(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134160
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】充電制御装置、充電制御方法、および充電制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/04 20060101AFI20230920BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20230920BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H02J7/04 L
H02J7/04 A
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
H01M10/48 301
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039526
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】佃 直樹
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA08
5G503CB11
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS11
5H030BB01
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
(57)【要約】
【課題】二次電池の膨れを抑制しつつ、二次電池の充電率が満充電へ近づくよう充電を制御することができる充電制御装置、充電制御方法、および充電制御プログラムを提供する。
【解決手段】二次電池の充電を制御する充電制御装置であって、入力される制御信号に応じて上記二次電池へ充電のための電流を供給する給電回路と、上記二次電池の充電率を検出する充電率検出手段と、上記二次電池の温度を検出する温度検出手段と、上記二次電池の充電率および上記二次電池の温度に基づいて、上記給電回路に対して上記二次電池の充電のための電流の供給を制御する制御手段と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の充電を制御する充電制御装置であって、
入力される制御信号に応じて前記二次電池へ充電のための電流を供給する給電回路と、前記二次電池の充電率を検出する充電率検出手段と、前記二次電池の温度を検出する温度検出手段と、前記充電率検出手段からの前記二次電池の充電率および、前記温度検出手段からの前記二次電池の温度に基づいて、前記給電回路からの前記二次電池の充電を制御する制御手段と、を含み、
前記制御手段は、前記二次電池の充電率が第1目標値まで上昇するように前記給電回路を制御して、前記二次電池を充電し、
前記二次電池の充電率が前記第1目標値に到達したときに、前記二次電池の温度が第1閾値を越えている場合には前記給電回路が供給する電流を増減することにより前記二次電池の充電率を前記第1目標値の周辺で保持するように前記給電回路を制御する、
充電制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記給電回路が供給する電流を増減することにより前記二次電池の充電率を前記第1目標値の周辺で保持する期間において、前記二次電池の温度が前記第1閾値以下になったときには、前記二次電池の充電率が前記第1目標値より高い第2目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記二次電池の充電率が前記第1目標値を越えて前記第2目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する過程において、前記二次電池の温度が前記第1閾値より高い第2閾値以下であるときには、前記二次電池の充電を継続するように前記給電回路を制御する、
請求項2に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記二次電池の充電率が前記第1目標値を越えて前記第2目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する過程において、前記二次電池の温度が前記第1閾値より高い第2閾値以上であるときには、前記二次電池の充電を充電状態から充電停止状態へと移行させる、
請求項2に記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記二次電池の充電率が前記第1目標値を越えて前記第2目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する過程において、前記二次電池の充電を充電状態から充電停止状態へと移行させた後に、前記二次電池の温度が再び前記第1閾値以下になったときには前記二次電池の充電を充電停止状態から充電状態へと移行させる、
請求項4に記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記二次電池の充電率が前記第2目標値まで到達したときには、前記二次電池の充電を充電状態から充電停止状態へと移行させる、
請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【請求項7】
前記二次電池の充電率が前記第1目標値より高い第2目標値まで到達したときに、前記二次電池の温度が前記第1閾値より高い第3閾値を越えている場合には、
前記制御手段は、前記給電回路が供給する電流を増減することにより前記二次電池の充電率を前記第2目標値の周辺で保持するように前記給電回路を制御する、
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記給電回路が供給する電流を増減することにより前記二次電池の充電率を前記第2目標値の周辺で保持する期間において、前記二次電池の温度が前記第3閾値以下になったときには、前記二次電池の充電率が前記第2目標値より高い第3目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する、
請求項7に記載の充電制御装置。
【請求項9】
二次電池へ充電のための電流を供給する給電回路を制御して、前記二次電池の充電を制御する充電制御方法であって、
前記二次電池の充電率が第1目標値まで上昇するように前記給電回路を制御して、前記二次電池を充電し、
前記二次電池の充電率が前記第1目標値に到達したときに、前記二次電池の温度が第1閾値を越えている場合には前記給電回路が供給する前記電流を増減することにより前記二次電池の充電率を前記第1目標値の周辺で保持するように前記給電回路を制御する、
充電制御方法。
【請求項10】
二次電池へ充電のための電流を供給する給電回路を制御して、前記二次電池の充電を制御する充電制御プログラムであって、
コンピュータに、
前記二次電池の充電率が第1目標値まで上昇するように前記給電回路を制御して、前記二次電池を充電する処理と、
前記二次電池の充電率が前記第1目標値に到達したときに、前記二次電池の温度が第1閾値を越えている場合には前記給電回路が供給する前記電流を増減することにより前記二次電池の充電率を前記第1目標値の周辺で保持するように前記給電回路を制御する処理と、
を実行させる充電制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電制御装置、充電制御方法、および充電制御プログラムに関し、特に二次電池の劣化を抑制する充電制御装置、充電制御方法、および充電制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル用途などで使用する通信機器の電源には、充放電の繰り返し使用が可能なリチウムイオン二次電池が使用されていることが多い。温度が高い環境下や満充電(充電率が高い)に近い状態でリチウムイオン二次電池を長期間使用すると、内部電極と電解質の副反応によりガスが発生してしまう。また、このガスの発生によって、電池が膨れてしまう。この膨れ現象は、電池の温度が高ければ高いほど、また電池の電圧(充電率)が高ければ高いほど顕著に現れる。このように、リチウムイオン二次電池にストレスが加わり蓄積されると、電池に加わるストレスが当該電池のストレス限界を超えて、電池の膨れに至る。特にスマートフォンに広く使われているリチウムイオンポリマー二次電池は、外装がラミネート材である。このため、電池に加わるストレスがストレス限界を超えると、当該電池に急激に大きな膨れが生じてしまうことがある。近年では、機器の通信速度の高速化が進み、内部発熱が高くなる一方で、機器内部の高密度実装化も進み、電池部の温度が高くなり易い傾向にある。さらに、近年ではモバイルバッテリーの普及で外出先でも容易に充電できる環境となり、電池が満充電(高電圧、高充電率)に近い状態で使用されるシーンが増えている。つまり、現状においては、電池が膨れる要因として、高い温度、高い電圧(高い充電率)の使用シーンが増え、電池の膨れが加速するという懸念がある。
【0003】
図17および
図18に、二次電池の電池膨れ量と継続時間との関係を示す。
図17は、二次電池の充電率が100%である場合に、電池温度が40℃のとき、50℃のときおよび60℃のときの継続時間と電池膨れ量との関係を示すグラフである。
図17に示されるように、電池温度が高くなるにつれて、持続時間に対する電池膨れ量の増加量が大きくなる。
図18は、二次電池の電池温度が60℃である場合に、二次電池の充電率が80%のとき、90%のときおよび100%のときの継続時間と電池膨れ量との関係を示すグラフである。
図18に示されるように、充電率が高くなるにつれて、持続時間に対する電池膨れ量の増加量が大きくなる。
【0004】
特許文献1は、二次電池の膨れを抑制する充電制御装置に関するものであり、二次電池の電池温度および電池残容量を検出すること、電池温度および電池残容量が大きいほど充電を終了させる電圧値(充電終止電圧値)を低下させることが、提案されている。特許文献1では、二次電池の容量劣化よりも膨れ抑制を優先すべきであるという着想のもと、充電終止電圧値を段階的に低下させることによって、二次電池の膨れを抑制することが提案されている。
