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  • 特開-建材輸送用治具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134198
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】建材輸送用治具
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/16 20060101AFI20230920BHJP
   E04B 1/348 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
E04G21/16
E04B1/348 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039580
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白木 佑弥
(72)【発明者】
【氏名】和佐田 翔大
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174BA01
2E174DA14
2E174DA17
2E174DA21
2E174DA22
2E174DA32
(57)【要約】
【課題】建物ユニットの輸送時において、建物ユニット内の建材を安定した状態で支持しつつ、廃棄物の増加を抑制することができる建材輸送用治具を得る。
【解決手段】建材輸送用治具10が、支持部22と、立上り部24とを備えている。そして、支持部22を建物ユニット12の床材16に対して固定することができる。一方、立上り部24は、床材16上に載置された建材18を支持することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼材で構成され、
建物ユニットの床材に対して固定可能とされた支持部と、
前記支持部から前記建物ユニットの高さ方向上側に延出され、前記床材上に載置された建材を支持可能な立上り部と、
を有する建材輸送用治具。
【請求項2】
前記支持部は、前記床材に沿って第1方向に延在すると共に当該床材と当接する第1当接壁部と、当該第1当接壁部における当該第1方向に延びる周縁部から前記高さ方向上側に延出された第1側壁部と、を含んで構成され、
前記立上り部は、前記第1当接壁部における前記第1方向一方側の周縁部から前記高さ方向上側に延出されると共に前記建材又は当該建材の周囲に配置されて当該建材を押さえる押さえ部材と当接する第2当接壁部と、当該第2当接壁部における当該高さ方向に延びる周縁部から当該建材と反対側に延出された第2側壁部と、を含んで構成されている、
請求項1に記載の建材輸送用治具。
【請求項3】
前記第1当接壁部に複数の貫通部が形成されている、
請求項2に記載の建材輸送用治具。
【請求項4】
前記貫通部は、前記高さ方向から見て前記第1方向と直交する第2に方向において複数箇所に配置されている、
請求項3に記載の建材輸送用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材輸送用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、固定治具に関する発明が開示されている。この固定治具は、建物ユニットの輸送時において、建物ユニットをトラックの荷台に固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-69980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建物ユニットの内側は空間になっており、建物ユニットの輸送時において、この空間を用いて建物ユニット内に建物の建築に用いられる建材を載せることができるが、それには建物ユニットの輸送時において、建材の移動を抑制するものが必要となる。
【0005】
この点、端材等を用いて建材の移動を抑制することも考えられるが、建物ユニットを輸送する度に端材を用いることは、廃棄物の増加を招くこととなる。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、建物ユニットの輸送時において、建物ユニット内の建材を安定した状態で支持しつつ、廃棄物の増加を抑制することができる建材輸送用治具を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る建材輸送用治具は、鋼材で構成され、建物ユニットの床材に対して固定可能とされた支持部と、前記支持部から前記建物ユニットの高さ方向上側に延出され、前記床材上に載置された建材を支持可能な立上り部と、を有している。
