(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134208
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】X線診断装置及びX線診断装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
A61B6/00 320Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039600
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】奥村 勇介
(72)【発明者】
【氏名】岩井 春樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 基裕
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA18
4C093EB12
4C093EB13
4C093EB17
4C093FA35
4C093FH02
(57)【要約】
【課題】適切かつ簡易に透視画像を保存することである
【解決手段】実施形態に係るX線診断装置は、被検体に対してX線を照射して、X線撮影により撮影画像を取得し、透視撮影により透視画像を取得する撮影部と、前記X線撮影の前後一定期間内に得られる撮影関連情報を取得する取得部と、前記撮影関連情報に基づいて、前記X線撮影の前後少なくとも一方に係る透視画像をメモリに記憶する透視画像記憶制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対してX線を照射して、X線撮影により撮影画像を取得し、透視撮影により透視画像を取得する撮影部と、
前記X線撮影の前後一定期間内に得られる撮影関連情報を取得する取得部と、
前記撮影関連情報に基づいて、前記X線撮影の前後少なくとも一方に係る透視画像をメモリに記憶する透視画像記憶制御部と、
を備えるX線診断装置。
【請求項2】
ユーザの操作を受け付ける入力部と、
前記取得部は、前記撮影関連情報として、前記入力部の操作内容を取得し、
前記透視画像記憶制御部は、前記入力部の操作内容に基づいて、前記透視画像を前記メモリに記憶するか否かを判定する、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記透視画像記憶制御部は、前記入力部の操作時間に応じて、前記メモリに記憶する前記透視画像のフレーム数を決定する、請求項2に記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記撮影関連情報として、前記透視画像を取得し、
前記透視画像記憶制御部は、前記透視画像の画像解析を行い、この画像解析の結果に基づいて、前記透視画像をメモリに記憶するか否かを判定する、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記透視画像記憶制御部は、前記透視画像の画像解析により、前記透視画像上の対象物の動きを検出し、検出した当該対象物の動きに基づいて、前記透視画像をメモリに記憶するか否かを判定する、請求項4に記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記撮影関連情報として、前記撮影画像を取得し、
前記透視画像記憶制御部は、前記撮影画像の画像解析を行い、この画像解析の結果に基づいて、前記透視画像をメモリに記憶するか否かを判定する、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記透視画像記憶制御部は、前記撮影画像に基づいて前記X線撮影の前後少なくとも一方に係る前記透視画像の保存に関する透視保存情報を出力する学習済みモデルに対して、前記撮影画像を入力し、前記学習済みモデルから出力された前記透視保存情報に基づいて、前記透視画像をメモリに記憶するか否かを判定する、請求項6に記載のX線診断装置。
【請求項8】
前記撮影画像と、前記X線撮影の前後少なくとも一方に係る前記透視画像の保存に関する透視保存結果と、をトレーニングデータセットとして用いて、前記撮影画像に基づいて前記透視保存情報を出力する前記学習済みモデルを構築する学習部を、さらに備える、請求項7に記載のX線診断装置。
【請求項9】
前記透視画像記憶制御部は、前記X線撮影により撮影された撮影画像と、前記X線撮影の前後少なくとも一方に係る前記透視撮影により撮影された前記透視画像と、を関連付けて前記メモリに記憶する、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項10】
