(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133865
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】ロック装置
(51)【国際特許分類】
H02B 11/12 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
H02B11/12 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039098
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】園山 輝明
(72)【発明者】
【氏名】市川 博則
(72)【発明者】
【氏名】武田 翔
(72)【発明者】
【氏名】玉城 将樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 栄也
(72)【発明者】
【氏名】柏木 克巳
(72)【発明者】
【氏名】河田 良
【テーマコード(参考)】
5G012
【Fターム(参考)】
5G012JJ07
(57)【要約】
【課題】電気機器を接続位置に移動させるのに障害となる新規な構成のロック装置を得る。
【解決手段】実施形態のロック装置は、可動部を備える。可動部は、引掛部と、ロック部材と、を有する。引掛部が接続位置から断路位置に向かって移動する電気機器の第1の電気機器側引掛部に第1の方向に押されることにより、可動部が電気機器と一体に第1の方向に移動する。ロック部材は、第2の電気機器側引掛部と引っ掛かることにより電気機器の第2の方向への移動を制限する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受配電装置に設けられるロック装置であって、
前記受配電装置は、
収容体と、
前記収容体内に収容された導体と、
第1の電気機器側引掛部と、第2の電気機器側引掛部と、を有し、前記導体と接続される前記収容体内の接続位置から前記導体と離間する断路位置に向かう第1の方向に移動可能であるとともに、前記断路位置から前記接続位置に向かう第2の方向に移動可能な電気機器と、
を備え、
前記ロック装置は、引掛部とロック部材とを有し前記第1の方向および前記第2の方向に移動可能な可動部を備え、
前記引掛部が前記接続位置から前記断路位置に向かって移動する前記電気機器の前記第1の電気機器側引掛部に前記第1の方向に押されることにより、前記可動部が前記電気機器と一体に前記第1の方向に移動し、
前記ロック部材は、前記断路位置の前記電気機器の前記第2の電気機器側引掛部に対して前記第2の方向側に位置し、前記第2の電気機器側引掛部と引っ掛かることにより前記電気機器の前記第2の方向への移動を制限する、
ロック装置。
【請求項2】
前記第1の方向は、鉛直方向と交差し、
前記ロック装置は、前記鉛直方向に貫通した第1の貫通孔が設けられ、前記収容体に支持され前記第1の方向に延びたベース部を備え、
前記可動部は、前記鉛直方向に貫通した第2の貫通孔が設けられ、前記ベース部に対して前記鉛直方向の上方側に位置し前記ベース部と対向する対向部を有し、前記第1の方向および前記第2の方向に移動可能に前記ベース部に支持され、
前記引掛部は、前記対向部と接続され、前記第1の電気機器側引掛部に対して前記第1の方向側に位置し、
前記ロック部材は、前記第2の貫通孔に挿入されるとともに、前記鉛直方向に移動可能であり、
前記可動部は、前記第2の貫通孔が前記第1の貫通孔に対して前記第2の方向に位置し前記ロック部材の前記鉛直方向の下方側の下端部が前記ベース部に支持される第1の位置と、前記第2の貫通孔が前記第1の貫通孔と前記鉛直方向に並び前記ロック部材が第1の貫通孔から前記鉛直方向の下方に落ちる第2の位置と、の間で、前記ベース部に対して移動可能である、請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記ロック装置は、前記ベース部および前記可動部を有し前記収容体に着脱可能な機構部を備えた、請求項2に記載のロック装置。
【請求項4】
前記ベース部および前記可動部を有した機構部と、
前記収容体内に収容され、前記ベース部が前記第1の方向に延びる動作位置と、前記ベース部が前記第1の方向と交差する第3の方向に延び前記機構部が前記収容体内に収容される収容位置と、の間で、前記機構部を移動可能に支持した支持部と、
