(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013420
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】振動モータ
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
B06B1/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117584
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 然自
(72)【発明者】
【氏名】南沢 武士
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 虹兵
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲輝▼安
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA20
5D107BB08
5D107CC09
5D107DD03
5D107DD12
(57)【要約】
【課題】筐体に対する基板の引出方向の自由度が向上した振動モータを実現する。
【解決手段】振動モータ1Aは、天面部11,底面部12,前面部13および背面部14を備える筐体10と、筐体10内で振動する振動体50と、筐体10内で振動体50を振動可能に支持する弾性部材61と、振動体50を振動させるための磁束を発生するコイルに電力を供給する電気配線が形成された基板30と、筐体10に設けられ、振動体50の振動を所定の範囲内に制限する規制部21a,22aと、を有する。規制部21a,22aは、前面部13と背面部14との対向方向における筐体10の中央よりも前面部13に近接した位置に配置される。弾性部材61の最細部65aは、対向する規制部21aと規制部22aとの間に配置される。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する天面部および底面部と、対向する前面部および背面部と、対向する右側面部および左側面部と、を備える筐体と、
前記筐体の内部で前記右側面部と前記左側面部との対向方向に振動する振動体と、
前記筐体の内部で前記振動体を振動可能に支持する弾性部材と、
前記振動体を振動させるための磁束を発生するコイルに電力を供給する電気配線が形成された基板と、
前記筐体に設けられ、前記振動体の振動を所定の範囲内に制限する複数の規制部と、を有し、
複数の前記規制部には、前記底面部に設けられ、前記天面部に向かって突出する下側規制部が含まれ、
前記弾性部材は、長手方向一端側に設けられ、前記筐体に固定される第1固定部と、長手方向他端側に設けられ、前記振動体に固定される第2固定部と、前記第1固定部と前記第2固定部とを繋ぐ中間部と、を備え、
前記下側規制部は、前記前面部と前記背面部との対向方向における前記底面部の中央よりも前記前面部または前記背面部に近接した位置に配置され、
前記弾性部材の前記中間部は、長手方向両外側から内側に向かって次第に細くなり、
前記中間部の最細部は、前記下側規制部と前記天面部との間に配置されている、振動モータ。
【請求項2】
複数の前記規制部には、前記天面部に設けられ、前記底面部に向かって突出する上側規制部が含まれ、
前記下側規制部と前記上側規制部とは互いに対向しており、
前記中間部の前記最細部は、前記下側規制部と前記上側規制部との間に配置されている、請求項1に記載の振動モータ。
【請求項3】
前記下側規制部は、前記前面部と前記背面部との対向方向における前記底面部の中央よりも前記前面部に近接した位置に配置され、
前記基板の一部は、前記下側規制部と前記背面部との間を通って前記筐体の外部に延びている、請求項1又は2に記載の振動モータ。
【請求項4】
前記振動体の両側に配置された一対の前記弾性部材を有し、
それぞれの前記弾性部材の前記第1固定部は、前記筐体の前記前面部に固定され、
