転規制爪を本体部10に備える。
【0104】
回転規制羽根74aは、スリーブ71の外周から径方向に突出する複数の凸部を、スリーブ71の周方向に所定の間隔で設けて構成される。回転規制羽根74aは、スリーブ71に固定され、スリーブ71と一体的に移動、回転する。
【0105】
回転規制部74は、係止部材70でワイヤWを係止し、ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けた後切断し、更に、スリーブ71の曲げ部71c1、71c2でワイヤWを折り曲げて成形する動作域では、回転規制羽根74aが係止される。回転規制羽根74aが係止されると、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制され、回転軸72の回転動作でスリーブ71が前後方向へ移動する。
【0106】
また、回転規制部74は、係止部材70で係止したワイヤWを捩じる動作域では、回転規制羽根74aの係止が解除される。回転規制羽根74aの係止が解除されると、回転軸72の回転に連動してスリーブ71が回転する。係止部材70は、スリーブ71の回転と連動して、ワイヤWを係止したセンターフック70C、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが回転する。
【0107】
<本実施の形態の鉄筋結束機の結束動作例>
次に、各図を参照して、本実施の形態の鉄筋結束機1Aにより鉄筋SをワイヤWで結束する動作について説明する。
【0108】
鉄筋結束機1Aは、ワイヤWが一対の送りギア30の間に挟持され、このワイヤWの先端が、送りギア30の挟持位置と、切断部6の固定刃部60との間に位置した状態が待機状態となる。また、鉄筋結束機1Aは、待機状態では、スリーブ71及びスリーブ71に取り付けられた第1のサイドフック70R、第2のサイドフック70L、センターフック70Cが、矢印A2で示す後方向に移動し、
図11Cに示すように、第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して開き、第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して開いた状態である。
【0109】
待機状態から図示しない送りモータが正回転方向に駆動されると、ワイヤ送り部3でワイヤWが矢印Fで示す正方向に送られる。複数本、例えば2本のワイヤWを送る構成の場合、ワイヤガイド4により、2本のワイヤWが当該ワイヤWにより形成されるループRuの軸方向に沿って並列された状態で送られる。
【0110】
正方向に送られるワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rの間を通り、カール形成部5のカールガイド50に送られる。ワイヤWは、カールガイド50を通ることで、カールガイド50と誘導ガイド51との間に入れられた鉄筋Sの周囲に巻き回される巻き癖が付けられる。
【0111】
カールガイド50で巻き癖が付けられたワイヤWは、誘導ガイド51に誘導され、更にワイヤ送り部3で正方向に送られることで、誘導ガイド51によりセンターフック70Cと第2のサイドフック70Lの間に誘導される。そして、ワイヤWが所定の位置まで送られると、送りモータの駆動が停止される。
【0112】
ワイヤWの正方向への送りを停止した後、モータ80が正回転方向に駆動される。スリーブ71は、係止部材70でワイヤWを係止する動作域では、回転規制羽根74aが係止されることで、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制される。これにより、スリーブ71は、モータ80の回転が直線移動に変換され、前方向である矢印A1方向に移動する。
【0113】
係止部材70は、スリーブ71が矢印A1で示す前方向に移動することで、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73R、73Lの形状により、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cに近づく方向に移動する。
【0114】
これにより、
図11Dに示すように、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して閉じる。