を備えた、請求項2または3に記載のロック装置。
【請求項5】
前記第1の電気機器側引掛部と前記第2の電気機器側引掛部とを含み前記電気機器に設けられた一つの引掛部材を備えた、請求項1~4のうちいずれか一つに記載のロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収容体と、収容体に収容された複数の導体と、収容体内に収容され、収容体から引き出し可能な遮断器(電子機器)と、を備えた受配電装置が知られている。収容体は、導体と接続される筐体内の接続位置と、導体と離間する断路位置との間で移動可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の受配電装置の保守・点検作業においては、作業者は、遮断器を収容位置から断路位置に引き出して、遮断器と導体とを離間させた上で、導体を接地させる。そして、作業者は、保守・点検作業の終了時には、導体の接地を解除してから、遮断器を収容位置に戻して導体と接続する。この際、遮断器を接続位置に向けて移動させると遮断器が導体と接続されてしまうため、作業者が導体の接地の解除をし忘れた場合でも気づきにくい。遮断器を接続位置に移動させるのに障害があれば、作業者が導体の接地の解除をし忘れをした場合でもそれを気づかせやすい。そこで、電気機器を接続位置に移動させるのに障害となる新規な構成のロック装置が得られれば有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のロック装置は、受配電装置に設けられるロック装置である。前記受配電装置は、収容体と、導体と、電気機器と、を備える。前記導体は、前記収容体内に収容されている。前記電気機器は、第1の電気機器側引掛部と、第2の電気機器側引掛部と、を有し、前記導体と接続される前記収容体内の接続位置から前記導体と離間する断路位置に向かう第1の方向に移動可能であるとともに、前記断路位置から前記接続位置に向かう第2の方向に移動可能である。前記ロック装置は、引掛部とロック部材とを有し前記第1の方向および前記第2の方向に移動可能な可動部を備える。前記引掛部が前記接続位置から前記断路位置に向かって移動する前記電気機器の前記第1の電気機器側引掛部に前記第1の方向に押されることにより、前記可動部が前記電気機器と一体に前記第1の方向に移動する。前記ロック部材は、前記断路位置の前記電気機器の前記第2の電気機器側引掛部に対して前記第2の方向側に位置し、前記第2の電気機器側引掛部と引っ掛かることにより前記電気機器の前記第2の方向への移動を制限する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係る受配電装置を概略的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態の受配電装置における遮断器およびロック装置を含む部分を示す斜視図であって、遮断器が接続位置から断路位置へ向かって移動する途中の状態を示した図である。
【
図3】
図3は、実施形態の受配電装置における遮断器およびロック装置を含む部分を示す斜視図であって、遮断器が断路位置に位置した図である。
【
図4】
図4は、実施形態の受配電装置における遮断器およびロック装置を含む部分を示す斜視図であって、遮断器が断路位置から接続位置へ向かって移動する途中の状態を示した図である。
【
図5】
図5は、実施形態のロック装置を示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態のロック装置における支持部およびベース部を示す平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態のロック装置における可動部を示す平面図である。
【
図9】
図9は、実施形態のロック装置の機構部が収容位置に位置した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について、
図1乃至
