(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133833
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20230920BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20230920BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20230920BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230920BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230920BHJP
B65H 33/04 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H04N1/00 567L
B41J29/38 302
B41J29/38 206
B41J29/46 Z
G03G15/00 107
G03G21/00 370
B65H33/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039046
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】南野 弘治
【テーマコード(参考)】
2C061
2H076
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061HJ07
2C061HN24
2C061HV01
2C061HV32
2C061HV44
2C061HV50
2H076BA36
2H076BA65
2H076BA71
2H076BA76
2H270KA54
2H270LA82
2H270LB10
2H270LB22
2H270MC04
2H270MC07
2H270MC61
2H270MC65
2H270MD17
2H270NE17
2H270PA45
2H270QB07
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB08
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB32
5C062AB35
5C062AB40
5C062AB53
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC65
5C062AC66
5C062AF09
5C062AF15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】仕切り紙のセットミスがあっても、ユーザーの利便性を損なうことなく、印刷ジョブを速やかに完了させる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置において、制御部は、印刷ジョブの実行中、仕切り紙の読み取りを画像読取装置に行わせ、仕切り紙を挿入すべきページ位置を示す挿入ページ情報を仕切り紙の画像データから検出するページ検出処理を行い、ページ検出処理の結果に基づき、仕切り紙のセットミスがあったか否かの判断を行い、セットミスがあったと判断したとき、制御部は、今回のページ検出処理の対象としていた仕切り紙をミス紙に設定し、シートが排出されていない排出トレイにミス紙を排出させ、印刷ジョブを続行する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの給送位置から印刷位置およびインサート位置を経由するシート搬送路と、
印刷ジョブの実行中、前記給送位置から前記シート搬送路に前記シートを送り出し、前記印刷位置を通過する前記シートに画像を印刷する印刷部と、
読取位置を経由する原稿搬送路を有する原稿搬送ユニットを含み、前記原稿搬送路に沿って原稿を搬送し、前記読取位置で前記原稿を読み取る画像読取装置と、
前記印刷部により画像が印刷された前記シートの排出先を含む複数の排出トレイと、
前記印刷ジョブを制御する制御部と、を備え、
前記画像読取装置は、前記原稿搬送路から分岐して前記インサート位置に接続されるインサート搬送路を有し、
前記印刷ジョブの実行中、前記画像読取装置は、前記原稿搬送ユニットにセットされた仕切り紙を前記原稿搬送路から前記インサート搬送路に進入させつつ搬送し、前記インサート位置から前記シート搬送路に前記仕切り紙を給紙することにより、前記シート搬送路に沿って順次搬送される複数枚の前記シート間に前記仕切り紙を挿入し、
前記印刷ジョブの実行中、前記制御部は、
前記読取位置での前記仕切り紙の読み取りを前記画像読取装置に行わせ、
前記仕切り紙の読み取りで得られる前記仕切り紙の画像データを取得し、前記仕切り紙を挿入すべきページ位置を示す挿入ページ情報を前記仕切り紙の画像データから検出するページ検出処理を行い、
前記ページ検出処理の結果に基づき、前記原稿搬送ユニットに対する前記仕切り紙のセットミスがあったか否かの判断を行い、
前記セットミスがなかったと判断したとき、前記制御部は、前記挿入ページ情報で示される前記ページ位置への前記仕切り紙の挿入を前記画像読取装置に行わせ、
前記セットミスがあったと判断したとき、前記制御部は、今回の前記ページ検出処理の対象としていた前記仕切り紙をミス紙に設定し、前記シートが排出されていない前記排出トレイに前記ミス紙を排出させ、前記印刷ジョブを続行する、画像形成装置。
【請求項2】
前記ページ検出処理で前記挿入ページ情報を検出できなかったとき、前記制御部は、前記セットミスがあったと判断する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、今回の前記ページ検出処理で検出した前記挿入ページ情報で示される前記ページ位置である今回検出ページ位置と、前回の前記ページ検出処理で検出した前記挿入ページ情報で示される前記ページ位置である前回検出ページ位置とを比較し、
前記今回検出ページ位置が前記前回検出ページ位置よりも前のとき、前記制御部は、前記セットミスがあったと判断する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷ジョブで出力する部数が1部の場合において、前記今回検出ページ位置が前記前回検出ページ位置と同じとき、前記制御部は、前記セットミスがあったと判断する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷ジョブで出力する部数が複数部の場合において、前記印刷ジョブで出力する部が切り替わってから最初に前記ページ検出処理を行ったとき、前記今回検出ページ位置が前記前回検出ページ位置よりも前または前記今回検出ページ位置が前記前回検出ページ位置と同じであっても、前記今回検出ページ位置の値が前回以前の前記ページ検出処理で検出した前記挿入ページ情報で示される前記ページ位置の最小値と同じであれば、前記制御部は、前記セットミスがあったと判断しない、請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印刷ジョブの開始から終了までの間において、前記セットミスがあったと判断した回数が予め定められた閾値に達したとき、前記制御部は、前記印刷ジョブを中断する、請求項1~5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記印刷ジョブの開始から終了までの間において、所定回数連続して前記セットミスがあったと判断したとき、前記制御部は、前記印刷ジョブを中断する、請求項1~6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
複数のシート排出トレイを有する後処理装置を備え、
前記後処理装置は、前記印刷部から前記シートを受け入れ、いずれかの前記シート排出トレイに前記シートを排出し、
前記セットミスがあったと判断したとき、前記制御部は、前記シートが排出されていない前記シート排出トレイに前記ミス紙を排出させる、請求項1~7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像読取装置は、原稿排出トレイを有し、読み取った前記原稿を前記原稿排出トレイに排出し、
