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特開2023-134137ネットワークシステム、ルートノード、エッジノード及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134137
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】ネットワークシステム、ルートノード、エッジノード及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/38 20180101AFI20230920BHJP
   H04W 84/22 20090101ALI20230920BHJP
   H04W 4/18 20090101ALI20230920BHJP
   H04W 40/30 20090101ALI20230920BHJP
【FI】
H04W4/38
H04W84/22
H04W4/18
H04W40/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039497
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】米山 清二郎
(72)【発明者】
【氏名】小堺 康之
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067BB21
5K067DD17
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067HH22
(57)【要約】
【課題】ルートノードとエッジノードとが広域通信網を介して通信し、エッジノードと下層ノードとが狭域通信網を介して通信するネットワークシステム、ルートノード、エッジノード及びプログラムを提供する。
【解決手段】実施形態のネットワークシステムは、ルートノードと、エッジノードと、下層ノードとを持つ。ルートノードは上位装置と接続される。エッジノードは広域通信網を経由してルートノードと1ホップで接続される。下層ノードはエッジノードを介してルートノードと2ホップ以上のホップ数で接続される。エッジノードは、ルートノードと第1の通信手段により通信を行い、下層ノードと第1の通信手段と異なる第2の通信手段により通信を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置と接続されるルートノードと、
前記ルートノードと広域通信網を経由して1ホップで接続されるエッジノードと、
前記エッジノードを介して前記ルートノードと2ホップ以上のホップ数で接続された下層ノードと、
を備え、
前記エッジノードは、前記ルートノードと第1の通信手段により通信を行い、前記下層ノードと前記第1の通信手段と異なる第2の通信手段により通信を行う、
ネットワークシステム。
【請求項2】
前記第1の通信手段は、有線通信および無線通信の一方または双方を含む広域通信手段であり、
前記第2の通信手段は、狭域の通信手段である、
請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段による通信により、ネットワークシステムを制御するためのプロトコル情報が送受信される、
請求項1又は請求項2に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記ルートノードは、各下層ノードと通信するための経路情報を備え、
各下層ノードに対するパケットを取得したとき、該当する下層ノードと接続されたエッジノードを選択し、当該エッジノードに前記パケットを転送する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のネットワークシステム。
【請求項5】
前記エッジノードに接続されている前記下層ノードの数が所定の数以上であり、前記エッジノードに新たな下層ノードが接続された場合に、前記ルートノードは前記新たな下層ノードに接続が許可されないことを通知する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のネットワークシステム。
【請求項6】
前記エッジノードを複数備える、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のネットワークシステム。
【請求項7】
複数の前記ルートノードを備え、
ルートノードと当該ルートノードに接続されるエッジノード及び下層ノードごとに異なるネットワークアドレスが割り当てられる、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のネットワークシステム。
【請求項8】
下層ノードごとにシリアル番号が割り当てられ、
