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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133896
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】制御装置及びエレベーター装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/34 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
B66B1/34 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039140
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 達也
(72)【発明者】
【氏名】松土 貴司
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502NA02
3F502NA03
(57)【要約】
【課題】
本発明の目的は、狭い保守スペースでも開閉可能な扉部を備えた制御装置を提供することにある。
【解決手段】
本発明の制御装置10は、筐体フレーム1と、筐体フレーム1に対して回動可能に設けられた扉部5と、を備える。扉部5は、主扉フレーム5Aと従扉フレーム5Bとを有する。主扉フレーム5Aの厚さW5と従扉フレーム5Bの厚さW5Bとを変えて、扉部5を厚さ方向に段差を有する二段構造とされる。二段構造の段差は、扉部5の前端面5A4の側に構成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体フレームと、前記筐体フレームの内部に配置される実装部品と、前記筐体フレームに対して回動可能に設けられた扉部と、を備えた制御装置において、
前記扉部は、主扉フレームと従扉フレームとを有すると共に、前記主扉フレームの厚さと前記従扉フレームの厚さとを変えて、前記扉部を厚さ方向に段差を有する二段構造とされ、
前記二段構造の段差は、前記扉部の前端面の側に構成されることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記実装部品は、前記筐体フレームの前端面から前方にはみ出すようにして配置され、
前記主扉フレームは、前記実装部品の、前記筐体フレームの前端面から前方にはみ出した部分を覆う構造であることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記従扉フレームは、前記扉部が閉じられた状態で、他の扉部に覆われることなく、当該制御装置の前方に向けて露出するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記主扉フレームは、第1ヒンジにより、前記筐体フレームに回動可能に支持され、
前記主扉フレームは、前記扉部が閉じられた状態で前記筐体フレームの前端面に当接する後端面と、前記後端面とは反対側に位置する前端面と、を有し、
前記第1ヒンジの回動軸は、前記主扉フレームの厚さ方向において、前記主扉フレームの前記前端面よりも前記後端面に近づけるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記主扉フレームは、前記扉部が閉じられた状態で前記筐体フレームの前端面に当接する後端面と、前記後端面とは反対側に位置する前端面と、を有し、
前記従扉フレームは、前記扉部が閉じられた状態で前記筐体フレームの前端面に当接する後端面と、前記後端面とは反対側に位置する前端面と、を有し、
前記主扉フレームの前記後端面と前記従扉フレームの前記後端面とは、1つの平面上に配列されることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記従扉フレームは、前記主扉フレームに対して回動可能に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記主扉フレームと前記従扉フレームとを第2ヒンジによって連結し、前記主扉フレームに対して前記従扉フレームを回動可能に軸支したことを特徴とする請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記従扉フレームは、前記扉部が閉じられた状態から、前記主扉フレームに対して一方向に回動可能に構成され、