前記セットミスがあったと判断したとき、前記制御部は、前記原稿排出トレイに前記ミス紙を排出させる、請求項1~7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
操作パネルを備え、
前記セットミスがあったと判断したとき、前記制御部は、前記セットミスがあった旨の報知処理を前記操作パネルに行わせる、請求項1~9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インサーターを備える画像形成装置が知られている。画像形成装置は、シートに画像を印刷する。インサーターには、仕切り紙がセットされる。インサーターは、複数枚のシート間に仕切り紙を挿入する。すなわち、インサーターを備える画像形成装置は、仕切り紙の挿入を伴う印刷ジョブ(以下、単に印刷ジョブと称する)の実行が可能である。
【0003】
インサーターを備える画像形成装置は、たとえば、特許文献1に開示されている。特許文献1の画像形成装置は、フィニッシャーを備える。インサーターは、フィニッシャーに設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
仕切り紙の挿入枚数が複数枚となる印刷ジョブにおいて、複数枚の仕切り紙の並び順を間違えてセットした場合(すなわち、セットミスがあった場合)、印刷ジョブで得られる出力物の束のうち意図せぬページ位置に仕切り紙が挿入される。したがって、セットミスがあった場合、たとえば、印刷ジョブが中断される。その結果、印刷ジョブの完了までに時間がかかる。一方で、印刷ジョブを中断しなければ、印刷ジョブは速やかに完了するが、出力物の束内からミス紙(意図せぬページ位置に挿入された仕切り紙)を探して抜き出す作業などを行わなければならず、ユーザーの利便性が低下する。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、仕切り紙のセットミスがあっても、ユーザーの利便性を損なうことなく、印刷ジョブを速やかに完了させることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、シートの給送位置から印刷位置およびインサート位置を経由するシート搬送路と、印刷ジョブの実行中、給送位置からシート搬送路にシートを送り出し、印刷位置を通過するシートに画像を印刷する印刷部と、読取位置を経由する原稿搬送路を有する原稿搬送ユニットを含み、原稿搬送路に沿って原稿を搬送し、読取位置で原稿を読み取る画像読取装置と、印刷部により画像が印刷されたシートの排出先を含む複数の排出トレイと、印刷ジョブを制御する制御部と、を備える。画像読取装置は、原稿搬送路から分岐してインサート位置に接続されるインサート搬送路を有する。印刷ジョブの実行中、画像読取装置は、原稿搬送ユニットにセットされた仕切り紙を原稿搬送路からインサート搬送路に進入させつつ搬送し、インサート位置からシート搬送路に仕切り紙を給紙することにより、シート搬送路に沿って順次搬送される複数枚のシート間に仕切り紙を挿入する。印刷ジョブの実行中、制御部は、読取位置での仕切り紙の読み取りを画像読取装置に行わせ、仕切り紙の読み取りで得られる仕切り紙の画像データを取得し、仕切り紙を挿入すべきページ位置を示す挿入ページ情報を仕切り紙の画像データから検出するページ検出処理を行い、ページ検出処理の結果に基づき、原稿搬送ユニットに対する仕切り紙のセットミスがあったか否かの判断を行う。セットミスがなかったと判断したとき、制御部は、挿入ページ情報で示されるページ位置への仕切り紙の挿入を画像読取装置に行わせる。セットミスがあったと判断したとき、制御部は、今回のページ検出処理の対象としていた仕切り紙をミス紙に設定し、シートが排出されていない排出トレイにミス紙を排出させ、印刷ジョブを続行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成では、仕切り紙のセットミスがあっても、ユーザーの利便性を損なうことなく、印刷ジョブを速やかに完了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態による画像形成装置の概略図である。
【
図2】一実施形態による画像形成装置に設置される画像読取装置の概略図である。
【
図3】
図2の画像読取装置で反転処理が行われるときの状態を示す図である。
【
図4】
図2の画像読取装置で反転処理が行われるときの搬送経路を示す図である。
【
図5】一実施形態による画像形成装置のブロック図である。
【
図6】
図2の画像読取装置により搬送される仕切り紙の搬送経路を示す図である。
【
図7】一実施形態による画像形成装置の制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態による画像形成装置について、複合機を例にとって説明する。
【0011】
<複合機の構成>
図1に示すように、複合機100(「画像形成装置」に相当)は、複数の排出トレイ100Tを備える。印刷ジョブでは、シートSに対して画像が印刷される。いずれかの排出トレイ100Tは、印刷ジョブで得られる出力物(画像が印刷されたシートS)の排出先となる。すなわち、複合機100は、シートSの排出先を含む複数の排出トレイ100Tを備える。
【0012】
たとえば、シートSは用紙である。ただし、これに限定されない。OHPシートなど用紙とは異なるシートSの使用も可能である。
【0013】
複合機100は、搬送中のシートSをガイドするシート搬送路SPを備える。シート搬送路SPは、給送位置P1から、印刷位置P2およびインサート位置P3をこの順番で経由し、排出位置P4に至る。印刷ジョブでは、給送位置P1からシート搬送路SPにシートSが送り出され、シート搬送路SPに沿ってシートSが搬送される。そして、搬送中のシートSに対する印刷が印刷位置P2で行われ、排出位置P4から機外にシートSが排出される。
【0014】
複合機100は、印刷部11を備える。印刷部11は、複合機100の本体1に設けられる。印刷部11は、搬送中のシートSに画像を印刷する。印刷部11の印刷方式は特に限定されず、電子写真方式であってもよいし、インクジェット方式であってもよい。ここでは、印刷部11の印刷方式が電子写真方式であるとする。
【0015】
印刷部11は、給送位置P1からシート搬送路SPにシートSを送り出す。給送位置P1には、シートカセットCAが装着される。すなわち、シート搬送路SPは、シートカセットCAから延びる。シートカセットCAには、シートSがセットされる。シートカセットCAのシートSが印刷ジョブで使用される。
【0016】
印刷部11は、感光体ドラム111および転写ローラー112を含む。感光体ドラム111および転写ローラー112は、互いに圧接する。これにより、感光体ドラム111と転写ローラー112との間に転写ニップが形成される。転写ニップの位置が印刷位置P2となる。
【0017】
印刷部11は、図示しないが、帯電装置、露光装置および現像装置をさらに含む。帯電装置は、感光体ドラム111の周面を帯電させる。露光装置は、感光体ドラム111の周面上に静電潜像を形成する。現像装置は、静電潜像をトナー像に現像する。
【0018】
搬送中のシートSは、転写ニップに進入する。これにより、シートSにトナー像が転写される。トナー像が転写されたシートSは、そのまま搬送される。
【0019】
また、印刷部11は、定着ローラー対113を含む。定着ローラー対113は、印刷位置P2よりもシート搬送方向下流側の位置であってインサート位置P3よりもシート搬送方向上流側の位置に定着ニップを有する。トナー像が転写されたシートsは、定着ニップに進入する。定着ローラー対113は、定着ニップに進入したシートSに対する加熱および加圧を行うことにより、シートSにトナー像を定着させる。その後、シートSは、インサート位置P3を経由し、排出位置P4に向けて搬送される。
【0020】
以下の説明では、シート搬送路SPに送り出されていないシートSを処理前シートSと称し、シート搬送路SPに残っているシートSを処理中シートSと称して区別する場合がある。
【0021】
複合機100は、画像読取装置2を備える。画像読取装置2は、原稿Dを読み取る。画像読取装置2の読取モードには、搬送読取モードと載置読取モードとがある。
