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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133886
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】間仕切及び間仕切用連結具
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
E04B2/74 501U
E04B2/74 561G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039128
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 安能
(57)【要約】
【課題】複数の間仕切を容易に連結させること。
【解決手段】間仕切は、少なくとも一つ以上のパネルで構成される間仕切であって、第1連結具と第2連結具を有する。上記第1連結具は、上記パネル上端の一方側端部に回動可能に取り付けられ、他の間仕切の第2連結具と連結可能である。上記第2連結具は、上記パネル上端の他方側端部に取り付けられ、上記他の間仕切の第1連結具と連結可能である。また上記第1連結具は、上記他の間仕切の第2連結具と連結された状態で当該第2連結具を当該第1連結具側に締め付ける締付機構を有する。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つ以上のパネルで構成される間仕切であって、
前記パネル上端の一方側端部に回動可能に取り付けられ、他の間仕切の第2連結具と連結可能な第1連結具と、
前記パネル上端の他方側端部に取り付けられ、前記他の間仕切の第1連結具と連結可能な第2連結具と、
を備え、
前記第1連結具は、前記他の間仕切の第2連結具と連結された状態で当該第2連結具を当該第1連結具側に締め付ける締付機構を有する
間仕切。
【請求項2】
請求項1に記載の間仕切であって、
前記第1連結具は、前記他の間仕切の第2連結具と連結された状態で前記パネル上端を他方側に所定距離摺動可能な連結部材を有し、当該連結部材が摺動された位置で前記第2連結具を締め付け可能である
間仕切。
【請求項3】
請求項2に記載の間仕切であって、
前記締付機構は、前記第1連結具が回動可能、かつ摺動可能な第1状態と、前記第1連結具が回動不能、かつ摺動不能に締め付けられた第2状態とを切替操作可能な操作部を有する
間仕切。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の間仕切であって、
前記第1連結具は、一端が回動可能に軸支され、他端に鉤部を有し、
前記鉤部は、前記第2連結具に連結可能であるとともに、前記第2連結具との非連結時に少なくとも一部が前記パネル上端に収納可能である
間仕切。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の間仕切であって、
前記パネル下端の一方側端部に取り付けられた第3連結具と、
前記パネル下端の他方側端部に取り付けられた前記第3連結具と連結可能な第4連結具と、
を更に備え、
前記第1連結具及び前記他の間仕切の第2連結具は、前記第3連結具及び前記他の間仕切の第4連結具が連結された状態において連結可能となる
間仕切。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の間仕切であって、
前記間仕切は、複数のパネルが可動連結具により展開可能に連結されることで構成され、
前記第1連結具は、前記複数のパネルの一方側端部に取り付けられ、
前記第2連結具は、前記複数のパネルの他方側端部に取り付けられる
間仕切。
【請求項7】
少なくとも一つ以上のパネルで構成される間仕切を相互に連結する間仕切用連結具であって、
前記パネル上端の一方側端部に回動可能に取り付けられ、他の間仕切の第2連結具と連結可能な第1連結具と、
前記パネル上端の他方側端部に取り付けられ、前記他の間仕切の第1連結具と連結可能な第2連結具と、
を備え、