前記従扉フレームは、厚みを一定量有することで、逆方向への回転が防止されることを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
昇降路内で乗りかごを昇降するエレベーター装置において、
前記乗りかごの昇降を制御する制御装置として、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の制御装置を備えたことを特徴とするエレベーター装置。
【請求項10】
つり合いおもりと、前記乗りかごと前記つり合いおもりとを連結する主ロープと、前記主ロープを巻掛けた巻上機と、を備え、
前記制御装置を昇降路の上部に設けられた機械室の内部に配置したことを特徴とする請求項9に記載のエレベーター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭い保守スペースでも開閉可能な扉部の構造を備えた制御装置及びエレベーター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
制御装置の扉部の構造に関する背景技術として、特許文献1には、工作機械などに用いられる、左右開きの2枚扉構造を有する制御盤が開示されている(段落0001,0008及び図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009―44844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下、制御装置の一例として、エレベーター装置に用いられる制御装置について説明する。エレベーター装置の制御装置は機械室に設置される。保守員は制御装置の扉部を開閉して保守作業を実施するが、機械室では制御装置の設置場所に広いスペースを確保することが難しい。制御装置の設置場所に広いスペースを確保できない場合には、扉部の開閉が十分に行えず、保守作業性が悪くなるという課題があった。上述した課題はエレベーター装置の制御装置に限らず、特許文献1に記載された工作機械や、その他の物においても、狭い場所に設置される制御装置に共通する。
【0005】
本発明の目的は、狭い保守スペースでも開閉可能な扉部を備えた制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、
筐体フレームと、前記筐体フレームの内部に配置される実装部品と、前記筐体フレームに対して回動可能に設けられた扉部と、を備えた制御装置において、
前記扉部は、主扉フレームと従扉フレームとを有すると共に、前記主扉フレームの厚さと前記従扉フレームの厚さとを変えて、前記扉部を厚さ方向に段差を有する二段構造とされ、
前記二段構造の段差は、前記扉部の前端面の側に構成される。
【発明の効果】
【0007】
前記構成の制御装置によれば、制御装置の扉部の厚みを二段構成にすることで、制御装置内部部品の搭載に影響を与えることなく、扉部の開閉性能を向上させることで、保守作業性に優れた制御装置を提供できる。
【0008】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例に係る制御装置を示す正面図である。
図2図1の制御装置の側面図である。
図3図1の制御装置の上面図であり、扉部を開状態にした図である。
図4】本発明との比較例の制御装置を示す上面図である。
図5図3と同様な上面図であり、扉部の寸法関係を示した図である。
図6】本発明の変更例に係る制御装置を示す正面図である。
図7図6の制御装置の上面図である。
図8図6の制御装置の扉部の端部(側縁部)を示す拡大図である。
図9】本発明の一実施例に係るエレベーター装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の制御装置の形態について図を参照して説明する。なお、各図において同一または類似の構成には同じ符号を付して繰り返しの説明は省略する。
【0011】
本実施例においては、制御装置の扉部の厚みを二段構造にすることで、制御装置内部の設置部品の搭載に影響を与えることなく、扉部5の開閉性能を向上させ、制御装置の保守作業性を向上させる。本実施例の制御装置は、例えばエレベーター装置の機械室のような、狭いスペースに配置された場合でも、扉部の開閉性能を向上することができる。