前記透視画像記憶制御部は、前記X線撮影の前の前記透視画像及び前記X線撮影の後の透視画像の少なくとも一方を選択して、選択された前記透視画像を前記メモリに記憶する、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項11】
前記透視画像を前記メモリに記憶することを報知する報知部をさらに備える、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項12】
前記撮影画像を表示させる際に、前記撮影画像から前記X線撮影の前後少なくとも一方に係る前記透視画像に表示を切り替えて前記透視画像を再生表示させるためのボタンを表示部に表示させる表示制御部をさらに備える、請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項13】
前記X線撮影の前後の前記透視画像のフレームレートを維持するように、前記透視画像の再生中に、前記撮影画像、前記X線撮影の前後少なくとも一方に係る前記透視画像、及び、黒画像の少なくとも1つに基づいて生成した補間画像を前記透視画像に挿入して、前記透視画像を表示部に再生表示させる再生制御部をさらに備える、請求項1乃至請求項12のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項14】
前記再生制御部は、前記撮影画像及び前記X線撮影の前後少なくとも一方に係る前記透視画像の一方の画質を他方の画質に合わせるように変更して生成した前記補間画像を前記透視画像に挿入して、前記透視画像を前記表示部に再生表示させる、請求項13に記載のX線診断装置。
【請求項15】
前記再生制御部は、前記補間画像を表示させる際に、前記透視画像が前記補間画像であることを示す情報を前記表示部に表示させる、請求項13又は請求項14に記載のX線診断装置。
【請求項16】
前記撮影部は、前記X線撮影では、非連続的なX線の照射により1枚のX線の画像を前記撮影画像として取得し、前記透視撮影では、連続的又は断続的なX線の照射により時間的に連続するX線の画像を前記透視画像として取得する、請求項1乃至請求項15のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項17】
被検体に対してX線を照射することにより、X線撮影及び透視撮影を行うステップと、
前記X線撮影の前後一定期間内に得られる撮影関連情報を取得するステップと、
前記撮影関連情報に基づいて、前記X線撮影の前後少なくとも一方に係る前記透視撮影により撮影された透視画像をメモリに記憶するステップと、
を備えるX線診断装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線診断装置及びX線診断装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療分野において、被検体にX線を照射して、被検体を透過したX線を検出することにより、1枚のX線の画像である撮影画像や時間的に連続するX線の画像である透視画像を取得するX線TV寝台装置が広く用いられている。このX線TV寝台装置を用いて、撮影画像を取得する場合、ユーザは、連続的にX線を照射する透視撮影により透視画像を取得し、取得した透視画像を観察しながら、被検体に対するX線撮影の位置やX線撮影の領域などを決定して、X線撮影を行う必要がある。
【0003】
一般に、ユーザは、X線撮影により取得した撮影画像を観察することにより、病変などの診断を行う。しかし、撮影画像に造影剤のムラなどが生じている場合、造影剤のムラなどが生じている撮影画像を用いて、病変などの診断を行うことはユーザにとって困難な場合がある。そのため、ユーザは、撮影画像に造影剤のムラなどが生じている場合、X線撮影の前後に透視撮影された透視画像を観察して、病変などの診断を行うことがある。すなわち、透視画像は、ユーザにとって、撮影画像とともに有効な診断材料となるため、X線TV寝台装置においては、撮影画像とともに透視画像をメモリに記憶する必要がある。
【0004】
しかし、透視画像は、時間的に連続するX線の画像、つまり、複数のX線の画像からなるため、透視撮影した全ての透視画像をメモリに記憶すると、メモリの容量を圧迫することになる。そのため、ユーザは、必要な透視画像のみをメモリに記憶する必要があるが、透視画像をメモリに記憶するために、撮影に関する操作以外の追加操作を行うことは、ユーザにとって煩わしく、ユーザが撮影に関する操作以外の追加操作を忘れるという問題がある。また、この問題は、X線TV装置のみならず、X線アンギオ装置などの他のX線診断装置においても、同様に生じており、適切かつ簡易に透視画像を保存できるようにすることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-183509号公報
【特許文献2】特開平10-234714号公報