前記第1連結具は、前記他の間仕切の第2連結具と連結された状態で当該第2連結具を当該第1連結具側に締め付ける締付機構を有する
間仕切用連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空間や屋外空間を間仕切る間仕切及び間仕切用連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、隣接する一対のパネルを所定の角度で連結させて空間を間仕切る間仕切パネルの連結装置が知られている。
【0003】
例えば下記特許文献1には、左右のパネル縦縁部の夫々に連結縦側部を有しており、一方の連結縦側部には、第1係合部を有する係合部材が突設するように設けられており、他方の連結縦側部には、第1係合部と係合可能な第2係合部と、第1係合部と係合不能な係合解除部とが設けられた間仕切用パネルが開示されている。
【0004】
当該間仕切用パネルにおいては、該間仕切用パネルの第1係合部を他の間仕切用パネルの第2係合部に向けて前進させると、第1係合部と第2係合部が弾性変形によって分離不能に係合して両間仕切用パネルは連結される。また、両間仕用パネルの何れかを持ち上げて、該間仕切用パネルの第1係合部を他の間仕切用パネルの係合解除部に位置させると、係合が解除されて両間仕切用パネルは分離される。
【0005】
これにより、立設状態にある複数の間仕切用パネルを相互に連結させたり、分離させたりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-065544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、複数の間仕切用パネルを連結させるには、一方の間仕切用パネルの第1係合部を他方の間仕切用パネルの第2係合部に向けて押し込むように前進させなければならないため、間仕切用パネルのサイズによっては一人での作業が困難になるという問題があった。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明は、複数の間仕切を容易に連結させることが可能な間仕切および間仕切用連結具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る間仕切は、少なくとも一つ以上のパネルで構成される間仕切であって、第1連結具と第2連結具を有する。上記第1連結具は、上記パネル上端の一方側端部に回動可能に取り付けられ、他の間仕切の第2連結具と連結可能である。上記第2連結具は、上記パネル上端の他方側端部に取り付けられ、上記他の間仕切の第1連結具と連結可能である。また上記第1連結具は、上記他の間仕切の第2連結具と連結された状態で当該第2連結具を当該第1連結具側に締め付ける締付機構を有する。
【0010】
この構成により、第1連結具を他の間仕切の第2連結具に連結させて締め付けるだけで間仕切を相互に連結させることができるため、複数の間仕切を連結する際の作業が容易になる。また、連結具が間仕切に装着されているため、作業時に連結具を都度用意する手間を省くことができるとともに、連結具の紛失を防止することができる。
【0011】
上記第1連結具は、上記他の間仕切の第2連結具と連結された状態で上記パネル上端を他方側に所定距離摺動可能な連結部材を有し、当該連結部材が摺動された位置で上記第2連結具を締め付け可能であってもよい。
【0012】
上記締付機構は、上記第1連結具が回動可能、かつ摺動可能な第1状態と、上記第1連結具が回動不能、かつ摺動不能に締め付けられた第2状態とを切替操作可能な操作部を有してもよい。
【0013】
これにより、第1連結具を回動可能、かつ摺動可能な状態にしたり、回動不能、かつ摺動不能な状態に固定したりする操作を容易に行うことができる。
【0014】
上記第1連結具は、一端が回動可能に軸支され、他端に鉤部を有してもよい。当該鉤部は、上記第2連結具に連結可能であるとともに、上記第2連結具との非連結時に少なくとも一部が上記パネル上端に収納可能であってもよい。
【0015】
これにより、第1連結部に形成された鉤部によって、パネル同士がずれて外れないように強固に連結させることができる。また、第1連結具を使用しない場合は、回動させて鉤部をパネル上端に収納できるため安全である。