図4を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素および当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素および説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素および説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
【0008】
図1は、実施形態に係る受配電装置10を概略的に示す断面図である。本実施形態の受配電装置10は、例えば、スイッチギヤである。なお、受配電装置10は、この例に限らない。受配電装置10は、配電盤とも称される。
【0009】
図1等に示されるように、本明細書において、X軸、Y軸、およびZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、受配電装置10の奥行きに沿う。Y軸は、受配電装置10の幅方向に沿う。Z軸は、受配電装置10の高さに沿う。
【0010】
図1に示すように、受配電装置10は、収容体11と、収容機器12と、ロック装置14とを有する。収容体11は、例えば、筐体とも称され得る。収容体11は、収容体本体21と、正面扉22とを有する。
【0011】
収容体本体21は、X軸に沿う前方向D1に開放された略箱型に形成される。言い換えると、収容体本体21の前方向の端部に、開口端21aが設けられている。開口端21aは、凹状の収容体本体21の内部が開口する部分である。収容体本体21は、他の形状を有しても良い。前方向D1は、第1の方向の一例である。
【0012】
正面扉22は、収容体本体21の内部を開閉可能に、例えばヒンジによって、収容体本体21に取り付けられる。正面扉22は、収容体本体21の開口端21aを塞ぎ、収容体11の前方向の端部に位置する。言い換えると、正面扉22は、収容体11に設けられる。
【0013】
収容体本体21は、後壁21b、下壁21c、および上壁(不図示)等の複数の壁を有する。後壁21bは、収容体本体21における前方向D1の反対の後方向D2の端部に位置する。下壁21cは、収容体本体21の鉛直方向の下方側の下端部に位置する。上壁は、収容体本体21の鉛直方向の上方側の端部に位置する。正面扉22は、後壁21bから前方向D1に離間する。後方向D2は、第2の方向の一例である。
【0014】
受配電装置10が設置される場合、例えば、下壁21cは地面に接触して支持される。なお、例えば、下壁21cに取り付けられたゴム脚等が地面に接触し、下壁21cが地面から離間しても良い。このように、下壁21cは地面に向く。さらに、上壁は、例えば、建物の天井に向く。受配電装置10は、上壁と建物の天井との間が離間するように設置される。
【0015】
また、正面扉22は、作業者等が通行可能な空間(例えば通路)に面する。一方、後壁21bは、建物の壁に向く。受配電装置10は、後壁21bと建物の壁との間が離間するように設置される。なお、受配電装置10の設置態様は、ここで説明された例に限らない。
【0016】
収容体11の内部に、電気系統131が設けられている。なお、本実施形態では一つの電気系統131が収容体11に設けられるが、これより多い電気系統が収容体11に設けられても良い。
【0017】
収容体11には、仕切壁21dが設けられている。仕切壁21dは、収容体本体21の内部に設けられている。
【0018】
電気系統131は、遮断器室141と、ケーブル室142と、母線室143とを有する。電気系統131は、他の構成を有しても良い。遮断器室141、ケーブル室142、および母線室143は、仕切壁21dによって仕切られている。なお、例えば孔や隙間によって、遮断器室141、ケーブル室142、および母線室143が連通しても良い。
【0019】
遮断器室141は、ケーブル室142および母線室143よりも、正面扉22に近い位置に設けられる。言い換えると、遮断器室141は、収容体11の正面側に設けられる。
【0020】
ケーブル室142および母線室143は、遮断器室141よりも後壁21bに近い位置に設けられる。言い換えると、ケーブル室142および母線室143は収容体11の背面側に設けられる。
【0021】
仕切壁21dは、第1の隔壁部21daと、第2の隔壁部21dbとを有する。第1の隔壁部21daは、X軸に沿う方向における収容体11の略中央に設けられ、遮断器室141と、ケーブル室142および母線室143と、を仕切る。言い換えると、第1の隔壁部21daは、収容体11の内部を正面側と背面側とに仕切る。
【0022】
