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特開2023-133884流体管の補修方法及び流体管の補修構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133884
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】流体管の補修方法及び流体管の補修構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/18 20060101AFI20230920BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20230920BHJP
   F16L 55/175 20060101ALI20230920BHJP
   F16L 55/07 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
F16L55/18 B
F16L55/00 C
F16L55/175
F16L55/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039124
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】590002208
【氏名又は名称】横浜市
(71)【出願人】
【識別番号】397012923
【氏名又は名称】大成機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】岡田 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏輔
(72)【発明者】
【氏名】久津輪 薫
【テーマコード(参考)】
3H025
【Fターム(参考)】
3H025BA21
3H025BB01
3H025EA01
3H025EB07
3H025EC01
3H025EC17
3H025ED01
3H025EE05
(57)【要約】
【課題】流体管の漏出孔から流体が噴き出す状況における適切な流体管の補修方法及び流体管の補修構造を提供する。
【解決手段】流体管の補修方法は、水道管Kの漏出孔K1を包囲する環状のシール材101を介して、漏出孔K1を覆う状態でドレン栓102を水道管Kに押し当て、漏出孔K1から漏出する流体をドレン栓102から排出しつつ、水道管Kにドレン栓102を固定する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管の漏出孔を包囲する環状のシール材を介して、前記漏出孔を覆う状態でドレン栓を前記流体管に押し当て、前記漏出孔から漏出する流体を前記ドレン栓から排出しつつ、前記流体管に前記ドレン栓を固定する、流体管の補修方法。
【請求項2】
前記流体管の外周面の少なくとも一部を覆う補強シート及び接着剤により前記ドレン栓を前記流体管に固定する、請求項1に記載の流体管の補修方法。
【請求項3】
前記接着剤による前記ドレン栓の固定の前に、非接着剤の固定具で前記ドレン栓を前記流体管に固定又は仮固定する、請求項2に記載の流体管の補修方法。
【請求項4】
前記固定具は、前記流体管に吸着するマグネット部と、前記マグネット部を足場として前記ドレン栓を前記流体管に押し付け可能な押さえ具と、を含む、請求項3に記載の流体管の補修方法。
【請求項5】
前記固定具により前記ドレン栓を前記流体管に仮固定している状態で、前記流体管と前記ドレン栓との間にパテ剤を塗り、前記パテ剤が硬化した後に前記固定具を取り外し、前記補強シート及び前記接着剤により前記ドレン栓を固定する、請求項4に記載の流体管の補修方法。
【請求項6】
前記固定具は、前記流体管に巻き付け可能なバンドである、請求項3に記載の流体管の補修方法。
【請求項7】
前記接着剤が硬化した後に、前記ドレン栓を閉めて前記ドレン栓からの流体の排出を停止する、請求項3~6のいずれかに記載の流体管の補修方法。
【請求項8】
流体管の外周面に形成された漏出孔を包囲する環状のシール材と、
前記漏出孔を含む前記流体管の外周面の一部のみを覆う状態で前記シール材を介在させて前記流体管に固定されるドレン栓と、
前記ドレン栓を前記流体管に固定する固定部と、を備え、
前記ドレン栓は、前記漏出孔から漏出する流体を外部に排出するための排出路を有し、前記排出路に外部管が接続可能であり、前記排出路が閉止可能に構成されている、流体管の補修構造。
【請求項9】
前記固定部は、補強シート及び接着剤を含み、
前記補強シートは、前記流体管の外周面の少なくとも一部と前記ドレン栓とを覆っており、前記接着剤によって前記流体管の外周面と前記ドレン栓とに接着固定されている、請求項8に記載の流体管の補修構造。
【請求項10】
前記流体管の外周面と前記ドレン栓との間にパテ剤が配置されている、請求項9に記載の流体管の補修構造。
【請求項11】
前記パテ剤は、前記流体管の外周面に対面する前記ドレン栓の内面を覆う位置から、前記ドレン栓の側面を覆う位置を経由して前記ドレン栓の外面を覆う位置まで配置され、前記ドレン栓を包み込んで硬化している、請求項10に記載の流体管の補修構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水道管などの流体管の補修方法及び流体管の補修構造に関する。
【背景技術】
【0002】
水管橋などの屋外に設置される流体管(水道管など)は、管の腐食によって強度が低下し、漏水する場合がある。管の腐食箇所が水圧に負けて漏出孔が形成されると、漏出孔から水などの流体が噴き出てしまう場合があり、補修が必要となる。
【0003】