【0115】
第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間を移動することが可能な形態で係止される。
【0116】
これに対し、第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。
【0117】
第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが閉じる動作で、ワイヤWを係止する位置までスリーブ71を前進させた後、モータ80の回転を一時停止し、図示しない送りモータを逆回転方向に駆動する。
【0118】
これにより、一対の送りギア30が逆転し、一対の送りギア30の間に挟持されたワイヤWが、矢印Rで示す逆方向に送られる。ワイヤWの先端側が、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止されているので、ワイヤWを逆方向に送る動作で、ワイヤWは鉄筋Sに巻き付けられる。
【0119】
ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けて、送りモータの逆回転方向の駆動を停止した後、モータ80を正回転方向に駆動することで、スリーブ71を更に矢印A1で示す前方向に移動させる。
【0120】
スリーブ71が前方向に移動する動作が伝達部材62で切断部6に伝達されることで可動刃部61が回転し、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cで係止されたワイヤWが、固定刃部60と可動刃部61の動作で切断される。
【0121】
モータ80を正回転方向に駆動することで、スリーブ71を矢印A1で示す前方向に移動させて、上述したように、ワイヤWを切断するとほぼ同時に、曲げ部71c1、71c2が鉄筋Sに接近する方向へ移動する。これにより、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lで係止されたワイヤWの先端側を、曲げ部71c1で鉄筋S側へ押圧して、係止位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。スリーブ71が更に前方向に移動することで、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間で係止されたワイヤWが、曲げ部71c1で挟まれた状態で保持される。
【0122】
また、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rで係止され、切断部6で切断されたワイヤWの終端側を、曲げ部71c2で鉄筋S側へ押圧して、係止位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。スリーブ71が更に前方向に移動することで、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間で係止されたワイヤWが、曲げ部71c2で挟まれた状態で保持される。
【0123】
ワイヤWの先端側及び切断後の終端側を鉄筋S側に折り曲げた後、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、スリーブ71が更に前方向に移動する。スリーブ71が所定の位置まで移動することで、係止部材70で係止したワイヤWを捩じる動作域に到達すると、回転規制羽根74aの係止が解除される。
【0124】
これにより、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、回転軸72と連動してスリーブ71が回転し、係止部材70で係止したワイヤWが捩じられる。
【0125】
ワイヤWを捩じることで、モータ80に掛かる負荷が最大となったことが検知されると、モータ80の正転が停止される。次に、モータ80が逆回転方向に駆動されることで、回転軸72が逆回転し、回転軸72の逆回転に追従してスリーブ71が逆回転すると、回転規制羽根74aが係止されることで、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制される。これにより、スリーブ71は、後方向である矢印A2方向に移動する。