【0008】
第1の態様に係る建材輸送用治具では、支持部と、立上り部とを備えている。そして、支持部を建物ユニットの床材に対して固定することができる。一方、立上り部は、建物ユニットの床材上に載置された建材を支持することができる。
【0009】
このため、建物ユニットの輸送時において、床材上の建材の移動が立上り部によって制限されると共に、当該立上り部が当該建材から受ける荷重が支持部を介して当該床材で支持される。
【0010】
また、本態様に係る建材輸送用治具は、鋼材で構成されており、建材輸送用治具と床材との固定状態の解除時等において、建材輸送用治具が破損することを抑制することができ、その結果、建材輸送用治具を複数回使用することができる。
【0011】
第2の態様に係る建材輸送用治具は、第1の態様に係る建材輸送用治具において、前記支持部は、前記床材に沿って第1方向に延在すると共に当該床材と当接する第1当接壁部と、当該第1当接壁部における当該第1方向に延びる周縁部から前記高さ方向上側に延出された第1側壁部と、を含んで構成され、前記立上り部は、前記第1当接壁部における前記第1方向一方側の周縁部から前記高さ方向上側に延出されると共に前記建材又は当該建材の周囲に配置されて当該建材を押さえる押さえ部材と当接する第2当接壁部と、当該第2当接壁部における当該高さ方向に延びる周縁部から当該建材と反対側に延出された第2側壁部と、を含んで構成されている。
【0012】
第2の態様に係る建材輸送用治具では、支持部が、第1当接壁部と、第1側壁部とを含んで構成されている。そして、第1当接壁部は、建物ユニットの輸送時において、建物ユニットの床材に沿って第1方向に延在すると共に当該床材と当接している。
【0013】
一方、第1側壁部は、第1当接壁部における第1方向に延びる周縁部から建物ユニットの高さ方向上側に延出されている。このため、立上り部側から支持部に作用する荷重に対する支持部の剛性を確保することができる。
【0014】
また、本態様に係る建材輸送用治具において、立上り部は、第2当接壁部と、第2側壁部とを含んで構成されている。そして、第2当接壁部は、第1当接壁部における第1方向一方側の周縁部から建物ユニットの高さ方向上側に延出されると共に、建物ユニットの輸送時において、床材上の建材又は当該建材の周囲に配置されて当該建材を押さえる押さえ部材と当接している。
【0015】
一方、第2側壁部は、第2当接壁部における建物ユニットの高さ方向に延びる周縁部から建材と反対側に延出されている。このため、建物ユニットの輸送時において、建材側から立上り部に作用する荷重に対する立上り部の剛性を確保することができる。
【0016】
また、支持部が建物ユニットの床材に固定されている状態において、作業者が立上り部の第2側壁部を建物ユニットの高さ方向を除く第1方向と直交する方向から押圧することで、建材輸送用治具には、第1方向周りのモーメントが発生し、建材輸送用治具と床材との固定状態が解除される。
【0017】
第3の態様に係る建材輸送用治具は、第2の態様に係る建材輸送用治具において、前記第1当接壁部に複数の貫通部が形成されている。
【0018】
第3の態様に係る建材輸送用治具では、第1当接壁部に複数の貫通部が形成されており、当該貫通部から釘等の固定部材を建物ユニットの床材に打ち込むことができる。
【0019】
第4の態様に係る建材輸送用治具は、第3の態様に係る建材輸送用治具において、前記貫通部は、前記高さ方向から見て前記第1方向と直交する第2に方向において複数箇所に配置されている。
【0020】
第4の態様に係る建材輸送用治具では、第1当接壁部に形成された複数の貫通部が、建物ユニットの高さ方向から見て第1方向と直交する第2方向において複数箇所に配置されている。このため、建材側から作用する荷重の方向が第1方向に対してずれていても、当該荷重を第1当接壁部における複数の箇所で支持できる確度を高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、第1の態様に係る建材輸送用治具では、建物ユニットの輸送時において、建物ユニット内の建材を安定した状態で支持しつつ、廃棄物の増加を抑制することができるという優れた効果を有する。
【0022】
第2の態様に係る建材輸送用治具では、建物ユニットの輸送時において、建材から受ける力で変形することを抑制することができると共に、建物ユニットの床材から容易に外すことができるという優れた効果を有する。
【0023】