【0005】
特許文献2は、二次電池の充電装置に関するものであり、二次電池を充電する際に内部抵抗の上昇を検知すること、上昇した内部抵抗を低減させた上で充電を継続することが提案されている。特許文献2では、二次電池の充放電サイクルの繰り返しに伴って内部抵抗が上昇すること、二次電池の内部抵抗が上昇すると大電流が取り出しにくくなるといった問題や充電に長時間をようするようになるといった問題があることが、記載されている。特許文献2では、温度センサーで二次電池の外表面温度を測定し、この外表面温度から二次電池の内部温度を算出すること、算出された内部温度がしきい温度以上であると判断されると加熱用電流での充電を停止することが提案されている。特許文献2では、加熱用電流の印加によって、二次電池の内部温度を発電要素の構成材料の融点付近まで上昇させるが、この融点を超える値まで上昇させないように加熱用電流での充電を停止しつつ、充電を継続することが提案されている。
【0006】
特許文献3は、蓄電池の出力特性低下の抑制を図った蓄電池制御装置に関するものであり、蓄電池の温度情報を基に蓄電池を放電状態に切り替えることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-068628号公報
【特許文献2】特開2021-044860号公報
【特許文献3】特開2019-004565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、二次電池の膨れを抑制することが提案されているが、その提案内容は充電終止電圧値を低下させるものである。このため、特許文献1によれば、二次電池の膨れを抑制することができるものの、二次電池の充電率は満充電から低下したものとなり、二次電池の利用者は充電頻度を増やさなければならなくなることが予想される。
【0009】
特許文献2や特許文献3では、二次電池の膨れを抑制について関知されておらず、二次電池の膨れを抑制する解決手段について記載されていない。
【0010】
本発明の目的は、二次電池の膨れを抑制しつつ、二次電池の充電率が満充電へ近づくよう充電を制御することができる充電制御装置、充電制御方法、および充電制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る充電制御装置は二次電池の充電を制御する充電制御装置であって、
入力される制御信号に応じて上記二次電池へ充電のための電流を供給する給電回路と、
上記二次電池の充電率を検出する充電率検出手段と、
上記二次電池の温度を検出する温度検出手段と、
上記二次電池の充電率および、上記二次電池の温度に基づいて、上記給電回路に対して、上記二次電池の充電のための電流の供給を制御する制御手段と、を含み、
上記制御手段は、上記二次電池の充電率が第1目標値まで上昇するように上記給電回路を制御して、上記二次電池を充電し、
上記二次電池の充電率が上記第1目標値に到達したときに、上記二次電池の温度が第1閾値を越えている場合には上記給電回路が供給する電流を増減することにより上記二次電池の充電率が上記第1目標値の周辺で保持するように上記給電回路を制御する。
【0012】
本発明に係る充電制御方法は、二次電池へ充電のための電流を供給する給電回路を制御して、上記二次電池の充電を制御する充電制御方法であって、
上記二次電池の充電率が第1目標値まで上昇するように上記給電回路を制御して、上記二次電池を充電し、
上記二次電池の充電率が上記第1目標値に到達したときに、上記二次電池の温度が第1閾値を越えている場合には上記給電回路が供給する上記電流を増減することにより上記二次電池の充電率を上記第1目標値の周辺で保持するように上記給電回路を制御する。
【0013】
本発明に係る充電制御プログラムは、二次電池へ充電のための電流を供給する給電回路を制御して、上記二次電池の充電を制御する充電制御プログラムであって、
コンピュータに、
上記二次電池の充電率が第1目標値まで上昇するように上記給電回路を制御して、上記二次電池を充電する処理と、
上記二次電池の充電率が上記第1目標値に到達したときに、上記二次電池の温度が第1閾値を越えている場合には上記給電回路が供給する上記電流を増減することにより上記二次電池の充電率を上記第1目標値の周辺で保持するように上記給電回路を制御する処理と、
を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、二次電池の膨れを抑制しつつ、二次電池の充電率が満充電へ近づくよう充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の上位概念の実施形態による充電制御装置を説明するためのブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による充電制御装置を説明するためのブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による充電制御方法を説明するためのフローチャートである。
【
図4】第1実施形態による充電制御について、継続時間と充電率との関係を示すグラフである。
【
図5】第1実施形態による充電制御について、継続時間と充電率との関係を示すグラフである。
【
図6】第1実施形態による充電制御について、継続時間と充電率との関係を示すグラフである。
【
図7】第1実施形態による充電制御方法のうち、充電率を保持する充電制御方法を説明するためのフローチャートである。
【
図8】第1実施形態による充電制御のうち、充電率を保持する充電制御について、継続時間と充電率との関係を示すグラフである。
【
図9】本発明の第2実施形態による充電制御装置を説明するためのブロック図である。
【
図10】本発明の第2実施形態による充電制御方法を説明するためのフローチャートである。
【
図11】第2実施形態による充電制御について、継続時間と充電率との関係を示すグラフである。
【
図12】第2実施形態による充電制御について、継続時間と充電率との関係を示すグラフである。
【
図13】第2実施形態による充電制御について、継続時間と充電率との関係を示すグラフである。
【
図14】第2実施形態による充電制御方法のうち、充電率を保持する充電制御方法を説明するためのフローチャートである。
【
図15】第2実施形態による充電制御のうち、充電率を保持する充電制御について、継続時間と充電率との関係を示すグラフである。
【
図16】本発明の上位概念の実施形態による充電制御プログラムを実行する、情報処理装置の一例を示すブロック図である。
【
図17】二次電池の電池膨れ量と継続時間との関係を示すグラフである。
【
図18】二次電池の電池膨れ量と継続時間との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
〔上位概念の実施形態〕
より具体的な実施形態について説明する前に、本発明の上位概念による充電制御装置や充電制御方法を説明する。
図1は、本発明の上位概念の実施形態による充電制御装置を説明するためのブロック図である。
【0018】
図1の充電制御装置は、二次電池51の充電を制御する充電制御装置である。
図1の充電制御装置は、給電回路55と、充電率検出手段52と、二次電池51の温度を検出する温度検出手段53と、を含む。給電回路55は、入力される制御信号に応じて二次電池51へ充電のための電流を供給する。充電率検出手段52は、二次電池51の充電率を検出する。
【0019】
さらに
図1の充電制御装置は、充電率検出手段52からの二次電池51の充電率および、温度検出手段53からの二次電池51の温度に基づいて、給電回路55からの二次電池51の充電を制御する制御手段54と、を含む。
【0020】
ここで充電制御装置の制御手段54は、二次電池51の充電率が第1目標値まで上昇するように給電回路55を制御して、二次電池51を充電することを基本的動作とする。なお一例として、二次電池51の充電率が100%(満充電)のときを充電の第2目標値と設定した場合、二次電池51の充電率が80%のときを充電の第1目標値として設定する。なおここで、二次電池51の充電率の第1目標値および第2目標値は相対的なものであるので、第1目標値は充電率が80%に限られず、第2目標値は充電率が100%に限られない。例えば本発明の上位概念による充電制御装置や充電制御方法による二次電池の充電制御において、最終的な充電率の目標値を第2目標値として設定し、第2目標値よりは低い目標値を第1目標値として設定すればよい。なお、第2目標値は、充電率が第2目標値へ到達する前の過程で設定される。
【0021】
さらに充電制御装置の制御手段54は、二次電池51の充電率が上記第1目標値に到達したときに、上記二次電池51の温度が第1閾値を越えている場合には二次電池51の充電率が上記第1目標値の周辺で保持するように上記給電回路55を制御する。なお一例として、第1閾値は例えば40℃に設定するが、第1閾値は40℃には限られない。なお、この二次電池51の充電率が上記第1目標値の周辺で保持するように、上記給電回路55を制御する。このとき、上記給電回路55を制御する動作は、二次電池51の充電のために給電回路55が供給する供給電流を増減する制御である。この供給電流を増減する動作は、供給電流の供給状態と供給停止状態との間を遷移させるような制御によって実現することができ、また供給電流の供給を維持しつつ供給電流の値を増減させるような制御によっても実現することができる。
【0022】
この上位概念の充電制御装置や充電制御方法によれば、二次電池51の充電率が第1目標値まで上昇するように給電回路55を制御して、二次電池51を充電する。上位概念による充電制御装置や充電制御方法では、充電率検出手段52が二次電池51の充電率を検出しつつ、また温度検出手段53が二次電池51の温度を検出しつつ、二次電池51の充電が行われる。そして、二次電池51の充電率が上記第1目標値に到達したときに、上記二次電池51の温度が第1閾値を越えている場合には二次電池51の充電率が上記第1目標値の周辺で保持するように上記給電回路55を制御する。
【0023】