【0126】
スリーブ71が後方向に移動すると、曲げ部71c1、71c2がワイヤWから離れ、曲げ部71c1、71c2によるワイヤWの保持が解消される。また、スリーブ71が後方向に移動すると、開閉ピン71aが開閉ガイド孔73R、73Lを通過する。これにより、第1のサイドフック70Rは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cから離れる方向に移動する。また、第2のサイドフック70Lは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cから離れる方向に移動する。これにより、係止部材70からワイヤWが抜ける。
【0127】
<本実施の形態の結束装置のリール交換動作例>
図12は、本実施の形態の結束装置のリール交換動作の一例を示すフローチャート、
図13A、
図13B、
図13C及び
図13Dは、本実施の形態の結束装置のリール交換動作の一例を示す動作説明図で、各図を参照して、本実施の形態の消耗品装填方法として、結束装置のリール交換動作について説明する。
【0128】
本実施の形態の消耗品装填方法は、消耗品の状態として、鉄筋結束機1Aのマガジン2に収容されたワイヤWの残量、ワイヤWの種類、リール20に巻かれたワイヤWの様態に起因したワイヤWの送りの不具合の有無など、ワイヤWの状態に基づき、マガジン2に収容されたリール20を取り出し、リール貯蔵部210Aに収容された交換用のリール20と交換することで、消耗品であるワイヤWをマガジン2に装填する。以下にその詳細について説明する。
【0129】
結束装置100Aは、
図12のステップSA1で、リール20の交換が必要か否か判断する。鉄筋結束機1Aは、マガジン2に収容されたリール20に巻かれたワイヤWが所定の使用済の状態になったと判断すると、リール交換要求信号を出力する。また、鉄筋結束機1Aは、マガジン2に収容されたリール20に巻かれたワイヤWの種類を別の種類に変える指示があったと判断すると、リール交換要求信号を出力する。更に、鉄筋結束機1Aは、リール20に巻かれたワイヤWの様態に起因してワイヤWをリール20から引き出せないなど、ワイヤWの送りの不具合があったと判断すると、リール交換要求信号を出力する。
【0130】
結束装置100Aは、鉄筋結束機1Aからリール交換要求信号が入力されると、リール20の交換が必要であると判断し、ステップSA2で鉄筋結束機1Aを結束機装着部110Aに装着する。
【0131】
結束装置100Aは、結束機装着部110Aの所定の位置にガイド部111Aで鉄筋結束機1Aが装着されたことを装着検知部112Aで検知して、結束機検知信号が出力されると、リール20の交換動作を実行する。
【0132】
リール交換動作では、結束装置100Aは、鉄筋結束機1Aに対し残っているワイヤWを排出する動作を実行させる残りワイヤ排出信号を出力する。鉄筋結束機1Aは、残りワイヤ排出信号が入力されると、切断部6を駆動してワイヤWを切断し、ステップSA3で鉄筋結束機1Aの内部に残るワイヤWを排出する。
【0133】
すなわち、鉄筋結束機1Aは、モータ80を正回転方向に駆動することで、スリーブ71を矢印A1で示す前方向に移動させて、切断部6でワイヤWの切断動作を実行する。ワイヤWが切断部6で切断可能な位置に残っている場合、このワイヤWが切断され、切断部6より捩じり部7側にあるワイヤWと、切断部6よりワイヤ送り部3側にあるワイヤWが分離される。また、切断部6でワイヤWの切断動作を実行した後、一対の送りギア30を逆転させ、一対の送りギア30の間に挟持されたワイヤWを逆方向に送ることで、切断部6よりワイヤ送り部3側にあるワイヤWを、一対の送りギア30の間から抜く。これにより、マガジン2に収容されたリール20の取り出しが可能になる。
【0134】
鉄筋結束機1Aは、モータ80を所定量正回転方向に駆動した後、モータ80を逆回転方向に駆動することで、スリーブ71を矢印A2で示す後方向に移動させて、捩じり部7を上述した待機状態に戻す動作を実行する。これにより、切断部6より捩じり部7側のワイヤWの係止が解除され、ワイヤWが本体部10の外部に排出される。
【0135】