特許文献1には、管の腐食箇所が水圧に負けて漏水に至る前に、管の腐食箇所を補修すると同時に補強する技術についての開示がある。しかし、この技術は、漏水が発生した後においては利用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-116734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、流体管の漏出孔から流体が噴き出す状況における適切な流体管の補修方法及び流体管の補修構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の流体管の補修方法は、流体管の漏出孔を包囲する環状のシール材を介して、前記漏出孔を覆う状態でドレン栓を前記流体管に押し当て、前記漏出孔から漏出する流体を前記ドレン栓から排出しつつ、前記流体管に前記ドレン栓を固定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】水道管Kの管軸方向ADに直交する管径方向に平行な視線で見た側面図及びA1-A1部位の一部断面図。
図2】第1実施形態の固定具104によりドレン栓102を水道管Kに仮固定した状態を示す側面図。
図3】固定具104によりドレン栓102を水道管Kに仮固定した状態を、管軸方向に平行な視線で見た正面図。
図4図2におけるA2-A2部位断面図。
図5図4におけるA3-A3部位断面図。
図6】パテ剤107を塗った状態を示す、A2-A2部位断面図。
図7】補強シート106でドレン栓102を固定した状態を示す、管軸方向に平行な視線で見た断面図。
図8】プラグ105でドレン栓102を閉止した状態を示す断面図。
図9】プラグ105でドレン栓102を閉止した状態を示す側面図。
図10】第2実施形態においてプラグ105でドレン栓102を閉止した状態を示す側面図。
図11】第3実施径形態の水道管Kの補修方法及び補修構造を示す斜視図及び断面図。
図12】第4実施形態の流体管の補強構造を示す、流体管の管軸方向に平行な断面図。
図13A】第4実施形態の流体管の補強構造を示す、流体管の管軸方向に直交する断面図。
図13B】第4実施形態の流体管の補強構造を示す、流体管の管軸方向に平行な断面図。
図14】第4実施形態の流体管の補強方法を示すフローチャート。
図15A】第4実施形態の流体管の補強構造の変形例を示す、図13Aに対応する図。
図15B】第4実施形態の流体管の補強構造の変形例を示す、図13Bに対応する図。
図16A】第4実施形態の流体管の補強構造の変形例を示す、図13Aに対応する図。
図16B】第4実施形態の流体管の補強構造の変形例を示す、図13Bに対応する図。
図17】第5実施形態の流体管の補強構造を示す、流体管の管軸方向に平行な断面図。
図18】第6実施形態の流体管の補強構造を示す、流体管の管軸方向に平行な断面図。
図19】第4~6実施形態の補強構造の変形例を示す斜視図及び管軸方向に直交する断面図。
図20】第4~6実施形態の補強構造の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
本開示の第1実施形態の流体管(水道管K)の補修方法及び補修構造について、図面を参照しながら説明する。
【0009】
本実施形態の水道管Kの補修方法は、図1に示すように、水道管Kに漏出孔K1が形成され、漏出孔K1から流体(水)が漏出している状況において、水道管Kを補修する方法である。水道管Kの補修方法は、図2~5に示すように、環状のシール材101と、ドレン栓102とを用いる。
【0010】
シール材101は、水道管Kの外周面とドレン栓102との間に配置され、水道管Kの漏出孔K1を包囲する。シール材101は、図5に示すように環状である。シール材101は、密閉機能があれば、ゴムやスポンジなどの材質で形成可能である。
【0011】
ドレン栓102は、漏出孔K1から漏出する流体を受けて外部に排出する排出路120(図4図5参照)を有する筒状部位121と、筒状部位121の基端部において水道管Kの外周面に対面するフランジ部122と、を有する。フランジ部122は、漏出孔K1を含む水道管Kの外周面に対面して、漏出孔K1を含む水道管Kの外周面を覆う。フランジ部122は、筒状部位121よりも外径が大きいが、フランジ部122の全周が筒状部位121よりも大きい必要はない。例えば図4に示すように、ドレン栓102の水道管Kに対する固定状態において、フランジ部122における排出路120と漏出孔K1が向かいあう。筒状部位121は、流体を排出するための外部管103(管材やホース)が接続可能である。また、筒状部位121における排出路120は閉止可能に構成されている。具体的には、筒状部位121の排出路120の先端部は、ねじ切り孔に形成されており、このねじ切り孔に対し、ねじが切られた雄型の外部管103(ねじ切り鋼管など)が螺合されることで、外部管103がドレン栓102に接続可能となる。また、外部管103を取り外して、図8及び図9に示すように、ねじ切り孔に合致するプラグ105を螺合することで排出路120が閉止可能となる。第1実施形態では、フランジ部122は、図5に示すように、排出路120の軸C1に平行な視線で見て矩形状であるが、これに限定されず、円形や楕円形状であってもよい。また、フランジ部122は、図3及び図4に示すように、水道管Kの管軸方向ADに平行な姿勢で見て水道管Kに対面するフランジ部122の内面(水道管K側の面)が円弧状に湾曲しているが、これに限定されず、フランジ部122の内面(水道管K側の面)が平坦面であってもよい。
【0012】
第1実施形態では、図8に示すように、補強シート106及び接着剤によりドレン栓102を水道管Kに固定する。しかし、接着剤は硬化する前に流体(水)に濡れてしまうと適切に接着できない。なお、第1~3実施形態における図面において接着剤は補強シート106の界面に少なくとも存在するが、薄いために図示していない。
【0013】