第2の隔壁部21dbは、L字状に形成され、第1の隔壁部21daの中間部と上壁とに接続される。第2の隔壁部21dbは、ケーブル室142と母線室143とを仕切る。
【0023】
収容機器12は、遮断器61と、上部断路部62と、下部断路部63と、主回路導体64と、母線65と、とを含む。収容機器12は、他の機器を含んでも良い。遮断器61は、電気機器の一例である。
【0024】
遮断器61は、例えば真空遮断器(VCB)であり、遮断器室141に収容される。上部断路部62は、第1の隔壁部21daに固定され、遮断器61の上部導体61aに接続される。下部断路部63は、第1の隔壁部21daに固定され、遮断器61の下部導体61bに接続される。
【0025】
主回路導体64は、ケーブル室142に収容され、下部断路部63に接続される。主回路導体64は、例えばL字状に形成され、電力ケーブルが接続される。主回路導体64は、例えば、複数の相(例えば、3相)ごとに設けられている。例えば、主回路導体64は、3つ設けられている。すなわち、主回路導体64は、複数設けられている。なお、
図1では、複数の主回路導体64のうちの一つだけが示されている。母線65は、母線室143に収容され、上部断路部62に接続される。母線65は、例えば隣接する盤に接続される。主回路導体64は、導体の一例である。
【0026】
また、ケーブル室142には、接地ブスバー66が設けられている。接地ブスバー66は、地面に電気的に接続されている。接地ブスバー66は、接地部材とも称される。
【0027】
また、遮断器室141には、庇部材13が設けられている。庇部材13は、収容体11に含まれる。庇部材13は、壁13a,13bを有する。壁13aは、鉛直方向と直交する方向に広がり且つ長手方向がY方向に沿う帯板状である。壁13aは、壁13aの前端から鉛直方向の上方へ延びている。この庇部材13にロック装置14が取り付けられている。
【0028】
次に、遮断器61およびロック装置14について詳細に説明する。
図2は、実施形態の受配電装置10における遮断器61およびロック装置14を含む部分を示す斜視図であって、遮断器61が接続位置から断路位置へ向かって移動する途中の状態を示した図である。
図3は、実施形態の受配電装置10における遮断器61およびロック装置14を含む部分を示す斜視図であって、遮断器61が断路位置に位置した図である。
図4は、実施形態の受配電装置10における遮断器61およびロック装置14を含む部分を示す斜視図であって、遮断器61が断路位置から接続位置へ向かって移動する途中の状態を示した図である。
【0029】
図2~
図4に示すように、遮断器61は、筐体71と、複数の車輪72と、引掛部材73と、を有する。筐体71は、直方体状に形成されている。筐体71内には、主回路導体64と母線65とに電気的に接続される遮断回路が収容されている。遮断回路は、主回路導体64と母線65との間の電気的接続を遮断可能である。
【0030】
車輪72は、筐体71の下端部に取り付けられている。遮断器61は、車輪72の回転よる走行が可能である。遮断器61は、主回路導体64と接続される収容体11内の接続位置(
図1)から主回路導体64と離間する断路位置(
図3)に向かう方向であって鉛直方向と交差する前方向D1に移動可能である。また、遮断器61は、断路位置(
図3)から接続位置(
図1)に向かう後方向D2に移動可能である。断路位置は、例えば、収容体11の外側の位置である。
【0031】
引掛部材73は、筐体71の上面の前端部に固定されている。引掛部材73は、ベース壁73aと、立壁73bと、を有し、L字状に形成されている。ベース壁73aは、筐体71から前方向D1に突出している。立壁73bは、ベース壁73aの前端部から鉛直方向の上方に延びている。立壁73bは、ロック装置14の一部を構成する。立壁73bは、第1の電気機器側引掛部および第2の電気機器側引掛部の一例である。すなわち、立壁73bは、第1の電気機器側引掛部と第2の電気機器側引掛部とを兼ねる。
【0032】
図5は、実施形態のロック装置14を示す断面図である。
図6は、
図5のVI-VI断面図である。
図7は、実施形態のロック装置14における支持部30およびベース部32を示す平面図である。
図8は、実施形態のロック装置14における可動部33を示す平面図である。
図9は、実施形態のロック装置14の機構部31が収容位置に位置した状態を示す平面図である。