結束装置100Aは、鉄筋結束機1Aに残るワイヤWの排出動作が終了すると、ステップSA4で、開閉部230Aがマガジン2の蓋部21を開ける。すなわち、開閉部230Aは、
図3Bに示すように、ロック動作部231Aを矢印C1方向に回転させる。ロック動作部231Aは、矢印C1方向の回転動作でロック部22の被作動部22aを押すことで、ロック部22を矢印D1方向に回転させ、蓋部21の開閉軌跡から退避する開位置に移動させる。
【0136】
ロック部22が開位置に移動すると、蓋部21は、図示しないバネに付勢される力で開く。
【0137】
図示しないバネに付勢されて蓋部21が開いた状態で、開閉部230Aは、開閉動作部232Aを矢印E1方向に回転させることで、
図1Dに示すように、蓋開部235Aがマガジン2と蓋部21の間に入り蓋部21をさらに開き、蓋部21を開いた状態で保持する。
【0138】
結束装置100Aは、開閉部230Aの動作で蓋部21が開くと、消耗品装填部200Aを制御し、リール交換部220Aが、結束機装着部110Aに装着された鉄筋結束機1Aの蓋部21の開いたマガジン2と対向する位置に、移動部222Aで保持部221Aを移動させる。また、リール交換部220Aは、マガジン2に収容されたリール20を保持可能な向きに、移動部222Aで保持部221Aの向きを合わせる。そして、保持部221Aがリール20を保持可能な位置に移動部222Aが保持部221Aを移動させ、マガジン2に収容された交換対象のリール20を保持部221Aが保持する。交換対象のリール20は、リール20に巻かれたワイヤWが所定の使用済の状態になった場合であれば、ワイヤWが使用済のリール20である。また、交換対象のリール20は、リール20に巻かれたワイヤWの種類を別の種類に変える場合であれば、種類の変更が必要なワイヤWが巻かれたリール20である。更に、交換対象のリール20は、ワイヤWの送りの不具合があった場合であれば、不具合が発生したリール20である。
【0139】
マガジン2に収容された交換対象のリール20を保持部221Aが保持すると、リール交換部220Aは、
図13Aに示すように、移動部222Aが保持部221Aを鉄筋結束機1Aのマガジン2から離れる方向に移動させて、ステップSA5で交換対象のリール20を鉄筋結束機1Aのマガジン2から取り出す。リール交換部220Aは、
図13Bに示すように、交換対象のリール20を保持した保持部221Aを移動部222Aが所定のリール載置位置に移動させて、ステップSA6で交換対象のリール20を保持部221Aから離す。
【0140】
リール交換部220Aは、保持部221Aが交換対象のリール20を離すと、リール貯蔵部210Aに収容された交換用のリール20と対向する位置に、移動部222Aが保持部221Aを移動させる。また、リール交換部220Aは、リール貯蔵部210Aに収容されたリール20を保持可能な向きに、移動部222Aが保持部221Aの向きを合わせる。そして、保持部221Aがリール20を保持可能な位置に移動部222Aが保持部221Aを移動させ、
図13Cに示すように、リール貯蔵部210Aに収容された交換用のリール20を保持部221Aが保持する。交換用のリール20は、交換対象のリール20がワイヤWの使用済のリール20であれば、所定量のワイヤWが巻かれたリール20である。また、交換用のリール20は、交換対象のリール20に巻かれたワイヤWの種類を別の種類に変える場合であれば、次に使用する種類のワイヤWが巻かれたリール20である。更に、交換用のリール20は、交換対象のリール20が不具合の発生したリール20であれば、ワイヤWの送りを正常に行うことが可能なリール20である。
【0141】
リール貯蔵部210Aに収容された交換用のリール20を保持部221Aが保持すると、リール交換部220Aは、移動部222Aが保持部221Aをリール貯蔵部210Aから離れる方向に移動させて、ステップSA7で交換用のリール20をリール貯蔵部210Aから取り出す。
【0142】
リール交換部220Aは、結束機装着部110Aに装着された鉄筋結束機1Aの蓋部21の開いたマガジン2と対向する位置に、交換用のリール20を保持した保持部221Aを移動部222Aが移動させる。また、保持したリール20をマガジン2に収容可能な向きに、移動部222Aが保持部221Aの向きを合わせる。そして、
