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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134094
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】コネクタモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/50 20110101AFI20230920BHJP
【FI】
H01R24/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039444
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】玉木 文武
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA16
5E223AB01
5E223AB21
5E223AB59
5E223AB65
5E223AB67
5E223AC23
5E223AC28
5E223AC42
5E223BA15
5E223BB01
5E223BB04
5E223CA13
5E223CB24
5E223CB26
5E223CB46
5E223DB08
5E223GA06
5E223GA11
5E223GA22
5E223GA62
(57)【要約】
【課題】EMC特性の低下を抑制できるコネクタモジュールを提供する。
【解決手段】基板C3に実装されるレセプタクル1と、レセプタクル1及び通信ケーブルと電気的に接続されるプラグ10とを備え、プラグ10は、通信ケーブルと電気的に接続される外部導体63を含むコネクタ6と、レセプタクル1とコネクタ6とを接続し、基板C3のグランドラインと電気的に接続される接続部材7と、を有し、外部導体63は、筒状の導体本体631と、導体本体631から径外方向R2へ延びる環状のフランジ部632と、を含み、フランジ部632は、接続部材7と対向する対向面632sに段差部632dを含み、接続部材7は、段差部632dの段上部632c及び段差部632dの段下部632bのいずれかに接触するコネクタモジュール。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装されるレセプタクルと、前記レセプタクル及び通信ケーブルと電気的に接続されるプラグとを備え、
前記プラグは、
前記通信ケーブルと電気的に接続される外部導体を含むコネクタと、
前記レセプタクルと前記コネクタとを接続し、前記基板のグランドラインと電気的に接続される接続部材と、を有し、
前記外部導体は、筒状の導体本体と、前記導体本体から径外方向へ延びる環状のフランジ部と、を含み、
前記フランジ部は、前記接続部材と対向する対向面に段差部を含み、
前記接続部材は、前記段差部の段上部及び前記段差部の段下部のいずれかに接触する、コネクタモジュール。
【請求項2】
前記レセプタクルは、前記基板のグランドラインと電気的に接続される少なくとも1つのグランド部材を有し、
前記接続部材は、前記グランド部材を介して前記基板のグランドラインと電気的に接続される、請求項1に記載のコネクタモジュール。
【請求項3】
前記接続部材は、前記段上部に接触する、請求項1又は2に記載のコネクタモジュール。
【請求項4】
前記接続部材は、前記外部導体に嵌合する環状部と、前記環状部のうちの前記フランジ部側に設けられる第1連結部を含み、
前記第1連結部は、弾性を有する複数の第1連結片を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のコネクタモジュール。
【請求項5】
前記接続部材は、前記環状部を挟んで前記第1連結部と対向する第2連結部を更に含み、
前記第2連結部は、弾性を有する複数の第2連結片を含み、
前記第2連結片は、変位可能に前記レセプタクルに接触し、
前記第1連結片は、前記フランジ部に接近、又は、前記フランジ部から離間する方向に変位可能に前記段上部に接触する、請求項4に記載のコネクタモジュール。
【請求項6】
前記環状部は、弾性を有する突起部を含み、
前記外部導体は、前記フランジ部を基端として前記接続部材に近づく方向に延びる筒状の導体延出部を更に含み、
前記導体延出部は、前記基端側から延出する筒状部と、先端側に設けられて前記筒状部よりも径外方向へ拡径する先端部と、を含み、
前記突起部が前記筒状部と前記先端部との間の段差に係止される、請求項5に記載のコネクタモジュール。
【請求項7】
前記段上部は、前記段下部よりも前記径外方向に設けられる、請求項1から6のいずれか1項に記載のコネクタモジュール。
【請求項8】
前記外部導体と前記接続部材とは、イオン化傾向が同一の材料を主成分とする母材が材料として用いられる、請求項1から7のいずれか1項に記載のコネクタモジュール。
【請求項9】
前記プラグは、前記基板の少なくとも一部を覆うシールドケースを更に備え、
前記シールドケースは、前記接続部材よりもイオン化傾向が大きい材料を主成分とする母材が材料として用いられる、請求項8に記載のコネクタモジュール。
【請求項10】
前記外部導体及び前記接続部材の各々は、銅又は銅系の合金が材料として用いられる、請求項9に記載のコネクタモジュール。
【請求項11】
前記フランジ部は、前記対向面の反対側に前記シールドケースと接合される接合面を含み、
前記接合面を介して前記シールドケースと前記フランジ部とが電気的に接続される、請求項9又は10に記載のコネクタモジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カメラ等の接続対象機器に接続されるコネクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、カメラ、回路基板、組合せコネクタ、コネクタ等を有するカメラアッセンブリが記載されている。
【0004】