【0033】
図5~
図8に示すように、ロック装置14は、支持部30と、機構部31と、固定部34と、を備える。ベース部32と、可動部33と、固定部34と、を備える。
【0034】
図5に示すように、支持部30は、前壁30a、後壁30b、および上壁30c等の複数の壁を有する。支持部30は、機構部31とともにロック装置本体50を構成している。
【0035】
固定部34は、ロック装置本体50を収容体11に着脱可能に取り付けている。固定部34は、例えば万力であり、ベース部34aと、ベース部34aに支持された一対の挟部34bc,34cと、ネジ34dと、を有する。一対の挟部34b,34cは、前後方向に離間しており、互いの間隔は可変である。挟部34bがネジ34dによって押されることにより、一対の挟部34b,34cの間隔が狭くなる。一対の挟部34b,34cの間に支持部30の前壁30aと庇部材13の壁13bとが位置しており、一対の挟部34b,34cが前壁30aと壁13bとを挟んでいる。
【0036】
機構部31は、ベース部32と、可動部33と、を有する。
【0037】
ベース部32は、支持部30に支持されている。すなわち、ベース部32は、支持部30を介して収容体11に支持されている。ベース部32は、支持部30から前方向D1に延びる。
図5~
図7に示すように、ベース部32は、厚さ方向が鉛直方向に沿う帯状の板によって構成されている。
図7に示すように、ベース部32には、溝32aと貫通孔32bとが設けられている。溝32aは、ベース部32の上面に設けられ、前後方向に延びている。貫通孔32bは、溝32aの前端部に接続されている。貫通孔32bは、ベース部32を鉛直方向に貫通している。貫通孔32bは、第1の貫通孔の一例である。
【0038】
図5、
図6、および
図8に示すように、可動部33は、対向部41と、引掛部材43と、ロック部材支持部44と、ロック部材45と、を有する。
【0039】
対向部41は、厚さ方向が鉛直方向に沿う帯状の板によって構成されている。対向部41は、ベース部32に対して鉛直方向の上方側に位置しベース部32と対向する。対向部41には、貫通孔41aが設けられている。貫通孔41aは、対向部41を鉛直方向に貫通している。
【0040】
対向部41は、連結部42によって、ベース部32に対して前後方向に移動可能(スライド移動可能)に連結している。
図6に示すように、連結部42は、左右一対の連結部材47を有する。連結部材47には、二つの溝47a,47bが設けられている。溝47a,47bは、前後方向に延びている。溝47bは、溝47aの下方側に位置している。溝47aには、対向部41が連結部42に対して相対的にスライド移動可能に嵌められている。溝47bには、ベース部32が固定されている。すなわち、連結部42は、ベース部32に固定されている。なお、対向部41が連結部42に固定され、連結部42がベース部32に対してスライド可能であってもよい。
【0041】
図3および
図8に示すように、引掛部材43は、対向部41の前端部に固定部材46を介して取り付けられている。固定部材46は、ネジ等の固定具48によって対向部41に固定されている。引掛部材43は、ベース部43aと、引掛部43bと、を有する。ベース部43aは、固定具48によって固定部材46に固定されている。引掛部43bは、ベース部43aから鉛直方向の下方向に延びている。すなわち、引掛部43bは、ベース部43aおよび固定部材46を介して対向部41と接続されている。引掛部43bは、立壁73bに対して前方向D1側に位置する。
【0042】
図6および
図8に示すように、ロック部材支持部44は、鉛直方向に延びる筒状に形成されている。ロック部材支持部44は、対向部41の上面に固定されている。
【0043】
図5に示すように、ロック部材45は、頭部45aと、頭部から鉛直方向の下方に延びた軸部45bと、を有する。頭部45aの直径は、軸部45bの直径よりも大きい。
図6に示すように、軸部45bは、鉛直方向に移動可能に、ロック部材支持部44の筒内および対向部41の貫通孔41aに挿入されている。軸部45bの鉛直方向の下方向側の下端部45cは、ベース部32の溝32aに入れられている。
【0044】
可動部33は、第1の位置(
図2、
図5、
図6)と、第2の位置(
図3、