図13Dに示すように、保持した交換用のリール20をマガジン2に収容可能な位置に、移動部222Aが保持部221Aを移動させ、ステップSA8でマガジン2に交換用のリール20を収容する。
【0143】
リール交換部220Aは、交換用のリール20を結束機装着部110Aに装着された鉄筋結束機1Aのマガジン2に収容した後、保持部221Aによるリール20の保持を解除する。そして、リール交換部220Aは、移動部222Aが保持部221Aを鉄筋結束機1Aから離れる方向に移動させて、保持部221Aを待機位置に戻す。
【0144】
結束装置100Aは、交換用のリール20を鉄筋結束機1Aのマガジン2に収容すると、
図4に示すように、ワイヤ供給部240Aをマガジン2の内部に移動させ、交換用のリール20に巻かれたワイヤWを、ステップSA9でワイヤ供給部240Aが鉄筋結束機1Aのワイヤ送り部3に装填する。
【0145】
結束装置100Aは、交換用のリール20に巻かれたワイヤWを、ワイヤ供給部240Aで鉄筋結束機1Aのワイヤ送り部3に装填すると、ワイヤ供給部240Aをマガジン2の内部から外部に移動させ、ステップSA10で開閉部230Aがマガジン2の蓋部21を閉じる。すなわち、開閉部230Aは、開閉動作部232Aを矢印E2方向に回転させることで、開いた状態の蓋部21を蓋閉部236Aが閉じる方向に押して、蓋部21を閉じる。
【0146】
蓋部21を閉じると、開閉部230Aは、
図3Cに示すように、ロック動作部231Aを矢印C2方向に回転させる。ロック動作部231Aは、矢印C2方向の回転動作でロック部22の被作動部22aを押すことで、ロック部22を矢印D2方向に回転させ、閉じた状態の蓋部21を押さえる閉位置に移動させる。
【0147】
ロック動作部231Aの動作でロック部22が閉位置に移動すると、開閉部230Aは、開閉動作部232Aを
図1Cに示す初期位置に移動させる。
【0148】
結束装置100Aは、リール20の交換動作を実行すると、ステップSA11でリール20が正常に交換されたか判定する。
【0149】
結束装置100Aは、ステップSA12でリール交換動作が正常に終了したと判断すると、ステップSA13でリール20の交換が正常に行われたことを記録するとともに報知する。そして、鉄筋結束機1Aを
図6の移動機300A等で結束機装着部110Aから取り出し、ステップSA14で結束動作が可能となる。
【0150】
結束装置100Aは、ステップSA12でリール交換動作が異常に終了したと判断すると、ステップSA15でリール20の交換で異常が発生したことを記録するとともに報知する。
【0151】
<本実施の形態の結束装置の応用例>
図14は、情報通信部を備えた結束装置の一例を示す構成図である。結束装置100Aは、鉄筋結束機1Aと、リール貯蔵部210Aと、リール交換部220Aとの間で、相互に情報の通信を行い、動作の連携が可能に構成されていてもよい。
【0152】
結束装置100Aは、鉄筋結束機1Aの各種状態を示す状態情報を取得する情報取得部502と、鉄筋結束機1Aの状態情報の通信を行う情報通信部503を備える。情報取得部502と情報通信部503は、鉄筋結束機1Aに設けられる。
【0153】
また、結束装置100Aは、リール貯蔵部210Aの図示しない情報取得部で取得されたリール貯蔵部210Aの各種状態を示す状態情報、リール交換部220Aの図示しない情報取得部で取得されたリール交換部220Aの各種状態を示す状態情報の通信を行う情報通信部504を備える。情報通信部504は、消耗品装填部200Aに設けられる。
【0154】
結束装置100Aは、鉄筋結束機1Aの情報取得部502で取得した状態情報、リール貯蔵部210Aの図示しない情報取得部で取得した状態情報、リール交換部220Aの図示しない情報取得部で取得した状態情報が情報処理装置500に通知される。状態情報は、ワイヤのWの残量、リール貯蔵部210Aに収容された交換用のリール20の有無及び数、リール貯蔵部210Aに収容された交換用のリール20の位置情報など、消耗品の装填に関連する消耗品装填情報が含まれる。情報処理装置500は、結束装置100Aを制御するとともに、結束装置100Aの状態などを作業者に通知するパーソナルコンピュータ500a、結束装置100Aの状態などを作業者に通知するタブレットなどの携帯端末500bである。
【0155】
