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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133797
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】壁材
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/12 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
E04F13/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038998
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】金井 亨
(72)【発明者】
【氏名】服部 達彦
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA57
2E110AB04
2E110AB22
2E110BA03
2E110BA12
2E110BB02
2E110BB22
2E110BB23
2E110BB34
2E110BB38
2E110BD23
2E110CB02
2E110DA10
2E110DB14
2E110DC08
2E110GA33W
2E110GB06W
2E110GB06X
2E110GB54Z
(57)【要約】
【課題】表面材において立体感のあるブロック部を演出できて意匠性を向上し得る壁材を提供すること。
【解決手段】壁材1は、芯材と金属製の表面材2とを有し、表面材2は、複数のブロック部21と、横目地30Aとを有する。上側のブロック部21Aは、横目地底面31から突出し且つ横目地底面31に対して傾斜して配置されるブロック下面24を有する。下側のブロック部21Bは、横目地底面31から突出し且つ横目地底面31に対して傾斜して配置されるブロック上面23を有する。横目地30Aは、ブロック下面24およびブロック上面23と、これらの間に配置される横目地底面31とによって構成される。ブロック下面24およびブロック上面23の双方には、ブロック下面24およびブロック上面23に隣接するブロック表面22の部分よりも明度の低い陰影画像231が横目地30Aに沿って連続的または間欠的に印刷される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材と、前記芯材の表側に配置される金属製の表面材とを有する壁材であって、
前記表面材は、複数のブロック部と、前記複数のブロック部のうち上側のブロック部および下側のブロック部の間に配置される横目地底面を有する横目地とを有し、
前記上側のブロック部は、ブロック表面と、前記ブロック表面に連続すると共に、前記横目地底面から突出し且つ前記横目地底面に対して傾斜して配置されるブロック下面を有し、
前記下側のブロック部は、ブロック表面と、前記ブロック表面に連続すると共に、前記横目地底面から突出し且つ前記横目地底面に対して傾斜して配置されるブロック上面を有し、
前記横目地は、前記ブロック下面および前記ブロック上面と、前記ブロック上面および前記ブロック下面の間に配置される前記横目地底面とによって構成され、
前記ブロック下面および前記ブロック上面の双方には、前記ブロック下面および前記ブロック上面に隣接する前記ブロック表面の部分よりも明度の低い陰影部が前記横目地に沿って連続的または間欠的に印刷される
ことを特徴とする壁材。
【請求項2】
請求項1に記載の壁材において、
前記横目地底面に対して上側に配置される前記ブロック下面における前記陰影部の明度は、当該横目地底面に対して下側に配置される前記ブロック上面における前記陰影部の明度よりも低い
ことを特徴とする壁材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の壁材において、
前記壁材の上縁および下縁のうち少なくとも一方には、他の壁材の被係合部が係合可能な係合部が形成され、
前記係合部の前記被係合部に対する表側における継ぎ目は、前記ブロック下面および前記横目地底面の境界位置と、前記ブロック上面および前記横目地底面の境界位置とのうちいずれか一方の境界位置に沿って配置される
ことを特徴とする壁材。
【請求項4】
請求項3に記載の壁材において、
