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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134072
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】回収方法、回収装置及びコア回収具
(51)【国際特許分類】
   B28D 7/04 20060101AFI20230920BHJP
   B28D 1/14 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B28D7/04
B28D1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039411
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(71)【出願人】
【識別番号】502263905
【氏名又は名称】ダイヤモンド機工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000165424
【氏名又は名称】株式会社コンセック
(71)【出願人】
【識別番号】596105208
【氏名又は名称】第一カッター興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 立
(72)【発明者】
【氏名】向井 啓通
(72)【発明者】
【氏名】垣中 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】上條 宏明
(72)【発明者】
【氏名】平田 豪
(72)【発明者】
【氏名】神田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】綿川 文治
(72)【発明者】
【氏名】大下 貴史
(72)【発明者】
【氏名】眞野 敬英
【テーマコード(参考)】
3C069
【Fターム(参考)】
3C069AA04
3C069BA09
3C069CA07
3C069DA07
3C069EA01
(57)【要約】
【課題】水平方向に延在するコア孔内にあるコアを効率的に回収するための回収方法、回収装置及びコア回収具を提供する。
【解決手段】回収装置20は、コンクリートブロック60において水平方向に延在する円筒形状で形成されたコア孔h1内に、コア孔h1の穿孔により形成され残留する円筒形状のコア61を回収する。この回収装置20は、コア孔h1の大きさに対応する円弧の断面が続く形状で形成される載置部45を備えたコア回収具40を備える。回収装置20は、載置部45の先端を、コア孔h1の下面に当接するコア61とコア孔h1の空間において、コア61の上方に挿入させた後、コア回収具40を回転させることにより、コア61を載置部45に載置させる。そして、回収装置20は、載置部45にコア61が載置した状態で、コア回収具40を後退させて、コア61を回収する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿孔対象物において水平方向に延在する円筒形状で形成されたコア孔内に、残留する円筒形状のコアを、回収装置を用いて回収する方法であって、
前記回収装置は、前記コア孔の大きさに対応する円弧の断面が続く形状で形成された載置部を有するコア回収具を備え、
前記載置部の先端を、前記コア孔の下面に当接する前記コアと前記コア孔の空間に挿入させた後、
前記コア回収具を回転又は前進させることにより、前記コアを前記載置部に載置させ、
前記載置部に前記コアが載置した状態で、前記コア回収具を後退させて、前記コアを回収することを特徴とする回収方法。
【請求項2】
前記載置部の先端を、前記コア孔の空間において前記コアの上方の空間に挿入した後、
前記コア回収具を回転させることにより、前記載置部に前記コアを載置させることを特徴とする請求項1に記載の回収方法。
【請求項3】
前記載置部の先端を、前記コア孔の空間において前記コアの左右の空間に挿入しながら前記載置部を前進させることにより、前記載置部に前記コアを載置させることを特徴とする請求項1に記載の回収方法。
【請求項4】
穿孔対象物において水平方向に延在する円筒形状で形成されたコア孔内に、残留する円筒形状のコアを回収する回収装置であって、
前記コア孔の大きさに対応する円弧の断面が続く形状で形成され、前記コアを載置する載置部を有するコア回収具と、