特許文献1に記載のカメラアッセンブリは、ベースと、ベースを覆う上方カバーとを有している。ベースは、組合せコネクタとコネクタとを支持する。コネクタは、ハウジングと、ハウジングに収容される接続端子と、ハウジングの外側に袖付けされる外側導体とを有する。接続端子は、プラグインセクションを有する。プラグインセクションは、組合せコネクタの組合せ端子を受容するプラグインホールと、プラグインホールを包囲するばね性ストリップとで構成され、組合せ端子をクランプすることにより、組合せ端子と電気的に接続される。コネクタの外側導体は、回路基板に接続される複数の溶接脚と複数の弾性係合ストリップと有する。組合せ端子のハウジング(組合せハウジング)が、コネクタのハウジングの外側に袖付けされると、複数の弾性係合ストリップが組み合わせハウジングにプレスされ、組合せ端子が接続端子のプラグインホールの中に挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3225606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のカメラアッセンブリでは、組合せコネクタとコネクタとの位置ズレによって組合せハウジングとコネクタの弾性係合ストリップとが接触しない、あるいは、接触しても接点圧が不十分であることによって電気的接続が不安定となる。これにより、グランド接続が弱くなって、EMC(electro-magnetic compatibility)特性の低下につながる可能性がある。
【0007】
このような理由から、EMC特性の低下を抑制できるコネクタモジュールが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコネクタモジュールの特徴構成は、基板に実装されるレセプタクルと、前記レセプタクル及び通信ケーブルと電気的に接続されるプラグとを備え、前記プラグは、前記通信ケーブルと電気的に接続される外部導体を含むコネクタと、前記レセプタクルと前記コネクタとを接続し、前記基板のグランドラインと電気的に接続される接続部材と、を有し、前記外部導体は、筒状の導体本体と、前記導体本体から径外方向へ延びる環状のフランジ部と、を含み、前記フランジ部は、前記接続部材と対向する対向面に段差部を含み、前記接続部材は、前記段差部の段上部及び前記段差部の段下部のいずれかに接触する点にある。
【0009】
一般的に、基板のグランドラインには、基板の信号ライン又は電源ラインに重畳したノイズが逃がされている。本構成における接続部材は、基板のグランドラインと電気的に接続され、外部導体と電気的に接続される。外部導体は、通信ケーブルと電気的に接続される。したがって、グランドラインに逃がされたノイズは、接続部材及び外部導体を介して通信ケーブルへ逃がされ、外部のグランド電位に逃すことができる。よって、基板のノイズが除去され、EMC(electro-magnetic compatibility)特性の低下を抑制することができる。
【0010】
また、本構成では、外部導体のフランジ部のうち接続部材との対向面に段差部が設けられるため、例えば外部導体を他の部材に接合する作業時に作業者が段上部と段下部とを容易に区別できる。このため、接続部材が接触する面(段上部及び前記段差部の段下部のいずれか)に治具等を当接させることを回避できる。これにより、外部導体と接続部材との接触信頼性の低下を防止でき、EMC特性の低下を抑制することができる。
【0011】
他の特徴構成として、前記レセプタクルは、前記基板のグランドラインと電気的に接続される少なくとも1つのグランド部材を有し、前記接続部材は、前記グランド部材を介して前記基板のグランドラインと電気的に接続される点にある。
【0012】
本構成では、レセプタクルが基板のグランドラインと電気的に接続される少なくとも1つのグランド部材を有し、接続部材がグランド部材を介して基板のグランドラインと電気的に接続される。このグランド部材の形状は任意に設定可能であるため、接続部材とグランド部材との接触安定性を確保するだけでEMC特性の低下を抑制することができる。
【0013】
他の特徴構成として、前記接続部材は、前記段上部に接触する点にある。
【0014】
本構成では、接続部材が、通常、治具等を当接させる段下部に接触することなく、段上部に当接するため、EMC特性の低下を抑制することができる。
【0015】
また、段下部に治具等を当接させることにより治具等を固定することが可能となるため、治具等の小型化を図ることができ、外部導体及び接続部材の寸法も小さくできる。よって、コネクタモジュールの小型化を図ることができる。
【0016】
他の特徴構成として、前記接続部材は、前記外部導体に嵌合する環状部と、前記環状部のうちの前記フランジ部側に設けられる第1連結部を含み、前記第1連結部は、弾性を有する複数の第1連結片を含む点にある。
【0017】
本構成のように、第1連結部が弾性を有する複数の第1連結片を含んでいれば、外部導体と接続部材とを複数の接点で接触させることができ、接触安定性が強化される。また、接続部材が電磁波を通過させるアンテナとなって電磁波の放射を防止することができるので、EMC特性を良好にすることができる。
【0018】
他の特徴構成として、前記接続部材は、前記環状部を挟んで前記第1連結部と対向する第2連結部を更に含み、前記第2連結部は、弾性を有する複数の第2連結片を含み、前記第2連結片は、変位可能に前記レセプタクルに接触し、前記第1連結片は、前記フランジ部に接近、又は、前記フランジ部から離間する方向に変位可能に前記段上部に接触する点にある。
【0019】
本構成では、接続部材の複数の第2連結片が変位可能にレセプタクルと接触する。このため、コネクタとレセプタクルとの径方向における位置ズレが発生する場合があるが、接続部材の第1連結片がフランジ部に接近又は離間する軸方向に沿って変位可能に段上部と接触するため接続部材の変位量を吸収することができる。すなわち、外部導体の段上部と第1連結片との接触圧は、接続部材における径方向に沿った変位量の影響を受けない。したがって、接触信頼性を維持することができる。
