(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134025
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】包装機のシール装置
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20230920BHJP
B65B 9/20 20120101ALI20230920BHJP
【FI】
B65B51/10 M
B65B51/10 220
B65B9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039343
(22)【出願日】2022-03-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年2月15日にJAPAN PACK 2022 日本包装産業展(東京ビッグサイト(東京都江東区有明3-11-1))にて包装機のシール装置を公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100193998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 純一
(72)【発明者】
【氏名】清水 一義
【テーマコード(参考)】
3E050
3E094
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB02
3E050AB08
3E050BA03
3E050CA02
3E050CB06
3E050DC02
3E050DC08
3E050DD03
3E050DF01
3E050FA01
3E050FB01
3E050FB07
3E094AA13
3E094CA06
3E094CA15
3E094DA07
3E094DA08
3E094EA03
3E094GA12
3E094HA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】トグルリンク機構を用いたシール装置において、トグルリンク機構の回転中心軸の位置とサーボモータの出力回転軸の位置とを高精度かつ容易に合わせることができる技術を提供する。
【解決手段】横シール装置10は、第一及び第二シーラ保持ブロック11,12、シャフト保持ブロック13、第一及び第二シーラ21,22、二本のシーラシャフト31、サーボモータ33、トグルリンク機構50、及び、一体型ブロック70を備えている。一体型ブロックは、トグルリンク機構の回転中心軸(第三連結軸53)及びサーボモータが一体的に設けられ、不動支持体としての機械フレーム35に取り付けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉方向に移動可能に配置された第一及び第二シーラ保持ブロックと、
前記第一及び第二シーラ保持ブロックの互いの対向面に包装材を挟むようにそれぞれ設けられ、前記開閉方向に移動する前記第一及び第二シーラ保持ブロックによって前記包装材に対して離脱又は当接するとともに、前記当接する際に前記包装材を挟み付けてシールを施す第一及び第二シーラと、
前記第一シーラ保持ブロックから見て前記第二シーラ保持ブロックの後側に配置されたシャフト保持ブロックと、
前記第一及び第二シーラ保持ブロックが移動する前記開閉方向と平行な方向に延びて前記第一シーラ保持ブロックと前記シャフト保持ブロックとを連結するとともに、前記第二シーラ保持ブロックを貫通かつガイドする二本のシーラシャフトと、
前記第一及び第二シーラ保持ブロックを前記開閉方向に移動させる駆動源としてのサーボモータと、
複数のリンクと回転中心軸とを有し、前記複数のリンクのいずれか一つが不動支持体に前記回転中心軸を介して回動可能に取り付けられ、前記サーボモータの出力を前記第一及び第二シーラ保持ブロックの前記開閉方向の移動に変換するトグルリンク機構と、
前記回転中心軸及び前記サーボモータが一体的に設けられ、前記不動支持体としての機械フレームに取り付けられた一体型ブロックと、
を備えた包装機のシール装置。
【請求項2】
前記トグルリンク機構は、第一及び第二トグルリンク機構を有し、
前記第一トグルリンク機構は、一端及び他端からなる第一乃至第三リンクと、第一乃至第五連結軸とを有し、
前記第二トグルリンク機構は、一端及び他端からなる第四及び第五リンクと、第六連結軸とを有し、
前記第一リンクは、前記一端が前記第二シーラ保持ブロックに前記第一連結軸を介して回動可能に連結され、