【特許文献3】特表2012-505009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、適切かつ簡易に透視画像を保存することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記の課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係るX線診断装置は、被検体に対してX線を照射して、X線撮影により撮影画像を取得し、透視撮影により透視画像を取得する撮影部と、前記X線撮影の前後一定期間内に得られる撮影関連情報を取得する取得部と、前記撮影関連情報に基づいて、前記X線撮影の前後少なくとも一方に係る透視画像をメモリに記憶する透視画像記憶制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るX線診断装置の構成例を示すブロック図。
【
図2】第1実施形態に係るX線診断装置で実行される透視画像記憶制御処理の内容を説明するフローチャート図。
【
図3】第1実施形態に係るX線診断装置で実行される、透視撮影と、X線撮影と、透視画像の記憶とのタイミングを示すタイミングチャート図。
【
図4】第1実施形態に係るX線診断装置のディスプレイに表示される透視画像の一例を示す図。
【
図5】変形例1に係るX線診断装置で実行される透視画像記憶制御処理の内容を説明するフローチャート図。
【
図6】変形例1に係るX線診断装置で実行される、透視撮影と、X線撮影と、透視画像の記憶とのタイミングを示すタイミングチャート図。
【
図7】変形例2に係るX線診断装置で実行される透視画像記憶制御処理の内容を説明するフローチャート図。
【
図8】変形例2に係るX線診断装置で実行される、透視撮影と、X線撮影と、透視画像の記憶とのタイミングを示すタイミングチャート図。
【
図9】第2実施形態に係るX線診断装置の構成例を示すブロック図。
【
図10】第2実施形態に係るX線診断装置で実行される透視画像記憶制御処理の内容を説明するフローチャート図。
【
図11】第2実施形態に係るX線診断装置で実行される透視画像記憶制御処理の内容を概念的に示す概念図。
【
図12】第3実施形態に係るX線診断装置の構成例を示すブロック図。
【
図13】第3実施形態に係るX線診断装置の透視画像記憶制御機能の学習時におけるデータフローの一例を説明する説明図。
【
図14】第3実施形態に係るX線診断装置の透視画像記憶制御機能の運用時におけるデータフローの一例を説明する説明図。
【
図15】第3実施形態に係るX線診断装置で実行される透視画像記憶制御処理の内容を説明するフローチャート図。
【
図16】変形例3に係るX線診断装置の構成例を示すブロック図。
【
図17】変形例3に係るX線診断装置で実行される透視画像記憶制御処理の内容を説明するフローチャート図。
【
図18】変形例3に係るX線診断装置のディスプレイに表示される報知画面の一例を示す図。
【
図19】変形例5に係るX線診断装置の構成例を示すブロック図。
【
図20】変形例5に係るX線診断装置で実行される画像表示処理の内容を説明するフローチャート図。
【
図21】変形例5に係るX線診断装置のディスプレイに表示される撮影画像及びボタンの一例を示す図。
【
図22】変形例6に係るX線診断装置の構成例を示すブロック図。
【
図23】変形例6に係るX線診断装置で実行される再生制御処理の内容を説明するフローチャート図。
【
図24】変形例6に係るX線診断装置で実行される、補間画像の挿入のタイミングを示すタイミングチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、X線診断装置及びX線診断装置の制御方法の実施形態について説明する。なお、以下の説明において実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0010】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係るX線診断装置の構成例を示すブロック図である。
図1に示すX線診断装置1は、例えば、X線TV寝台装置である。なお、本実施形態に係るX線診断装置1は、X線TV寝台装置に限られず、例えば、X線アンギオ装置や一般X線撮影装置など、任意の型のX線診断装置として実現可能である。以下の説明では、X線診断装置1がX線TV寝台装置である例について説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係るX線診断装置1は、撮影装置10と、コンソール装置30とを備えて構成される。
【0012】
撮影装置10は、被検体Pに対してX線を照射して、X線撮影により撮影画像を取得し、透視撮影により透視画像を取得する。なお、撮影装置10は、撮影部の一例である。
【0013】