【0022】
画像読取装置2は、
図2に示すように、コンタクトガラスG1およびG2を備える。コンタクトガラスG1およびG2は、画像読取装置2の筐体RH(以下、読取筐体RHと称する)に設置される。読取筐体RHは、本体1の上部に設置される。読取筐体RHは、上面に開口を有する。コンタクトガラスG1およびG2は、読取筐体RHの上面の開口に取り付けられる。なお、複合機100が設置される平坦な床面と直交する方向が上下方向である。床面に対し複合機100が設置される側が上であり、その反対側が下である。
【0023】
搬送読取モードでは、コンタクトガラスG1上に自動搬送される原稿D(コンタクトガラスG1上を通過する原稿D)の読み取りが行われる。載置読取モードでは、コンタクトガラスG2上の原稿D(ユーザーにより載置された原稿D)の読み取りが行われる。
【0024】
読取筐体RHの内部には、光源201およびイメージセンサー202が設置される。光源201は、読取対象の原稿Dに光を照射する。原稿Dで反射された反射光は、ミラーおよびレンズなどを介して、イメージセンサー202に向けて進む。イメージセンサー202は、原稿Dで反射された反射光を受光し光電変換する。
【0025】
光源201は、キャリッジ203に設置される。キャリッジ203は、ワイヤー204に連結される。ワイヤー204は、巻取ドラム205に巻回される。巻取ドラム205が回転することにより、キャリッジ203が副走査方向に移動する。すなわち、光源201が副走査方向に移動する。
【0026】
搬送読取モードのとき、
図2に示す位置に光源201が保持され、当該位置で光源201がコンタクトガラスG1に向けて発光する。このとき、コンタクトガラスG1上の原稿Dで光が反射され、原稿Dで反射された光がイメージセンサー202に入射する。搬送読取モードでは、
図2に示す破線矢印に沿って光が進行する。
【0027】
画像読取装置2は、原稿搬送ユニット200を含む。搬送読取モードでは、原稿搬送ユニット200によりコンタクトガラスG1上に向けて原稿Dが搬送される。これにより、コンタクトガラスG1上を原稿Dが通過する。
【0028】
原稿搬送ユニット200は、読取筐体RHの上部に対して回動可能に取り付けられる。原稿搬送ユニット200は、読取筐体RHの上面(コンタクトガラスG1およびG2)を開放する方向および閉塞する方向に回動可能である。搬送読取モードでは、原稿搬送ユニット200が閉じられた状態(
図2に示す状態)で読み取りが行われる。なお、載置読取モードでは、コンタクトガラスG2上に原稿Dを載置して原稿搬送ユニット200を閉じることにより、コンタクトガラスG2上の原稿Dを押さえ付けることができる。
【0029】
原稿搬送ユニット200は、原稿セットトレイSTを有する。また、原稿搬送ユニット200は、原稿排出トレイ2Tを有する。原稿排出トレイ2Tは、排出トレイ100Tの1つである。ただし、排出トレイ100Tとしての原稿排出トレイ2Tは、シートSの排出先とはならない。
【0030】
また、原稿搬送ユニット200は、原稿搬送路DP1を有する。原稿搬送路DP1は、原稿セットトレイSTから、搬送読取モードでの原稿Dの読取位置RPを経由し、原稿排出トレイ2Tに至る。
【0031】
読取モードが搬送読取モードのとき、原稿セットトレイSTに原稿Dがセットされる。原稿Dのセット作業はユーザーによって行われる。原稿搬送ユニット200は、原稿セットトレイSTにセットされた原稿Dを原稿搬送路DP1に給紙し、原稿搬送路DP1に沿って搬送する。そして、原稿搬送ユニット200は、読取済みの原稿Dを原稿排出トレイ2Tに排出する。
【0032】
搬送中の原稿Dは、読取位置RPを通過する。読取位置RPは、コンタクトガラスG1上の位置である。すなわち、搬送中の原稿Dは、コンタクトガラスG1上を通過する。搬送中の原稿Dが読取位置RPを通過するとき、原稿Dの読み取りが行われる。原稿Dの片面だけを読み取るジョブでは、原稿Dの両面のうち、原稿セットトレイST上では上側を向く面の読み取りが行われる。
【0033】
原稿搬送ユニット200は、原稿Dの搬送方向の前後(原稿Dの表裏)を反転させるための反転搬送路DP2をさらに有する。たとえば、原稿排出トレイ2Tの上側には、中間トレイMTが設けられる。反転搬送路DP2は、中間トレイMTから延び、原稿搬送路DP1の読取位置RPよりも原稿搬送方向上流側の位置に接続される。
【0034】
原稿搬送ユニット200は、給紙ローラー21を備える。給紙ローラー21は、原稿セットトレイSTにセットされた原稿Dに対して上側から当接し、回転する。これにより、原稿セットトレイSTから原稿搬送路DP1に原稿Dが給紙される。
【0035】
原稿搬送ユニット200は、搬送ローラー対22を備える。搬送ローラー対22は、原稿搬送路DP1に設置される。搬送ローラー対22の設置位置および設置数は、原稿搬送路DP1の搬送経路長などに応じて適宜変更される。搬送ローラー対22は、一対のローラー部材によって構成される。搬送ローラー対22としての一対のローラー部材は、互いに圧接して搬送ニップを形成する。搬送ローラー対22は、回転することにより、搬送ニップに進入した原稿Dを搬送する。
【0036】
原稿搬送ユニット200は、反転搬送部23を備える。反転搬送部23は、原稿Dをスイッチバックさせることにより、原稿Dの搬送方向の前後(原稿Dの表裏)を反転する反転処理を行う。反転搬送路DP2は、反転搬送部23の一構成要素である。また、反転搬送部23は、反転用切替爪231および反転ローラー対232を含む。
【0037】
反転用切替爪231は、原稿搬送路DP1のうち読取位置RPよりも原稿搬送方向下流側の位置に設置される。反転用切替爪231は、回動可能に支持される。反転用切替爪231は、第1位置と第2位置との間で回動する。第1位置は、読取位置RPから原稿排出トレイ2Tへの搬送経路が開通される位置である。第2位置は、読取位置RPから原稿排出トレイ2Tへの搬送経路が遮断される位置である。反転用切替爪231が第1位置にある第1状態を
図2に示し、反転用切替爪231が第2位置にある第2状態を
図3に示す。
【0038】
反転用切替爪231が第1位置にある第1状態では、原稿搬送路DP1から反転搬送路DP2への原稿Dの搬送経路が遮断される。言い換えると、反転用切替爪231は、原稿搬送路DP1と反転搬送路DP2とを繋ぐ連絡通路CPを遮断する。反転用切替爪231を第1状態に保持することにより、読取位置RPから原稿排出トレイ2Tに向けて原稿Dを搬送(排出)できる。
【0039】
反転用切替爪231が第2位置にある第2状態では、原稿搬送路DP1から反転搬送路DP2への原稿Dの搬送経路が開通される。言い換えると、反転用切替爪231は、原稿搬送路DP1と反転搬送路DP2とを繋ぐ連絡通路CPを開通する。反転用切替爪231を第2状態に保持することにより、連絡通路CPを介して、読取位置RPから反転搬送路DP2に原稿Dを引き込むことができる。
【0040】
反転ローラー対232は、反転搬送路DP2に設置される。反転ローラー対232は、一対のローラー部材によって構成される。反転ローラー対232としての一対のローラー部材は、互いに圧接して搬送ニップを形成する。反転ローラー対232は、回転することにより、搬送ニップに進入した原稿Dを搬送する。反転ローラー対232は、正逆回転の切り替えが可能である。
【0041】
また、反転搬送部23は、反転用切替モーターM1および反転モーターM2を含む(
図5参照)。反転用切替モーターM1は、反転用切替爪231に連結され、駆動することにより、反転用切替爪231を回動させる。すなわち、反転用切替モーターM1は、反転用切替爪231の第1状態と第2状態とを切り替える。なお、反転用切替モーターM1に変えて、ソレノイドを用いてもよい。反転モーターM2は、反転ローラー対232に連結され、駆動することにより、反転ローラー対232を回転させる。反転モーターM2は、反転ローラー対232の回転方向を切り替えることができる。
【0042】
反転搬送路DP2は、原稿Dの両面を読み取るジョブで使用される。原稿Dの片面だけ読み取るジョブでは、反転搬送路DP2は使用されない。原稿Dの片面だけ読み取るジョブでは、原稿Dは読取位置RPを1回だけ通過し、原稿排出トレイ2Tに排出される。原稿Dの両面を読み取るジョブでは、原稿Dは読取位置RPを2回通過する。
【0043】