そこで、接着剤によるドレン栓102の固定の前に、図2図4に示すように、非接着剤の固定具104でドレン栓102を水道管Kに仮固定する。第1実施形態の非接着剤の固定具104は、水道管Kに吸着するマグネット部140と、マグネット部140を足場としてドレン栓102を水道管Kに押し付け可能な押さえ具141と、を含む。マグネット部140は、頭部に磁石が内蔵された頭付きボルトである。押さえ具141は、板状部位を有し、ドレン栓102に接続された外部管103を通す大きさの孔又は切り欠きである外部管挿通部142と、外部管挿通部142を挟む位置に設けられる少なくとも2つのマグネット部固定部143と、を有する。マグネット部固定部143は、マグネット部140である頭付きボルトのボルトを通してナットで固定するための孔又は切り欠きである。マグネット部固定部143の個数は、本実施形態において2つであるが、適宜変更可能である。マグネット部固定部143の個数を、3つにしてもよいし、4つ以上にしてもよい。1対のマグネット部140が排出路120を中心として対称となる位置に配置されることが好ましい。
【0014】
図2~5に示すように、マグネット部140及び押さえ具141を取り付けたドレン栓102を、漏出孔K1を覆う状態で水道管Kに押し当てる。このとき、ドレン栓102と水道管Kの間に配置されるシール材101は、水道管Kの漏出孔K1を包囲する位置に配置される。また、漏出孔K1から漏出する流体(水)をドレン栓102から外部管103を介して排出しつつ、マグネット部140を水道管Kに吸着させる。水道管Kは、マグネット部140が吸着可能な磁性体の管である。これにより、固定具104によってドレン栓102が水道管Kに仮固定される。漏出孔K1から漏出した流体(水)を排出せずにドレン栓102を水道管Kに押さえつけるためには、漏出孔K1から漏出する流体(水)の圧力よりも強い力で押圧する必要がある。しかし、本実施形態では、漏出孔K1から漏出する流体(水)をドレン栓102から外部管103を介して排出しているため、マグネット部140が水道管Kを押さえるために必要な力を、流体の排出が無い場合に比べて低減可能となり、ドレン栓102の仮固定が容易となる。
【0015】
次に、固定具104によりドレン栓102を水道管Kに仮固定している状態で、図6に示すように、水道管Kとドレン栓102との間にパテ剤107を塗る。パテ剤107は、接着機能があればよい。本実施形態では、株式会社ユニテックの製品名「レクタシール」(EP-400、EP-200、又はEP-200W)を用いている。本実施形態では、パテ剤107は、硬化剤混合型のエポキシ樹脂系の接着パテ剤であるが、これ以外も適宜利用可能である。本実施形態では、図6に示すように、パテ剤107は、水道管Kの外周面に対面するドレン栓102の内面S1を覆う位置から、ドレン栓102の側面S2を覆う位置を経由してドレン栓102の外面S3を覆う位置まで配置されており、ドレン栓102を水道管Kの管径方向両側から包み込んで硬化している。なお、漏出孔K1から漏出する流体(水)をドレン栓102から外部管103を介して排出する状態は継続している。
【0016】
パテ剤107が硬化した後、水道管Kからマグネット部140を取り外すことで、固定具104によるドレン栓102の水道管Kに対する仮固定が解除される。固定具104による固定が解除されるが、パテ剤107によりドレン栓102が水道管Kに固定されている。
【0017】
次に、図7に示すように、補強シート106及び接着剤によりドレン栓102を水道管Kに固定する。補強シート106は、水道管Kの外周面を一周に亘って覆っていると共に、ドレン栓102も覆っている。補強シート106は、接着剤によって水道管Kの外周面とドレン栓102とに接着固定される。水道管Kの外周面とドレン栓102に接着剤を塗ってから補強シート106を重ねてもよいし、接着剤を含侵した補強シート106を水道管Kの外周面とドレン栓102に巻き付けてもよい。補強シート106によるドレン栓102の覆い方は、補強シート106にドレン栓102に対応する穴をあけておき、その穴にドレン栓102を通してから補強シートを水道管Kに巻き付けてもよいし、複数枚の補強シートの端部でドレン栓102を覆ってもよい。また、補強シート106は、ドレン栓102に対応する穴と、この穴から補強シート106の端部まで到達する切り込みとを有し、切り込みを開いてドレン栓102を覆うようにしてもよい。補強シートを水道管Kの外周面に一周に亘って覆う場合には、補強シートの端部同士をオーバーラップさせることで補強強度を高めることができる。なお、補強シートは、パテ剤も覆うことになる。
【0018】
補強シート106は、繊維シートが挙げられ、繊維シートは、炭素シート、ガラス繊維シートなどが挙げられる。本実施形態では、炭素繊維シートを用いているが、適宜変更可能である。
接着剤は、硬化により補強シートと水道管K(流体管)の界面を固定する機能を有する。接着剤は、例えば、硬化剤混合型のアクリル樹脂系やエポキシ樹脂系、シリコーンゴム系などを主剤とする接着剤が挙げられ、また、紫外線硬化型のアクリル樹脂系やエポキシ樹脂系などを主剤とする接着剤が挙げられる。
【0019】
補強シート106を固定する接着剤が硬化するまで、図7に示すように、漏出孔K1から漏出する流体(水)をドレン栓102から外部管103を介して排出する状態を継続させる。補強シート106を固定する接着剤が硬化した後に、図8及び図9に示すように、ドレン栓102を閉めてドレン栓102からの流体の排出を停止する。本実施形態では、ドレン栓102から外部管103を取り外し、ドレン栓102にプラグ105を差し込むことでドレン栓102からの流体の排出を停止する。
ドレン栓102は、漏出孔K1を含む水道管Kの外周面の一部のみを覆う状態で固定されている。これは、水道管Kの全体を密封状態で包囲する筐体装置に設けられた弁ではないことを意味する。また、ドレン栓102の内側は、水道管Kの管内に連通しているのに対して、ドレン栓102の外側には流体が満たされていない。
【0020】
<第2実施形態>
