(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133977
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】マルチプレクサ
(51)【国際特許分類】
H03H 9/72 20060101AFI20230920BHJP
H03H 9/25 20060101ALI20230920BHJP
H03H 9/70 20060101ALI20230920BHJP
H03H 9/54 20060101ALI20230920BHJP
H03H 9/17 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H03H9/72
H03H9/25 A
H03H9/70
H03H9/54 Z
H03H9/17 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039262
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】畑山 和重
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 淳一
【テーマコード(参考)】
5J097
5J108
【Fターム(参考)】
5J097AA17
5J097AA25
5J097BB15
5J097CC05
5J097HA04
5J097JJ06
5J097JJ07
5J097JJ08
5J097JJ09
5J097KK09
5J097KK10
5J108AA07
5J108BB08
5J108CC11
5J108DD01
5J108DD06
5J108EE03
5J108EE04
5J108EE07
5J108EE13
5J108GG03
5J108JJ01
5J108KK04
(57)【要約】
【課題】耐電力信頼性の向上とアイソレーション特性の劣化の抑制とを両立させたマルチプレクサを提供する。
【解決手段】共通端子Antと受信端子Rxの間の経路に接続された受信フィルタを構成する共振器のうち直列共振器S21と並列共振器P21は基板10に設けられ、直列共振器S22、S23と並列共振器P22は基板10上に搭載された基板20に設けられ、共通端子Antと送信端子Txの間の経路に接続され送信フィルタを構成する共振器のうち直列共振器S11、S12と並列共振器P11は基板10に設けられ、直列共振器S13と並列共振器P12は基板20に設けられ、基板10に設けられた直列共振器S11、S12、S21と並列共振器P11、P21のうち平面視において受信端子Rxに最も近い共振器は並列共振器P21である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する第1基板と、
第3面を有し、前記第1面との間に空隙を挟んで前記第1基板上に搭載された第2基板と、
前記第2面に設けられた、共通端子、送信端子、及び受信端子と、
前記共通端子と前記送信端子との間の第1経路に接続された複数の第1弾性波共振器を有し、前記複数の第1弾性波共振器のうち一部は前記第1面に設けられ、残りは前記第3面に設けられた送信フィルタと、
前記共通端子と前記受信端子との間の第2経路に接続された複数の第2弾性波共振器を有し、前記複数の第2弾性波共振器のうち一部は前記第1面に設けられ、残りは前記第3面に設けられ、前記第1面に設けられた前記一部の第1弾性波共振器および前記第1面に設けられた前記一部の第2弾性波共振器のうち平面視において前記受信端子に最も近い共振器は第2弾性波共振器である受信フィルタと、を備えるマルチプレクサ。
【請求項2】
平面視において、前記第1面に設けられた前記一部の第1弾性波共振器のうち前記受信端子に最も近い第1弾性波共振器と、前記受信端子と、の間の最短距離上に、前記受信端子に最も近い前記第2弾性波共振器が設けられている、請求項1に記載のマルチプレクサ。
【請求項3】
前記第1面に設けられた前記一部の第1弾性波共振器および前記第1面に設けられた前記一部の第2弾性波共振器のうち平面視において前記送信端子に最も近い共振器は第1弾性波共振器である、請求項1または2に記載のマルチプレクサ。
【請求項4】
前記複数の第1弾性波共振器は、前記第1経路に直列に接続された複数の第1直列共振器と、一端が前記第1経路に接続され他端がグランドに接続された複数の第1並列共振器と、を含み、
前記第1面に設けられた前記一部の第1弾性波共振器は、前記複数の第1直列共振器のうち最も前記送信端子の近くに電気的に接続された第1直列共振器と、前記複数の第1並列共振器のうち最も前記送信端子の近くに電気的に接続された第1並列共振器と、を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のマルチプレクサ。
【請求項5】
前記第3面に設けられた前記残りの第1弾性波共振器は、前記複数の第1直列共振器のうち最も前記共通端子の近くに電気的に接続された第1直列共振器と、前記複数の第1並列共振器のうち最も前記共通端子の近くに電気的に接続された第1並列共振器と、を含む、請求項4に記載のマルチプレクサ。
【請求項6】
前記複数の第2弾性波共振器は、一端が前記第2経路に接続され他端がグランドに接続された第2並列共振器を含み、
前記受信端子に最も近い前記第2弾性波共振器は、前記第2並列共振器である、請求項1から5のいずれか一向に記載のマルチプレクサ。
【請求項7】
前記複数の第2弾性波共振器は、複数の前記第2並列共振器を含み、