結束装置100Aは、情報通信部503と情報通信部504を介して、鉄筋結束機1Aと、リール貯蔵部210A及びリール交換部220Aとの間、鉄筋結束機1Aと情報処理装置500との間、リール貯蔵部210A及びリール交換部220Aと情報処理装置500との間で、鉄筋結束機1Aの情報取得部502で取得した状態情報の通信を行う。
【0156】
また、結束装置100Aは、情報通信部503と情報通信部504を介して、鉄筋結束機1Aと、リール貯蔵部210A及びリール交換部220Aとの間、鉄筋結束機1Aと情報処理装置500との間、リール貯蔵部210A及びリール交換部220Aと情報処理装置500との間で、リール貯蔵部210Aの状態情報と、リール交換部220Aの状態情報の通信を行う。
【0157】
そして、結束装置100Aは、鉄筋結束機1Aの状態情報と、リール貯蔵部210Aの状態情報及びリール交換部220Aの状態情報に基づき、リール交換動作の可否の判断、リール交換動作の実行、リール交換動作の成否の判断など、鉄筋結束機1Aと、リール貯蔵部210A及びリール交換部220Aの動作を連携させる。また、リール交換動作の可否の判断結果などの通知情報510aが、情報処理装置500で例えば視認可能な情報として出力される。
【0158】
図15Aは、装填状態検知部を備えた結束装置の一例を示す要部構成図、
図15Bは、ワイヤ装填位置の一例を示す鉄筋結束機の正面図、
図15Cは、ワイヤ装填位置の一例を示す鉄筋結束機の要部正面図である。
【0159】
結束装置100Aは、リール20が交換され、ワイヤWがワイヤ送り部3に装填されたことを確認する手段として、装填状態検知部を備えてもよい。
【0160】
鉄筋結束機1Aは、マガジン2にリール20が収容され、リール20に巻かれたワイヤWが引き出され、ワイヤWが一対の送りギア30の間に入れられて図示しない送りモータで送りギア30が回転することで、一対の送りギア30の間にワイヤWが挟持されてワイヤWの送りが可能となる。
【0161】
そこで、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3を撮影可能な窓部23を備える。窓部23は、ワイヤ送り部3によるワイヤWの送り経路において、ワイヤ装填位置24である一対の送りギア30が対向する部位を鉄筋結束機1Aの外部から見えるように、本体部10、マガジン2の一部に開口を設けて構成される。
【0162】
結束装置100Aは、ワイヤWの装填状態を撮影するカメラ501を備える。カメラ501は装填状態検知部の一例で、窓部23と対向する位置に設けられ、窓部23を通してワイヤ装填位置24を撮影し、ワイヤ装填状態画像情報を取得する。
【0163】
結束装置100Aは、ワイヤ装填状態画像情報に基づきワイヤWが正常に装填されたか否かを判定する判定部505と、判定部505での判定結果、ワイヤ装填状態画像情報などを出力する情報通信部503を備える。判定部505と情報通信部503は、鉄筋結束機1Aに備えてもよいし、判定部505を情報処理装置500に備えてもよい。
【0164】
上述したように、リール20に巻かれたワイヤWを、ワイヤ供給部240Aで鉄筋結束機1Aのワイヤ送り部3に装填する動作で、カメラ501はワイヤ装填位置24を撮影し、ワイヤ装填状態画像情報を取得する。
【0165】
判定部505は、ワイヤ装填状態画像情報に基づきワイヤWが正常に装填されたか否か判定し、判定結果を情報通信部503で情報処理装置500に通知する。
【0166】
情報処理装置500は、ワイヤ装填状態画像情報に基づきワイヤWが正常に装填されたと判断すると、結束装置100Aにマガジン2の蓋部21を閉じる指示を通知する。
【0167】
結束装置100Aは、マガジン2の蓋部21を閉じる指示を取得すると、上述したように、ワイヤ供給部240Aをマガジン2の内部から外部に移動させ、開閉部230Aがマガジン2の蓋部21を閉じる。また、情報処理装置500は、ワイヤWが正常に装填されて、リール交換動作が正常に終了したことを示す通知情報510bを、例えば視認可能な情報として出力する。
【0168】
<本実施の形態の結束装置の変形例>
図16A及び
図16Bは、本実施の形態の結束装置の変形例を示す斜視図である。
