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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134022
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】接続装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 27/22 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
G01R27/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039339
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100213757
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 詩人
(72)【発明者】
【氏名】塩入 章弘
(72)【発明者】
【氏名】中山 直人
(72)【発明者】
【氏名】吉池 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山之内 学
【テーマコード(参考)】
2G028
【Fターム(参考)】
2G028AA04
2G028BC04
2G028CG02
2G028CG08
2G028HN03
2G028HN09
(57)【要約】
【課題】液体の電気特性を測定するための電極部と測定装置とを容易に接続することができる接続装置を提供する。
【解決手段】接続装置(10)は、筒状の部分を有する測定用セル(1)を収容する収容凹部(43)と、前記測定用セル(1)に収容された液体の電気特性を測定するための測定装置と接続される端子部(5)と、前記測定用セル(1)に設けられた一対の電極部(3)のそれぞれと接触する一対の接触部(61)と、前記端子部(5)と前記接触部(61)とを電気的に接続する接続部(62)と、を備え、前記接触部(61)は、前記収容凹部(43)において前記測定用セル(1)が所定の収容深さまで収容された際に、前記電極部(3)と接触する位置に配置されている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の部分を有する測定用セルを収容する収容凹部と、
前記測定用セルに収容された液体の電気特性を測定するための測定装置と接続される端子部と、
前記測定用セルに設けられた一対の電極部のそれぞれと接触する一対の接触部と、
前記端子部と前記接触部とを電気的に接続する接続部と、を備え、
前記接触部は、前記収容凹部において前記測定用セルが所定の収容深さまで収容された際に、前記電極部と接触する位置に配置されている接続装置。
【請求項2】
前記収容凹部が形成された筐体部を備え、
前記筐体部は、少なくとも、前記一対の接触部をその対向方向から挟む位置に、金属製のシールド部を有する請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記筐体部は、前記収容凹部が形成された絶縁体部を有し、
前記シールド部は、箱状に形成され、前記絶縁体部が収容される開口部と、前記対向方向に対向する一対の対向板部と、前記一対の対向板部同士を接続する一対の接続板部と、を有し、
前記接続板部のうち前記開口部側の端縁には、前記接触部を挟む位置に切り欠き部が形成されている請求項2に記載の接続装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下面電極タイプのチップ部品を対象とした四端子測定用チップ部品治具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された治具は、2つの端子台がそれぞれ接触端子を有し、2つの端子台が接離可能であり、異なるサイズのチップ部品に対応することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-26260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
