(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133893
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/11 20060101AFI20230920BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230920BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20230920BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20230920BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230920BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
A61K8/11
A61K8/34
A61K8/35
A61K8/42
A61K8/37
A61Q11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039135
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大輝
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB172
4C083AB242
4C083AB272
4C083AB282
4C083AB432
4C083AB472
4C083AC061
4C083AC062
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC132
4C083AC211
4C083AC302
4C083AC341
4C083AC432
4C083AC482
4C083AC622
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC782
4C083AC792
4C083AC861
4C083AC862
4C083AC932
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD211
4C083AD262
4C083AD272
4C083AD282
4C083AD352
4C083AD391
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD531
4C083CC41
4C083DD08
4C083DD12
4C083DD22
4C083DD23
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】本発明は、従来よりも高い冷感効果、冷感持続効果を有する口腔用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)(A1)メントール、メントン、カルボン、及びそれらを含有する精油から選ばれる一種以上
(A2)冷感剤
(A3)賦形剤
を含有する香料粒子
(B)媒体
を含有する口腔用組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(A1)メントール、メントン、カルボン、及びそれらを含有する精油から選ばれる一種以上
(A2)冷感剤
(A3)賦形剤
を含有する香料粒子
(B)媒体
を含有する口腔用組成物
【請求項2】
(A2)冷感剤が、カルボキシ、カルボキサミド、ケタール、ケトン、エステル、エーテル、及びアルコールから選ばれる1以上の官能基を有するメントール誘導体であることを特徴とする請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項3】
(A2)冷感剤が、N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、2-イソプロピル-5-メチル-N-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)シクロヘキサンカルボキサミド、N-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、エチル-3-(p-メンタン-カルボキサミド)アセテート、2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド、メントキシプロパン-1,2-ジオール、p-メンタン-3,8-ジオール、メントングリセロールアセタール、メンチルラクテート、及びイソプレゴールから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
(A3)が、糖アルコール、多糖類、多価金属塩、及び鉱物から選ばれる請求項1~3に記載の口腔用組成物。
【請求項5】
(A)香料粒子が、更に(A4)甘味剤を含有する、請求項1~4記載の口腔用組成物。
【請求項6】
(A4)が、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア、及びグリチルリチンから選ばれる請求項1~5記載の口腔用組成物。
【請求項7】
(B)が、水、低級アルコール、液体多価アルコール、液状油から選ばれる1種または2種以上の混合物である請求項1~6記載の口腔用組成物。
【請求項8】
更に、界面活性剤、粘結剤、増粘剤、研磨剤、甘味剤、及び香料から選ばれる1種以上を含有する、請求項1~7記載の口腔用組成物。
【請求項9】
歯磨剤、洗口剤、マウススプレー、塗布剤、又はシート剤である、請求項1~8記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷感を付与する香料粒子を含有する口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
歯磨剤や洗口剤等の口腔用組成物には、使用時や使用後に口腔内に冷感を付与するため、メントールやメントール誘導体が配合されている。これらは、通常、水やアルコール等の液体媒体を有する口腔用組成物中に均一に溶解あるいは可溶化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-157862号公報