原稿Dの両面を読み取るジョブでの原稿Dの搬送経路を
図4に示す。
図4では、原稿Dの搬送経路を破線矢印で示す。また、
図4では、原稿Dの第1面(表面)に符号D1を付し、原稿Dの第1面D1とは逆の第2面(裏面)に符号D2を付す。原稿セットトレイST上において、第1面D1は上側を向き、第2面D2は下側を向く。
【0044】
原稿Dの両面を読み取るジョブでは、まず、原稿セットトレイSTから原稿搬送路DP1に原稿Dが給紙され、原稿搬送路DP1に沿って搬送される。そして、原稿Dが読取位置RPを通過する。このとき、原稿Dの第1面D1がコンタクトガラスG1に対向する。これにより、第1面D1の読み取りが行われる。また、反転用切替爪231は、第2状態に保持される。すなわち、連絡通路CPが開通される。したがって、原稿Dは、原稿排出トレイ2Tに向かわず、反転搬送路DP2に引き込まれる(
図4上図を参照)。
【0045】
反転搬送路DP2に原稿Dが引き込まれることにより、その時点での原稿Dの前端が反転ローラー対232の搬送ニップに進入する。このとき、反転ローラー対232は、正回転することにより、原稿Dを中間トレイMTに向かう方向に搬送する。原稿Dが反転搬送路DP2に引き込まれて以降、その時点での原稿Dの後端が反転搬送路DP2に入ってから、反転ローラー対232が逆回転する。これにより、原稿Dがスイッチバックされる(
図4中段図を参照)。すなわち、原稿Dの搬送方向の前後が反転される。
【0046】
スイッチバック後、原稿Dは、そのまま反転搬送路DP2に沿って搬送されることにより、原稿搬送路DP1の読取位置RPよりも原稿搬送方向上流側の位置に戻される。読み取った原稿Dを反転搬送部23に引き込んでスイッチバックさせ、スイッチバックさせた原稿Dを原稿搬送路DP1の読取位置RPよりも原稿搬送方向上流側の位置に戻す処理が反転処理である。反転処理は、後述する仕切り紙Pに対しても行われる。
【0047】
反転処理後、原稿Dは再度、読取位置RPに向けて搬送される。これにより、原稿Dは再度、読取位置RPを通過する(
図4下図を参照)。このときには、原稿Dの表裏が反転されている。このため、原稿Dの第2面D2がコンタクトガラスG1に対向する。その結果、第2面D2の読み取りが行われる。
【0048】
その後、原稿Dに対する再度の反転処理を行わず、原稿Dを原稿排出トレイ2Tに排出してもよい。すなわち、第1面D1を上向きにして原稿Dを排出してもよい。この場合には、原稿Dが読取位置RPを2回目に通過するとき、反転用切替爪231が第1状態に保持される。すなわち、連絡通路CPが遮断される。
【0049】
あるいは、原稿Dに対する再度の反転処理を行ってから、原稿Dを原稿排出トレイ2Tに排出してもよい。すなわち、第1面D1を下向きにして原稿Dを排出してもよい。複数枚の原稿Dの両面を連続して順次読み取る場合(複数枚の原稿Dを連続して順次搬送する場合)には、第1面D1を下向きにして原稿Dを排出することにより、複数枚の原稿Dの排出後の並び順をセット時と同じにできる。
【0050】
ここで、複合機100は、インサート機能を有する。インサート機能に関する処理(以下、インサート処理と称する)は画像読取装置2が行う。すなわち、画像読取装置2は、インサーターとして機能する。画像読取装置2は、インサート処理として、インサート位置P3からシート搬送路SPに仕切り紙Pを給紙する処理を行う。
【0051】
シート搬送路SPに沿って順次搬送される複数枚のシートS間への仕切り紙Pの挿入を伴う印刷ジョブでは、画像読取装置2によりインサート処理が行われる。これにより、シート搬送路SPに沿って順次搬送される複数枚のシートS間に仕切り紙Pが挿入される。以下の説明では、インサート処理を伴う印刷ジョブをインサート付き印刷ジョブと称し、インサート処理を伴わない通常の印刷ジョブと区別する。
【0052】
インサーターとして機能する画像読取装置2は、
図2および
図3に示すように、インサート搬送部24を備える。インサート搬送部24は、インサート搬送路IPを含む。インサート搬送路IPは、読取筐体RHを上下方向に貫通し、本体1と原稿搬送ユニット200とを繋ぐ。
【0053】
インサート搬送路IPは、原稿搬送路DP1の分岐位置BPにおいて原稿搬送路DP1から分岐する。分岐位置BPは、原稿搬送路DP1のうち読取位置RPよりも原稿搬送方向上流側の位置である。インサート搬送路IPは、原稿搬送路DP1の分岐位置BPから分岐して読取筐体RHを上下方向に貫通し、シート搬送路SPのインサート位置P3に接続される。
【0054】
また、インサート搬送部24は、インサート用切替爪241を含む。インサート用切替爪241は、分岐位置BPに設置される。インサート用切替爪241は、回動可能に支持される。インサート用切替爪241を回動させる(インサート用切替爪241の位置を変位させる)ことにより、原稿搬送路DP1からインサート搬送路IPへの搬送経路の開通と遮断とを切り替えることができる。
【0055】
インサート処理を伴わない通常の印刷ジョブでは、ジョブ実行中、原稿搬送路DP1からインサート搬送路IPへの搬送経路が遮断した状態に維持される。インサー付き印刷ジョブでは、ジョブ実行中、原稿搬送路DP1からインサート搬送路IPへの搬送経路の開通と遮断との切り替えが行われる。詳細は後述する。
【0056】
インサート搬送部24は、インサートローラー対242を含む。インサートローラー対242は、インサート搬送路IPに設置される。インサートローラー対242の設置位置および設置数は、インサート搬送路IPの搬送経路長などに応じて適宜変更される。インサートローラー対242が本体1側に設置されてもよい。また、図示しないが、インサートローラー対242は、原稿搬送ユニット200内に設置されてもよいし、読取筐体RH内に設置されてもよい。インサートローラー対242は、一対のローラー部材によって構成される。インサートローラー対242としての一対のローラー部材は、互いに圧接して搬送ニップを形成する。インサートローラー対242は、回転することにより、搬送ニップに進入した仕切り紙Pを搬送する。
【0057】
インサート搬送部24は、インサート用切替モーターM3およびインサートモーターM4を含む(
図5参照)。インサート用切替モーターM3は、インサート用切替爪241に連結され、駆動することにより、インサート用切替爪241を回動させる。すなわち、インサート用切替モーターM3は、原稿搬送路DP1からインサート搬送路IPへの搬送経路の開通と遮断とを切り替える。なお、インサート用切替モーターM3に変えて、ソレノイドを用いてもよい。インサートモーターM4は、インサートローラー対242に連結され、駆動することにより、インサートローラー対242を回転させる。
【0058】
図1に戻り、複合機100は、後処理装置3を備える。後処理装置3は、印刷部11(すなわち、本体1)からシートSを受け入れる。後処理装置3は、シートSに対して、パンチ処理、ステープル処理および仕分け処理などの後処理を行う。
【0059】
後処理装置3は、複数のシート排出トレイ3Tを有する。複数のシート排出トレイ3Tは、それぞれ、排出トレイ100Tの1つである。シート排出トレイ3Tの設置数は特に限定されない。後処理装置3には、たとえば、シート排出トレイ3Tが2つ設置される。
【0060】
シート搬送路SPは、各シート排出トレイ3Tに繋がる。シート搬送路SPから各シート排出トレイ3TへのシートSの排出口が排出位置P4となる。すなわち、複数のシート排出トレイ3Tは、それぞれ、シートSの排出先として設定され得る。後処理装置3は、複数のシート排出トレイ3Tのうち、排出先に設定されたシート排出トレイ3TにシートSを排出する。
【0061】
また、
図5に示すように、複合機100は、メイン制御部10(「制御部」に相当)を備える。メイン制御部10は、メインCPUおよび画像処理回路などを含む。メイン制御部10は、複合機100を制御する。メイン制御部10は、印刷部11を制御する。すなわち、メイン制御部10は、印刷ジョブを制御する。印刷ジョブの実行に際し、メイン制御部10は、いずれかのシート排出トレイ3TをシートSの排出先に設定する。また、メイン制御部10は、画像データに対する画像処理など種々の処理を行う。
【0062】