【0012】
図1は、本発明の一実施例に係る制御装置10を示す正面図である。図2は、図1の制御装置10の側面図である。図3は、図1の制御装置10の上面図であり、扉部5を開状態にした図である。なお図3では、開状態の扉部5を実線で、開途中および閉状態の扉部5を一点鎖線で図示している。
【0013】
制御装置10は、図1乃至図3に示すように、筐体フレーム(第1筐体フレーム)1と、筐体フレーム(第2筐体フレーム)2と、第1筐体フレーム1に実装する部品(実装部品)3と、第1筐体フレーム1と第2筐体フレーム2とを連結するヒンジ4と、第1筐体フレーム1の扉部5と、を備える。
【0014】
第1筐体フレーム1は制御装置10の本体部を構成するフレームであり、制御装置10の筐体となる。
【0015】
扉部5は、主扉フレーム(扉本体部)5Aおよび従扉フレーム(扉側縁部)5Bを備える。主扉フレーム5Aは、第1筐体フレーム1と主扉フレーム5Aとを連結するヒンジ(第1ヒンジ、主扉フレームヒンジ)7により、第1筐体フレーム1に対して回動可能に支持される。従扉フレーム5Bは、主扉フレーム5Aのヒンジ7で支持される側縁部5A1とは反対側の側縁部5A2に設けられる。
【0016】
第1筐体フレーム1は内部に部品(実装部品)3を搭載する。第2筐体フレーム2は部品(実装部品)8を搭載する。第2筐体フレーム2および部品(実装部品)8は必要に応じて第1筐体フレーム1に追加される。
【0017】
制御装置10は狭いスペースに設置することを考慮しており、第1筐体フレーム1の厚みW10は薄い。通常は部品3のみを実装するが、追加で部品の実装が必要になる際は、第2筐体フレーム2を、ヒンジ4を用いて第1筐体フレーム1に追加し、第2筐体フレーム2に部品8を搭載する。ここで主扉フレーム5Aの厚さを大きくすることで、追加で実装された部品8を覆うことができる。
【0018】
すなわち第2筐体フレーム2は第1筐体フレーム(主フレーム)1に追加される追加フレーム(従フレーム)である。また部品8は第1筐体フレーム1の前端面1aから前方Fにはみ出すようにして第2筐体フレーム2に搭載され、第1筐体フレーム1からはみ出した部分が主扉フレーム5Aで覆われる。
【0019】
本実施例の制御装置10は、第1筐体フレーム1からはみ出した部品8を主扉フレーム5Aで覆う構成であるため、主扉フレーム5A、すなわち扉部5の厚さW5(図5参照)が厚くなる。このため、扉部5に従扉フレーム5Bが設けられていない構成の場合、扉部5の開閉時における回転半径が大きくなる。以下、詳細に説明する。
【0020】
図4を参照して、本発明との比較例における制御装置について説明する。図4は、本発明との比較例の制御装置10’を示す上面図である。なお図4では、閉状態の扉部5’を一点鎖線で図示している。
【0021】
比較例の制御装置10’の扉部5’の構造に関しては図4に示す通り、扉部5’の厚みW5’は一定であり、扉部5’の開閉時には大きな回転半径R1’を必要としており、特に狭い機械室等に設置されるような条件では、扉部5’の端部(側縁部)が機械室壁と接触し、扉部5’を大きく開くことができないことにより、制御装置10’の内部部品の保守作業において作業性を低下させる原因となっていた。
【0022】
本実施例の扉部5は、図4に示す通り、主扉フレーム5Aよりも厚さW5Bを抑えた第2フレーム5Bを第1フレーム5Aの端部(側縁部)5A2に取り付けた構造とする。扉部5を、第1フレーム5Aに第2フレーム5Bを設けた二段構造とすることで、扉部5の開閉時の回転半径R1を小さくすることができる。このため本実施例では、比較例よりも開閉時のヒンジ7を軸とした回転半径R1を小さくできることから、限られた保守スペースの中でも室内壁と接触すること無く、扉部5を大きく開閉することが可能となり、制御装置10の内部部品の保守作業性が向上する。
【0023】
ここで、図5を参照して、扉部5の回転半径R1について詳細に説明する。図5は、図3と同様な上面図であり、扉部5の寸法関係を示した図である。図5には、ヒンジ7の回転軸(回転中心)を交点として直交し、図5の平面に平行な2軸7x,7yを仮想して図示している。直交軸7x,7yにおいて、軸7xは第1筐体フレーム1の前面1aに平行である。
【0024】
本実施例では、主扉フレーム5Aの厚さW5と従扉フレーム5Bの厚さW5Bとを変えて、扉部5を厚さ方向に段差を有する二段構造とする。
【0025】