【0020】
他の特徴構成として、前記環状部は、弾性を有する突起部を含み、前記外部導体は、前記フランジ部を基端として前記接続部材に近づく方向に延びる筒状の導体延出部を更に含み、前記導体延出部は、前記基端側から延出する筒状部と、先端側に設けられて前記筒状部よりも前記径外方向へ拡径する先端部と、を含み、前記突起部が前記筒状部と前記先端部との間の段差に係止される点にある。
【0021】
本構成では、弾性を有する突起部が外部導体の基端部と先端部との間の段差に係止されることにより、外部導体と接続部材との軸方向における接点位置の位置ズレ公差を小さくできる。これにより、レセプタクルの軸方向の長さを小さくでき、コネクタモジュールの小型化を図ることができる。
【0022】
他の特徴構成として、前記段上部は、前記段下部よりも径外方向に設けられる点にある。
【0023】
本構成における外部導体の段上部は、段下部よりも径外方向に設けられる。このため、接続部材が段上部に接触する場合、接続部材は、第1連結片の固定端(環状部)から外部導体との接点までの長さを長く設定できる。これにより、第1連結片の弾性変位量を大きくし、第1連結片と外部導体との接触圧を大きくすることができる。よって、接触信頼性を向上でき、EMC特性の低下を抑制することができる。
【0024】
他の特徴構成として、前記外部導体と前記接続部材とは、イオン化傾向が同一の材料を主成分とする母材が材料として用いられる点にある。
【0025】
本構成における外部導体及び接続部材は、イオン化傾向が同一の材料を主成分とする母材が材料として用いられるため、電食による接触不良の発生を抑制でき、EMC特性の低下を抑制することができる。
【0026】
他の特徴構成として、前記プラグは、前記基板の少なくとも一部を覆うシールドケースを更に備え、前記シールドケースは、前記接続部材よりもイオン化傾向が大きい材料を主成分とする母材が材料として用いられる点にある。
【0027】
本構成におけるプラグは、基板の少なくとも一部を覆うシールドケースを更に備え、このシールドケースは、接続部材よりもイオン化傾向が大きい材料を主成分とする母材が材料として用いられる。このため、シールドケースによって、基板が外部より放射される電磁波から効果的に遮蔽され、基板から外部に放射されるノイズも遮蔽することができる。
【0028】
他の特徴構成として、前記外部導体及び前記接続部材の各々は、銅又は銅系の合金が材料として用いられる点にある。
【0029】
本構成における外部導体及び接続部材の各々は、弾性に優れている銅又は銅系の合金が材料として用いられる。このため、応力緩和の効果をもたらし、繰り返し挿抜による接触信頼性の低下を抑制することができる。
【0030】
他の特徴構成として、前記フランジ部は、前記対向面の反対側に前記シールドケースと接合される接合面を含み、前記接合面を介して前記シールドケースと前記フランジ部とが電気的に接続される点にある。
【0031】
本構成のように、外部導体は、シールドケースと接合する接合面を含み、この接合面を介してシールドケースとフランジ部とが電気的に接続されている。したがって、シールドケースと外部導体とによって、基板のノイズを外部のグランド電位に逃がすことができる。よって、EMC特性を良好にすることができる。
【0032】
また、外部導体とシールドケースとは接合によって電気的に接続されており、接合の境界には合金層が形成される。このため、例えば、外部導体とシールドケースとの材料のイオン化傾向が異なりことにより電食が生じた場合であっても、接触信頼性が低下を防止することができ、EMC特性の低下を抑制することできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施形態に係るカメラユニットの構成を模式的に示す図である。
図2】実施形態に係る基板に実装されたレセプタクルを示す斜視図である。
図3図2に示すIII-III線に沿った断面図である。
図4】実施形態に係るレセプタクルの分解斜視図である。
図5】実施形態に係るレセプタクルの分解斜視図である。
図6】実施形態に係るプラグの斜視図である。
図7図6に示すVII―VII線に沿った断面図である。
図8】実施形態に係るプラグの分解斜視図である。
図9】実施形態に係るプラグの分解斜視図である。
図10】実施形態に係る外部導体及び接続部材の斜視図である。
図11図10に示す外部導体の一部及びその近傍の拡大図である。
図12】実施形態に係るレセプタクル及びプラグの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明のコネクタモジュールの実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。本実施形態では、コネクタモジュール100は、車両に搭載されるカメラユニットU(車載カメラ)に備えられる。なお、カメラユニットUは、車載以外の用途、例えば、自転車、ドローン(drone)等に用いることもできる。
【0035】
[カメラユニット]
図1に示すように、カメラユニットUは、同軸ケーブルLを介してモニタ装置(不図示)に電気的に接続される。
【0036】
同軸ケーブルLは、電気信号を伝搬する通信ケーブルである。同軸ケーブルLは、銅線の束で形成される内部導体と内部導体の周囲を覆う網目状の銅線で形成される外部導体とが誘導体(絶縁体)を挟んで同軸上に配置される。外部導体は、信号の漏洩及び外部からの電波の侵入を防ぐシールドとして機能する。同軸ケーブルLは、カメラユニットUが出力する信号をモニタ装置に出力する。また、同軸ケーブルLは、モニタ装置からカメラユニットUに対して電力を供給する。
【0037】
カメラユニットUは、カメラケースHと、カメラケースHに収容されるカメラモジュールCと、カメラモジュールCに接続されるプラグ10とを備える。カメラケースHは、導電性の金属で構成される。なお、カメラユニットUが用いられる姿勢は特に限定されないが、以下の説明では、プラグ10からカメラモジュールCを見た方向をX1方向とし、その反対方向をX2方向とし、X1方向とX2方向とを結ぶ方向を軸方向Xとして説明する。