X線撮影は、被検体Pに対して、非連続的なX線の照射により、1枚のX線の画像を撮影画像として取得する撮影である。すなわち、X線撮影は、被検体Pに対して、比較的高い管電流にてX線を1回照射して、1枚の撮影画像を取得する場合に利用される。なお、X線撮影は、1枚の撮影画像を取得する場合に限られず、比較的高い管電流にて連続的なX線を被検体Pに照射することにより、時間的に連続するX線の画像を取得する、つまり、動画撮影に利用される場合もある。X線撮影は、透視撮影と比較して、解像度の高いX線の画像を取得することが出来る。
【0014】
透視撮影は、被検体Pに対して、連続的又は断続的なX線の照射により、時間的に連続するX線の画像を透視画像として取得する撮影である。すなわち、透視撮影は、比較的低い管電流にて連続的又は断続的なX線を被検体Pに照射することにより、予め設定されたフレームレートで時間的に連続する複数枚の透視画像を取得する場合に利用される。透視撮影は、例えば、動画撮影に利用される。透視撮影は、X線撮影により動画撮影を行う場合と比較して、被検体Pに対する被曝線量を抑えることができる。また、透視撮影は、X線撮影により動画撮影を行う場合と比較して、比較的低い管電流にて連続的なX線を被検体Pに照射しているため、同じ時間あたりの動画撮影のデータ量を抑えることが出来る。この透視撮影は、連続透視撮影及びパルス透視撮影に大別される。連続透視撮影は、X線が連続的に照射される透視撮影であり、パルス透視撮影は、X線のパルスが断続的に繰り返し照射される透視撮影である。パルス透視撮影によれば、連続透視撮影と比較して、透視画像のフレームレートはやや劣るが被検体に対する被曝線量を抑えることができる。なお、以下において、連続透視撮影とパルス透視撮影とを区別しない場合は、単に透視撮影と呼ぶ。また、透視撮影は、被検体Pに対して、1回のX線の照射により、1枚の透視画像を取得するようにしてもよい。
【0015】
また、撮影装置10は、X線照射部101と、高電圧装置103と、X線検出器105と、寝台107とを備える。
【0016】
X線照射部101は、被検体PにX線を照射する。具体的には、X線照射部101は、X線を発生するX線管1011と、X線の照射野を限定したり、照射野の一部についてX線を減衰させたりする機能を有するX線絞り1013とを備える。
【0017】
X線管1011は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管1011は、高電圧装置103から供給される高電圧を用いて、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することにより、X線を発生する。例えば、X線管1011には、回転する陽極に熱電子を照射することで、X線を発生する回転陽極型のX線管がある。
【0018】
X線絞り1013は、鉛板等の金属板で構成される。X線絞り1013は、X線管1011が発生したX線の絞りを行い、被検体Pに照射するX線の範囲を制御する。すなわち、X線絞り1013の絞りを絞ることにより、X線の照射範囲を狭くすることができ、逆に、X線絞り1013の絞りを開くことにより、X線の照射範囲を広くすることができる。なお、X線絞り1013は、コリメータと呼ばれる場合もある。
【0019】
高電圧装置103は、コンソール装置30の処理回路による制御の下、X線照射部101のX線管1011に高電圧を供給する。例えば、高電圧装置103は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管1011に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管1011が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。なお、高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。
【0020】
X線検出器105は、例えば、マトリクス状に配列された検出素子を有するX線平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)である。X線検出器105は、X線照射部101から照射されて被検体Pを透過したX線を検出して、検出したX線量に対応した検出信号をコンソール装置30の処理回路へと出力する。なお、X線検出器105は、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器であってもよいし、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であってもよい。
【0021】
寝台107は、被検体Pを載せるベッドである。寝台107の天板の上に被検体Pが横たわることでX線撮影及び/又は透視撮影が行われる。このため、寝台107の下にはX線検出器105が位置している。
