(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133820
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】手洗い装置
(51)【国際特許分類】
A47K 1/00 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
A47K1/00 Q
A47K1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039026
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 賢一
(57)【要約】
【課題】見た目を良くできる手洗い装置を提供する。
【解決手段】手洗い器21と、壁面1に固定され、前記手洗い器21を支持する支持部材41F,41Tと、前記手洗い器21の下側に取り付けられ、前記支持部材41F,41Tを隠すカバー71と、を備えている。このような構成によれば、カバー71によって支持部材41F,41Tが隠れるから、見た目を良くできる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手洗い器と、
壁面に固定され、前記手洗い器を支持する支持部材と、
前記手洗い器の下側に取り付けられ、前記支持部材を隠すカバーと、を備えている手洗い装置。
【請求項2】
前記手洗い器は、前記カバーの外周側に被さる周面部を有している、請求項1に記載の手洗い装置。
【請求項3】
前記手洗い器は、鉢部を有し、
前記カバーは、前記鉢部を避ける開口を有している、請求項1から請求項2までの何れか一項に記載の手洗い装置。
【請求項4】
前記カバーの外周面と前記周面部との間に隙間が形成されている、請求項2に記載の手洗い装置。
【請求項5】
前記手洗い器に隣接する棚と、
前記棚の下側に取り付けられ、前記棚の下面を隠す棚カバーと、を備えている請求項1から請求項4までの何れか一項に記載の手洗い装置。
【請求項6】
前記カバーと前記棚カバーとは、別体である請求項5に記載の手洗い装置。
【請求項7】
前記支持部材に固定されている多目的バーを有し、
前記多目的バーと前記支持部材との固定部は、前記手洗い器と前記カバーとの間に配置されている、請求項1から請求項6までの何れか一項に記載の手洗い装置。
【請求項8】
前記カバー及び前記多目的バーは、互いに接触することによって、前記カバー及び前記多目的バーのいずれか一方に作用した力を前記カバー及び前記多目的バーの両方に分散して作用させる接触部を有している、請求項1から請求項7までの何れか一項に記載の手洗い装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、手洗い装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ室などの壁面に固定される手洗い装置が知られている。例えば下記特許文献1に記載された手洗い装置は、手洗い器と、手洗い器を支持する支持部材とを備えている。支持部材は、壁面に固定される。手洗い器は、支持部材の上面に載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成の手洗い装置は、支持部材が露出しているため、見た目を良くすることが難しかった。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、見た目を良くできる手洗い装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の手洗い装置は、手洗い器と、壁面に固定され、前記手洗い器を支持する支持部材と、前記手洗い器の下側に取り付けられ、前記支持部材を隠すカバーと、を備えているものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】手洗い装置を示す断面図であって、
図3のA-A位置における断面に相当する断面図
【
図5】手洗い装置を示す断面図であって、
図3のB-B位置における断面に相当する断面図