前記第二リンクは、前記一端が前記第一リンクの前記他端に前記第二連結軸を介して回動可能に連結され、前記一端と前記他端との中間が前記機械フレームに前記回転中心軸としての前記第三連結軸を介して回動可能に取り付けられ、
前記第三リンクは、前記一端が前記第二リンクの前記他端に前記第四連結軸を介して回動可能に連結され、かつ、前記他端が前記シャフト保持ブロックに前記第五連結軸を介して回動可能に連結され、
前記第四リンクは、前記一端が前記第二連結軸に回動可能に連結され、
前記第五リンクは、前記一端が前記第四リンクの前記他端に前記第六連結軸を介して回動可能に連結され、前記他端が前記サーボモータの出力回転軸に取り付けられ、
前記第一トグルリンク機構と前記第二トグルリンク機構とは、前記第二トグルリンク機構が直線状に近づく動作をするときに、前記第二トグルリンク機構によって押される第一トグルリンク機構も直線状に近づく動作をする関係にある、
請求項1記載の包装機のシール装置。
【請求項3】
前記一体型ブロックには、前記回転中心軸及び前記サーボモータの他に、前記トグルリンク機構の動作状態を検出するセンサが一体的に設けられた、
請求項1又は2記載の包装機のシール装置。
【請求項4】
前記包装機は、縦に配置された充填筒の周囲を囲むようにして縦方向に送られる筒状の前記包装材に、前記シール装置によって横シールを施して袋を形成しつつ、前記充填筒を通して筒状の前記包装材に製品を投入することにより、前記製品が前記袋内に収容された袋包装体を連続して製造する縦型製袋充填包装機である、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の包装機のシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦型製袋充填包装機などの包装機に用いられる横シール装置などのシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
縦型製袋充填包装機は、縦型ピロー包装機とも呼ばれ、各種の産業分野で広く使用されている。縦型製袋充填包装機の動作の一例は、次のとおりである。まず、原反ロールから包装用フィルムを繰り出し、これを製袋器で筒状に成形する。続いて、この筒状フィルムを垂直下方に給送して、筒状フィルムの重合端縁部に縦シールを施し、これに製品を投入・充填する。続いて、製品と製品の間の位置で、筒状フィルムの幅方向に横シールを施す。最後に、当該横シールの中央部においてカッタで切断することにより、製品が袋部内に充填された所謂ピロー包装体を製作する。
【0003】
縦型製袋充填包装機における横シール装置では、筒状フィルムを挟んで対向する一方と他方の横シール部材を有している。これらの横シール部材は、互いに接近・離間自在となっている。また、各横シール部材にはヒータが内蔵されており、各横シール部材で筒状フィルムを押圧した状態でヒータにより熱が加えられ、これにより、押圧された部分が軟化し、かつ固着されるようになっている。つまり、横シールが施工されるようになっている。
【0004】
この種の包装機において、サーボモータの出力をトグルリンク機構を介してシール手段の開閉動作に変換することにより、高いシール圧力を得る横シール装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-188203号公報「トグル機構作動式のシールユニットを備えた包装機」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昨今、包装機における包装能力の向上が求められている。包装能力、すなわち包装の回転数を上げるためには、高いシール圧力が必要となる。また、包装する商品に適した多種多様(ポリエチレン、和紙系など)な包装材に対応するためには、各々の包装材に対する最適なシール圧力の設定が必要となる。
【0007】
他方、横シーラでシールされる部位には、包装形態により例えば、包装材が二枚重なる部分と三枚以上重なる部分とが隣り合う場合がある。そのような包装材の厚み差のある部位も、薄い部分と厚い部分とを同時に確実にシールする必要がある。また、同一機種の包装機が複数同時に稼働する場合、包装機ごとの横シール圧力のばらつきの無い生産が求められる。
【0008】
以上のことより、横シールにおける圧力数値の精度向上が一層求められている。しかしながら、前述のトグルリンク機構を用いた横シール装置では、トグルリンク機構の回転中心軸の位置とサーボモータの出力回転軸の位置とを高精度に合わせる必要があった。なぜなら、それらを高精度に位置を合わせないと、所期の動作を実現することが難しいからである。
【0009】