本開示の第2実施形態の流体管(水道管K)の補修方法及び補修構造について説明する。第2実施形態では、第1実施形態における固定具104の代わりに、水道管K(流体管)に巻き付け可能なバンドである固定具204を用いる。図10に示すように、固定具204(バンド)を、ドレン栓102のフランジ部122と共に水道管Kに巻き付けることで、ドレン栓102を水道管Kに固定する。第2実施形態では、第1実施形態のように固定具104によるドレン栓102の仮固定を解除せずに、補強シート106で固定具204及びドレン栓102を覆って、接着剤で固定する。補強シート106や固定具204を水道管Kの全周に巻き付けることが可能な場合に有効である。なお、パテ剤107を用いてもよいし、パテ剤107を省略することも可能である。
【0021】
<第3実施形態>
本開示の第3実施形態の流体管(水道管K)の補修方法及び補修構造について説明する。第3実施形態の補修方法及び補修構造が対象とする水道管Kは、図11に示すように、水道管Kに管軸方向ADに延びる軸リブ構造R1とが一体に形成されている場合である。第3実施形態は、第1実施形態とほぼ同じであり、異なる点は、補強シート106を水道管Kの外周面を一周に亘って覆うことができない点である。そのため、補強シート106は、水道管Kの外周面のうちの一部を覆っている。また、第2実施形態のバンド(固定具204)が利用できないが、その代わりに、マグネット部140を有する固定具104を用いる。
【0022】
<変形例>
(1)上記第1実施形態において、固定具104の押さえ具141は、水道管Kの管周方向に延びる状態で仮固定されているが、これに限定されない。例えば、押さえ具141を、水道管Kの管軸方向ADに延びる状態で仮固定されていてもよい。
【0023】
(2)上記第2実施径形態において、固定具204を用いるため、パテ剤107を用いてもよいし、パテ剤107を省略してもよい。
【0024】
(3)上記第1~3実施形態において、補強シート106及び接着剤による水道管Kへの巻き付け方法、使用する接着剤及び貼り付け方法、は、下記第4~6実施形態に記載の方法、材質が利用可能である。
【0025】
以上のように、特に限定されないが、第1~第3実施形態のように、流体管の補修方法は、水道管K(流体管)の漏出孔K1を包囲する環状のシール材101を介して、漏出孔K1を覆う状態でドレン栓102を水道管Kに押し当て、漏出孔K1から漏出する流体をドレン栓102から排出しつつ、水道管Kにドレン栓102を固定する、としてもよい。
このように、ドレン栓102を介して流体を排出しつつ、ドレン栓102を水道管Kに固定するので、漏出する流体の圧力に抗することを避けることができ、ドレン栓102を比較的容易に流体管に固定可能となる。
【0026】
特に限定されないが、第1~第3実施形態のように、水道管Kの外周面の少なくとも一部を覆う補強シート106及び接着剤によりドレン栓102を水道管Kに固定する、としてもよい。
補強シート106及び接着剤を用いてドレン栓102を水道管Kに固定する場合、漏出する流体が接着剤の硬化を阻害することや、漏出する流体の圧力で接着剤が硬化する前に剥がれてしまうおそれがある。しかし、漏出する流体をドレン栓102から排出することにより、流体の圧力が接着剤に作用しにくくし且つ流体が接着剤に触れることを避けることができるので、補強シート106及び接着剤を用いても、適切に固定可能となる。
【0027】
特に限定されないが、第1~第3実施形態のように、接着剤によるドレン栓102の固定の前に、非接着剤の固定具(104,204)でドレン栓102を水道管Kに固定又は仮固定する、としてもよい。
非接着剤の固定具(104,204)でドレン栓102を水道管Kに固定又は仮固定するので、接着剤による固定を容易にすることができる場合がある。
【0028】
特に限定されないが、第1又は第3実施形態のように、固定具104は、水道管Kに吸着するマグネット部140と、マグネット部140を足場としてドレン栓102を水道管Kに押し付け可能な押さえ具141と、を含む、としてもよい。
マグネット部140が吸着する水道管Kであれば、容易に固定具104を利用可能となり、施工性を向上可能となる。特に、水道管Kを支持するリブ(例えば軸リブ構造R1)が水道管Kの外表面に形成されている場合など、水道管Kの全周囲を利用できない制約がある場合でも固定具104を利用可能である。
【0029】
特に限定されないが、第1又は第3実施形態のように、固定具104によりドレン栓102を水道管Kに仮固定している状態で、水道管Kとドレン栓102との間にパテ剤107を塗り、パテ剤107が硬化した後に固定具104を取り外し、補強シート106及び接着剤によりドレン栓102を固定する、としてもよい。
補強シート106及び接着剤によりドレン栓102が固定されるまでの間に、硬化したパテ剤107がドレン栓102を保持するので、施工性を向上可能となる。また、パテ剤107、補強シート106及び接着剤により、ドレン栓102が水道管Kに固定されるので、補強シート106及び接着剤でドレン栓102を水道管Kに固定する場合に比べて固定強度を向上可能となる。
【0030】
特に限定されないが、第2実施形態のように、固定具204は、水道管K前記流体管に巻き付け可能なバンドである、としてもよい。
バンドによりドレン栓102の固定又は仮固定を適切に実施可能となる。特に、流体管にマグネット部140が吸着しない場合に有効である。
【0031】
特に限定されないが、第1~第3実施形態のように、接着剤が硬化した後に、ドレン栓102を閉めてドレン栓102からの流体の排出を停止する、としてもよい。
硬化する前の接着剤に対して流体の圧力が作用することを低減でき、適切な接着が可能となる。
【0032】
