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特開2023-133921発電システム、制御装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133921
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】発電システム、制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/04 20060101AFI20230920BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H02P9/04 Z
H02J3/38 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039178
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高島 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】柏木 克巳
(72)【発明者】
【氏名】日置 一太郎
【テーマコード(参考)】
5G066
5H590
【Fターム(参考)】
5G066HB01
5H590CA07
5H590CA28
5H590CE02
5H590DD64
5H590EA15
5H590FC25
5H590GA02
5H590HA02
5H590JA02
5H590JB06
5H590KK01
5H590KK04
5H590KK06
(57)【要約】
【課題】複数の発電設備の特性が互いに異なる場合であっても同期制御を効率的に実行可能にする。
【解決手段】実施形態の発電システムは、複数の発電設備と遮断器と制御装置とを備える。制御装置は、設定部と原動機制御部と発電機制御部と同期判定部と遮断器制御部とを備える。設定部は、発電設備毎に発電設備の制御に関する設定値を設定する。原動機制御部は、設定値に基づいて原動機を制御するための原動機制御信号を各原動機に出力する。発電機制御部は、設定値に基づいて発電機を制御するための発電機制御信号を各発電機に出力する。同期判定部は、主電源の出力電圧と発電設備の出力電圧とが同期しているか否かを判定する。遮断器制御部は、同期判定部の判定結果に基づいて遮断器を制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが原動機と前記原動機の動力により発電する発電機とを備える複数の発電設備と、
主電源と負荷との接続状態、及び複数の前記発電設備の少なくとも一つと前記負荷との接続状態を切り替える遮断器と、
前記発電設備及び前記遮断器を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記発電設備毎に前記発電設備の制御に関する設定値を設定する設定部と、
前記設定値に基づいて前記原動機を制御するための原動機制御信号を各前記原動機に出力する原動機制御部と、
前記設定値に基づいて前記発電機を制御するための発電機制御信号を各前記発電機に出力する発電機制御部と、
前記主電源の出力電圧と前記発電設備の出力電圧とが同期しているか否かを判定する同期判定部と、
前記同期判定部の判定結果に基づいて前記遮断器を制御する遮断器制御部と、
を備える、
発電システム。
【請求項2】
前記設定値は、前記原動機制御信号の出力周期を前記原動機毎に定めた原動機設定値と、前記発電機制御信号の出力周期を前記発電機毎に定めた発電機設定値とを含み、
前記原動機制御部は、前記原動機設定値に基づいて前記原動機制御信号を各前記原動機対して各前記原動機に対応する出力周期で出力し、
前記発電機制御部は、前記発電機設定値に基づいて前記発電機制御信号を各前記発電機に対して各前記発電機に対応する出力周期で出力する、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記主電源の出力電圧と前記発電設備の出力電圧とを同期させる同期制御の開始後、同期しない状態が所定時間以上継続した場合に、警報を出力するための処理を行う警報出力部、
を更に備える請求項1又は2に記載の発電システム。
【請求項4】
それぞれが原動機と前記原動機の動力により発電する発電機とを備える複数の発電設備と、主電源と負荷との接続状態、及び複数の前記発電設備の少なくとも一つと前記負荷との接続状態を切り替える遮断器とを制御する制御装置であって、
前記発電設備毎に前記発電設備の制御に関する設定値を設定する設定部と、
前記設定値に基づいて前記原動機を制御するための原動機制御信号を各前記原動機に出力する原動機制御部と、
前記設定値に基づいて前記発電機を制御するための発電機制御信号を各前記発電機に出力する発電機制御部と、
前記主電源の出力電圧と前記発電設備の出力電圧とが同期しているか否かを判定する同期判定部と、
前記同期判定部の判定結果に基づいて前記遮断器を制御する遮断器制御部と、
を備える制御装置。
【請求項5】
それぞれが原動機と前記原動機の動力により発電する発電機とを備える複数の発電設備と、主電源と負荷との接続状態、及び複数の前記発電設備の少なくとも一つと前記負荷との接続状態を切り替える遮断器とを制御するコンピュータに、
前記発電設備毎に前記発電設備の制御に関する設定値を設定する処理と、
前記設定値に基づいて前記原動機を制御するための原動機制御信号を各前記原動機に出力する処理と、
前記設定値に基づいて前記発電機を制御するための発電機制御信号を各前記発電機に出力する処理と、
前記主電源の出力電圧と前記発電設備の出力電圧とが同期しているか否かを判定する処理と、
前記主電源の出力電圧と前記発電設備の出力電圧とが同期しているか否かの判定結果に基づいて前記遮断器を制御する処理と、