扉部5はヒンジ7の回転軸を中心として第1筐体フレーム1に対して回転し、扉部5が閉じられた状態では、主扉フレーム5Aの端面(後端面)5A3と従扉フレーム5Bの端面(後端面)5B3とが第1筐体フレーム1の端面(前端面)1aに当接する。従って、主扉フレーム5Aの端面(後端面)5A3と従扉フレーム5Bの(後端面)5B3とは一つの平面上に配列される。
【0026】
この場合、扉部5の開閉時の最大の回転半径R1は、ヒンジ7の回転軸と従扉フレーム5Bの角部5B1と結ぶ直線の長さに相当する。
【0027】
ヒンジ7の回転軸側から見た、扉部5の先端側において、回転半径が最も小さくなる部位は、扉部5が閉じられた状態で軸7x上に位置する。本実施例では、従扉フレーム5Bの端面(前端面)5B4が軸7x上に位置する構成となっており、扉部5の先端側において回転半径が最も小さくなる部位(最小回転半径部位)は、従扉フレーム5Bの角部5B2である。角部5B2の回転半径は、角部5B2とヒンジ7の回転軸側とを結ぶ直線の長さとなる。
【0028】
従って、扉部5の開閉時の回転半径R1は、角部5B2の回転半径よりも大きくなる。しかし従扉フレーム5Bは回動方向における厚さW5Bが薄いため、角部5B1は角部5B2と近接しており、扉部5の回転半径R1である角部5B1の回転半径は、角部5B2の回転半径に対して僅かに大きくなるに過ぎない。
【0029】
なお角部5B1,5B2は、主扉フレーム5Aと接する従扉フレーム5Bの接触面(側縁部)5B5とは反対側の側縁部(先端側側縁部)5B6に構成される角部である。
【0030】
本実施例では、ヒンジ7の回転軸は第1筐体フレーム1の端面1aよりも前方(図5においては下方)に位置している。またヒンジ7の回転軸は、主扉フレーム5Aに対して、端面5A3よりも端面(前端面)5A4に近づけて配置される。扉部5が閉じられた状態では、ヒンジ7の回転軸は、端面5A3よりも前方(図5においては下方)に位置する。
【0031】
扉部5の支持構造としては、ヒンジ7の回転軸は第1筐体フレーム1の端面1aに近づけると共に、主扉フレーム5Aの端面5A3に近づけることが好ましい。また、これにより、扉部5の回転半径R1を、扉部5の先端側において回転半径が最も小さくなる部位の回転半径(最小回転半径)に近づけることができる。
【0032】
本実施例では、ヒンジ7の回転軸を、主扉フレーム5Aの端面5A3から、扉部5の厚さW5の半分(W5/2)よりも小さい長さ(距離)の範囲に配置する。より好ましくは、ヒンジ7の回転軸を、主扉フレーム5Aの端面5A3から、扉部5の厚さW5の4分の1(W5/4)よりも小さい長さ(距離)の範囲に配置する。
【0033】
扉部5の先端側の回転半径を小さくするためには、従扉フレーム5Bの角部5B2が軸7xを越えて角部5B1の反対側に位置する範囲を制限する必要がある。本実施例では、従扉フレーム5Bの端面(前端面)5B4が軸7x上に位置する構成としているため、従扉フレーム5Bの角部5B1は軸7xから距離W5Bだけ離れた距離に位置する。この場合、従扉フレーム5Bの角部5B2は軸7xからW5B以下の距離に位置することが好ましい。すなわち、従扉フレーム5Bの角部5B2が軸7xからW5B(角部5B1と軸7xとの間の距離)以下の距離に位置すれば、角部5B2回転半径は角部5B1の回転半径よりも大きくなることはない。
【0034】
なお本実施例の扉部5は1枚の扉部で構成され、制御装置に備えられる全ての扉部5に従扉フレーム5Bが設けられている。また、この従扉フレーム5Bは、その前端面5B4が他の扉部によって覆われることがない。すなわち従扉フレーム5Bは、扉部5が閉じられた状態において、制御装置10の前方に向けて露出するように構成されている。この場合、従扉フレーム5Bは、その前端面5B4が制御装置10の前方に向けて露出するように、構成される。ことで、扉部5の側縁部5B6の厚さを、回転半径R1が小さくなるように構成することができる。
【0035】
次に、図6乃至図8を参照して、本実施例の変更例を説明する。図6は、本発明の変更例に係る制御装置を示す正面図である。図7は、図6の制御装置の上面図である。図8は、図6の制御装置10の扉部5の端部(側縁部)を示す拡大図である。なお図7では、開状態の扉部5を実線で、開途中および閉状態の扉部5を一点鎖線で図示している。また図8では、開状態の従扉フレーム5Bを実線で、開途中および閉状態の従扉フレーム5Bを破線で図示している。
【0036】