【0016】
上記間仕切は、上記パネル下端の一方側端部に取り付けられた第3連結具と、上記パネル下端の他方側端部に取り付けられた上記第3連結具と連結可能な第4連結具とを更に有してもよい。この場合、上記第1連結具及び上記他の間仕切の第2連結具は、上記第3連結具及び上記他の間仕切の第4連結具が連結された状態において連結可能となってもよい。
【0017】
これにより、間仕切を相互に連結させる際に、パネル下端を連結させてからパネル上端を連結させることができる。そのため、パネル下端とパネル上端を同時に位置合わせして連結させる作業が必要なくなり、容易に連結作業を行うことができる。
【0018】
上記間仕切は、複数のパネルが可動連結具により展開可能に連結されることで構成されてもよい。この場合、上記第1連結具は、上記複数のパネルの一方側端部に取り付けられ、上記第2連結具は、上記複数のパネルの他方側端部に取り付けられてもよい。
【0019】
複数のパネルで構成される間仕切を展開させて自立させた状態で連結作業を行うことができるため、大型の間仕切であっても一人で連結作業を行うことができる。
【0020】
本発明の他の形態に係る間仕切用連結具は、少なくとも一つ以上のパネルで構成される間仕切を相互に連結する間仕切用連結具であって、第1連結具と、第2連結具とを有する。上記パネル上端の一方側端部に回動可能に取り付けられ、他の間仕切の第2連結具と連結可能である。上記第2連結具は、上記パネル上端の他方側端部に取り付けられ、上記他の間仕切の第1連結具と連結可能である。上記第1連結具は、上記他の間仕切の第2連結具と連結された状態で当該第2連結具を当該第1連結具側に締め付ける締付機構を有する。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、複数の間仕切を容易に連結させることができる。しかし、当該効果は本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係る間仕切の正面図である。
図2図1の間仕切の第1連結具周辺の拡大図である。
図3】上記第1連結具の固定部材と連結部材の分解平面図である。
図4】上記第1連結具の連結部材の回動動作の可動域を示した図である。
図5】上記第1連結具の連結部材の摺動動作の可動域を示した図である。
図6】上記第1連結具の連結部材が回動可能かつ摺動可能な状態と回動不能かつ摺動不能な状態を示した図である。
図7図1の間仕切の第2連結具の詳細を示した図である。
図8図1の間仕切の第3連結具の詳細を示した図である。
図9図1の間仕切の第4連結具の詳細を示した図である。
図10図1の間仕切の上部可動連結具周辺の拡大図である。
図11図1の間仕切の上部可動連結具周辺の平面図である。
図12図1の間仕切の下部可動連結具周辺の拡大図である。
図13図1の間仕切同士の連結手順について説明した図である。
図14図1の間仕切同士の連結手順について説明した図である。
図15図1の間仕切同士の連結手順について説明した図である。
図16図1の間仕切同士の連結手順について説明した図である。
図17図1の間仕切同士の連結手順について説明した図である。
図18図1の間仕切同士の連結手順について説明した図である。
図19図1の間仕切同士の連結手順について説明した図である。
図20】本発明の第1変形例に係る間仕切の第1連結具周辺の拡大図である。
図21図20の間仕切同士の連結手順について説明した図である。
図22図20の間仕切同士の連結手順について説明した図である。
図23】本発明の第2変形例に係る間仕切の第1連結具及び第2連結具周辺の拡大図である。
図24図23のA-A断面図及びB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0024】
[間仕切の概要]
図1は、本実施形態における間仕切の正面図である。
【0025】
同図に示すように、本実施形態に係る間仕切100は、1つの空間(部屋等)を複数の空間(部屋等)に仕切るものであり、例えば災害時に住民が避難する避難所等において用いられるが、他の場所で用いられても構わない。