特に限定されないが、第1~第3実施形態のように、流体管の補修構造は、水道管Kの外周面に形成された漏出孔K1を包囲する環状のシール材101と、漏出孔K1を含む水道管Kの外周面の一部のみを覆う状態でシール材101を介在させて水道管Kに固定されるドレン栓102と、ドレン栓102を水道管Kに固定する固定部(補強シート106、パテ剤107、固定具204、又は接着剤など)と、を備え、ドレン栓102は、漏出孔K1から漏出する流体を外部に排出するための排出路120を有し、排出路120に外部管103が接続可能であり、排出路120が閉止可能に構成されている、としてもよい。
流体管の漏出孔K1を塞ぐための適切な構成である。特に、固定部でドレン栓102を適切に固定完了するまでの間、ドレン栓102の排出路120及び接続された外部管103を介して漏出孔K1から漏出する流体を抜くことができ、固定完了後に排出路120を閉止することが可能となる。
【0033】
特に限定されないが、第1~第3実施形態のように、固定部は、補強シート106及び接着剤を含み、補強シート106は、水道管Kの外周面の少なくとも一部とドレン栓102とを覆っており、接着剤によって水道管Kの外周面とドレン栓102とに接着固定されている、としてもよい。
この構成によれば、補強シート106で流体管自体を補強しつつ、且つドレン栓102を適切に固定可能となる。
【0034】
特に限定されないが、第1~第3実施形態のように、水道管Kの外周面とドレン栓102との間にパテ剤107が配置されている、としてもよい。
パテ剤107により、ドレン栓102の固定強度を高めることが可能となる。
【0035】
特に限定されないが、第1~第3実施形態のように、パテ剤107は、水道管Kの外周面に対面するドレン栓102の内面S1を覆う位置から、ドレン栓102の側面S2を覆う位置を経由してドレン栓102の外面S3を覆う位置まで配置され、ドレン栓102を包み込んで硬化している、としてもよい。
ドレン栓102の固定強度を高めることが可能となる。
【0036】
[漏出前の流体管の補強構造及び補強方法]
ところで、上記開示とは別の課題として、水管橋などの屋外に設置される流体管(水道管など)は、管の腐食によって強度が低下し、漏水する場合がある。管の腐食箇所が水圧に負けて漏水に至る前に、管の腐食箇所を補修すると同時に補強することが求められる。
【0037】
例えば、管の補修方法として特開2006-116734号公報には、管に装着される前に、強化材とガラス繊維層とを管の形状に一致するように一体化して成形し、その後、管に装着することが記載されている。
【0038】
軽量であり且つ管を補強するための強化材として、カーボン繊維およびアラミド繊維が考えられる。
【0039】
一方、アラミド繊維を強化材として管に巻き付け、防水性を有する接着剤で接着する場合、アラミド繊維は、接着剤の含侵性が弱い。そのため、接着剤が乾燥して固化する前に、接着剤が重力で垂れてしまうか、アラミド繊維から接着剤が逃げてしまい、アラミド繊維に対して接着剤が不均一になり、接着剤による止水性が低下してしまう。
【0040】
アラミド繊維を用いた補強構造において、止水性を確保可能な流体管の補強構造および補強方法を提供する。
【0041】
<第4実施形態>
本開示の第4実施形態の流体管の補強構造及び補強方法について、図面を参照しながら説明する。図12は、流体管Kの管軸方向ADに平行な断面図である。図13Aは、流体管Kの管軸方向ADに直交する断面図である。図13Bは、流体管Kの管軸方向ADに平行な断面図である。なお、図面においてシート間及び流体管とシートの間には接着剤4が存在するが、接着剤4の図示が省略されている場合がある。
【0042】
図12図13A及び図13Bに示すように、流体管Kの補強構造は、流体管Kの管外周側RD1に、接着剤を介して貼り付けられるアラミド繊維の第1繊維シート1と、第1繊維シート1の管外周側RD1に配置され且つ接着剤を保持する第2繊維シート2と、を有する。第1繊維シート1の管内周側RD2には、他の繊維シートが配置されていない。第2繊維シート2の管外周側RD1には他の繊維シートが配置されない。
【0043】
接着剤4は、アラミド繊維用接着剤であり、且つ止水性を有する。本実施形態では、エポキシ樹脂を用いているが、これに限定されない。エポキシ系樹脂のアラミド繊維用接着剤は、JIS K7208に準拠した試験法における引張強さが39.2N/mmであるが、これに限定されない。硬化に必要な時間は、12時間である。JIS A6909準拠のJHS492試験法における付着強さは、2.0N/mmであるが、これに限定されない。
【0044】
第1繊維シート1は、アラミド繊維で織られた織物である。本実施形態において、模紗織または平織物を利用しているが、これに限定されない。アラミド繊維は接着剤の含侵性が弱い。模紗織は、紗及び絽と類似の外観となるように、経糸は経糸同士、緯糸は緯糸同士で、それぞれ寄り合って束になるように織った織物である。そのため、各々の束間に空隙があり、全体として空隙が多い織り組織である。アラミド繊維自体の接着剤の含侵性の弱さと、空隙から接着剤が抜けやすいことから、第1繊維シート1を接着剤だけで流体管Kに貼り付けようとしても、接着剤が固化するまでの間に、接着剤が逃げるため、アラミド繊維に対して接着剤が不均一になりやすい。平織は、経糸と緯糸を交互に織った織物である。平織は、模紗織に比べて空隙が少ないが、アラミド繊維の接着剤の含侵性の弱さにより、第1繊維シート1にテンションをかけると接着剤が逃げてしまう。
【0045】
第4実施形態で用いるアラミド繊維の強度は2060N/mmであるが、これに限定されない。第4実施形態で用いるアラミド繊維の目付は、180g/mまたは650g/mであるが、これに限定されない。
【0046】
第2繊維シート2は、アラミド繊維以外の繊維の平織物又は不織布である。第2繊維シート2は、アラミド繊維ではないため、接着剤の含侵性を有し、アラミド繊維に比べて接着剤を保持可能である。材質と織り方の組み合わせとしては、ポリエステル繊維の平織物、ポリエステル繊維の不織布、ガラス繊維の平織、ガラス繊維の不織布、又は、フェルト繊維の不織布などが挙げられる。これらであれば、接着剤の保持能力を適切に発揮可能である。