前記ブロック下面および前記横目地底面の境界位置と、前記ブロック上面および前記横目地底面の境界位置とのうち少なくとも他方の境界位置には、前記陰影部よりも明度の低い境界演出線が前記横目地に沿って連続的または間欠的に印刷される
ことを特徴とする壁材。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の壁材において、
前記表面材は、前記複数のブロック部のうち左右のブロック部の間に配置される縦目地底面を有する縦目地を有し、
前記左右のブロック部は、前記ブロック表面に連続すると共に、前記縦目地底面から突出し且つ前記縦目地底面に対して傾斜して配置されるブロック側面をそれぞれ有し、
前記縦目地は、前記左右のブロック部におけるブロック側面と、前記縦目地底面とによって構成され、
前記左右のブロック部におけるブロック側面の双方には、前記ブロック表面のうち前記ブロック側面に隣接する部分よりも明度の低い陰影部が当該縦目地に沿って連続的または間欠的に印刷される
ことを特徴とする壁材。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の壁材において、
前記ブロック表面には、凹凸状部が形成されると共に、前記凹凸状部に表面陰影部が印刷される
ことを特徴とする壁材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物外壁などに沿って設けられる仕上げ用の壁材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属製表面材と裏面材との間に芯材を形成して構成される乾式壁材が知られている(特許文献1参照)。金属製表面材には、その化粧面よりも窪んだ目地(横目地や縦目地)が複数本形成されており、これら目地によって化粧面側に突出したブロック(ブロック部)を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-2548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の乾式壁材では、金属製表面材に対してブロックと目地とを形成しているので、ブロックと目地との間における凹凸差を大きく形成し難く、立体感のあるブロックを形成することが困難である。
【0005】
本発明の目的は、表面材において立体感のあるブロック部を演出できて意匠性を向上し得る壁材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の壁材は、芯材と、前記芯材の表側に配置される金属製の表面材とを有する壁材であって、前記表面材は、複数のブロック部と、前記複数のブロック部のうち上側のブロック部および下側のブロック部の間に配置される横目地底面を有する横目地とを有し、
前記上側のブロック部は、ブロック表面と、前記ブロック表面に連続すると共に、前記横目地底面から突出し且つ前記横目地底面に対して傾斜して配置されるブロック下面を有し、前記下側のブロック部は、ブロック表面と、前記ブロック表面に連続すると共に、前記横目地底面から突出し且つ前記横目地底面に対して傾斜して配置されるブロック上面を有し、前記横目地は、前記ブロック下面および前記ブロック上面と、前記ブロック上面および前記ブロック下面の間に配置される前記横目地底面とによって構成され、前記ブロック下面および前記ブロック上面の双方には、前記ブロック下面および前記ブロック上面に隣接する前記ブロック表面の部分よりも明度の低い陰影部が前記横目地に沿って連続的または間欠的に印刷されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表面材において立体感のあるブロック部を演出できて意匠性を向上し得る壁材を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る壁材を示す外観姿図。
図2】前記実施形態に係る壁材を示す縦断面図。
図3】前記実施形態に係る壁材の印刷前の状態を示す説明図。
図4】前記実施形態に係る壁材に印刷する画像を示す説明図。
図5】前記実施形態に係る壁材の要部を示す縦断面図。