前記コア回収具を回転可能な回転機構部と、
前記回転機構部を直進させる直動機構部と、を備え、
前記載置部の先端が、軸方向に傾斜した形状を有していることを特徴とする回収装置。
【請求項5】
穿孔対象物において水平方向に延在する円筒形状で形成されたコア孔内に、残留する円筒形状のコアを回収する回収装置に備えるコア回収具であって、
前記コアの軸方向に移動させる直動機構部に、直接又は他の部材を介して接続可能な接続部と、
前記コア孔の大きさに対応する円弧の断面が続く形状で形成される載置部と、を備え、
前記載置部の先端が、軸方向に傾斜した形状を有していることを特徴とするコア回収具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コアビットにより穿孔されたコア孔に残留したコア(残留物)を回収するための回収方法、回収装置及びコア回収具に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート等の構造物を穿孔するために、円筒形状のコアビットを備えた穿孔装置を用いることがある。この穿孔装置において、長い孔(深い孔)を形成する場合、長尺のシャンク(チューブ)を有する一体式のコアビットを用いることもある(例えば、特許文献1参照。)。この文献に記載の穿孔装置のコアビットは、円筒の先端の外周に刃が設けられたビット部と、コアビットを回転させる回転機構部に取り付けるカップリング部とが一体に形成されている。この穿孔装置は、切粉を吸引するとともに、コアビットを回転させながら直進することにより、穿孔対象物に孔を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-177740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
穿孔装置を用いて、コア孔を、水平方向に延在するように形成した場合、コア孔内にコア(残留物)が残ることがある。この場合、水平方向に延在するコア孔内のコアを、効率的に取り除くことが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための回収方法は、穿孔対象物において水平方向に延在する円筒形状で形成されたコア孔内に、残留する円筒形状のコアを、回収装置を用いて回収する方法であって、前記回収装置は、前記コア孔の大きさに対応する円弧の断面が続く形状で形成された載置部を有するコア回収具を備え、前記載置部の先端を、前記コア孔の下面に当接する前記コアと前記コア孔の空間に挿入させた後、前記コア回収具を回転又は前進させることにより、前記コアを前記載置部に載置させ、前記載置部に前記コアが載置した状態で、前記コア回収具を後退させて、前記コアを回収する。
また、上記課題を解決するためのコア回収具は、穿孔対象物において水平方向に延在する円筒形状で形成されたコア孔内に、残留する円筒形状のコアを回収する回収装置に備えるコア回収具であって、前記コアの軸方向に移動させる直動機構部に、直接又は他の部材を介して接続可能な接続部と、前記コア孔の大きさに対応する円弧の断面が続く形状で形成される載置部と、を備え、前記載置部の先端が、軸方向に傾斜した形状を有している。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、水平方向に延在するコア孔内にあるコア(残留物)を効率的に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態における回収装置の正面図である。
図2図1における2-2線における断面図である。
図3】第1実施形態における回収具の斜視図である。
図4】第1実施形態における回収具の正面図である。
図5】第1実施形態における回収具の上面図である。
図6】第1実施形態におけるコア孔を形成する穿孔装置の説明図である。
図7】第1実施形態において穿孔装置で形成されたコア孔とコアの位置関係を説明する説明図である。
図8】第1実施形態において穿孔装置で形成されたコア孔とコアの位置関係を説明する説明図であり、図7の状態から更にコア先端部を鉛直に切断した状態を示す。
図9】第1実施形態の回収装置を配置した回収前の状態の正面図である。
図10】第1実施形態の回収装置の回収具をコア孔に挿入した状態の正面図である。
図11】第1実施形態の回収装置の回収具の載置部をコア孔に挿入したときの断面図であり、(a)は載置部の先端がコア孔においてコアの上方に位置する状態、(b)は載置部の回転途中の状態、(c)は載置部にコアが載置した状態を示す。