図4)との間でベース部32に対して移動可能である。第1の位置は、貫通孔41aが貫通孔32bに対して後方向D2に位置しロック部材45の鉛直方向の下方側の下端部45cがベース部32に支持される位置である。第2の位置は、貫通孔41aが貫通孔32bと鉛直方向に並びロック部材45が貫通孔32bから鉛直方向の下方に落ちる第2の位置である。
【0045】
また、機構部31は、支持部30によって、動作位置(
図3~
図5)と、収容位置(
図9)と、の間で、移動可能に支持されている。動作位置は、ベース部32が前方向D1に延びる位置である。収容位置は、ベース部32が前方向D1と交差する右方向D3(第3の方向)に延び機構部31が収容体11内に収容される位置である。具体的には、支軸30f回りに回転可能に支持部30に支持されている。
【0046】
上記構成のロック装置14では、引掛部43bが接続位置から断路位置に向かって移動する遮断器61の立壁73bに前方向D1に押されることにより、可動部33が遮断器61と一体に前方向D1に移動する(
図2、
図3)。また、第2の位置(
図4)のロック部材45は、断路位置の遮断器61の立壁73bに対して後方向D2側に位置し、立壁73bと引っ掛かることにより遮断器61の後方向D2への移動を制限する。
【0047】
次に、上記構成の受配電装置10の保守・点検作業について説明する。作業者は、保守・点検作業において、まずは、作業者は、遮断器61の引き出しが可能となるように、インターロックレバー(不図示)を操作する。次に、作業者は、遮断器61を接続位置(
図1)から断路位置(
図3)に引き出す。このとき、ロック装置14の引掛部43bが接続位置から断路位置に向かって移動する遮断器61の立壁73bに前方向D1に押されることにより、可動部33が遮断器61と一体に前方向D1に移動する(
図2、
図3)。すなわち、可動部33が前方向D1に引き出される。また、遮断器61が断路位置に位置すると、可動部33の貫通孔41aが弁2の貫通孔32bと鉛直方向に並び、ロック部材45が貫通孔32bから落下する。ロック部材45は、遮断器61の筐体71の上面に当たり、落下が止まる。なお、ロック部材45の落下は、ロック部材45の頭部45aがロック部材支持部44の上面に当たることで停止されてもよい。
【0048】
上記の状態で、作業者は、収容体11の背面扉(不図示)を開いて、接地ブスバー66と複数の主回路導体64とを導電性の保安接地部材67を介して電気的に接続する。この状態で、作業者は、各種の保守・点検作業を行う。作業者は、各種の保守・点検作業が終了したら、保安接地部材67を取り外して、接地ブスバー66と複数の主回路導体64との電気的に接続を解除する。次に、作業者は、遮断器61を断路位置から接続位置に戻して遮断器61を複数の主回路導体64および母線65に電気的に接続する。この際、ロック部材45が遮断器61の立壁73bに引っ掛かり、のロック部材45が遮断器61の後方向D2への移動を制限する。作業者は、ロック部材45を引き上げてロック部材45と立壁73bとの引っ掛りを解除した上で、遮断器61を接続位置に移動させる。
【0049】
以上のように、実施形態のロック装置14は、受配電装置10に設けられるロック装置14である。受配電装置10は、収容体11と、主回路導体64(導体)と、遮断器61(電気機器)と、を備える。主回路導体64は、収容体11内に収容されている。遮断器61は、立壁73b(第1の電気機器側引掛部、第2の電気機器側引掛部)と、を有し、主回路導体64と接続される収容体11内の接続位置(
図1)から主回路導体64と離間する断路位置(
図3)に向かう前方向D1(第1の方向)に移動可能であるとともに、断路位置から接続位置に向かう後方向D2(第2の方向)に移動可能である。ロック装置14は、引掛部43bとロック部材45とを有し前方向D1および後方向D2に移動可能な可動部33を備える。引掛部43bが接続位置から断路位置に向かって移動する遮断器61の立壁73bに前方向D1に押されることにより、可動部33が遮断器61と一体に前方向D1に移動する。ロック部材45は、断路位置の遮断器61の立壁73bに対して後方向D2側に位置し、立壁73bと引っ掛かることにより遮断器61の後方向D2への移動を制限する。
【0050】