前記受信端子に最も近い前記第2弾性波共振器は、前記複数の第2並列共振器のうち最も前記共通端子の近くに電気的に接続された第2並列共振器である、請求項6に記載のマルチプレクサ。
【請求項8】
前記複数の第2弾性波共振器は、前記第2経路に直列に接続された複数の第2直列共振器と、複数の前記第2並列共振器を含み、
前記第3面に設けられた前記残りの第2弾性波共振器は、前記複数の第2直列共振器のうち最も前記受信端子の近くに電気的に接続された第2直列共振器と、前記複数の第2並列共振器のうち最も前記受信端子の近くに電気的に接続された第2並列共振器と、を含む、請求項6または7に記載のマルチプレクサ。
【請求項9】
前記受信端子に最も近い前記第2弾性波共振器は、平面視において少なくとも一部が前記受信端子に重なる、請求項1から8のいずれか一項に記載のマルチプレクサ。
【請求項10】
前記第1面に設けられた前記一部の第1弾性波共振器および前記第1面に設けられた前記一部の第2弾性波共振器と、前記第3面に設けられた前記残りの第1弾性波共振器および前記第3面に設けられた前記残りの第2弾性波共振器と、の間に設けられ、グランドに接続されるシールド層を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のマルチプレクサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチプレクサに関する。
【背景技術】
【0002】
小型化のために、フィルタが形成された2つの基板をフィルタが形成された面が空隙を挟み対向するように搭載することが知られている(例えば特許文献1)。このときに、下側の基板に送信フィルタを形成することで、送信フィルタの放熱性が高まり、耐電力信頼性が向上することが知られている(例えば特許文献1)。また、対向する2つの基板それぞれに対向して形成されたIDT(Interdigital Transducer)の電極指を非平行にすることが知られている(例えば特許文献2)。これにより、アイソレーション特性の劣化が抑制される。また、送信フィルタおよび受信フィルタを各々2つのサブフィルタに分割し、送信フィルタを構成する2つのサブフィルタを対向した2つの基板それぞれに対向するように形成し、受信フィルタを構成する2つのサブフィルタを対向した2つの基板それぞれに対向するように形成することが知られている(例えば特許文献3)。これにより、アイソレーション特性の劣化が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-67617号公報
【特許文献2】特開2017-188807号公報
【特許文献3】特開2020-155967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1~3では、耐電力信頼性の向上とアイソレーション特性の劣化の抑制とを両立させる点において改善の余地が残されている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、耐電力信頼性の向上とアイソレーション特性の劣化の抑制とを両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する第1基板と、第3面を有し、前記第1面との間に空隙を挟んで前記第1基板上に搭載された第2基板と、前記第2面に設けられた、共通端子、送信端子、及び受信端子と、前記共通端子と前記送信端子との間の第1経路に接続された複数の第1弾性波共振器を有し、前記複数の第1弾性波共振器のうち一部は前記第1面に設けられ、残りは前記第3面に設けられた送信フィルタと、前記共通端子と前記受信端子との間の第2経路に接続された複数の第2弾性波共振器を有し、前記複数の第2弾性波共振器のうち一部は前記第1面に設けられ、残りは前記第3面に設けられ、前記第1面に設けられた前記一部の第1弾性波共振器および前記第1面に設けられた前記一部の第2弾性波共振器のうち平面視において前記受信端子に最も近い共振器は第2弾性波共振器である受信フィルタと、を備えるマルチプレクサである。
【0007】
上記構成において、平面視において、前記第1面に設けられた前記一部の第1弾性波共振器のうち前記受信端子に最も近い第1弾性波共振器と、前記受信端子と、の間の最短距離上に、前記受信端子に最も近い前記第2弾性波共振器が設けられている構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記第1面に設けられた前記一部の第1弾性波共振器および前記第1面に設けられた前記一部の第2弾性波共振器のうち平面視において前記送信端子に最も近い共振器は第1弾性波共振器である構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記複数の第1弾性波共振器は、前記第1経路に直列に接続された複数の第1直列共振器と、一端が前記第1経路に接続され他端がグランドに接続された複数の第1並列共振器と、を含み、前記第1面に設けられた前記一部の第1弾性波共振器は、前記複数の第1直列共振器のうち最も前記送信端子の近くに電気的に接続された第1直列共振器と、前記複数の第1並列共振器のうち最も前記送信端子の近くに電気的に接続された第1並列共振器と、を含む構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記第3面に設けられた前記残りの第1弾性波共振器は、前記複数の第1直列共振器のうち最も前記共通端子の近くに電気的に接続された第1直列