【0047】
耐候性を確保するためには、第1繊維シート1の管外周側RD1に配置される第2繊維シート2が、紫外線吸収剤が練り込まれた、ポリエステル繊維の平織物であることが好ましい。ポリエステル繊維の平織物は耐候性が高く、更に、紫外線吸収剤によって硬化する前の接着剤に紫外線が触れることを回避可能となる。
【0048】
第1繊維シート1及び第2繊維シート2の管周方向CDの巻き付け長さは、流体管の管周方向一周未満でもよいし、流体管の管周方向一周分でもよい。図2に示すように、第1繊維シート1及び第2繊維シート2の管周方向CDの巻き付け長さは、流体管の管周方向一周以上であるとしてもよい。強度を確保するためには、アラミド繊維の第1繊維シート1は、管周方向CDの第1端部1a及び第2端部1bをオーバーラップさせて貼り付けられることが好ましい。第2端部1bは、管周方向CDにおいて第1端部1aの反対側にある。管周方向CDに沿ったオーバーラップ量L1は、少なくとも100mm以上であることが好ましい。更に、200mm以上あるとしてもよい。
【0049】
管軸方向ADに沿って複数の第1繊維シート1を配置する場合は、第1繊維シートそれぞれの端部同士をオーバーラップさせてもよいし、オーバーラップさせなくてもよい。強度を確保するためには、図14に示すように、管軸方向ADに隣接する2つの第1繊維シート1のうちの一方の第1繊維シート1の管軸方向ADの第3端部1cと、他方の第1繊維シート1の管軸方向ADの第4端部1dとをオーバーラップさせて貼り付けられることが好ましい。第4端部1dは、管軸方向ADにおいて第3端部1cの反対側にある。管軸方向ADに沿ったオーバーラップ量L2は、少なくとも100mm以上であることが好ましい。更に、200mm以上あるとしてもよい。
【0050】
<流体管Kの補強方法>
図14は、第4実施形態の流体管Kの補強方法のフローを示す。図14に示すように、補強方法は、まず、ケレン工程ST1を行う。ケレン工程ST1としては、例えば、2種ケレン、3種ケレン、又は、塗布形素地調整軽減剤の塗布と4種ケレン、が挙げられる。2種ケレンは、ディスクサンダーなどの動力工具を使用して旧塗膜及び錆を除去し、流体管の金属面(鋼材面等)を露出させる処理である。3種ケレンは、活膜を残し、それ以外の錆、割れ、膨れを除去する処理である。4種ケレンは、粉化物、汚れを除去する処理である。
【0051】
次に、脱脂工程ST2を行う。脱脂工程ST2は、油分を除去する処理であり、例えば、アセトンが用いられる。
【0052】
次に、プライマー塗布工程ST3を行う。プライマー塗布工程ST3としては、接着材で接着する面全体に対して行う。例えば、エポキシ樹脂プライマーをローラにて管に塗布する。2液性の主剤(エポキシ樹脂)と硬化剤(変性ポリアミドアミン)を2:1割合で混合して用いる。混合物の20度における粘度は60mPa・sとし、20度における指触硬化まで1時間以内とすることが挙げられる。
【0053】
次に、不陸調整工程ST4を必要に応じて行う。この工程は省略可能である。不陸調整工程ST4は、流体管Kの凹み部又は段差部にパテ剤を塗布する処理である。塗布するパテ剤として、例えば、水中防水塗料剤、急速硬化ペースト剤、金属補修材などが挙げられる。
【0054】
次に、シート貼付工程ST5を行う。シート貼付工程ST5は、少なくとも第1繊維シート1及び第2繊維シート2を流体管Kに接着剤4を用いて貼り付ける工程である。図12図13A及び図13Bに示す実施形態では、まず、流体管Kに第1繊維シート1を接着剤で貼り付け、その次に、第1繊維シート1の管外周側RD1に接着剤を用いて第2繊維シート2を貼り付ける。第1繊維シート1及び第2繊維シート2は、一枚ずつ別個に流体管Kに貼り付ける。
【0055】
次に、仕上げ塗装工程ST6を行う。仕上げ塗装工程ST6は、流体管Kに貼り付けた第1繊維シート1及び第2繊維シート2の管外周側RD1に、ウレタン系またはフッ素系塗料を塗布する処理である。
【0056】
<第4実施形態の変形例>
(2-1)図12図13A及び図13Bに示す実施形態では、第1繊維シート1及び第2繊維シート2を1枚ずつ別個に貼り付けているが、シートの貼り付け方法はこれに限定されない。例えば、図15A及び図15Bに示すように、第1繊維シート1及び第2繊維シート2の全体を接着剤4で予め接着して一体化したシートユニット5を用意し、シートユニット5を接着剤4を介して流体管Kに巻き付ける。これにより、施工作業を容易にすることが可能となる。シートユニット5は、管周方向CDの第1端部51及び第2端部52を有し、第2端部52は管周方向CDにおいて第1端部51の反対側である。シートユニット5の管周方向CDの端部同士をオーバーラップさせてもよいし、オーバーラップさせなくてもよい。強度を確保するためには、シートユニット5の管周方向CDの端部同士をオーバーラップさせることが好ましい。その場合、シートユニット5を流体管Kに巻き付けた状態において、第1端部51に第2端部52が重なり、その結果、管内周側RD2から管外周側RD1に向かって、第1繊維シート1の第1端部51、第2繊維シート2の第1端部51、第1繊維シート1の第2端部52、第2繊維シート2の第2端部52の順で積層される。
【0057】
管軸方向ADに沿って複数のシートユニット5を配置する場合は、シートユニット5それぞれの端部同士をオーバーラップさせてもよいし、オーバーラップさせなくてもよい。強度を確保するためには、図15Bに示すように、管軸方向ADに隣接する2つのシートユニット5のうちの一方のシートユニット5の管軸方向ADの第3端部53と、他方のシートユニット5の管軸方向ADの第4端部54とをオーバーラップさせて貼り付けられることが好ましい。第4端部54は、管軸方向ADにおいて第3端部53の反対側にある。その場合、シートユニット5を流体管Kに巻き付けた状態において、第3端部53に第4端部54が重なる。その結果、管内周側RD2から管外周側RD1に向かって、第1繊維シート1の第3端部53、第2繊維シート2の第3端部53、第1繊維シート1の第4端部54、第2繊維シート2の第4端部54の順で積層される。