このような構成によれば、ロック部材45が、立壁73bと引っ掛かることにより遮断器61の後方向D2への移動を制限するので、遮断器61を接続位置に移動させるのにロック部材45が障害となる。よって、保守・点検作業において、作業者に何かし忘れた工程があると気付かせやすい。これにより、作業者が保安接地部材67の取り外し、すなわち主回路導体64の接地の解除をし忘れをした場合でもそれを気づかせやすい。したがって、複数の主回路導体64が電気的に接続されて複数の主回路導体64間に短絡が生じるのを抑制することができる。
【0051】
また、前方向D1は、鉛直方向と交差する。ロック装置14は、ベース部32を備える。ベース部32は、鉛直方向に貫通した貫通孔32b(第1の貫通孔)が設けられ、収容体11に支持され前方向D1に延びている。可動部33は、対向部41を有し、前方向D1および後方向D2に移動可能にベース部32に支持されている。対向部41は、鉛直方向に貫通した貫通孔41a(第2の貫通孔)が設けられ、ベース部32に対して鉛直方向の上方側に位置しベース部32と対向する。引掛部43bは、対向部41と接続され、立壁73bに対して前方向D1側に位置する。ロック部材45は、貫通孔41aに挿入されるとともに、鉛直方向に移動可能である。可動部33は、貫通孔41aが貫通孔32bに対して後方向D2に位置しロック部材45の鉛直方向の下方側の下端部45cがベース部32に支持される第1の位置(
図2、
図5、
図6)と、貫通孔41aが貫通孔32bと鉛直方向に並びロック部材45が貫通孔32bから鉛直方向の下方に落ちる第2の位置(
図3、
図4)と、の間で、ベース部32に対して移動可能である。
【0052】
このような構成によれば、可動部33が第2の位置に移動することにより、ロック部材45が貫通孔32bから鉛直方向の下方に重力の作用によって落ちるので、ロック部材45が遮断器61の後方向D2への移動を制限する位置に移動するように、作業者がロック部材45を操作する必要がない。
【0053】
また、ロック装置14は、ベース部32および可動部33を有し収容体11に着脱可能な機構部31を備える。
【0054】
このような構成によれば、既設の受配電装置10にロック装置14の機構部31を後付けすることができる。
【0055】
また、ロック装置14は、機構部31と、支持部30と、を備える。機構部31は、ベース部32および可動部33を有する。支持部30は、収容体11内に収容され、ベース部32が前方向D1に延びる動作位置(
図3~
図5)と、ベース部32が前方向D1と交差する右方向D3(第3の方向)に延び機構部31が収容体11内に収容される収容位置(
図9)と、の間で、機構部31を移動可能に支持する。
【0056】
このような構成によれば、ロック装置14を使用しない場合にロック装置14を収容体11内に収容させることができる。
【0057】
また、ロック装置14は、立壁73bを含み遮断器61に設けられた引掛部材73を備える。
【0058】
このような構成によれば、第1の電気機器側引掛部と、第2の電気機器側引掛部とが別々の部材に設けられている構成に比べて、ロック装置14の構成を簡素化することができる。
【0059】
なお、上記実施形態では、電気機器として遮断器61の例が示されたが、これに限定されない。例えば、電気機器は、変成器等であってもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、ロック部材45が鉛直方向に移動して遮断器61の移動を制限する例が示されたがこれに限定されない。例えば、ロック部材45が鉛直方向と交差する方向に移動して遮断器61の移動を制限する構成であってもよい。鉛直方向と交差する方向は、鉛直方向と直交する方向(例えば左右方向)であってもよいし、鉛直方向に対して斜めの方向であってもよい。この場合、例えば、ロック部材45が遮断器61の後方向D2への移動を制限するように、作業者が所定位置のロック部材45を押し込んでよい。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
10…受配電装置、11…収容体、14…ロック装置、30…支持部、31…機構部、32…ベース部、32b…貫通孔(第1の貫通孔)、33…可動部、41…対向部、41a…貫通孔(第2の貫通孔)、43b…引掛部、45…ロック部材、61…遮断器(電気機器)、64…主回路導体(導体)、73…引掛部材、73b…立壁(第1の電気機器側引掛部、第2の電気機器側引掛部)、D1…前方向(第1の方向)、D2…後方向(第2の方向)。