それぞれの前記弾性部材の前記第2固定部は、前記筐体の前記背面部と対向する前記振動体の一面に固定されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の振動モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動モータに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、スマートフォンやタブレット端末などの各種電子機器に振動モータが内蔵されている。電子機器に内蔵される振動モータの一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されている振動モータは、振動体が直線的に振動するリニア型振動モータである。特許文献1に記載されている振動モータの振動体は、筐体に収容されている。筐体には、振動体の他にコイルや基板などが収容されている。基板には、コイルに電力を供給するための電気配線が設けられている。基板の一部は筐体の内部に配置され、基板の他の一部は筐体の外部に引き出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
振動モータのレイアウトの自由度を高めるためには、筐体に対する基板の引出方向の自由度を高めることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態の振動モータは、対向する天面部および底面部と、対向する前面部および背面部と、対向する右側面部および左側面部と、を備える筐体と、前記筐体の内部で前記右側面部と前記左側面部との対向方向に振動する振動体と、前記筐体の内部で前記振動体を振動可能に支持する弾性部材と、前記振動体を振動させるための磁束を発生するコイルに電力を供給する電気配線が形成された基板と、前記筐体に設けられ、前記振動体の振動を所定の範囲内に制限する複数の規制部と、を有する。複数の前記規制部には、前記底面部に設けられ、前記天面部に向かって突出する下側規制部が含まれる。前記弾性部材は、長手方向一端側に設けられ、前記筐体に固定される第1固定部と、長手方向他端側に設けられ、前記振動体に固定される第2固定部と、前記第1固定部と前記第2固定部とを繋ぐ中間部と、を備える。前記下側規制部は、前記前面部と前記背面部との対向方向における前記底面部の中央よりも前記前面部または前記背面部に近接した位置に配置される。前記弾性部材の前記中間部は、長手方向両外側から内側に向かって次第に細くなり、前記中間部の最細部は、前記下側規制部と前記天面部との間に配置される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、筐体に対する基板の引出方向の自由度が向上した振動モータが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】天面部上の規制部および底面部上の規制部の位置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全ての図面において、同一又は実質的に同一の構成や要素には同一の符号を用い、原則として再度の説明は行わない。
【0009】
<振動モータの概要>
図1は、本実施形態に係る振動モータ1Aの外観を示す斜視図である。
図2は、振動モータ1Aの構造を示す分解斜視図である。
図3は、振動モータ1Aを構成する筐体10の分解斜視図である。
【0010】
筐体10は、略長方形の平面形状を有する箱であって、振動モータ1Aの外郭を形成する。筐体10の内部には、基板30,コイル40,振動体50などの振動モータ1Aの構成要素が収容されている。振動モータ1Aの構成要素の1つである振動体50は、筐体10の内部で筐体10の長辺方向(長手方向)に振動する。別の見方をすると、振動体50は、筐体10の長辺方向の振動を発生させる。つまり、振動モータ1Aは、筐体10の長辺方向の振動を発生させるリニア型振動モータである。
【0011】
以下の説明では、筐体10の長辺方向を“左右方向”と呼び、筐体10の短辺方向を“前後方向”と呼ぶ場合がある。また、左右方向および前後方向の双方と直交する方向を“上下方向”と呼ぶ場合がある。かかる呼称を用いれば、振動体50は、左右方向の振動を発生させる。
【0012】
<筐体>
筐体10は、上下方向で対向する天面部11および底面部12と、前後方向で対向する前面部13および背面部14と、左右方向で対向する右側面部15および左側面部16と、を有する。つまり、筐体10の長辺方向(左右方向)に振動する振動体50は、右側面部15と左側面部16との対向方向に振動する。
【0013】
なお、以下の説明では、前面部13,背面部14,右側面部15および左側面部16を“周面部17”と総称する場合がある。
【0014】
筐体10は、金属板(例えば、ステンレス鋼板)によって形成されている。もっとも、天面部11,底面部12および周面部17は、別々の金属板によって形成されている。つまり、筐体10は、一体化された複数枚の金属板によって形成されている。