【
図7】
図6のC-C位置から見た手洗い装置を示す底面図
【
図9】手洗い装置を示す断面図であって、
図7のD-D位置における断面に相当する断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態>
手洗い装置10は、例えば住宅や事務所等のトイレ室(図示せず)の室内に配置される。手洗い装置10は、トイレ室の壁面に固定され、手を洗うために使用される。手洗い装置10は、トイレ室の便器に座った状態の人から見て右側及び左側のいずれか一方の壁面に取り付けられる。ここでは、右側の壁面1に取り付けられる手洗い装置10について説明する。左側の壁面に取り付けられる手洗い装置は、右側の壁面1に取り付けられる手洗い装置10を左右反転したものである。具体的には、左側の壁面に取り付けられる手洗い装置は、右側の壁面1に取り付けられる手洗い装置10と比べて手洗い器21と棚22とが左右逆に配置される。
【0009】
以下、各構成部材において、トイレ室の壁面1に取り付けられている状態(取付状態と称する)の上側を上側、下側を下側、トイレ室の壁面1側を後側、その反対側を前側とし、取付状態の手洗い装置10を前側から見たときの右側を右側、左側を左側として説明する。各図においてX軸の正方向側は右側、X軸の負方向側は左側を示す。各図においてY軸の正方向側は上側、Y軸の負方向側は下側を示す。各図においてZ軸の正方向側は前側、Z軸の負方向側は後側を示す。X軸及びZ軸は、水平方向に延び、Y軸は、鉛直方向に延びている。
【0010】
手洗い装置10は、
図1に示すように、水栓11と、装置本体20と、支持部材40と、多目的バー50と、紙巻器60と、カバー70と、を備えている。水栓11は、プッシュ式であり、押し操作によって吐水し、押し操作によって止水する。水栓11は、装置本体20の上面から鉛直に立ち上がっている。水栓11は、
図2に示すように、床面から延びた給水管2に接続される。
【0011】
装置本体20は、合成樹脂製であり、
図1に示すように、手洗い器21と棚22とを一体に備えている。手洗い器21は、装置本体20の左側に配置されている。棚22は、装置本体20の右側に配置されている。取付状態の装置本体20を上側から見ると、壁面1に沿って長い形状をなしている(
図3参照)。
【0012】
装置本体20は、
図1に示すように、全体として扁平な箱形状をなしている。装置本体20は、上面部23と周面部24とを有している。取付状態において装置本体20の上面部23は、水平に配置される。上面部23の下面には、支持部材40及びカバー70を固定する部材固定部25が複数個所に設けられている。
【0013】
周面部24は、上面部23の外周縁から下方に垂下している。周面部24は、前壁24M、後壁24U及び左右の側壁24Sを有している(
図3参照)。後壁24Uは、取付状態において壁面1に沿って配置される。左右の側壁24Sは、取付状態において壁面1に対して直角に配置される。前壁24Mは、
図2に示すように、前側から見ると水平方向に長い帯状をなしている。前壁24Mは、手洗い前壁81、棚前壁82及び中間前壁83を有している。手洗い前壁81は、前壁24Mを前側から見て左側の部分である。棚前壁82は、前壁24Mを前側から見て右側の部分である。中間前壁83は、手洗い前壁81と棚前壁82との間に位置している。
【0014】
手洗い器21は、
図1に示すように、鉢部28と、水栓配置部29とを備えている。鉢部28は、上面部23から下方へ窪んだ形状をなしている。鉢部28は、平面視、壁面1に沿って長い長方形状をなしている(
図3参照)。鉢部28の後面28Uは、
図4に示すように、壁面1と平行に配置される。鉢部28の前面28Mは、底面28Tに向かって後側に傾斜している。鉢部28の左右の側面28Sは、底面28Tに向かって互いに近付く側に傾斜している(
図5参照)。
【0015】
底面28Tの最下位置には、排水孔31が形成されている。手洗い器21は、排水孔31から下方に延びた管部32を有している。管部32は、床面から延びた排水管3に接続される。水栓11の吐水は鉢部28で受け止められ、排水孔31から管部32を通って排水管3に流出する。