前記シリアル番号と、前記ネットワークアドレスと各エッジノードに接続された下層ノードのノード番号との組み合わせの対応関係に基づいて下層ノードに送信されるデータが管理される、
請求項7に記載のネットワークシステム。
【請求項9】
前記エッジノードは、前記ルートノードとの疎通状態を監視し、
疎通異常を検出した場合に、前記下層ノードに疎通異常を通知する、
請求項1から8のいずれか一項に記載のネットワークシステム。
【請求項10】
前記下層ノードは、ルートノードとの疎通有無を親ノードの選択条件の1つとし、前記疎通異常が通知された後所定時間、もしくは、疎通異常が通知された後に疎通正常が通知されるまでの間、親ノードの選択条件からルートノードとの疎通有無を条件から除外する、
請求項9に記載のネットワークシステム。
【請求項11】
上位装置と接続されるルートノードであって、
前記ルートノードと1ホップで接続され、前記ルートノードと2ホップ以上のホップ数で接続された下層ノードを含む下層に接続されるエッジノードと通信を行い。
前記エッジノードと下層のノードとの間の第2の通信手段とは異なる第1の通信手段により前記エッジノードと通信を行う、
ルートノード。
【請求項12】
上位装置と接続されるルートノードのプロセッサに、
前記ルートノードと1ホップで接続され、前記ルートノードと2ホップ以上のホップ数で接続された下層ノードを含む下層に接続されるエッジノードと通信を行わせるプログラムであって、
前記エッジノードと下層のノードとの間の第2の通信手段とは異なる第1の通信手段により前記エッジノードと通信を行わせる、
プログラム。
【請求項13】
上位装置と接続されるルートノードと1ホップで接続され、自身を介して前記ルートノードと2ホップ以上のホップ数で接続された一以上の下層ノードと接続されるエッジノードであって、
前記ルートノードと第1の通信手段により通信を行い、前記一以上の下層ノードのうち1ホップで接続される下層の下層ノードと前記第1の通信手段と異なる第2の通信手段により通信を行う、
エッジノード。
【請求項14】
請求項12に記載のプログラムと、
請求項13に記載のエッジノードと、
を備えるネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ネットワークシステム、ルートノード、エッジノード及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチホップネットワークは、マルチホップ通信を行うノードと、マルチホップネットワークを終端し、外部との通信機能を有するルートノードから構成される。無線を使ったマルチホップネットワークは、直接無線が届かないノード同士が通信可能な距離にあるノードを中継することで通信することができる。マルチホップネットワークは、通信ケーブルの敷設が難しいIoT機器で利用されることがある。
【0003】
無線マルチホップネットワークを利用してスマートメータからデータを収集するシステムにおいて、一般的にはデータを収集する地域にノード及びルートノードを設置し、ルートノードは広域網に接続され、広域網を介して上位装置と通信を行う。
【0004】
ルートノードは配下のノードに関する情報を管理する必要があるため、メモリが搭載される必要がある。ノード数が増えるとメモリや処理能力が増える可能性がある。そのため、ルートノードが多くのノードを管理するとき、メモリが搭載される必要がある又はCPU処理能力が高い必要があるなど、ノードに許容される実装サイズに収まらない可能性があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】RPL: IPv6 Routing Protocol for Low-Power and Lossy Networks, IETF RFC 6550
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、多数のノードを管理することができるネットワークシステム、ルートノード、エッジノード及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のネットワークシステムは、ルートノードと、エッジノードと、下層ノードとを持つ。ルートノードは上位装置と接続される。エッジノードは広域通信網を経由してルートノードと1ホップで接続される。下層ノードはエッジノードを介してルートノードと2ホップ以上のホップ数で接続される。エッジノードは、ルートノードと第1の通信手段により通信を行い、下層ノードと第1の通信手段と異なる第2の通信手段により通信を行う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係るネットワークシステムの構成を示す図。
図2】ルートノードの構成を示す図。
図3】エッジノードの構成を示す図。
図4】複数のルートノードと複数のエッジノードを備えるネットワークシステムの一例を示す図。