【0026】
これらの図に示すように、本実施形態に係る間仕切100は、隣接する一対のパネル1(パネル1a及びパネル1b)と、パネル1の上端において当該一対のパネル1を回動(展開)可能に連結する上部可動連結具2と、パネル1の下端において当該一対のパネル1を回動(展開)可能に連結する下部可動連結具3を有する。
【0027】
さらに間仕切100は、他の間仕切100との連結用に、第1連結具6、第2連結具7、第3連結具8及び第4連結具9を有する。
【0028】
第1連結具6は、一方のパネル1a上端の一方側端部に回動可能に取り付けられ、他の間仕切100の第2連結具7と連結可能である。第2連結具7は、他方のパネル1b上端の他方側端部に取り付けられ、他の間仕切100の第1連結具6と連結可能である。
【0029】
第3連結具8は、パネル1aの下端の一方側端部に取り付けられ、他の間仕切100の第4連結具9と連結可能である。第4連結具9は、パネル1bの下端の他方側端部に取り付けられ、他の間仕切100の第3連結具と連結可能である。
【0030】
各パネル1は、矩形板状のパネル材11と、当該パネル材11の左右端に設けられた縦フレーム12と、当該パネル材11の上下端に設けられた横フレーム13とから構成されている。パネル材11の厚みは約10mmであるが、これに限られない。パネル材11は例えば合成樹脂や木材、縦フレーム12及び横フレーム13はアルミニウム等の金属等で形成されるが、材質はこれらに限られない。横フレーム13の上端には凹状のレール14(図2図6参照)が形成されている。また、縦フレームの側端には凹溝(図示せず)が形成されている。
【0031】
両パネル1の隣接する縦フレーム12間には、当該パネル1間の隙間を覆う目隠しとして機能する弾性部材5が設けられている。弾性部材5は例えば合成ゴム等の樹脂等で形成される。また弾性部材5は、両パネル1の隣接端とは反対側の2つの縦フレーム12のうち一方の縦フレーム12(例えば同図左側のパネル1aの縦フレーム12)の凹溝に嵌め合わされた状態で外側にも設けられており、間仕切100が他の間仕切100と連結される場合に、間仕切100間の目隠しとして機能するとともに、連結作業時のガイドとしても機能する。
【0032】
各パネル1の底面の例えば両端部には、間仕切100全体を支持する脚部4が設けられている。脚部4の高さは下部可動連結具3の厚みよりも大きく形成されている。
【0033】
上部可動連結具2のみでもパネル1の回動は可能であるが、下部可動連結具3によりパネル1の下端を連結支持することで、間仕切100のがたつきが防止される。
【0034】
[第1連結具の詳細]
次に、上記第1連結具6について詳細に説明する。図2は、図1の第1連結具6周辺の拡大図であり、図3は、第1連結具6の固定部材と連結部材の分解平面図である。図2においてネジは図示していない。
【0035】
また図4は、上記連結部材65の回動動作の可動域を示した図である。また図5は、上記連結部材65の摺動動作の可動域を示した図である。また図6は、連結部材65が回動可能かつ摺動可能な状態と回動不能かつ摺動不能な状態を示した図である。
【0036】
これらの図に示すように、第1連結具6は、固定部材61(図3(a))と連結部材65(図3(b))とが操作部68によって連結されて構成されている。
【0037】
固定部材61は、長尺板状の部材であり、矩形状の開口部62、2つのネジ孔63aと、それぞれ1つずつのネジ孔63b、63c、及び挿通孔64を有する。固定部材61は例えば金属製であるが、樹脂製であっても構わない。
【0038】
固定部材61は、2つのネジ孔63aを介して一方のパネル1aの縦フレーム12にネジ止めされ、ネジ孔63bを介して一方のパネル1aの横フレーム13にネジ止めされる。開口部62は、図2に示すように、連結部材65に接続された状態の操作部68を挿入可能であり、また当該操作部68をレール14上で同図X方向へ所定距離だけ摺動可能とするための幅を有する。
【0039】