【0015】
周面部17は、両端が互いに固定された帯状の金属板によって角筒状に形成されている。図示は省略されているが、周面部17を形成している金属板の両端は、背面部14上に位置している。より特定的には、周面部17を形成している金属板の両端は、背面部14の長手方向中央(振動方向中央)に位置している。互いに固定された金属板の両端を背面部14上に配置することにより、振動モータ1Aの耐衝撃性能を高めることができる。具体的には、落下などによって前後方向の力が振動モータ1Aに加わった際、振動体50が周面部17を形成している金属板の両端(固定部)に接触しにくくなる。なお、周面部17を形成する金属板の両端は、例えばカシメ固定される。
【0016】
天面部11および底面部12は、略長方形に打ち抜かれた平坦な金属板によってそれぞれ形成されている。天面部11は、周面部17の一端側の開口部を閉塞し、底面部12は、周面部17の他端側の開口部を閉塞している。天面部11を形成している金属板の周縁は、周面部17を形成している金属板の一方の端部に溶接されている。また、底面部12を形成している金属板の周縁は、周面部17を形成している金属板の他方の端部に溶接されている。
【0017】
天面部11の左右には、一対の規制部21a,21bが設けられている。また、底面部12の左右には、一対の規制部22a,22bが設けられている。別の見方をすると、天面部11の対向する短辺のそれぞれに規制部21a,21bが設けられている。また、底面部12の対向する短辺のそれぞれに規制部22a,22bが設けられている。
【0018】
つまり、4つの規制部21a,21b,22a,22bが筐体10内に設けられている。これら規制部21a,21b,22a,22bは、振動体50の周囲に位置し、振動体50の振動を所定の範囲内に制限する。別の見方をすると、振動体50は、振動方向で対向する規制部21a,22aと規制部21b,22bとの間で振動可能である。もっとも、通常の振動状態では、振動体50は規制部21a,21b,22a,22bに接触しない。振動体50が何らかの理由で通常よりも大きく振動(変位)すると、振動体50が規制部21a,21b,22a,22bの少なくとも1つに接触する。この結果、振動体50の過剰な振動が防止される。
【0019】
<規制部の配置>
図4は、規制部21a,21bの天面部11上の位置および規制部22a,22bの底面部12上の位置を示す説明図である。
【0020】
天面部11に設けられている規制部21a,21bは、加圧加工によって天面部11の所定位置に形成された凸部であって、下方に向かって突出している。言い換えれば、天面部11に設けられている規制部21a,21bは、底面部12に向かって突出する上側規制部である。
【0021】
底面部12に設けられている規制部22a,22bは、加圧加工によって底面部12の所定位置に形成された凸部であって、上方に向かって突出している。言い換えれば、底面部12に設けられている規制部22a,22bは、天面部11に向かって突出する下側規制部である。
【0022】
天面部11に設けられている規制部21a,21bは、左右方向(天面部11の長手方向)で互いに対向している。同様に、底面部12に設けられている規制部22a,22bは、左右方向(底面部12の長手方向)で互いに対向している。
【0023】
さらに、規制部21a,21bは、天面部11の前後方向中央から外れた位置に配置されている。より特定的には、規制部21a,21bは、天面部11の前後方向中央よりも前方に配置されている。この結果、2つの規制部21a,21bの中心を結ぶ直線L1は、天面部11を前後方向に二分する直線(中央線)L2よりも前方に位置している。
【0024】
同様に、底面部12に設けられている規制部22a,22bは、底面部12の前後方向中央から外れた位置に配置されている。より特定的には、規制部22a,22bは、底面部12の前後方向中央よりも前方に配置されている。この結果、2つの規制部22a,22bの中心を結ぶ直線L1は、底面部12を前後方向に二分する直線(中央線)L2よりも前方に位置している。
【0025】
上記のように、天面部11と底面部12とは同一または実質的に同一の形状を有している。よって、
図2に示されている天面部11は、左右が逆転するように裏返せば底面部12になり得る。また、
図2に示されている底面部12は、左右が逆転するように裏返せば天面部11になり得る。
【0026】
【0027】