図5】ルートノードとエッジノードとの接続開始を示すフローチャート。
図6】新たな下層ノードである第2下層ノードが参入したときの処理を示すフローチャート。
図7】第2の実施形態に係るエッジノードの構成を示す図。
図8】第2の実施形態に係るネットワークシステムの動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態のネットワークシステム、ルートノード、エッジノード及びプログラムを、図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るネットワークシステム1の構成を示す図である。ネットワークシステム1において、備えられるノード間で通信が行われる。ネットワークシステム1は、ルートノード20、広域通信網30、ローカルネットワーク40を備える。ローカルネットワーク40は、エッジノード41及び下層ノード42を備える。ネットワークシステム1におけるノード間の通信において、ルートノード20はローカルネットワーク40よりも上位のノードである。また、ローカルネットワーク40においてエッジノード41は下層ノード42よりも上位のノードである。
【0011】
ルートノード20と、ローカルネットワーク40に含まれるエッジノード41及び下層ノード42とはマルチホップネットワークを形成するための制御プロトコルが実装される。制御プロトコルは例えばRPL(Routing Protocol for Low-Power and Lossy Networks)である。以下の説明においてネットワークシステム1は制御プロトコルとしてRPLを使用するものとする。
【0012】
ルートノード20は、上位装置10と接続される。ルートノード20は、広域通信網30と接続される。ルートノード20は、広域通信網30に対するインタフェース装置を有する機器として実装されてもよい。ルートノード20は、1つ又は複数のサーバ上で動作するソフトウェア機能として実装されてもよい。ネットワークシステム1において、ホップ数には広域通信網30に含まれるルータは含まない。トンネル技術によりルートノード20とエッジノード41は論理的には1ホップで接続される。エッジノード41は、広域通信網30を介してルートノード20と1ホップで接続され、下層ノード42は、ルートノード20と2以上のホップ数で接続される。ルートノード20は、上位装置10と広域通信網30との間に設けられ、上位装置10及び広域通信網30とデータを送受信する。
【0013】
ルートノード20が動作する機器には物理IPアドレスが割り当てられ、ルートノード機能に対して論理IPアドレスが割り当てられる。
【0014】
図2は、ルートノード20の構成を示す図である。ルートノード20は、上位装置通信部201、ネットワークシステム制御部202、下位装置通信部203、ノード管理情報記憶部204を備える。
【0015】
上位装置通信部201は、上位装置10とデータを送受信する。
【0016】
ネットワークシステム制御部202は、下位装置通信部203を制御し、データを送信させる。ネットワークシステム制御部202は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0017】
下位装置通信部203は、広域通信網30を介してエッジノード41とデータを送受信する。例えば、下位装置通信部203は、エッジノード41にデータを送信する。下位装置通信部203がエッジノード41に送信するデータは、例えば、上位装置10からルートノードに送信されたデータ又はプロトコル情報である。プロトコル情報は、新規のノードがネットワークシステム1に参入するのに必要な情報、及びDAO-ACKなどのRPLメッセージを含む。
【0018】
新規のノードがネットワークシステム1に参入するのに必要な情報は、MACレベルで参入するのに必要な情報であって、例えばショートアドレス割当に関する情報である。IEEE802.15.4で規定されるMACプロトコルでは、64ビット長のロングアドレスと、16ビット長のショートアドレスが規定されている。ロングアドレスは端末固有のアドレスとするが、通信量削減のために通常の通信では下層ノード42はネットワークにおける通信にショートアドレスを割り当てる運用を行うことができる。下位装置通信部203は新たに参入する下層ノード42に対してショートアドレスを通知することで下層ノード42の参入が完了される。
【0019】
DAO-ACKは、新たに参入した下層ノード42からDAOメッセージが受信されたことを確認する通知である。
【0020】
ノード管理情報記憶部204は、ノード管理に関するデータを記憶する。ノード管理情報記憶部204は、例えばショートアドレス割当情報、参入状態情報、又は下り通信経路情報を記憶する。
【0021】