なお固定部材61は、第2連結具7及び第3連結具8と同一の部材とされる。ネジ孔63cは、固定部材61が第3連結具8として使用された場合に脚部4をパネル1aの底面に取り付けるための取付孔として用いられる(図8参照)。挿通孔64は、固定部材61が第3連結具8として使用され、第4連結具9と連結される場合に、第4連結具の凸部(後述)を挿通させるための挿通孔として用いられる(図8図14参照)。
【0040】
連結部材65は、長尺板状の部材であり、一端に、固定部材61及び操作部68に回動可能に軸支されるための挿通孔67を有し、他端に鉤部(フック)66を有する。当該鉤部66は、他の間仕切100の第2連結具7に連結可能であるとともに、当該第2連結具7との非連結時には、図2に示すように、その少なくとも一部がパネル1a上端のレール14に収納可能である。連結部材65は例えば金属製であるが、樹脂製であっても構わない。
【0041】
図4に示すように、連結部材65は、操作部68を回動軸として、同図矢印方向に、360度回動可能である。連結部材65は、他の間仕切100との非連結時には、固定部材61と平行かつその先端(鉤部66)が同図右端にある状態であり、このとき鉤部66はパネル1a上端のレール14に収納され、安全性が確保される。一方、連結部材65が他の間仕切100の固定部材61と連結される際には、連結部材65は、その先端(鉤部66)が、非連結時から180度(同図左端となる位置まで)回動される。
【0042】
図5に示すように、連結部材65と接続された操作部68は、固定部材61の開口部62の同図左端に係止された状態(同図(a))と開口部62の同図右端に係止された状態(同図(b))との間でパネル1aのレール14上を摺動可能である。これにより鉤部66は、間仕切100が他の間仕切100の第2連結具と連結された状態で、他の間仕切100のパネル1の上端のレール14上をX方向に所定距離(上記開口部62の幅に対応)摺動可能とされている。
【0043】
図2図4乃至図6に示すように、操作部68は、例えば蝶ネジボルト状のつまみとして形成されている。操作部68は、横フレーム13のレール14に挿通されたボルト68aと、当該レール14内で当該ボルト68aに螺合したナット68bと、固定部材61と連結部材65との間に介挿されたワッシャー68cとを有する。
【0044】
操作部68は、図6(a)に示すように、連結部材65が回動可能(図4)かつ摺動可能(図5)な状態(第1状態)と、同図(b)に示すように、連結部材65が回動不能かつ摺動不能な状態(第2状態)とを切替操作可能である。
【0045】
ナット68bは多角形状を有し、ナット68bの側面はレール14の内側面と当接してその回転が規制された状態となっている。そのため、同図(a)に示した回動可能かつ摺動可能状態から、ユーザが指で操作部68を同図(b)の矢印方向に捩って回動させボルト68aが回転すると、ナット68bが上方に移動し、レール14(横フレーム13)がワッシャー68cとの間で締め付けられることで、同図(b)に示すように、連結部材65の挿通孔67の周囲がレール14上に係止されその回動及び摺動が規制される。
【0046】
また他の間仕切100との連結時において、鉤部66が他の間仕切100の第2連結具7と連結され、また上記図5(a)に示すような位置に摺動された状態で上記操作部68が同図(b)のように捩り方向に操作されることで、鉤部66は、他の間仕切100の第2連結具7を第1連結具6側に締め付ける締付機構として機能する。当該締付機構の動作については後述する。
【0047】
[第2連結具の詳細]
次に、上記第2連結具7について詳細に説明する。図7は、第2連結具7の詳細を示した図であり、同図(a)が図1の第2連結具7周辺の拡大図、同図(b)が第2連結具7の平面図である。同図においてネジは図示していない。
【0048】
同図に示すように、第2連結具7は、開口部72、2つのネジ孔73a、それぞれ1つのネジ孔73b、ネジ孔73c、及び挿通孔74を有する。当該第2連結具7は、第1連結具6を構成する固定部材61と同一の部材であるが、取り付けの向きが異なる。
【0049】
すなわち、第2連結具7は、第1連結具6の固定部材61においてパネル1に固定された向きからXZ平面で180度回転させた向きで使用され、2つのネジ孔73aを介して他方のパネル1bの縦フレーム12にネジ止めされ、ネジ孔73bを介して他方のパネル1bの横フレーム13にネジ止めされる。