【0038】
カメラモジュールCは、被写体の光が入射する少なくとも1つのレンズを含む光学系C1と、光学系C1によって集光された光に基づいて電気信号を出力するCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子C2と、撮像素子C2を駆動制御すると共に撮像素子C2から出力された電気信号を処理する電子回路が実装される基板C3とを有する。基板C3には、レセプタクル1が実装される。なお、コネクタモジュール100は、レセプタクル1とプラグ10とで構成される。
【0039】
[レセプタクル]
次に、図2から図5を参照して、レセプタクル1について説明する。図2は、基板C3に実装されたレセプタクル1を示す斜視図であり、図3は、図2に示すIII-III線に沿った断面図である。また、図4及び図5は、レセプタクル1の分解斜視図である。なお、以下では、軸方向Xと直交する方向を径方向Rという。また、径方向Rのうち外側から内側へ向かう方向を径内方向R1といい、内側から外側へ向かう方向を径外方向R2という。
【0040】
図2から図4に示すように、レセプタクル1は、基板C3に接続される導電性のシェル2(グランド部材の一例)と、基板C3に接続される導電性の第1コンタクト3と、第1コンタクト3を収容するコンタクトケース4とを含む。第1コンタクト3、コンタクトケース4及びシェル2は、この順で径方向Rの内側から外側にかけて配置される。すなわち、レセプタクル1は、第1コンタクト3が収容されたコンタクトケース4を径方向Rの外側から覆うシェル2で構成される。
【0041】
[シェル]
図4及び図5に示すように、シェル2は、円筒状のシェル本体部21と、シェル本体部21の一端(X1方向の端)を基端としてシェル本体部21の径外方向R2に向かって延びる複数の脚部22とを含む。なお、図5に示すように、本実施形態では脚部22は4つであるが、脚部22の数は任意である。
【0042】
脚部22は、はんだ付け等によって基板C3のグランドラインに固定される。これにより、基板C3のグランドラインとシェル2とが電気的に接続される。
【0043】
[第1コンタクト]
図3から図5に示すように、第1コンタクト3は、平面視略矩形の底部31と、底部31の2つの端からX2方向へ向けて立ち上がる2つの立設部32と、底部31から底部31の主面に平行な方向に延びる延在部33とを含む。なお、以下では、軸方向Xに沿って見た方向を平面視という。
【0044】
2つの立設部32の各々は、板状であって、軸方向Xに沿った軸に対して線対称に設けられる。2つの立設部32は、弾性を有し、径方向Rに沿って変位可能である。2つの立設部32は、後述の第2コンタクト61を挟持可能な形状を有する。
【0045】
立設部32は、板状の幅広形状を有する。立設部32は、底部31から離れるほど互いに接近する接近部321と、接近部321から離れるほど互いに離間する離間部322と、接近部321と離間部322との間で屈曲して接近部321と離間部322とを繋ぐ屈曲部323とを含む。屈曲部323は、第2コンタクト61との第1接点32pとして機能する。
【0046】
延在部33は、底部31を基端として径外方向R2に延びる。延在部33の先端部は、はんだ付け等によって基板C3に固定される(図3参照)。これにより、基板C3と第1コンタクト3とが電気的に接続される。
【0047】
[コンタクトケース]
コンタクトケース4は、絶縁性であって、例えば樹脂によって構成される。図4及び図5に示すように、コンタクトケース4は、有底円筒状であり、円筒状の胴体部41と、胴体部41の一方の開口を覆う蓋部42とを含む。蓋部42は、蓋部42をX方向に貫通する貫通孔42hを含む。
【0048】
図3に示すように、胴体部41の内部空間には、第1コンタクト3が収容され、第1コンタクト3を収容したコンタクトケース4がシェル2のシェル本体部21の内部空間に配置される。すなわち、コンタクトケース4がシェル本体部21によって覆われる。
【0049】
レセプタクル1には、図1を参照して説明した同軸ケーブルLが接続されるプラグ10が連結される。同軸ケーブルLが接続されたプラグ10がレセプタクル1に連結されると、プラグ10とレセプタクル1とが電気的に接続され、同軸ケーブルLとプラグ10とレセプタクル1とを介して、カメラユニットUとモニタ装置とが電気的に接続される。
【0050】
[プラグ]
図6は、プラグ10の斜視図であり、図7は、図6に示すVII―VII線に沿った断面図であり、図8及び図9は、プラグ10の分解斜視図である。
【0051】
図6から図9に示すように、プラグ10は、プラグケース5と、プラグケース5に収容されるコネクタ6とを含む。また、図7から図9に示すように、プラグ10は、コネクタ6とレセプタクル1(図2参照)とを電気的に接続する接続部材7を更に含む。コネクタ6とレセプタクル1とが接続部材7を介して接続されると、レセプタクル1とプラグ10とが電気的に接続される。
【0052】
[プラグケース]
プラグケース5は、第1ケース51と第2ケース52(シールドケースの一例)とを含む。第1ケース51は、絶縁性であってもよいし、導電性であってもよい。第2ケース52は、導電性の金属からなる。
【0053】
図6図8及び図9に示すように、第1ケース51と第2ケース52とは、軸方向Xに沿って見たときの形状が略矩形である。
【0054】
第1ケース51は、角柱状であり、第2ケース52よりも小さい外形寸法を有する。第1ケース51は、平面視略矩形状の第1本体511と、第1本体511のX2方向の端部から軸方向Xに沿って貫通する第1ケース孔51hとを有する。第1ケース孔51hは、第1本体511のX1方向の端部近傍までは角孔で形成され、該角孔の底部から連続して角孔よりも小さい丸孔で形成されることにより、第1本体511を貫通している。
【0055】