ショートアドレス割当情報は、下層ノード42に割り当てたショートアドレスに関する情報である。ショートアドレス割当情報に基づいて新たに割り当てるショートアドレスが使用されているショートアドレスと重複しないようにネットワークシステム制御部202は下位装置通信部203にショートアドレス割当に関する情報を送信させることができる。
【0022】
参入状態情報は、エッジノード41に接続されている下層ノード42の数に関する情報である。ネットワークシステム制御部202は、参入状態情報に基づいて下位装置通信部203を制御してもよい。例えば、エッジノード41に接続されている下層ノード42の数が所定の数以上であり、新たな下層ノード42から参入要求を受信した場合に、ネットワークシステム制御部202は下位装置通信部203を制御して、当該新たな下層ノード42に接続が許可されないことを通知させてもよい。
【0023】
下り通信経路情報は、各下層ノード42と通信するための経路情報である。ルートノード20において、上位装置通信部201が各下層ノード42に対するパケットを取得したとき、ネットワークシステム制御部202は経路情報に基づいて該当する下層ノード42と接続されたエッジノード41を選択し、下位装置通信部203は当該エッジノード41にパケットを転送する。
【0024】
図3は、エッジノード41の構成を示す図である。エッジノード41は、第1通信部411、変換部412、第2通信部413、ネットワークシステム制御部414を備える。
【0025】
第1通信部411は、広域通信網30を介して下位装置通信部203と通信する。第1通信部411と下位装置通信部203との間の通信は第1の通信手段により行われる。第1の通信手段は有線通信および無線通信の一方または双方を含む広域通信手段である。
【0026】
変換部412は、第1の通信手段と第2通信部413による第2の通信手段に適合するようにデータを変換する。
【0027】
第2通信部413は、エッジノード41に接続される下層ノード42と通信する。第2通信部413と下層ノード42との間の通信は第1の通信手段と異なる第2の通信手段により行われる。第2の通信手段は920MHzの特定小電力無線など狭域の通信手段である。下層ノード42間も第2の通信手段により通信する。
【0028】
ネットワークシステム制御部414は、第1通信部411及び第2通信部413を制御し、データを送受信させる。
【0029】
ネットワークシステム1は、エッジノード41を複数備えてもよい。また、ネットワークシステム1は、ルートノード20を複数備えてもよい。ネットワークシステム1がルートノード20を複数有する場合、各ルートノード20と接続されるローカルネットワーク40には異なるネットワークアドレスが割り当てられる。また、各ローカルネットワーク40においては、各下層ノード42に異なるノード番号が割り当てられる。ネットワークシステム1は下層ノード42と接続されるルートノードを管理する管理装置を備え、管理装置は上位装置10から送信されたデータをネットワークアドレスに基づいて宛先である下層ノード42と接続されるルートノード20に転送する。エッジノード41及び下層ノード42は、ノード番号に基づいてデータの宛先である下層ノード42にデータを転送する。
【0030】
当該管理装置は、各下層ノード42に割り当てられたシリアル番号に基づいてデータの送信先を管理してもよい。例えば、管理装置は、シリアル番号とネットワークアドレスとノード番号との組み合わせとの間の対応関係に基づいてデータの送信先を管理する。
【0031】
図4は、複数のルートノード20と複数のエッジノード41を備えるネットワークシステム1の一例を示す図である。例えば第1ルートノード20-1は広域通信網30を介して第1エッジノード41-1及び第2エッジノード41-2と接続され、第2ルートノード20-2は広域通信網30を介して第3エッジノード41-3と接続される。
【0032】
以下、ルートノード20とエッジノード41との接続開始について説明する。以下、ネットワークシステム1はIPネットワークであるとして説明する。
【0033】
図5は、ルートノード20とエッジノード41との接続開始を示すフローチャートである。エッジノード41は、広域通信網30と接続した後にエッジノード41に設定されたルートノード20の物理IPアドレスとの間で通信路を設定する(ステップS1)。その後、確立された通信路によりエッジノード41に設定されたルートノード20の論理IPアドレスとの間で論理的な通信路を設定する(ステップS2)。
【0034】
エッジノード41は、論理的な通信路が確立された後、ネットワーク構成に必要となる情報をルートノード20から取得する(ステップS3)。ネットワーク構成に必要となる情報は例えばDIO(DODAG Information Object)メッセージである。エッジノード41は、ルートノード20からDIOメッセージを受け取り、規定された処理を行う(ステップS4)。その後、1ホップ目のノードとしてDIOメッセージを接続された下層ノード42に送信する(ステップS5)。各下層ノード42はRPLの規定に従い通信処理を行う(ステップS6)。これにより、ルートノード20、エッジノード41及び下層ノード42が接続されたネットワークシステムが形成される。以上により、ルートノード20とエッジノード41とが接続される。