そこで、本発明の目的は、トグルリンク機構を用いたシール装置において、トグルリンク機構の回転中心軸の位置とサーボモータの出力回転軸の位置とを高精度かつ容易に合わせることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るシール装置は、
開閉方向に移動可能に配置された第一及び第二シーラ保持ブロックと、
前記第一及び第二シーラ保持ブロックの互いの対向面に包装材を挟むようにそれぞれ設けられ、前記開閉方向に移動する前記第一及び第二シーラ保持ブロックによって前記包装材に対して離脱又は当接するとともに、前記当接する際に前記包装材を挟み付けてシールを施す第一及び第二シーラと、
前記第一シーラ保持ブロックから見て前記第二シーラ保持ブロックの後側に配置されたシャフト保持ブロックと、
前記第一及び第二シーラ保持ブロックが移動する前記開閉方向と平行な方向に延びて前記第一シーラ保持ブロックと前記シャフト保持ブロックとを連結するとともに、前記第二シーラ保持ブロックを貫通かつガイドするシーラシャフトと、
前記第一及び第二シーラ保持ブロックを前記開閉方向に移動させる駆動源としてのサーボモータと、
複数のリンクと回転中心軸とを有し、前記複数のリンクのいずれか一つが不動支持体に前記回転中心軸を介して回動可能に取り付けられ、前記サーボモータの出力を前記第一及び第二シーラ保持ブロックの前記開閉方向の移動に変換するトグルリンク機構と、
前記回転中心軸及び前記サーボモータが一体的に設けられ、前記不動支持体としての機械フレームに取り付けられた一体型ブロックと、
を備えた包装機のシール装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るシール装置によれば、トグルリンク機構の回転中心軸及びサーボモータが一体的に設けられた一体型ブロックを機械フレームに取り付けたことにより、トグルリンク機構の回転中心軸の位置とサーボモータの出力回転軸の位置とを高精度かつ容易に合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本願の縦型製袋充填包装機を示す全体斜視図である。
【
図2】本願の横シール装置を示す側面図であり、
図3におけるII-II線断面図に相当する。
【
図4】本願の横シール装置においてトグルリンク機構を除去した状態を示す側面図である。
【
図5】本願の横シール装置における一体型ブロックの一例を示す斜視図である。
【
図6】本願の横シール装置における動作を示す概略側面図であり、
図6[A]は閉じる動作、
図6[B]は開く動作である。
【
図7】比較例の横シール装置においてトグルリンク機構を除去した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本願の縦型製袋充填包装機1を示す全体斜視図である。以下、
図1に基づき、本願の縦型製袋充填包装機を説明する。本願では、「包装機」、「シール装置」、及び、「包装材」として、それぞれ縦型製袋充填包装機1、横シール装置10、及び、帯状フィルムFw・筒状フィルムFtを例示する。
【0014】
縦型製袋充填包装機1は、縦に配置された製袋充填筒4の周囲を囲むようにして縦方向に送られる筒状フィルムFtに、横シール装置10によって横シールを施して袋を形成しつつ、製袋充填筒4を通して筒状フィルムFtに製品Pを投入することにより、製品Pが袋内に収容された袋包装体Bpを連続して製造する包装機である。以下、縦型製袋充填包装機1について更に詳しく説明する。
【0015】
縦型製袋充填包装機1は、所定量の帯状フィルムFwが巻付けられた巻取りロールFrを備えている。巻取りロールFrの帯状フィルムFwの流れの下流側には、矢印Aで示す方向に揺動して最適のテンションを帯状フィルムFwに付与するテンション機構2が配置されている。テンション機構2の流れの更に下流側には、テンション機構2を経由した帯状フィルムFwを筒状に形成する製筒器3と、製筒器3で形成された筒状フィルムFtを装着する製袋充填筒4とが配置されている。
【0016】
製袋充填筒4には、上方に配設され製品Pを投入する製品投入部4Aと、筒状フィルムFtを下流に送る紙送り機構5と、縦シール装置6とが配置されている。縦シール装置6は、紙送り機構5の送り方向に沿って、筒状フィルムFtの重ね合わされた両端部に縦シールを施す。
【0017】
縦シール装置6の下流には、横シール装置10が配設されている。横シール装置10は、第一及び第二シーラ21,22と、第一及び第二シーラ21,22がそれぞれ設けられた第一及び第二シーラ保持ブロック11,12とを備えている。第一及び第二シーラ21,22は、製品Pが投入された筒状フィルムFtの製品投入側に、両側から加圧接触し、その後に加熱シールする。そして、横シール装置10では、後述するサーボモータの駆動により、第一及び第二シーラ保持ブロック11,12が接近・離間方向(X軸方向)に移動自在となっている。