【0022】
コンソール装置30は、処理回路301と、メモリ303と、ディスプレイ305と、入力インターフェース307と、出力インターフェース309とを備えて構成されている。
【0023】
処理回路301は、このX線診断装置1の全体的な制御を行う制御回路であり、また、各種演算を行う演算回路でもある。例えば、本実施形態に係る処理回路301は、撮影制御機能3011と、取得機能3012と、透視画像記憶制御機能3013とを有する。撮影制御機能3011は、本実施形態に係る撮影制御部に相当しており、取得機能3012は、本実施形態に係る取得部に相当しており、透視画像記憶制御機能3013は、本実施形態に係る透視画像記憶制御部に相当している。
【0024】
図1における実施形態では、撮影制御機能3011と、取得機能3012と、透視画像記憶制御機能3013とにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ303に格納されている。処理回路301はプログラムをメモリ303から読み出し、実行することで、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。なお、
図1においては、単一の処理回路301にて、撮影制御機能3011と、取得機能3012と、透視画像記憶制御機能3013とが実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路301を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものとしても構わない。
【0025】
撮影制御機能3011は、撮影条件などに従って、X線診断装置1の全体の撮影タイミングなどを制御するとともに、各機能を制御する機能である。本実施形態において、撮影制御機能3011は、入力インターフェース307を介して、ユーザからX線撮影の開始や透視撮影の開始を受け付けることにより、X線撮影や透視撮影を行う。
【0026】
取得機能3012は、X線撮影の前後一定期間内に得られる撮影関連情報を取得する機能である。撮影関連情報とは、入力インターフェース307の操作内容や、透視撮影により取得する透視画像等の被検体に関する情報、X線撮影により取得する撮影画像である。本実施形態において、取得機能3012は、撮影関連情報として、入力インターフェース307の操作内容を取得する。
【0027】
透視画像記憶制御機能3013は、撮影関連情報に基づいて、X線撮影の前後の少なくとも一方に係る透視画像をメモリ303に記憶する機能である。本実施形態において、透視画像記憶制御機能3013は、入力インターフェース307の操作内容に基づいて、透視画像を記憶するか否かを判定し、透視画像をメモリ303に記憶すると判定した場合に、X線撮影の前後の透視画像をメモリ303に記憶する。
【0028】
メモリ303は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどによって構成される。メモリ303は、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びDVD(Digital Video Disk)などの可搬型メディアによって構成されてもよい。メモリ303は、処理回路301において用いられる各種処理プログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(Operating System)なども含まれる)や、プログラムの実行に必要なデータ、ユーザにより設定される透視画像をメモリ303に記憶するための条件を記憶する。
【0029】
ディスプレイ305は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ305は、撮影装置10で取得された撮影画像や透視画像を表示したり、操作者からの各種の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)などを表示したりする。例えば、ディスプレイ305は、LCD(Liquid Crystal Display)や、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどである。なお、ディスプレイ305は、本実施形態に係る表示部に相当する。
【0030】