図12】第1実施形態の回収装置の回収具の載置部にコアが載置した状態の正面図である。
図13】第1実施形態のコアをコア孔から抜き取った状態の断面図である。
図14】第2実施形態における回収具の斜視図である。
図15】第2実施形態における回収具の正面図である。
図16】第2実施形態における回収具の上面図である。
図17】第2実施形態の回収装置を配置した回収前の状態の正面図である。
図18】第2実施形態の回収装置の回収具をコア孔内に挿入したときの断面図であり、(a)は載置部の先端がコア孔においてコアの左右に位置する状態、(b)は載置部の先端が途中まで挿入した状態、(c)は回収具にコアが載置した状態を示す。
図19】第2実施形態の回収装置の回収具の載置部にコアが載置した状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、図1図13を用いて、回収方法、回収装置及びコア回収具を具体化した第1実施形態を説明する。本実施形態の回収装置は、穿孔装置であるコアビットを用いて、鉄筋コンクリートブロック(穿孔対象物)に、水平方向に延在するコア孔(長孔)を形成した際に、コア孔に残留するコア(残留物)を回収する。また、本実施形態の回収装置は、コアビットを取り付けている穿孔装置において、コアビットの代わりに回収具を取り付けて構成される。
【0009】
図1は、本実施形態の回収装置20の正面図であり、図2は、図1における2-2線における断面図である。
図1に示すように、本実施形態の回収装置20は、略直方体形状の支持枠21を有している。この支持枠21は、後述するコア回収具40を支持する。具体的には、支持枠21は、四角枠を構成するフレーム22,24と、これらの角をそれぞれ連結するフレーム23とを備えている。フレーム22は、穿孔側(コンクリートブロック側)に設けられている。フレーム24は、各フレーム22のそれぞれと平行に配置されている。フレーム23は、フレーム22,24の間で、これらと直交する方向に延在して配置されている。
【0010】
図1及び図2に示すように、回収装置20には、フレーム23と平行に延在する一対(2つ)の差込ブラケットB1が設けられている。差込ブラケットB1は、フレーム24側が開口した中空の四角柱形状からなる。この差込ブラケットB1は、回収装置20を移動させる場合に、フォークリフトのフォークを差し込むために用いられる。なお、フォークリフトにより回収装置20を持ち上げた場合にも、回収装置20の重心がフォーク間の位置になるように、差込ブラケットB1は離間して配置されている。
【0011】
図2に示すように、フレーム22には、基板25が、フレーム22に渡るように取り付けられている。基板25の中心には、貫通孔25aが形成されている。この貫通孔25aは、コア回収具40の円弧形状の載置部45が遊嵌可能な大きさの円形状を有している。
【0012】
基板25の上部には、取付部材26aを介して、回転可能にローラ28aが取り付けられている。ローラ28aは、コア回収具40の載置部45が上方に位置した際に、載置部45の外周面に当接するように配置される。
【0013】
更に、図2の下側に位置するフレーム22には、取付部材26bを介して、後述するガイド軸37aが固定されている。ガイド軸37aの上には、取付部を介して、離間した2つのローラ28bが回転可能に配置されている。これらローラ28bは、ローラ28aと対向する位置で、下方に位置したときの載置部45の外周面に当接するように配置される。
【0014】
図1に示した回収装置20は、コア回収具40、回転機構部35及び直動機構部37を備えている。回転機構部35は、コア回収具40を回転させる。直動機構部37は、コア回収具40を前後(図1の左右方向)に直進させる。
【0015】
回転機構部35は、円筒形状の接続部35a、この接続部35aが連結した回転軸、ギア(図示せず)及びモータ35mを備えている。接続部35aの外周にはおねじが形成されている。モータ35mは、正逆回転モータであり、その回転力を、接続部35aを介してコア回収具40に伝達し、コア回収具40を回転させる。
【0016】
直動機構部37は、ガイド軸37a及び可動部37bを備えている。ガイド軸37aは、支持枠21内でフレーム23と平行に延在しており、その端部がフレーム22,24に取り付けられている。可動部37bは、ガイド軸37aに摺動可能に取り付けられ、内蔵するモータの回転力を変換した直進力を用いてガイド軸37a上を直進移動する。この可動部37bには、回転機構部35が取り付けられている。