【0050】
開口部72には、他の間仕切100との連結時において、他の間仕切100の第1連結具6の鉤部66が連結(挿入及び係止)可能である。
【0051】
上述の通り、ネジ孔73c及び挿通孔74は、当該第2連結具7が第3連結具8として機能する場合に使用される。
【0052】
[第3連結具の詳細]
次に、上記第3連結具8について詳細に説明する。図8は、第3連結具8の詳細を示した図であり、同図(a)が図1の第3連結具8周辺の拡大図、同図(b)が第3連結具8の平面図である。同図においてネジは図示していない。
【0053】
同図に示すように、第3連結具8は、開口部82、2つのネジ孔83a、それぞれ1つのネジ孔83b、83c、及び挿通孔84を有する。当該第3連結具8は、第1連結具6を構成する固定部材61及び上記第2連結具7と同一の部材であるが、取り付けの向きが異なる。
【0054】
すなわち、第3連結具8は、第1連結具6の固定部材61においてパネル1に固定された向き(その裏面がパネル1上端面と接する向き)とは反転した向き(その裏面がパネル1下端面と接する向き)で使用され、2つのネジ孔83aを介して一方のパネル1aの縦フレーム12にネジ止めされ、ネジ孔83bを介して一方のパネル1aの横フレーム13にネジ止めされる。
【0055】
またネジ孔83cを介して脚部4がパネル1aの底面に取り付けられる。挿通孔84は、第3連結具8が第4連結具9と連結される場合に、第4連結具の凸部(後述)を挿通させるための挿通孔として用いられる。
【0056】
[第4連結具の詳細]
次に、上記第4連結具9について詳細に説明する。図9は、第4連結具9の詳細を示した図である。同図においてネジは図示していない。
【0057】
同図に示すように、第4連結具9は、それぞれ2つのネジ孔93a、93b、1つのネジ孔93c、及び凸部94を有する。
【0058】
第4連結具9は、2つのネジ孔93aを介して他方のパネル1bの縦フレーム12にネジ止めされ、2つのネジ孔93bを介して他方のパネル1bの横フレーム13にネジ止めされる。
【0059】
またネジ孔93cを介して脚部4がパネル1bの底面に取り付けられる。凸部94は、第4連結具9が第3連結具8と連結される場合に、第3連結具8の挿通孔84に挿通される。
【0060】
[可動連結具]
次に、上部可動連結具2及び下部可動連結具3について説明する。図10は、図1の上部可動連結具2周辺の拡大図であり、図11は、当該上部可動連結具2周辺の平面図である。また図12は、図1の下部可動連結具3周辺の拡大図である。
【0061】
これらの図に示すように、上部可動連結具2は、一対の固定部材21,22と橋架部材31とを有する。上記一対の固定部材21,22は、上記一対のパネル1の上端に各々固定され、当該一対のパネル1を互いに回動(展開)可能に連結する。
【0062】
橋架部材31は、その一端部が、一方のパネル1aの上端の固定部材21に連結され、その他端部が、他方のパネル1bの上端に連結されている。そして橋架部材31は、パネル1の回動に応じて、一方のパネル1aの上端に沿って摺動可能とされており、当該摺動により、一対のパネル1間の角度を任意の角度で保持可能である。
【0063】
また橋架部材31は、その一端部に、パネル1aの上端における任意の位置で当該他端部を係止可能な係止部32を有する。
【0064】
また図12に示すように、下部可動連結具3(ヒンジ)は、一対の固定部材23,24を有する。上記一対の固定部材23,24は、上記一対のパネル1の下端に各々固定され、当該一対のパネル1を互いに回動(展開)可能に連結する。また、上記一対の固定部材23,24には、脚部4が取り付けられる。
【0065】
[間仕切の連結動作]
次に、以上のように構成された間仕切100同士の連結動作について説明する。図13図19は、間仕切100同士の連結手順について説明した図である。
【0066】
図13に示すように、パネル1aとパネル1b間の角度がほぼ90度(L字状)となるようにそれぞれ展開された間仕切100Aと間仕切100Bについて、同図矢印で示すように間仕切100Bの第1連結具6を間仕切100Aの第2連結具7に連結することで両間仕切100を連結する場合を例に説明する。