メイン制御部10には、記憶部101が接続される。記憶部101は、ROM、RAMおよびHDDなどの記憶デバイスを含む。たとえば、記憶部101は、文字認識プログラムを記憶する。メイン制御部10は、文字認識プログラムに基づき、OCR(Optical Character Recognition)処理を行う。また、メイン制御部10は、1次元コードおよび2次元コードなどのコード画像の復号処理を行う。メイン制御部10は、復号処理を行うことにより、コード画像に埋め込まれた情報を抽出する。
【0063】
メイン制御部10には、通信部102が接続される。通信部102は、通信回路およびメモリーなどを含む。通信部102は、図示しないが、LANなどのネットワークを介して、外部機器と通信可能に接続される。外部機器は、複合機100のユーザーが使用するパーソナルコンピューターおよびスマートフォンなどの情報処理装置(ユーザー端末)を含む。たとえば、ユーザー端末から複合機100に対し、印刷ジョブのジョブデータが送信される。メイン制御部10は、通信部102がジョブデータを受信すると、印刷ジョブの実行要求を受けたと判断する。ジョブデータは、印刷データ(たとえば、PDLデータ)および設定データなどを含む。
【0064】
また、複合機100は、画面を表示しユーザーから操作を受け付ける操作パネル103を備える。操作パネル103には、タッチスクリーンが設けられる。操作パネル103には、ハードウェアボタンも設けられる。操作パネル103は、印刷ジョブに関する入力操作などを受け付ける。ユーザーは、操作パネル103を介して、印刷ジョブの設定を行える。
【0065】
操作パネル103は、メイン制御部10に接続される。メイン制御部10は、操作パネル103(タッチスクリーン)の表示動作を制御する。メイン制御部10は、操作パネル103に対して行われた操作を検知する。
【0066】
操作パネル103は、インサート付き印刷ジョブなど種々のジョブの実行要求をユーザーから受け付ける。また、操作パネル103は、インサート付き印刷ジョブに関する報知処理などを行う。
【0067】
画像読取装置2は、読取制御部20を備える。読取制御部20は、読取制御回路および読取制御メモリーなどを含む。読取制御部20は、メイン制御部10に通信可能に接続される。メイン制御部10は、画像読取装置2による原稿Dの読み取りに関する制御指示を読取制御部20に与える。画像読取装置2による原稿Dの読み取りに関する制御は、原稿搬送ユニット200による原稿Dの搬送制御を含む。読取制御部20は、メイン制御部10からの指示に基づき、原稿Dの読取制御および搬送制御を行う。言い換えると、メイン制御部10は、画像読取装置2(原稿搬送ユニット200を含む)を制御する。
【0068】
原稿Dの読取制御として、読取制御部20は、光源201およびイメージセンサー202の制御を行う。読取制御部20は、巻取ドラム205を回転させる巻取モーター(図示せず)を制御する。また、読取制御部20は、給紙ローラー21を回転させる給紙モーター(図示せず)を制御するとともに、搬送ローラー対22を回転させる搬送モーター(図示せず)を制御する。
【0069】
また、読取制御部20は、反転搬送部23による反転処理を制御する。すなわち、読取制御部20は、反転用切替モーターM1を制御し、反転用切替爪231の第1状態と第2状態とを切り替える。読取制御部20は、反転モーターM2を制御し、反転ローラー対232の回転方向を切り替える。
【0070】
実行ジョブがインサート付き印刷ジョブのとき、メイン制御部10は、インサート処理に関する制御指示を読取制御部20に与える。読取制御部20は、メイン制御部10からの指示に基づき、インサート処理を制御する。言い換えると、メイン制御部10は、画像読取装置2(原稿搬送ユニット200を含む)によるインサート処理を制御する。さらに言い換えると、メイン制御部10は、インサート付き印刷ジョブを制御する。
【0071】
実行ジョブがインサート付き印刷ジョブのとき、読取制御部20は、インサート搬送部24による仕切り紙Pの搬送制御をさらに行う。すなわち、読取制御部20は、インサート用切替モーターM3を制御し、原稿搬送路DP1からインサート搬送路IPへの搬送経路の開通と遮断とを切り替える。読取制御部20は、インサートモーターM4を制御し、インサート搬送路IPでの仕切り紙Pの搬送を制御する。
【0072】
後処理装置3は、メイン制御部10からの指示に基づき、印刷部11から受け入れたシートSに対する後処理を行う。そして、後処理装置3は、メイン制御部10により排出先に設定されたシート排出トレイ3TにシートSを排出する。たとえば、メイン制御部10は、実行する後処理の内容に基づきシートSの排出先を設定する。また、たとえば、メイン制御部10は、ユーザー指定のシート排出トレイ3TをシートSの排出先に設定する。
【0073】
<仕切り紙の搬送>
インサート付き印刷ジョブの実行に際し、ユーザーは、原稿搬送ユニット200の原稿セットトレイSTに仕切り紙Pをセットする。すなわち、仕切り紙Pのセット位置は、搬送読取モードの読取時における原稿Dのセット位置と同じである。複合機100の仕様では、仕切り紙Pの表面を上向きにして原稿セットトレイSTに仕切り紙Pをセットするよう定められる。
【0074】
ここで、印刷位置P2でのシートSへの印刷後、印刷部11は、インサート位置P3においてシートSの印刷面(当該印刷面は、印刷部11により画像が印刷された面である)が下向きとなるようシートSを搬送する。言い換えると、シートSは、その表面(当該表面は、画像が印刷される印刷面である)を下向きにしてインサート位置P3を通過する。
図1に示すシート搬送路SPでは、シートカセットCA内において、シートSのうち上側を向く面が表面である。そこで、画像読取装置2によるインサート処理では、反転搬送部23によって仕切り紙Pの反転処理が行われる。
【0075】
以下、
図6を参照し、仕切り紙Pの反転処理について説明する。
図6では、仕切り紙Pの搬送経路を破線矢印で示す。また、
図6では、仕切り紙Pの表面(当該表面は、原稿セットトレイST上では上側を向く面である)に符号Pfを付す。読取制御部20は、メイン制御部10からの指示に基づき、
図6に示す搬送制御を行う。言い換えると、メイン制御部10は、仕切り紙Pの反転処理を制御する。
【0076】
まず、原稿搬送ユニット200は、原稿セットトレイSTから原稿搬送路DP1に仕切り紙Pを給紙し、原稿搬送路DP1に沿って搬送する。原稿搬送ユニット200は、読取位置RPに向けて仕切り紙Pを搬送する。このとき、反転用切替爪231は、第2状態に保持される。これにより、
図6上図に示すように、仕切り紙Pは、読取位置RPに到達してから、連絡通路CPを介して、反転搬送路DP2に引き込まれる。なお、仕切り紙Pが読取位置RPを通過するときには、仕切り紙Pの表面PfがコンタクトガラスG1と対向する。
【0077】
仕切り紙Pは、反転搬送路DP2に引き込まれると、正回転する反転ローラー対232により、中間トレイMTに向けて搬送される。反転ローラー対232の正回転は、その時点での仕切り紙Pの後端が反転ローラー対232の搬送ニップを抜ける前に停止される。これにより、中間トレイMT上に仕切り紙Pの一部が載置された状態となる。言い換えると、仕切り紙Pは、反転ローラー対232が回転を再開するまで、中間トレイMT上で待機する。
【0078】
次に、反転ローラー対232が逆回転することにより、仕切り紙Pがスイッチバックされ、仕切り紙Pの搬送方向の前後が反転する。そして、その状態で、反転搬送路DP2に沿って仕切り紙Pが搬送される。これにより、
図6中段図に示すように、仕切り紙Pが原稿搬送路DP1に戻される。すなわち、原稿Dの両面読取時に行われる反転処理と同じ反転処理が仕切り紙Pに対して行われる。
【0079】
その後、原稿搬送ユニット200は、分岐位置BPに向けて仕切り紙Pを搬送する。このとき、インサート用切替爪241は、原稿搬送路DP1からインサート搬送路IPへの搬送経路を開通する位置に保持される。また、インサートローラー対242は回転している。これにより、
図6下図に示すように、仕切り紙Pは、原稿搬送路DP1からインサート搬送路IPに進入し、インサート搬送路IPに沿って搬送される。すなわち、仕切り紙Pは、分岐位置BPからインサート位置P3に向けて搬送される。
【0080】