図6】前記実施形態に係る壁材同士の係合部分を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2において、本実施形態に係る壁材1は、建物外壁に沿って設けられる仕上げ用の乾式の外壁材(サイディング)であり、横長矩形状に形成されている。壁材1は、金属製薄板状の表面材2と、表面材2に対して裏側に配置される金属製薄板状の裏面材4と、表面材2および裏面材4の間に配置される芯材5とを有しており、壁材1の上縁には係合部6が形成されており、壁材1の下縁には被係合部7が形成されている。表面材2は芯材5に対して表側に配置されており、裏面材4は芯材5に対して裏側に配置されている。この壁材1の係合部6および被係合部7は、当該壁材と同様に形成された他の壁材1B(図6参照)の被係合部7および係合部6がそれぞれ係合可能に構成されている。
以下の説明において、壁材1の左右方向(横方向)をX軸方向とし、壁材1の上下方向(縦方向)をY軸方向とし、壁材1の厚さ方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0010】
表面材2および裏面材4は、壁材1の上縁および下縁で互いに連続して形成されている。表面材2および裏面材4は、本実施形態ではアルミ製であるが、他の金属材料で構成されていてもよい。芯材5は、ウレタン等の発泡材で構成されており、表面材2および裏面材4の間に充填されている。係合部6は、表面材2および裏面材4の上縁部分を上方に凸状にされてなり、被係合部7は、表面材2および裏面材4の下縁部分を上方に凹状に形成されており、係合部6および被係合部7はY軸方向に凹凸係合する構成とされている。複数の壁材1の係合部6および被係合部7同士が係合することで、建物外壁に沿って連続する仕上げ外壁面を構成する。また、係合部6および被係合部7同士が係合した部分ではY軸方向に沿って継ぎ目8(図6参照)が壁材1の表側に露呈する。
【0011】
表面材2は、図3に示すように、エンボス加工によって形成される複数のブロック部21と、複数のブロック部21の間に形成される目地30とを有している。なお、図3に示す表面材2は、後述する表面画像222、表面陰影画像223、陰影画像231や境界演出線201が印刷される前の状態を示している。
複数のブロック部21はX軸方向に並んで配置されている。また、複数のブロック部21はY軸方向において、上側のブロック部21Aの後述するブロック側面25(26)が下側のブロック部21Bに対するX軸方向における略中央位置に配置されるように上下に並んで配置されている。ブロック部21は、エンボス加工によって表側に突出して形成されている。ブロック部21は、壁材1の表側に露呈する化粧面となる矩形状のブロック表面22と、ブロック表面22の上縁に連続しているX軸方向に沿ったブロック上面23と、ブロック表面22の下縁に連続しているX軸方向に沿ったブロック下面24と、ブロック表面22の左右の側縁に連続しているY軸方向に沿った左右のブロック側面25,26(図5参照)とを有している。このブロック部21の周縁部は、ブロック上面23、ブロック下面24および左右のブロック側面25,26によって構成されている。ブロック上面23、ブロック下面24および左右のブロック側面25,26は、Z軸方向において後述する横目地30Aおよび縦目地30Bに対して表側に突出しており、このため、ブロック表面22は、目地30に対してZ軸方向において表側に突出した位置に配置されている。
目地30は、複数のブロック部21のうち上側のブロック部21Aおよび下側のブロック部21Bの間に配置される横目地底面31を有するX軸方向に沿った横目地30Aと、複数のブロック部21のうち左右のブロック部21の間に配置される縦目地底面32を有するY軸方向に沿った縦目地30Bとを有している。横目地底面31のY軸方向における幅寸法は1~2mm程度であり、例えば、上側のブロック部21Aのブロック下面24の影が、下側のブロック部21Bのブロック上面23に落ちる程度の幅寸法とされてもよい。また、縦目地底面32のX軸方向における幅寸法は、横目地30Aの幅寸法と同程度の幅寸法とされてもよく、また異なる幅寸法とされてもよい。横目地30Aは、上側のブロック部21Aにおけるブロック下面24および下側のブロック部21Bにおけるブロック上面23と、横目地底面31とによって構成されている。すなわち、横目地30Aは、ブロック部21とブロック下面24およびブロック上面23を共有している。縦目地30Bは、左右のブロック部21におけるブロック側面25,26と、縦目地底面32とによって構成されている。すなわち、縦目地30Bは、ブロック部21と左右のブロック側面25,26を共有している。
【0012】
ブロック表面22には、ハツリ形状やタタキ形状等を演出する凹凸状部221が適宜形成されており、本実施形態では岩肌調に凹凸形状を演出する構成とされている。