四端子測定法等によって対象物の電気特性を測定する場合、対象物が液体となる場合もある。このような場合、セル等に収容された液体中に一対の対向電極を配置するとともに、これらの対向電極と測定装置とを接続する必要がある。しかしながら、このような対向電極に対し、特許文献1に記載された接触端子を接触させることは困難であった。そこで、例えばワニ口クリップ等を用いて対向電極に測定用電線を接続する方法が考えられるものの、より簡便な接続方法が望まれていた。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、液体の電気特性を測定するための電極部と測定装置とを容易に接続することができる接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の代表的な実施の形態に係る接続装置は、筒状の部分を有する測定用セルを収容する収容凹部と、前記測定用セルに収容された液体の電気特性を測定するための測定装置と接続される端子部と、前記測定用セルに設けられた一対の電極部のそれぞれと接触する一対の接触部と、前記端子部と前記接触部とを電気的に接続する接続部と、を備え、前記接触部は、前記収容凹部において前記測定用セルが所定の収容深さまで収容された際に、前記電極部と接触する位置に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る接続装置によれば、液体の電気特性を測定するための電極部と測定装置とを容易に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る接続装置を備えた測定ユニットを示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る接続装置を備えた測定ユニットの測定用セルを示す斜視図である。
図3】実施の形態に係る接続装置を備えた測定ユニットの測定用セルを示す正面図である。
図4】実施の形態に係る接続装置を備えた測定ユニットの測定用セルを示す背面図である。
図5】実施の形態に係る接続装置を備えた測定ユニットの測定用セルを示す右側面図である。
図6】実施の形態に係る接続装置を備えた測定ユニットの測定用セルを示す左側面図である。
図7】実施の形態に係る接続装置を備えた測定ユニットの測定用セルを示す平面図である。
図8】実施の形態に係る接続装置を備えた測定ユニットの測定用セルを示す底面図である。
図9】実施の形態に係る接続装置を備えた測定ユニットの測定用セルを示す断面図である。
図10】実施の形態に係る接続装置を示す斜視図である。
図11】実施の形態に係る接続装置を示す正面図である。
図12】実施の形態に係る接続装置を示す背面図である。
図13】実施の形態に係る接続装置を示す平面図である。
図14】実施の形態に係る接続装置の一部を示す斜視図である。
図15】変形例に係る測定ユニットを模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0010】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係る接続装置(10)は、筒状の部分を有する測定用セル(1)を収容する収容凹部(43)と、前記測定用セル(1)に収容された液体の電気特性を測定するための測定装置と接続される端子部(5)と、前記測定用セル(1)に設けられた一対の電極部(3)のそれぞれと接触する一対の接触部(61)と、前記端子部(5)と前記接触部(61)とを電気的に接続する接続部(62)と、を備え、前記接触部(61)は、前記収容凹部(43)において前記測定用セル(1)が所定の収容深さまで収容された際に、前記電極部(3)と接触する位置に配置されている。
【0011】
〔2〕上記〔1〕に記載の接続装置(10)において、前記収容凹部(43)が形成された筐体部(4)を備え、前記筐体部(4)は、少なくとも、前記一対の接触部(61)をその対向方向(X2方向)から挟む位置に、金属製のシールド部(41)を有してもよい。
【0012】
〔3〕上記〔2〕に記載の接続装置(10)において、前記筐体部(4)は、前記収容凹部(43)が形成された絶縁体部(42)を有し、前記シールド部(41)は、箱状に形成され、前記絶縁体部(42)が収容される開口部(416)と、前記対向方向に対向する一対の対向板部(412.413)と、前記一対の対向板部(412.413)同士を接続する一対の接続板部(414,415)と、を有し、前記接続板部(414,415)のうち前記開口部(416)側の端縁には、前記接触部(61)を挟む位置に切り欠き部(417)が形成されていてもよい。
【0013】
2.実施の形態の具体例
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る測定用セル1を備えた測定ユニット100を示す斜視図である。測定ユニット100は、測定用セル1と、接続装置10と、を備える。測定ユニット100は、例えば測定装置としてのLCRメータ等に接続されることで、測定用セル1に収容された液体としてのスラリーのインピーダンスを測定するものである。尚、測定対象となる液体はスラリーに限定されずメッキ液等であってもよく、測定される電気特性は、インピーダンスに限定されず直列抵抗やリアクタンス等であってもよい。以下では測定用セル1と接続装置10とを個別に説明した後、相互の位置関係等について説明する。