共振器と、前記複数の第1並列共振器のうち最も前記共通端子の近くに電気的に接続された第1並列共振器と、を含む構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記複数の第2弾性波共振器は、一端が前記第2経路に接続され他端がグランドに接続された第2並列共振器を含み、前記受信端子に最も近い前記第2弾性波共振器は、前記第2並列共振器である構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記複数の第2弾性波共振器は、複数の前記第2並列共振器を含み、前記受信端子に最も近い前記第2弾性波共振器は、前記複数の第2並列共振器のうち最も前記共通端子の近くに電気的に接続された第2並列共振器である構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記複数の第2弾性波共振器は、前記第2経路に直列に接続された複数の第2直列共振器と、複数の前記第2並列共振器を含み、前記第3面に設けられた前記残りの第2弾性波共振器は、前記複数の第2直列共振器のうち最も前記受信端子の近くに電気的に接続された第2直列共振器と、前記複数の第2並列共振器のうち最も前記受信端子の近くに電気的に接続された第2並列共振器と、を含む構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、前記受信端子に最も近い前記第2弾性波共振器は、平面視において少なくとも一部が前記受信端子に重なる構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、前記第1面に設けられた前記一部の第1弾性波共振器および前記第1面に設けられた前記一部の第2弾性波共振器と、前記第3面に設けられた前記残りの第1弾性波共振器および前記第3面に設けられた前記残りの第2弾性波共振器と、の間に設けられ、グランドに接続されるシールド層を備える構成とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、耐電力信頼性の向上とアイソレーション特性の劣化の抑制とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施例1に係るマルチプレクサの回路図である。
【
図2】
図2は、実施例1に係るマルチプレクサの断面図である。
【
図3】
図3(a)は、弾性波共振器が弾性表面波共振器である場合の平面図、
図3(b)は、弾性波共振器が圧電薄膜共振器である場合の断面図である。
【
図4】
図4(a)から
図4(c)は、実施例1における基板の平面図である。
【
図5】
図5(a)から
図5(c)は、比較例における基板の平面図である。
【
図6】
図6(a)は、比較例に係るマルチプレクサで生じる課題を説明するための平面図、
図6(b)は、実施例1に係るマルチプレクサによる効果を説明するための平面図である。
【
図7】
図7は、実施例2に係るマルチプレクサの回路図である。
【
図8】
図8(a)から
図8(c)は、実施例2における基板の平面図である。
【
図9】
図9は、実施例3に係るマルチプレクサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【実施例0019】
図1は、実施例1に係るマルチプレクサ100の回路図である。
図1に示すように、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ50が接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ60が接続されている。送信フィルタ50の通過帯域と受信フィルタ60の通過帯域とは重なっていない。送信フィルタ50は、送信端子Txに入力された高周波信号のうち送信帯域の信号を共通端子Antに出力し、他の周波数帯域の信号を抑圧する。受信フィルタ60は、共通端子Antに入力された高周波信号のうち受信帯域の信号を受信端子Rxに出力し、他の周波数帯域の信号を抑圧する。
【0020】
送信フィルタ50はラダー型フィルタである。送信フィルタ50は、送信端子Txと共通端子Antとの間に直列に接続された直列共振器S11~S13と、送信端子Txと共通端子Antとの間に並列に接続された並列共振器P11、P12と、を備える。直列共振器S11~S13は、送信端子Txと共通端子Antとの間の直列経路52に設けられている。並列共振器P11、P12は、一端が直列経路52に接続され、他端がグランド端子Gndに接続されている。
【0021】
受信フィルタ60はラダー型フィルタである。受信フィルタ60は、共通端子Antと受信端子Rxとの間に直列に接続された直列共振器S21~S23と、共通端子Antと受信端子Rxとの間に並列に接続された並列共振器P21、P22と、を備える。直列共振器S21~S23は、共通端子Antと受信端子Rxとの間の直列経路62に設けられている。並列共振器P21、P22は、一端が直列経路62に接続され、他端がグランド端子Gndに接続されている。
【0022】
図2は、実施例1に係るマルチプレクサ100の断面図である。
図2に示すように、基板10上に基板20が搭載され、基板20上にリッド30が搭載されている。基板10は、支持基板11と、支持基板11上に接合された圧電基板12と、を備える。同様に、基板20は、支持基板21と、支持基板21上に接合された圧電基板22と、を備える。支持基板11、21は、例えばサファイア基板、スピネル基板、アルミナ基板、水晶基板、またはシリコン基板である。圧電基板12、22は、例えばタンタル酸リチウム基板またはニオブ酸リチウム基板である。