その結果、仕切り紙Pは、インサート位置P3からシート搬送路SPに給紙される。シート搬送路SPへの仕切り紙Pの給紙は、シート搬送路SPに沿って順次搬送されるシートS間に仕切り紙Pが挿入されるタイミングで行われる。ここで、シート搬送路SPへの仕切り紙Pの給紙前、仕切り紙Pに対する反転処理が1回行われる。したがって、仕切り紙Pの表面Pfは、シート搬送路SPに沿って搬送中のシートSの表面(印刷面)の向きと同様に下向きとなる。
【0081】
本実施形態の構成では、仕切り紙Pの表面が上向きとなるよう仕切り紙Pを原稿セットトレイSTにセットしても、仕切り紙Pの反転処理が行われるので、仕切り紙PおよびシートSの各表面の向きが一致する。これにより、ユーザーにとっては利便性が良い。
【0082】
また、本実施形態の構成では、読取筐体RHを上下方向に貫通する搬送路をインサート搬送路IPとして設けることにより、複合機100が大型化することを抑制できる。
【0083】
<仕切り紙の読み取り>
複合機100は、仕切り紙Pを何ページ目に挿入すべきか(すなわち、仕切り紙Pを挿入すべきページ位置)を自動で判別して挿入する挿入ページ判別機能を有する。インサート付き印刷ジョブの実行中、メイン制御部10は、挿入ページ判別機能に関する処理を行う。
【0084】
なお、挿入ページ判別機能を利用する場合、ユーザーは、仕切り紙Pを挿入すべきページ位置(たとえば、ページ番号を示す数値)を示す挿入ページ情報を予め仕切り紙Pに記入しておく。挿入ページ情報は、仕切り紙Pを何ページ目に挿入すべきかを示す情報である。仕切り紙Pに元々記入されていたページ番号を挿入ページ情報とすることもできる。ページ番号をコード化したコード画像(当該コード画像としては、1次元コードおよび2次元コードなどである)を挿入ページ情報としてもよい。
【0085】
インサート付き印刷ジョブの実行中、メイン制御部10は、読取位置RPでの仕切り紙Pの読み取りを画像読取装置2に行わせる。そして、メイン制御部10は、画像読取装置2による仕切り紙Pの読み取りで得られる読取データ(当該読取データは、仕切り紙Pの読み取りで得られる仕切り紙Pの画像データである)を取得する。
【0086】
仕切り紙Pの画像データの取得後、メイン制御部10は、仕切り紙Pの画像データから挿入ページ情報を検出する処理(以下、ページ検出処理と称する)を行う。メイン制御部10は、第1処理および第2処理のいずれかをページ検出処理として行う。たとえば、挿入ページ情報としてページ番号を示す数字を仕切り紙Pに記入したユーザーは、操作パネル103を用いて、挿入ページ情報がページ番号を示す数字である旨の第1情報を複合機100に入力する。一方で、挿入ページ情報としてページ番号を示す数字のコード画像を仕切り紙Pに記入したユーザーは、操作パネル103を用いて、挿入ページ情報がページ番号を示す数字のコード画像である旨の第2情報を複合機100に入力する。
【0087】
第1情報が入力された場合、メイン制御部10は、仕切り紙Pの画像データに対してOCR処理を行う。そして、メイン制御部10は、仕切り紙Pの画像データのうち所定領域に存在する数字を挿入ページ情報として検出する処理をページ検出処理として行う。たとえば、所定領域は、仕切り紙Pの画像データのうちユーザーにより予め指定されたユーザー指定領域である。ユーザー指定領域は、仕切り紙Pのうち、ヘッダー領域であってもよいし、フッター領域であってもよい。また、仕切り紙Pのうち、ヘッダーおよびフッターの各領域とは異なる領域がユーザー指定領域であってもよい。
【0088】
第2情報が入力された場合、メイン制御部10は、仕切り紙Pの画像データからコード画像を抽出し、コード画像に対して復号処理を行う。そして、メイン制御部10は、コード画像に埋め込まれた数字を挿入ページ情報として検出する第2処理をページ検出処理として行う。
【0089】
仕切り紙Pを挿入すべきページ位置を示す挿入ページ情報(仕切り紙Pを何ページ目に挿入すべきかを示す数字)を検出できた場合、メイン制御部10は、読取制御部20に指示し、挿入ページ情報で示されるページ位置への仕切り紙Pの挿入を画像読取装置2行わせる。読取制御部20は、挿入ページ情報で示されるページ位置に仕切り紙Pが挿入されるタイミングで、インサート位置P3からシート搬送路SPに仕切り紙Pを給紙する。
【0090】
たとえば、仕切り紙Pに予め記入された挿入ページ情報で示されるページ位置が3ページ目であったとする。この場合、メイン制御部10は、給送位置P1からシート搬送路SPへの2ページ目のシートSの給紙後、2ページ目のシートSと次のシートSとの間の領域(紙間)に仕切り紙Pの挿入が可能となるタイミングで、給送位置P1からシート搬送路SPへの次のシートSの給紙を印刷部11に行わせる。読取制御部20は、2ページ目のシートSの後端がインサート位置P3を通過したタイミングでインサート位置P3からシート搬送路SPに仕切り紙Pが給紙されるように画像読取装置2を制御する。これにより、2ページ目のシートSと次のシートSとの紙間に仕切り紙Pが挿入される。
【0091】
この構成では、インサート付き印刷ジョブを複合機100に実行させるとき、仕切り紙Pにページ位置を記入しておくことにより、自動的に、仕切り紙Pが所望の位置に挿入される。すなわち、インサート付き印刷ジョブを複合機100に実行させるとき、操作パネル103にジョブ設定画面を表示させ、ジョブ設定画面からインサート処理の設定画面に切り替え、仕切り紙Pを挿入すべきページ位置を入力する、という一連の作業が不要となる。これにより、インサート付き印刷ジョブの設定が簡素化され、ユーザーの利便性が向上する。
【0092】
さらに、複数枚の仕切り紙Pをそれぞれ任意の位置に挿入できる。たとえば、3枚の仕切り紙Pを含む合計10枚の出力物が出力される印刷ジョブにおいて、2ページ目、5ページ目および9ページ目にそれぞれ仕切り紙Pを挿入できる。この場合には、3枚の仕切り紙Pにそれぞれ、挿入ページ情報として、「2」、「5」および「9」という情報を記入しておくだけで良い。
【0093】
このような効果は、仕切り紙Pを読み取ることによって得られる。ここで、インサート処理を行う専用機(インサーター)に読取センサーを設け、当該専用機を複合機100に搭載することによっても、同様の効果が得られる。しかし、この場合には、複合機100が大型化する。
【0094】
一方で、画像読取装置2がインサーターとして使用する構成では、専用機の設置が不要である。これにより、複合機100が大型化することはない。
【0095】
<セットミスの判断>
複数枚の仕切り紙P(その束)を原稿セットトレイSTにセットした場合、原稿セットトレイSTの上から下に向かって順番に仕切り紙Pが挿入される。この場合には、原稿セットトレイSTの上から下に向かってページ位置が若い順になるよう複数枚の仕切り紙Pをセットする必要がある。
【0096】
しかし、仕切り紙Pのセットミスが発生する場合がある。たとえば、仕切り紙Pの並び順を間違える、というセットミスが発生する。また、仕切り紙Pの束内に誤って不要紙を挿入する、というセットミスが発生する。なお、不要紙は仕切り紙Pではない。したがって、不要紙には、挿入ページ情報が記入されない。
【0097】
そこで、インサート付き印刷ジョブの実行中、メイン制御部10は、ページ検出処理の結果に基づき、原稿セットトレイST(すなわち、原稿搬送ユニット200)に対する仕切り紙Pのセットミスがあったか否かを判断する。以下の説明では、原稿セットトレイSTに対する仕切り紙Pのセットミスを単にセットミスと称する。
【0098】
メイン制御部10は、ページ検出処理を行うごとに、セットミスがあったか否かを判断する。言い換えると、メイン制御部10は、原稿セットトレイSTにセットされている全ての仕切り紙P(場合によっては不要紙も含まれる)を対象に1枚ずつ、セットミスがあったか否かを判断する。
【0099】
以下、セットミスがあったか否かの判断方法の一例について説明する。
【0100】
メイン制御部10は、ページ検出処理を行うごとに、挿入ページ情報を検出できたか否かを判断する。そして、ページ検出処理で挿入ページ情報を検出できなかったとき、メイン制御部10は、セットミスがあったと判断する。たとえば、挿入ページ情報が記入されていない不要紙が仕切り紙Pの束内に存在する場合において、ページ検出処理が不要紙に対して行われたとき、セットミスがあったと判断される。この構成では、仕切り紙Pの束内に不要紙が存在する場合、確実に、セットミスがあったと判断される。