【0017】
更に、回収装置20は、図示しない制御部を備える。制御部は、回転機構部35及び直動機構部37を制御する。これにより、制御部は、コア回収具40を前方に移動させた後、回転させ、その後、後方に移動させる。
【0018】
(コア回収具40の構成)
図3図5は、コア回収具40の斜視図、正面図、上面図である。
図3に示すように、コア回収具40は、有底円筒形状の本体部41、接続部43及び載置部45を備える。
【0019】
本体部41は、コア孔を形成する後述するコアビットと同じ大きさの円筒体を有する。本体部41の底部には、一方向の中心軸C1上に、段付きの接続部43が接続されている。接続部43には、中心軸C1上に貫通孔が形成されている。この貫通孔の内周には、めねじが形成されている。このめねじは、回転機構部35の接続部35aのおねじと螺合することにより、コア回収具40を回転機構部35に固定する。
【0020】
本体部41の接続部43の反対側(先端側)には、載置部45が接続されている。この載置部45は、円弧の断面が連続する形状で構成される。載置部45の断面は、本体部41の円筒と同じ大きさで、例えば約150度の円弧で構成されている。載置部45の先端側には、鋭角の角度θ1で斜めに切り欠いた先端部45aが形成されている。本実施形態の角度θ1は、例えば約60度である。このため、載置部45の軸方向に延在する一方の縁辺の長さL1は、対向する他方の縁辺の長さL2より長くなっており、後述するコアビットとほぼ同じ長さを有する。
【0021】
(コア孔に残留するコアの生成)
まず、このコアの生成について説明する。
このコアは、図6に示すコアビット50を備えた穿孔装置P1を用いてコア孔が形成されることにより生成される。ここで、使用される穿孔装置P1は、回収装置20のコア回収具40の代わりにコアビット50が取り付けられている。
【0022】
図6に示すように、コアビット50は、略円筒形状を有しており、本体部51、本体部51の先端に設けられたビット部52及びカップリング部53を備えている。本体部51は、例えば、1m程度の長尺の円筒形状を有している。本体部51は、コア回収具40の載置部45の円弧と同じ大きさの円で形成される。
【0023】
ビット部52の先端(フレーム22側の端部)には、複数の円弧形状のチップ(刃)が、間隔をおいて固着されている。本実施形態のチップは、内周側が外周側よりも突出した形状をしている。ビット部52は、交換可能のために、本体部51に螺合により固定されている。カップリング部53は、回転機構部35の接続部35aと、螺合によって連結する。
【0024】
この穿孔装置P1を、コンクリートブロック60の側面にフレーム22が当接するように配置する。そして、操作者の指示に応じて制御部が、穿孔装置P1の回転機構部35のモータ35m及び直動機構部37の可動部37bのモータを駆動させる。これにより、コアビット50を回転させながら、コンクリートブロック60の当接面から内部へと水平方向(図6の左側)に直進(前進)移動させることにより、円環形状に切削(穿孔)を行なう。なお、コアビット50がローラ28a,28b間を通過すると、各ローラ28a,28bは、コアビット50に当接して、このコアビット50を支持しながらコアビット50の回転に従って回転する。
【0025】
その後、コアビット50による切削が完了した場合、コアビット50を回転しながら後退させる。
これにより、図7に示すように、コンクリートブロック60に、円筒形状のコア孔h1が形成される。この場合、コア孔h1のコア61は、その先端側(図7の左側)はコンクリートブロック60と連結した状態になっている。この場合、コア孔h1においてコア61の周囲には、円筒表面形状の空間S1が形成されている。
【0026】
その後、図6に示すように、コンクリートブロック60の上方から穿孔が行なわれて垂直方向に延在する孔h2が形成される。この孔h2により、コア孔h1のコア61の先端側がコンクリートブロック60から切断される。
【0027】
これにより、図8に示すように、コア孔h1が円筒形状の空間S2となる。更に、このコア61の先端側がコンクリートブロック60から切断されるので、コア61がコンクリートブロック60から切り離されて落下する。これにより、コア孔h1内で、コア61は下面が当接した状態になる。
【0028】
(回収方法)