【0023】
基板10の上面10aに弾性波共振器13および配線14が設けられている。基板10の下面10bに端子15が設けられている。端子15は、弾性波共振器13、23を外部に接続するためのフットパッドである。基板10を貫通するビア配線16が設けられている。ビア配線16は、配線14と端子15とを電気的に接続する。配線14、端子15、及びビア配線16は、例えば銅層、アルミニウム層、または金層等の金属層である。端子15は、共通端子Ant、送信端子Tx、受信端子Rx、およびグランド端子Gndを含む。
【0024】
基板20の上面20aに弾性波共振器23および配線24が設けられている。基板20の下面20bにシールド層28が設けられている。シールド層28は、弾性波共振器13と弾性波共振器23との間の電磁波を遮蔽する機能を有する。基板20を貫通するビア配線26が設けられている。ビア配線26は、ピラー17を介して配線14に電気的に接続されている。配線24およびビア配線26は、例えば銅層、アルミニウム層、または金層等の金属層である。シールド層28は、例えば銅層、銀層、タングステン層、アルミニウム層、またはチタン層等の導電性金属層、もしくは、鉄層、ニッケル層、または鉄-ニッケル合金層(コバール層)等の磁性体金属層を含む。シールド層28の厚さは、遮蔽する電磁波の表皮厚さ以上である場合が好ましい。ピラー17は、例えば銅層、金層、銀層、アルミニウム層等を含む金属層である。
【0025】
基板10の上面10aと基板20の下面20bとは空隙32を介し対向する。弾性波共振器13および配線14を囲むように、基板10と基板20の間に封止部34aが設けられている。封止部34aは、弾性波共振器13および配線14を空隙32に封止する。封止部34aは、例えばニッケル層、銅層、または金層等を含む金属層である。封止部34aは、ビア配線16を介してグランド端子Gndとなる端子15に電気的に接続されている。シールド層28は、封止部34aに電気的に接続され、グランド端子Gndとなる端子15に電気的に接続されている。
【0026】
リッド30と基板20の上面20aとは空隙33を介し対向する。弾性波共振器23および配線24を囲むように、基板20とリッド30の間に封止部34bが設けられている。封止部34bは、弾性波共振器23および配線24を空隙33に封止する。リッド30は、例えばサファイア基板等の絶縁板またはコバール基板等の金属板である。封止部34bは、例えばニッケル層、銅層、または金層等を含む金属層である。封止部34bは、基板20を貫通するビア配線26によりシールド層28に電気的に接続されていてもよい。これにより、封止部34bおよびリッド30をグランド端子Gndに電気的に接続させることができる。
【0027】
図3(a)および
図3(b)を用いて、弾性波共振器13、23の例について説明する。
図3(a)は、弾性波共振器13、23が弾性表面波共振器である場合の平面図である。
図3(a)に示すように、圧電基板12、22上にIDT(Interdigital Transducer)40と反射器41が形成されている。IDT40は、対向する一対の櫛型電極42aを備える。櫛型電極42aは、複数の電極指42bと、複数の電極指42bを接続するバスバー42cと、を備える。反射器41は、IDT40の両側に設けられている。IDT40が圧電基板12、22に弾性表面波を励振する。IDT40および反射器41は、例えばアルミニウム膜または銅膜により形成されている。
図2のように、支持基板11、21上にそれぞれ圧電基板12、22が接合されていてもよいし、支持基板11、21は設けられておらず、基板10、20はそれぞれ圧電基板12、22の単体の場合でもよい。支持基板11、21と圧電基板12、22との間に各々酸化シリコン膜または酸化アルミニウム膜等の絶縁膜が設けられていてもよい。基板10、20上にIDT40および反射器41を覆うように保護膜または温度補償膜が設けられていてもよい。
【0028】
図3(b)は、弾性波共振器13、23が圧電薄膜共振器である場合の断面図である。
図3(b)に示すように、基板10、20上に圧電膜46が設けられている。圧電膜46を挟むように下部電極45と上部電極47が設けられている。下部電極45と基板10、20との間に空隙49が形成されている。圧電膜46の少なくとも一部を挟み下部電極45と上部電極47とが対向する領域が共振領域48である。共振領域48内の下部電極45および上部電極47は、圧電膜46内に厚み縦振動モードの弾性波を励振する。基板10、20は、例えばサファイア基板、スピネル基板、アルミナ基板、ガラス基板、水晶基板、またはシリコン基板である。下部電極45および上部電極47は、例えばルテニウム膜等の金属膜である。圧電膜46は、例えば窒化アルミニウム膜である。空隙49の代わりに弾性波を反射する音響反射膜が設けられてもよい。
【0029】
弾性波共振器13、23は、弾性波を励振する電極を含む。このため、
図2のように、弾性波の励振を阻害しないよう、弾性波共振器13は空隙32に覆われ、弾性波共振器23は空隙33に覆われている。
【0030】
図4(a)から
図4(c)は、実施例1における基板10、20の平面図である。
図4(a)は、基板20の上面20aを上から見た平面図、
図4(b)は、基板10の上面10aを上から見た平面図、
図4(c)は、基板10の下面10bを上から透視した平面図である。なお、
図4(a)および