【0035】
以下、新たな下層ノード42が参入したときの処理について説明する。以下、新たに参入する下層ノードを第2下層ノード42-2とし、エッジノード41と接続され第2下層ノード42-2の親ノードとなる下層ノード42を第1下層ノード42-1とする。
【0036】
図6は、新たな下層ノード42である第2下層ノード42-2が参入したときの処理を示すフローチャートである。
第2下層ノード42-2は、第1下層ノード42-1が報知するMACレベルのビーコンを受信する(ステップS10)。MACレベルのビーコンを受信後、第2下層ノード42-2は、第1下層ノード42-1に参入要求を送信する(ステップS12)。第1下層ノード42-1は参入要求を上位のノードに転送し(ステップS14)、参入要求は最終的にルートノード20に転送される。ルートノード20は、MACレベルの参入に必要な情報を第1下層ノード42-1に送信する(ステップS16)。ルートノード20は、例えば第2下層ノード42-2に対してショートアドレスを割り当て、割り当てたショートアドレスに関するデータを第1下層ノード42-1に送信する。
【0037】
第1下層ノード42-1は、MACレベルの参入に必要な情報を第2下層ノード42-2に転送する(ステップS18)。第2下層ノード42-2は、受信した情報に基づいてMACレベルに参入する(ステップS20)。
【0038】
第2下層ノード42-2は、MACレベルに参入した後、RPLのプロトコル処理を開始する。第2下層ノード42-2は第1下層ノード42-1からDIOメッセージを受信する(ステップS22)。親選択処理を行い、第1下層ノード42-1を親ノードとして選択する(ステップS24)。その後、ルートノード20を宛先として親ノードである第1下層ノード42-1に対してDAO(Destination Advertisement Object)メッセージを送信する(ステップS26)。
【0039】
ルートノード20は、DAOメッセージを受信すると、下り通信の経路管理として、エッジノード41経由で第2下層ノード42-2と通信可能であることを記録する(ステップS28)。ルートノード20は、DAOメッセージの送達確認として第2下層ノード42-2にDAO-ACKメッセージを送信する(ステップS30)。以上により、新たな下層ノード42が参入する。
第2下層ノード42-2は参入後、周囲に自身のDIOメッセージの報知を開始する。
【0040】
第1の実施形態によれば、ルートノードを各地に設置する必要がなく、必要に応じた能力やメモリ量を備えたサーバ機器によりルートノードを実装することが可能である。これにより、多数のノードを管理することができる。
【0041】
また、ルートノードは、参入状態情報に基づいて、参入を要求する新たな下層ノードに接続が許可されないことを通知することができる。これにより、エッジノードで下層ノードの管理をすることなく、エッジノードに接続されるノードの数を制限することができる。
【0042】
ネットワークシステム1は、複数のエッジノードを備えることができる。これにより、各エッジノードを離れた場所に設置しても、ネットワークシステムを構成することができる。
【0043】
ネットワークシステム1は、複数のルートノードを備えることができる。これにより、それぞれのルートノードに要求される処理能力やメモリ量を削減し、故障した場合の影響範囲を小さくすることができる。
【0044】
ネットワークシステム1は、管理装置を備え、異なるルートノードへ送信されるデータを管理することができる。これにより、データが経由するルートノードが容易に判断される。また、下層ノードに固有のシリアル番号を使用することで、ネットワークの構成に依存しない通信を実現することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係るエッジノード41の構成を示す図である。第2の実施形態に係るエッジノード41は、第1の実施形態に係るエッジノード41に加えルートノード監視部415を備える。
【0046】
ルートノード監視部415は、ルートノード20との間の疎通状態を監視する。例えば、エッジノード41は疎通確認要求をルートノード20に送信することでルートノード20との間の疎通状態を監視する。ルートノード監視部415は、ルートノード20との間で疎通異常を検出する。ルートノード監視部415は、例えば、ルートノード20から疎通確認要求に対する疎通確認応答を一定時間内に受信しなかったときに、疎通異常を検出する。ルートノード監視部415は、例えば、ルートノード20から疎通確認要求に対する疎通確認応答を一定時間内に受信したときに、疎通正常を検出する。