図9に示すように、第1ケース51は、第1ケース孔51hの丸孔に対して径外方向R2に設けられる第1ケース凹部512を更に有する。第1ケース凹部512は、第1ケース孔51hの周囲に沿って設けられる。
【0056】
図8に示すように、第2ケース52は、平面視略矩形状の第2ケース本体521と、第2ケース本体521からX2方向へ突出するケース凸部522と、第2ケース本体521を軸方向Xに沿って貫通する第2ケース孔52hとを有する。
【0057】
ケース凸部522は、第2ケース孔52hの周囲に沿って設けられる。ケース凸部522は、図9を参照して説明した第1ケース51の第1ケース凹部512に嵌合する。これにより、図7に示すように、第2ケース52と第1ケース51とが連結される。
【0058】
また、図9に示すように、第2ケース52は、ケース凸部522が形成された面とは反対側の面において、第2ケース孔52hの周囲に沿って設けられる第2ケース凹部523と、コネクタ6を収容する収容空間52sとを有する。
【0059】
本実施形態において、図12に示すように、レセプタクル1とプラグ10とが接続した状態において、第2ケース52は、カメラケースHに収容された基板C3の一面の全域と対向した状態で覆う。第2ケース52は、導電性を有し、基板C3をシールドするシールド部材として機能する。
【0060】
第2ケース52は、導電性の部材を板金加工、鋳造、切削加工等することによって形成される。あるいは、第2ケース52は、絶縁性の樹脂の表面を金属によるメッキ、塗装、蒸着等の表面処理がなされてもよい。本実施形態では、第2ケース52は、放熱特性の良いアルミニウムを主な成分とする母材が材料として用いられる。これにより、基板C3に実装されたIC(integrated circuit)などの発熱による温度上昇を抑制し、基板C3上のIC等の誤作動を防止することができる。
【0061】
第2ケース52は、レーザー溶接等によって図1を参照して説明したカメラケースHと連結される。なお、本実施形態では、カメラケースHも、第2ケース52と同じ材料であって、アルミニウムを主な成分とする母材が材料として用いられる。本実施形態では、第2ケース52は、カメラケースHと共に基板C3の全面を覆い、基板C3をシールドするシールド部材として機能する。
【0062】
[コネクタ]
図8及び図9に示すように、コネクタ6は、レセプタクル1と接続される第2コンタクト61(コンタクトの一例)と、第2コンタクト61を支持するホルダ62と、ホルダ62を径外方向R2から覆う外部導体63とを含む。図7及び図12に示すように、第2コンタクト61、ホルダ62、外部導体63は、この順で、径方向Rの内側から外側にかけて配置される。
【0063】
[第2コンタクト]
第2コンタクト61は、導電性を有し、図1を参照して説明した同軸ケーブルLとレセプタクル1とを電気的に接続する。第2コンタクト61は、板金加工、鋳造、切削加工、3次元プリンタ等で形成される。
【0064】
図7から図9に示すように、第2コンタクト61は、棒状であって、同軸ケーブルLが有する内部導体に接続される第1接点部611と、レセプタクル1の第1コンタクト3の第1接点32pに接続される第2接点部612とを含む(図12参照)。第1接点部611が同軸ケーブルLの内部導体に接続され、第2接点部612がレセプタクル1の第1コンタクト3の第1接点32pに接続されることにより、同軸ケーブルLとレセプタクル1とが電気的に接続される。
【0065】
図7に示すように、第2コンタクト61は、第1ケース孔51hに挿入される。第1ケース孔51hには、図1を参照して説明した同軸ケーブルLのコネクタ(以下、外部コネクタLCという)が挿入され、第1ケース孔51hの内部で第2コンタクト61と外部コネクタLCとが電気的に接続される。なお、外部コネクタLCのアウターモールドが第1ケース孔51hに嵌合されることで第2コンタクト61と外部コネクタLCとの電気的な接続が第1ケース孔51hの内部で維持される。
【0066】
[ホルダ]
図7から図9に示すように、ホルダ62は、一部が拡径した部分を含む円筒部材である。ホルダ62は、絶縁性を有し、例えば樹脂で構成される。
【0067】
図8及び図9に示すように、ホルダ62は、一部が拡径した円筒状のホルダ本体部621と、ホルダ本体部621を軸方向Xに沿って貫通するホルダ貫通孔62hとを含む。
【0068】
図7に示すように、ホルダ貫通孔62hは、第2コンタクト61の外形形状に対応した形状を有しており、ホルダ貫通孔62hには第2コンタクト61が内挿される。第2コンタクト61は、例えば、圧入又はインサート成形されることによりホルダ62に内挿され、ホルダ62によって支持される。ホルダ62に支持された状態において、第1接点部611と第2接点部612とはホルダ62から突出する。
【0069】
第2コンタクト61が内挿されたホルダ62は、外部導体63に収容される。
【0070】
[外部導体]
図7から図9に示すように、外部導体63は、略円筒状の導体本体631と、導体本体631から径外方向R2へ延びる円環状のフランジ部632とを含む。
【0071】
また、図9から図11に示すように、外部導体63は、フランジ部632を基端としてX軸方向に沿って接続部材7に近づく方向(X1方向)に延びる略円筒状の導体延出部633と、導体本体631、フランジ部632及び導体延出部633を軸方向Xに沿って貫通する導体貫通孔63hを含む。なお、図10は、外部導体63及び接続部材7を示す斜視図であり、図11は、図10に示す外部導体63の一部及びその近傍を拡大して示す図である。
【0072】
図7に示すように、導体貫通孔63hには、第2コンタクト61が内挿されたホルダ62が収容される。導体貫通孔63hに収容されたホルダ62の少なくとも一部は、導体貫通孔63hを構成する壁面に接触する。
【0073】
外部導体63は、導電性を有し、同軸ケーブルL(図1参照)の外部導体と電気的に接続する。外部導体63は、板金加工、鋳造、切削加工、3次元プリンタ等で形成される。あるいは、外部導体63は、絶縁性の樹脂の表面を金属によるメッキ、塗装、蒸着等によって表面処理されることにより導電性を有していてもよい。本実施形態において、外部導体63は、導電性の良い銅又は銅系の合金によって形成される。