図4(b)では、図の明瞭化のために、配線14、24にハッチングを付している。また、
図4(b)では、基板10の下面10bに形成された送信端子Txおよび受信端子Rxを点線で図示している。
【0031】
図4(a)に示すように、基板20の上面20aに弾性波共振器23および配線24が設けられている。弾性波共振器23は、IDT40および反射器41を備える弾性表面波共振器である。配線24は弾性波共振器23に接続されている。基板20の周縁に封止部34bが設けられている。弾性波共振器23は、送信フィルタ50を構成する直列共振器S13および並列共振器P12と、受信フィルタ60を構成する直列共振器S22、S23および並列共振器P22と、を含む。
【0032】
図4(b)に示すように、基板10の上面10aに弾性波共振器13および配線14が設けられている。弾性波共振器13は、IDT40および反射器41を備える弾性表面波共振器である。配線14は弾性波共振器13に接続されている。基板10の周縁に封止部34aが設けられている。弾性波共振器13は、送信フィルタ50を構成する直列共振器S11、S12および並列共振器P11と、受信フィルタ60を構成する直列共振器S21および並列共振器P21と、を含む。
【0033】
図4(c)に示すように、基板10の下面10bに複数の端子15が設けられている。複数の端子15は、共通端子Antと、送信端子Txと、受信端子Rxと、グランド端子Gndと、を含む。下面10bは、辺18aと辺18bが対向し、辺18cと辺18dが対向している。共通端子Antは、下面10bの対向する一対の辺18a、18bのうちの一方の辺18aの中央近傍に設けられ、送信端子Txと受信端子Rxはそれぞれ、他方の辺18bの両端近傍に設けられている。すなわち、送信端子Txは辺18bと辺18cの角部近傍に設けられ、受信端子Rxは辺18bと辺18dの角部近傍に設けられている。このように、共通端子Antと送信端子Txと受信端子Rxは、互いの間隔が大きくなるような位置に設けられている。
【0034】
図4(a)から
図4(c)に示すように、配線14、ビア配線16、ピラー17、配線24、およびビア配線26によって、送信フィルタ50を構成する直列共振器S11~S13は送信端子Txと共通端子Antとの間に直列に接続され、並列共振器P11、P12は送信端子Txと共通端子Antとの間に並列に接続されている。同様に、配線14、ビア配線16、ピラー17、配線24、およびビア配線26によって、受信フィルタ60を構成する直列共振器S21~S23は共通端子Antと受信端子Rxとの間に直列に接続され、並列共振器P21、P22は共通端子Antと受信端子Rxとの間に並列に接続されている。
【0035】
図4(b)に示すように、受信フィルタ60を構成する直列共振器S21および並列共振器P21は、送信フィルタ50を構成する直列共振器S11、S12および並列共振器P11よりも、基板10の下面10bの辺18dに対応する側に寄って基板10の上面10aに設けられている。並列共振器P21は、平面視において少なくとも一部が受信端子Rxと重なり、直列共振器S11、S12および並列共振器P11より受信端子Rxの近くに配置されている。言い換えると、直列共振器S11、S12および並列共振器P11は、平面視において並列共振器P21よりも受信端子Rxから離れて設けられている。
【0036】
並列共振器P21は、基板10の上面10aに設けられた全ての直列共振器S11、S12、S21および並列共振器P11、P21のうち平面視において最も受信端子Rxの近くに設けられた共振器である。一方、基板10の上面10aに設けられた送信フィルタ50を構成する直列共振器S11、S12および並列共振器P11のうち平面視において最も受信端子Rxの近くに設けられた共振器は直列共振器S11である。ここで、平面視において最も受信端子Rxの近くに設けられたとは、平面視において受信端子Rxとの間の最短距離が最も短い場合である。直列共振器S11は、基板10の上面10aに設けられた送信フィルタ50を構成する直列共振器S11、S12および並列共振器P11のうち最も送信端子Txの近くに設けられた共振器でもある。平面視において、並列共振器P21の少なくとも一部は、受信端子Rxと直列共振器S11の最短距離Lとの間に位置している。
【0037】
送信フィルタ50を構成する共振器において、基板10の上面10aに設けられた直列共振器S11と直列共振器S12はそれぞれ基板20の上面20aに設けられた並列共振器P12と直列共振器S13それぞれに少なくとも一部が重なっている。受信フィルタ60を構成する共振器において、基板10の上面10aに設けられた直列共振器S21と並列共振器P21はそれぞれ基板20の上面20aに設けられた直列共振器S22と直列共振器S23それぞれに少なくとも一部が重なっている。このように、送信フィルタ50を構成する複数の共振器において、基板10の上面10aに設けられた複数の共振器の少なくとも1つと基板20の上面20aに設けられた複数の共振器の少なくとも1つとは、少なくとも一部が重なって設けられている。受信フィルタ60を構成する複数の共振器においても同様である。
【0038】
[製造方法]