次に、コア孔h1に残留したコア61の回収方法について説明する。
図9に示すように、コアビット50を取り外してコア回収具40を取り付けることにより構成された回収装置20を、コンクリートブロック60の側面にフレーム22が当接するように配置する。この場合、コア孔h1の中心軸と、コア回収具40の本体部41の中心軸とが一致するように、回収装置20を配置する。更に、コア回収具40の載置部45が上方に位置するように回転機構部35のモータ35mを回転しておく。
【0029】
そして、操作者の指示に応じて制御部が、直動機構部37の可動部37bのモータを駆動させる。これにより、コア回収具40の載置部45は、上方に位置したまま、コア孔h1に挿入される。
【0030】
この場合、図11(a)に示すように、コア回収具40の載置部45は、コア孔h1の空間S2においてコア61の上方の部分に挿入される。
そして、図10に示すように、載置部45のほぼ全体がコア孔h1に入った場合には、制御部は、可動部37bのモータを停止し、コア回収具40の前進を停止する。
【0031】
次に、操作者の指示に応じて制御部が、回収装置20の回転機構部35のモータ35mを半回転させる。これにより、コア回収具40の載置部45は、上方から、コア孔h1の内周面に沿って半回転(180度回転)する。本実施形態では、載置部45の先端部45aが下側となるように右回りで回転させる。
【0032】
図11(b)に示すように、載置部45が回転するのに従って、載置部45の先端部45aから、コア61の下に入り込むように動く。従って、コア孔h1内で、コア61は、徐々に浮き上がりながら載置部45の上に載る。
【0033】
そして、図11(c)及び図12に示すように、載置部45が半回転し終えると、載置部45が下方に位置し、この載置部45の上にコア61が載置された状態なる。
次に、操作者の指示に応じて制御部が、直動機構部37の可動部37bのモータを駆動させる。これにより、コア回収具40を後方に直動移動させる。この場合、コア回収具40の載置部45の下面は、ローラ28bに支持されながら移動する。
【0034】
そして、載置部45の先端がコア孔h1から抜けると、可動部37bのモータを停止する。
この場合、図13に示すように、コア回収具40の載置部45に載置されたコア61も、コア孔h1から引き抜かれる。
その後、後退したコア回収具40の載置部45の傍に、吊治具等に続くコア回収用の斜路等を配置する。そして、このコア61を載置したコア回収具40を回転させることにより、コア61を、斜路等に落下させる。そして、斜路等の先に設置された吊治具等に収容する。更に、吊治具等に収容されたコア61を、吊り上げて搬送することにより容器等に回収する。
【0035】
(作用)
本実施形態の回収装置20においては、円弧の断面が続いた長尺物の載置部45を備える。水平方向に延在するコア孔h1の空間S2においてコア61の上方の隙間に、載置部45を挿入した後、載置部45を回転させる。これにより、コア61の外周の軸方向に沿わせて、載置部45がコア61の下に入り込むので、載置部45にコア61が載置される。
【0036】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1-1)本実施形態の回収装置20は、載置部45を有するコア回収具40を備える。載置部45は、コアビット50の本体部51の円筒形状と同じ大きさの円弧の断面を有する長尺物である。コア孔h1内の空間S2において、コア61の上方に載置部45を挿入した後、載置部45を回転させることにより、コア61を載置部45に載置させる。そして、コア61を載置した載置部45を後退させる。これにより、円筒形状のコア61全体が載置部45に載置するので、コア孔h1からコア61を効率的に取り出すことができる。
【0037】
(1-2)本実施形態では、コア回収具40の載置部45の先端部45aは、一方向に斜めに切り欠いた形状を有している。これにより、コア回収具40が回転する際に軸方向に長い先端部45aがコア61の側面にスムーズに入り込むことができ、コア61を徐々に載置部45に載置させる。従って、載置部45にコア61を効率的に載置することができる。
【0038】