ブロック側面25,26は、Z軸方向において縦目地底面32の左右の側縁位置から壁材1の表側に突出している。ブロック側面25,26は、本実施形態では縦目地底面32に対して鈍角をもって交わっており、Y軸方向に対して35°~60°の範囲内の交差角度をもって交わっていてもよいが、この角度に限られない。
ブロック上面23は、Z軸方向において横目地底面31の下縁位置から壁材1の表側に突出している。このブロック上面23は、本実施形態では横目地底面31に対して鈍角をもって交わっており、Y軸方向に対して35°~60°の範囲内の交差角度、例えば45°の交差角をもっている。
ブロック下面24は、Z軸方向において横目地底面31の上縁位置から壁材1の表側に突出している。前述した継ぎ目8のない横目地30Aにおけるブロック下面24は、本実施形態では横目地底面31に対して鈍角に傾斜して交わっており、Y軸方向に対して35°~60°の範囲内の交差角度、例えば45°の交差角をもっている。また、前述した継ぎ目8が配置される横目地30A、すなわち、壁材1同士が係合する係合部分において構成される横目地30A(図6参照)におけるブロック下面24は、本実施形態では横目地底面31に対して鋭角に傾斜して交わっているが、これに限られない。
【0013】
以上の表面材2において、ブロック表面22には、図4の(A)に示す表面画像222がインクジェット印刷されている。ブロック上面23およびブロック下面24には、図4の(B)に示す陰影部としての陰影画像231が、横目地30Aに沿って、表面画像222に重ねてまたは表面画像222とともにインクジェット印刷されている。左右のブロック側面25,26にも、縦目地30Bに沿って、ブロック上面23やブロック下面24と概略同様に陰影部としての陰影画像231がインクジェット印刷されている。また、図4の(C)に示すように、ブロック下面24および横目地底面31のX軸方向に沿った境界位置B1と、ブロック上面23および横目地底面31のX軸方向に沿った境界位置B2とには、陰影画像231よりも明度の低い境界演出線201が横目地30Aに沿って連続的または間欠的にインクジェット印刷されている。境界演出線201の明度は、陰影画像231よりも明度が低く、本実施形態では、目地30の明度および表面画像222の明度よりも低い明度となっている。図4の(C)は、図4の(B)において一点鎖線で囲む部分を示している。境界位置B1は、ブロック下面24の下縁位置であってもよく、横目地底面31の上縁位置であってもよく、またこれら双方を含む位置であってもよい。境界位置B2は、ブロック上面23の上縁位置であってもよく、横目地底面31の下縁位置であってもよく、またこれら双方を含む位置であってもよい。ここで、前述した継ぎ目8は、図6に示すように、本実施形態では、ブロック下面24および横目地底面31の境界位置B1に沿って配置されている。加えて、ブロック表面22の凹凸状部221には、図5に示すように表面陰影部としての表面陰影画像223がインクジェット印刷されている。
ブロック下面24およびブロック上面23の双方に印刷される陰影画像231は、表面画像222(表面画像222が印刷されたブロック表面22)のうち当該陰影画像231に隣接する部分より明度が低く設定されており、本実施形態では横目地底面31および表面画像222よりも明度が低く設定されている。左右のブロック側面25,26の双方に印刷される陰影画像231は、表面画像222(表面画像222が印刷されたブロック表面22)のうち当該陰影画像231に隣接する部分よりも明度が低く設定されており、本実施形態では縦目地底面32および表面画像222よりも明度が低く設定されている。横目地底面31に対して上側に配置されるブロック下面24における陰影画像231の明度は、横目地底面31に対して下側に配置されるブロック上面23における陰影画像231の明度よりも低い。
【0014】
以上の表面材2には、エンボス加工が施されて複数のブロック部21が形成されているので、ブロック上面23、ブロック下面24やブロック側面25,26のZ軸方向における突出量は2~3mm前後となり、これ以上に突出量を大きくすることが困難である。本実施形態では、ブロック上面23、ブロック下面24やブロック側面25,26に対して前述した設定の陰影画像231を印刷しているので、複数のブロック部21が実際の突出量よりも更に突出しているように立体的に演出し得る。