【特許文献2】WO2011/115034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来よりも高い冷感効果、冷感持続効果を有する口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、
(A)(A1)メントール、メントン、カルボン、及びそれらを含有する精油から選ばれる一種以上
(A2)冷感剤
(A3)賦形剤
を含有する香料粒子
(B)媒体
を含有する口腔用組成物とすることによって、従来よりも高い冷感効果、冷感持続効果が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0006】
本発明は、下記の口腔用組成物を提供する。
〔1〕(A)(A1)メントール、メントン、カルボン、及びそれらを含有する精油から選ばれる一種以上
(A2)冷感剤
(A3)賦形剤
を含有する香料粒子
(B)媒体
を含有する口腔用組成物
〔2〕(A2)冷感剤が、カルボキシ、カルボキサミド、ケタール、ケトン、エステル、エーテル、及びアルコールから選ばれる1以上の官能基を有するメントール誘導体であることを特徴とする〔1〕に記載の口腔用組成物。
〔3〕(A2)冷感剤が、N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、2-イソプロピル-5-メチル-N-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)シクロヘキサンカルボキサミド、N-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、エチル-3-(p-メンタン-カルボキサミド)アセテート、2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド、メントキシプロパン-1,2-ジオール、p-メンタン-3,8-ジオール、メントングリセロールアセタール、メンチルラクテート、及びイソプレゴールから選ばれる1種以上であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔4〕(A3)が、糖アルコール、多糖類、多価金属塩、及び鉱物から選ばれる〔1〕~〔3〕に記載の口腔用組成物。
〔5〕(A)香料粒子が、更に(A4)甘味剤を含有する、〔1〕~〔4〕に記載の口腔用組成物。
〔6〕(A4)が、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア、及びグリチルリチンから選ばれる〔1〕~〔5〕に記載の口腔用組成物。
〔7〕(B)が、水、低級アルコール、液体多価アルコール、及び液状油から選ばれる1種または2種以上の混合物である〔1〕~〔6〕に記載の口腔用組成物。
〔8〕更に、界面活性剤、粘結剤、増粘剤、研磨剤、甘味剤、及び香料から選ばれる1種以上を含有する、〔1〕~〔7〕に記載の口腔用組成物。
〔9〕歯磨剤、洗口剤、マウススプレー、塗布剤、又はシート剤である、〔1〕~〔8〕に記載の口腔用組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、従来よりも高い冷感効果、冷感持続効果を有する口腔用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明につき更に詳述する。
【0009】
本発明の(A)成分は、
(A1)メントール、メントン、カルボン、及びそれらを含有する精油から選ばれる一種以上
(A2)冷感剤
(A3)賦形剤
を含有する香料粒子である。
【0010】
(A1)成分は、メントール、メントン、カルボン、及びそれらを含有する精油である。前記精油としては、ペパーミント油、ハッカ油、スペアミント油が挙げられる。
【0011】
(A1)成分の(A)香料粒子中の含有量は、冷感効果、冷感持続効果の点から、下限は1質量%以上とすることが好ましく、4質量%以上とすることがより好ましい。また、上限は使用時の口腔内の刺激感の点から、20質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下とすることがより好ましい。(A1)成分が精油である場合、前記含有量はメントール、メントン、カルボンの量である。
【0012】
(A2)成分の冷感剤としては、カルボキシ、カルボキサミド、ケタール、ケトン、エステル、エーテル、及びアルコールから選ばれる1以上の官能基を有するメントール誘導体が挙げられる。具体的には、N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、2-イソプロピル-5-メチル-N-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)シクロヘキサンカルボキサミド、N-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、 N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、エチル-3-(p-メンタン-カルボキサミド)アセテート、2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド、メントキシプロパン-1,2-ジオール、p-メンタン-3,8-ジオール、メントングリセロールアセタール、メンチルラクテート、イソプレゴール等が挙げられる。
【0013】
(A2)成分の(A)香料粒子中の含有量は、冷感効果、冷感持続効果の点から、下限は1質量%以上とすることが好ましく、4質量%以上とすることがより好ましい。また、上限は使用時の口腔内の刺激感の点から、20質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下とすることがより好ましい。
【0014】