図16Aに示す本実施の形態の第1の変形例の結束装置100Bは、ワイヤWで鉄筋Sを結束する鉄筋結束機1Aと、鉄筋結束機1Aが着脱可能に装着される結束機装着部110Aを備える。また、結束装置100Bは、ワイヤWが巻かれたリール20が収容されるリール貯蔵部210Aと、リール貯蔵部210Aに収容されたリール20を鉄筋結束機1Aに装填するリール交換部220Bを備える。変形例の結束装置100Bにおいて、結束機装着部110Aとリール貯蔵部210Aは、結束装置100Aと同じ構成でよい。
【0169】
リール交換部220Bは、消耗品装填部の一例で、消耗品の状態として、鉄筋結束機1AのワイヤWの残量、ワイヤWの種類、リール20に巻かれたワイヤWの様態に起因したワイヤWの送りの不具合の有無など、ワイヤWの状態に基づき、マガジン2に収容されたリール20を取り出し、リール貯蔵部210Aに収容された新しいリール20と交換することで、鉄筋結束機1AにワイヤWを装填する。
【0170】
リール交換部220Bは、マガジン2に収容されたリール20を交換するため、リール20を着脱可能に保持する保持部221Bと、保持部221Bを少なくとも鉄筋結束機1Aのマガジン2とリール貯蔵部210Aとの間で移動させる移動部222Bを備える。
【0171】
保持部221Bは、例えば、互いの間隔が近づく方向及び離れる方向に移動する一対の爪部を備え、一対の爪部の間にリール20を保持する。
【0172】
移動部222Bは、結束機装着部110Aとリール貯蔵部210Aが並ぶ方向に沿って延伸するガイドレール223Bに沿って保持部221Bを移動させる第1の移動部224Bと、保持部221Bをリール貯蔵部210Aに対して近づく方向と離れる方向に沿って移動させるとともに、結束機装着部110Aに装着された鉄筋結束機1Aのマガジン2に対して近づく方向と離れる方向に沿って移動させる第2の移動部225Bを備える。
【0173】
移動部222Bは、リール貯蔵部210Aに収容されたリール20のピックアップ位置と対向する位置に保持部221Bを移動させるとともに、リール20のピックアップ位置に対して近づく方向と離れる方向に保持部221Bを移動させることが可能であり、保持部221Bでリール20を保持し、リール貯蔵部210Aから取り出すことが可能である。
【0174】
また、移動部222Bは、結束機装着部110Aに装着された鉄筋結束機1Aのマガジン2と対向する位置に保持部221Bを移動させるとともに、マガジン2に対して近づく方向と離れる方向に保持部221Bを移動させることが可能であり、ワイヤWが交換対象のリール20を保持部221Bで保持し、マガジン2から取り出すことが可能である。また、ワイヤWが巻かれた新しいリール20を保持部221Bで保持し、マガジン2に収容することが可能である。
【0175】
図16Bに示す本実施の形態の第1の変形例の結束装置100Cは、ワイヤWが巻かれたリール20を収容するリール収容部25を鉄筋結束機1Aと独立させた構成である。リール収容部25は消耗品収容部の一例で、ワイヤWが巻かれるリール20を着脱可能に収容する。
【0176】
結束装置100Cは、リール収容部25に収容されたリール20に巻かれたワイヤWを、鉄筋結束機1Aに装填するワイヤ供給部240Cを備える。ワイヤ供給部240Cは、鉄筋結束機1Aとリール収容部25の間に設けられ、リール収容部25に収容されたリール20に巻かれたワイヤWを引き出し、鉄筋結束機1Aのワイヤ送り部に装填する図示しないローラ、ローラを駆動するモータなどを備える。
【0177】
図17は、本実施の形態の結束装置の他の変形例を示す斜視図である。他の変形例の結束装置100Dは、ワイヤWで鉄筋Sを結束する鉄筋結束機1Aが着脱可能に装着される結束機装着部110Aを備える。結束機装着部110Aは、鉄筋結束機1Aのカール形成部5を露出させる形態で鉄筋結束機1Aが装着される。これにより、結束装置100Dは、鉄筋結束機1Aが結束機装着部110Aに装着された状態で、鉄筋結束機1Aによる結束動作が可能である。
【0178】
また、結束装置100Dは、鉄筋結束機1Aに対するワイヤWの装填を、リール20を交換することで行う消耗品装填部200Aを備える。消耗品装填部200Aは、ワイヤWが巻かれたリール20が収容されるリール貯蔵部210Aと、リール貯蔵部210Aに収容されたリール20を鉄筋結束機1Aに装填するリール交換部220Aを備える。変形例の結束装置100Dにおいて、消耗品装填部200Aは、結束装置100Aと同じ構成でよい。