また、壁材1同士の係合部分には継ぎ目8が目立つおそれがあるが、この継ぎ目8を境界位置B1に配置することで、境界線として利用することで、外観上、不自然に目立つことを低減し得る。更に、境界位置B1,B2に前述した境界演出線201を印刷するので、継ぎ目8だけが不自然に目立ってしまうおそれをより低減できると共に、境界演出線201によってもブロック部21を更に強調し得る。
【0015】
[変形例]
前記実施形態では、壁材1は裏面材4を備えているが、裏面材4を省略しても壁材1を構成可能な場合には当該裏面材4の構成を省略してもよい。
前記実施形態では、横目地底面31に対して上側に配置されるブロック下面24における陰影画像231の明度は、当該横目地底面31に対して下側に配置されるブロック上面23における陰影画像231の明度よりも低く設定されているが、これに限らず、ブロック上面23およびブロック下面24の陰影画像231の明度は互いに等しく設定されていてもよく、また、ブロック上面23の陰影画像231の明度がブロック下面24の陰影画像231の明度よりも低く設定されていてもよい。
前記実施形態では、壁材1は係合部6や被係合部7を有して、他の壁材1Bと係合可能に構成されているが、建物外壁に沿ってサイディングを施工するにあたり、仮に一枚の壁材1を設けるだけで済む場合には、壁材1は、係合部6や被係合部7を有していなくともよい。
前記実施形態では、係合部6と被係合部7との継ぎ目8は境界位置B1に配置される構成とされているが、境界位置B2に配置される構成とされていてもよい。また、境界演出線201は、境界位置B1,B2の双方に印刷されているが、継ぎ目8が配置される横目地30Aにおいては、境界演出線201は、境界位置B2だけに印刷されていてもよい。
前記実施形態では、境界演出線201がなくても、継ぎ目8が不自然に目立たない構成である場合には、境界演出線201を省略してもよい。
前記実施形態では、ブロック側面25,26にも陰影画像231が印刷されているが、これが印刷されていなくてもブロック部21の立体感を十分に演出できる場合には、ブロック側面25,26の一方または双方に陰影画像231が印刷されていなくてもよい。
前記実施形態では、ブロック表面22の凹凸状部221に表面陰影画像223が印刷されているが、ブロック表面22の凹凸形状を十分に演出できる場合には、表面陰影画像223が印刷されていなくてもよい。また、ブロック表面22に凹凸状部221が形成されていない場合には、表面陰影画像223も印刷されていなくてもよいが、表面陰影画像223だけで凹凸形状の演出を図る際には表面陰影画像223を印刷してもよい。
前記実施形態では、ブロック表面22は岩肌調とされているが、他の態様の化粧が施されていてもよい。
前記実施形態では、エンボス加工によって複数のブロック部21が形成されているが、他の加工によって形成可能であれば、当該他の加工によって複数のブロック部21を形成してもよい。
【0016】
[発明のまとめ]
本発明の壁材は、芯材と、前記芯材の表側に配置される金属製の表面材とを有する壁材であって、前記表面材は、複数のブロック部と、前記複数のブロック部のうち上側のブロック部および下側のブロック部の間に配置される横目地底面を有する横目地とを有し、前記上側のブロック部は、ブロック表面と、前記ブロック表面に連続すると共に、前記横目地底面から突出し且つ前記横目地底面に対して傾斜して配置されるブロック下面を有し、前記下側のブロック部は、ブロック表面と、前記ブロック表面に連続すると共に、前記横目地底面から突出し且つ前記横目地底面に対して傾斜して配置されるブロック上面を有し、前記横目地は、前記ブロック下面および前記ブロック上面と、前記ブロック上面および前記ブロック下面の間に配置される前記横目地底面とによって構成され、前記ブロック下面および前記ブロック上面の双方には、前記ブロック下面および前記ブロック上面に隣接する前記ブロック表面の部分よりも明度の低い陰影部が前記横目地に沿って連続的または間欠的に印刷されることを特徴とする。
本発明の壁材によれば、ブロック下面およびブロック上面の双方に前述した陰影部を印刷することで、上側のブロック部および下側のブロック部の陰影を強調でき、実際にブロック下面やブロック上面の突出量が少なくても、前述したブロック部を立体的に演出できて意匠性を向上できる。
例えば、表面材にエンボス加工を施す場合、ブロック下面やブロック上面の突出量は一般的に2~3mm前後となるところ、本発明ではブロック部が実際の突出量よりも更に突出しているように立体的に演出し得る。
【0017】