【0016】
鉢部28の後面28Uは、
図6に示すように、周面部24の後壁24Uと面一に形成されている。鉢部28の後面28U及び後壁24Uには、縦横に延びた補強リブ27が形成されている。後壁24Uには、支持部材40を後側へ露出させる切欠き26が形成されている。
【0017】
水栓配置部29は、
図1に示すように、鉢部28と隣接して装置本体20の左端部に設けられている。水栓配置部29には、水栓11が取り付けられている。水栓配置部29は、平坦な上面を有している。水栓11は、水栓配置部29を上下方向に貫通している(
図5参照)。
【0018】
棚22は、
図1に示すように、平らな厚板状をなしている。棚22の上面は、平坦面である。棚22には、ハンドソープのボトルや携帯端末等、トイレの利用者の所有物を載置できる。棚22は、手洗い器21の右側に継目や段差なく連なっている。これにより、装置本体20の上面を容易に掃除できる。
【0019】
棚22は、
図3に示すように、平面視、壁面1に沿って長い長方形状をなしている。棚22のXZ平面における前後方向の寸法は、手洗い器21のXZ平面における前後方向の寸法よりも小さい。棚22のXZ平面における左右方向の寸法は、手洗い器21のXZ平面における左右方向の寸法よりも小さい。
【0020】
支持部材40は、
図1に示すように、3つの支持部品41F,41S,41Tと、1つの連結部品42と、を備えている。3つの支持部品41F,41S,41T及び連結部品42はそれぞれ金属製の板材によって形成されている。3つの支持部品41F,41S,41T及び連結部品42はそれぞれネジ等の締結具によって壁面1に固定される。
【0021】
3つの支持部品41F,41S,41Tは、装置本体20の複数個所を支持する。具体的には、3つの支持部品41F,41S,41Tは、装置本体20の左右方向の両端部及び中間部に配置されている。左端部に配置されている支持部品41Fは、手洗い器21を支持している(
図5参照)。第一支持部品41Fは、水栓11よりも左側に位置している。右端部に配置されている第二支持部品41Sは、棚22を支持している。中間部に配置されている第三支持部品41Tは、手洗い器21及び棚22の両方を支持している。第三支持部品41Tは、棚22の下側であり、棚22と手洗い器21との境界部分に配置されている。第三支持部品41Tは、鉢部28と紙巻器60との間に位置している。第一支持部品41F及び第三支持部品41Tは、手洗い器21を支持する手洗い支持部材を構成している。
【0022】
連結部品42は、
図1に示すように、第二支持部品41Sと第三支持部品41Tとを連結している。連結部品42は、全体として左右方向に長い形状をなしている。連結部品42の長手方向の両端は、第二支持部品41S及び第三支持部品41Tのそれぞれに連結されている。第二支持部品41S、第三支持部品41T及び連結部品42は、棚22を支持する棚支持部材を構成している。
【0023】
多目的バー50は、
図1に示すように、金属製の板材によって形成されている。多目的バー50は、正面バー51、側面バー52、及び取付バー53を有している。正面バー51は、左右方向に延びている。側面バー52は、正面バー51の両端から後側に屈曲されて延びている。正面バー51と側面バー52とは直交している。左右の側面バー52の後端にはそれぞれ、締結具によって壁面1に前側から固定される壁面固定部54が設けられている。取付バー53は、左右の側面バー52の前後方向略中心から上側に延びている。各取付バー53は、側面バー52と直交している。各取付バー53の上端は、締結具によって第一支持部品41F及び第三支持部品41Tの前端に下側から固定される。
【0024】
