(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133906
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】エンコーダ
(51)【国際特許分類】
G01D 5/244 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
G01D5/244 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039153
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山口 秀雄
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA24
2F077NN28
2F077PP19
2F077TT87
2F077VV02
(57)【要約】
【課題】回転体の回転が妨げられることを抑制できるエンコーダを提供する。
【解決手段】エンコーダ20は、回転軸16の回転を検出するエンコーダであって、圧電素子32と、回転軸16が回転することによって、圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加えて圧電素子32を発電させることができる加力部材34と、エンコーダ20が電力の供給を受けている場合に加力部材34が当該力を圧電素子32に加えることができないようにし、エンコーダ20が電力の供給を受けていない場合に加力部材34が当該力を圧電素子32に加えることができるようにする加力制御部材36とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の回転を検出するエンコーダであって、
圧電素子と、
前記回転体が回転することによって、前記圧電素子を発電させるための力を前記圧電素子に加えて前記圧電素子を発電させることができる加力部材と、
前記エンコーダが電力の供給を受けている場合に前記加力部材が前記力を前記圧電素子に加えることができないようにし、前記エンコーダが電力の供給を受けていない場合に前記加力部材が前記力を前記圧電素子に加えることができるようにする加力制御部材とを備える、
エンコーダ。
【請求項2】
前記加力部材は、磁化されかつ前記回転体とともに回転する第1磁性体と、前記第1磁性体との間に磁力を発生させることができるように磁化されかつ前記第1磁性体が前記回転体とともに回転することによって前記磁力によって前記第1磁性体に対して移動して前記力を前記圧電素子に加えることができる第2磁性体とを有し、
前記加力制御部材は、前記磁力が発生しないようにするための磁界が発生するように巻回されるコイルを有する、
請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項3】
前記コイルは、前記第2磁性体によって発生する磁界を打ち消す磁界が発生するように前記第2磁性体の周りに巻回される、
請求項2に記載のエンコーダ。
【請求項4】
前記第1磁性体は、前記回転体の回転方向にN極およびS極が並ぶように磁化され、
前記第2磁性体は、前記回転体の回転軸線方向にN極およびS極が並ぶように磁化され、前記回転軸線方向において前記第1磁性体と対向するよう設けられ、
前記コイルは、前記回転軸線方向の周りに巻回される、
請求項3に記載のエンコーダ。
【請求項5】
前記加力制御部材は、前記エンコーダが電力の供給を受けている場合に前記磁力が発生しないようにするための磁界が発生するように前記コイルに電力を供給し、かつ前記エンコーダが電力の供給を受けていない場合に前記コイルに電力を供給しない制御部をさらに有する、
請求項2から4のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項6】
前記加力部材は、それぞれが前記回転体とともに回転しかつ前記回転体が回転することによって前記圧電素子と接触して前記力を前記圧電素子に加えることができる1つ以上の突出部を有し、
前記加力制御部材は、前記回転体が回転しても前記圧電素子が前記1つ以上の突出部のそれぞれに接触することができない第1状態になるように前記圧電素子および前記1つ以上の突出部の少なくとも一方を移動させ、かつ前記回転体が回転することによって前記圧電素子が前記1つ以上の突出部のそれぞれに接触することができる第2状態になるように前記圧電素子および前記1つ以上の突出部の少なくとも一方を移動させる移動部を有する、
請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項7】
前記移動部は、前記第1状態になるように前記圧電素子を移動させ、前記第2状態になるように前記圧電素子を移動させる、
請求項6に記載のエンコーダ。
【請求項8】
前記1つ以上の突出部は、複数の突出部であり、前記回転体の回転方向に並び、
前記1つ以上の突出部のそれぞれは、前記回転体の回転軸線方向に突出し、
前記圧電素子は、前記回転体が回転することによって前記1つ以上の突出部のそれぞれと前記回転軸線方向において対向するように設けられ、
前記移動部は、前記第1状態になるように前記圧電素子および前記1つ以上の突出部の少なくとも一方を前記回転軸線方向に移動させ、前記第2状態になるように前記圧電素子および前記1つ以上の突出部の少なくとも一方を前記回転軸線方向に移動させる、
請求項6または7に記載のエンコーダ。
【請求項9】
前記移動部は、磁気によって駆動して前記圧電素子および前記1つ以上の突出部の少なくとも一方を移動させる磁気式駆動機構、または磁気を用いずに駆動して前記圧電素子および前記1つ以上の突出部の少なくとも一方を移動させる機械式駆動機構を有する、
請求項6から8のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項10】
前記加力制御部材は、前記エンコーダが電力の供給を受けている場合に前記第1状態になるように前記移動部を制御し、かつ前記エンコーダが電力の供給を受けていない場合に前記第2状態になるように前記移動部を制御する制御部をさらに有する、
請求項6から9のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項11】
前記圧電素子は、ユニモルフ型の圧電素子である、
請求項1から10のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項12】
前記圧電素子は、バイモルフ型の圧電素子である、
請求項1から10のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【請求項13】
前記圧電素子によって発電された電力を平滑化する平滑回路と、