(1-3)本実施形態では、回収装置20は、コアビット50を取り付けた穿孔装置P1において、コアビット50の代わりにコア回収具40を取り付けて構成される。これにより、穿孔装置P1を用いて、コア61を効率的に回収することができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、図14図19を用いて、回収方法、回収装置及びコア回収具を具体化した第2実施形態を説明する。本実施形態の回収装置70では、第1実施形態のコア回収具40の代わりに、先端が二股になった載置部を有するコア回収具80を用いる。本実施形態においては、上記第1実施形態と同様の部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0040】
図14図16は、本実施形態に用いるコア回収具80の斜視図、正面図及び上面図である。
図14に示すように、コア回収具80は、コア回収具40と同様に、有底円筒形状の本体部81、接続部83及び載置部85を備える。
【0041】
本体部81は、コア回収具40の本体部41と同様に、コア孔h1を形成するコアビット50と同じ大きさの円筒体を有する。接続部83には、接続部43と同様に、おねじが形成された貫通孔が、中心軸C2上に形成されている。この接続部83は、回転機構部35の接続部35aと螺合することにより、コア回収具80を回転機構部35に固定する。
【0042】
本体部81の接続部83の反対側(先端側)には、載置部85が接続されている。この載置部85の断面は、本体部81の円筒と同じ大きさで、例えば約170度の円弧で構成されている。
【0043】
図16に示すように、載置部85の先端側には、二股になった1対(2つ)の先端部85aが形成されている。これら先端部85aは、中心軸C2に対して線対称で構成され、中心軸C2上における部分が最も短くなるように、角度θ2で斜めに切り欠いて形成されている。本実施形態では、角度θ2は、例えば約45度である。従って、載置部85の軸方向に延在する両縁辺の長さL3は、中心軸C2上の長さL4より長くなっており、コアビット50とほぼ同じ長さを有する。
【0044】
(回収方法)
次に、図17図19を用いて、本実施形態の回収装置70を用いて、コア孔に残留したコアの回収方法について説明する。
【0045】
本実施形態においても、図8に示すように、コア孔h1の下面に当接するようにコア61がコア孔h1に配置されている。
そして、上記第1実施形態と同様に、図17に示すように、コア回収具80を取り付けることにより構成された回収装置70は、コンクリートブロック60の側面にフレーム22が当接するように配置する。更に、本実施形態では、コア回収具80の載置部85が下方に位置するように回転機構部35のモータ35mを回転しておく。
【0046】
そして、制御部により、回収装置70の直動機構部37の可動部37bのモータを駆動させる。これにより、コア回収具80の載置部85は、下方に位置したまま、コア孔h1に挿入される。この場合、コア回収具80の載置部85の下面は、ローラ28bに支持されながら移動する。
【0047】
ここで、図18(a)に示すように、コア回収具80の載置部85の一対の先端部85aは、コア61において空間S2においてほぼ左右の位置から挿入される。
そして、図18(b)に示すように、先端部85aが徐々に挿入されるに従って、先端部85aの下側の部分が大きくなる。これによって、この先端部85aの下側の部分が、コア61の下に入り込むように、コア61は徐々に浮き上がりながら載置部85の上に載る。
【0048】
そして、図18(c)に示すように、先端部85aよりも後方の載置部85がコア孔h1に挿入されると、載置部85の上にコア61が載置された状態になる。
その後、図19に示すように、載置部85のほぼ全体がコア孔h1に入った場合には、制御部は、可動部37bのモータを停止し、コア回収具80の前進を停止する。続けて、制御部は、直動機構部37の可動部37bのモータを駆動させることにより、コア回収具80を後方に直進移動させる。
【0049】
その後、載置部85の先端がコア孔h1から抜けると、可動部37bのモータを停止する。これにより、コア回収具80の載置部85に載置されたコア61も、コア孔h1から引き抜かれる。
【0050】
(作用)
本実施形態の回収装置70は、円弧の断面が続いた載置部85を備える。載置部85は、ほぼ半円の左右の位置で二股の先端部85aを有する。水平方向に延在するコア孔h1の空間S2において、コア61の左右の隙間に、先端部85aを挿入した後、載置部85を直進させる。これにより、コア61の左右から、載置部85の先端部85aがコア61の下に入り込むので、載置部85にコア61が載置される。
【0051】