(A3)成分の賦形剤としては、糖アルコール、結晶セルロース、多糖類、多価金属塩、鉱物等が挙げられる。糖アルコールとしては、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、マルチトール等が挙げられる。多糖類としては、乳糖、麦芽糖、ショ糖、オリゴ糖、パラチノース、澱粉、デキストリン、結晶セルロース等が挙げられる。多価金属塩としては、酸化チタン、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。鉱物としては、ベントナイト、カオリン、ゼオライト等が挙げられる。
【0015】
(A3)成分の(A)香料粒子中の含有量は、粒子の成形性の点から、下限は50質量%以上とすることが好ましく、70質量%以上とすることがより好ましい。また、上限は冷感効果、冷感持続効果の点から、98質量%以下とすることが好ましく、90質量%以下とすることがより好ましい。
【0016】
(A)成分の香料粒子には、更に、(A4)甘味剤 を含有することが好ましい。甘味剤としては、ショ糖を1とした時の甘味度が1以上のものが好ましく、ショ糖、キシリトール、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア、グリチルリチン、サイクラミン酸ナトリウム等が挙げられる。(A4)成分の(A)香料粒子中の含有量は、甘味の点から、下限は0.001質量%以上とすることが好ましく、0.01質量%以上とすることがより好ましい。また、上限は冷感効果の点から、30質量%以下とすることが好ましく、20質量%以下とすることがより好ましい。
【0017】
(A)成分の香料粒子には、前記(A1)成分、(A2)成分、(A3)成分、好ましくは更に(A4)成分の他、任意の成分として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の結合剤;クロスポビドン、クロスカルメロース等の崩壊剤;ヒドロキシエチルセルロース等のコーティング剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
【0018】
(A)成分の香料粒子は、(A1)成分、(A2)成分、及び(A3)成分を必須成分とし、好ましくは更に(A4)成分を含む造粒粒子であり、各成分が均一に混合されている粒子、あるいは核粒子の周囲に1種又は2種以上の粒子成分が層状に形成されている層状粒子が挙げられる。層状粒子としては、(A3)成分を含む核粒子表面に(A1)成分及び(A2)成分を含む層を有する層状粒子、(A3)成分を含む核粒子表面に(A1)成分を含む第1層を有しさらにその外側に(A2)成分を含む第2層を有する層状粒子、(A3)成分を含む核粒子表面に(A2)成分を含む第1層を有しさらにその外側に(A1)成分を含む第2層を有する層状粒子等が挙げられる。(A4)成分は任意の層に配合することができる。前記造粒粒子の表面には、フィルムコーティング、パウダーコーティング等のコーティング層を有してもよい。
【0019】
香料粒子の粒子径(D50,体積基準)は、100μm以上が好ましく、500μm以上がより好ましく、700μm以上が特に好ましい。また、上限は、2000μm以下が好ましく、1500μm以下がより好ましく、1000μm以下がより好ましい。
【0020】
前記造粒粒子は、公知の造粒粒子の製造方法により製造することができる。造粒方法としては、圧縮造粒等の乾式造粒;攪拌造粒、流動層造粒、転動造粒、押出造粒等の湿式造粒;噴霧造粒のいずれでもよい。
【0021】
前記(A)成分の香料粒子は、本発明の(B)成分である媒体、及び口腔用製剤に許容される各種成分と共に、香料粒子を含有する口腔用組成物とすることができる。前記香料粒子は、前記口腔用組成物中に粒子として分散されている。
【0022】
本発明の口腔用組成物中の前記香料粒子の含有量は、好ましくは0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。上限は2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.8質量%以下であることが特に好ましい。
【0023】
(B)成分の媒体としては、水、炭素数2又は3の1価アルコール、ポリエチレングリコール等の液体ポリオール(20℃)、グリセリン、液状油(20℃)等の液体媒体が挙げられる。媒体の含有量は、口腔用組成物中、1~99質量%であることが好ましく、5~90質量%以下であることがより好ましく、10~50質量%であることが特に好ましい。
【0024】
本発明の口腔用組成物に配合できる任意の各種成分としては、界面活性剤、湿潤剤、粘結剤(増粘剤)、研磨剤、甘味剤、香料、冷感剤、pH調整剤、防腐剤、薬効成分等が挙げられる。
【0025】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
【0026】
アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸塩、ラウリルスルホ酢酸塩、N-メチル-N-アシルタウリン塩等のN-アシルタウレート、N-アシル-L-グルタミン酸塩等のアシルアミノ酸塩などが挙げられる。これらは1種又は2種以上で使用できる。中でも、泡立ち、泡質の良さの点で、スルホン酸基を含有するアニオン性界面活性剤が好ましく、より好ましくはアルキル硫酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩である。前記塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられ、特にナトリウム塩が好ましい。アルキル硫酸塩は、アルキル基の炭素数が好ましくは12~14であり、具体的には、アルキル硫酸塩としてラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウムが挙げられる。α-オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数が14~16のα-オレフィンスルホン酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩)を用いることができ、中でも炭素数14のα-オレフィンスルホン酸塩、特にナトリウム塩(一般名;テトラデセンスルホン酸ナトリウム)が好ましい。アニオン性界面活性剤の配合量は、組成物全体の0.3~2.5質量%であり、0.6~2.5質量%が好ましく、1~2.5質量%がより好ましい。