図5Aに示されるように、天面部11に設けられている規制部21aと底面部12に設けられている規制部22aとは、上下方向で対向している。また、
図5Bに示されるように、天面部11に設けられている規制部21bと底面部12に設けられている規制部22bとは、上下方向で対向している。
【0028】
既述のとおり、
図5Aに示されている規制部21aは、天面部11の前後方向中央よりも前方に位置している。また、規制部22aは、底面部12の前後方向中央よりも前方に位置している。別の見方をすると、規制部21aは、前面部13と背面部14との対向方向における天面部11の中央よりも前面部13に近接した位置に配置されている。また、規制部22aは、前面部13と背面部14との対向方向における底面部12の中央よりも前面部13に近接した位置に配置されている。
【0029】
この結果、規制部21a,22aと背面部14との間の間隔D1は、規制部21a,22aと前面部13との間の間隔D2よりも長い(広い)。別の見方をすると、規制部21a,22aと背面部14との間の空間S1は、規制部21a,22aと前面部13との間の空間S2よりも大きい(広い)。
【0030】
既述のとおり、
図5Bに示されている規制部21bは、天面部11の前後方向中央よりも前方に位置している。また、規制部22bは、底面部12の前後方向中央よりも前方に位置している。この結果、規制部21b,22bと背面部14との間の間隔D1は、規制部21b,22bと前面部13との間の間隔D2よりも長い(広い)。別の見方をすると、規制部21b,22bと背面部14との間の空間S1は、規制部21b,22bと前面部13との間の空間S2よりも大きい(広い)。
【0031】
<基板>
図2に示されている基板30は、同図に示されているコイル40に電力を供給するための電気配線が形成されたフレキシブル基板である。基板30は、筐体10の底面部12上に配置されている。基板30の大部分は筐体10の内部に配置されている一方、基板30の一部は筐体10の外部に引き出されている。以下の説明では、筐体10の内部に配置されている基板30の大部分を“本体部31”と呼び、筐体10の外部に引き出されている基板30の一部を“接続部32”と呼んで区別する場合がある。
【0032】
接続部32上には、本体部31上に形成されている電気配線の入力端と電気的に導通している接続端子33が設けられている。接続部32は、筐体10の一方の短辺を横断して筐体10の右側に延びている。具体的には、接続部32は、底面部12と右側面部15との間を通して筐体10の右側に引き出されている。
【0033】
図5Aを参照すると、基板30の接続部32は、規制部22aと背面部14との間の空間S1を通過している。つまり、規制部22aと背面部14との間の空間S1は、基板30の接続部32を筐体10の外部に引き出すための通路として利用されている。
【0034】
別の見方をすると、規制部22aと背面部14との間の空間S1を規制部22aと前面部13との間の空間S2よりも大きく(広く)したことにより、接続部32を筐体10の短辺から筐体10の外部に引き出すことが可能となっている。
【0035】
なお、
図5Bに示されている規制部22bと背面部14との間の空間S1も、規制部22bと前面部13との間の空間S2よりも大きい(広い)。よって、規制部22bと背面部14との間の空間S1も、基板30の接続部32を筐体10の外部に引き出すための通路として利用可能である。
【0036】
さらに、筐体10の長辺には1つの規制部も設けられていない。つまり、筐体10の長辺には、接続部32の引き出しを阻害する部材などは存在していない。
【0037】
したがって、基板30の接続部32は、筐体10の前方,後方,右側方および左側方のいずれの方向に引き出すこともできる。例えば、筐体10と電源回路との位置関係に応じて、接続部32の引き出し方向を選択することができる。別の見方をすると、接続部32の引出方向に起因して、振動モータ1Aの電子機器内でのレイアウト(位置や向き)が制限を受ける可能性が低減される。
【0038】
<コイル>
図2に示されているコイル40は、コアレスコイル(空芯コイル)である。より特定的には、コイル40は、上下方向に延びる仮想軸の周りに巻回された導線によって形成されている。コイル40は、基板30の本体部31上に形成されている電気配線の出力端に接続されている。よって、接続部32上に形成されている接続端子33に電圧が印加されると、電気配線を介してコイル40に電圧が印加される。コイル40に電圧が印加されると、コイル40が磁化され、磁束が発生する。
【0039】
<振動体>