【0015】
[測定用セル]
図2は、実施の形態に係る接続装置10を備えた測定ユニット100の測定用セル1を示す斜視図であり、図3は、測定用セル1を示す正面図であり、図4は、測定用セル1を示す背面図であり、図5は、測定用セル1を示す右側面図であり、図6は、測定用セル1を示す左側面図であり、図7は、測定用セル1を示す平面図であり、図8は、測定用セル1を示す底面図であり、図9は、測定用セル1を示す断面図である。
【0016】
測定用セル1は、スラリーのインピーダンスを測定するためのものであって、スラリーを収容するための収容部(本実施の形態ではスラリー収容部2とする)と、スラリー収容部2に取り付けられた一対の電極部3と、を備える。
【0017】
スラリー収容部2は、例えばポリプロピレン等の透光性樹脂(透光性部材)によって構成されている。尚、スラリー収容部2の材質は、収容する液体の種類や温度等に応じたものであればよく、例えば反応性が高い液体を収容する場合には、フッ素樹脂が使用されてもよい。スラリー収容部2は、全体が所定方向に沿って延びる筒状に形成されたものであって、以下では、この所定方向をZ1方向とし、Z1方向に直交するとともに互いに直交する2方向をX1方向及びY1方向とする。また、測定用セル1は、Z1方向が鉛直方向に略一致するように用いられ、Z1方向の一方側を単に上側と呼び、他方側を単に下側と呼ぶことがある。
【0018】
スラリー収容部2は、筒状部21と、突出部22と、一対の取付筒部23と、補強部24と、蓋部25と、を一体に有する。
【0019】
筒状部21は、Z1方向に沿って延びる筒状部本体211と、筒状部本体211の下端(他端)に設けられる底部212と、を有し、上端(一端)が開口した有底筒状に形成されている。即ち、筒状部21は、上端に開口部213を有しており、開口部213側が入口側となる。
【0020】
筒状部本体211には、取付筒部23及び補強部24よりも上側(後述する内側電極31よりも入口側)に目安線214が形成されている。目安線214は、筒状部本体211の内面及び外面のいずれに形成されていてもよく、例えば凹状又は凸状に形成されていてもよく、その形態は特に限定されない。また、本実施の形態では、目安線214は、Z1方向を中心とする円周方向に沿って延在し、このような目安線214がZ1方向に2本並ぶように形成されている。液面がこれら2本の目安線214の間に位置すれば、適量のスラリーが収容された状態となる。また、2本の目安線214は、いずれも取付筒部23よりも上側に位置しており、特に、下側の目安線214は、取付筒部23よりも1mm以上上側に位置することが好ましい。
【0021】
尚、図示の例では、筒状部本体211は、略一定の内径及び外径を有する筒状となっているが、Z1方向に対して多少の傾斜を有して延びる筒状(断面が円錐台状の筒)となっており、下側に向かうにしたがって内径及び外径が小さくなっていてもよい。
【0022】
突出部22は、筒状部21の下端に連続するとともに先端(下端)に向かうにしたがって外径が小さくなっており、上面に複数の開口を有するホルダに対して挿入される部分である。即ち、このようなホルダに対し、複数の測定用セル1を挿入しておくことができる。突出部22は、4枚の三角形状の板状部221を有して構成され、これらの板状部221は、Z1方向に沿って延びる辺を共有し、上側の辺が底部212と共有され、これらの斜辺を結ぶことで得られる仮想的な円錐の外径を突出部22の外径と呼ぶ。尚、突出部は、先端に向かうにしたがって外径が小さくなる形状を有していればよく、円錐状又は円錐台状の側面を有するものであってもよい。
【0023】
筒状部21の底部212は、Z1方向において、筒状部21と突出部22との境界部A1と同程度の高さに配置されている(図9参照)。即ち、筒状部21に収容されるスラリーは、突出部22には収容されないようになっている。尚、底部212は、境界部A1を含み上側(一端側)に配置されていればよく、上記のように境界部A1と同程度の高さであってもよいし、境界部A1よりも上側に配置されていてもよい。
【0024】
取付筒部23は、筒状部21の筒状部本体211から外側に突出するとともに電極部3が挿通されるものであって、X1方向に沿って延びる円筒状に形成されている。取付筒部23の形状は、電極部3の形状に応じたものであればよく、例えば電極部が四角柱状である場合には、取付筒部も四角筒状であればよい。尚、図示の例では、取付筒部23が筒状部本体211から外側にのみ突出しているが、内側及び外側の両方に突出していてもよいし、内側にのみ突出していてもよい。