前記平滑回路によって平滑化された電力に基づいて駆動し、前記圧電素子によって発電された回数をカウントするカウンタ回路とをさらに備える、
請求項1から12のいずれか1項に記載のエンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転体の回転を検出するエンコーダが知られている。たとえば、特許文献1には、圧電素子と、圧電素子に外力を印加する外力印加部と、圧電素子に外力が印加されたことにより発生する起電力を記録する制御部とを有するエンコーダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のエンコーダでは、圧電素子に外力を印加する必要がない場合にも圧電素子に外力を印加してしまい、検出対象である回転体の回転が妨げられるという課題がある。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、回転体の回転が妨げられることを抑制できるエンコーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るエンコーダは、回転体の回転を検出するエンコーダであって、圧電素子と、前記回転体が回転することによって、前記圧電素子を発電させるための力を前記圧電素子に加えて前記圧電素子を発電させることができる加力部材と、前記エンコーダが電力の供給を受けている場合に前記加力部材が前記力を前記圧電素子に加えることができないようにし、前記エンコーダが電力の供給を受けていない場合に前記加力部材が前記力を前記圧電素子に加えることができるようにする加力制御部材とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、回転体の回転が妨げられることを抑制できるエンコーダを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態に係るエンコーダを備えるモータを示す図である。
【
図2】
図2は、
図1のエンコーダにおける、第1磁性体、第2磁性体、コイル、および圧電素子を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1のエンコーダの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1のエンコーダの動作の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図1のエンコーダにおける圧電素子によって発電される電圧を示すグラフである。
【
図6】
図6は、第2の実施の形態に係るエンコーダを備えるモータを示す図である。
【
図7】
図7は、第3の実施の形態に係るエンコーダを備えるモータを示す図である。
【
図8】
図8は、
図7のエンコーダにおける、1つ以上の突出部、および圧電素子を示す図である。
【
図9】
図9は、
図7のエンコーダの動作の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、
図7のエンコーダにおける圧電素子によって発電される電圧を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ならびに、工程および工程の順序等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るエンコーダ20を備えるモータ1を示す図である。
図1は、回転軸16の回転軸線Aを中心とする径方向(
図2の矢印Xを参照)から見た図である。なお、
図1では、ケース18、反射パターン28、第1磁性体38、およびコイル42を断面で示している。
図2は、
図1のエンコーダ20における、第1磁性体38、第2磁性体40、コイル42、および圧電素子32を示す図である。
図2は、回転軸16の回転軸線Aが延びる方向である回転軸線方向(
図1の矢印Yを参照)から見た図である。
図1および
図2を参照して、モータ1について説明する。
【0012】
図1に示すように、モータ1は、本体10と、回転子12と、固定子14と、回転軸16と、ケース18と、エンコーダ20とを備えている。
【0013】
回転子12および固定子14は、本体10に収容されている。回転子12は、固定子14に対して回転する。
【0014】
回転軸16は、回転子12に固定され、回転子12とともに回転軸線A回りに回転する。つまり、回転軸線Aは、回転軸16および回転子12の回転中心である。回転軸16は、回転軸線方向に延び、円柱状等の棒状である。回転軸16の軸心と回転軸線Aとは、相互に一致している。たとえば、回転軸16は、モータ1に電力が供給されると、当該電力に基づいて、回転子12とともに回転軸線Aを回転中心として回転する。回転軸16の回転方向(
図2の矢印Zを参照)は、回転軸線Aを中心とする周方向と一致する。回転軸線方向における回転軸16の一端部には、エンコーダ20が設けられている。たとえば、回転軸線方向における回転軸16の他端部には、回転軸16の回転によって回転駆動される負荷(図示せず)等が取り付けられている。たとえば、回転軸16は、鉄等の磁性体金属によって形成されている。
【0015】
ケース18は、回転軸線方向における回転軸16の一端部、およびエンコーダ20を覆うように、本体10に取り付けられている。たとえば、ケース18は、鉄等の磁性体金属によって形成されている。
【0016】
エンコーダ20は、回転体の回転を検出する。本実施の形態では、回転軸16が、当該回転体に相当し、エンコーダ20は、回転軸16の回転を検出する。たとえば、エンコーダ20は、回転軸16の回転位置、回転軸16の回転方向、および回転軸16の回転数等を検出する。たとえば、エンコーダ20は、アブソリュート方式およびインクリメンタル方式の少なくとも一方によって、回転軸16の回転を検出する。本実施の形態では、エンコーダ20は、バッテリレスエンコーダである。上述したように、本実施の形態では、エンコーダ20は、回転軸線方向における回転軸16の一端部に設けられている。
図1および
図2に示すように、エンコーダ20は、回転板22と、基板24と、受発光素子26と、反射パターン28と、支持部材30と、圧電素子32と、加力部材34と、加力制御部材36とを備えている。
【0017】
回転板22は、回転軸線方向を厚み方向とする板状であり、回転軸線方向に直交する方向に延びる。回転板22は、回転軸線方向から見たとき円形であり、円板状である。回転板22は、回転軸線方向における回転軸16の一端部に取り付けられている。回転板22の軸心と回転軸線Aとは、相互に一致している。回転板22は、回転軸16とともに回転する。
【0018】
基板24は、回転軸線方向を厚み方向とする板状であり、回転軸線方向に直交する方向に延びる。基板24は、回転軸線方向から見たとき円形であり、円板状である。基板24は、回転軸線方向において、回転軸16の一端部および回転板22と間隔を空けて配置され、回転板22と対向している。基板24の軸心と回転軸線Aとは、相互に一致している。基板24は、ケース18の内面に固定されており、回転軸16とともに回転しない。