入力インターフェース307は、例えば、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路301に出力する。例えば、入力インターフェース307は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、及び表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等によって実現される。入力インターフェース307は、例えば、被検体Pに関する情報の入力や被検体Pを撮影する際の撮影条件等を受け付ける。また、本実施形態に係る入力インターフェース307は、X線撮影スイッチ3071と、透視撮影スイッチ3072とを有する。なお、入力インターフェース307は、ユーザの押下量に応じて、X線撮影準備を開始する第1スイッチと、X線撮影を開始する第2スイッチに切り替え可能な2段スイッチによって実現されてもよい。入力インターフェース307は、本実施形態に係る入力部に相当する。
【0031】
X線撮影スイッチ3071は、X線撮影の実行の有無、すなわち、X線の照射の有無を操作するためのスイッチであり、例えば、ハンドスイッチなどからなる。被検体Pに対するX線撮影は、例えば、ユーザによるX線撮影スイッチ3071の押下後、ユーザが設定した撮影条件に基づくX線撮影が終了するまで、実行される。なお、X線撮影スイッチ3071は、撮影装置10に設けられてもよい。
【0032】
また、透視撮影スイッチ3072は、透視撮影の実行の有無、すなわち、X線の照射の有無を操作するためのスイッチであり、例えば、フットスイッチなどからなる。透視撮影スイッチ3072は、例えば、X線診断装置1が設置された検査室の床面に配置される。被検体Pに対する透視撮影は、例えば、ユーザによる透視撮影スイッチ3072の押下後、押下された状態の透視撮影スイッチ3072がユーザによる操作で解放されるまで、実行される。なお、透視撮影スイッチ3072は、撮影装置10に設けられてもよい。
【0033】
出力インターフェース309は、例えば、処理回路301から供給された信号を出力する。この出力インターフェース309は、例えば、ランプ等のインジケータや音声を出力するスピーカー等の音声デバイス、プリンタなどの印刷回路により実現される。
【0034】
次に、
図2及び
図3を用いて、本実施形態に係るX線診断装置1で実行される透視画像記憶制御処理について説明する。
図2は、本実施形態に係るX線診断装置1で実行される透視画像記憶制御処理の内容を説明するフローチャート図である。
図3は、透視撮影と、X線撮影と、透視画像の記憶とのタイミングを示すタイミングチャート図である。この
図2に示す透視画像記憶制御処理では、X線診断装置1は、X線撮影スイッチ3071の操作内容に基づいて、透視画像をメモリ303に記憶する。例えば、この透視画像制御記憶処理は、透視撮影が開始された場合に実行される処理である。
【0035】
図2に示すように、まず、X線診断装置1は、透視撮影を開始する(ステップS11)。この透視撮影を開始する処理は、処理回路301における撮影制御機能3011により実現される。具体的には、X線診断装置1は、
図3に示すように、透視撮影スイッチ3072を介して、透視撮影の開始をユーザから受け付けることにより、被検体PにX線を照射して、透視撮影を開始する。より具体的には、
図3に示すように、X線診断装置1は、透視撮影スイッチ3072が押下されることにより、透視撮影がONになり、透視撮影を開始する。また、この透視撮影が開始されることにより、X線診断装置1は、
図4に示すように、透視撮影により取得した透視画像をディスプレイ305に表示する。なお、この
図3に示す透視撮影は、X線を連続的に照射して透視撮影を行う連続透視撮影を示しているが、
図3に示す透視撮影は、X線を断続的に照射して透視撮影を行うパルス透視撮影であってもよい。
【0036】
次に、
図2に示すように、X線診断装置1は、X線撮影を受け付けたか否かを判定する(ステップS13)。このX線撮影を受け付けたか否かを判定する処理は、処理回路301における撮影制御機能3011により実現される。具体的には、X線診断装置1は、X線撮影スイッチ3071を介して、X線撮影の開始をユーザから受け付けたか否かを判定する。そして、X線診断装置1は、X線撮影スイッチ3071を介して、X線撮影の開始をユーザから受け付けていないと判定した場合(ステップS13:No)には、X線診断装置1は、このステップS13の処理を繰り返して待機する。すなわち、X線診断装置1は、ステップS11で開始した透視撮影を続行する。
【0037】
一方、ステップS13において、X線撮影を受け付けたと判定した場合(ステップS13:Yes)には、X線診断装置1は、透視撮影を中断する(ステップS15)。この透視撮影を中断する処理は、処理回路301における撮影制御機能3011により実現される。具体的には、X線診断装置1は、X線撮影スイッチ3071を介して、X線撮影の開始を受け付けることにより、透視撮影を中断する。より具体的には、
図3に示すように、X線診断装置1は、X線撮影スイッチ3071が押下されることにより、X線撮影の準備が開始され、透視撮影を中断する。すなわち、X線診断装置1は、