【0025】
補強部24は、一対の取付筒部23同士の間に亘って延びるリブである。即ち、補強部24は、Z1方向を中心とした円周方向に沿って延びる円弧状に形成されている。図示の例では、補強部24が2本のリブによって構成されているが、リブの数はこれに限定されず、1つであってもよいし3つ以上であってもよい。
【0026】
蓋部25は、筒状部21の開口部213を閉塞するためのものである。即ち、蓋部25と筒状部21とを接続する可撓部を屈曲させることで、蓋部25によって開口部213を閉塞することができる。尚、可撓部が設けられず、蓋部が筒状部とは別部品として構成されていてもよい。
【0027】
電極部3は、導電性の金属によってX1方向に延びる円柱状に形成され、スラリー収容部2の内側に設けられる部分のうち端面が内側電極31となり、スラリー収容部2の外側に設けられる部分が外側電極32となり、筒状部21内に配置される部分が内側電極31と外側電極32とを接続する接続部33となる。電極部3は、内側にも金属部材が詰まっていることが好ましいが、内側が空洞となっていてもよい。電極部3の外径は、取付前の状態における取付筒部23の内径よりも若干大きく、電極部3が圧入されることでスラリー収容部2に取り付けられるようになっている。尚、電極部3がスラリー収容部2と一体成形されてもよい。
【0028】
電極部3の端面である内側電極31は、Y1Z1平面に沿って延びており、一対の電極部3の内側電極31同士は、X1方向において所定の間隔を開けて対向配置された平行平板として機能する。図示の例では、内側電極3は円形状となっているが、その形状は限定されず、多角形状であってもよい。また、端面である内側電極は、平面状でなくてもよく、半球状等の曲面状であってもよい。
【0029】
外側電極32は、筒状の部分及び端面が取付筒部23から露出しており、いずれの位置に対して相手方の端子等が接触しても導通可能となっている。
【0030】
[接続装置]
図10は、実施の形態に係る接続装置10を示す斜視図であり、図11は、接続装置10を示す正面図であり、図12は、接続装置10を示す背面図であり、図13は、接続装置10を示す平面図であり、図14は、接続装置10の一部を示す斜視図である。
【0031】
接続装置10は、スラリーのインピーダンスを測定するために上記の測定用セル1とともに使用されるものであって、筐体部4と、端子部5と、一対の電極部材6と、を備える。
【0032】
筐体部4は、全体が直方体状に形成されている。以下では、筐体部4の高さ方向をZ2方向とし、長辺方向をX2方向とし、短辺方向をY2方向とする。また、接続装置10は、Z2方向が鉛直方向に略一致するように用いられ、Z2方向の一方側を単に上側と呼び、他方側を単に下側と呼ぶことがある。
【0033】
筐体部4は、その外殻を主に構成するシールド部41と、筐体部4のうち上面に設けられる絶縁体部42と、を有する。
【0034】
シールド部41は、底面部411と、X2方向両側に設けられる側面部412,413と、Y2方向両側に設けられる側面部414,415と、を一体に有して箱状に形成され、上側に開口部416を有している。箱状のシールド部41は中空状に形成されている。底面部411は筐体部4の底面部を構成し、側面部412,413は筐体部4の側面部を構成し、側面部414,415は筐体部4の側面部の大部分を構成する。シールド部41は、導電性の金属部材により構成されおり、インピーダンス測定時のノイズを低減することができるような材質であることが好ましい。また、シールド部41を構成する各部は、板状部材によって構成され、例えばねじ止めによって互いに固定されていればよい。
【0035】
側面部414,415のうち上辺(開口部416側の端縁)には、切り欠き部417が形成されている。切り欠き部417は、Y2方向から見てU字状となっている。
【0036】
絶縁体部42は、例えば樹脂等の絶縁体により構成され、シールド部41の開口部416に収容される。絶縁体部42は、Y2方向の両側に設けられる側面部421,422と、筐体部4の上面部の大部分を構成する上面部423と、を有する。側面部421,422は、切り欠き部417に隙間なく配置され、側面部414,415と同一平面上に配置されることで筐体部4全体の側面部を構成する。また、絶縁体部42は、Y2方向に2分割されており、第1部品42Aと第2部品42Bとが組み付けられている。
【0037】
絶縁体部42には、上側に開口し、筒状の部分であるスラリー収容部2を有する測定用セル1を収容する収容凹部(本実施の形態では測定用セル収容凹部43とする)が形成されている。正規の姿勢で測定用セル1が測定用セル収容凹部43に収容される場合、X1方向とX2方向とが一致し、Y1方向とY2方向とが一致し、Z1方向とZ2方向とが一致する。測定用セル収容凹部43は、測定用セル1の筒状部21及び突出部22を収容する筒状の測定用セル主収容部431と、一対の取付筒部23を収容する測定用セル副収容部432と、を有する。