【0074】
図8に示すように、フランジ部632は、第2ケース52と接合される接合面632aを含む。
【0075】
接合面632aは、超音波溶接、抵抗溶接、レーザー溶接、はんだ付け、機械接合等によって第2ケース凹部523(図7参照)に接合される。これにより、外部導体63と第2ケース52とが電気的に接続される。
【0076】
図10及び図11に示すように、フランジ部632は、接続部材7と対向する円環状の対向面632sを有する。対向面632sは、接合面632aとは反対側に設けられる。対向面632sは、接続部材7が接触する接触面632c(段上部の一例)と、接合面632aと第2ケース凹部523との接合時に治具等が当接する押さえ面632b(段下部の一例)とを含む。接触面632cと押さえ面632bとは導体延出部633の周囲に沿って設けられる。本実施形態において、接触面632cは、押さえ面632bの径外方向R2に設けられる。
【0077】
また、対向面632sには段差部632dが形成されており、押さえ面632bと接触面632cとは、高さ(軸方向Xにおける位置)が異なる。詳しくは、接触面632cは、段差部632dの段上の面で構成され、押さえ面632bが段差部632dの段下の面で構成される。すなわち、接触面632cは、押さえ面632bよりも接続部材7側に位置する。
【0078】
本実施形態において、図11に示すように、接合面632aは平坦面であるため、接触面632cと接合面632aとの間の距離(以下、第1厚み寸法d1という)は、押さえ面632bと接合面632aとの間の距離(以下、第2厚み寸法d2という)と異なり、第1厚み寸法d1は、第2厚み寸法d2よりも大きい。
【0079】
図10及び図11に示す導体延出部633は、基端側(フランジ部632の側)から延出する筒状部633aと、先端側に設けられ、筒状部633aよりも径外方向R2へ拡径する先端部633bとを含む。筒状部633aと先端部633bとは、導体延出部633の外周面に沿って設けられる。
【0080】
また、導体延出部633は、筒状部633aと先端部633bとの間の段差によって構成される係止面633cを更に含む。外部導体63が接続部材7に嵌合された状態において、係止面633cは、接続部材7を係止する(図11及び図12参照)。
【0081】
[接続部材]
接続部材7は、弾性を有する。また、接続部材7は、導電性を有し、板状の導電性材料を板金加工して形成される。接続部材7は、例えば銅又は銅系の合金が材料として用いられる。本実施形態において、外部導体63と接続部材7とは、イオン化傾向が略同一の材料を主成分とする母材が材料として用いられる。なお、図6から図9を参照して説明した第2ケース52は、接続部材7よりもイオン化傾向が大きい材料を主成分とする母材が材料として用いられる。
【0082】
図8から図10に示すように、接続部材7は、円環状の環状部71と、環状部71のX2方向の端部(外部導体63側)に設けられる第1連結部72と、環状部71のX1方向の端部(レセプタクル1側、図12参照)に設けられる第2連結部73とを含む。すなわち、第1連結部72は、環状部71を挟んで第2連結部73と対向する。
【0083】
図7に示すように、環状部71は、板面が軸方向Xに沿うように形成され、外部導体63の導体延出部633に嵌合する。詳しくは、図10及び図11に示すように、環状部71は、環状部71よりも径内方向R1に環状部71の板面から突出する複数(本実施形態では8個)の突起部711を含む。
【0084】
突起部711は、弾性を有し、環状部71の一部を径内方向R1に折り曲げることにより構成され、突起部711の先端711aは、導体延出部633の係止面633cに当接する(図11参照)。これにより、接続部材7のX1方向への移動が規制される。
【0085】
図8から図10に示すように、第1連結部72は、環状部71の周囲に沿って、互いに間隔をあけて略等間隔で設けられる複数(本実施形態では8個)の第1連結片721を含む。第1連結片721の各々は、平面視略矩形状であって、環状部71の一端を基端として径外方向R2へ向けて延びる。図11に示すように、第1連結片721は、環状部71とのなす角度が鈍角になるように傾斜する。第1連結片721は、弾性を有し、その先端部が軸方向X(接触面632cに接近又は離間する方向)に沿って変位可能である。第1連結片721は、軸方向X(接触面632cに接近又は離間する方向)に沿って変位可能に外部導体63の接触面632cに接触する。これにより、接続部材7と外部導体63とが電気的に接続される。
【0086】
図10に示すように、第2連結部73は、環状部71の周囲に沿って、互いに間隔をあけて略等間隔で設けられる複数(本実施形態では8個)の第2連結片731を含む。なお、複数の第1連結片721及び複数の第2連結片731はそれぞれ、等間隔で設けられなくてもよい。また、本実施形態では、第1連結片721と第2連結片731とは、環状部71の周方向の同じ位置に設けられているが、異なる位置に設けられてもよい。更に、本実施形態では、第1連結片721の数と第2連結片731の数とは同じであるが、第1連結片721の数と第2連結片731の数とは異なってもよい。
【0087】
第2連結片731の各々は、板状部材であって、環状部71の他端を基端として軸方向Xに沿って延びる。詳しくは、第2連結片731の各々は、軸方向Xに沿って波打つように湾曲し、径外方向R2へ膨らむように湾曲する第1湾曲部731aと径内方向R1へ膨らむように湾曲する第2湾曲部731bとを含む。第1湾曲部731aと第2湾曲部731bとは基端からこの順で設けられる。第2連結片731は、弾性を有し、径方向R及び軸方向Xに沿って変位可能である。図12に示すように、レセプタクル1とコネクタ6とが連結した状態において、第2連結片731は、レセプタクル1を内包する。第2連結片731は、第2湾曲部731bの頂点(最も径内方向R1に位置する箇所)がレセプタクル1のシェル2と接触する。このとき、第2連結片731は、径方向R及び軸方向Xに沿って変位可能である。すなわち、第2連結片731は、径方向R及び軸方向Xに沿って変位可能にシェル2と接触する。これにより、シェル2と接続部材7とが電気的に接続される。