第3の態様に係る建材輸送用治具では、釘等の固定部材を用いて建物ユニットの床材に容易に固定することができるという優れた効果を有する。
【0024】
第4の態様に係る建材輸送用治具では、建物ユニットの輸送時において、建物ユニット内の建材をより安定した状態で支持することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係る建材輸送用治具の構成を示す正面図である。
図2】本実施形態に係る建材輸送用治具の構成を示す平面図である。
図3】本実施形態に係る建材輸送用治具の使用時の状態を模式的に示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図1図3を用いて、本発明に係る建材輸送用治具の実施形態の一例について説明する。図3に示されるように、本実施形態に係る「建材輸送用治具10(以下、治具10と称する」は、「建物ユニット12」の輸送時において、建物ユニット12の床部14を構成する「床材16」上に載置された「建材18」の支持に用いられている。
【0027】
なお、建材18としては、例えば、内壁材や外壁材として用いられる石膏ボードや断熱材として用いられるグラスウール等が挙げられる。また、建材18の周囲は、建材18を押さえる板状の「押さえ部材20」で囲まれている。なお、建材18が段ボール箱等に収まっている場合等には、押さえ部材20を建材18の周囲に配置しなくてもよい。
【0028】
そして、本実施形態では、押さえ部材20が複数の治具10によって床材16に対して支持されている。
【0029】
詳しくは、治具10は、図1及び図2に示されるように、山形鋼で構成されると共に、床材16の床面に沿って延在する「支持部22」と、支持部22から建物ユニット12の高さ方向上側に延出された「立上り部24」とを備えている。
【0030】
なお、以下では、支持部22の延在方向を第1方向と称し、建物ユニット12の高さ方向から見て第1方向と直交する方向を第2方向と称することとする。また、立上り部24の延在方向すなわち建物ユニット12の高さ方向を第3方向と称することとする。そして、各図において、第1方向が矢印Xで示されており、第2方向が矢印Yで示されており、第3方向が矢印Zで示されている。
【0031】
支持部22は、「第1当接壁部22A」と、「第1側壁部22B」とを含んで構成されている。第1当接壁部22Aは、第3方向から見て矩形の板状とされており、その下面が床材16の上面と当接している。
【0032】
また、第1当接壁部22Aには、複数、一例として3つの「貫通部26」が第1方向に所定の間隔をあけて形成されている。また、3つの貫通部26の第2方向の位置は、最も第1方向一方側に位置しているものと、最も第1方向他方側に位置しているものとが同じ位置に設定されており、第1方向中央に位置しているものの位置が残りの2つに対して第2方向にずれている。
【0033】
そして、第1当接壁部22Aは、貫通部26を介して床材16に打ち込まれた釘等の固定部材28で床材16に固定されている。
【0034】
一方、第1側壁部22Bは、第1当接壁部22Aにおける第2方向一方側の周縁部、すなわち第1当接壁部22Aにおける第1方向に延びる一方の周縁部から第3方向一方側(建物ユニット12の高さ方向上側)に延出されると共に、第2方向から見て矩形の板状とされている。
【0035】
立上り部24は、「第2当接壁部24A」と、「第2側壁部24B」とを含んで構成されている。第2当接壁部24Aは、第1当接壁部22Aの第1方向一方側の周縁部から第3方向一方側に延出されると共に、第1方向から見て矩形の板状とされている。そして、第2当接壁部24Aの第1方向一方側の面は、建材18又は押さえ部材20と当接している。
【0036】
一方、第2側壁部22Bは、第2当接壁部24Aにおける第2方向一方側の周縁部、すなわち第2当接壁部24Aにおける第3方向に延びる一方の周縁部から第1方向他方側、すなわち建材18と反対側に延出されると共に、第2方向から見て矩形の板状とされている。
【0037】
そして、上記のように構成された治具10は、第2方向から見た全体形状がL字状とされている。なお、治具10は、山形鋼の一方の片の一部を切り欠くと共に、この部分の近傍を中心に他方の片を山形鋼の長手方向に曲げることで構成されている。また、山形鋼が曲げられた状態において、一方の片の切り欠かれた箇所は、溶接等による図示しない接合部で接合されている。
【0038】
<本実施形態の作用及び効果>
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0039】