このように二次電池51を充電する過程において、二次電池の温度が高い場合には、二次電池51の充電率が上記第1目標値の周辺で保持するように、給電回路55を制御することにより、二次電池に与えるストレスを軽減させることができる。この二次電池に与えるストレスが軽減されたことによって、二次電池の劣化を抑制することができ、特に二次電池の膨れを抑制しつつ、二次電池の充電率が満充電へ近づくよう充電することができる。
【0024】
〔第1実施形態〕
次に、本発明の第1実施形態による充電制御装置および充電制御方法について、説明する。
図2は、本発明の第1実施形態による充電制御装置を説明するためのブロック図である。
図3は、本発明の第1実施形態による充電制御方法を説明するためのフローチャートである。
図4は、第1実施形態による充電制御について、継続時間と充電率との関係を示すグラフである。
図5は、第1実施形態による充電制御について、継続時間と充電率との関係を示すグラフである。
図6は、第1実施形態による充電制御について、継続時間と充電率との関係を示すグラフである。
図7は、第1実施形態による充電制御方法のうち、充電率を保持する充電制御方法を説明するためのフローチャートである。
図8は、第1実施形態による充電制御のうち、充電率を保持する充電制御について、継続時間と充電率との関係を示すグラフである。
【0025】
(充電制御装置の構成)
図2の充電制御装置は、リチウムイオン蓄電池に代表されるような、二次電池4の充電を制御する充電制御装置である。二次電池4は、例えば電子機器の電源供給源であり、二次電池4からの直流電圧の供給を受けて動作する負荷回路部8と共に、電子機器に内蔵されたり、電子機器に着脱可能に装着されたりすることを想定する。
図2の充電制御装置は、給電回路の一例としての充電回路部2を含む。ここでの給電回路は、入力される制御信号に応じて二次電池4へ充電のための電流を供給する。さらに
図2の充電制御装置は、充電率検出部5を含む。この充電率検出部5は、二次電池4の充電率を検出する充電率検出手段の一例である。さらに
図2の充電制御装置は、温度測定部6を含む。この温度測定部6は、二次電池4の温度を検出する温度検出手段の一例である。さらに
図2の充電制御装置は、充電回路部2からの二次電池4の充電を制御する制御手段の一例としての充電制御部3を含む。充電制御部3は、充電率検出部5からの二次電池4の充電率および、温度測定部6からの二次電池4の温度に基づいて、充電回路部2を制御する。
【0026】
ここで充電制御装置の充電制御部3は、二次電池4の充電率が第1目標値まで上昇するように充電回路部2を制御して、二次電池4を充電することを基本的動作とする。なお一例として、二次電池4の充電率が100%(満充電)のときを充電の第2目標値と設定した場合、二次電池4の充電率が80%のときを充電の第1目標値として設定する。なおここで、二次電池4の充電率の第1目標値および第2目標値は相対的なものであるので、第1目標値は充電率が80%に限られず、第2目標値は充電率が100%に限られない。例えば、本実施形態による充電制御装置や充電制御方法による二次電池の充電制御において、最終的な充電率の目標値を第2目標値として設定し、第2目標値よりは低い目標値を第1目標値として設定すればよい。なお、第2目標値は、充電率が第2目標値へ到達する前の過程で設定される。
【0027】
さらに充電制御装置の充電制御部3は、二次電池4の充電率が上記第1目標値に到達したときに、上記二次電池4の温度が第1閾値を越えている場合には二次電池4の充電率が上記第1目標値の周辺で保持するように上記充電回路部2を制御する。なお一例として、第1閾値は例えば40℃に設定するが、第1閾値は40℃には限られない。なおこの二次電池4の充電率が上記第1目標値の周辺で保持するように、上記充電回路部2を制御する動作は、二次電池4の充電状態または二次電池4の充電停止状態のいずれか一方から他方へ遷移させるような制御である。
【0028】
さらに
図2の充電制御装置は、AC(Alternative Current)電源に接続され、交流電圧を直流電圧に変換し、充電回路部2へ供給するACアダプタ1を含む。ACアダプタ1が充電回路部2に接続されることにより、充電制御部3に制御された充電回路部2を介して、二次電池4の充電が行われる。さらに
図2の充電制御装置は、充電率検出部5を経由して、二次電池4が出力する直流電圧を負荷回路部8に供給する電源回路部7を含む。電源回路部7は、二次電池4からの給電を元にして負荷回路部8の仕様に則した電圧を生成し、これを負荷回路部8に供給する。また、電源回路部7は、二次電池4が出力する直流電圧を必要に応じて昇圧、降圧、変圧するなどして、負荷回路部8に対して電源電圧などを供給する。
【0029】
二次電池4の充放電は、充電率検出部5を介して行われ、二次電池4の充電率(残容量)を算出している。充電率検出部5は、一般的にクーロンカウンタやガスゲージIC(Integrated Circuit)の名称で知られている。温度測定部6は、二次電池4の温度を測定している。充電制御部3は、二次電池4の充電率の情報およびを元に、充電回路部2の制御を行う。ここで、二次電池4の充電率の情報は、充電率検出部5により通知される。また、二次電池4の温度の情報は、温度測定部6により通知される。
【0030】
(充電制御装置の動作、充電制御方法)
次に、
図2などを参照して、本実施形態による充電制御装置の動作や、本実施形態による充電制御方法を詳細にする。
【0031】
なおここで一例として、第1閾値を40℃、第2閾値を45℃、第3閾値を60℃と設定して説明するが、各閾値の値はこれに限られるものではなく、充電される二次電池の仕様や経時変化の状態などに応じて適宜設定すればよい。なおここで、第3閾値は、二次電池の充電動作を停止することが必要な高温を考慮して設定されるものとする。よって、本実施形態による充電制御装置の動作や、本実施形態による充電制御方法においては、いかなる状態においても、温度測定部6で測定された二次電池4の温度が第3閾値(60℃)を超える場合には、充電制御部3は、充電回路部2を制御して、充電動作を停止することを前提として説明を進める。
【0032】
充電が開始される前の二次電池4の充電率が、80%未満であることを中心に説明するが、80%以上100%未満であってもよい。ACアダプタ1がAC電源と充電回路部2との間に接続されて二次電池4の充電が開始されると、充電制御部3は充電回路部2を制御し、二次電池4の充電率を80%まで上げる、すなわち充電率80%まで二次電池4を充電する動作に入る。充電率検出部5は二次電池4の充電率を検出しており、温度測定部6は二次電池4の温度を検出している。充電制御部3が二次電池4の充電率が80%以下(S201のYES)であると判断したときは、二次電池4の充電状態が継続され、二次電池4の充電率を上げる(S202)。さらに、充電制御部3が二次電池4の充電率が80%か否かを確認する、また、充電制御部3が、充電率が80%でないとき(S203のNO)には、S202に戻って二次電池4の充電率を上げる。なおここで、「充電率が80%でないとき」とは、充電率が80%にまだ到達しておらず、充電率が80%未満であるときを指す。
【0033】
一方、二次電池4の充電率が80%であると充電制御部3が判断したとき(S203のYES)には、S204に進み、充電率80%を保持する。さらに電池温度が40℃以下であるか否かを充電制御部3が判断し、電池温度が40℃を越えているとき(S205のNO)はS204に戻り、充電率80%を保持するように、充電制御部3は充電回路部2を制御する。
【0034】
この電池温度が40℃を越えているときに、充電率80%を保持する制御は、後ほど詳細に説明する。
【0035】
S205において、電池温度が40℃以下であるとき(S205のYES)には、S206に進み、二次電池4の充電率を上げるように充電制御部3は充電回路部2を制御する。言い換えると、S205のYESのときは、現在の二次電池4の充電率が80%であるところ、二次電池4の充電率をさらに上昇させる充電制御が行われる。また、S205のYESのときは、例えば充電率100%へ向けて充電率をさらに上昇させる制御が行われる。
【0036】
二次電池4の充電率が80%を越えるようにさらに充電率を上昇させる過程において、電池温度が45℃を超えたとき(S207のNO)にはS209に進んで充電を停止する。言い換えると、電池温度が45℃を超えたときには、充電制御部3は充電回路部2を制御して、充電状態から充電停止状態へと遷移させる。充電停止状態へと遷移されると、負荷回路部8が動作していることによる電力消費や、二次電池4の自然放電によって、80%を越えていた二次電池4の充電率は少しずつ低下していく。
【0037】
その後、充電制御部3は二次電池4の充電率が80%かどうかを判断し、充電率が80%でないとき(S210のNO)には、S209に戻って充電停止を継続する。なおここで、「充電率が80%でないとき」とは、まだ二次電池4の充電率が80%を越えた状態にあることを指す。充電制御部3は二次電池4の充電率が80%かどうかを判断し、充電率が80%のとき(S210のYES)には、S204に戻り、充電率80%を保持するように、充電制御部3は充電回路部2を制御する。
【0038】
S207において、電池温度が45℃以下のとき(S207のYES)には、充電状態が維持されるように充電制御部3は充電回路部2を制御する。
【0039】
さらに、充電制御部3は二次電池4の充電率が100%かどうかを判断し、充電率が100%のとき(S208のYES)には目標充電率まで到達したものとして二次電池4の充電を終了する。充電率が80%を越えつつも100%まで到達していないときには、S206に戻り、充電率を上げるように充電制御部3は充電回路部2を制御する。
【0040】
S201において、充電制御部3が二次電池4の充電率が80%以下でないと判断したとき(S201のNO)には、S207に進んで、二次電池4の電池温度が45℃以下かどうかを充電制御部3は判断する。なお、充電制御部3が二次電池4の充電率が80%以下でないことは、言い換えると二次電池4の充電率が80%を越えていることになる。上述したように、S207では電池温度が45℃以下のとき(S207のYES)には、充電状態が維持されるように充電制御部3は充電回路部2を制御し、電池温度が45℃を超えたとき(S207のNO)にはS209に進んで充電を停止する。