【0101】
また、インサート付き印刷ジョブの開始後にページ検出処理を1回行って以降、メイン制御部10は、ページ検出処理を行うごとに、今回のページ検出処理で検出した挿入ページ情報で示されるページ位置(以下、今回検出ページ位置と称する)と、前回のページ検出処理で検出した挿入ページ情報で示されるページ位置(以下、前回検出ページ位置と称する)とを比較する。その結果、今回検出ページ位置が前回検出ページ位置よりも前のとき、メイン制御部10は、セットミスがあったと判断する。この構成では、仕切り紙Pの並び順に間違いがある場合、確実に、セットミスがあったと判断される。
【0102】
たとえば、挿入すべきページ位置が3ページ目の仕切り紙Pと6ページ目の仕切り紙Pとが存在するインサート付き印刷ジョブにおいて、原稿セットトレイSTの上から下に向かって、6ページ目の仕切り紙Pおよび3ページ目の仕切り紙Pの順でセットされていたとする。この場合、6ページ目の仕切り紙Pの読み取りが先に行われ、6ページ目の仕切り紙Pが中間トレイMT上で待機した状態となる。そして、5ページ目のシートSがインサート位置P3を通過した後、6ページ目の仕切り紙Pが挿入される。
【0103】
続いて、3ページ目の仕切り紙Pを対象にページ検出処理が行われ、3ページ目の仕切り紙Pのページ位置が検出される。この場合、今回検出ページ位置は3ページ目となり、前回検出ページ位置である6ページ目よりも前となる。その結果、セットミスがあったと判断される。
【0104】
なお、インサート付き印刷ジョブでの出力部数が1部の場合のセットミスとして、同じ仕切り紙Pが複数枚重複しているというものがある。このため、インサート付き印刷ジョブでの出力部数が1部の場合において、今回検出ページ位置が前回検出ページ位置と同じとき、メイン制御部10は、セットミスがあったと判断する。この構成では、出力部数が1部のインサート付き印刷ジョブにおいて、同じ仕切り紙Pが複数枚重複してセットされている場合、確実に、セットミスがあったと判断される。
【0105】
たとえば、インサート付き印刷ジョブでの出力部数が1部の場合において、3ページ目の仕切り紙Pが2枚重複していたとする。この場合には、3ページ目の2枚の仕切り紙Pのうち、2枚目の仕切り紙Pに対してページ検出処理が行われたとき、今回検出ページ位置および前回検出ページ位置が共に3ページ目となるので、セットミスがあったと判断される。
【0106】
一方で、インサート付き印刷ジョブでの出力部数が複数部の場合には、同じ仕切り紙Pが複数枚重複し得る。たとえば、1部目および2部目のそれぞれの3ページ目に仕切り紙Pを挿入する場合には、3ページ目の仕切り紙Pが2枚重複してセットされる。そこで、インサート付き印刷ジョブでの出力部数が複数部の場合において、インサート付き印刷ジョブで出力する部が切り替わってから最初にページ検出処理を行ったとき、今回検出ページ位置が前回検出ページ位置よりも前または今回検出ページ位置が前回検出ページ位置と同じであっても、今回検出ページ位置の値が前回以前のページ検出処理で検出した挿入ページ情報で示されるページ位置の最小値と同じであれば、メイン制御部10は、セットミスがあったと判断しない。この構成では、セットミスでないにもかかわらずセットミスがあったと判断されることを抑制できる。
【0107】
<ミス紙の排出>
セットミスがなかったと判断したとき、メイン制御部10は、今回のページ検出処理で検出した挿入ページ情報で示されるページ位置への仕切り紙Pの挿入を画像読取装置2に行わせる。以降、メイン制御部10は、シートSの搬送、シートSへの印刷、および、仕切り紙Pの挿入を続行させる。すなわち、メイン制御部10は、インサート付き印刷ジョブを続行する。この場合、仕切り紙Pは、シートSが排出される排出トレイ100T(すなわち、シート排出トレイ3T)と同じ排出トレイ100Tに排出される。
【0108】
一方で、セットミスがあったと判断したとき、メイン制御部10は、今回のページ検出処理で対象としていた仕切り紙P(すなわち、今回給紙しようとしていた仕切り紙P)をミス紙に設定する。以下の説明では、ミス紙に設定された仕切り紙Pに符号Pmを付して単にミス紙Pmと称する。
【0109】
ここで、メイン制御部10は、ミス紙Pmについてはインサート処理を行わせない。しかし、ミス紙Pmを排出しない場合には、次の仕切り紙Pのインサート処理を行えない。すなわち、ミス紙Pmを排出しない場合には、インサート付き印刷ジョブを中断する必要がある。
【0110】
そこで、メイン制御部10は、シートSが排出されていない排出トレイ100Tにミス紙Pmを排出させる。言い換えると、メイン制御部10は、ミス紙Pmを強制的に排出する処理(以下、ミス紙排出処理と称する)を行う。そして、メイン制御部10は、インサート付き印刷ジョブを続行する。
【0111】
ミス紙排出処理では、後処理装置3のシート排出トレイ3Tがミス紙Pmの排出先に設定されてもよい。この場合、セットミスがあったと判断したとき、メイン制御部10は、シートSが排出されていないシート排出トレイ3Tにミス紙Pmを排出させる。言い換えると、メイン制御部10は、シートSの排出先に設定したシート排出トレイ3Tとは別のシート排出トレイ3Tにミス紙Pmを排出させる。さらに言い換えると、メイン制御部10は、印刷部11、画像読取装置2および後処理装置3にそれぞれ、ミス紙Pmを強制排出する動作を行わせる。
【0112】
具体的には、メイン制御部10は、印刷部11を制御し、処理前シートSの給送を一時停止させる一方、処理中シートSに対する処理を続行させる。すなわち、メイン制御部10は、処理中シートSを対象とした印刷および搬送を続行させ、処理中シートSを後処理装置3に搬入させる。さらに、メイン制御部10は、後処理装置3を制御し、処理中シートSのシート排出トレイ3Tへの排出を続行させる。
【0113】
また、メイン制御部10は、読取制御部20に指示し、インサート位置P3からシート搬送路PSへのミス紙Pmの給紙を画像読取装置2に行わせる。具体的には、メイン制御部10は、シート搬送方向の最も上流側に位置する処理中シートSの後端がインサート位置P3を通過したタイミングで、インサート位置P3からシート搬送路SPにミス紙Pmを給紙させる。
【0114】
シート搬送路SPにミス紙Pmが給紙されて以降、印刷部11は、後処理装置3に向けてミス紙Pmを搬送する。後処理装置3は、インサート付き印刷ジョブで得られる出力物の排出先に設定されたシート排出トレイ3Tとは別のシート排出トレイ3Tにミス紙Pmを排出する。
【0115】
また、メイン制御部10は、処理前シートSの給送を一時停止させるが、インサート付き印刷ジョブを中断しない。具体的には、メイン制御部10は、所定タイミングで、処理前シートSの給送の一時停止を解除する。メイン制御部10は、一時停止を解除してから最初に給送するシートS(ここでは、最初シートSと称する)がミス紙Pmに接触しないように一時停止の解除タイミングを計る。言い換えると、メイン制御部10は、ミス紙Pmと最初シートSとの紙間が所定間隔となるよう一時停止の解除タイミングを計る。
【0116】
本実施形態の構成では、セットミスがあったとき、処理前シートSの給送は一時停止されるが、インサート付き印刷ジョブは続行される。その結果、インサート付き印刷ジョブの完了までにかかる時間が長くなることを抑制できる。言い換えると、インサート付き印刷ジョブを速やかに完了させることができる。
【0117】
なお、セットミスがあった場合には、インサート付き印刷ジョブの完了後、ユーザーにより、インサート付き印刷ジョブで得られた出力物の束内にミス紙Pmを挿入する作業が行われる。ここで、ミス紙Pmは、インサート付き印刷ジョブの出力物が排出されるシート排出トレイ3Tとは別のシート排出トレイ3Tに排出される。これにより、インサート付き印刷ジョブの出力物の束からミス紙Pmを探して抜き出す作業などを行わなくてもよいので、ユーザーにとっては利便性が良い。
【0118】
ミス紙排出処理では、画像読取装置2の原稿排出トレイ2Tがミス紙Pmの排出先に設定されてもよい。この場合、セットミスがあったと判断したとき、メイン制御部10は、原稿排出トレイ2Tにミス紙Pmを排出させる。言い換えると、メイン制御部10は、読取制御部20に指示し、ミス紙Pmを強制排出する動作を画像読取装置2に行わせる。読取制御部20は、原稿搬送ユニット200を制御し、原稿排出トレイ2Tにミス紙Pmを排出する。中間トレイMT上のミス紙Pmは、