図2に示されている振動体50は、錘51,バックヨーク52,磁石53を含んでいる。錘51は、金属合金(例えば、タングステン合金)のブロックである。錘51の中央には、当該錘51を上下方向に貫通する2つの磁石収容部54が形成されている。
【0040】
それぞれの磁石収容部54に、磁石53が収容されている。それぞれの磁石53は、前後方向に延びる角柱形状の永久磁石である。それぞれの磁石53は、長手方向が錘51の長手方向と直交する向きで磁石収容部54内に配置されている。
【0041】
コイル40に電圧が印加されると、コイル40が発生する磁束と磁石53が発生する磁束との相互作用により、磁石53を含む振動体50が左右方向に振動する。
【0042】
バックヨーク52は、錘51の上に重ねられ、磁石収容部54を閉塞している。別の見方をすると、バックヨーク52は、磁石収容部54に収容されている磁石53を覆っている。バックヨーク52は、磁石53と磁気回路を形成し、振動モータ1Aのパワーを増大させる。
【0043】
<弾性部材>
図2に示されている2つの弾性部材61,62は、前後方向に延びる板ばねである。弾性部材61,62の長手方向一端側(基端側)には、筐体10に固定される第1固定部63が設けられ、弾性部材61,62の長手方向他端側(先端側)には、振動体50(錘51)に固定される第2固定部64が設けられている。
【0044】
以下の説明では、弾性部材61,62の第1固定部63を“基端部63”と呼び、弾性部材61,62の第2固定部64を“先端部64”と呼ぶ場合がある。
【0045】
図6は、弾性部材61,62の斜視図である。
図6に示されるように、弾性部材61,62の基端部63と先端部64とは、中間部65を介して繋がっている。基端部63および先端部64は、中間部65に対して直角または略直角に屈曲している。この結果、それぞれの弾性部材61,62は、略コ字形の平面形状を有する。
【0046】
図2に示されている錘51は、対向する弾性部材61,62の間に配置され、これら弾性部材61,62によって振動可能に支持されている。別の見方をすると、弾性部材61,62は、錘51を振動可能に支持する支持部材である。
【0047】
再び
図6を参照する。それぞれの弾性部材61,62における中間部65は、長手方向両外側から内側に向かって次第に細くなっている。別の見方をすると、中間部65の上下方向の寸法は、長手方向両外側から内側に向かって次第に小さくなっている。そして、中間部65は、長手方向中央よりも基端部63に近接した部分において最も細くなっている。別の見方をすると、中間部65の最細部65aは、弾性部材61,62の長手方向中央よりも基端部63に近接した位置に配置されている。なお、
図6では、最細部65aを強調するために、最細部65aにハッチング(ドットパターン)を付してある。
【0048】
図5Aに示されるように、弾性部材61の基端部63は、筐体10の前面部13に溶接され、弾性部材61の先端部64は、筐体10の背面部14と対向する振動体50の一面(錘51の背面)に溶接されている。
図5Bに示されるように、弾性部材62の基端部63は、筐体10の前面部13に溶接され、弾性部材62の先端部64は、筐体10の背面部14と対向する振動体50の一面(錘51の背面)に溶接されている。
【0049】
この結果、弾性部材61の中間部65は、左右方向において、筐体10の右側面部15と錘51の右側面との間を通過している。また、弾性部材62の中間部65は、左右方向において、筐体10の左側面部16と錘51の左側面との間を通過している。
【0050】
また、弾性部材61の中間部65は、上下方向において、下側規制部である規制部22aと、天面部11との間を通過している。また、弾性部材62の中間部65は、上下方向において、下側規制部である規制部22bと、天面部11との間を通過している。
【0051】
より特定的には、弾性部材61の中間部65は、下側規制部である規制部22aと上側規制部である規制部21aとの間を通過している。また、弾性部材62の中間部65は、下側規制部である規制部22bと上側規制部である規制部21bとの間を通過している。
【0052】
このため、錘51の振動に伴って、弾性部材61と規制部21a,22aとが干渉する虞がある。また、錘51の振動に伴って、弾性部材62と規制部21b,22bとが干渉する虞がある。
【0053】
そこで、規制部21aと規制部22aとの間に、弾性部材61の中間部65の最細部65aを配置してある。また、規制部21bと規制部22bとの間に、弾性部材62の中間部65の最細部65aを配置してある。