【0018】
図2乃至
図6は本願の横シール装置10を示し、
図2は側面図、
図3は平面図、
図4はトグルリンク機構50を除去した状態を示す側面図、
図5は一体型ブロック70の一例を示す斜視図、
図6[A]は閉じる動作を示す概略側面図、
図6[B]は開く動作を示す概略側面図である。以下、
図2乃至
図6に基づき、横シール装置10の構成について説明する。
【0019】
横シール装置10は、第一及び第二シーラ保持ブロック11,12、シャフト保持ブロック13、第一及び第二シーラ21,22、二本のシーラシャフト31,32、サーボモータ33、トグルリンク機構50、及び、一体型ブロック70を備えている。
【0020】
第一及び第二シーラ保持ブロック11,12は、開閉方向Xに移動可能に配置されている。第一及び第二シーラ21,22は、第一及び第二シーラ保持ブロック11,12の互いの対向面に筒状フィルムFtを挟むようにそれぞれ設けられ、開閉方向Xに移動する第一及び第二シーラ保持ブロック11,12によって筒状フィルムFtに対して離脱又は当接するとともに、当接する際に筒状フィルムFtを挟み付けてシールを施す。シャフト保持ブロック13は、第一シーラ保持ブロック11から見て第二シーラ保持ブロック12の後側に配置されている。二本のシーラシャフト31,32は、第一及び第二シーラ保持ブロック11,12が移動する開閉方向Xと平行な方向に延びて第一シーラ保持ブロック11とシャフト保持ブロック13とを連結するとともに、第二シーラ保持ブロック12を貫通かつガイドする。
【0021】
サーボモータ33は、第一及び第二シーラ保持ブロック11,12を開閉方向Xに移動させる駆動源である。トグルリンク機構50は、複数のリンク(第一乃至第五リンク41~45)と回転中心軸(第三連結軸53)とを有し、複数のリンクのいずれか一つ(第二リンク42)が不動支持体(機械フレーム35)に回転中心軸(第三連結軸53)を介して回動可能に取り付けられ、サーボモータ33の出力を第一及び第二シーラ保持ブロック11,12の開閉方向Xの移動に変換する。
【0022】
一体型ブロック70は、回転中心軸(第三連結軸53)及びサーボモータ33が一体的に設けられ、不動支持体としての機械フレーム35に取り付けられている。ここで「一体」とは、全体が一つのものになっていて、分離できない状態をいう。一体型ブロック70の構造は、例えば
図5に示すように箱状とすることができる。このとき、第三連結軸53の両端及びサーボモータ33を挿通するための挿通孔71,72,73を設けることが好ましい。機械フレーム35には溝を設け、この溝に一体型ブロック70を嵌め込んでネジ止めするようにしてもよい。なお、
図5は細かい付属部品等を省略した概略図である。
【0023】
不動支持体とは、シール装置10から見て動かない部分からなる支持体である。機械フレーム35としては、本願では横シーラフレームを用いている。機械フレーム35内には、上下用シャフト36が通っている。横シール装置10は機械フレーム35とともに上下に移動可能であり、上下用シャフト36はこのときのガイドとなる。
【0024】
トグルリンク機構50は、第一及び第二トグルリンク機構61,62を有する。第一トグルリンク機構61は、一端及び他端からなる第一乃至第三リンク41~43と、第一乃至第五連結軸51~55とを有する。第二トグルリンク機構62は、一端及び他端からなる第四及び第五リンク44,45と、第六連結軸56とを有する。なお、第一乃至第五リンク41~45の一端及び他端については、符号を省略する。
【0025】
第一リンク41は、一端が第二シーラ保持ブロック12に第一連結軸51を介して回動可能に連結されている。第二リンク42は、一端が第一リンク41の他端に第二連結軸52を介して回動可能に連結され、一端と他端との中間が機械フレーム35に回転中心軸としての第三連結軸53を介して回動可能に取り付けられている。第三リンク43は、一端が第二リンク42の他端に第四連結軸54を介して回動可能に連結され、かつ、他端がシャフト保持ブロック13に第五連結軸55を介して回動可能に連結されている。
【0026】
第四リンク44は、一端が第二連結軸52に回動可能に連結されている。第五リンク45は、一端が第四リンク44の他端に第六連結軸56を介して回動可能に連結され、他端がサーボモータ33の出力回転軸34に取り付けられている。
【0027】
第一トグルリンク機構61と第二トグルリンク機構62とは、第二トグルリンク機構62が直線状に近づく動作をするときに、第二トグルリンク機構62によって押される第一トグルリンク機構61も直線状に近づく動作をする関係にある(