【0088】
シェル2と接続部材7とが電気的に接続されることにより、接続部材7がシェル2を介して基板C3のグランドラインと電気的に接続される(図12参照)。
【0089】
グランドラインは、基板C3の信号ライン又は電源ラインに重畳したノイズがフィルター回路等によって逃がされる構成になっている。上述のように、接続部材7は、レセプタクル1のシェル2を介して基板C3のグランドラインと電気的に接続されると共に、外部導体63と電気的に接続される。外部導体63は、外部コネクタLCの外部導体と電気的に接続する。したがって、グランドラインに逃がされたノイズは、レセプタクル1のシェル2、接続部材7及び外部導体63を介して外部コネクタLCの外部導体へ逃がされ、外部のグランド電位に逃すことができる。よって、基板C3(信号ライン及び電源ライン)のノイズが除去され、誤作動を抑制することができ、EMC特性の低下を抑制することができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、外部導体63の対向面632sに段差部632dが設けられるため、第2ケース52と外部導体63との接合する作業時に、作業者が接触面632cを容易に識別できる(接触面632cと押さえ面632bとを容易に区別できる)。このため、接触面632cに治具等を当接させることを回避でき、接触面632cに傷がつくことを防止できる。これにより、外部導体63と接続部材7との接触信頼性の低下を防止でき、EMC特性の低下を抑制することができる。
【0091】
また、接続部材7が接触する接触面632cと治具等を当接する押さえ面632bとを容易に区別することができることにより、第2ケース52と外部導体63とを接合する作業の効率が向上する。
【0092】
本実施形態では、接触面632cが段差部632dの段上の面で構成され、押さえ面632bが段差部632dの段下の面で構成される。このため、接続部材7(複数の第1連結片721の各々)が、治具等が当接されて傷を有する押さえ面632bに接触することなく接触面632cに当接することができるため、接触安定性が強化されてEMC特性の低下を抑制することができる。
【0093】
また、接触面632cと押さえ面632bとの境界となる段差部632dに治具等を当接させることにより治具等を固定することが可能となるため、治具等の小型化を図ることができ、外部導体63及び接続部材7の寸法も小さくできる。よって、コネクタモジュール100の小型化を図ることができる。
【0094】
また、第1連結片721は、環状部71の周囲に沿って複数設けられる。このため、外部導体63と接続部材7とが複数の接点で接触することができ、接触安定性が強化される。また、接続部材7が電磁波を通過させるアンテナとなって電磁波の放射を防止することができるので、EMC特性を良好にすることができる。
【0095】
接続部材7は、複数の第2連結片731が変位可能にレセプタクル1(シェル2)と接触する。このため、コネクタ6とレセプタクル1との径方向Rにおける位置ズレが発生する場合があるが、接続部材7の第1連結片721は、フランジ部632に接近又は離間する軸方向Xに沿って変位可能にシェル2の接触面632cと接触する。このため、接続部材7の変位量を吸収することができる。すなわち、外部導体63の接触面632cと第1連結片721との接触圧は、接続部材7における径方向Rに沿った変位量の影響を受けない。したがって、接触信頼性を維持することができる。
【0096】
弾性を有する突起部711が外部導体63の筒状部633aと先端部633bとの段差で構成される係止面633cに係止されることにより、外部導体63と接続部材7との軸方向Xにおける接点位置の位置ズレ公差を小さくできる。これにより、レセプタクル1の軸方向Xの長さ(以下、高さ寸法)を小さくでき、コネクタモジュール100の小型化を図ることができる。
【0097】
外部導体63の接触面632cは、押さえ面632bよりも径外方向R2に設けられる。このため、接続部材7は、第1連結片721の固定端(環状部71)から接触面632cとの接点までの長さ(バネ長)を長く設定できる。これにより、第1連結片721の弾性変位量を大きくし、第1連結片721と接触面632cとの接触圧を大きくすることができる。よって、接触信頼性を向上でき、EMC特性の低下を抑制することができる。
【0098】
本実施形態では、接続部材7が外部導体63とイオン化傾向が同一の材料を主成分されるため、電食による接触不良の発生を抑制でき、EMC特性の低下を抑制することができる。
【0099】
また、本実施形態では、第2ケース52が基板C3の少なくとも一部を覆う。これにより、基板C3が外部より放射される電磁波から遮蔽される。また、基板C3から外部に放射されるノイズを遮蔽することができる。
【0100】
また、本実施形態において、外部導体63と接続部材7とが銅又は銅系の合金が材料として用いられる。銅又は銅系の合金は、弾性に優れている。したがって、応力緩和の効果をもたらし、繰り返し挿抜による接触信頼性の低下を抑制することができる。また、外部導体63の接触面632cは、押さえ面632bよりも径外方向R2に設けられているため、接続部材7の第1連結片721の弾性変位量が大きく設定され、基板C3の実装面に平行な方向へのプラグ10(コネクタ6)とレセプタクル1との位置ズレの許容範囲を大きくすることができる。
【0101】
本実施形態において、外部導体63は、第2ケース52と接合する接合面632aを含み、この接合面632aを介して第2ケース52とフランジ部632とが電気的に接続されている。したがって、第2ケース52と外部導体63と外部コネクタLCの外部導体とによって、基板C3のノイズを外部のグランド電位に逃がすことができる。よって、EMC特性を良好にすることができる。