【0067】
まず、図14に示すように、間仕切100Bの底面を浮かせて、間仕切100Aの第4連結具9の凸部94に、間仕切100Bの第3連結具8の挿通孔84を合わせ上から落とし込む。この際、間仕切100Bの弾性部材5の下端部分を間仕切100Aの縦フレーム12の凹溝(図示せず)に挿入し、ガイドとして位置合わせする。
【0068】
続いて図15に示すように、間仕切100Bの第1連結具6の操作部68を緩めて、連結部材65を上方へ引き出し、連結対象の間仕切100A側に反転させる(同図矢印)。
【0069】
続いて図16及び図17に示すように、間仕切100Bの第1連結具6の連結部材65の鉤部66を、間仕切100Aの第2連結具7の開口部72に挿入する(図16の矢印)。
【0070】
続いて図18に示すように、間仕切100Bの操作部68を持ち、開口部72に挿入された鉤部66を、連結する間仕切100B側(第1連結具6側)に摺動させて、開口部72の間仕切100B側の端部に係止させる(同図X方向右側方向の矢印)。このとき操作部68は第1連結具の開口部62内を摺動する(図5)。
【0071】
そして同図に示すように、鉤部66を間仕切100B側に引き込んだまま操作部68を回して固定する(同図回転方向の矢印)。この鉤部66及び操作部68(締付機構)による第2連結具7の第1連結具6側への締付動作によって、間仕切100同士がずれて外れないように強固に連結させることができる。
【0072】
以上の動作により、図19(a)に示すように間仕切100Aと間仕切100Bとが連結された状態となる。両間仕切100A、100BをL字状に設置した状態で連結作業を行うことで、間仕切100が倒れることがないため、ユーザ1人での作業が可能である。
【0073】
そして、間仕切100BをL字状から直線状にする場合には、図19(b)に示すように、図19(a)の連結状態にした後に、間仕切100Bのパネル1を上部可動連結具2及び下部可動連結具3により回転させて直線状に戻し、上部可動連結具2の係止部32で固定すればよい。
【0074】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1連結具6を他の間仕切100の第2連結具7に連結させて締め付けるだけで間仕切100を相互に連結させることができるため、複数の間仕切100を連結する際の作業が容易になる。また、第1連結具6、第2連結具7、第3連結具8及び第4連結具9が間仕切100に装着されているため、作業時に連結具を都度用意する手間を省くことができるとともに、連結具の紛失を防止することができる。
【0075】
また、特別な工具や別途の部品を必要とせず、下端部と上端部を同時に位置合わせして連結させる必要がないため作業が容易になる。
【0076】
さらに第1連結具6、第2連結具7、第3連結具8及び第4連結具9の各部品は全てパネル1の厚み(例えば10mm)以内に収まるため、間仕切100の不使用時の保管のスペースを最小限に抑えることができる。
【0077】
[変形例]
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0078】
(第1の変形例)
まず本発明の第1の変形例について説明する。図20は、本変形例に係る間仕切100の第1連結具6周辺の拡大図である。また図21及び図22は、本変形例に係る間仕切100同士の連結手順について説明した図である。なお以下の変形例の説明においては上述の実施形態と異なる点を中心に説明し上述の実施形態と同様の構成及び機能を有する箇所については説明を省略または簡略化する。
【0079】
上述の実施形態では、連結先の間仕切100の第2連結具側7を連結元の間仕切100の第1連結具6側へ締め付ける締付機構として、鉤部66が開口部72を摺動して係止された状態で操作部68の回動により締め付ける機構が採用された。しかし、締付機構はこれに限られない。
【0080】