本実施形態によれば、上記(1-3)と同様の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(2-1)本実施形態の回収装置70は、載置部85を備えるコア回収具80を備える。載置部85は、コアビット50の本体部51の円筒形状と同じ大きさの円弧の断面を有する長尺物である。コア孔h1内の空間S2において、コア61の左右の部分から載置部85の先端部85aを挿入した後、載置部85を前進させることにより、コア61を載置部85に載置させる。そして、コア61を載置した載置部85を後退させることにより、コア孔h1からコア61を効率的に取り出すことができる。
【0052】
(2-2)本実施形態では、コア回収具80の載置部85の先端部85aは、二股の形状を有している。これにより、コア回収具80がコア61の左右の両方から均等に入り込むようにするので、コア61を安定して載置部85に載置させることができる。
【0053】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記第1実施形態において、コア回収具40の載置部45は、一方向に斜めに切り欠いた先端部45aを有する。また、上記第2実施形態においては、コア回収具80の載置部85は、二股の先端部85aを有する。載置部の先端部の形状は、これに限られない。例えば、載置部の先端部が、中心軸の部分が先端に突出した形状であってもよいし、載置部(45,85)の全長に渡って傾斜した部分を有する形状であってもよいし、先端部が傾斜していない形状であってもよい。
【0054】
・上記各実施形態において、コア回収具40,80の載置部45,85は、それぞれ約150度、約170度の円弧の断面を有する。載置部45,85の円弧の断面は、これらの角度(大きさ)に限定されず、コア61を載置できる大きさであればよい。
【0055】
・上記第2実施形態では、コア回収具80の載置部85を下方に配置した状態で、コア回収具80を前進させて、載置部85にコア61を載置した。コア回収具80を用いた回収装置70であっても、上記第1実施形態と同様にしてコア61を載置部85に載置してもよい。具体的には、載置部85が上方に位置した状態で、載置部85をコア孔h1に挿入する。その後、載置部85を回転させながら、載置部85にコア61を載置させる。
【0056】
・上記各実施形態では、回収装置20,70は、穿孔装置においてコアビット50の代わりにコア回収具40,80を取り付けて構成した。回収装置20は、コア回収具40を回転及び前後に直進できる機構を有していれば、また、回収装置70は、コア回収具80を前後に直進できる機構を有していれば、穿孔装置とは異なる構成で構成してもよい。
【0057】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)前記載置部は、両端部が尖った二股の先端部を有することを特徴とする請求項4に記載の回収装置。
【0058】
(b)穿孔対象物において水平方向に延在する円筒形状で形成されたコア孔内に、前記コア孔の穿孔により形成され残留する前記円筒形状のコアを回収する回収装置であって、前記コア孔の大きさに対応する円弧の断面が続く形状で形成され、前記コアを載置する載置部を備えたコア回収具と、前記回転機構部を直進させる直動機構部と、を備え、前記載置部の先端が、軸方向に傾斜した形状を有していることを特徴とする回収装置。
【0059】
(c)前記回収装置は、前記コア孔を穿孔する穿孔装置のコアビットの代わりに、前記コア回収具が取り付けられ、前記コアビットは、先端に刃を設けた長尺の円筒形状のチューブ部を有することを特徴とする請求項4、前記(a)又は(b)に記載の回収装置。
【符号の説明】
【0060】
θ1,θ2…角度、B1…差込ブラケット、C1,C2…中心軸、h1…コア孔、h2…孔、P1…穿孔装置、S1,S2…空間、20,70…回収装置、21…支持枠、22,23,24…フレーム、25…基板、25a…貫通孔、26a,26b…取付部材、28a,28b…ローラ、35…回転機構部、35a…接続部、35m…モータ、37…直動機構部、37a…ガイド軸、37b…可動部、40,80…コア回収具、41,51,81…本体部、43,83…接続部、45,85…載置部、45a,85a…先端部、50…コアビット、52…ビット部、53…カップリング部、60…コンクリートブロック、61…コア。
図1
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