【0019】
受発光素子26は、基板24の回転板22側の主面に配置されており、外部電源100(
図3を参照)からの電力に基づいて動作する。受発光素子26は、回転軸線方向において、反射パターン28と対向しており、反射パターン28に向かって光を発する。また、受発光素子26は、反射パターン28によって反射した光を受光する。
【0020】
反射パターン28は、回転板22の基板24側の主面に配置されている。反射パターン28は、回転軸16の回転方向に沿って配置され、回転軸線方向から見たとき環状である。たとえば、反射パターン28は、アブソリュートパターンおよびインクリメンタルパターンの少なくとも一方を含んでいる。アブソリュートパターンは、回転軸16の絶対位置を検出するためのパターンである。たとえば、アブソリュートパターンは、光を反射し易い反射領域と光を反射し難い非反射領域とが回転軸16の回転方向に所定の順番で並ぶことによって形成される。インクリメンタルパターンは、回転軸16の相対位置を検出するためのパターンである。たとえば、インクリメンタルパターンは、光を反射し易い反射領域と光を反射し難い非反射領域とが回転軸16の回転方向に交互に並ぶことによって形成される。
【0021】
受発光素子26から発せられて反射パターン28によって反射する光は、回転軸16の回転位置に応じて変化する。エンコーダ20は、反射パターン28によって反射して受発光素子26によって受光された光に基づいて、回転軸16の回転を検出する。このように、本実施の形態では、エンコーダ20は、反射型のエンコーダである。なお、たとえば、エンコーダ20は、透過型のエンコーダであってもよい。
【0022】
支持部材30は、圧電素子32を支持する部材である。本実施の形態では、支持部材30は、板状であり、ケース18に固定されている。
【0023】
圧電素子32は、力を受けることによって発電する。本実施の形態では、圧電素子32は、ユニモルフ型の圧電素子であり、支持部材30に支持されている。たとえば、圧電素子32は、支持部材30に接着される。
【0024】
本実施の形態では、圧電素子32は、回転軸線方向において第1磁性体38および第2磁性体40と対向しており、回転軸線方向に力を受けることによって発電する。具体的には、本実施の形態では、圧電素子32は、回転軸線方向において圧電素子32が縮まる方向に力を受けることによって発電し、回転軸線方向において圧電素子32が伸びる方向に力を受けることによって発電する。
【0025】
本実施の形態では、圧電素子32は、回転軸線方向において、第1磁性体38および第2磁性体40よりも回転子12側に設けられている。
【0026】
加力部材34は、回転軸16が回転することによって、圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加えて圧電素子32を発電させることができる。詳細については後述するが、加力部材34は、エンコーダ20に電力が供給されている場合には回転軸16が回転しても圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加えず、エンコーダ20に電力が供給されていない場合には回転軸16が回転することによって圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加える。加力部材34は、第1磁性体38と、第2磁性体40とを有している。
【0027】
第1磁性体38は、磁化され、回転軸16とともに回転する。本実施の形態では、第1磁性体38は、永久磁石である。なお、たとえば、第1磁性体38は、永久磁石でなくてもよく、外部からの磁場を受けて磁化された磁性体等であってもよい。本実施の形態では、第1磁性体38は、回転板22に固定されており、回転板22が回転軸16とともに回転することによって、回転軸16とともに回転する。本実施の形態では、第1磁性体38は、回転板22の回転子12側の主面に固定されている。
【0028】
本実施の形態では、第1磁性体38は、回転軸16の回転方向にN極およびS極が並ぶように磁化されている。本実施の形態では、第1磁性体38は、回転軸16の回転方向に1つN極および1つS極が並ぶように磁化されている。つまり、本実施の形態では、第1磁性体38の一方側の半分がN極に着磁されており、第1磁性体38の他方側の半分がS極に着磁されている。なお、たとえば、第1磁性体38は、回転軸16の回転方向に複数のN極が並び、複数のN極のうち隣り合う2つのN極の間に1つのS極が位置するように着磁されていてもよい。本実施の形態では、第1磁性体38は、回転軸16の回転方向に沿う環状である。
【0029】
第2磁性体40は、第1磁性体38との間に磁力を発生させることができるように磁化されかつ第1磁性体38が回転軸16とともに回転することによって当該磁力によって第1磁性体38に対して移動して圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加えることができる。たとえば、第1磁性体38および第2磁性体40の同極同士が近づくことによって、第1磁性体38と第2磁性体40との間には、第1磁性体38と第2磁性体40とを相互に遠ざける方向に磁力が発生する。また、たとえば、第1磁性体38および第2磁性体40の異極同士が近づくことによって、第1磁性体38と第2磁性体40との間には、第1磁性体38と第2磁性体40とを相互に近づける方向に磁力が発生する。本実施の形態では、第2磁性体40は、永久磁石である。なお、たとえば、第2磁性体40は、永久磁石でなくてもよく、外部からの磁場を受けて磁化された磁性体等であってもよい。詳細については後述するが、第2磁性体40は、エンコーダ20に電力が供給されている場合には第1磁性体38が回転しても第1磁性体38に対して移動せず、エンコーダ20に電力が供給されていない場合には第1磁性体38が回転することによって第1磁性体38に対して移動する。
【0030】
本実施の形態では、第2磁性体40は、回転軸16の回転軸線方向にN極およびS極が並ぶように磁化され、回転軸線方向において第1磁性体38と対向するよう設けられている。
【0031】
本実施の形態では、第2磁性体40は、N極がS極よりも第1磁性体38側に位置するように磁化されている。なお、たとえば、第2磁性体40は、S極がN極よりも第1磁性体38側に位置するように磁化されていてもよい。本実施の形態では、第2磁性体40は、回転軸線方向に沿う円柱状である。なお、たとえば、第2磁性体40は、円柱状でなくてもよく、多角柱状、板状、筒状等であってもよい。
【0032】
本実施の形態では、第2磁性体40は、回転軸線方向において、第1磁性体38よりも回転子12側に設けられている。
【0033】
本実施の形態では、第2磁性体40は、圧電素子32に接着されている。なお、たとえば、第2磁性体40は、圧電素子32に接着されていなくてもよく、圧電素子32を伸縮させることができるように設けられていればよい。
【0034】
たとえば、第2磁性体40は、第2磁性体40のN極が第1磁性体38のS極と対向することによって第1磁性体38側に移動し、圧電素子32が伸びる方向に圧電素子32に力を加え、圧電素子32を発電させる。また、たとえば、第2磁性体40は、第2磁性体40のN極が第1磁性体38のN極と対向することによって第1磁性体38とは反対側に移動し、圧電素子32が縮まる方向に圧電素子32に力を加え、圧電素子32を発電させる。
【0035】
加力制御部材36は、エンコーダ20が電力の供給を受けている場合に加力部材34が圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加えることができないようにし、エンコーダ20が電力の供給を受けていない場合に加力部材34が当該力を圧電素子32に加えることができるようにする。加力制御部材36は、コイル42と、制御部44とを有している。
【0036】
コイル42は、第1磁性体38と第2磁性体40との間の磁力が発生しないようにするための磁界が発生するように巻回されている。つまり、コイル42に電力が供給されることによって、第1磁性体38と第2磁性体40との間の磁力が発生しないようにするための磁界が発生する。
【0037】
本実施の形態では、コイル42は、第2磁性体40によって発生する磁界を打ち消す磁界が発生するように第2磁性体40の周りに巻回されている。つまり、本実施の形態では、コイル42に電力が供給されることによって、第2磁性体40によって発生する磁界を打ち消す磁界が発生する。本実施の形態では、コイル42は第2磁性体40の磁極が並ぶ方向の周りに巻回され、コイル42の内方に第2磁性体40が位置している。つまり、本実施の形態では、第2磁性体40の磁極が並ぶ方向とコイル42の巻軸線が延びる方向とは、相互に一致している。
【0038】
本実施の形態では、コイル42は、回転軸16の回転軸線方向の周りに巻回される。つまり、本実施の形態では、コイル42の巻軸線が延びる方向は、回転軸16の回転軸線方向と一致している。
【0039】
制御部44は、エンコーダ20が電力の供給を受けている場合に第1磁性体38と第2磁性体40との間の磁力が発生しないようにするための磁界が発生するようにコイル42に電力を供給し、エンコーダ20が電力の供給を受けていない場合にコイル42に電力を供給しない。たとえば、制御部44は、エンコーダ20が電力の供給を受けている場合、当該電力をコイル42に供給する。たとえば、制御部44は、コイル42への電力の供給をオンオフできる回路を含んで構成される。
【0040】
以上、モータ1について説明した。
【0041】
図3は、
図1のエンコーダ20の機能構成を示すブロック図である。
図3を参照して、エンコーダ20の機能構成について説明する。
【0042】
図3に示すように、エンコーダ20は、電圧回路部46と、カウンタ回路部48とを備えている。
【0043】
電圧回路部46は、整流回路50と、平滑回路52とを有している。整流回路50は、圧電素子32によって発電された電力を整流する。平滑回路52は、圧電素子32によって発電された電力を平滑化する。本実施の形態では、平滑回路52は、整流回路50によって整流された電力を平滑化する。
【0044】
カウンタ回路部48は、パルス波形取得回路54と、カウンタ回路56と、不揮発メモリ回路58とを有している。パルス波形取得回路54は、圧電素子32によって発電された電力の波形を取得する。具体的には、パルス波形取得回路54は、圧電素子32によって発電される電力に係るパルスの波形を取得する。カウンタ回路56は、平滑回路52によって平滑化された電力に基づいて駆動し、パルス波形取得回路54によって取得された波形に基づいて、圧電素子32によって発電された回数をカウントする。不揮発メモリ回路58は、カウンタ回路56によってカウントされたカウント結果を記憶する。
【0045】
たとえば、外部電源100からエンコーダ20に電力が供給されている場合、カウンタ回路部48および制御部44は当該電力に基づいて駆動し、当該電力がコイル42に供給される。また、たとえば、外部電源100からエンコーダ20に電力が供給されていない場合、カウンタ回路部48は圧電素子32によって発電された電力に基づいて駆動し、コイル42には電力が供給されない。
【0046】
以上、エンコーダ20の機能構成について説明した。
【0047】
図4は、
図1のエンコーダ20の動作の一例を示す図である。
図5は、
図1のエンコーダ20における圧電素子32によって発電される電圧を示すグラフである。
図1、
図4、および
図5を参照して、エンコーダ20の動作の一例について説明する。
【0048】
図1に示すように、エンコーダ20に外部電源100から電力が供給されている場合、第2磁性体40によって発生する磁界を打ち消す磁界が発生するようにコイル42に電力が供給される。たとえば、第2磁性体40のN極側からコイル42を見たとき、コイル42に所定の大きさの電流が時計回りに流れるように、コイル42に電力が供給される。これによって、第2磁性体40によって発生する磁界が打ち消され、第1磁性体38と第2磁性体40との間に磁力が発生しなくなり、第1磁性体38と第2磁性体40とが相互に引き合うことおよび反発することがなくなるので、回転軸16の回転が妨げられることを抑制できる。
【0049】
図4に示すように、エンコーダ20に外部電源100から電力が供給されていない場合、コイル42には電力が供給されず、コイル42に電流が流れない。したがって、第1磁性体38と第2磁性体40との間に磁力が発生する。これによって、
図4の(a)に示すように、第1磁性体38のN極が第2磁性体40のN極と対向しているとき、第2磁性体40が第1磁性体38から遠ざかる方向に移動し、圧電素子32が縮まる方向に圧電素子32に力が加えられ、圧電素子32は変位し、圧電素子32は発電する。一方、
図4の(b)に示すように、第1磁性体38のS極が第2磁性体40のN極と対向しているとき、第2磁性体40が第1磁性体38に近づく方向に移動し、圧電素子32が伸びる方向に圧電素子32に力が加えられ、圧電素子32は変位し、圧電素子32は発電する。
【0050】
図5に示すように、たとえば、圧電素子32は、圧電素子32が縮まる方向に力を受けた場合にはプラスの電圧を発電し、圧電素子32が伸びる方向に力を受けた場合にはマイナスの電圧を発電する。本実施の形態では、第1磁性体38は回転軸16の回転方向に1つのN極と1つのS極とが並ぶように磁化されているので、圧電素子32は回転軸16が1回転する間に2回発電する。
【0051】