【0038】
測定用セル主収容部431は、筒状部21又は突出部22のうち所定部分の外径と略等しい内径を有する部分を備えている。これにより、測定用セル1を測定用セル収容凹部43内に収容した際、筒状部21又は突出部22が測定用セル主収容部431の内面と当接し、測定用セル1が下側に移動することが規制される。このように、測定用セル1は、測定用セル収容凹部43において所定の収容深さまで収容されるようになっている。
【0039】
測定用セル副収容部432は、測定用セル主収容部431に連続し、X2方向の両側に向かって延びる溝部である。測定用セル副収容部432は、底面部を有しているが、底面部は省略されていてもよい。また、上記のように筒状部21又は突出部22が測定用セル主収容部431の内面と当接する構成に代えて、測定用セル1の取付筒部23や電極部3が測定用セル副収容部432の底面部に当接することで、Z2方向への挿入が規制されるようになっていてもよい。
【0040】
絶縁体部42のうち図10の手前側に位置する第1部品42Aには、測定用セル主収容部431に連続するとともにY2方向に沿って延びる溝部424が形成されている。溝部424は、第1部品42AにおいてY2方向の両端部に亘って形成されており、測定用セル主収容部431に収容された測定用セル1を、Y2方向から視認可能となっている。
【0041】
絶縁体部42のうち図10の手前側に位置する第2部品42Bには、上面部423のうち第1部品42Aとの境界部分に、電極板200を収容するための凹部425が形成されている。電極板200は、測定用セル収容凹部43に配置されることで一対の接触部61を短絡するものであって、ブランク測定に用いられる。凹部425には、後述する押圧部7が設けられており、収容された電極板200が押圧されるようになっている。
【0042】
端子部5は、測定用セル1に収容された液体の電気特性を測定するための測定装置と接続されるものであって、例えばBNCコネクタ等の適宜な形態のコネクタであればよく、コネクタの形状や寸法は、測定装置や使用するケーブル等の種類に応じたものであればよい。また、本実施の形態では、2端子法測定用の4つの端子部5がX2方向に並んでおり、両端の2つの端子部5が、相手方のコネクタをロックするためのロック機構を有しているが、このような形態に限定されず、ロック機構は適宜な位置に設けられていればよく、ロック機構が設けられていなくてもよい。
【0043】
電極部材6は、測定用セル1に設けられた一対の電極部3のそれぞれと接触するものであって、板金によってL字状に形成され、Z2X2平面に沿って延びるとともに筐体部4内に収容される。L字状の電極部材6のうち、Z2方向に沿って延びるとともに測定用セル副収容部432内に収容される部分が、測定用セル1の電極部3のうち外側電極32と接触する接触部61となり、X2方向に沿って延びる部分が、端子部5と接触部61とを電気的に接続する接続部62となる。
【0044】
接触部61は、溝状の測定用セル副収容部432においてY2方向に対向する一対の内面のうち、一方の面(第2部品42Bの面)432Aに沿うように設けられている。この一対の内面のうち他方の面(第1部品42Aの面)432Bには、接触部61に対向するように押圧部7が設けられている。尚、図14では、第1部品42Aを省略し、押圧部7を示している。
【0045】
押圧部7は、ボール71と、ボール71を一方の面432Aに向けて押圧するばね等の付勢部材と、を有する。ボール71と接触部61とはY2方向において所定の間隔を開けて配置されており、この隙間に測定用セル1の電極部3の外側電極32が配置される。この隙間は、外側電極32の外径(Y2方向寸法)よりも若干小さくなっており、電極部3がZ2方向に移動することで隙間に挿入されていく際、外側電極32がボール71に接触することで付勢部材が圧縮され、復元力が生じる。測定用セル1が所定の深さまで挿入された際には、外側電極32の最大外径部はボール71よりも下側に位置し、付勢部材は最大圧縮状態から復元している。これにより、測定用セル1が所定の深さまで挿入された状態において、付勢部材の復元力によって、外側電極32の外周面が接触部61に押し付けられるとともに、電極部3が上側に移動することが抑制されるようになっている。
【0046】
接続部62は、絶縁体部42の下側に収容され、1つの接触部61を2つに分岐させて2つの端子部5に接続するように構成されている。
【0047】