【0027】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアルコールエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、ラクトール脂肪酸エステル等の糖アルコール脂肪酸エステル、アルキロールアマイド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル酸モノ又はジエタノールアミド等の脂肪酸ジエタノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、プルロニック(登録商標)等が挙げられる。中でも、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアルコールエーテルが好ましい。ノニオン性界面活性剤の配合量は、組成物全体の0.1~2質量%であり、0.3~2質量%が好ましく、0.6~1.5質量%がより好ましい。
【0028】
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン、アミドプロピルベタイン、スルホベタイン等のベタイン型両性界面活性剤、アミンオキサイド等が挙げられる。詳細には、炭素数8~20のアルキル鎖を有するものが好ましく、前記アルキル鎖を有するアルキルベタイン、酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン、アミドプロピルベタインが好ましい。これらのうち、ベタイン型両性界面活性剤がより好ましい。ベタイン系両性界面活性剤は、例えば、アルキルベタイン(ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等)、酢酸ベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等)、イミダゾリニウムベタイン(2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等)、脂肪酸アミドプロピルベタイン(ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等)、スルホベタイン(ラウリルヒドロキシスルホベタイン等)が挙げられる。これらの中でも、酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタインが好ましく、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインがより好ましい。特に2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、とりわけヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが、苦味がなく味が良い点から、好ましい。両性界面活性剤の配合量は、組成物全体の0.01~3%が好ましく、より好ましくは0.1~1.5%である。
【0029】
湿潤剤は、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコール、ポリエチレングリコール4000等の多価アルコールが挙げられる。湿潤剤の配合量は、通常、組成物全体の5~50%、特に20~45%である。
【0030】
粘結剤または増粘剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースナトリウム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ビーガム、アルギン酸プロピレングリコール等の有機粘結剤、増粘性シリカ、ケイ酸アルミニウム等の無機粘結剤が配合できる。これらは1種又は2種以上で使用できる。これら粘結剤の配合量は、組成物全体の1.0~10質量%、特に1.4~7質量%が好ましい。
【0031】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペルラルチン、ソーマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル等が挙げられる。
【0032】
香料としては、公知の香料、例えばメントール、アネトール、カルボン、オイゲノール、リモネン、n-デシルアルコール、シトロネロール、α-テレピネオール、シトロネリルアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、桂葉油、シソ油、冬緑油、丁字油、ユーカリ油等が挙げられる。
【0033】
本発明の口腔用組成物には、(A)成分の香料粒子に含まれる冷感剤以外に、組成物中に溶解または可溶化された冷感剤を含有することが好ましい。
【0034】
冷感剤としては、カルボキシ、カルボキサミド、ケタール、ケトン、エステル、エーテ6ル、及びアルコールから選ばれる1以上の官能基を有するメントール誘導体が挙げられる。具体的には、N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、2-イソプロピル-5-メチル-N-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)シクロヘキサンカルボキサミド、N-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、 N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、エチル-3-(p-メンタン-カルボキサミド)アセテート、2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド、メントキシプロパン-1,2-ジオール、p-メンタン-3,8-ジオール、メントングリセロールアセタール、メンチルラクテート、イソプレゴール等が挙げられる。香料粒子外の冷感剤は、香料粒子中の冷感剤と同一でも異なるものでもよい。(A)成分の香料粒子外の冷感剤の含有量は、冷感効果、冷感持続効果の点から、組成物中に0.0000001質量%以上とすることが好ましく、0.000001質量%以上とすることがより好ましい。また、上限は使用時の口腔内の刺激感の点から、0.5質量%以下とすることが好ましく、0.05質量%以下とすることがより好ましい。