【0047】
下層ノード42は、複数の条件を参照して親選択を実施する。条件とは、例えばある親候補のノードを経由したときのホップ数、親候補から受信する信号の信号強度(RSSI)、伝送品質(例えば、親候補ノードへのパケット到達率やルートノードまでのパケット到達率)、などであり、ルートノードとの疎通有無を含む。下層ノード42は、疎通異常が通知されてから一定時間又は疎通異常が通知されてから疎通正常が通知されるまでの間、参照する条件としてルートノードとの疎通有無を含まないようにして親選択を実施する。下層ノード42は、一定時間経過しても疎通正常が通知されない場合、又は一定時間経過前に疎通正常が通知された場合、参照する条件としてルートノードとの疎通有無を含むようにして親選択を実施する。
【0048】
図8は、第2の実施形態に係るネットワークシステム1の動作の一例を示すフローチャートである。
エッジノード41がルートノード20に疎通確認要求を送信する(ステップS40)。ルートノード20は疎通確認要求を受信すると、エッジノード41に疎通確認応答を送信する(ステップS42)。エッジノード41は疎通確認応答を受信し、疎通正常を検出する(ステップS44)。
【0049】
再び、エッジノード41がルートノード20に疎通確認要求を送信する(ステップS50)。エッジノード41は、一定時間疎通確認応答を受信しないため、疎通異常を検出する(ステップS52)。エッジノード41は、下層ノード42に疎通異常を通知する(ステップS54)。下層ノード42は疎通異常を通知されると、親ノードを選択するときの条件を変更する(ステップS56)。
【0050】
その後、エッジノード41がルートノード20に疎通確認要求を送信する(ステップS58)。ルートノード20は疎通確認要求を受信すると、エッジノード41に疎通確認応答を送信する(ステップS60)。エッジノード41は疎通確認応答を受信し、疎通正常を検出する(ステップS62)。エッジノード41は、下層ノード42に疎通正常を通知する(ステップS64)。下層ノード42は疎通正常を通知されると、親ノードを選択するときの条件を変更して元の設定に戻す(ステップS66)。下層ノード42は、一定時間経過しても疎通正常が通知されない場合であっても、親ノードを選択するときの条件を変更して元の設定に戻してもよい。
【0051】
ルートノード20が故障や保守のために停止し、エッジノード41と疎通ができなくなった場合に、ルートノードとの疎通を親選択の判断条件に入れた親選択方法では、下層ノード42は他の親ノードに接続を切り替える。通常は近傍の下層ノード42同士は同じエッジノードに接続されているため、全ての下層ノード42で参入処理が開始され、ネットワークシステム1の構成が維持されなくなる。第2の実施形態におけるネットワークシステム1においては、下層ノード42は疎通異常を通知されると、親ノード選択設定を切り替えて疎通状態に基づいて親ノードを選択しない。そのため、下層ノード42でルートノードとの疎通状態に基づく親選択処理が開始されず、エッジノードまでのマルチホップネットワーク接続状態を維持することができる。その後規定時間までにルートノードとの疎通が回復すれば、そのままルートノードとの通信も回復する。もし、規定時間以内にルートノードとの疎通が回復しない場合、ルートノードとの疎通状態に基づく親選択が実施される。近傍にルートノードと疎通可能なエッジノードを含むネットワークが存在すれば、そのネットワークに接続するため、エッジノードの単独故障に対する冗長性を持たせることが出来る。
【0052】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、エッジノード41は、ルートノード20と第1の通信手段により通信を行い、下層ノード42と第1の通信手段と異なる第2の通信手段により通信を行う。これにより、ルートノード20とエッジノード41とが広域通信網を介して通信し、エッジノード41と下層ノード42とが狭域通信網を介して通信するネットワークシステムを構成することができる。したがって、実施形態のネットワークシステムによれば、ルートノード20により多数のノードを管理することができる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
1…ネットワークシステム、10…上位装置、20‥ルートノード、30…広域通信網、40…ローカルネットワーク、41…エッジノード、42…下層ノード、201…上位装置通信部、202…ネットワークシステム制御部、203…下位装置通信部、204…ノード管理情報記憶部、411…第1通信部、412…変換部、413…第2通信部、414…ネットワークシステム制御部、415…ルートノード監視部
図1
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