【0054】
弾性部材61の中間部65の最細部65aを規制部21aと規制部22aとの間に配置することにより、弾性部材61と規制部21a,22aとが干渉する虞が最小化される。また、弾性部材62の中間部65の最細部65aを規制部21bと規制部22bとの間に配置することにより、弾性部材62と規制部21b,22bとが干渉する虞が最小化される。
【0055】
なお、
図2に示されるように、弾性部材61,62には、ダンパー66がそれぞれ設けられている。ダンパー66は、ダンパー66はゴムによって形成されており、振動体50(錘51)の振動が減衰するのに要する時間を短縮させる。
【0056】
天面部11の外面にはシート状またはフィルム状のカバー部材71が貼られている。また、底面部12の外面にはシート状またはフィルム状のカバー部材72が貼られている。カバー部材71は、天面部11に設けられている貫通孔23を塞ぎ、筐体10内への埃や異物の侵入を防止する。カバー部材72は、底面部12に設けられている貫通孔24を塞ぎ、筐体10内への埃や異物の侵入を防止する。
【0057】
もっとも、貫通孔23は、天面部11に規制部21a,21bを形成する過程で設けられた打ち抜き孔である。また、貫通孔24は、底面部12に規制部22a,22bを形成する過程で設けられた打ち抜き孔である。別の見方をすると、貫通孔23,24は、振動モータ1Aにとって必須ではない。よって、天面部11に貫通孔23が設けられていない場合には、カバー部材71は省略可能であり、底面部12に貫通孔24が設けられていない場合には、カバー部材72は省略可能である。カバー部材71,72を省略することにより、振動モータ1Aの高さを低くすることができる(厚みを薄くすることができる。)。
【0058】
本実施形態では、規制部を筐体の前後方向中央よりも前面部に近接した位置に配置することにより、基板の接続部が筐体の側方を含む様々な方向に引き出し可能とされている。また、弾性部材の最細部を長手方向中央よりも基端部(基端部は、筐体の前面部に固定される。)に近接した位置に配置することにより、上記位置に配置されている規制部と弾性部材との干渉が回避されている。
【0059】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、振動体の振動方向両側に一対の規制部が設けられていれば、振動体の振動は所定の範囲内に制限される。例えば、振動体の両側に一対の下側規制部が設けられていれば、振動体の振動は所定の範囲内に制限される。また、振動体の一側に1つの下側規制部が設けられ、振動体の他側に1つの上側規制部が設けられていれば、振動体の振動は所定の範囲内に制限される。したがって、
図5A,
図5Bに示されている規制部21a,21b,22a,22bの幾つかは省略することができる。例えば、上側規制部としての規制部21a,21bは省略することができる。
【0060】
また、
図5A,
図5Bに示されている規制部21a,21b,22a,22bは、筐体10の前後方向中央よりも背面部14に近接した位置に配置してもよい。この場合、弾性部材61,62の中間部65の最細部65aは、長手方向中央よりも先端部64に近接した位置に配置される。また、規制部22a,22bと前面部13との間の空間S2が拡大され、規制部22a,22bと背面部14との間の空間S1よりも大きく(広く)なる。したがって、基板30の接続部32は、例えば、規制部22aと前面部13との間の空間S2を利用して筐体10の外部に引き出される。
【0061】
図5A,
図5Bに示されている弾性部材61,62のいずれか一方を反転させてもよい。例えば、
図5Bに示されている弾性部材62を反転させて、基端部63を背面部14に固定し、先端部64を錘51に固定してもよい。この場合、
図5Aに示されている規制部21a,22aは図示されている位置に配置する一方、
図5Bに示されている規制部21b,22bは、前後方向中央よりも背面部14に近接した位置に配置するのが好ましい。
【符号の説明】
【0062】
1A…振動モータ、10…筐体、11…天面部、12…底面部、13…前面部、14…背面部、15…右側面部、16…左側面部、17…周面部、21a,21b,22a,22b…規制部、30…基板、31…本体部、32…接続部、33…接続端子、40…コイル、50…振動体、51…錘、52…バックヨーク、53…磁石、54…磁石収容部、61,62…弾性部材、63…第1固定部(基端部)、64…第2固定部(先端部)、65…中間部、65a…最細部、66…ダンパー