【0035】
pH調整剤としては、クエン酸、乳酸等の有機酸やその塩類;塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等の無機化合物などが挙げられる。
【0036】
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0037】
薬効成分としては、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ素含有化合物;デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ等の酵素;トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、β-グリチルレチン酸、アラントイン、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、アズレン等の抗炎症剤;トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等の縮合リン酸塩;塩化ナトリウム;ビタミン類等の細胞賦活剤;塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、塩化リゾチーム等の殺菌剤;グルコン酸銅、クエン酸銅、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛等の口臭抑制剤:ゼオライト等の歯石予防剤;ビタミンE等の血行促進剤;アラニン、グリシン、プロリン等のアミノ酸類などを配合できる。なお、薬効成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる。
【0038】
更に、任意成分として、雲母チタン、酸化チタン、ベントナイト等の無機化合物;結晶性セルロース等のセルロース系の有機粉末;寒天、ゼラチン、デンプン、グルコマンナン等の天然高分子化合物;ポリ酢酸ビニル、アクリル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ナイロン末、ポリエチレン末等の合成高分子化合物又はそれらの共重合体;カルナバワックス、ロジン、ライスワックス、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、パラフィンワックス等のワックス類;セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ウレタン、シリコン、天然ゴムなどを、本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。
【0039】
本発明の口腔用組成物は、液体、液状、ペースト状などの形態として調製され、練歯磨、液体歯磨、液状歯磨、潤製歯磨等の歯磨剤、洗口剤などとして調製でき、これらは通常の方法で調製することができる。
【実施例0040】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示す。
【0041】
表1に示す口腔用組成物(練歯磨)を定法により調製し、冷感の強さ、冷感の持続性の評価を行った。
<冷感の強さの評価>
調製した歯磨剤をチューブ容器から押出して歯ブラシ上に約1cm(約1g)載せ、通常と同じように3分間歯磨きした後、10mLの水で10秒間ずつ2回すすいだ。歯磨中の冷感の強さ、すすぎ後の冷感の持続性について、下記の評点基準に基づき評価した。
(評価基準:冷感の強さ)
3点:対照品に比べて冷感を強く感じた
2点:対照品に比べて冷感をやや強く感じた
1点:対照品と同等以下
(評価基準:冷感の持続性)
3点:対照品に比べて冷感を長く感じた
2点:対照品に比べて冷感をやや長く感じた
1点:対照品と同等以下
【0042】
10人の評価点の平均点を出し、下記の判定基準に従い香味立ちの良さを評価し、◎、○、×で示した。
(判定基準)
◎:平均点2.5点以上3.0点以下
○:平均点2.0点以上2.5点未満
×:平均点2.0点未満
【0043】
【0044】
表1の香料粒子1~5:表2に記載した組成の香料粒子1~5
表1のミントフレーバー:L-メントール10質量、ペパーミント油(L-メントール50質量%)60質量%、WS-3 0.1質量%、Evercool-180 0.01質量%、その他香料成分 を含む。
WS-3:N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド
Evercool-180:N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド
【0045】
【0046】
WS-3:N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド
WS-5:エチル-3-(p-メンタン-カルボキサミド)アセテート
CA-10:3-L-メントキシプロパン-1,2-ジオール
Evercool-180:N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド
【0047】
表2の組成を有する冷感剤粒子は、マンニトール核粒子層/(A1)及び(A2)成分を含有する第1層/(A3)及び(A4)成分を含有する第2層(外層)の層状構造を有する香料粒子である。
【0048】
【0049】
表3の香料粒子1~5:表2に記載した組成の香料粒子1~5
表3のミントフレーバー:L-メントール10質量、ペパーミント油(L-メントール50質量%)60質量%、WS-3 0.1質量%、Evercool-180 0.01質量%、その他香料成分 を含む
WS-3:N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド
Evercool-180:N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド