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特開2023-134076トナー搬送装置およびそれを備えたクリーニング装置、並びに画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134076
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】トナー搬送装置およびそれを備えたクリーニング装置、並びに画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
G03G21/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039419
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大井 宏信
【テーマコード(参考)】
2H134
【Fターム(参考)】
2H134GA01
2H134GB02
2H134JA02
2H134KH13
(57)【要約】
【課題】トナーの固着を効果的に抑制しつつ、トナー搬送性能を維持可能なトナー搬送装置を提供する。
【解決手段】トナー搬送装置は、トナー搬送路と、搬送スクリューと、掻き取り部材と、を備える。搬送スクリューは、回転軸と、螺旋羽根と、を有する。回転軸は、軸方向に対してトナー搬送路の中央部を間に挟んだ両側に一対の支持部が設けられている。掻き取り部材は、複数のフリッカーが、軸方向に沿って所定の間隔で並んで構成されている。各フリッカーのうち、中央フリッカー以外のフリッカーの長さは、軸方向に対して中央部側に隣り合うフリッカーの長さ以下であり、中央フリッカーの長さは、端部フリッカーの長さよりも長い。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーが搬送されるトナー搬送路と、
軸方向に対して前記トナー搬送路の中央部を間に挟んだ両側に一対の支持部が設けられ、前記一対の支持部により前記トナー搬送路の内部で回転可能に支持された回転軸と、前記回転軸の外周面に形成された螺旋羽根と、を有する搬送スクリューと、
前記搬送スクリューの外周面に当接し、前記搬送スクリューを前記トナー搬送路の内壁面に向かって押圧する複数のフリッカーが、前記軸方向に沿って所定の間隔で並んで構成された掻き取り部材と、
を備えたトナー搬送装置において、
各前記フリッカーのうち、前記軸方向に対して前記中央部に最も近い前記フリッカーを中央フリッカーとし、前記軸方向に対して前記中央部から最も遠い前記フリッカーを端部フリッカーとすると、
各前記フリッカーのうち、前記中央フリッカー以外の前記フリッカーの長さは、前記軸方向に対して前記中央部側に隣り合う前記フリッカーの長さ以下であり、前記中央フリッカーの長さは、前記端部フリッカーの長さよりも長いことを特徴とするトナー搬送装置。
【請求項2】
前記中央フリッカーの長さは、前記端部フリッカーの長さに、前記回転軸の径方向に対する前記螺旋羽根と、前記フリッカーの押圧方向において前記搬送スクリューと対向する前記トナー搬送路の内壁面との間隔を足し合わせた長さ以上であることを特徴とする請求項1に記載のトナー搬送装置。
【請求項3】
前記間隔は、0.5mm以上、かつ1.5mm以下であることを特徴とする請求項2に記載のトナー搬送装置。
【請求項4】
前記中央フリッカーは、前記軸方向に対して前記中央部と重なり、
前記フリッカーの長さは、前記中央フリッカーが最も長く、前記軸方向に対して前記中央フリッカーから遠ざかるにつれて、均等に短くなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のトナー搬送装置。
【請求項5】
前記軸方向に対して前記フリッカーの並ぶ領域は、前記中央部を含む中央領域と、前記中央領域の両隣に位置する外側領域と、に区分され、
前記軸方向に対して前記中央領域の長さは、各前記外側領域の長さを足し合わせた値の1/4以上、かつ3/4以下であり、
前記中央領域に位置する前記フリッカーの長さは、前記中央フリッカーの長さと等しく、かつ前記外側領域に位置する前記フリッカーの長さよりも長いことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のトナー搬送装置。
【請求項6】
隣接する前記フリッカーの間隔は、前記搬送スクリューの前記螺旋羽根のピッチの1/2以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のトナー搬送装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のトナー搬送装置を備えた画像形成装置。
【請求項8】
像担持体の外周面と対向するように開口部が形成された、前記像担持体の外周面から除去される廃トナーが前記開口部を通じて内部に投入されるハウジングと、
前記開口部を介して前記像担持体の外周面に当接するクリーニング部材と、
請求項1から6のいずれかに記載のトナー搬送装置と、
を備え、
前記トナー搬送路は、前記ハウジングの底部に形成されているクリーニング装置。
【請求項9】
前記像担持体上のトナーを記録媒体上に転写して画像を形成する画像形成部と、
請求項8に記載のクリーニング装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー搬送装置およびそれを備えたクリーニング装置、並びに画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電子写真方式を用いる画像形成装置(コピー機、プリンタ、FAX等)は、画像形成を行う際に、先ず、トナー(粉末状の現像剤)を用いて、像担持体(感光体ドラム等)上に形成された静電潜像を可視化したトナー像を形成する。次いで、このトナー像を直接或いは中間転写体を介して記録媒体上に転写し、その後、この記録媒体に対してトナー像の定着処理を行う。
【0003】
このような画像形成装置の像担持体には、クリーニング部材が当接している。クリーニング部材は、像担持体が記録媒体又は中間転写体にトナー像を転写した後に、像担持体の表面に残留する不要なトナー(残留トナー)を除去する。除去されたトナーは、廃トナーとしてトナー搬送装置によって廃トナー回収容器に搬送される。これにより、記録媒体または中間転写体への転写の度に像担持体の外周面がクリーニングされ、連続して像担持体によるトナー像の転写が可能となっている。
【0004】
上記のトナー搬送装置は、トナー搬送路と、搬送スクリューと、を備えている。搬送スクリューは、回転軸と、螺旋羽根とを有する。回転軸はトナー搬送路内に回転可能に支持されている。螺旋羽根は回転軸の外周面に形成されている。トナー搬送路には、トナー搬送路の外部に設けられた廃トナー回収容器に連通する排出口が形成されている。クリーニング部材によって除去された廃トナーは、トナー搬送路に落下する。トナー搬送路内の廃トナーは、搬送スクリューによって下流側へ搬送され、排出口を通じて廃トナー回収容器へと排出される。
【0005】
ここで、像担持体の表面から除去された廃トナーに含まれる外添剤は、機械的ストレス(クリーニング部材との摩擦や、外添剤同士の摩擦等)により粒径が不揃いとなったり、、回収された廃トナーに紙粉等が混入したりして、廃トナーの流動性の低下のおそれがある。このため、廃トナーは、固化し易いものとなっている。また、近年のトナーの低融点化に伴い、高温環境下でトナーの流動性がさらに低下し易くなっている。このため、特に高温高湿環境において、流動性の低下した廃トナーが搬送スクリューの周囲(例えば螺旋羽根の間)で固化し、いわゆるブロッキング状態となって、トナーの搬送が困難になるという問題点があった。
【0006】
そこで、トナーのブロッキングを抑制する方法が提案されている。例えば特許文献1には、軸方向に多数設けられたフィルム状のフリッカーを搬送スクリューに当接させて搬送スクリューへのトナーの付着を抑制する構成を採用したトナー搬送装置が開示されている。フリッカーは、トナー搬送路の内壁面に向かって搬送スクリューを押圧するように設けられている。フリッカーが当接することで、搬送スクリューに付着したトナーがフリッカーにより掻き取られ、トナーの固着(ブロッキング)が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-218421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1のトナー搬送装置の搬送スクリューは、回転軸方向に沿って細長く形成されている。このため、搬送スクリューは、回転軸方向に対して中央部周辺が両端部周辺よりも、径方向に沿って変形しやすい。すると、搬送スクリューの中央部周辺がフリッカーの押圧力によって、フリッカーから遠ざかるように変形するおそれがある。このため、変形した箇所ではフリッカーが搬送スクリューに接触しにくくなり、この箇所でトナーが滞留して固着するおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、トナーの固着を効果的に抑制しつつ、トナー搬送性能を維持可能なトナー搬送装置およびそれを備えたクリーニング装置、並びに画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、トナー搬送路と、搬送スクリューと、掻き取り部材と、を備えるトナー搬送装置である。トナー搬送路は、トナーが搬送される。搬送スクリューは、軸方向に対してトナー搬送路の中央部を間に挟んだ両側に一対の支持部が設けられ、一対の支持部によりトナー搬送路の内部で回転可能に支持された回転軸と、回転軸の外周面に形成された螺旋羽根と、を有する。掻き取り部材は、搬送スクリューの外周面に当接し、搬送スクリューをトナー搬送路の内壁面に向かって押圧する複数のフリッカーが、軸方向に沿って所定の間隔で並んで構成されている。各フリッカーのうち、軸方向に対して中央部に最も近いフリッカーを中央フリッカーとし、軸方向に対して中央部から最も遠いフリッカーを端部フリッカーとする。各フリッカーのうち、中央フリッカー以外のフリッカーの長さは、軸方向に対して中央部側に隣り合うフリッカーの長さ以下であり、中央フリッカーの長さは、端部フリッカーの長さよりも長い。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の構成によれば、中央フリッカーの長さは端部フリッカーよりも長く、他のフリッカーの長さは軸方向に対して中央部から遠ざかるにつれて短くなる。このため、軸方向に対して搬送スクリューの中央が内壁面に向かってフリッカーから遠ざかるように比較的大きく変形したとしても、中央フリッカーと搬送スクリューとの接触領域は変化しにくくなっている。このため、軸方向における搬送スクリューの中央周辺の廃トナーを好適に掻き取ることができ、トナー搬送路内でのトナーの固着を抑制できる。
【0012】
従って、トナーの固着を効果的に抑制しつつ、トナー搬送性能を維持可能なトナー搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のトナー搬送装置50を含むクリーニング装置7a~7dが搭載された画像形成装置100の概略構成を示す断面図
図2図1における画像形成部Pa付近の拡大図
図3図2における本発明の第1実施形態に係るトナー搬送装置50を含むクリーニング装置7a周辺の構成を示す側面断面図
図4】クリーニング装置7a内の搬送スクリュー29と掻き取り部材31を軸方向(回転軸29aに対し垂直方向)から見た部分拡大図
図5】第1実施形態のトナー搬送装置50に係る搬送スクリュー29、および掻き取り部材31を図4の上方側から平面視した平面図
図6】第2実施形態のトナー搬送装置50に係る搬送スクリュー29、および掻き取り部材31を平面視した平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明のトナー搬送装置50を含むクリーニング装置7a~7dが搭載された画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。図2は、図1における画像形成部Pa付近の拡大図である。図3は、図2における本発明の第1実施形態に係るトナー搬送装置50を含むクリーニング装置7a周辺の構成を示す側面断面図である。本実施形態に係る画像形成装置100は、4連タンデム型のカラー複写機である。
【0015】
図1図3に示すように、画像形成装置100は、画像形成部Pa~Pdと、中間転写ユニット12と、クリーニング装置7a~7dと、を備えている。画像形成部Pa~Pdは、水平方向の一方側(図1の左側)から順に設けられている。画像形成部Pa~Pdは、異なる4色(マゼンタ、シアン、イエローおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの画像を順次形成する。
【0016】
画像形成部Pa~Pdは、感光体ドラム1a~1d(像担持体)と、帯電装置2a~2dと、露光装置5と、現像装置3a~3dと、を備えている。なお、画像形成部Pa~Pdは、基本的に同じ構成のため、画像形成部Paについてのみ説明し、画像形成部Pb~Pdについては説明を省略する。
【0017】
感光体ドラム1aは、回転可能に支持されている。感光体ドラム1aは、アルミニウム製のドラム素管の外周面に感光層が積層されて形成されている。感光層としては、例えば有機光伝導体を利用した有機感光層(OPC)や、シランガス等の蒸着等により製膜されたアモルファスシリコン(a-Si)感光層等の無機感光層が用いられる。
【0018】
感光体ドラム1aの周囲に、ドラム回転方向(図2の時計回り方向)に沿って、帯電装置2a、現像装置3a、クリーニング装置7aの順に並んでいる。帯電装置2aは、帯電ローラー21と、ブラシローラー22とを有する。帯電ローラー21は、感光体ドラム1aに接触してドラム表面に帯電バイアスを印加する。ブラシローラー22は、帯電ローラー21に接触して、帯電ローラー21をクリーニングする。
【0019】
露光装置5は、帯電装置2aと現像装置3aとの間を通過するように光ビームを出射して、感光体ドラム1aの表面に静電潜像を形成する。
【0020】
現像装置3aは、現像容器20と、攪拌搬送スクリュー23と、供給搬送スクリュー24と、現像ローラー25とを有する。現像容器20には、トナーを含む現像剤が充填されている。攪拌搬送スクリュー23および供給搬送スクリュー24は、現像容器20内に回転可能に支持されている。現像ローラー25は、供給搬送スクリュー24と感光体ドラム1aとの間に、それぞれに対向する位置で、回転可能に支持されている。
【0021】
現像容器20内のトナーは、攪拌搬送スクリュー23および供給搬送スクリュー24によって攪拌、搬送されながら現像ローラー25の表面に供給される。現像ローラー25の表面のトナーは、感光体ドラム1a表面に供給されて静電的に付着する。これにより、感光体ドラム1a表面に静電潜像を顕在化したトナー像(可視像)が形成される。
【0022】
現像装置3a~3dのそれぞれの現像容器20には、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのトナーのうちの1色が所定量充填されている。現像装置3a~3dの上方には、各色に対応したトナーコンテナ4a~4dが配置されている。現像装置3a~3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a~4dから各現像装置3a~3dの現像容器20にトナーが補給される。
【0023】
中間転写ユニット12は、画像形成部Pa~Pdに隣接して設けられている。中間転写ユニット12は、従動ローラー10と、駆動ローラー11と、中間転写ベルト8とを有している。従動ローラー10および駆動ローラー11は、回転可能に支持されている。従動ローラー10と駆動ローラー11とは、水平方向と平行をなすように並んでいる。駆動ローラー11は、モーター等の駆動源(不図示)に接続され、この駆動源の駆動力によって回転する。中間転写ベルト8は誘電体樹脂製のシートにより形成されている。中間転写ベルト8は、従動ローラー10及び駆動ローラー11に掛け渡されている。
【0024】
中間転写ベルト8は、感光体ドラム1a~1dに当接している。中間転写ベルト8を間に挟んで、感光体ドラム1a~1dのそれぞれに対向するよう一次転写ローラー6a~6dが配置されている。一次転写ローラー6a~6dは、一次転写駆動モーター(不図示)により感光体ドラム1a~1dおよび中間転写ベルト8と同一線速で回転駆動される。
【0025】
中間転写ベルト8を間に挟んで駆動ローラー11と対向する位置に、二次転写ローラー9が配置されている。二次転写ローラー9は中間転写ベルト8に圧接して二次転写ニップ部Nを形成している。中間転写ベルト8の回転方向(図1に示す反時計回り)に対して二次転写ニップ部Nの下流側に、クリーニングブレード19が配置されている。クリーニングブレード19は、中間転写ベルト8の外周面に当接しており、中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去する。
【0026】
画像形成装置100の下部には、シートSを積載して収容可能なシート積載部16が設けられている。シート積載部16には、シート搬送路14が連接している。シート搬送路14は、シート積載部16から上方に向かって二次転写ニップ部Nを通過しつつ、排出ローラー対18まで延びている。
【0027】
シート搬送方向に対してシート積載部16とシート搬送路14との間には、シート給送部61が設けられている。シート給送部61は、シート積載部16に積載されたシートSをシート搬送路14へと給送する。
【0028】
シート搬送路14の、シート搬送方向に対して二次転写ニップ部Nより下流側の位置には、定着装置15が配置されている。シート搬送路14のシート搬送方向に対して二次転写ニップ部Nよりも上流側の位置には、レジストローラー対13が設けられている。シート搬送路14の、シート搬送方向に対して定着装置15より下流側の位置には、分岐部17が設けられている。
【0029】
シート搬送路14は、分岐部17を介して反転搬送路60が接続されている。反転搬送路60は、分岐部17からC字状に湾曲しつつ下方に延びて、シート搬送搬送方向に対してレジストローラー対13よりも上流側の位置で、シート搬送路14に合流している。
【0030】
駆動ローラー11が回転すると、中間転写ベルト8が感光体ドラム1a~1dの外周面に当接しながら回転する。このとき、一次転写ローラー6a~6dは、一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧を付与する。すると、感光体ドラム1a~1d上のトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。
【0031】
そして、レジストローラー対13が、シートSを所定のタイミングで二次転写ニップ部Nに搬送する。これにより、中間転写ベルト8に一次転写されていたトナー像が、シートSの表面に二次転写される。その後、感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置7a~7dにより除去され、引き続き新たな静電潜像の形成が行われる。クリーニング装置7a~7dの詳細については後述する。
【0032】
トナー像が転写されたシートSはシート搬送路14を介して定着装置15へと搬送される。二次転写されたトナー像は、定着装置15によってシートS上に定着する。その後、シートSは画像形成装置100より排出される。なお、両面印刷をする場合は、シートSは定着装置15の下流側に設けられた分岐部17により反転搬送路60へ振り分けられる。反転搬送路60は、シートSを、表裏を反転させつつ二次転写ニップへ再度搬送する。再搬送されたシートSは、裏面にトナー像が二次転写され、定着装置15によりトナー像が定着される。そして、シートSは、排出ローラー対18により排出トレイ62上に排出される。
【0033】
図4は、クリーニング装置7a内の搬送スクリュー29と掻き取り部材31を軸方向(回転軸29aに対し垂直方向)から見た部分拡大図である。図5は、第1実施形態のトナー搬送装置50に係る搬送スクリュー29、および掻き取り部材31を図4の上方側から平面視した平面図である。
【0034】
図2図4に示すように、クリーニング装置7aは、ハウジング26と、クリーニングブレード28(クリーニング部材)と、トナー搬送装置50と、を備える。ハウジング26は、水平方向(感光体ドラム1aの径方向)に感光体ドラム1aと隣り合っている。ハウジング26の感光体ドラム1aとの隣接箇所に、開口部30が形成されている。開口部30は、感光体ドラム1の長手方向に沿って細長く形成されている。
【0035】
クリーニングブレード28は、感光体ドラム1aの回転方向(図4に示す時計回り方向)に対して開口部30の下流側縁部42に設けられている。クリーニングブレード28は、先端部が感光体ドラム1aの回転方向に対して下流側から上流側に向かうように(カウンター方向に)ハウジング26から感光体ドラム1aに向かって突出している。感光体ドラム1aの回転方向に対して開口部30の上流側縁部41と、クリーニングブレード28の先端部28aとの間には、トナー通過口43が形成されている。
【0036】
先端部28aは、感光体ドラム1aの外周面に圧接されている。感光体ドラム1aが回転することで、感光体ドラム1aの外周面上のトナーが、先端部28aによって掻き取られる。掻き取られたトナーは、廃トナーとして、トナー通過口43からハウジング26の内部に進入する。
【0037】
図4図5に示すように、トナー搬送装置50は、トナー搬送路37と、搬送スクリュー29と、掻き取り部材31と、を有している。トナー搬送路37は、ハウジング26内部に形成されている。トナー通過口43を通過した廃トナーは、トナー搬送路37に貯留する。トナー搬送路37は、感光体ドラム1aの長手方向(クリーニングブレード28の長手方向)と平行なように細長く形成されている。
【0038】
搬送スクリュー29は、トナー搬送路37の内部に収容されている。搬送スクリュー29は、回転軸29aと、螺旋羽根29bとを有している。回転軸29aは、感光体ドラム1aの長手方向に平行に配置された棒状体である。回転軸29aは、一対の支持部44を有している。
【0039】
一対の支持部44は、軸方向(回転軸29aの長手方向)に対してトナー搬送路37の中央部Cを間に挟んだ両側に位置している。回転軸29aは、ハウジング26の側壁に設けられた軸受46によって一対の支持部44を支持されることで、トナー搬送路37に回転可能に支持されている。回転軸29aは、モーター等の駆動源(不図示)に接続されており、駆動源の回転駆動力によって回転する。回転軸29aの外周面とトナー搬送路37の内壁面40とは、回転軸29aの径方向に対向している。
【0040】
螺旋羽根29bは、一定のピッチをなす螺旋状の羽根である。螺旋羽根29bは、回転軸29aの外周面に、回転軸29aと一体的に形成されている。搬送スクリュー29が変形していない状態で、螺旋羽根29bの先端(回転軸29aの径方向における螺旋羽根29bの先端)と内壁面40との間隔Dは、0.5mm以上、かつ1.5mm以下であることが好ましい。
【0041】
螺旋羽根29bは、軸方向に対して回転軸29aのトナー搬送路37内に位置する部分の全域に形成されている。軸方向に対して螺旋羽根29bの形成された領域を螺旋羽根形成領域A1とする。
【0042】
回転軸29aが回転すると、トナー搬送路37に貯留された廃トナーは螺旋羽根29bによって軸方向に沿って搬送される。そして、廃トナーは、トナー搬送方向に対してトナー搬送路27の下流側端部近傍に形成されたトナー排出口(不図示)から、クリーニング装置7aの外部に排出される。
【0043】
図4図5に示すように、掻き取り部材31は、基部32と、複数のフリッカー33とを有する。基部32は、回転軸29aと平行に、軸方向に沿って細長く形成されている。基部32は、ハウジング26の内壁面40のうち、回転軸29aの上方に位置する部分に接着剤等によって固定されている。
【0044】
ここで、各フリッカー33のうち、軸方向に対して最も中央部Cに近いフリッカー33を中央フリッカー33aとする。また、軸方向に対して最も中央部Cから遠いフリッカー33を端部フリッカー33bとする。中央フリッカー33aと端部フリッカー33b以外のフリッカー33を、第3フリッカー33cとする。これらを特に区別しない場合は、単にフリッカー33と称する。
【0045】
各フリッカー33は、軸方向に対して螺旋羽根形成領域A1の全域に、等間隔で配置されている。各フリッカー33の軸方向に並ぶ間隔は、螺旋羽根29bの軸方向のピッチの1/2以下である。
【0046】
フリッカー33は、フィルム状の矩形板状体である。フリッカー33の軸方向の幅は、1mm以上、かつ2mm以下が好ましい。フリッカー33の材質としては、搬送スクリュー29の螺旋羽根29bに接触して揺動する弾性材料であれば特に制限はなく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)製のシート、フッ素樹脂製のシート、ポリイミド製のシート等の各種の摩擦抵抗の少ない合成樹脂製シートを使用することができるが、コストや耐久性の面からポリエチレンテレフタレート製のシートが好ましい。
【0047】
フリッカー33は、軸方向と直交する基部32の幅方向に対して、基部32のクリーニングブレード28から遠い側の端縁45に連接している。フリッカー33は、基部32から、回転軸29aの上方を通過しつつクリーニングブレード28に向かって延びている。フリッカー33と搬送スクリュー29とは、回転軸29aの径方向に対向している。
【0048】
フリッカー33の先端は、水平方向に対して回転軸29aよりも開口部30に近い位置にある。フリッカー33の回転軸29a側の面は、上方から搬送スクリュー29の外周面に接触している(図3図4参照)。フリッカー33は、搬送スクリュー29との接触位置から、トナー搬送路37の内壁面40に向けて、搬送スクリュー29を押圧している。
【0049】
フリッカー33は、搬送スクリュー29の回転に伴い、回転軸29aと螺旋羽根29bとに交互に接触する。このとき、フリッカー33は、基部32との接続部分(基部32の端縁45)を支点として、回転軸29aに当接する位置(図4の一点鎖線)と、螺旋羽根29bに当接して持ち上げられた位置(図4の実線)との間を揺動する。フリッカー33は、螺旋羽根29bに接触している状態で、螺旋羽根29bに持ち上げられて回転軸29aから離れるように弾性変形する。また、フリッカー33は、復元力により回転軸29aに近づくように移動する。
【0050】
中央フリッカー33aは軸方向に対して中央部Cと重なる位置にある。中央フリッカー33aの長さL1(端縁45から長手方向の先端までの寸法)は、端部フリッカー33bの長さL2および第3フリッカー33cの長さよりも長い。また、中央フリッカー33aの長さL1は、端部フリッカー33bの長さL2に、上述した間隔Dを足し合わせた長さ以上である。
【0051】
端部フリッカー33bおよび第3フリッカー33cの長さは、軸方向に対して中央部C側に隣り合うフリッカー33の長さよりも短い。第3フリッカー33cの長さは、軸方向に対して中央フリッカー33aから遠ざかるにつれて、均等に短いものとなっている。端部フリッカー33bの長さは、各フリッカー33のうち最も短い。
【0052】
上述した通り、フリッカー33は、搬送スクリュー29の外周面に接触し、搬送スクリュー29の回転に伴って、螺旋羽根29bに接触した状態と、回転軸29aに接触した状態とを繰り返すように揺動する。このフリッカー33の接触によって、搬送スクリュー29の外周面上の残留トナーを掻き落とすことが可能になっている。
【0053】
また、上述した通り、中央フリッカー33aの長さは端部フリッカー33bよりも長く、第3フリッカー33cの長さは軸方向に対して中央部Cから遠ざかるにつれて短くなる。このため、搬送スクリュー29の中央(軸方向における回転軸29aの中央周辺)が内壁面40に向かってフリッカー33から遠ざかるように比較的大きく変形したとしても、中央フリッカー33aは回転軸29aおよび螺旋羽根29bに接触し続ける。これにより、中央フリッカー33aと搬送スクリュー29との接触領域が変化しにくくなっている。従って、軸方向における搬送スクリュー29の中央周辺の廃トナーを好適に掻き取ることができ、トナー搬送路37内でのトナーの固着を抑制できる。
【0054】
また、上述した通り、中央フリッカー33aの長さL1は、端部フリッカー33bの長さL2に、上述した間隔Dを足し合わせた長さ以上である。ここで、軸方向における搬送スクリュー29の中央周辺が、内壁面40に向かって変形したときに、その変形量は、最大でも間隔Dとなる。このため、仮に搬送スクリュー29が内壁面40に当接するまで変形したとしても、中央フリッカー33aは搬送スクリュー29に接触し、搬送スクリュー29の外周面から好適に廃トナーを掻き取ることができる。
【0055】
また、上述した通り、フリッカー33は、軸方向に対して螺旋羽根29bの軸方向のピッチの1/2以下の間隔で並んでいる。このため、螺旋羽根29bおよび回転軸29aの全域に対して均等にフリッカー33が接触する。これにより、好適に搬送スクリュー29の外周面から廃トナーを掻き取ることができる。
【0056】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態のトナー搬送装置50に係る搬送スクリュー29、および掻き取り部材31を平面視した平面図である。
【0057】
図6に示すように、フリッカー33の並ぶ領域は、中央領域A2と、外側領域A3とに区分される。中央領域A2は、軸方向に対してトナー搬送路37の中央に位置している。中央領域A2は、軸方向に対して中央部Cと重なる位置にある。外側領域A3は、軸方向に対して中央領域A2の両外側に位置する領域である。軸方向における中央領域A2の長さは、各外側領域A3の長さを足し合わせた値の1/4以上、かつ3/4以下である。
【0058】
中央領域A2に配置されたフリッカー33の長さは、全て中央フリッカー33aの長さL1と等しい。中央領域A2に配置されたフリッカー33の長さは、外側領域A3に配置されたフリッカー33の長さよりも長い。
【0059】
外側領域A3に配置されたフリッカー33は、軸方向に対して中央部Cから遠ざかるにつれて、長さが均等に短くなる。
【0060】
このようにすることで、搬送スクリュー29の中央(軸方向における回転軸29aの中央周辺)が内壁面40に向かってフリッカー33から遠ざかるように比較的大きく変形したとしても、中央領域A2に配置された複数のフリッカー33は、回転軸29aおよび螺旋羽根29bに接触し続ける。と搬送スクリュー29との接触領域は変化しにくくなっている。これにより、中央領域A2に配置された複数のフリッカー33と搬送スクリュー29との接触領域は変化しにくくなっている。従って、軸方向における搬送スクリュー29の中央周辺の廃トナーを好適に掻き取ることができ、トナー搬送路37内でのトナーの固着を抑制できる。
【0061】
その他、本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態においては、クリーニング装置7a~7dとしてクリーニングブレード28のみを備えた構成についてのみ説明しているが、これに限られない。例えば、クリーニング装置7a~7dは、感光体ドラム1a~1dに摺擦しつつドラム表面のトナーを除去する摺擦ローラーを備える構成や、クリーニングブレード28に代えてファーブラシを備えた構成等、搬送スクリュー29を有する種々の構成のクリーニング装置に適用することができる。
【0062】
また、上記各実施形態では、中央フリッカー33aは軸方向に対して中央部Cと重なる位置にあるとしたが、中央部Cとずれた位置にあってもよい。この場合、軸方向に対して、中央部Cに最も近いフリッカー33を中央フリッカー33aとする。また、上記各実施形態では、軸方向に対して両端に位置する一対のフリッカー33を端部フリッカー33bとしたが、これは、軸方向における両端のフリッカー33と中央部Cとの距離が、それぞれ等しい構成となっているためである。軸方向における両端のフリッカー33と中央部Cとの距離がそれぞれ異なる場合、この距離が大きい方を端部フリッカー33bとする。
【0063】
また、本発明はクリーニング装置7a~7d内の廃トナーの搬送に限らず、クリーニング装置7a~7dから廃トナー回収容器(図示せず)までの廃トナー搬送路にも適用可能である。或いは、トナーコンテナ4a~4dから現像装置3a~3dまでのトナー補給経路にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、像担持体の表面から除去された廃トナーや現像装置に補給されるトナーを搬送するトナー搬送装置に利用可能である。本発明の利用により、トナーの固化を効果的に防止して安定したトナー搬送性能を維持可能なトナー搬送装置およびそれを備えたクリーニング装置並びに画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0065】
1a~1d 感光体ドラム(像担持体)
7a~7d クリーニング装置
26 ハウジング
27 トナー搬送路
28 クリーニングブレード(クリーニング部材)
29 搬送スクリュー
29a 回転軸
29b 螺旋羽根
30 開口部
31 掻き取り部材
33 フリッカー
33a 中央フリッカー
33b 端部フリッカー
37 トナー搬送路
40 内壁面
44 支持部
50 トナー搬送装置
100 画像形成装置
A2 中央領域
A3 外側領域
C 中央部
D 間隔
L1 中央フリッカーの長さ
L2 端部フリッカーの長さ
Pa~Pd 画像形成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6