以上のような接続装置10では、シールド部41が、一対の接触部61をその対向方向であるX2方向から挟む位置に、一対の対向板部としての側面部412,413を有する。さらに、シールド部41は、一対の対向板部(側面部412,413)を接続する一対の接続板部としての側面部414,415を有する。また、側面部414,415のうち開口部416側(上側)の端縁には、接触部61を挟む位置に切り欠き部417が形成されている。このとき、Z2方向において、測定用セル副収容部432の深さよりも、切り欠き部417の深さの方が大きく、外側電極32と接触部61との接触位置は、切り欠き部417の底辺よりも上側に位置する。
【0048】
[測定ユニット]
測定ユニット100全体における測定用セル1と接続装置10と関係について説明する。以下における各部の位置関係は、測定用セル1が測定用セル収容凹部43において所定の収容深さまで収容された状態における位置関係であるものとする。
【0049】
測定用セル1が、接続装置10に対してZ2方向において移動することで、主として突出部22が測定用セル収容凹部43の測定用セル主収容部431に挿入されていく。このとき、上記のように押圧部7の付勢部材が圧縮されるとともに復元する。測定用セル1が測定用セル収容凹部43において所定の収容深さまで収容されると、筒状部21又は突出部22が測定用セル主収容部431の内面と当接し、測定用セル1が下側に移動することが規制される。この状態において、外側電極32と接触部61とが接触し、電気的に接続される。
【0050】
さらに、測定装置から延びる端子を端子部5に対して接続することで、測定用セル1に収容されたスラリーのインピーダンス測定が可能な状態となる。尚、測定装置と端子部5とが常に電気的に接続され、測定用セル1が交換されてもよく、この順序は限定されない。
【0051】
また、測定用セル1が測定用セル収容凹部43に所定の収容深さまで収容された状態において、筐体部4は、測定用セル1のうち測定用セル収容凹部43に収容された部分よりも上側の部分に対し、Y2方向から当接可能な倒れ規制部を有することが好ましい。このような倒れ規制部は、X2方向から見た際の測定用セル1の倒れを抑制することができる。尚、倒れ規制部が当接する位置は、測定用セル1のうちスラリー収容部2であってもよいし、電極部3であってもよい。
【0052】
本実施の形態によれば、測定用セル1が、スラリー収容部2に取り付けられた一対の電極部3を備えることで、一対の内側電極31同士の間隔や位置関係を一定に保ちやすく、液体の電気特性の測定精度を向上させることができる。
【0053】
また、スラリー収容部2が、先端に向かうにしたがって外径が小さくなる突出部22を有することで、ホルダによって保持しやすくすることができる。このホルダは、例えば複数の凹部を有することで、各々の凹部において測定用セル1を保持し、複数の測定用セル1を保持できるものであればよい。このとき、スラリー収容部2の筒状部21が、境界部A1を含み上側の位置に底部212を有することで、突出部22にスラリーが収容されない。このため、先端に向かうにしたがって内径が小さくなる部分にスラリーを収容する構成と比較して、液体に気泡が混入することを抑制し、電気特性の測定精度を向上させることができる。
【0054】
また、電極部3が、スラリー収容部2を貫通する棒状部材であることで、スラリー収容部2への取付作業を容易なものとすることができる。さらに、スラリー収容部2が取付筒部23を有することで、取り付けられた棒状の電極部3が傾くことを抑制し、一対の内側電極31の相対位置等を変化しにくくして電気特性の測定精度を向上させることができる。
【0055】
さらに、スラリー収容部2が一対の取付筒部23同士の間に亘って延びる補強部24を有することで、スラリー収容部2の変形を抑制し、特に電極部3がZ1方向に移動するような変形を抑制し、一対の内側電極31の相対位置等を変化しにくくして電気特性の測定精度を向上させることができる。
【0056】
また、スラリー収容部2が透光性部材によって構成され、目安線214が内側電極31よりも入口側に形成されていることで、内側電極31の全体が液体に浸かるようにすることができる。即ち、内側電極31が液体から露出してしまうことを抑制し、電気特性の測定精度を向上させることができる。
【0057】
接続装置10において、接触部61が、測定用セル収容凹部43において測定用セル1が所定の収容深さまで収容された際に、外側電極32と接触する位置に配置されていることで、液体の電気特性を測定するための電極部3と測定装置とを容易に接続することができる。
【0058】
また、筐体部4が、一対の接触部61を対向方向であるX2方向から挟む位置に、金属製のシールド部41を有することで、液体の電気特性を測定する際にノイズを抑制することができる。