図6[B]→[A])。
【0028】
なお、
図2は、
図3におけるII-II線断面図に相当し、一体型ブロック70を切り欠いて示している。ただし、
図2及び
図3は、一部を省略又は簡略化して示しているので、互いに対応しない部分がある。第二シーラ保持ブロック12には、リンク保持部材121が設けられている。そのため、第一リンク41の一端は、リンク保持部材121及び第一連結軸51を介して、第二シーラ保持ブロック12に回動可能に連結されている。同様に、シャフト保持ブロック13には、リンク保持部材131が設けられている。そのため、第三リンク43の他端は、リンク保持部材131及び第五連結軸55を介して、シャフト保持ブロック13に回動可能に連結されている。また、
図3に示すように、二本のシーラシャフト31,32には、それぞれ複数のリニアブッシュ311,321が嵌挿されている。
図3に示すように、平面視して、第一及び第三リンク41,43は矩形状、第二リンク42はエ字状、リンク保持部材121,131はコ字状である。
【0029】
次に、
図2乃至
図6に基づき、横シール装置10について更に詳しく説明する。以下、第一及び第二シーラ保持ブロック11,12並びに第一及び第二シーラ21,22を総称して「シール手段」ということがある。
【0030】
横シール装置10は、筒状フィルムFtを図の左右両方向から挟み付けるユニット構造となっており、シール手段と、サーボモータ33と、サーボモータ33の出力をシール手段の開閉動作に変換するためのトグルリンク機構50とを備えている。シール手段は、筒状フィルムFtを横方向両側から挟み付けてシールを施すための第一及び第二シーラ保持ブロック11,12と、第一及び第二シーラ保持ブロック11,12にそれぞれ支持されたバー状の第一及び第二シーラ21,22とを備えている。バー状の第一及び第二シーラ21,22は、例えば二枚の包装フィルムが重なった状態にある筒状フィルムFtの横幅を超える長さを有している。
【0031】
トグルリンク機構50が動くことによって、第二シール保持ブロック12及び第二シーラ22が動き、この動きに応じて第一シール保持ブロック11及び第一シーラ21も動く(
図6)。そのため、横シール装置10には、トグルリンク機構50が連結されたシャフト保持ブロック13と、シャフト保持ブロック13を第一シール保持ブロック11に連結する二本のシーラシャフト31,32とが設けられている。二本のシーラシャフト31,32は、シャフト保持ブロック13と第一シール保持ブロック11とに取り付けられており、第二シール保持ブロック12に対しては貫通していて第二シール保持ブロック12の動きをガイドする。
【0032】
第一及び第二シーラ21,22は、筒状フィルムFtを挟むように左右に配置されており、後述するトグルリンク機構50の動作によって開閉方向Xに移動する。この閉じ動作に応じて、第一及び第二シーラ21,22は、筒状フィルムFtに当接し、当接する際に筒状フィルムFtにヒートシールのようなシールを施す。サーボモータ33は、シール手段に開閉動作をさせる駆動源として、シール手段の開閉動作面から下方に離れた位置に配設されている。
【0033】
トグルリンク機構50は、第一トグルリンク機構61と第二トグルリンク機構62とが組み合わされたダブルトグルリンク機構として構成されている。第一トグルリンク機構61及び第二トグルリンク機構62は、第一及び第二シーラ21,22のバー状に延びる方向に直交する平面(
図3で示すA-A線断面)内でトグルリンク動作をする態様で配置されている。ただし、
図3では第二トグルリンク機構62の図示を省略している。
【0034】
第一トグルリンク機構61は、第二シーラ保持ブロック12とシャフト保持ブロック13との間に配置されている。シャフト保持ブロック13は、第二シーラ保持ブロック12から開き方向に離れて配置されている。第一トグルリンク機構61は、第一乃至第三リンク41~43を備えている。第一リンク41は、一端において第一連結軸51によって第二シーラ保持ブロック12に回動可能に連結されている。第三リンク43は、一端において第五連結軸55によってシャフト保持ブロック13に回動可能に連結されている。第二リンク42は、第一及び第三リンク41,43の両他端に対してそれぞれ第二及び第四連結軸52,54で回動可能に連結されている。また、第二リンク42は、その中心にある第三連結軸53によって固定の機械フレーム35に回動可能に配置されている。そのため、その回転軸線の位置が機械フレーム35に対して固定となるので、安定した動作をするトグルリンク機構とすることができる。