図20に示すように、第1連結具6の鉤部166は、不使用時にはレール14内に収容可能であるが、上述の実施形態における鉤部66とは異なり、同図Z方向から見て直角三角柱形状(XY平面の断面が直角三角形状)に形成されており、その裏面側に、先端へ向かって傾斜した斜面167を有する。
【0081】
また第1連結具6の開口部162は、上述の実施形態における開口部62よりもその幅が小さく形成されており、操作部68は当該開口部162内を摺動不可とされ、開口部162に固定される。
【0082】
また図21及び図22に示すように、第2連結具7の開口部172も、上述の実施形態における開口部72よりもその幅が小さく形成されており、鉤部166は当該開口部172内を摺動不可とされている。
【0083】
間仕切100同士を連結する際には、図21に示すように、間仕切100Bの連結部材65を間仕切100A側へ回動させ(同図矢印)、鉤部166を開口部172に係合させる。
【0084】
そしてこの状態から、図22に示すように、操作部68を締めると、鉤部166が斜面167に沿って開口部172の間仕切100B側の端部と当接しながら下方へ沈み込んでいき、第2連結具7を間仕切100Bの第1連結具6側へ締め付ける力が働くことで、間仕切100Aと100Bとが強固に連結される。
【0085】
このように、上述の実施形態のように操作部68及び鉤部66を摺動させる機構を採用せずとも、間仕切100同士を締め付けて連結を行うことができる。
【0086】
(第2の変形例)
次に本発明の第2の変形例について説明する。図23は、本変形例に係る間仕切100Bの第1連結具6及び間仕切100Aの第2連結具7周辺の拡大図である。また図24は、図23のA-A断面図及びB-B断面図である。
【0087】
上述の実施形態においては、操作部68は固定部材61の開口部62を介して、パネル1の上端の横フレームに形成されたレール14上を摺動可能とされていた。これに対して本変形例においては、図23及び図24に示すように、横フレーム13及び縦フレーム12並びに弾性部材5を廃し、第1連結具6の固定部材61及び第2連結具7を、Y方向においてそれぞれ所定高さを設けた角筒(角パイプ)形状に形成する。そして、それら底面に上述の実施形態と同様のネジ孔を設けてネジSによりパネル材11上端面へ螺着し、それら上面に上述の実施形態と同様の開口部62及び開口部72を設けることで、操作部68及び鉤部66が、開口部62及び開口部72に沿って内部空間を摺動可能な構成としている。
【0088】
このように、固定部材61及び第2連結部材7を角筒(角パイプ)形状としそれら内部を操作部68及び鉤部66が摺動可能な構成とすることで、パネル1の上端が操作部68及び鉤部66を摺動可能な形状に形成されていない場合でも、それらを摺動させることができる。
【0089】
またこれにより、横フレーム13上にレールを設ける必要がなくなるため、横フレーム13及び縦フレーム12並びに弾性部材5を省略することができる。これにより間仕切り100の部品点数を減らしコストを削減することができる。
【0090】
(その他の変形例)
上述の実施形態における各部材の形状は図示したものに限られない。例えば鉤部66の形状は図示したものに限られず、例えば断面L字状、断面コ字状、断面U字状等異なる形状に形成されていてもよい。また操作部68も蝶ネジボルト状ではなくローレットやノブボルトとして形成されていても構わない。
【符号の説明】
【0091】
1…パネル
2…上部可動連結具
3…下部可動連結具
4…脚部
5…弾性部材
6…第1連結具
7…第2連結具
8…第3連結具
9…第4連結具
11…パネル材
12…縦フレーム
13…横フレーム
14…レール
61…固定部材
62…開口部
63a、63b、63c…ネジ孔
64…挿通孔
65…連結部材
66…鉤部
67…挿通孔
68…操作部
68a…ボルト
68b…ナット
68c…ワッシャー
72…開口部
73a、73b、73c…ネジ孔
74…挿通孔
82…開口部
83a、83b、83c…ネジ孔
84…挿通孔
93a、93b、93c…ネジ孔
94…凸部
100…間仕切
162…開口部
166…鉤部
167…斜面
S…ネジ
図1
図2
図3
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