【0059】
さらに、接続板部としての側面部414,415のうち開口部416側の端縁に、接触部61を挟む位置に切り欠き部417が形成されていることで、接触部61と金属部材とが近接して配置されることを抑制し、液体の電気特性を測定する際に、液体と金属部材との間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0060】
≪実施の形態の拡張≫
以上、本願発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0061】
例えば、上記実施の形態では、スラリー収容部2の筒状部21が、境界部A1を含み上側の位置に底部212を有するものとしたが、このような構成に限定されない。即ち、収容部が、先端部に向かって外径が小さくなることでホルダに収容される部分を有し、この部分の内側に液体が収容されるようにしてもよく、この場合、例えば先端部における内径が充分に大きく形成されていたり、表面処理が施されていたりする等によって、気泡が生じにくくなっていればよい。また、ホルダに収容される部分が、略一定の外径及び内径を有し、この部分の内側に液体が収容されてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、スラリー収容部2が一対の取付筒部23同士の間に亘って延びる補強部24を有するものとしたが、例えば収容部が比較的硬質な材料によって構成されていたり、肉厚が充分に厚くなっていたりする等により、収容部に変形が生じにくい場合には、補強部は省略されていてもよい。また、その他の位置に適宜な補強部を設けてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態では、スラリー収容部2が取付筒部23を有するものとしたが、例えば収容部の肉厚が充分に厚くなっていたり、他の固定部材が設けられていたりする等により、電極部に傾きが生じにくい場合には、取付筒部は省略されていてもよい。
【0064】
また、上記実施の形態では、電極部3が、スラリー収容部2を貫通する棒状部材であるものとしたが、電極部は、棒状に限定されず、収容部を貫通していなくてもよい。例えば、電極部は、板状の内側電極及び外側電極と、収容部の開口において内側電極と外側電極とを接続する接続部と、を有する(即ち断面U字状となっている)構成であってもよい。
【0065】
また、上記実施の形態では、スラリー収容部2が透光性部材によって構成され、目安線214が内側電極31よりも入口側に形成されているものとしたが、他の方法によって充分な液位が確保されるようになっていてもよい。例えば、収容部を開口側から見た際に液位と内側電極との関係が視認可能な場合や、収容する液体の量が管理されている場合等には、測定に充分な液位を確保することができ、このような場合、収容部は不透明であってもよいし、目安線が形成されていなくてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、側面部414,415に切り欠き部417が形成されるものとしたが、シールド部の寸法が大きく、液体と金属部材との間に生じる寄生容量が小さい場合には、切り欠きが形成されなくてもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、筐体部4がシールド部41を有するものとしたが、測定時にノイズが生じにくい環境で各装置が用いられる場合や、測定する電気特定がノイズの影響を受けにくい場合等には、シールド部が設けられていなくてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、二端子法によりインピーダンスが測定されるものとしたが、他の適宜な方法によって電気特性が測定されてもよい。例えば、図15に模式的に示すように、四端子法が採用されてもよい。この形態では、2種類の電極部材6A,6Bが、互いに異なる位置で外側電極32に接触するようにそれぞれ接触部61を有する。尚、右側の2つの電極部材は図示を省略しているが、左側と対称な形状となっていればよい。
【0069】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
10…接続装置、1…測定用セル、3…電極部、4…筐体部、41…シールド部、412,413…側面部(対向板部)、414,415…側面部(接続板部)、416…開口部、417…切り欠き部、42…絶縁体部、43…測定用セル収容凹部(収容凹部)、5…端子部、61…接触部、62…接続部
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