以上、エンコーダ20の動作の一例について説明した。
【0052】
上述したように、エンコーダ20は、外部電源100から電力が供給されていない場合にも駆動することができるとともに、外部電源100から電力が供給されている場合に回転軸16の回転が妨げられることを抑制できる。
【0053】
以上、エンコーダ20について説明した。
【0054】
第1の実施の形態に係るエンコーダ20は、回転軸16の回転を検出するエンコーダであって、圧電素子32と、回転軸16が回転することによって、圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加えて圧電素子32を発電させることができる加力部材34と、エンコーダ20が電力の供給を受けている場合に加力部材34が当該力を圧電素子32に加えることができないようにし、エンコーダ20が電力の供給を受けていない場合に加力部材34が当該力を圧電素子32に加えることができるようにする加力制御部材36とを備える。
【0055】
これによれば、エンコーダ20が電力の供給を受けている場合、加力部材34が圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加えることができないようにするので、当該力が圧電素子32に加えられて回転軸16の回転が妨げられることを抑制できる。また、エンコーダ20が電力の供給を受けていない場合、加力部材34が圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加えることができるようにするので、圧電素子32によって発電された電力を用いてエンコーダ20を駆動させることができる。
【0056】
また、第1の実施の形態に係るエンコーダ20において、加力部材34は、磁化されかつ回転軸16とともに回転する第1磁性体38と、第1磁性体38との間に磁力を発生させることができるように磁化されかつ第1磁性体38が回転軸16とともに回転することによって当該磁力によって第1磁性体38に対して移動して圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加えることができる第2磁性体40とを有し、加力制御部材36は、当該磁力が発生しないようにするための磁界が発生するように巻回されるコイル42を有する。
【0057】
これによれば、コイル42に電力を供給することによって、第1磁性体38と第2磁性体40との間の磁力が発生しないようにでき、第2磁性体40が第1磁性体38に対して移動しないようにできる。このようにして、加力部材34が圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加えることができないようにするので、当該力が圧電素子32に加えられて回転軸16の回転が妨げられることを容易に抑制できる。
【0058】
また、第1の実施の形態に係るエンコーダ20において、コイル42は、第2磁性体40によって発生する磁界を打ち消す磁界が発生するように第2磁性体40の周りに巻回される。
【0059】
これによれば、コイル42に電力を供給することによって、第2磁性体40によって発生する磁界を打ち消す磁界を発生させて第1磁性体38と第2磁性体40との間の磁力が発生しないようにでき、第2磁性体40が第1磁性体38に対して移動しないようにできる。このようにして、加力部材34が圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加えることができないようにするので、当該力が圧電素子32に加えられて回転軸16の回転が妨げられることをさらに容易に抑制できる。
【0060】
また、第1の実施の形態に係るエンコーダ20において、第1磁性体38は、回転軸16の回転方向にN極およびS極が並ぶように磁化され、第2磁性体40は、回転軸16の回転軸線方向にN極およびS極が並ぶように磁化され、当該回転軸線方向において第1磁性体38と対向するよう設けられ、コイル42は、当該回転軸線方向の周りに巻回される。
【0061】
これによれば、回転軸16の回転軸線を中心とする径方向においてエンコーダ20が大きくなることを抑制しつつ、圧電素子32を発電させるための力が圧電素子32に加えられて回転軸16の回転が妨げられることを容易に抑制できる。
【0062】
また、第1の実施の形態に係るエンコーダ20において、加力制御部材36は、エンコーダ20が電力の供給を受けている場合に第1磁性体38と第2磁性体40との間の磁力が発生しないようにするための磁界が発生するようにコイル42に電力を供給し、かつエンコーダ20が電力の供給を受けていない場合にコイル42に電力を供給しない制御部44をさらに有する。
【0063】
これによれば、エンコーダ20が電力の供給を受けている場合、コイル42に電力を供給するので、圧電素子32を発電させるための力が圧電素子32に加えられて回転軸16の回転が妨げられることをより確実に抑制できる。また、エンコーダ20が電力の供給を受けていない場合、コイル42に電力を供給しないので、圧電素子32によって発電された電力を用いてエンコーダ20をより確実に駆動させることができる。
【0064】
また、第1の実施の形態に係るエンコーダ20において、圧電素子32は、ユニモルフ型の圧電素子である。
【0065】
これによれば、ユニモルフ型の圧電素子32を用いて、回転軸16の回転が妨げられることを抑制できる。
【0066】
また、第1の実施の形態に係るエンコーダ20は、圧電素子32によって発電された電力を平滑化する平滑回路52と、平滑回路52によって平滑化された電力に基づいて駆動し、圧電素子32によって発電された回数をカウントするカウンタ回路56とをさらに備える。
【0067】
これによれば、エンコーダ20が電力の供給を受けていない場合、回転軸16の回転を容易に検出できる。
【0068】
(第2の実施の形態)
図6は、第2の実施の形態に係るエンコーダ20aを備えるモータ1aを示す図である。
図6を参照して、モータ1aについて説明する。
【0069】
図6に示すように、モータ1aは、エンコーダ20とは異なるエンコーダ20aを備えている点において、モータ1と主に異なっている。以下では、モータ1と異なる点を主に説明する。
【0070】
エンコーダ20aは、支持部材30を備えておらず、圧電素子32に代えて圧電素子32aを備えている点において、エンコーダ20と主に異なっている。
【0071】
圧電素子32aは、バイモルフ型の圧電素子である。本実施の形態では、圧電素子32aの一端部は、ケース18に固定されている。圧電素子32aは、圧電素子32と同じようにして、第2磁性体40が第1磁性体38に対して移動することによって発電する。
【0072】
エンコーダ20aは、エンコーダ20と同じように、外部電源100から電力が供給されていない場合にも駆動することができるとともに、外部電源100から電力が供給されている場合に回転軸16の回転が妨げられることを抑制できる。
【0073】
以上、エンコーダ20aについて説明した。
【0074】
第2の実施の形態に係るエンコーダ20aにおいて、圧電素子32aは、バイモルフ型の圧電素子である。
【0075】
これによれば、バイモルフ型の圧電素子32aを用いて、回転軸16の回転が妨げられることを抑制できる。
【0076】
(第3の実施の形態)
図7は、第3の実施の形態に係るエンコーダ20bを備えるモータ1bを示す図である。
図7は、回転軸16の回転軸線Aを中心とする径方向(
図8の矢印Xを参照)から見た図である。なお、
図7では、ケース18、および反射パターン28を断面で示している。
図8は、
図7のエンコーダ20bにおける、1つ以上の突出部60、および圧電素子32を示す図である。
図8は、回転軸16の回転軸線Aが延びる方向である回転軸線方向(
図7の矢印Yを参照)から見た図である。
図7および
図8を参照して、モータ1bについて説明する。
【0077】
図7に示すように、モータ1bは、エンコーダ20とは異なるエンコーダ20bを備えている点において、モータ1と主に異なっている。以下では、モータ1と異なる点を主に説明する。
【0078】
エンコーダ20bは、加力部材34に代えて加力部材34bを備え、加力制御部材36に代えて加力制御部材36bを備えている点において、エンコーダ20と主に異なっている。
【0079】
加力部材34bは、回転軸16が回転することによって、圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加えて圧電素子32を発電させることができる。詳細については後述するが、加力部材34bは、エンコーダ20bに電力が供給されている場合には回転軸16が回転しても圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加えず、エンコーダ20bに電力が供給されていない場合には回転軸16が回転することによって圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加える。加力部材34bは、1つ以上の突出部60を有している。
【0080】
1つ以上の突出部60は、それぞれが回転軸16とともに回転しかつ回転軸16が回転することによって圧電素子32と接触して圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加えることができる。つまり、1つ以上の突出部60のそれぞれは、回転軸16とともに回転しかつ回転軸16が回転することによって圧電素子32と接触して圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加えることができる。本実施の形態では、1つ以上の突出部60は、回転板22に設けられており、回転板22が回転軸16とともに回転することによって、回転軸16とともに回転する。本実施の形態では、1つ以上の突出部60は、回転板22の回転子12側の主面に設けられている。
【0081】
本実施の形態では、1つ以上の突出部60は、複数(2つ)の突出部60であり、回転軸16の回転方向に並んでいる。なお、たとえば、1つ以上の突出部60は、3つ以上の突出部60であってもよく、3つ以上の突出部60が、回転軸16の回転方向に並んでいてもよい。
【0082】
本実施の形態では、1つ以上の突出部60のそれぞれは、回転軸16の回転軸線方向に突出している。本実施の形態では、1つ以上の突出部60のそれぞれは、回転軸線方向における回転子12側に突出している。
【0083】
圧電素子32は、回転軸16が回転することによって1つ以上の突出部60のそれぞれと回転軸線方向において対向するように設けられている。つまり、圧電素子32は、回転軸16が回転することによって、1つ以上の突出部60のそれぞれと回転軸線方向において対向する。たとえば、圧電素子32は、1つ以上の突出部60のうちのある突出部60と回転軸線方向において対向している状態から回転軸16が回転することによって、1つ以上の突出部60のうちの当該ある突出部60とは異なる突出部60と回転軸線方向において対向する。
【0084】
本実施の形態では、圧電素子32は、移動部62に接着されている。なお、たとえば、圧電素子32は、移動部62に接着されていなくてもよく、移動部62によって移動できるように設けられていればよい。
【0085】
加力制御部材36bは、エンコーダ20bが電力の供給を受けている場合に加力部材34bが圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加えることができないようにし、エンコーダ20bが電力の供給を受けていない場合に加力部材34bが当該力を圧電素子32に加えることができるようにする。加力制御部材36bは、移動部62と、制御部44bとを有している。
【0086】
移動部62は、回転軸16が回転しても圧電素子32が1つ以上の突出部60のそれぞれに接触することができない第1状態になるように圧電素子32および1つ以上の突出部60の少なくとも一方を移動させ、回転軸16が回転することによって圧電素子32が1つ以上の突出部60のそれぞれに接触することができる第2状態になるように圧電素子32および1つ以上の突出部60の少なくとも一方を移動させる。つまり、圧電素子32は、第1状態の場合、回転軸16が回転しても1つ以上の突出部60のそれぞれに接触しない。また、圧電素子32は、第2状態の場合、回転軸16が回転することによって1つ以上の突出部60のそれぞれと接触する。
【0087】
本実施の形態では、移動部62は、第1状態になるように圧電素子32を移動させ、第2状態になるように圧電素子32を移動させる。本実施の形態では、移動部62は、第1状態になるように圧電素子32を回転軸線方向に移動させ、第2状態になるように圧電素子32を回転軸線方向に移動させる。つまり、本実施の形態では、移動部62は、圧電素子32を回転軸線方向における突出部60とは反対側に移動させることによって第1状態にし、圧電素子32を回転軸線方向における突出部60側に移動させることによって第2状態にする。
【0088】
たとえば、移動部62は、磁気によって駆動して圧電素子32および1つ以上の突出部60の少なくとも一方を移動させる磁気式駆動機構、または磁気を用いずに駆動して圧電素子32および1つ以上の突出部60の少なくとも一方を移動させる機械式駆動機構を有する。たとえば、磁気式駆動機構はソレノイド等を含んで構成され、磁気によってソレノイドを稼働させることによって移動部62が移動し、移動部62が移動することによって圧電素子32が移動する。また、たとえば、機械式駆動機構は、油圧アクチュエータ等を含んで構成され、油圧によって油圧アクチュエータを伸縮させることによって移動部62が移動し、移動部62が移動することによって圧電素子32が移動する。
【0089】
制御部44bは、エンコーダ20bが電力の供給を受けている場合に第1状態になるように移動部62を制御し、エンコーダ20bが電力の供給を受けていない場合に第2状態になるように移動部62を制御する。たとえば、制御部44bは、エンコーダ20bが電力の供給を受けている場合に第1状態となるようにソレノイドまたは油圧アクチュエータ等を駆動させ、エンコーダ20bが電力の供給を受けていない場合に第2状態となるようにソレノイドまたは油圧アクチュエータ等を駆動させる。たとえば、制御部44bは、プロセッサ等を含んで構成される。
【0090】
以上、モータ1bについて説明した。
【0091】
図9は、
図7のエンコーダ20bの動作の一例を示す図である。
図10は、
図7のエンコーダ20bにおける圧電素子32によって発電される電圧を示すグラフである。
図7、
図9、および
図10を参照して、エンコーダ20bの動作の一例について説明する。
【0092】
図7に示すように、エンコーダ20bに外部電源100から電力が供給されている場合、移動部62は、第1状態になるように圧電素子32を移動させ、圧電素子32を1つ以上の突出部60のそれぞれと接触しない位置に配置する。これによって、回転軸16が回転しても1つ以上の突出部60のそれぞれが圧電素子32と接触することがなくなり、回転軸16の回転が妨げられることを抑制できる。
【0093】
図9に示すように、エンコーダ20bに外部電源100から電力が供給されていない場合、移動部62は、第2状態になるように圧電素子32を移動させ、圧電素子32を1つ以上の突出部60のそれぞれと接触できる位置に配置する。したがって、回転軸16が回転することによって、圧電素子32と1つ以上の突出部60のそれぞれとが接触し、圧電素子32と1つ以上の突出部60のそれぞれとの間に力が発生する。これによって、
図9の(a)に示すように、回転軸線方向において圧電素子32と突出部60とが対向しているとき、圧電素子32と突出部60とが接触し、圧電素子32が縮まる方向に圧電素子32に力が加えられ、圧電素子32は変位し、圧電素子32は発電する。一方、
図9の(b)に示すように、回転軸線方向において圧電素子32と突出部60とが対向していないとき、圧電素子32と突出部60とは接触せず、圧電素子32は変位せず、圧電素子32は発電しない。
【0094】
図10に示すように、たとえば、圧電素子32は、圧電素子32が縮まる方向に力を受けた場合にはプラスの電圧を発電する。本実施の形態では、2つの突出部60が回転軸16の回転方向に並んでいるので、圧電素子32は回転軸16が1回転する間に2回発電する。
【0095】
以上、エンコーダ20bの動作の一例について説明した。
【0096】
上述したように、エンコーダ20bは、エンコーダ20と同様、外部電源100から電力が供給されていない場合にも駆動することができるとともに、外部電源100から電力が供給されている場合に回転軸16の回転が妨げられることを抑制できる。
【0097】
以上、エンコーダ20bについて説明した。
【0098】
第2の実施の形態に係るエンコーダ20bにおいて、加力部材34bは、それぞれが回転軸16とともに回転しかつ回転軸16が回転することによって圧電素子32と接触して圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加えることができる1つ以上の突出部60を有し、加力制御部材36bは、回転軸16が回転しても圧電素子32が1つ以上の突出部60のそれぞれに接触することができない第1状態になるように圧電素子32を移動させ、かつ回転軸16が回転することによって圧電素子32が1つ以上の突出部60のそれぞれに接触することができる第2状態になるように圧電素子32を移動させる移動部62を有する。
【0099】
これによれば、圧電素子32が1つ以上の突出部60のそれぞれに接触することができない第1状態になるように圧電素子32を移動させることができる。このようにして、加力部材34bが圧電素子32を発電させるための力を圧電素子32に加えることができないようにするので、当該力が圧電素子32に加えられて回転軸16の回転が妨げられることを容易に抑制できる。
【0100】
また、第2の実施の形態に係るエンコーダ20bにおいて、移動部62は、第1状態になるように圧電素子32を移動させ、第2状態になるように圧電素子32を移動させる。
【0101】
これによれば、第1状態に容易にできるとともに、第2状態に容易にできるので、圧電素子32を発電させるための力が圧電素子32に加えられて回転軸16の回転が妨げられることをさらに容易に抑制できる。
【0102】
また、第2の実施の形態に係るエンコーダ20bにおいて、1つ以上の突出部60は、複数の突出部60であり、回転軸16の回転方向に並び、1つ以上の突出部60のそれぞれは、回転軸16の回転軸線方向に突出し、圧電素子32は、回転軸16が回転することによって1つ以上の突出部60のそれぞれと回転軸線方向において対向するように設けられ、移動部62は、第1状態になるように圧電素子32を回転軸線方向に移動させ、第2状態になるように圧電素子32を回転軸線方向に移動させる。
【0103】
これによれば、回転軸16の回転軸線を中心とする径方向においてエンコーダ20bが大きくなることを抑制しつつ、圧電素子32を発電させるための力が圧電素子32に加えられて回転軸16の回転が妨げられることを容易に抑制できる。
【0104】
また、第2の実施の形態に係るエンコーダ20bにおいて、移動部62は、磁気によって駆動して圧電素子32を移動させる磁気式駆動機構、または磁気を用いずに駆動して圧電素子32を移動させる機械式駆動機構を有する。
【0105】
これによれば、磁気を用いてまたは磁気を用いずに、圧電素子32を容易に移動させることができるので、圧電素子32を発電させるための力が圧電素子32に加えられて回転軸16の回転が妨げられることをさらに容易に抑制できる。
【0106】
第2の実施の形態に係るエンコーダ20bにおいて、加力制御部材36bは、エンコーダ20bが電力の供給を受けている場合に第1状態になるように移動部62を制御し、かつエンコーダ20bが電力の供給を受けていない場合に第2状態になるように移動部62を制御する制御部44bをさらに有する。
【0107】
これによれば、エンコーダ20bが電力の供給を受けている場合、第1状態になるように移動部62を制御するので、圧電素子32を発電させるための力が圧電素子32に加えられて回転軸16の回転が妨げられることをより確実に抑制できる。また、エンコーダ20bが電力の供給を受けていない場合、第2状態になるように移動部62を制御するので、圧電素子32によって発電された電力を用いてエンコーダ20bをより確実に駆動させることができる。
【0108】