実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法の一例を説明する。まず、基板10と基板20を別々に形成する。基板10は、支持基板11の表面に圧電基板12を接合し、その後、圧電基板12を研磨または研削等によって所望の厚さまで薄くすることで形成する。支持基板11と圧電基板12の接合は、例えば支持基板11の表面と圧電基板12の表面を活性化させて常温接合による直接接合法を用いる。次いで、圧電基板12に対してエッチングを行って、圧電基板12を所望の形状に加工する。その後、支持基板11にビア配線16を形成し、圧電基板12上に弾性波共振器13を形成し、弾性波共振器13に接続する配線14を形成する。次いで、基板10の周縁に封止部34aを形成し、配線14上にピラー17を形成する。弾性波共振器13、配線14、ビア配線16、ピラー17、封止部34aの形成は一般的に知られた方法が用いられる。
【0039】
基板20についても、基板10と同様な方法によって、圧電基板22と接合した支持基板21にビア配線26を形成し、圧電基板22上に弾性波共振器23を形成し、弾性波共振器23に接続する配線24を形成し、基板20の周縁に封止部34bを形成する。その後、封止部34b上にリッド30を搭載する。これにより、弾性波共振器23および配線24は基板20とリッド30の間に形成された空隙33に封止される。次いで、基板20を研磨または研削等によって所望の厚さまで薄くした後、基板20の下面20bにシールド層28を形成する。
【0040】
次いで、基板10の封止部34bおよびピラー17上に基板20を搭載する。これにより、基板10上に形成された弾性波共振器13は基板10と基板20の間に形成された空隙32に封止される。その後、基板10を研磨または研削等によって所望の厚さまで薄くした後、基板10の下面10bに複数の端子15を形成する。
【0041】
[比較例]
比較例に係るマルチプレクサ500の回路図および断面図は実施例1の
図1および
図2と同じであるため説明を省略する。
図5(a)から
図5(c)は、比較例における基板10、20の平面図である。
図5(a)は、基板20の上面20aを上から見た平面図、
図5(b)は、基板10の上面10aを上から見た平面図、
図5(c)は、基板10の下面10bを上から透視した平面図である。なお、
図5(a)および
図5(b)では、図の明瞭化のために、配線14、24にハッチングを付している。また、
図5(b)では、基板10の下面10bに形成された送信端子Txおよび受信端子Rxを点線で図示している。
【0042】
図5(a)から
図5(c)に示すように、基板20の上面20aに設けられた弾性波共振器23は、受信フィルタ60を構成する直列共振器S21~S23および並列共振器P21、P22を含む。基板10の上面10aに設けられた弾性波共振器13は、送信フィルタ50を構成する直列共振器S11~S13および並列共振器P11、P12を含む。その他の構成は、実施例1の
図4(a)から
図4(c)と同様であるため説明を省略する。
【0043】
このように、比較例では、実施例1に対して、送信フィルタ50を構成する直列共振器S11~S13および並列共振器P11、P12の全てが基板10の上面10aに設けられ、受信フィルタ60を構成する直列共振器S21~S23および並列共振器P21、P22の全てが基板20の上面20aに設けられている点が異なる。
【0044】
図6(a)は、比較例に係るマルチプレクサ500で生じる課題を説明するための平面図、
図6(b)は、実施例1に係るマルチプレクサ100による効果を説明するための平面図である。
図6(a)に示すように、送信端子Txに入力された高周波信号の大部分は矢印70のようにして共通端子Antへと流れる。このときに、直列共振器S13が受信端子Rxの近くに設けられていると、直列共振器S13と受信端子Rxとの間の電磁界結合が強くなり、矢印72のように、直列共振器S13から受信端子Rxに信号が漏れることがある。これにより、アイソレーション特性が劣化してしまう。
【0045】
実施例1では、
図6(b)に示すように、送信端子Txに入力された高周波信号の大部分は矢印74のようにして共通端子Antへと流れる。基板10の上面10aに設けられた全ての直列共振器S11、S12、S21および並列共振器P11、P21のうち平面視において最も受信端子Rxの近くに設けられた共振器は受信フィルタ60を構成する並列共振器P21である。このため、送信フィルタ50を構成する直列共振器S11、S12および並列共振器P11は、平面視において受信端子Rxから離れて設けられている。例えば、平面視において、並列共振器P21は受信端子Rxと重なっていて、並列共振器P21と受信端子Rxとの間の距離はゼロである。受信端子Rxと、直列共振器S11、S12、S21および並列共振器P11と、の間の最短距離をL1、L2、L3、L4とすると、直列共振器S12、並列共振器P11、直列共振器S11、直列共振器S21の順に受信端子Rxとの間の距離が短くなっている。
【0046】
このように、送信フィルタ50を構成する直列共振器S11、S12および並列共振器P11が受信端子Rxから離れて設けられることで、直列共振器S11、S12および並列共振器P11のうち受信端子Rxに最も近い直列共振器S11と受信端子Rxとの間の電磁界結合が弱まり、直列共振器S11から受信端子Rxへの信号の漏れが抑制される。よって、アイソレーション特性の劣化が抑制される。
【0047】
また、直列共振器S11と受信端子Rxとの間の最短距離L1上に並列共振器P21が設けられることで、直列共振器S11からの電磁波が並列共振器P21により遮られるため、アイソレーション特性の劣化が更に抑制される。また、直列共振器S11と受信端子Rxとの間に設けられた共振器が並列共振器P21であることで、直列共振器S11からの電磁波が並列共振器P21および配線14を介してグランドに落ち易くなるため、直列共振器S11から並列共振器P21に信号が漏れた場合でも、漏れ信号が受信端子Rxに伝わることが抑制される。このため、アイソレーション特性の劣化が更に抑制される。