【0035】
第二トグルリンク機構62は、第四及び第五リンク44,45を備えている。第五リンク45は、一端においてサーボモータ33の出力回転軸34に取り付けられている。第四リンク44は、第一トグルリンク機構61の第二連結軸52に対して回動可能に連結されている。第四及び第五リンク44,45は、それぞれの他端において第六連結軸56によって互いに回動可能に連結されている。なお、第四リンク44は、第二連結軸52に代えて、第四連結軸54に対して回動可能に連結してもよい。
【0036】
図6に示すように、第一トグルリンク機構61と第二トグルリンク機構62とは、それぞれ第二及び第四連結軸52,54と第六連結軸56とで折れ曲がるようにリンク動作をする。このとき、サーボモータ33が駆動して第二トグルリンク機構62が直線状に近づく動作をすると、第二トグルリンク機構62の第四リンク44によって押される第一トグルリンク機構61も直線状に近づく動作をする(
図6[B]→[A])。
【0037】
駆動源としてのサーボモータ33の出力は、トグルリンク機構50によってシール手段の開閉動作に変換される。シール手段は、この動作の変換によって、筒状フィルムFtを挟む開閉動作をし、閉じ動作の際に、例えばヒートシールによって筒状フィルムFtにシールを施す。第二トグルリンク機構62においては、第五リンク45がサーボモータ33の出力回転軸34とともに回動し、第四及び第五リンク44,45が第六連結軸56で交差する角度が180度に近くなるように直線状に近づく動作をするときに、第一トグルリンク機構61に対してその第二連結軸52で押す力が増大する。このとき、第一トグルリンク機構61と第二トグルリンク機構62との関係により、第一トグルリンク機構61においても、第一乃至第三リンク41~43が、第二及び第四連結軸52,54でそれぞれ交差する角度が180度に近くなるように直線状に近づく動作をする。
【0038】
第一トグルリンク機構61のこうした動作により、第一リンク41が直接的に第二シーラ22を筒状フィルムFtに接近させ、第三リンク43がシャフト保持ブロック13を筒状フィルムFtから遠ざかる方向に押す動作をする。シャフト保持ブロック13を押す動作は、二本のシーラシャフト31,32を介して第一シーラ21を第二シーラ22とは反対側から筒状フィルムFtに接近させる。したがって、第二トグルリンク機構62の直線状に近づく動作によって、第一トグルリンク機構61は第二連結軸52から増大した力で押され、同時に直線状に近づく動作をする第一トグルリンク機構61によって、シール手段において第一及び第二シーラ21,22が更に増大した力で筒状フィルムFtに当接する。その結果、第一及び第二シーラ21,22は高いシール圧力で筒状フィルムFtに横シールを行うことができる。
【0039】
また、
図6に示すように、一体型ブロック70には、回転中心軸(第三連結軸53)及びサーボモータ33の他に、トグルリンク機構50の動作状態を検出するセンサ74が一体的に設けられている。
【0040】
センサ74は、第二リンク42の近傍に設けられ、第二リンク42の有無(接近・離間)を例えば静電容量で検出する近接センサである。センサ74の出力信号は、例えば、第二リンク42が有であればオン、第二リンク42が無であればオフである。つまり、
図6[A]の状態から
図6[B]の状態になる前までの間でオン信号が出力され、
図6[B]の状態になるとオフ信号が出力される。
【0041】
これにより、センサ74を使って第一及び第二シーラ21,22の原点を定めることができる。まず、オン信号がオフ信号になる点を通り過ぎるまで、第二リンク42を回転させる。そして、第二リンク42を逆に回転させ、オフ信号がオン信号になる点まで戻し、その点を原点とする。
【0042】
次に、横シール装置10の作用及び効果について説明する。
【0043】
横シール装置10によれば、トグルリンク機構50の回転中心軸(第三連結軸53)及びサーボモータ33が一体的に設けられた一体型ブロック70を機械フレーム35に取り付けたことにより、トグルリンク機構50の回転中心軸(第三連結軸53)の位置とサーボモータ33の出力回転軸34の位置とを高精度かつ容易に合わせることができる。
図4では、第三連結軸53の位置として中心531、出力回転軸34の位置として中心341をそれぞれ示している。以下に、詳しく説明する。
【0044】