本実施形態では、図1及び図3に示されるように、治具10が、支持部22と、立上り部24とを備えている。そして、支持部22を建物ユニット12の床材16に対して固定することができる。一方、立上り部24は、床材16上に載置された建材18を支持することができる。
【0040】
このため、建物ユニット12の輸送時において、床材16上の建材18の移動が立上り部24によって制限されると共に、立上り部24が建材18から受ける荷重が支持部22を介して床材16で支持される。
【0041】
また、治具10は、鋼材で構成されており、治具10と床材16との固定状態の解除時等において、治具10が破損することを抑制することができ、その結果、治具10を複数回使用することができる。
【0042】
したがって、本実施形態では、建物ユニット12の輸送時において、建物ユニット12内の建材18を安定した状態で支持しつつ、廃棄物の増加を抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態では、支持部22が、第1当接壁部22Aと、第1側壁部22Bとを含んで構成されている。そして、第1当接壁部22Aは、建物ユニット12の輸送時において、床材16に沿って第1方向に延在すると共に床材16と当接している。
【0044】
一方、第1側壁部22Bは、第1当接壁部22Aにおける第1方向に延びる周縁部から第3方向一方側に延出されている。このため、立上り部24側から支持部22に作用する荷重に対する支持部22の剛性を確保することができる。
【0045】
また、本実施形態において、立上り部24は、第2当接壁部24Aと、第2側壁部24Bとを含んで構成されている。そして、第2当接壁部24Aは、第1当接壁部22Aにおける第1方向一方側の周縁部から第3方向一方側に延出されると共に、建物ユニット12の輸送時において、床材16上の建材18又は建材18を押さえる押さえ部材20と当接している。
【0046】
一方、第2側壁部24Bは、第2当接壁部24Aにおける第3方向に延びる周縁部から建材18と反対側に延出されている。このため、建物ユニット12の輸送時において、建材18側から立上り部24に作用する荷重に対する立上り部24の剛性を確保することができる。
【0047】
また、支持部22が床材16に固定されている状態において、作業者が、作業者の足等で、立上り部24の第2側壁部24Bを第2方向から押圧することで、治具10には、第1方向周りのモーメントが発生しする。これにより、固定部材28が床材16から抜けて、治具10と床材16との固定状態が解除される。このため、本実施形態では、建物ユニット12の輸送時において、治具10が建材18から受ける力で変形することを抑制することができると共に、治具10を床材16から容易に外すことができる。
【0048】
また、本実施形態では、図2に示されるように、第1当接壁部22Aに複数の貫通部26が形成されており、貫通部26から釘等の固定部材28を床材16に打ち込むことができる。このため、本実施形態では、治具10を、固定部材28を用いて床材16に容易に固定することができる。なお、建物の建築時において、床材16に残った固定部材28の跡は、フローリング材で覆い隠されるようになっている。
【0049】
加えて、本実施形態では、第1当接壁部22Aに形成された複数の貫通部26が、第2方向において複数箇所に配置されている。このため、建材18側から作用する荷重の方向が第1方向に対してずれていても、当該荷重を第1当接壁部22Aにおける複数の箇所で支持できる確度を高めることができる。したがって、本実施形態では、建物ユニット12の輸送時において、建物ユニット12内の建材18をより安定した状態で支持することができる。
【0050】
<上記実施形態の補足説明>
(1) 上述した実施形態では、治具10が山形鋼で構成されていたが、建材18の種類等に応じて、治具10を溝形鋼で構成してもよいし、治具10を平型鋼で構成してもよい。
【0051】
(2) また、上述した実施形態では、複数の貫通部26の位置が第2方向において複数箇所に設定されていたが、これらの貫通部26は、第1方向に連なって配置されていてもよい。
【0052】
(3) 加えて、上述した実施形態では、治具10が固定部材28で床材16に固定されていたが、第1当接壁部22Aの底面に錐状の固定部を設けて、当該固定部を床材16に打ち込むことで治具10を床材16に固定してもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 建材輸送用治具
12 建物ユニット
16 床材
18 建材
22 支持部
22A 第1当接壁部
22B 第1側壁部
24 立上り部
24A 第2当接壁部
24B 第2側壁部
26 貫通部
図1
図2
図3