紙巻器60は、棚22の真下に配置される。紙巻器60は、締結具によって連結部品42の紙巻き固定部48に下側から固定される。紙巻き固定部48には、複数の固定具締結孔48Hが形成されている。 複数の固定具締結孔48Hは、左右方向に並べて形成されている。紙巻器60は、紙切板61と、紙支持バー62と、固定片63と、を備えている。紙切板61、紙支持バー62及び固定片63はいずれも金属製である。紙切板61は、紙支持バー62にセットされたロールペーパーの上側を覆う。紙支持バー62は、ロールペーパーを支持する。固定片63は、締結具によって連結部品42に下側から固定される。紙巻き固定部48に対する固定片63の取り付け位置は、紙巻き固定部48に形成された複数の固定具締結孔48Hによって左右方向に調整できる。これによって、手洗い装置10を左側の壁面に取り付ける場合や右側の壁面1に取り付ける場合等に応じて紙巻器60の左右方向の位置を変更できる。
【0025】
カバー70は、ABS樹脂等の合成樹脂製であり、
図1に示すように、手洗いカバー71と、棚カバー72とを備えている。手洗いカバー71と棚カバー72とは別体に形成されている。手洗いカバー71は、手洗い器21の下面を覆う。棚カバー72は、棚22の下面を覆う。手洗いカバー71及び棚カバー72は、それぞれ締結具によって装置本体20の部材固定部25に下側から固定される。
【0026】
手洗いカバー71の下面及び棚カバー72の下面は、前壁24Mの下端と同じ高さ位置もしくは前壁24Mの下端よりも少し上側に位置している(
図4参照)。これによって、手洗い装置10を前側から見ると、手洗いカバー71及び棚カバー72は、装置本体20によって隠されている(
図2参照)。手洗いカバー71及び棚カバー72は、
図5に示すように、同一平面上に配置されている。
【0027】
カバー70は、
図7に示すように、3つの支持部品41F,41S,41T及び連結部品42の下側を覆っている。3つの支持部品41F,41S,41T及び連結部品42は、装置本体20及びカバー70によって覆われるから、外部に露出しない。
【0028】
手洗いカバー71は、
図1及び
図7に示すように、板状部75と縁状部76とを備えている。板状部75は、装置本体20の下面のうち水栓配置部29の下面を覆っている。板状部75は、長方形状をなしている。板状部75の左右方向の寸法は、板状部75の前後方向の寸法よりも小さい。板状部75には、水栓11を貫通させる貫通孔77が形成されている。貫通孔77は、板状部75の中央部を上下方向に貫通している(
図5参照)。
【0029】
縁状部76は、手洗い器21の下面のうち鉢部28のまわりを覆っている。縁状部76は、前縁部71Fと側縁部71Sとを有している。前縁部71Fは、板状部75の前端部から右側へ延びている。前縁部71Fは、鉢部28の前面28Mに沿っている。側縁部71Sは、前縁部71Fの右端から後側へ延びている。側縁部71Sは、鉢部28の右側の側面28Sに沿っている。側縁部71Sは、前縁部71Fから直角に屈曲している。
【0030】
棚カバー72は、平面視、棚22の上面と同等の大きさを有する長方形状をなしている。棚カバー72の前後方向の寸法は、棚カバー72の左右方向の寸法よりも小さい。棚カバー72の後端部には、切欠開口79が形成されている(
図10参照)。切欠開口79は、矩形状をなしている。切欠開口79は、棚カバー72の左右方向中心部に位置している。切欠開口79は、後側に開放されている。切欠開口79には、紙巻器60の固定片63が嵌まっている(
図7参照)。
【0031】
手洗いカバー71及び棚カバー72は、
図7及び
図10に示すように、鉢部28の周囲に沿ってカバー70の内周面91を形成している。カバー70の内周面91は、板状部75の右面、前縁部71Fの後面、側縁部71Sの左面、及び棚カバー72の左面によって構成されている。カバー70の内周面91によって囲まれた開口は、鉢部28の配置空間92である。鉢部28の配置空間92は、平面視、左右方向に長い方形状をなしている。鉢部28の配置空間92は、後側に開放されている(
図10参照)。
【0032】
カバー70の外周面93には、装置本体20の周面部24が被さっている。詳細には、手洗いカバー71の前側には、手洗い前壁81が被さっている。手洗いカバー71の左側には、左側の側壁24Sが被さっている。手洗いカバー71の右側には中間前壁83が被さっている。棚カバー72の前側には棚前壁82が被さっている。棚カバー72の右側には、右側の側壁24Sが被さっている。これによって、前側及び左右両側から見たときに、カバー70は周面部24によって隠され、視認できない。