(他の実施の形態等)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態について説明した。しかしながら、本開示による技術は、これらに限定されず、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態または変形例にも適用可能である。
【0109】
上述した実施の形態では、エンコーダ20,20a,20bが、1つの圧電素子32を備えている場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、エンコーダ20,20a,20bは、複数の圧電素子32を備えていてもよい。この場合、たとえば、複数の圧電素子32は、第1磁性体38のN極とS極とが並ぶ角度間隔と異なる間隔で、回転軸16の回転方向に並んでいてもよい。また、この場合、たとえば、複数の圧電素子32は、1つ以上の突出部60が並ぶ角度間隔と異なる間隔で、回転軸16の回転方向に並んでいてもよい。
【0110】
また、上述した実施の形態では、第1磁性体38が、回転板22の回転子12側に設けられる場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、第1磁性体38は、回転板22の回転子12とは反対側に設けられてもよい。この場合、たとえば、第1磁性体38は、円板状であってもよい。また、この場合、たとえば、第2磁性体40および圧電素子32は、第1磁性体38よりも回転子12とは反対側に設けられてもよい。
【0111】
また、上述した実施の形態では、第1磁性体38が、回転板22に設けられる場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、第1磁性体38は、回転板22とは異なる部材を介して回転軸16に固定されていてもよい。また、たとえば、第1磁性体38は、第1磁性体38の中心に回転軸16が圧入される等して、回転軸16に直接的に固定されていてもよい。
【0112】
また、上述した実施の形態では、第2磁性体40が、回転軸16の回転軸線方向にN極およびS極が並ぶように磁化され、回転軸線方向において第1磁性体38と対向するよう設けられる場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、第2磁性体40は、回転軸16の回転軸線を中心とする径方向にN極およびS極が並ぶように磁化され、当該径方向において第1磁性体38と対向するように設けられてもよい。この場合、たとえば、圧電素子32は、第2磁性体40よりも第1磁性体38とは反対側に設けられてもよい。これによって、第2磁性体40を第1磁性体38に対して当該径方向に移動させることができ、圧電素子32に当該径方向への力を加えて圧電素子32を発電させることができる。
【0113】
また、上述した実施の形態では、コイル42が、第2磁性体40によって発生する磁界を打ち消す磁界が発生するように巻回される場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、コイル42は、第1磁性体38によって発生する磁界を打ち消す磁界が発生するように巻回されてもよい。
【0114】
また、上述した実施の形態では、1つ以上の突出部60が、回転板22の回転子12側に設けられる場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、1つ以上の突出部60は、回転板22の回転子12とは反対側に設けられてもよく、回転子12とは反対側に突出してもよい。この場合、たとえば、圧電素子32は、1つ以上の突出部60よりも回転子12とは反対側に設けられてもよい。
【0115】
また、上述した実施の形態では、移動部62は、圧電素子32を回転軸線方向に移動させる場合ついて説明したが、これに限定されない。たとえば、移動部62は、圧電素子32を回転軸線Aを中心とする径方向に移動させて第1状態および第2状態にしてもよい。
【0116】
また、上述した実施の形態では、1つ以上の突出部60が、回転板22に設けられる場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、1つ以上の突出部60は、回転板22とは異なる部材に設けられていてもよい。
【0117】
また、上述した実施の形態では、1つ以上の突出部60のそれぞれが、回転軸16の回転軸線方向に突出し、圧電素子32が、回転軸16が回転することによって1つ以上の突出部60のそれぞれと回転軸線方向において対向するように設けられる場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、1つ以上の突出部60のそれぞれは、回転軸16の回転軸線を中心とする径方向に突出し、圧電素子32は、回転軸16が回転することによって1つ以上の突出部60のそれぞれと当該径方向において対向するように設けられてもよい。これによって、圧電素子32に当該径方向への力を加えて圧電素子32を発電させることができる。この場合、たとえば、移動部62は、圧電素子32を当該径方向に移動させて第1状態および第2状態にしてもよいし、圧電素子32を回転軸線方向に移動させて第1状態および第2状態にしてもよい。
【0118】
また、上述した実施の形態では、移動部62が、第1状態になるように圧電素子32を移動させ、第2状態になるように圧電素子32を移動させる場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、移動部62は、第1状態になるように1つ以上の突出部60を移動させてもよいし、第2状態になるように1つ以上の突出部60を移動させてもよい。また、たとえば、移動部62は、第1状態になるように圧電素子32および1つ以上の突出部60の両方を移動させてもよいし、第2状態になるように圧電素子32および1つ以上の突出部60の両方を移動させてもよい。たとえば、移動部62が1つ以上の突出部60のそれぞれを移動させる場合、1つ以上の突出部60のそれぞれは、油圧等によって進退できるように構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本開示に係るエンコーダは、モータの回転軸等の回転体の回転検出に利用可能である。
【符号の説明】
【0120】
1,1a,1b モータ
10 本体
12 回転子
14 固定子
16 回転軸
18 ケース
20,20a,20b エンコーダ
22 回転板
24 基板
26 受発光素子
28 反射パターン
30 支持部材
32,32a 圧電素子
34,34b 加力部材
36,36b 加力制御部材
38 第1磁性体
40 第2磁性体
42 コイル
44,44b 制御部
46 電圧回路部
48 カウンタ回路部
50 整流回路
52 平滑回路
54 パルス波形取得回路
56 カウンタ回路
58 不揮発メモリ回路
60 突出部
62 移動部