図2に示すように、トグルリンク機構50において第一乃至第三リンク41~43は、完全な直線状にはなっていない。つまり、トグルリンク機構50は、第一乃至第三リンク41~43が第一及び第二シール21,22と同軸直線状になる“ほんの少し”手前で、第一及び第二シーラ21,22が筒状フィルムFtに当接してシールを施すように動作する。なぜなら、第一乃至第三リンク41~43が直線状になる直前で、最も大きなシール圧力が得られるからである。そのため、第一乃至第三リンク41~43が直線状になる“ほんの少し”手前で止まるような、トグルリンク機構50の動作を実現するには、トグルリンク機構50の回転中心軸としての第三連結軸53とサーボモータ33の出力回転軸34とを高精度に位置決めする必要がある。言い換えると、第三連結軸53と出力回転軸34との平行度などの位置決めには、“ほんの少し”の狂いも許されないのである。
【0045】
図7は、比較例の横シール装置80を示す。
図7において
図4と同じ部分は同じ符号を付すことにより、重複説明を省略する。横シール装置80では、回転中心軸としての第三連結軸53とサーボモータ33とを、それぞれ別々のブラケット81,82を介して、機械フレーム35としての横シーラフレームに取り付けていた。
【0046】
そのため、比較例では、機械フレーム35に第三連結軸53を精度良く取り付けたうえに、更に機械フレーム35にサーボモータ33を精度良く取り付け、しかも第三連結軸53と出力回転軸34とを高精度に位置決めしなければならなかった。この作業は極めて難しいため、作業効率が低下していた。
【0047】
これに対し、本願では、第三連結軸53及びサーボモータ33が一体的に設けられた一体型ブロック70を機械フレーム35に取り付けることにより、第三連結軸53及び出力回転軸34の高精度な位置決めが一体型ブロック70を組み立てる際に終了しているので、一体型ブロック70を機械フレーム35に取り付ける作業が容易になり、作業効率を向上できる。
【0048】
この効果により、次のような副次的な効果も派生する。比較例におけるブラケット81,82などの加工精度が必要な部品点数が少なくなる。機械フレーム35に取り付ける作業が容易になることにより、作業者の熟練度に関係なく一定の品質が得られる。運転時のトグルリンク機構50の調整が必要最小限となる。
【0049】
横シール装置10の効果による縦型製袋充填包装機1の効果は次のとおりである。包装機ごとの性能を均一化できる。処理速度を上げても、安定した圧力数値の横シールを実現できる。包装材料又は包装形態を問わず、安定した横シールを実現できる。包装機の組立効率及び包装機による生産効率が向上する。
【0050】
また、横シール装置10によれば、第三連結軸53及びサーボモータ33の他に、トグルリンク機構50の動作状態を検出するセンサ74を一体的に設けた一体型ブロック70を機械フレーム35に取り付けたことにより、第三連結軸53、出力回転軸34及びセンサ74の高精度な位置決めが一体型ブロック70を組み立てる際に終了しているので、一体型ブロック70を機械フレーム35に取り付ける作業が容易になり、作業効率を向上できる。
【0051】
<その他>
以上、上記実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。
【0052】
本発明が適用可能な包装機は、前述した製袋充填包装機以外の包装機であってもよい。サーボモータの出力を接離動作(開閉動作)に変換するダブルトグルリンク機構を備えたシール装置は、重ね合わされたシート状の包装材をシールするシール装置にも適用可能である。製袋充填包装機である場合には、縦型のみならず横型の製袋充填包装機のシール装置にも適用可能であり、製袋充填包装機は間欠作動型でも連続作動型であってもそのシール手段のシール装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 縦型製袋充填包装機(包装機)
2 テンション機構
3 製筒器
4 製袋充填筒
4A 製品投入部
5 紙送り機構
6 縦シール装置
Fr 巻取りロール
Fw 帯状フィルム(包装材)
Ft 筒状フィルム(筒状包装材)
P 製品
Bp 袋包装体
10 横シール装置(シール装置)
11,12 第一及び第二シーラ保持ブロック
13 シャフト保持ブロック
121,131 リンク保持部材
21,22 第一及び第二シーラ
31,32 二本のシーラシャフト
311,321 リニアブッシュ
33 サーボモータ
34 出力回転軸
341 中心
35 機械フレーム(不動支持体)
36 上下用シャフト
50 トグルリンク機構
61,62 第一及び第二トグルリンク機構
41,42,43,44,45 第一乃至第五リンク
51,52,54,55,56 第一、第二、第四乃至第六連結軸
53 第三連結軸(回転中心軸)
531 中心
70 一体型ブロック
71,72,73 挿通孔
74 センサ
80 横シール装置(比較例)
81,82 ブラケット