【0033】
カバー70の外周面93と周面部24との間には、外周隙間94があいている(
図4参照)。外周隙間94は、
図7に示すように、カバー70の外周面93の全周に沿って形成されている。具体的には、外周隙間94は、手洗いカバー71の左面と左側の側壁24Sとの間、手洗いカバー71の前面28Mと手洗い前壁81との間、手洗いカバー71の右面と中間前壁83との間、棚カバー72の前面28Mと棚前壁82との間、及び棚カバー72の右面と右側の側壁24Sとの間に連続している。外周隙間94は、装置本体20の下面にカバー70を組み付けるために必要な最低限の隙間よりも大きい。外周隙間94の大きさは全周において等しい。外周隙間94の大きさとは、XZ平面における周面部24とカバー70の外周面93との最短距離である。
【0034】
カバー70の内周面91と鉢部28との間には、内周隙間95があいている(
図4参照)。内周隙間95は、
図7に示すように、カバー70の内周面91に沿って全周に形成されている。具体的には、内周隙間95は、鉢部28の左側の側面28Sと板状部75の右面との間、鉢部28の前面28Mと前縁部71Fの後面との間、鉢部28の右側の側面28Sと側縁部71Sの左面との間、及び鉢部28の右側の側面28Sと棚カバー72の左面との間に連続している。鉢部28の前面28M及び左右の側面28Sは傾斜しているため、内周隙間95は、下側から視認されない。内周隙間95の大きさは、上側よりも下側の方が大きい(
図5参照)。
【0035】
カバー70及び多目的バー50は、
図9に示すように、互いに接触することによって、カバー70及び多目的バー50のいずれか一方に作用した力をカバー70及び多目的バー50の両方に分散して作用させる接触部96を有している。接触部96は、カバー70及び多目的バー50に力が作用していない状態において、互いに接触していてもよいし接触していなくてもよい。接触部96は、カバー70及び多目的バー50に力が作用することによって互いに接触すればよい。接触部96は、カバー70に形成された接触溝97S,97Uと、多目的バー50の取付バー53とによって構成されている。
【0036】
接触溝97S,97Uは、
図7及び
図9に示すように、上下方向に延びて上下両方向に開放されている。接触溝97S,97Uの前後両縁は、互いに平行をなして鉛直に延びている。取付バー53は、接触溝97S,97Uに嵌っている。取付バー53の前後両縁は、接触溝97S,97Uの前後両縁に沿って鉛直に延びている。
【0037】
接触溝97S,97Uは、
図7に示すように、カバー70の外周面93とカバー70の内周面91とに一ずつ凹み形成されている。カバー70の外周面93に設けられた外側接触溝97Sは、手洗いカバー71の左面に設けられている。カバー70の内周面91に設けられた内側接触溝97Uは、棚カバー72の左面に設けられている。2つの接触溝97S,97Uの前後方向の位置は同じである。
【0038】
図9の矢印4に示すように、手洗い器21に下向きの力がかかった場合、カバー70は、第一支持部品41F及び第三支持部品41Tを支点として下方に変位しようとする。すると、接触溝97S,97Uの前後両縁と取付バー53の前後両縁とが当たり合う。これによって、手洗い器21に作用する力は、多目的バー50にも作用する。手洗い器21に作用する力は、第一支持部品41F及び第三支持部品41T及び多目的バー50の壁面固定部54を介して壁面1に支持される。
【0039】
図9の矢印5に示すように、多目的バー50に下向きの力がかかった場合、多目的バー50は、壁面固定部54を支点として下方に変位しようとする。すると、取付バー53の前後両縁と接触溝97S,97Uの前後両縁とが当たり合う。これによって、多目的バー50に作用する力は、手洗い器21にも作用する。多目的バー50に作用する力は、壁面固定部54及び第一支持部品41F及び第三支持部品41Tを介して壁面1に支持される。
【0040】
手洗いカバー71の上面及び棚カバー72の上面には、
図10に示すように、縦横に延びた補強リブ73が設けられている。手洗いカバー71の上面及び棚カバー72の上面には、装置本体20の部材固定部25に固定されるカバー固定部74が複数設けられている。