【0041】
図3のフローチャートが示す充電制御装置の動作、充電制御方法は、次のようにまとめることができる。ACアダプタ1が接続されて充電が開始されると、充電制御部3は充電回路部2を制御し、充電率を80%まで上げる、すなわち充電率80%まで充電する動作に入る。(S201~S203)。充電率が80%まで上がると、充電制御部3は、充電回路部2を制御し、二次電池4の温度が40℃以下になるまで、充電率を80%に保持する動作に入る(S204~S205)。充電率を80%に保持する動作中に、二次電池4の温度が40℃以下まで下がると、充電制御部3は、充電回路部2を制御し、充電率を100%まで上げる、すなわち満充電まで充電する動作に入る(S206~S208)。ここまでの動作を、充電率と時間の関係のグラフにしたものを
図4に示す。
【0042】
図4では、充電制御装置の動作、充電制御方法の開始時点t
0から充電によって充電率は80%へ向かって上昇する。充電率が上昇し80%へ到達した時点t
1で、二次電池4の電池温度が40℃超であれば、二次電池4の充電率を80%(一定)に保持するように充電制御部3は充電回路部2に指示する。時点t
1から時点t
2までの期間は、二次電池4の充電率を80%(一定)に保持する制御が行われている期間である。40℃を越えていた二次電池4の電池温度が低下して、40℃以下になった時点t
2で、充電制御部3は、再び二次電池4の充電率を上げる制御に移行する。言い換えると、充電制御部3は、二次電池4の充電率100%へ向けて二次電池4の充電率を上げる制御に移行する。そして、二次電池4の充電率が100%になった時点t
3で充電を停止する。時点t
2から時点t
3までの期間は、二次電池4の温度が45℃以下であれば二次電池4の充電率を上げる制御を継続し、二次電池4の温度が45℃を越えたときには二次電池4の充電率を上げる制御を一旦、停止する。
【0043】
ただし、満充電まで充電する過程で、二次電池4の温度が上昇し、45℃を超えた場合、充電制御部3は充電回路部2を制御し、充電率が80%に下がるまで、充電を停止する動作に入る(S209~S210)。二次電池4の充電率が80%まで下がると、充電制御部3は充電回路部2を制御し、二次電池4の温度が40℃以下になるまで、充電率を80%に保持する動作に入る(S204~S205)。ここまでの動作を、充電率と時間の関係のグラフにしたものを
図5に示す。
【0044】
図5では、二次電池4の充電によって充電率が上昇し80%へ到達した時点t
11で、二次電池4の電池温度が40℃超であれば、二次電池4の充電率を80%(一定)に保持するように充電制御部3は充電回路部2に指示する。
図5では、充電率が上昇し80%へ到達した時点t
11からさらに充電を継続して二次電池4の充電率が上昇し、時点t
12で二次電池4の電池温度が45℃超となって充電を停止した場合を示している。二次電池4の充電を停止すると充電率は低下し、二次電池4の充電率を80%(一定)に保持するように充電制御部3は充電回路部2に指示する。時点t
13から時点t
14までの期間は、二次電池4の充電率を80%(一定)に保持する制御が行われている期間である。40℃を越えていた二次電池4の電池温度が低下して、40℃以下になった時点t
14で、再び二次電池4の充電率を上げる制御に移行する。そして、二次電池4の充電率が100%になった時点t
15で充電を停止する。時点t
14から時点t
15までの期間は、二次電池4の温度が45℃以下であれば二次電池4の充電率を上げる制御を継続し、二次電池4の温度が45℃を越えたときには二次電池4の充電率を上げる制御を一旦、停止する。
【0045】
補足すると、
図3のフローチャートより明らかであるが、充電率が0~80%の時の二次電池4の温度が常に40℃以下であり、かつ充電率が80~100%の時の二次電池4の温度が常に45℃以下であれば、充電率を80%に保持する動作にはならないので、
図6に示すような背景技術の充電方法と同等の動作となる。
図6では、充電制御装置の動作、充電制御方法の開始時点t
0から充電によって充電率は80%へ向かって上昇する。充電率が上昇し80%へ到達した時点t
51で、二次電池4の電池温度が40℃以下であれば二次電池4の充電率を上げる制御を充電制御部3は充電回路部2に指示する。さらに充電率が80~100%の充電過程において、二次電池の電池温度が45℃以下であれば二次電池の充電率を上げる制御を継続するように、充電制御部3は充電回路部2に指示する。そして二次電池4の充電率が100%になった時点t
53で充電を停止する。
図6の時点t
51から時点t
52までの期間は、二次電池4の温度が45℃以下であり、二次電池4の充電率を上げる制御を継続している状態を示している。
【0046】
(充電制御装置の動作、充電制御方法のうち、充電率を保持する動作)
最後に、充電制御装置の動作、充電制御方法のうち、二次電池4の充電率を80%に保持する動作(
図3のS204)の詳細について、
図7のフローチャートを用いて説明する。
【0047】
充電率を80%に保持する動作が開始されると、充電制御部3は充電回路部2を制御し、充電率を上げる(S601)。充電制御部3は充電率が一例として80.5%以上かどうかを判断し、充電率が80.5%未満のとき(S602のNO)にはS601に戻って、充電率を上げる制御を継続する。充電率が80.5%未満のとき(S602のYES)には、充電制御部3はS603に進んで充電を停止する。その後、充電制御部3は充電率が一例として79.5%以下かどうかを判断し、充電率が79.5%を越えているときには、充電制御部3は充電停止を継続する。充電率が79.5%以下のとき(S604のYES)にはS605に進んで充電を再開する。このように、充電率を80%に保持する動作が開始されると、充電率が80.5%まで上がると、充電制御部3は充電回路部2を制御し、充電率が79.5%に下がるまで、充電を停止する動作に入る。そして充電率が79.5%まで下がったら、充電制御部3は充電回路部2を制御し、充電を再開する動作に入る。以上の動作を繰り返すことにより、二次電池4の充電率はおよそ80%に保持される。
【0048】
この充電率を80%に保持する動作を、充電率と時間の関係のグラフにしたものを
図8に示す。充電制御装置の動作、充電制御方法の開始時点t
0から充電によって充電率は80%へ向かって上昇する。充電率が80.5%へ到達したことを検知して充電を停止し(時点t
61)、充電率が低下して79.5%へ到達したことを検知して充電を再開する(時点t
62)。さらに、充電制御部3は、充電再開によって充電率が上昇し、充電率が80.5%へ到達したことを検知して、充電を停止する(時点t
63)。そして、充電制御部3は、充電率が低下して79.5%へ到達したことを検知して充電を再開する(時点t
64)。このような充電停止と充電再開とを交互に繰り返すことによって、二次電池4の充電率はおよそ80%に保持される。なおこの充電率を80%に保持する動作においては、充電率が80.5%へ到達したことを検知して充電を停止し、充電率が低下して79.5%へ到達したことを検知して充電を再開するものして説明しているが、この充電率の値は一例を示すものであってこの値に限られない。充電を再開する充電率の下限値と、保持する目標の充電率の値との差、および充電を停止する充電率の上限値と、保持する目標の充電率の値との差は、これより小さく設定してもよく、大きく設定してもよい。
【0049】
(実施形態の効果)
本実施形態の充電制御装置や充電制御方法によれば、二次電池4の充電率が第1目標値の一例としての80%まで上昇するように充電回路部2を制御して、二次電池4を充電する。本実施形態の充電制御装置や充電制御方法では、充電率検出部5が二次電池4の充電率を検出しつつ、また温度測定部6が二次電池4の温度を検出しつつ、二次電池4の充電が行われる。そして、二次電池4の充電率が80%に到達したときに、二次電池4の温度が40℃を越えている場合には二次電池4の充電率が上記80%の周辺で保持するように充電回路部2を充電制御部3が制御する。
【0050】
このように二次電池4を充電する過程において、二次電池4の温度が高い場合には、二次電池4の充電率が上記第1目標値の周辺で保持するように、充電回路部2を制御することにより、二次電池4に与えるストレスを軽減させることができる。この二次電池4に与えるストレスが軽減されたことによって、二次電池4の劣化を抑制することができ、特に二次電池4の膨れを抑制しつつ、二次電池4の充電率が満充電へ近づくよう充電することができる。
【0051】
さらに本実施形態の充電制御装置や充電制御方法によれば、二次電池4の充電率が80%に到達したときに、二次電池4の温度が40℃を越えており、かつ第2閾値の一例としての45℃をも超えている場合には充電状態から充電停止状態へと遷移するように、充電回路部2を充電制御部3が制御する。この充電状態から充電停止状態へと遷移させることによって、充電制御部3は、二次電池4の充電率が上記80%の周辺で保持するように制御する。
【0052】
このように二次電池4を充電する過程において、二次電池4の温度が高い場合には、一旦、二次電池4の充電を停止する制御も併用しつつ、二次電池4の充電率が上記第1目標値の周辺で保持するように、充電回路部2を制御する。この制御によって、二次電池4に与えるストレスを軽減させることができる。この二次電池4に与えるストレスが軽減されたことによって、二次電池4の劣化を抑制することができ、特に二次電池4の膨れを抑制しつつ、二次電池4の充電率が満充電へ近づくよう充電することができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の充電制御装置や充電制御方法によれば、二次電池4の温度が高い場合に、充電率を80%に保持する動作となるので、二次電池4に与えるストレスを軽減させることができる。これによって、リチウムイオン二次電池に代表される二次電池の劣化を抑えることができる。
【0054】
なお、本実施形態の充電制御装置や充電制御方法において、二次電池の電池温度および充電率について、具体的な数値を挙げて説明しているが、あくまでも一例であり、本実施形態の充電制御装置や充電制御方法は、この数値に限定されるものではない。
【0055】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態による充電制御装置および充電制御方法について、説明する。
図9は、本発明の第2実施形態による充電制御装置を説明するためのブロック図である。
図10は、本発明の第2実施形態による充電制御方法を説明するためのフローチャートである。
図11は、第2実施形態による充電制御について、継続時間と充電率との関係を示すグラフである。
図12は、第2実施形態による充電制御について、継続時間と充電率との関係を示すグラフである。
図13は、第2実施形態による充電制御について、継続時間と充電率との関係を示すグラフである。
図14は、第2実施形態による充電制御方法のうち、充電率を保持する充電制御方法を説明するためのフローチャートである。
図15は、第2実施形態による充電制御のうち、充電率を保持する充電制御について、継続時間と充電率との関係を示すグラフである。
【0056】
(充電制御装置の構成)
図9の充電制御装置は、上述した第1実施形態と同様に、リチウムイオン蓄電池に代表されるような、二次電池14の充電を制御する充電制御装置である。二次電池14は、例えば電子機器の電源供給源であり、二次電池14からの直流電圧の供給を受けて動作する負荷回路部18と共に、電子機器に内蔵されたり、電子機器に着脱可能に装着されたりすることを想定する。
図9の充電制御装置は、第1実施形態と同様に、給電回路の一例としての充電回路部12を含む。なお、給電回路は、入力される制御信号に応じて二次電池14へ充電のための電流を供給する。さらに
図9の充電制御装置は、充電率検出部15を含む。充電率検出部15は、二次電池14の充電率を検出する充電率検出手段の一例である。さらに
図9の充電制御装置は、温度測定部16を含む。温度測定部16は、二次電池14の温度を検出する温度検出手段の一例である。さらに
図9の充電制御装置は、充電制御部13を含む。充電制御部13は、充電回路部12からの二次電池14の充電を制御する制御手段の一例である。本実施形態の充電制御部13は、充電率検出部15からの二次電池14の充電率および、温度測定部16からの二次電池14の温度などに基づいて、充電回路部12を制御する。
【0057】
ここで充電制御装置の充電制御部13は、二次電池14の充電率が第1目標値まで上昇するように充電回路部12を制御して、二次電池14を充電することを基本的動作とする。なお一例として、二次電池14の充電率が100%(満充電)のときを充電の第2目標値と設定した場合、充電制御部13は、二次電池14の充電率が80%のときを充電の第1目標値として設定する。なおここで、二次電池14の充電率の第1目標値および第2目標値は相対的なものであるので、第1目標値は充電率が80%に限られず、第2目標値は充電率が100%に限られない。例えば本実施形態による充電制御装置や充電制御方法による二次電池の充電制御において、最終的な充電率の目標値を第2目標値として設定し、第2目標値よりは低い目標値を第1目標値として設定すればよい。第2目標値は、充電率が第2目標値へ到達する前の過程で設定される。
【0058】
さらに充電制御装置の充電制御部13は、二次電池14の充電率が上記第1目標値に到達したときに、上記二次電池14の温度が第1閾値を越えている場合には二次電池14の充電率が上記第1目標値の周辺で保持するように上記充電回路部12を制御する。なお一例として、第1閾値は例えば40℃に設定するが、第1閾値は40℃には限られない。なおこの二次電池14の充電率が上記第1目標値の周辺で保持するように、上記充電回路部12を制御する動作は、二次電池14の充電状態または二次電池14の充電停止状態のいずれか一方から他方へ遷移させるような制御である。
【0059】
さらに
図9の充電制御装置は、AC(Alternative Current)電源に接続され、交流電圧を直流電圧に変換し、充電回路部12へ供給するACアダプタ11を含む。ACアダプタ11が充電回路部12に接続されることにより、充電制御部13に制御された充電回路部12を介して、二次電池14の充電が行われる。さらに
図9の充電制御装置は、充電率検出部15を経由して、二次電池14が出力する直流電圧を負荷回路部18に供給する電源回路部17を含む。さらに
図9の充電制御装置は、充電率検出部15と電源回路部17との間に挿入され、放電電流を測定する放電電流測定部19を含む。電源回路部17は、二次電池14からの給電を元にして負荷回路部18の仕様に則した電圧を生成し、負荷回路部18に供給する。また、電源回路部17は、二次電池14が出力する直流電圧を必要に応じて昇圧、降圧、変圧するなどして、負荷回路部18に対して電源電圧などを供給する。
【0060】
二次電池14の充放電は、充電率検出部15を介して行われ、二次電池14の充電率(残容量)を算出している。充電率検出部15は、一般的にクーロンカウンタやガスゲージIC(Integrated Circuit)の名称で知られている。温度測定部16は、二次電池14の温度を測定している。本実施形態では、充電制御部13は、充電率検出部15により通知される二次電池14の充電率の情報、温度測定部16により通知される二次電池14の温度の情報、および放電電流測定部19により通知される放電電流の情報を元に、充電回路部12の制御を行う。
【0061】
ここで、充電回路部12の供給電流から放電電流測定部19で測定される放電電流を引いたものが、二次電池14の充電電流である。放電電流測定部19は、単位時間当たりの放電電流の平均値を算出して、充電制御部13に通知する。本実施形態では、充電制御部13は、以下に示す(1)~(3)の情報を元に充電回路部12の制御を行う。
(1)充電率検出部15により通知される二次電池14の充電率
(2)温度測定部16により通知される二次電池14の温度
(3)放電電流測定部19により通知される放電電流の平均値
(充電制御装置の動作、充電制御方法)
次に、
図10などを参照して、本実施形態による充電制御装置の動作や、本実施形態による充電制御方法を詳細にする。
【0062】
なおここで一例として、第1閾値を40℃、第2閾値を45℃、第3閾値を60℃と設定して説明するが、各閾値の値はこれに限られるものではなく、充電される二次電池の仕様や経時変化の状態などに応じて適宜設定すればよい。なおここで、第3閾値は、二次電池の充電動作を停止することが必要な高温を考慮して設定されるものとする。よって、本実施形態による充電制御装置の動作や、本実施形態による充電制御方法においては、いかなる状態においても、温度測定部16で測定された二次電池14の温度が第3閾値(60℃)を超える場合には、充電制御部13は、充電回路部12を制御して、充電動作を停止することを前提として説明を進める。
【0063】
充電が開始される前の二次電池14の充電率が、80%未満であることを中心に説明するが、80%以上100%未満であってもよい。ACアダプタ11がAC電源と充電回路部12との間に接続されて二次電池14の充電が開始されると、充電制御部13は充電回路部12を制御し、二次電池14の充電率を80%まで上げる、すなわち充電率80%まで二次電池14を充電する動作に入る。充電率検出部15は二次電池14の充電率を検出しており、温度測定部16は二次電池14の温度を検出している。充電制御部13が二次電池14の充電率が80%以下(S901のYES)であると判断したときは、二次電池14の充電状態が継続され、二次電池14の充電率を上げる(S902)。さらに、充電制御部13は、二次電池14の充電率が80%か否かを確認する。充電率が80%でないとき(S903のNO)は、充電制御部13は、S902に戻って二次電池14の充電率を上げる。なおここで、「充電率が80%でないとき」とは、充電率が80%にまだ到達しておらず、充電率が80%未満であるときを指す。
【0064】
一方、二次電池14の充電率が80%であると充電制御部13が判断したとき(S903のYES)には、S904に進み、充電率80%を保持する。さらに電池温度が40℃以下であるか否かを充電制御部13が判断し、電池温度が40℃を越えているとき(S905のNO)はS904に戻り、充電率80%を保持するように、充電制御部13は充電回路部12を制御する。
【0065】
この電池温度が40℃を越えているときに、充電率80%を保持する制御は、後ほど詳細に説明する。
【0066】
S905において、電池温度が40℃以下であるとき(S905のYES)には、S906に進み、二次電池14の充電率を上げるように充電制御部13は充電回路部12を制御する。言い換えると、S905のYESのときは、現在の二次電池14の充電率が80%であるところ、二次電池14の充電率をさらに上昇させる充電制御が行われ、例えば充電率100%へ向けて充電率をさらに上昇させる制御が行われる。
【0067】
二次電池14の充電率が80%を越えるようにさらに上昇させる過程において、電池温度が45℃を超えたとき(S907のNO)には、充電制御部13は、S909に進んで充電を停止する。言い換えると、電池温度が45℃を超えたときには、充電制御部13は、充電回路部12を制御することにより、充電状態から充電停止状態へと遷移させる。充電停止状態へと遷移すると、負荷回路部18が動作していることによる電力消費や、二次電池14の自然放電によって、80%を越えていた二次電池14の充電率は少しずつ低下していく。
【0068】
その後、充電制御部13は二次電池14の充電率が80%かどうかを判断し、充電率が80%でないとき(S910のNO)には、S909に戻って充電停止を継続する。なおここで、「充電率が80%でないとき」とは、まだ二次電池14の充電率が80%を越えた状態にあることを指す。充電制御部13は二次電池14の充電率が80%かどうかを判断し、充電率が80%のとき(S910のYES)には、S904に戻り、充電率80%を保持するように、充電制御部13は充電回路部12を制御する。
【0069】
S907において、電池温度が45℃以下のとき(S907のYES)には、充電状態が維持されるように充電制御部13は充電回路部12を制御する。
【0070】
さらに、充電制御部13は二次電池14の充電率が100%かどうかを判断し、充電率が100%のとき(S908のYES)には目標充電率まで到達したものとして二次電池14の充電を終了する。充電率が100%でないとき、言い換えると充電率が80%を越えつつも100%まで到達していないときにはS906に戻り、充電率を上げるように充電制御部13は充電回路部12を制御する。
【0071】
S901において、充電制御部13が二次電池14の充電率が80%以下でない、言い換えると二次電池14の充電率が80%を越えていると判断したとき(S901のNO)には、S907に進んで、二次電池14の電池温度が45℃以下かどうかを充電制御部13は判断する。上述したように、S907では電池温度が45℃以下のとき(S907のYES)には、充電状態が維持されるように充電制御部13は充電回路部12を制御し、電池温度が45℃を超えたとき(S907のNO)にはS909に進んで充電を停止する。
【0072】
図10のフローチャートが示す充電制御装置の動作、充電制御方法は、次のようにまとめることができる。ACアダプタ11が接続されて充電が開始されると、充電制御部13は充電回路部12を制御し、充電率を80%まで上げる、すなわち充電率80%まで充電する動作に入る。(S901~S903)。充電率が80%まで上がると、充電制御部13は、充電回路部12を制御し、二次電池14の温度が40℃以下になるまで、充電率を80%に保持する動作に入る(S904~S905)。充電率を80%に保持する動作中に、二次電池14の温度が40℃以下まで下がると、充電制御部13は、充電回路部12を制御し、充電率を100%まで上げる、すなわち満充電まで充電する動作に入る(S906~S908)。ここまでの動作を、充電率と時間の関係のグラフにしたものを
図11に示す。
【0073】
図11では、充電制御装置の動作、充電制御方法の開始時点t
0から、充電によって充電率は80%へ向かって上昇する。充電率が上昇し80%へ到達した時点t
31で、二次電池14の電池温度が40℃超であれば、二次電池14の充電率を80%(一定)に保持するように充電制御部13は充電回路部12に指示する。時点t
31から時点t
32までの期間は、二次電池14の充電率を80%(一定)に保持する制御が行われている期間である。40℃を越えていた二次電池14の電池温度が低下して、40℃以下になった時点t
32で、充電制御部13は、再び二次電池14の充電率を上げる制御に移行する。言い換えると、充電制御部13は、二次電池14の充電率100%へ向けて二次電池14の充電率を上げる制御に移行する。そして、二次電池14の充電率が100%になった時点t
33で、充電制御部13は、充電を停止する。時点t
32から時点t
33までの期間では、二次電池14の温度が45℃以下であれば、充電制御部13は、二次電池14の充電率を上げる制御を継続する。二次電池14の温度が45℃を越えたときには、充電制御部13は、二次電池14の充電率を上げる制御を一旦、停止する。
【0074】
ただし、満充電まで充電する過程で、二次電池14の温度が上昇し、45℃を超えた場合、充電制御部13は充電回路部12を制御し、充電率が80%に下がるまで、充電を停止する動作に入る(S909~S910)。二次電池14の充電率が80%まで下がると、充電制御部13は充電回路部12を制御し、二次電池14の温度が40℃以下になるまで、充電率を80%に保持する動作に入る(S904~S905)。ここまでの動作を、充電率と時間の関係のグラフにしたものを
図12に示す。
【0075】
図12では、二次電池14の充電によって充電率が上昇し80%へ到達した時点t
41で、二次電池14の電池温度が40℃超であれば、二次電池14の充電率を80%(一定)に保持するように充電制御部13は充電回路部12に指示する。
図12では、充電率が上昇し80%へ到達した時点t
41からさらに充電を継続して二次電池14の充電率が上昇し、時点t
42で二次電池14の電池温度が45℃超となって充電を停止した場合を示している。二次電池14の充電を停止すると充電率は低下し、二次電池14の充電率を80%(一定)に保持するように充電制御部13は充電回路部12に指示する。時点t
43から時点t
44までの期間は、二次電池14の充電率を80%(一定)に保持する制御が行われている期間である。40℃を越えていた二次電池14の電池温度が低下して、40℃以下になった時点t
44で、再び二次電池14の充電率を上げる制御に移行する。そして、二次電池14の充電率が100%になった時点t
45で充電を停止する。時点t
44から時点t
45までの期間は、二次電池14の温度が45℃以下であれば二次電池14の充電率を上げる制御を継続し、二次電池14の温度が45℃を越えたときには二次電池14の充電率を上げる制御を一旦、停止する。
【0076】
補足すると、
図10のフローチャートより明らかであるが、充電率が0~80%の時の二次電池14の温度が常に40℃以下であり、かつ充電率が80~100%の時の二次電池14の温度が常に45℃以下であれば、充電率を80%に保持する動作にはならないので、
図13に示すような背景技術の充電方法と同等の動作となる。
図13では、充電制御装置の動作、充電制御方法の開始時点t
0から充電によって充電率は80%へ向かって上昇する。充電率が上昇し80%へ到達した時点t
71で、二次電池14の電池温度が40℃以下であれば二次電池14の充電率を上げる制御を充電制御部13は充電回路部12に指示する。さらに充電率が80~100%の充電過程において、二次電池の電池温度が45℃以下であれば二次電池の充電率を上げる制御を継続するように、充電制御部13は充電回路部12に指示する。そして二次電池14の充電率が100%になった時点t
73で充電を停止する。
図13の時点t
71から時点t
72までの期間は、二次電池14の温度が45℃以下であり、二次電池14の充電率を上げる制御を継続している状態を示している。
【0077】
最後に、充電率を80%に保持する動作(
図10のS904)の詳細について、
図14のフローチャートを用いて説明する。
【0078】
充電率を80%に保持する動作が開始されると、充電制御部13は、放電電流の平均値を算出する(S1301)。この算出された放電電流の平均値は、放電電流測定部19からの放電電流の単位時間当たりの平均値である。次に充電制御部13は、充電回路部12の供給電流として上記算出された放電電流の平均値を設定していく(S1302)。単位時間を100msとすれば、100msの区間で測定された放電電流の平均値を、次の100msの区間の供給電流として設定する。本実施形態では、100msの区間において二次電池14から放電された電荷を、次の100msの区間で補充する動作とすることにより、二次電池14の充電率はおよそ80%に保持される。
【0079】
この動作について、グラフにしたものが
図15である。本実施形態では、測定された放電電流の平均値を反映させて充電回路部12が供給する供給電流を設定する。充電電流の符号がプラスの場合には二次電池14は充電されているが、充電電流の符号がマイナスの場合には二次電池14は放電されていることを示す。なお、充電率を80%に保持する動作において、充電電流の基準値は一定の固定値であるものとする。本実施形態による二次電池14の充電率はおよそ80%に保持する動作については、
図15の区間1について放電電流の平均値が150mAであった場合には、区間2での充電において充電回路部12の供給電流を150mAに設定する。
図15に示すように区間2での放電電流の平均値が50mAであったときには、この区間2において二次電池14は平均充電電流100mAで充電されることになる。
図15の区間2について放電電流の平均値が50mAであった場合には、区間3での充電において充電回路部12の供給電流を50mAに設定する。
図15に示すように区間3での放電電流の平均値が100mAであったときには、この区間3において二次電池14は平均充電電流-50mAで充電されることになる。
図15の区間3について放電電流の平均値が100mAであった場合には、次の区間での充電において充電回路部12の供給電流を100mAに設定する。
図15に示すように次の区間での放電電流の平均値が50mAであったときには、この区間において二次電池14は平均充電電流50mAで充電されることになる。
【0080】
このような放電電流測定部19が測定した放電電流を、次の充電区間の供給電流の設定に反映させることによって、
図15の場合には充電率は80%から79.8%の間で維持される。こうして本実施形態の手法によっても、二次電池14の充電率はおよそ80%に保持することができる。
【0081】
(実施形態の効果)
本実施形態の充電制御装置や充電制御方法によれば、二次電池14の充電率が第1目標値の一例としての80%まで上昇するように充電回路部12を制御して、二次電池14を充電する。本実施形態の充電制御装置や充電制御方法では、充電率検出部15が二次電池14の充電率を検出しつつ、また温度測定部16が二次電池14の温度を検出しつつ、二次電池14の充電が行われる。そして、二次電池14の充電率が80%に到達したときに、二次電池14の温度が40℃を越えている場合には二次電池14の充電率が上記80%の周辺で保持するように充電回路部12を充電制御部13が制御する。
【0082】
このように二次電池14を充電する過程において、二次電池14の温度が高い場合には、二次電池14の充電率が上記第1目標値の周辺で保持するように、充電回路部12を制御することにより、二次電池14に与えるストレスを軽減させることができる。この二次電池14に与えるストレスが軽減されたことによって、二次電池14の劣化を抑制することができ、特に二次電池14の膨れを抑制しつつ、二次電池14の充電率が満充電へ近づくよう充電することができる。
【0083】
さらに本実施形態の充電制御装置や充電制御方法によれば、二次電池14の充電率が80%に到達したときに、二次電池14の温度が40℃を越えており、かつ第2閾値の一例としての45℃をも超えている場合には充電状態から充電停止状態へと遷移するように、充電回路部12を充電制御部13が制御する。この充電状態から充電停止状態へと遷移させることによって、二次電池14の充電率が上記80%の周辺で保持するように制御する。
【0084】
このように二次電池14を充電する過程において、二次電池14の温度が高い場合には、一旦、二次電池14の充電を停止する制御も併用しつつ、二次電池14の充電率が上記第1目標値の周辺で保持するように、充電回路部12を制御する。この制御によって、二次電池14に与えるストレスを軽減させることができる。この二次電池14に与えるストレスが軽減されたことによって、二次電池14の劣化を抑制することができ、特に二次電池14の膨れを抑制しつつ、二次電池14の充電率が満充電へ近づくよう充電することができる。
【0085】
また本実施形態の充電制御装置や充電制御方法によれば、放電電流測定部19が放電電流を測定しており、測定された放電電流の平均値を反映させて充電回路部12が供給する供給電流を設定している。これにより、充電状態と充電停止状態とを切り替えるのではなく、充電電流を増減するなどしながら充電状態を継続しつつ二次電池14の充電率を上記80%の周辺で保持することができる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態の充電制御装置や充電制御方法によれば、二次電池14の温度が高い場合に、充電率を80%に保持する動作となるので、二次電池14に与えるストレスを軽減させることができる。これによって、リチウムイオン二次電池に代表される二次電池の劣化を抑えることができる。
【0087】
なお、本実施形態の充電制御装置や充電制御方法において、二次電池の電池温度および充電率について、具体的な数値を挙げて説明しているが、あくまでも一例であり、本実施形態の充電制御装置や充電制御方法は、この数値に限定されるものではない。
【0088】
〔その他の実施形態〕
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態の充電制御装置は、上述した動作を実現するプログラムを実行できる情報処理装置によっても実現され得る。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体の形態で、流通され得る。このような記録媒体に記録されたプログラムを読み込んで、情報処理装置で実行することにより、上述した実施形態の充電制御装置をソフトウェア的に実現することもできる。
【0089】
図16は、本発明の上位概念の実施形態による充電制御プログラムを実行する、情報処理装置の一例を示すブロック図である。
図16の情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)101と、RAM(Random Access Memory)などで構成されるメモリ102と、を含む。このようなハードウェア構成の情報処理装置によって、例えば
図1の制御手段54、充電率検出手段52、温度検出手段53および給電回路55の一部または全部は実現され得る。そして、
図16の情報処理装置で、二次電池の充電率が第1目標値まで上昇するように給電回路を制御して、二次電池を充電する処理を実行させる。また
図16の情報処理装置で、二次電池の充電率が第1目標値に到達したときに、二次電池の温度が第1閾値を越えている場合には二次電池の充電状態または充電停止状態のいずれかへ制御することにより二次電池の充電率を第1目標値の周辺で保持するように前記給電回路を制御する処理を実行させる。また情報処理装置に上記各要素の機能を実現させる情報共有プログラムを読み込んで実行させることによっても、本発明の実施形態の充電制御装置は実現できる。
【0090】
また、この充電制御プログラムは、プログラムを記録した記録媒体の形態で、流通され得る。このプログラムは、CF(Compact Flash(登録商標))およびSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記録デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記録媒体、またはCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの光学記録媒体などの形態で、流通され得る。
【0091】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。二次電池の充電率が第1目標値に到達したときに、二次電池の充電率が第1目標値の周辺で保持するように給電回路を制御することについて、第1実施形態では充電状態と充電停止状態との間の切り替えによって実現されるように説明した。二次電池の充電率が第1目標値に到達したときに、二次電池の充電率が第1目標値の周辺で保持するように給電回路を制御することについて、第2実施形態では充電回路部12が供給する供給電流を一定の充電電流を中心に増減させることによって実現されるように説明した。これらはいずれも、二次電池の温度が第1閾値を越えている場合に給電回路が供給する電流を増減することの一手段である。
図2の充電制御部3は充電回路部2を制御することによって二次電池4の充電状態を変更することができ、
図9の充電制御部13は充電回路部12を制御することによって二次電池14の充電状態を変更することができる。上述した充電制御では、二次電池の充電率について第1目標値および第2目標値の計2つを設定して第2目標値まで上昇するように充電制御することを説明した。しかし、本発明はこれに限られず3つ以上の目標値を設定して充電制御することも考えられる。例えば、二次電池の充電率について第1目標値、第2目標値および第3目標値の計3つを設定して、第3目標値まで二次電池の充電率が上昇するように充電制御することも考えられる。言い換えると最終的な二次電池の充電率の目標値に到達する前に、段階的に複数の目標値を設定する。そして、各目標値に対して上述した実施形態のような二次電池の充電率が目標値に到達したときに、二次電池の温度が閾値を越えているかどうかという判断をそれぞれ実施する。さらに、この判断結果に応じて、二次電池の充電率が目標値に到達したときに、充電回路部が充電のために供給する供給電流を増減するといった制御に反映させる。これによって、二次電池の充電率が目標値に到達したときの二次電池の温度の情報によって、二次電池の充電率を各目標値の周辺で保持するように制御することも考えられる。特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲に含まれることはいうまでもない。
【0092】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)二次電池の充電を制御する充電制御装置であって、
入力される制御信号に応じて前記二次電池へ充電のための電流を供給する給電回路と、前記二次電池の充電率を検出する充電率検出手段と、前記二次電池の温度を検出する温度検出手段と、前記充電率検出手段からの前記二次電池の充電率および、前記温度検出手段からの前記二次電池の温度に基づいて、前記給電回路からの前記二次電池の充電を制御する制御手段と、を含み、
前記制御手段は、前記二次電池の充電率が第1目標値まで上昇するように前記給電回路を制御して、前記二次電池を充電し、
前記二次電池の充電率が前記第1目標値に到達したときに、前記二次電池の温度が第1閾値を越えている場合には前記給電回路が供給する電流を増減することにより前記二次電池の充電率を前記第1目標値の周辺で保持するように前記給電回路を制御する、
充電制御装置。
(付記2)前記制御手段は、前記給電回路が供給する電流を増減することにより前記二次電池の充電率を前記第1目標値の周辺で保持する期間において、前記二次電池の温度が前記第1閾値以下になったときには、前記二次電池の充電率が前記第1目標値より高い第2目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する、
付記1に記載の充電制御装置。
(付記3)前記制御手段は、前記二次電池の充電率が前記第1目標値を越えて前記第2目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する過程において、前記二次電池の温度が前記第1閾値より高い第2閾値以下であるときには、前記二次電池の充電を継続するように前記給電回路を制御する、
付記2に記載の充電制御装置。
(付記4)前記制御手段は、前記二次電池の充電率が前記第1目標値を越えて前記第2目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する過程において、前記二次電池の温度が前記第1閾値より高い第2閾値以上であるときには、前記二次電池の充電を充電状態から充電停止状態へと移行させる、
付記2に記載の充電制御装置。
(付記5)前記制御手段は、前記二次電池の充電率が前記第1目標値を越えて前記第2目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する過程において、前記二次電池の充電を充電状態から充電停止状態へと移行させた後に、前記二次電池の温度が再び前記第1閾値以下になったときには前記二次電池の充電を充電停止状態から充電状態へと移行させる、
付記4に記載の充電制御装置。
(付記6)前記制御手段は、前記二次電池の充電率が前記第2目標値まで到達したときには、前記二次電池の充電を充電状態から充電停止状態へと移行させる、
付記2乃至付記5のいずれか一つに記載の充電制御装置。
(付記7)前記二次電池の充電率が前記第1目標値より高い第2目標値まで到達したときに、前記二次電池の温度が前記第1閾値より高い第3閾値を越えている場合には、
前記制御手段は、前記給電回路が供給する電流を増減することにより前記二次電池の充電率を前記第2目標値の周辺で保持するように前記給電回路を制御する、
付記1に記載の充電制御装置。
(付記8)前記制御手段は、前記給電回路が供給する電流を増減することにより前記二次電池の充電率を前記第2目標値の周辺で保持する期間において、前記二次電池の温度が前記第3閾値以下になったときには、前記二次電池の充電率が前記第2目標値より高い第3目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する、
付記7に記載の充電制御装置。
(付記9)前記制御手段は、前記二次電池の充電率が前記第2目標値を越えて前記第3目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する過程において、前記二次電池の温度が前記第3閾値より高い第4閾値以下であるときには、前記二次電池の充電を継続するように前記給電回路を制御する、
付記8に記載の充電制御装置。
(付記10)前記制御手段は、前記二次電池の充電率が前記第2目標値を越えて前記第3目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する過程において、前記二次電池の温度が前記第3閾値より高い第4閾値以上であるときには、前記二次電池の充電を充電状態から充電停止状態へと移行させる、
付記8に記載の充電制御装置。
(付記11)前記制御手段は、前記二次電池の充電率が前記第3目標値まで到達したときには、前記二次電池の充電を充電状態から充電停止状態へと移行させる、
付記8乃至付記10のいずれか一つに記載の充電制御装置。
(付記12)二次電池へ充電のための電流を供給する給電回路を制御して、前記二次電池の充電を制御する充電制御方法であって、
前記二次電池の充電率が第1目標値まで上昇するように前記給電回路を制御して、前記二次電池を充電し、
前記二次電池の充電率が前記第1目標値に到達したときに、前記二次電池の温度が第1閾値を越えている場合には前記給電回路が供給する前記電流を増減することにより前記二次電池の充電率を前記第1目標値の周辺で保持するように前記給電回路を制御する、
充電制御方法。
(付記13)前記給電回路が供給する前記電流を増減することにより前記二次電池の充電率を前記第1目標値の周辺で保持する期間において、前記二次電池の温度が前記第1閾値以下になったときには、前記二次電池の充電率が前記第1目標値より高い第2目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する、
付記12に記載の充電制御方法。
(付記14)前記二次電池の充電率が前記第1目標値を越えて前記第2目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する過程において、前記二次電池の温度が前記第1閾値より高い前記第2閾値以下であるときには、前記二次電池の充電を継続するように前記給電回路を制御する、
付記13に記載の充電制御方法。
(付記15)前記二次電池の充電率が前記第1目標値を越えて前記第2目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する過程において、前記二次電池の温度が前記第1閾値より高い前記第2閾値以上であるときには、前記二次電池の充電を充電状態から充電停止状態へと移行させる、
付記13に記載の充電制御方法。
(付記16)前記二次電池の充電率が前記第1目標値を越えて前記第2目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する過程において、前記二次電池の充電を充電状態から充電停止状態へと移行させた後に、前記二次電池の温度が再び前記第1閾値以下になったときには前記二次電池の充電を充電停止状態から充電状態へと移行させる、
付記15に記載の充電制御方法。
(付記17)前記二次電池の充電率が前記第2目標値まで到達したときには、前記二次電池の充電を充電状態から充電停止状態へと移行させる、
付記13乃至付記16のいずれか一つに記載の充電制御方法。
(付記18)前記二次電池の充電率が前記第1目標値より高い第2目標値まで到達したときに、前記二次電池の温度が前記第1閾値より高い第3閾値を越えている場合には、
前記給電回路が供給する前記電流を増減することにより前記二次電池の充電率を前記第2目標値の周辺で保持するように前記給電回路を制御する、
付記12に記載の充電制御方法。
(付記19)前記給電回路が供給する前記電流を増減することにより前記二次電池の充電率を前記第2目標値の周辺で保持する期間において、前記二次電池の温度が前記第3閾値以下になったときには、前記二次電池の充電率が前記第2目標値より高い第3目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する、
付記18に記載の充電制御方法。
(付記20)前記二次電池の充電率が前記第2目標値を越えて前記第3目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する過程において、前記二次電池の温度が前記第3閾値より高い第4閾値以下であるときには、前記二次電池の充電を継続するように前記給電回路を制御する、
付記19に記載の充電制御方法。
(付記21)前記二次電池の充電率が前記第2目標値を越えて前記第3目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する過程において、前記二次電池の温度が前記第3閾値より高い第4閾値以上であるときには、前記二次電池の充電を充電状態から充電停止状態へと移行させる、
付記19に記載の充電制御方法。
(付記22)前記二次電池の充電率が前記第3目標値まで到達したときには、前記二次電池の充電を充電状態から充電停止状態へと移行させる、
付記19乃至付記21のいずれか一つに記載の充電制御方法。
(付記23)二次電池へ充電のための電流を供給する給電回路を制御して、前記二次電池の充電を制御する充電制御プログラムであって、
コンピュータに、
前記二次電池の充電率が第1目標値まで上昇するように前記給電回路を制御して、前記二次電池を充電する処理と、
前記二次電池の充電率が前記第1目標値に到達したときに、前記二次電池の温度が第1閾値を越えている場合には前記給電回路が供給する前記電流を増減することにより前記二次電池の充電率を前記第1目標値の周辺で保持するように前記給電回路を制御する処理と、
を実行させる充電制御プログラム。
(付記24)前記給電回路が供給する前記電流を増減することにより前記二次電池の充電率を前記第1目標値の周辺で保持する期間において、前記二次電池の温度が前記第1閾値以下になったときには、前記二次電池の充電率が前記第1目標値より高い第2目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する、
付記23に記載の充電制御プログラム。
(付記25)前記二次電池の充電率が前記第1目標値を越えて前記第2目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する過程において、前記二次電池の温度が前記第1閾値より高い前記第2閾値以下であるときには、前記二次電池の充電を継続するように前記給電回路を制御する処理を実行させる、
付記24に記載の充電制御プログラム。
(付記26)前記二次電池の充電率が前記第1目標値を越えて前記第2目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する過程において、前記二次電池の温度が前記第1閾値より高い第2閾値以上であるときには、前記二次電池の充電を充電状態から充電停止状態へと移行させる、
付記24に記載の充電制御プログラム。
(付記27)前記二次電池の充電率が前記第1目標値を越えて前記第2目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する過程において、前記二次電池の充電を充電状態から充電停止状態へと移行させた後に、前記二次電池の温度が再び前記第1閾値以下になったときには前記二次電池の充電を充電停止状態から充電状態へと移行させる処理を実行させる、
付記26に記載の充電制御プログラム。
(付記28)前記二次電池の充電率が前記第2目標値まで到達したときには、前記二次電池の充電を充電状態から充電停止状態へと移行させる処理を実行させる、
付記24乃至付記27のいずれか一つに記載の充電制御プログラム。
(付記29)前記二次電池の充電率が前記第1目標値より高い第2目標値まで到達したときに、前記二次電池の温度が前記第1閾値より高い第3閾値を越えている場合には、
前記給電回路が供給する前記電流を増減することにより前記二次電池の充電率を前記第2目標値の周辺で保持するように前記給電回路を制御する、
付記23に記載の充電制御プログラム。
(付記30)前記給電回路が供給する前記電流を増減することにより前記二次電池の充電率を前記第2目標値の周辺で保持する期間において、前記二次電池の温度が前記第3閾値以下になったときには、前記二次電池の充電率が前記第2目標値より高い第3目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する、
付記29に記載の充電制御プログラム。
(付記31)前記二次電池の充電率が前記第2目標値を越えて前記第3目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する過程において、前記二次電池の温度が前記第3閾値より高い第4閾値以下であるときには、前記二次電池の充電を継続するように前記給電回路を制御する、
付記30に記載の充電制御プログラム。
(付記32)前記二次電池の充電率が前記第2目標値を越えて前記第3目標値まで上昇するように前記給電回路を制御する過程において、前記二次電池の温度が前記第3閾値より高い第4閾値以上であるときには、前記二次電池の充電を充電状態から充電停止状態へと移行させる、
付記30に記載の充電制御プログラム。
(付記33)前記二次電池の充電率が前記第3目標値まで到達したときには、前記二次電池の充電を充電状態から充電停止状態へと移行させる、
付記30乃至付記32のいずれか一つに記載の充電制御プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の活用例として、二次電池を電源とする通信機器や、携帯機器が考えられる。また二次電池を電源とする機器全般が考えられる。
【符号の説明】
【0094】
1、11 ACアダプタ
2、12 充電回路部
3、13 充電制御部
4、14、51 二次電池
5、15 充電率検出部
6、16 温度測定部
7、17 電源回路部
8、18 負荷回路部
19 放電電流測定部
52 充電率検出手段
53 温度検出手段
54 制御手段
55 給電回路
101 CPU
102 メモリ