【0102】
また、本実施形態では、第2ケース52と外部導体63とは接合によって電気的に接続されており、接合の境界には合金層が形成される。このため、例えば、外部導体63と第2ケース52との材料のイオン化傾向が異なることにより電食が生じた場合であっても、接触信頼性の低下を防止することができ、EMC特性の低下を抑制することできる。
【0103】
また、外部導体63と第2ケース52とは、超音波接合、抵抗溶接、レーザー接合及びはんだ接合のいずれかによって電気的に接続されている。このため、外部導体63と第2ケース52とは、異種間接触における電食の発生を気にすることなく材料の選定ができ、コスト面及び用途に必要な特性面を重視した材料選定の自由度が増す。これにより、EMC特性を向上させることができる。
【0104】
[その他の実施形態]
(1)本実施形態において、接触面632cが押さえ面632bよりも径外方向R2に設けられたが、接触面632cと押さえ面632bとの径方向Rにおける位置は相互に入れ替え可能であって、接触面632cは、押さえ面632bよりも径内方向R1に設けられてもよい。
【0105】
(2)また、本実施形態では、接触面632cが段上部に設けられ、押さえ面632bが段下部に設けられたが、押さえ面632bが段上部、接触面632cが段下部に設けられてもよい。すなわち、接続部材7の第1連結片721は、外部導体63の対向面632sのうちの段差部632dの段下の面で構成される接触面632cに接触してもよい。
【0106】
(3)本実施形態では、接続部材7がシェル2を介して基板C3のグランドラインと電気的に接続したが、接続部材7は、基板C3と直接的に接続してもよいし、シェル2に加えて別のグランド部材を介して基板C3のグランドラインと電気的に接続してもよい。なお、基板C3は、センサー回路を実装してもよいし、センサー回路を実装する別の基板と接続されてもよい。
【0107】
(4)本実施形態では、カメラユニットUが同軸ケーブルLを介してモニタ装置に接続されたが、カメラユニットUが接続される対象は、モニタ装置に限定されず、例えば画像処理装置であってもよい。
【0108】
(5)第2ケース52が基板C3の一部の面を覆ったが、第2ケース52は、基板C3の全面を覆ってもよい。あるいは、第2ケース52は、カメラユニットU以外の他のシールドケースと共に基板C3の全面を覆ってもよい。
【0109】
(6)第2ケース52が基板C3のシールドとして機能する場合を説明したが、第2ケース52はシールドとして機能しなくてもよい。その場合、第2ケース52は、絶縁体及び導電体のいずれであってもよい。この場合、第2ケース52の内側にシールド部材を別途備え、シールド部材は第2ケース52と共に基板C3を収容する収容空間52sを構成する。
【0110】
(7)第2ケース52の材料として、アルミニウムを主な成分とする母材を材料として用いられたが、第2ケース52は、マグネシウムを主な成分とする母材によって形成されてもよい。これにより、基板C3に実装されたICなどの発熱による温度上昇を抑制し、基板C3上のIC等の誤作動を防止することができる。なお、第2ケース52は、アルミ又はマグネシウムを主な成分とする母材以外の母材によって形成されてもよい。
【0111】
(8)第1ケース51と第2ケース52とが別体である場合を説明したが、第1ケース51と第2ケース52とは一体であってもよい。
【0112】
(9)本実施形態では、第1接点部611及び第2接点部612が棒状の部材であったが、第1接点部611及び第2接点部612の形状は特に限定されず、第1接点部611は、棒状で外周に接点部を有する雄型構造でもよいし、筒状の内周に接点部を有する雌型構造でもよい。同様に、第2接点部612は、棒状で外周に接点部を有する雄型構造でもよいし、筒状の内周に接点部を有する雌型構造でもよい。あるいは、第2接点部612は、第1方向に延びた複数の弾性片によって複数の接点を有していてもよい。
【0113】
(10)本実施形態では、シェル2、コンタクトケース4、ホルダ62、導体本体631及び導体延出部633が円筒状であったが、シェル2、コンタクトケース4、ホルダ62、導体本体631及び導体延出部633は、平面視円形に限定されない。同様に、フランジ部632が円環状であったが、フランジ部632は環状であればよく、円環状に限定されない。接触面632cと押さえ面632bとの形状は、フランジ部632の形状に応じて変更され得る。
【0114】
(11)本実施形態では、通信ケーブル(電線)の一例として同軸ケーブルLを例に説明したが、電気による通信で、音声、画像、信号等を伝送することを目的とするケーブルであれば特に限定されず、多目的の電線を1本にまとめた複合ケーブルであってもよい。複合ケーブルは、内部導体を、絶縁体を介して覆う外部導体(シールド)を有する。ケーブルが複合ケーブルである場合、レセプタクル1は、1又は複数の第1コンタクト3を含み、コネクタ6は、1又は複数の第2コンタクト61を含む。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、コネクタモジュールに利用可能である。
【符号の説明】
【0116】
1 :レセプタクル
2 :シェル(グランド部材)
6 :コネクタ
7 :接続部材
10 :プラグ
52 :第2ケース(シールドケース)
71 :環状部
72 :第1連結部
73 :第2連結部
100 :コネクタモジュール
631 :導体本体
632 :フランジ部
632a :接合面
632c :接触面
632d :段差部
632s :対向面
633 :導体延出部
633a :筒状部
633b :先端部
711 :突起部
711a :先端
721 :第1連結片
731 :第2連結片
C3 :基板
L :同軸ケーブル(通信ケーブル)
R :径方向
R2 :径外方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12