【0048】
以上のように、実施例1によれば、
図4(a)および
図4(b)のように、送信フィルタ50を構成する直列共振器S11~S13および並列共振器P11、P12(第1弾性波共振器)のうち一部の直列共振器S11、S12および並列共振器P11は基板10の上面10aに設けられ、残りの直列共振器S13および並列共振器P12は基板20の上面20aに設けられている。受信フィルタ60を構成する直列共振器S21~S23および並列共振器P21、P22(第2弾性波共振器)のうち一部の直列共振器S21および並列共振器P21は基板10の上面10aに設けられ、残りの直列共振器S22、S23および並列共振器P22は基板20の上面20aに設けられている。そして、基板10の上面10aに設けられた全ての直列共振器S11、S12、S21および並列共振器P11、P21のうち平面視において受信端子Rxに最も近い共振器は受信フィルタ60を構成する並列共振器P21である。これにより、
図6(b)で説明したように、送信フィルタ50を構成する直列共振器S11、S12および並列共振器P11が受信端子Rxから離れて設けられるため、直列共振器S11、S12および並列共振器P11から受信端子Rxへの信号の漏れが抑制される。よって、アイソレーション特性の劣化が抑制される。また、送信フィルタ50を構成する直列共振器S11、S12および並列共振器P11が基板10の上面10aに設けられているため、直列共振器S11、S12および並列共振器P11の放熱性が向上し、耐電力信頼性が向上する。
【0049】
また、実施例1によれば、
図4(b)のように、平面視において、送信フィルタ50を構成する直列共振器S11、S12および並列共振器P11のうち受信端子Rxに最も近い直列共振器S11と、受信端子Rxと、の間の最短距離L上に、受信フィルタ60を構成する並列共振器P21が設けられている。これにより、
図6(b)で説明したように、直列共振器S11からの電磁波が並列共振器P21により遮られるため、アイソレーション特性の劣化が抑制される。
【0050】
また、実施例1によれば、
図4(b)のように、基板10の上面10aに設けられた全ての直列共振器S11、S12、S21および並列共振器P11、P21のうち平面視において送信端子Txに最も近い共振器は、送信フィルタ50を構成する直列共振器S11である。これにより、送信端子Txと、受信フィルタ60を構成する直列共振器S21および並列共振器P21と、の間の電磁界結合が抑えられるため、アイソレーション特性の劣化が抑制される。
【0051】
また、実施例1によれば、
図4(b)のように、基板10の上面10aに設けられた全ての直列共振器S11、S12、S21および並列共振器P11、P21のうち受信端子Rxに最も近い共振器は、受信フィルタ60を構成する並列共振器P21である。これにより、
図6(b)で説明したように、直列共振器S11から並列共振器P21に信号が漏れた場合でも、漏れ信号が受信端子Rxに伝わることが抑制され、アイソレーション特性の劣化が抑制される。
【0052】
また、実施例1によれば、
図4(b)のように、受信フィルタ60を構成する並列共振器P21、P22のうち最も共通端子Antの近くに電気的に接続された並列共振器P21が、受信端子Rxに最も近い共振器となっている。受信フィルタ60を構成する並列共振器P21、P22のうち最も共通端子Antの近くに電気的に接続された並列共振器P21に送信フィルタ50から信号が漏れた場合、
図1のように、漏れ信号は直列共振器S22、S23を介して受信端子Rxに伝わるため、受信端子Rxに到達したときの漏れ信号の強度が小さくなる。したがって、受信フィルタ60を構成する並列共振器P21、P22のうち最も共通端子Antの近くに電気的に接続された並列共振器P21を受信端子Rxに最も近い共振器とすることでアイソレーション特性の劣化が抑制される。
【0053】
また、実施例1によれば、
図4(a)のように、受信フィルタ60を構成する直列共振器S21~S23のうち最も受信端子Rxの近くに電気的に接続された直列共振器S23と、並列共振器P21、P22のうち最も受信端子Rxの近くに電気的に接続された並列共振器P22は、基板20の上面20aに設けられている。受信フィルタ60を構成する共振器のうち最も受信端子Rxの近くに電気的に接続された直列共振器S23および並列共振器P22に送信フィルタ50から信号が漏れた場合、受信端子Rxに到達したときの漏れ信号の強度が大きくなるため、アイソレーション特性への影響が大きい。したがって、アイソレーション特性への影響が大きい直列共振器S23と並列共振器P22を基板20の上面20aに設けることで、直列共振器S23および並列共振器P22と受信端子Rxとの間の配線距離が長くなり漏れ信号の強度が弱まるため、アイソレーション特性の劣化が抑制される。
【0054】
また、実施例1によれば、
図4(b)のように、最も受信端子Rxの近くに設けられた並列共振器P21は、平面視において少なくとも一部が受信端子Rxに重なっている。これにより、マルチプレクサ100を小型化できる。マルチプレクサ100の小型化の点から、並列共振器P21の1/4以上が受信端子Rxと重なる場合が好ましく、1/3以上が受信端子Rxと重なる場合がより好ましく、1/2以上が受信端子Rxと重なる場合が更に好ましい。なお、マルチプレクサ100の小型化の点から、平面視において最も送信端子Txの近くに設けられた直列共振器S11の少なくとも一部が送信端子Txに重なっていてもよい。
【0055】
また、実施例1によれば、
図4(b)のように、送信フィルタ50を構成する直列共振器S11~S13のうち最も送信端子Txの近くに電気的に接続された直列共振器S11と、並列共振器P11、P12のうち最も送信端子Txの近くに電気的に接続された並列共振器P11は、基板10の上面10aに設けられている。最も送信端子Txの近くに電気的に接続された直列共振器S11および並列共振器P11は、大きな電力が掛かって発熱量が大きい。したがって、直列共振器S11および並列共振器P11を基板10の上面10aに設けることで、放熱性が向上して、耐電力信頼性が向上する。
【0056】
また、実施例1によれば、
図4(a)のように、送信フィルタ50を構成する直列共振器S11~S13のうち最も共通端子Antの近くに電気的に接続された直列共振器S13と、並列共振器P11、P12のうち最も共通端子Antの近くに電気的に接続された並列共振器P12は、基板20の上面20aに設けられている。直列共振器S13と並列共振器P12は、送信フィルタ50の他の共振器に比べて発熱量が少ないため、基板20の上面20aに設けることができる。また、送信端子Txに入力された高周波信号は、最も共通端子Antの近くに電気的に接続された直列共振器S13と並列共振器P12に伝わったときには、その間の共振器により減衰されている。このため、直列共振器S13および並列共振器P12から受信フィルタ60に信号が漏れた場合でも、アイソレーション特性への影響は比較的小さくて済む。
【0057】
また、実施例1によれば、
図2のように、基板10の上面10aに設けられた弾性波共振器13と基板20の上面20aに設けられた弾性波共振器23との間に、グランドに接続されるシールド層28が設けられている。これにより、基板10の上面10aに設けられた直列共振器S11、S12、S21および並列共振器P11、P21と、基板20の上面20aに設けられた直列共振器S13、S22、S23および並列共振器P12、P22と、の間の電磁界結合が抑制される。
【0058】
また、実施例1によれば、
図4(a)および
図4(b)のように、送信フィルタ50の直列共振器S13と並列共振器P12は基板20の上面20aに設けられ、直列共振器S11、S12と並列共振器P11は基板10の上面10aに設けられている。このように、送信フィルタ50を構成する共振器を略半分に分けて基板10と基板20に配置することで、マルチプレクサ100が小型化される。マルチプレクサ100の小型化のために、基板10の上面10aに設けられた送信フィルタ50の共振器の個数と、基板20の上面20aに設けられた送信フィルタ50の共振器の個数と、は同じかまたは1個違いである場合が好ましい。受信フィルタ60についても同様である。また、マルチプレクサ100の小型化の点から、基板20の上面20aに設けられた送信フィルタ50および受信フィルタ60の共振器の合計数と、基板10の上面10aに設けられた送信フィルタ50および受信フィルタ60の共振器の合計数とは、同じかまたは1個違いである場合が好ましい。
【0059】
また、実施例1によれば、
図4(a)および
図4(b)のように、送信フィルタ50を構成する直列共振器S12、S13と受信フィルタ60を構成する直列共振器S21、S22との間に、送信フィルタ50または受信フィルタ60を構成する並列共振器P11、P22が設けられている。このような配置にすることで、アイソレーション特性の劣化が抑制される。
実施例2によれば、送信フィルタ50を構成する直列共振器S11~S13および並列共振器P11、P12のうち一部の直列共振器S11、S12および並列共振器P11は基板10の上面10aに設けられ、残りの直列共振器S13および並列共振器P12は基板20の上面20aに設けられている。受信フィルタ60aを構成する直列共振器S21、S22、縦結合型2重モード共振器DMS、および並列共振器P21のうち一部の直列共振器S21および並列共振器P21は基板10の上面10aに設けられ、残りの直列共振器S22および縦結合型2重モード共振器DMSは基板20の上面20aに設けられている。そして、基板10の上面10aに設けられた全ての直列共振器S11、S12、S21および並列共振器P11、P21のうち平面視において受信端子Rxに最も近い共振器は受信フィルタ60aの並列共振器P21である。これにより、実施例1と同様に、耐電力信頼性が向上するとともに、アイソレーション特性の劣化が抑制される。
また、実施例2によれば、受信フィルタ60aを構成する直列共振器S22と縦結合型2重モード共振器DMSは基板20の上面20aに設けられ、直列共振器S21と並列共振器P21は基板10の上面10aに設けられている。このように、受信フィルタ60aを構成する共振器を基板10と基板20に分けて配置することで、マルチプレクサ200を小型化できる。マルチプレクサ200の小型化のために、受信フィルタ60aにおいて、縦結合型2重モード共振器DMSと同じ基板に設けられる直列共振器および並列共振器の個数はもう一方の基板に設けられる直列共振器および並列共振器の個数より少ないことが好ましい。また、縦結合型2重モード共振器DMSと同じ基板に設けられた送信フィルタ50と受信フィルタ60aの直列共振器および並列共振器の合計数は、もう一方の基板に設けられた送信フィルタ50と受信フィルタ60aの直列共振器および並列共振器の合計数より少ないことが好ましい。