前述の実施例は、主扉フレーム5Aと従扉フレーム5Bとを一枚のフレームから加工して製造し、主扉フレーム5Aと従扉フレーム5Bとが固定された二段構造の扉部5とすることを前提にしているが、主扉フレーム5Aと従扉フレーム6とを分割して、ヒンジ(第2ヒンジ、従扉フレームヒンジ)9で連結した二段構造とすることも可能である。本例では、主扉フレーム5Aと従扉フレーム6とを分割して、ヒンジ9で連結した二段構造とした構成のみが前述の実施例と相違しており、その他の構成は前述の実施例と同様である。
【0037】
本例では、ヒンジ9により、扉部5の端部(従扉フレーム5B)は扉部5の本体部(主扉フレーム5A)に対して回動可能である。この場合、主扉フレーム5Aと従扉フレーム5Bとをヒンジ9によって連結し、主扉フレーム5Aに対して従扉フレーム5Bを回転可能に軸支する。ヒンジ9により従扉フレーム5Bが回転でき、従扉フレーム5Bを主扉フレーム5Aの方向へ折りたためることから、扉部5の開閉時の回転半径をR2とすると、R1よりもR2を更に小さくすることができる。そのためヒンジ9を使用すると回転半径がさらに小さくなり、より保守スペースが狭い場合にも対応することができる。
【0038】
また、図8に示すように、従扉フレーム5Bと接する主扉フレーム5Aの接触面(側縁部)5A2と、主扉フレーム5Aと接する従扉フレーム5Bの接触面(側縁部)5B5との、それぞれの面どうしが接触することで、従扉フレーム5B自身が反対方向へ回転するのを防止することが可能となる。すなわち従扉フレーム5Bは、扉部5が閉じられた状態から、主扉フレーム5Aに対して一方向に回動可能に構成される。そして従扉フレーム5Bは、厚みW5Bを一定量有することで、逆方向への回転が防止される。
【0039】
以上、変更例を含む前述の実施例の構成によれば、筐体部(第1筐体フレーム)1と扉部5とを備えた制御装置10において、扉部5の厚みを二段構造にすることにより、通常の扉部の場合よりも、ヒンジ7を回転軸とした回転半径R1が小さくなり、限られた保守スペースの中でも扉部5の開閉が可能となるため、保守作業性が向上する。また、制御装置10を壁に近い位置に設置することが可能となるため、配置スペースに対する制御装置10の配置の自由度が向上する。
【0040】
本実施例が適用されるエレベーター装置100の概略構成を図1に基づき説明する。図9は、本発明の一実施例に係るエレベーター装置100の概略構成図である。
【0041】
エレベーター装置100は、建築物200に設けられた昇降路102内に昇降体(乗りかご)103とつり合いおもり104とを主ロープ105によって連結し、乗りかご103がガイドレール107に沿って昇降可能となるように構成している。昇降路102の上部に形成した機械室101内には、主ロープ105を巻掛けた巻上機106、この巻上機106等を制御する制御装置10、調速機110などを配置している。
【0042】
調速機110は、昇降路102内の昇降行程全域に亘って張られた無端状の調速機ロープ111と、機械室101に設置され、調速機ロープ111を巻き掛けた綱車(調速機プーリ)などから構成される。調速機110は、乗りかご103の過速度を検出すると共に、後述する非常止め装置108を動作させる。
【0043】
本実施例では、制御装置10の保守作業性が向上することにより、保守作業性に優れたエレベーター装置100を提供することができる。
【0044】
本発明の制御装置は、前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。従って、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…筐体フレーム(第1筐体フレーム)、1a…筐体フレーム1の前端面、3…実装部品、5…扉部、5A…主扉フレーム、5A3…主扉フレーム5Aの後端面、5A4…扉部5および主扉フレーム5Aの前端面、5B…従扉フレーム、5B3…従扉フレーム5Bの後端面、5B4…従扉フレーム5Bの前端面、7…ヒンジ(第1ヒンジ)、9…ヒンジ(第2ヒンジ)、10…制御装置、100…エレベーター装置、101…機械室、102…昇降路、103…乗りかご、104…つり合いおもり、105…主ロープ、106…巻上機、W5…主扉フレーム5Aの厚さ、W5B…従扉フレーム5Bの厚さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9