実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発電システム、制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院等の施設において複数の非常用発電設備が備えられる場合がある。このような非常用発電設備の出力電力を商用電源等の主電源の出力電力と共同して所定の負荷(例えば医療機器等)に供給しようとする場合、非常用発電設備の出力電圧と主電源の出力電圧とを同期させる同期処理が必要となる。このとき、複数の非常用発電設備の特性が互いに異なっている場合、全ての非常用発電設備に対して同様の制御を実施すると、同期処理を効率的に行えない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-18095号公報
【特許文献2】特開2020-43647号公報
【特許文献3】特開2010-93884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、複数の発電設備の特性が互いに異なる場合であっても同期制御を効率的に実行可能な発電システム、制御装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の発電システムは、複数の発電設備と、遮断器と、制御装置とを備える。複数の発電設備のそれぞれは、原動機と、原動機の動力により発電する発電機とを備える。遮断器は、主電源と負荷との接続状態、及び複数の発電設備の少なくとも一つと負荷との接続状態を切り替える。制御装置は、発電設備及び遮断器を制御する。制御装置は、設定部と、原動機制御部と、発電機制御部と、同期判定部と、遮断器制御部とを備える。設定部は、発電設備毎に発電設備の制御に関する設定値を設定する。原動機制御部は、設定値に基づいて原動機を制御するための原動機制御信号を各原動機に出力する。発電機制御部は、設定値に基づいて発電機を制御するための発電機制御信号を各発電機に出力する。同期判定部は、主電源の出力電圧と発電設備の出力電圧とが同期しているか否かを判定する。遮断器制御部は、同期判定部の判定結果に基づいて遮断器を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態の発電システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態の制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態の制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態の設定値のデータ構造の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態の制御装置による処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
【0008】
図1は、実施形態の発電システム1の構成の一例を示す図である。発電システム1は、病院等の施設において所定の負荷(例えば医療機器、照明、空調装置等)に電力を供給するシステムであり、商用電源(主電源の一例)の停電、出力低下等の非常時においても負荷への電力供給を可能にする機能を有する。
【0009】
本実施形態の発電システム1は、複数の発電設備11A~11F、第1遮断器31、第2遮断器41及び制御装置51を備える。
【0010】
複数の発電設備11A~11Fのそれぞれは、原動機21A~21F及び発電機22A~22Fを備える。原動機21A~21Fは、動力を発生させる機構であり、例えばエンジン、燃料供給制御装置等を利用して構成され得る。発電機22A~22Fは、原動機21A~21Fの動力により発電する機構であり、例えばオルタネータ、AVR(Automatic Voltage Regulator)等を利用して構成され得る。
【0011】
本実施形態では、6つの発電設備11A~11Fが備えられている。第1発電設備11Aは、第1原動機21A及び第1発電機22Aを備える。第2発電設備11Bは、第2原動機21B及び第2発電機22Bを備える。第3発電設備11Cは、第3原動機21C及び第3発電機22Cを備える。第4発電設備11Dは、第4原動機21D及び第4発電機22Dを備える。第5発電設備11Eは、第5原動機21E及び第5発電機22Eを備える。第6発電設備11Fは、第6原動機21F及び第6発電機22Fを備える。なお、発電設備の数は上記に限定されるものではない。
【0012】
第1~第6原動機21A~21Fのうちの少なくとも一つの原動機(例えば第1原動機21A)の特性は、他の原動機(例えば第2原動機21B)の特性と異なっている。また、第1~第6発電部22A~22Fのうちの少なくとも一つの発電機(例えば第1発電機22A)の特性は、他の発電機(例えば第2発電機22B)の特性と異なっている。特性とは、例えば、機種、仕様等に基づく応答性等であり得る。応答性とは、例えば、原動機21A~21Fの周波数(回転速度)や発電機22A~22Fの出力電圧値が、目標値を示す制御信号の受信時から当該目標値に達するまでの経過時間等に基づく指標である。この場合、当該経過時間が短いほど応答性が高いと言える。
【0013】
また、本実施形態においては、第1、第2、第3及び第5発電設備11A,11B,11C,11Eは、通常時(商用電源稼働時)及び非常時の両方で使用される兼用の発電設備であり、第4及び第6発電設備11D,11Fは、非常時のみに使用される非常用の発電設備である。兼用の発電設備11A,11B,11C,11Eは、通常時であっても所定条件下(例えば発電コストの削減や出力増強等が必要な状況下)で駆動し、商用電源と共同で負荷に電力を供給する。
【0014】
第1遮断器31は、商用電源と接続する母線55と6本の配電線56A~56Fとの接続状態(ON/OFF)を切り替える。6本の配電線56A~56Fは、それぞれ第1~第6発電機22A~22Fと負荷とを接続している。第2遮断器41は、6本の配電線56A~56Fのそれぞれと負荷との接続状態を切り替える。第1遮断器31は、母線55と6本の配電線56A~56Fのそれぞれとの接続状態を切り替え可能な6つの同期点31A~31Fを有している。これらの同期点31A~31Fを個別に制御することにより、母線55と6本の配電線56A~56Fのそれぞれとの接続状態を個別に切り替えることができる。第2遮断器41は、6本の配電線56A~56Fのそれぞれと負荷との接続状態を切り替え可能な6つの同期点41A~41Fを有している。これらの同期点41A~41Fを個別に制御することにより、6本の配電線56A~56Fのそれぞれと負荷との接続状態を個別に切り替えることができる。
【0015】
制御装置51は、発電設備11A~11F、第1遮断器31及び第2遮断器41を制御する。制御装置51は、商用電源の停電時等の非常時において、発電設備11A~11Fのうちの少なくとも一つにより負荷に電力供給されるように発電設備11A~11F、第1遮断器31及び第2遮断器41を制御する。また、制御装置51は、商用電源と兼用の発電設備11A,11B,11C,11Eのうちの少なくとも一つとが共同で負荷に電力供給する場合に、兼用の発電設備11A,11B,11C,11Eの出力電圧を商用電源の出力電圧(母線電圧)に同期させる同期制御を行う。
【0016】
図2は、実施形態の制御装置51のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。ここで例示する制御装置51は、CPU(Central Processing Unit)61、RAM(Random Access Memory)62、ROM(Read Only Memory)63、ストレージ64、通信I/F(Interface)65及びユーザI/F66を備える。
【0017】
CPU61は、ROM63やストレージ64に記憶されたプログラムに従いRAM62をワーキングエリアとして所定の演算処理や制御処理を行う。ストレージ64は、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性メモリであり、CPU61による処理を行うために必要なプログラム、データ等を記憶する。通信I/F65は、適宜なコンピュータネットワークを介して外部装置(発電設備11A~11F、第1遮断器31、第2遮断器41等)との間で信号の送受を可能にするデバイスである。ユーザI/F66は、制御装置51とユーザ(発電システム1の管理者等)との間で情報の送受を可能にするデバイスであり、例えばキーボード、マウス、タッチパネル機構、マイク、ディスプレイ、スピーカ等である。CPU61、RAM62、ROM63、ストレージ64、通信I/F65及びユーザI/F66は、バスを介して互いに通信可能に接続されている。なお、制御装置51のハードウェア構成は上記に限定されるものではない。
【0018】
図3は、実施形態の制御装置51の機能構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の制御装置51は、設定部101、原動機制御部102、発電機制御部103、同期判定部104、遮断器制御部105及び警報出力部106を備える。これらの機能的構成要素101~106は、例えば、図2に示すハードウェア構成及びプログラムの協働により実現される。なお、これらの機能的要素101~106は、物理的に分割された複数のハードウェアにより構成されてもよい。
【0019】
設定部101は、発電設備11A~11F毎に発電設備11A~11Fの制御に関する設定値111を設定する。設定値111は、各発電設備11A~11Fの原動機21A~21F又は発電機22A~22Fの特性に基づく情報であり、発電設備11A~11Fの出力電圧と商用電源の出力電圧とを同期させる同期制御の効率を向上させるように作用する。設定値111の設定は適宜な手法を用いて実行され得るが、例えば、ユーザが制御装置51のユーザI/F66を操作して入力すること等により実現され得る。
【0020】
図4は、実施形態の設定値111のデータ構造の一例を示す図である。図4に示されるように、設定値111は、発電設備11A~11F毎に定められた、周波数指令出力周期及び電圧値指令出力周期を含む。
【0021】
周波数指令出力周期は、各原動機21A~21Fに対して目標周波数を伝達する原動機制御信号である周波数指令を出力する周期(パルス幅)を示す値である。周波数指令出力周期は、各原動機21A~21Fの応答性が高いほど長くなるように設定される。すなわち、原動機21A~21Fの応答性が低いほど周波数指令が頻繁に出力されるように設定される。図4に示される例では、第1原動機21Aの応答性が第2原動機21Bより低いため、第1発電設備11Aの周波数指令出力周期(1S)が第2発電設備11Bの周波数指令出力周期(3S)より短く設定されている。
【0022】
電圧値指令出力周期は、各発電機22A~22Fに対して目標電圧値(振幅)を伝達する発電機制御信号である電圧値指令を出力する周期を示す値である。電圧値指令出力周期は、周波数指令周期と同様に、各発電機22A~22Fの応答性が高いほど長くなるように設定される。すなわち、発電機22A~22Fの応答性が低いほど電圧値指令が頻繁に出力されるように設定される。
【0023】
図3に戻り、原動機制御部102は、設定値111に基づいて原動機21A~21Fを制御するための原動機制御信号を各原動機21A~21Fに出力する。原動機制御部102は、各原動機21A~21FからのFB(フィードバック)信号(例えば現在の周波数と目標周波数との差分等)に基づいて原動機制御信号を原動機21A~21F毎に生成する。設定値111が上記のような周波数指令出力周期を含む場合、原動機制御部102は、原動機制御信号としての周波数指令を制御対象となる発電設備11A~11Fに対応する出力周期で出力する。
【0024】
発電機制御部103は、設定値111に基づいて発電機22A~22Fを制御するための発電機制御信号を各発電機22A~22Fに出力する。発電機制御部103は、各発電機22A~22FからのFB信号(例えば現在の出力電圧値と目標電圧値との差分等)に基づいて発電機制御信号を発電機22A~22F毎に生成する。設定値111が上記のような電圧値指令出力周期を含む場合、発電機制御部103は、発電機制御信号としての電圧値指令を制御対象となる発電設備11A~11Fに対応する出力周期で出力する。
【0025】
同期判定部104は、商用電源の出力電圧(母線電圧)と発電設備11A~11Fの出力電圧とが同期しているか否かを判定する。同期の判定は適宜な手法を用いて実行され得るが、例えば、同期制御の対象となる発電設備(兼用の発電設備11A,11B,11C,11Eのうちの少なくとも一つ)の出力電圧の電圧値及び位相と、母線電圧の電圧値及び位相とが所定の誤差範囲内になったときに同期が完了したと判定される。
【0026】
遮断器制御部105は、同期判定部104の判定結果に基づいて第1遮断器31及び第2遮断器41を制御する。具体的には、同期対象の発電設備11A~11Fの出力電圧と母線電圧とが同期したと判定された場合には、当該発電設備11A~11Fの出力電圧と母線電圧とが負荷に供給されるように第1遮断器31及び第2遮断器41を制御する。例えば、第1発電設備11Aが同期対象である場合には、同期完了後に同期点31A,41AがONとなり、他の同期点31B~31F,41B~41FがOFFとなる。一方、同期対象の発電設備11A~11Fの出力電圧と母線電圧とが同期していないと判定された場合には、当該発電設備11A~11Fの出力電圧と母線電圧とが負荷に供給されないように第1遮断器31及び第2遮断器41を制御する。
【0027】
警報出力部106は、商用電源の出力電圧と発電設備11A~11Fの出力電圧とを同期させる同期制御の開始後、同期しない状態が所定時間以上継続した場合に、警報を出力するための処理を行う。
【0028】
図5は、実施形態の制御装置51による処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、第1発電設備11Aの出力電圧と商用電源の出力電圧(母線電圧)とを同期させる同期制御について説明する。
【0029】
同期制御が開始されると、原動機制御部102は、母線電圧の周波数Fb(図1参照)と第1発電設備11Aの出力電圧の周波数F1(図1参照)との比較結果に基づいて目標周波数を算出する(S101)。原動機制御部102は、当該目標周波数を示す周波数指令(原動機制御信号)を第1発電設備11Aに対応する特定の周波数指令出力周期(例えば1S)で出力する(S102)。発電機制御部103は、母線電圧の電圧値Vb(図1参照)と第1発電設備11Aの出力電圧の電圧値V1(図1参照)との比較結果に基づいて目標電圧値を算出する(S103)。発電制御部103は、当該目標電圧値を示す電圧値指令(発電機制御信号)を第1発電設備11Aに対応する特定の電圧値指令出力周期で出力する(S104)。
【0030】
同期判定部104は、第1発電設備11Aの出力電圧と母線電圧との同期が完了したか否かを判定する(S105)。同期が完了した場合(S105:Yes)、遮断器制御部105は、母線電圧及び第1発電設備11Aからの出力電圧が負荷に供給されるように(同期点31A,41AのみがONとなるように)第1遮断器31及び第2遮断器41を制御する(S106)。
【0031】
一方、同期が完了していない場合(S105:No)、警報出力部106は、同期制御の開始後、所定時間が経過したか否かを判定する(S107)。所定時間が経過していない場合(S107:No)、ステップS101に戻り、所定時間が経過した場合(S108:Yes)、警報出力部106は、同期制御の異常等を通知するための警報をユーザI/F66に出力する(S108)。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば、原動機や発電機の特性に基づいて設定された設定値に基づいて同期制御が実行される。これにより、複数の発電設備間で異なる原動機や発電機が使用される場合であっても同期制御を効率的に実行することが可能となる。
【0033】
上記のような機能を実現するための処理を制御装置51(コンピュータ)に実行させるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disc)-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供することが可能なものである。また、当該プログラムは、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布されてもよい。
【0034】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
1…発電システム、11A~11F…発電設備、21A~21F…原動機、22A~22F…発電機、31…第1遮断器、41…第2遮断器、51…制御装置、55…母線、56A~56F…配電線、101…設定部、102…原動機制御部、103…発電機制御部、104…同期判定部、105…遮断器制御部、106…警報出力部、111…設定値
図1
図2
図3
図4
図5