【0058】
(2-2)図12図13A図13B図15A、及び図15Bに示す方法以外の貼り付け方法として、図16A及び図16Bに示す方法が挙げられる。図16A及び図16Bに示すように、第1繊維シート1及び第2繊維シート2の一部を接着剤4で予め接着して一体化したシートユニット5を用意し、シートユニット5を接着剤4を介して流体管Kに巻き付ける。シートユニット5の管周方向CDの第1端部51は、第1繊維シート1及び第2繊維シート2が接着剤4で接着されておらず、分離可能である。シートユニット5の管周方向CDの第2端部52は、第1繊維シート1及び第2繊維シート2が接着剤4で接着されて固定されている。シートユニット5を流体管Kに巻き付けるときに、第1端部51における第1繊維シート1と第2繊維シート2を離間させ、離間させた第1繊維シート1と第2繊維シート2とで第2端部52を挟み込んでいる。これにより、接着を強めることが可能となる。
【0059】
図16Bに示すように、管軸方向ADに沿って複数のシートユニット5を配置する場合は、シートユニット5それぞれの端部同士をオーバーラップさせることが好ましい。この場合、管軸方向ADに隣接する2つのシートユニット5のうち、一方のシートユニット5の管軸方向ADの第3端部53の第1繊維シート1と第2繊維シート2を離間させ、離間させた第1繊維シート1と第2繊維シート2で、他方のシートユニット5の管軸方向ADの第4端部54を挟み込んでいる。これにより、接着を強めることが可能となる。
【0060】
<第5実施形態>
本開示の第5実施形態の流体管の補強構造及び補強方法について、図17を参照しながら説明する。図17は、流体管Kの管軸方向ADに平行な断面図である。図17に示すように、第5実施形態の流体管の補強構造は、流体管Kの管外周側RD1に、接着剤を介して貼り付けられるアラミド繊維の第1繊維シート1と、第1繊維シート1の管外周側RD1に配置され且つ接着剤を保持する第2繊維シート2と、第2繊維シート2の管外周側RD1に配置される第3繊維シート3と、を有する。第1繊維シート1の管内周側RD2には、他の繊維シートが配置されていない。第3繊維シート3の管外周側RD1には他の繊維シートが配置されない。
【0061】
第5実施形態の第1繊維シート1は、第4実施形態と同じく、アラミド繊維で織られた繊維シートである。模紗織または平織物を利用しているが、これに限定されない。
【0062】
第2繊維シート2は、ガラス繊維の平織物、ガラス繊維の不織布、又は、ポリエステル繊維の不織布である。第2繊維シート2には、紫外線吸収剤が練り込まれていない。
【0063】
第3繊維シート3は耐候性を確保するために設けられる。第3繊維シート3は、ポリエステル繊維の平織物であり、紫外線吸収剤が練り込まれている。ポリエステル繊維の平織物は耐候性が高く、更に、紫外線吸収剤によって硬化する前の接着剤に紫外線が触れることを回避可能となる。第3繊維シート3により、紫外線による劣化を抑制可能となる。
【0064】
第1繊維シート1、第2繊維シート2および第3繊維シート3の貼り付け方法は、第4実施形態に記載の通り、それぞれのシートを1枚ずつ個別に貼り付けてもよいし、第4実施形態の変形例(2-1)又は(2-2)に示すように、2枚以上のシートを接着剤で一体化してシートユニットとしてから、流体管Kに貼り付けてもよい。
【0065】
<第6実施形態>
本開示の第6実施形態の流体管の補強構造及び補強方法について、図18を参照しながら説明する。図18は、流体管Kの管軸方向ADに平行な断面図である。図18に示すように、第6実施形態の流体管Kの補強構造は、流体管Kの管外周側RD1に、接着剤を介して貼り付けられるアラミド繊維の第1繊維シート1と、第1繊維シート1の管内周側RD2に配置される第2繊維シート2と、を有する。第1繊維シート1の管外周側RD1には他の繊維シートが配置されない。
【0066】
第6実施形態の第1繊維シート1は、第4実施形態と同じく、アラミド繊維で織られた繊維シートである。模紗織または平織物を利用しているが、これに限定されない。
【0067】
第2繊維シート2は、ガラス繊維の平織物、ガラス繊維の不織布、又は、ポリエステル繊維の不織布である。接着剤の第2繊維シート2には、紫外線吸収剤が練り込まれていない。
【0068】
第6実施形態によれば、非アラミド繊維の第2繊維シート2が流体管Kに近いので、流体管Kに対する接着力を高めることが可能となる。特に、第2繊維シート2が不織布であれば、流体管の表面になじみやすく接着しやすい。
【0069】
第1繊維シート1および第2繊維シート2の貼り付け方法は、第4実施形態に記載の通り、それぞれのシートを1枚ずつ個別に貼り付けてもよいし、第4実施形態の変形例(2-1)又は(2-2)に示すように、2枚のシートを接着剤で一体化してシートユニットとしてから、流体管Kに貼り付けてもよい。
【0070】
<第4~第6実施形態の変形例>
(2-3)図19に示すように、流体管Kと、管軸方向ADに延びる軸リブ構造R1とが一体に形成されている場合がある。この場合、第1繊維シート1及び第2繊維シート2を少なくとも含むシートユニット5が、接着剤を介して軸リブ構造R1及び流体管Kに双方に貼り付けられているとしてもよい。図19では、シートユニット5を斜線で示している。具体的には、シートユニット5は、軸リブ構造R1から流体管Kの外周面に至り、流体管Kの外周面を一周して軸リブ構造R1に至るまで配置されている。
【0071】