図4の中段図および下図に示す原稿Dの搬送経路と同じ経路で搬送され、原稿排出トレイ2Tに排出される。
【0119】
原稿排出トレイ2Tにミス紙Pmを排出する場合には、シートSの排出先とは別のシート排出トレイ3Tにミス紙Pmを排出する場合と同様、インサート付き印刷ジョブで得られる出力物の束からミス紙Pmを探して抜き出す作業などを行わなくてもよいので、ユーザーにとっては利便性が良い。また、原稿排出トレイ2Tにミス紙Pmを排出する場合には、ミス紙Pmをシート搬送路SPに給紙しなくてもよいので、インサート付き印刷ジョブの完了までにかかる時間をより短くできる。
【0120】
なお、ユーザーによっては、ミス紙Pmが排出されたことに気付かない場合がある。そこで、セットミスがあったと判断したとき、メイン制御部10は、セットミスがあった旨の報知処理を操作パネル103に行わせる。たとえば、操作パネル103は、セットミスがあった旨のメッセージを表示する処理を報知処理として行う。これにより、ミス紙Pmが排出されたことをユーザーに認識させることができる。操作パネル103による報知処理では、ミス紙Pmの排出先に関するメッセージ、および、ミス紙Pmの排出枚数に関するメッセージなどを操作パネル103に表示してもよい。
【0121】
<インサート付き印刷ジョブの中断>
ミス紙Pmの枚数が多い場合には、インサート付き印刷ジョブの完了後、インサート付き印刷ジョブで得られた出力物の束内にミス紙Pmを挿入する作業が大変になり、ユーザーにとっては煩わしい。このため、ミス紙Pmの枚数が多い場合には、インサート付き印刷ジョブを中断し、仕切り紙Pをセットし直してから、インサート付き印刷ジョブを再開することが好ましい。
【0122】
そこで、インサート付き印刷ジョブの実行中、メイン制御部10は、セットミスがあったと判断した回数をカウントする。そして、メイン制御部10は、セットミスがあったと判断した回数に基づき、インサート付き印刷ジョブの中断条件(予め定められた条件)が満たされているか否かを判断する。その結果、中断条件が満たされているとき、メイン制御部10は、インサート付き印刷ジョブを中断する。
【0123】
具体的には、インサート付き印刷ジョブの開始から終了までの間において、セットミスがあったと判断した回数が予め定められた閾値に達したとき、メイン制御部10は、中断条件が満たされたと判断する。そして、このとき、メイン制御部10は、インサート付き印刷ジョブを中断する。閾値は特に限定されない。ユーザーによって閾値が設定されてもよい。
【0124】
また、インサート付き印刷ジョブの開始から終了までの間において、所定回数連続してセットミスがあったと判断したとき、メイン制御部10は、中断条件が満たされたと判断する。そして、このとき、メイン制御部10は、インサート付き印刷ジョブを中断する。たとえば、所定回数は、2~3回である。
【0125】
インサート付き印刷ジョブの中断条件が満たされたということは、セットミスがあったとメイン制御部10が判断したということである。すなわち、インサート付き印刷ジョブの中断条件が満たされたとき(セットミスがあったと判断したとき)、メイン制御部10は、操作パネル103に報知処理を行わせる。このときの操作パネル103による報知処理では、インサート付き印刷ジョブを中断した旨のメッセージ、および、仕切り紙Pの再セットを促すメッセージなどが操作パネル103に表示されてもよい。
【0126】
<ページ処理の流れ>
以下、
図7に示すフローチャートを参照し、インサート付き印刷ジョブの実行中にメイン制御部10が行う処理の流れを説明する。
図7に示すフローは、インサート付き印刷ジョブの実行要求を受け付けたときにスタートする。
【0127】
なお、メイン制御部10は、まず、インサート付き印刷ジョブの1枚目のシートSの給紙前、ステップS1からステップS2までの処理を行う。
【0128】
ステップS1において、メイン制御部10は、読取制御部20に指示し、画像読取装置2による読取位置RPでの仕切り紙Pの読み取りを行わせる。このとき、原稿搬送ユニット200は、原稿セットトレイSTから原稿搬送路DP1に仕切り紙Pを給紙し、原稿搬送路DP1に沿って搬送する。また、原稿搬送ユニット200は、読取位置RPを通過する仕切り紙Pを反転搬送路DP2に引き込み、中間トレイMTに向けて搬送し、中間トレイMT上に仕切り紙Pを待機させる。画像読取装置2は、読取位置RPを通過する仕切り紙Pを読み取る。
【0129】
ステップS2において、メイン制御部10は、今回読み取った仕切り紙Pの画像データを取得する。また、メイン制御部10は、仕切り紙Pの画像データに対してページ検出処理(仕切り紙Pを挿入すべきページ位置を示す挿入ページ情報を検出する処理)を行う。そして、メイン制御部10は、ページ検出処理の結果に基づき、セットミスがあったか否かを判断する。
【0130】
ステップS2において、セットミスがなかったとメイン制御部10が判断した場合には、ステップS3に移行する。ステップS3において、メイン制御部10は、挿入ページ情報で示されるページ位置への仕切り紙Pの挿入を画像読取装置2に行わせる。すなわち、メイン制御部10は、挿入ページ情報で示されるページ位置に対して1ページ前のシートSの後端がインサート位置P3を通過してから、今回読み取った仕切り紙Pをインサート位置P3からシート搬送路SPに給紙させる。
【0131】
ステップS4において、メイン制御部10は、原稿セットトレイSTに仕切り紙Pが残っているか否かを判断する。たとえば、原稿セットトレイSTには、図示しないが、原稿セットトレイST上における仕切り紙Pの有無に応じて出力値を変化させるセットセンサーが設けられる。メイン制御部10は、セットセンサーの出力値に基づき、原稿セットトレイSTに仕切り紙Pが残っているか否かを判断する。
【0132】
ステップS4において、仕切り紙Pが残っていないとメイン制御部10が判断した場合には、本フローは終了する。以降、最終ページのシートSに対する印刷(当該シートSの排出)が終了するまで、仕切り紙Pの挿入(すなわち、インサート位置P3からシート搬送路SPへの仕切り紙Pの給紙)が行われることなく、インサート付き印刷ジョブが続行する。
【0133】
ステップS4において、仕切り紙Pが残っているとメイン制御部10が判断した場合には、ステップS1に移行する。すなわち、複数枚の仕切り紙Pが原稿セットトレイSTにセットされている場合、先に読み取った仕切り紙Pの挿入が終わった後、メイン制御部10は、次の仕切り紙Pの読み取りを画像読取装置2に行わせる。
【0134】
ステップS2において、セットミスがあったとメイン制御部10が判断した場合には、ステップS5に移行する。ステップS5に移行すると、メイン制御部10は、セットミスがあった旨の報知処理を操作パネル103に行させる。また、ステップS6において、メイン制御部10は、インサート付き印刷ジョブの中断条件が満たされているか否かを判断する。
【0135】
ステップS6において、中断条件が満たされていないとメイン制御部10が判断した場合には、インサート付き印刷ジョブが続行される。具体的には、ステップS7において、メイン制御部10は、ミス紙排出処理を行う。その後、ステップS1に移行する。
【0136】
ステップS6において、中断条件が満たされているとメイン制御部10が判断した場合には、ステップS8に移行する。ステップS8において、メイン制御部10は、インサート付き印刷ジョブを中断する。インサート付き印刷ジョブを中断した場合、メイン制御部10は、インサート付き印刷ジョブを中断した旨の報知処理を操作パネル103に行わせる。
【0137】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0138】
2 画像読取装置
2T 原稿排出トレイ
3 後処理装置
3T シート排出トレイ
10 メイン制御部(制御部)
11 印刷部
100 複合機(画像形成装置)
100T 排出トレイ
103 操作パネル
200 原稿搬送ユニット
D 原稿
DP1 原稿搬送路
IP インサート搬送路
P 仕切り紙
P2 印刷位置
P3 インサート位置
PS シート搬送路
Pm ミス紙
RP 読取位置
S シート
SP シート搬送路