【0041】
手洗いカバー71と棚カバー72とは、
図10に示すように、互いに接触する接触面78を有している。接触面78は、手洗いカバー71の側縁部71Sの後端面と、棚カバー72の前面の左端部とによって構成されている。接触面78は、前後方向に当たり合う。接触面78は、前後方向に直交する面である。接触面78は、
図7に示すように、棚前壁82の後面と面一に配置される。
【0042】
手洗い装置10をトイレ室の壁面1に取り付ける作業の一例を説明する。最初に、3つの支持部品41F,41S,41T、連結部品42及び多目的バー50を互いに連結し、1つの壁面取付部材を構成する。具体的には、
図1に示すように、多目的バー50の取付バー53の上端と、第一支持部品41F及び第三支持部品41Tそれぞれとを、締結具によって連結する。第二支持部品41S及び第三支持部品41Tそれぞれと、連結部品42の両端部とを、締結具によって連結する。
【0043】
次いで、組み付けられた壁面取付部材をトイレ室の壁面1の所定位置に固定する。具体的には、3つの支持部品41F,41S,41Tと、連結部品42の壁面固定部49と、多目的バーの壁面固定部54とをそれぞれ締結具によって壁面1に固定する。壁面取付部材の固定位置は、紙巻器60の位置を基準に定める。これによって、手洗い器21、棚22、及び多目的バー50の配置を一度に完了できる。
【0044】
次に、予め給水管2に手洗いカバー71を通した後、壁面1に固定された壁面取付部材の上側に装置本体20を被せ付ける。装置本体20の部材固定部25を、3つの支持部品41F,41S,41Tそれぞれに、締結具によって下側から固定する。これにより、装置本体20は、壁面取付部材に固定される。
【0045】
次に、装置本体20の下側にカバー70を取り付ける。具体的には先ず、手洗いカバー71を装置本体20の周面部24の内側に嵌め込む。詳細には、手洗いカバー71を、手洗い前壁81、左側の側壁24S、後壁24U、及び中間前壁83によって囲まれた空間に嵌め込む。次いで、手洗いカバー71を装置本体20の部材固定部25に締結具によって下側から固定する。手洗いカバー71は、水栓配置部29の下面、及び鉢部28の周囲を覆った状態になる。また、棚カバー72を装置本体20の周面部24の内側に嵌め込む。詳細には、棚カバー72を、棚前壁82、右側の側壁24S及び後壁24Uによって囲まれた空間に嵌め込む。このとき、棚カバー72は、自身の前面を、手洗いカバー71の側縁部71Sの後端面と棚前壁82の後面とに当てながら、棚22の下面に嵌め込まれる。その後、棚カバー72を装置本体20の部材固定部25に締結具によって下側から固定する。棚カバー72は、棚22の下面を覆った状態になる。手洗いカバー71と棚カバー72とが別体であるから、これらが一体である場合よりも取り付け作業を容易に行うことができる。
【0046】
次に、紙巻器60を固定する。具体的には、紙巻器60は、紙巻き固定部48の下面に固定片63を重ね合わせ、下側から締結具により固定される。以上によって、手洗い装置10をトイレ室の壁面1に取り付ける作業が完了する。
【0047】
上記のように構成された実施形態によれば、以下の効果を奏する。手洗い装置10は、手洗い器21と、第一支持部品41F及び第三支持部品41Tと、手洗いカバー71と、を備えている。第一支持部品41F及び第三支持部品41Tは、壁面1に固定され、手洗い器21を支持する。手洗いカバー71は、手洗い器21の下側に取り付けられ、第一支持部品41F及び第三支持部品41Tを隠す。この構成によれば、手洗いカバー71によって第一支持部品41F及び第三支持部品41Tが隠れるから、見た目を良くできる。
【0048】
手洗い器21は、手洗いカバー71の外周側に被さる周面部24を有している。この構成によれば、周面部24によって、手洗い器21と手洗いカバー71との境目を目立たなくできるから、見た目を良くできる。
【0049】