(2-4)図20に示すように、流体管Kと、管軸方向ADに延びる軸リブ構造R1と、管周方向CDに延びる周リブ構造R2とが一体に形成されている場合がある。この場合、軸リブ構造R1から流体管Kの外表面に接着される第1シートユニット5’と、周リブ構造R2から流体管Kの外表面に接着される第2シートユニット5’’と、を設けてもよい。図20では、第1シートユニット5’及び第2シートユニット5’’を斜線で示している。
【0072】
(2-5)図20では、軸リブ構造R1と周リブ構造R2の双方が流体管Kに一体に形成されているが、周リブ構造R2のみが流体管Kに一体に形成されている場合には、第2シートユニット5’’のみを設けてもよい。
【0073】
以上のように、特に限定されないが、第4~6実施形態のように、流体管Kの補強構造は、流体管Kの管外周側RD1に、接着剤4を介して貼り付けられるアラミド繊維で織られた第1繊維シート1と、第1繊維シート1の管外周側RD1又は管内周側RD2に配置され、アラミド繊維以外の繊維の平織物又は不織布であり、接着剤4を保持する第2繊維シート2と、を備える、としてもよい。
【0074】
アラミド繊維は、接着剤の含侵性が弱く、重力で接着剤が垂れるか、アラミド繊維から接着剤が逃げて、アラミド繊維に対して接着剤が不均一になり、接着剤による止水性が低下してしまう。これに対して、上記構成によれば、アラミド繊維の第1繊維シート1だけでなく、アラミド繊維以外の繊維の平織物又は不織布の第2繊維シート2を巻き付けて接着剤4を保持させるので、接着剤4の不均一による止水性の低下を避けることが可能となる。
【0075】
特に限定されないが、第4又は第5実施形態に示すように、第2繊維シート2は、第1繊維シート1の管外周側RD1に配置されている、としてもよい。これにより、強度のあるアラミド繊維を流体管Kに近づけることができ、補強効果を高めることが可能となる。
【0076】
特に限定されないが、第4又は第5実施形態に示すように、第2繊維シート2は、ポリエステル繊維の平織物、ポリエステル繊維の不織布、ガラス繊維の平織物、又は、ガラス繊維の不織布である、としてもよい。これによれば、接着剤4の保持能力を適切に発揮可能となる。
【0077】
特に限定されないが、第4実施形態に示すように、第2繊維シート2は、紫外線吸収剤が練りこまれた、ポリエステル繊維の平織物である、としてもよい。これによれば、紫外線による劣化を抑制可能となると共に、ポリエステル繊維の平織物により耐候性を向上させることが可能となる。
【0078】
特に限定されないが、第5実施形態に示すように、第2繊維シート2は、ポリエステル繊維の不織布、ガラス繊維の平織物、又は、ガラス繊維の不織布であり、第2繊維シート2の管外周側RD1に第3繊維シート3が配置され、第3繊維シート3は、紫外線吸収剤が練りこまれた、ポリエステル繊維の平織物である、としてもよい。これによれば、紫外線による劣化を抑制可能となると共に、ポリエステル繊維の平織物により耐候性を向上させることが可能となる。
【0079】
特に限定されないが、第6実施形態に示すように、第2繊維シート2は、第1繊維シート1の管内周側RD2に配置されており、第2繊維シート2は、ガラス繊維の平織物、ガラス繊維の不織布、又は、ポリエステル繊維の不織布である、としてもよい。これにより、非アラミド繊維の第2繊維シート2が流体管Kに近いので、流体管Kに対する接着力が高まる。特に、第2繊維シート2が不織布であれば、流体管Kの表面の凹凸形状になじみやすく密着しやすくなる。
【0080】
特に限定されないが、第4~6実施形態に示すように、第1繊維シート1は、管周方向CDの端部同士をオーバーラップさせて貼り付けられる、としてもよい。これにより、アラミド繊維がオーバーラップするので、流体管Kの補強効果を向上させることが可能となる。
【0081】
特に限定されないが、第4~6実施形態のように、流体管Kの補強方法は、流体管Kの管外周側RD1に接着剤4を介して第1繊維シート1を配置する工程と、第1繊維シート1の管外周側RD1又は管内周側RD2に接着剤4を介して第2繊維シート2を配置する工程と、を含み、第1繊維シート1は、アラミド繊維で織られており、第2繊維シート2は、アラミド繊維以外の繊維の平織物又は不織布であり、接着剤を保持する、としてもよい。これにより、アラミド繊維の第1繊維シート1だけでなく、アラミド繊維以外の繊維の平織物又は不織布の第2繊維シート2を巻き付けて接着剤4を保持させるので、接着剤4の不均一による止水性の低下を避けることが可能となる。
【0082】
特に限定されないが、第4~6実施形態のように、流体管Kの補強方法は、第1繊維シート1及び第2繊維シート2の少なくとも一部が予め接着されて一体化したシートユニット5を、接着剤4を介して流体管Kに巻き付ける工程を含む、としてもよい。これにより、施工作業を容易にすることが可能となる。
【0083】
特に限定されないが、第4~6実施形態のように、シートユニット5は、管周方向CDの第1端部51及び第2端部52を有し、第1端部51は、第1繊維シート1及び第2繊維シート2が接着されておらず、分離可能であり、第2端部52は、第1繊維シート1及び第2繊維シート2が接着されて固定されており、第1端部51における第1繊維シート1と第2繊維シート2を離間させて、離間させた第1繊維シート1と第2繊維シート2とで第2端部52を挟む工程を含む、としてもよい。これにより、接着を強めることが可能となる。
【0084】
以上、本開示の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0085】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0086】
101…シール材
102…ドレン栓
103…外部管
104,204…固定具
106…補強シート
107…パテ剤
120…排出路
140…マグネット部
141…押さえ具
K…水道管(流体管)
K1…漏出孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20