本発明の壁材では、前記横目地底面に対して上側に配置される前記ブロック下面における前記陰影部の明度は、当該横目地底面に対して下側に配置される前記ブロック上面における前記陰影部の明度よりも低くてもよい。
このような構成によれば、前述したようにブロック下面だけでなく、ブロック上面にも前述した陰影部を印刷することで、太陽光などの光が壁材に当たってブロック下面の影がブロック上面に落ちた状態を演出し得るうえ、前述したようにブロック下面における陰影部の明度がブロック上面における陰影部の明度よりも低いので、ブロック上面における陰影部の方がブロック下面における陰影部の明度よりも高くなり、このため、ブロック上面に光が当たってブロック下面よりも明るくなった状態を演出することができる。
【0018】
本発明の壁材では、前記壁材の上縁および下縁のうち少なくとも一方には、他の壁材の被係合部が係合可能な係合部が形成され、前記係合部の前記被係合部に対する表側における継ぎ目は、前記ブロック下面および前記横目地底面の境界位置と、前記ブロック上面および前記横目地底面の境界位置とのうちいずれか一方の境界位置に沿って配置されてもよい。
このような構成によれば、前述した継ぎ目は外観上において境界線となって目立ちやすい箇所であるが、継ぎ目は前述した境界位置に配置されるので、この継ぎ目によって生じ得る境界線を、横目地とブロック部との境界位置を強調する境界線として利用でき、例えば、当該継ぎ目が前述した境界位置から外れた位置に配置される場合と比べて、横目地などにおける不自然な位置において継ぎ目に起因する境界線が目立ってしまうおそれを低減でき、壁材同士の継ぎ目を目立たない構成にできて意匠性を向上し得る。
【0019】
本発明の壁材では、前記ブロック下面および前記横目地底面の境界位置と、前記ブロック上面および前記横目地底面の境界位置とのうち少なくとも他方の境界位置には、前記陰影部よりも明度の低い境界演出線が前記横目地に沿って連続的または間欠的に印刷されてもよい。
このような構成によれば、前述した継ぎ目が一方の境界位置に設けられることで当該境界位置において境界線が生じやすくなるが、他方の境界位置に対して境界演出線を連続的または間欠的に印刷することで、他方の境界位置においても境界線が生じているように演出することができ、継ぎ目に起因する境界線が特に目立ってしまうおそれをより低減できて意匠性を更に向上し得る。
【0020】
本発明の壁材では、前記表面材は、前記複数のブロック部のうち左右のブロック部の間に配置される縦目地底面を有する縦目地を有し、前記左右のブロック部は、前記ブロック表面に連続すると共に、前記縦目地底面から突出し且つ前記縦目地底面に対して傾斜して配置されるブロック側面をそれぞれ有し、前記縦目地は、前記左右のブロック部におけるブロック側面と、前記縦目地底面とによって構成され、前記左右のブロック部におけるブロック側面の双方には、前記ブロック表面のうち前記ブロック側面に隣接する部分よりも明度の低い陰影部が当該縦目地に沿って連続的または間欠的に印刷されてもよい。
このような構成によれば、縦目地底面に対して左右に配置されるブロック側面の双方に前述した陰影部を印刷することで、左右のブロック部との陰影を強調でき、実際にブロック側面の突出量が少なくても、前述したブロック部を立体的に演出でき、ブロック下面およびブロック上面に印刷された陰影部と相俟って意匠性を更に向上できる。
【0021】
本発明の壁材では、前記ブロック表面には凹凸状部が形成されると共に、前記凹凸状部に表面陰影部が印刷されてもよい。
このような構成によれば、ブロック表面の凹凸状部に表面陰影部を印刷することで、ブロック表面の凹凸状部における凹凸形状をより強調して演出できる。例えばブロック表面を岩肌調の凹凸柄を印刷する場合には、ブロック表面の凹凸状部に表面陰影部も印刷することで、ブロック表面における岩肌調の凹凸形状をより強調して演出できる。
【符号の説明】
【0022】
1,1B…壁材、2…表面材、201…境界演出線、21(21A,21B)…ブロック部、22…ブロック表面、221…凹凸状部、222…表面画像、223…表面陰影画像、23…ブロック上面、231…陰影画像、24…ブロック下面、25,26…ブロック側面、30…目地、30A…横目地、30B…縦目地、31…横目地底面、32…縦目地底面、4…裏面材、5…芯材、6…係合部、7…被係合部、8…継ぎ目、B1…境界位置、B2…境界位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6