【0179】
結束機装着部110Aは、鉄筋結束機1Aの装着の有無を検知する装着検知部112Dを備える。装着検知部112Dは、鉄筋結束機1Aによる結束動作、消耗品装填部200Aによるリール20の交換動作が可能な位置に、鉄筋結束機1Aが装着されたことを検知して、結束機検知信号を出力する。
【0180】
更に、結束装置100Dは、結束機装着部110Aに装着された鉄筋結束機1Aを、結束箇所P10に移動させる移動機300D1を備える。結束装置100Dは、例えば、移動機300D1に鉄筋結束機1Aが取り付けられ、鉄筋結束機1Aが結束機装着部110Aに装着され、結束機装着部110A及び消耗品装填部200Aが1つの装置、システムとして構成される。これにより、結束装置100Dは、結束機装着部110Aに装着された鉄筋結束機1Aと消耗品装填部200Aが、移動機300D1により一体で移動する。
【0181】
移動機300D1は、例えば、複数のアーム部が軸を構成する関節部を介して回転可能に連結されたロボットアーム等と称す機器で構成される。移動機300D1は、結束機装着部110Aに装着された鉄筋結束機1Aを鉄筋Sの配設面SFに対して近づく方向及び離れる方向と、配設面SFに対して沿った方向に移動させることで、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10に移動させる。
【0182】
結束装置100Dは、結束機装着部110Aに装着された鉄筋結束機1Aを結束箇所P10に移動させることで、鉄筋結束機1Aで上述した結束動作が実行可能である。また、結束装置100Dは、結束機装着部110Aに装着された鉄筋結束機1Aと消耗品装填部200Aが、移動機300D1により一体で移動する。これにより、鉄筋結束機1Aの位置によらず、鉄筋結束機1Aのマガジン2に収容されたワイヤWの残量などに基づき、マガジン2に収容された交換対象のリール20を取り出し、リール貯蔵部210Aに収容された交換用のリール20と交換して、ワイヤWをマガジン2に装填することが可能である。
【0183】
なお、上述した結束装置100A及び結束装置100Aをシステムとした結束システムは、鉄筋Sを結束する装置またはシステムに組み込まれて使用されるものに限らず、人が鉄筋結束機1Aを手で持って使用する環境下でも使用可能である。
【0184】
すなわち、人が鉄筋結束機1Aを手で持って結束動作を実行し、ワイヤWの残量などに基づきリール20の交換が必要になると、人が鉄筋結束機1Aを結束機装着部110Aに装着する。鉄筋結束機1Aが結束機装着部110Aに装着されると、消耗品装填部200Aがマガジン2に収容された交換対象のリール20を取り出し、リール貯蔵部210Aに収容された交換用のリール20と交換して、ワイヤWをマガジン2に装填することが可能である。
【符号の説明】
【0185】
1A・・・鉄筋結束機(結束機、結束部)、10・・・本体部、2・・・マガジン(消耗品収容部)、21・・・蓋部、21a・・・ヒンジ部、22・・・ロック部、22a・・・被作動部、25・・・リール収容部(消耗品収容部)、3・・・ワイヤ送り部、30・・・送りギア、5・・・カール形成部、6・・・切断部、7・・・捩じり部、8・・・駆動部、100A・・・結束装置、110A・・・結束機装着部、111A・・・ガイド部、112A・・・装着検知部、200A・・・消耗品装填部、210A・・・リール貯蔵部(装填用消耗品収容部)、211A・・・貯蔵部、212A・・・貯蔵プレート、213A・・・軸、214A・・・駆動部、220A、220B・・・リール交換部(装填部)、221A、221B・・・保持部、222A、222B・・・移動部、223A・・・アーム部、224A・・・関節部、223B・・・ガイドレール、224B・・・第1の移動部、225B・・・第2の移動部、230A・・・開閉部、231A・・・ロック動作部、232A・・・開閉動作部、233A・・・軸部、234A・・・軸、235A・・・蓋開部、236A・・・蓋閉部、240A・・・ワイヤ供給部(供給部)、300A、300B、300C、300D、300D1・・・移動機、500・・・情報処理装置、500a・・・パーソナルコンピュータ、500b・・・携帯端末、501・・・カメラ、502・・・情報取得部、503、504・・・情報通信部、505・・・判定部、W・・・ワイヤ