手洗いカバー71の外周面93と周面部24との間に外周隙間94が形成されている。この構成によれば、手洗い器21に力が加わって手洗い器21が変位しても手洗い器21と手洗いカバー71とが当たりにくい。したがって、手洗い器21と手洗いカバー71とが当たる音の発生を抑制できる。合成樹脂製の手洗い器21と手洗いカバー71とが当たり合う場合、安っぽい音がする。しかしながら、そのような音の発生を抑制できるから高級感がある。
【0050】
手洗い装置10は、棚22と、棚カバー72と、を備えている。棚22は、手洗い器21に隣接している。棚カバー72は、棚22の下側に取り付けられ、棚22の下面を隠している。この構成によれば、棚カバー72によって棚22の下面が隠れるから、見た目を良くできる。
【0051】
手洗いカバー71と棚カバー72とは、別体である。手洗いカバーと棚カバーとが一体である場合、手洗い器と棚とのそれぞれに作用する力が手洗いカバーと棚カバーとの境界に集中しやすい。しかしながら、手洗いカバー71と棚カバー72とが別体であるからそのような力の集中を防ぐことができる。したがって、手洗いカバー71及び棚カバー72の破損を防ぐことができる。
【0052】
手洗い装置10は、多目的バー50を有している。多目的バー50は、第一支持部品41F及び第三支持部品41Tに固定されている。多目的バー50と第一支持部品41F及び第三支持部品41Tとの固定部は、手洗い器21と手洗いカバー71との間に配置されている。この構成によれば、手洗い器21と手洗いカバー71とによって、多目的バー50と第一支持部品41F及び第三支持部品41Tとの固定部が隠れるから、見た目を良くできる。
【0053】
カバー70及び多目的バー50は、互いに接触することによって、カバー70及び多目的バー50のいずれか一方に作用した力をカバー70及び多目的バー50の両方に分散して作用させる接触部96を有している。この構成によれば、多目的バー50にかかる力は、多目的バー50自身とカバー70との両方に分散して作用し、手洗い器21にかかる力は、手洗い器21自身と多目的バー50とに分散して作用する。したがって手洗い器21及び多目的バー50にかかる力の大きさを低減できる。
【0054】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態において装置本体20は周面部24を備えている。これに限らず、周面部はカバーに設けてもよい。
(2)上記実施形態において給水管2及び排水管3は床面から延びている。これに限らず、給水管及び排水管は、壁面から延びていても良い。
(3)上記実施形態において装置本体20は手洗い器21と棚22とを一体に有している。これに限らず、装置本体は、手洗い器と棚とを別体に有していてもよい。この場合、手洗い器と棚とを異なる材料で形成してもよい。
(4)上記実施形態において周面部24とカバー70との間に外周隙間94が設けられている。これに限らず、周面部及びカバーのいずれか一方にクッション材を貼り付けて、外周隙間を埋めても良いし、周面部とカバーとを互いに当てて固定してもよい。
(5)上記実施形態において装置本体20は棚22及び棚カバー72を有している。これに限らず、装置本体は、棚及び棚カバーを有していなくてもよい。
(6)上記実施形態において手洗いカバー71と棚カバー72とは別体に設けられている。これに限らず、手洗いカバーと棚カバーとを一体に設けてもよい。言い換えると、一つのカバーによって手洗い器の下面と棚の下面とを覆うようにしてもよい。
(7)上記実施形態において手洗い装置は多目的バー50を備えている。これに限らず、手洗い装置は多目的バーを備えていなくてもよい。
(8)上記実施形態において棚22の前後方向の寸法及び左右方向の寸法はそれぞれ、手洗い器21の前後方向の寸法及び左右方向の寸法よりも小さい。これに限らず、棚の前後方向の寸法及び左右方向の寸法は、手洗い器の前後方向の寸法及び左右方向の寸法と等しくてもよいし、手洗い器の前後方向の寸法及び左右方向の寸法より大きくてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…壁面、10…手洗い装置、21…手洗い器、22…棚、24…周面部、41F…第一支持部品(支持部材)、41S…第二支持部品(支持部材)、50…多目的バー、71…手洗いカバー、72…棚カバー、94…外周隙間、96…接触部