図3に示すように、透視撮影が行われている場合であっても、X線撮影がONとなることにより、透視撮影を中断し、X線撮影を優先的に実行する。X線撮影の準備とは、例えば、X線撮影の撮影条件に基づいて、X線管1011の管電流や管電圧に制御することなどである。
【0038】
なお、透視撮影が中断される場合、X線診断装置1は、X線撮影が行われるまで、透視撮影の中断直前に取得した透視画像の1フレーム分の画像を、ディスプレイ305に表示するようにしてもよい。
【0039】
次に、
図2に示すように、X線診断装置1は、X線撮影を行う(ステップS17)。このX線撮影を行う処理は、処理回路301における撮影制御機能3011により実現される。具体的には、X線診断装置1は、被検体Pに対して、X線を照射することにより、X線撮影を行う。
【0040】
次に、
図2に示すように、X線診断装置1は、透視撮影を再開する(ステップS19)。この透視撮影を再開する処理は、処理回路301における撮影制御機能3011により実現される。具体的には、X線診断装置1は、X線撮影終了後、透視撮影に切り替えることにより、透視撮影を再開する。より具体的には、例えば、
図3に示すように、X線診断装置1は、X線撮影がOFFとなり、透視撮影がONとなることにより、透視撮影を再開する。また、この透視撮影が再開されることにより、X線診断装置1は、
図4に示すように、透視撮影により取得した透視画像をディスプレイ305に表示することを再開する。
【0041】
次に、
図2に示すように、X線診断装置1は、X線撮影の前後一定期間内に得られる撮影関連情報を取得する(ステップS21)。このX線撮影の前後一定期間内に得られる撮影関連情報を取得する処理は、処理回路301における取得機能3012により実現される。具体的には、X線診断装置1は、X線撮影の前後一定期間内に得られる撮影関連情報として、ユーザがX線撮影の前後一定期間内に操作したX線撮影スイッチ3071の操作内容を取得する。より具体的には、
図3に示すように、X線診断装置1は、X線撮影スイッチ3071の操作内容として、ステップS19におけるX線診断装置1が透視撮影を再開してから、ユーザがX線撮影スイッチ3071を離すまでの時間、すなわち、X線診断装置1が透視撮影を再開してから、X線撮影スイッチ3071がOFFとなるまでの時間Tを取得する。
【0042】
なお、X線診断装置1は、ステップS21において、X線撮影スイッチ3071の操作内容として、ステップS19におけるX線診断装置1が透視撮影を再開してから、X線撮影スイッチ3071を離すまでの時間Tを取得したが、X線診断装置1が取得するX線撮影スイッチ3071の操作内容はこれに限られない。つまり、X線撮影スイッチ3071の操作内容は任意であり、例えば、ユーザがX線撮影スイッチ3071を押してから離すまでの時間であってもよく、X線撮影終了後から、X線撮影スイッチ3071を離すまでの時間であってもよい。また、X線撮影スイッチ3071の操作内容は、X線撮影スイッチ3071を操作した時間に限られず、X線撮影の前後一定期間内にX線撮影スイッチ3071を操作した回数などのX線撮影スイッチ3071の所定の操作態様であってもよい。
【0043】
次に、
図2に示すように、X線診断装置1は、撮影関連情報に基づいて、透視画像を記憶するか否かを判定する(ステップS23)。この透視画像を記憶するか否かを判定する処理は、処理回路301における透視画像記憶制御機能3013により実現される。具体的には、X線診断装置1は、ステップS21において取得したX線撮影スイッチ3071の操作内容に基づいて、透視画像を記憶するか否かを判定する。より具体的には、X線診断装置1は、ステップS21で取得した、X線診断装置1が透視撮影を再開してからX線撮影スイッチ3071がOFFとなるまでの時間Tと、透視画像をメモリ303に記憶するための条件として予め設定された閾値aとを比較して、時間Tが閾値a以上であるか否を判定することにより、透視画像をメモリ303に記憶するか否かを判定する。
【0044】
そして、ステップS23において、時間Tが閾値a以上である場合、すなわち、透視画像を記憶すると判定した場合(ステップS23:Yes)、X線診断装置1は、透視画像をメモリ303に記憶する(ステップS25)。この透視画像をメモリ303に記憶する処理は、処理回路301における透視画像記憶制御機能3013により実現される。具体的には、X線診断装置1は、
図3に示すように、ステップS11において透視撮影を開始してからステップS15において透視撮影を中断するまでに取得した透視画像、及び、ステップS19において透視撮影を再開からX線撮影スイッチ3071を離すまでの透視画像を、メモリ303に記憶する。
【0045】
なお、ステップS25において、メモリ303記憶する透視画像は、ステップS11において透視撮影を開始してからステップS15において透視撮影を中断するまでに取得した透視画像、及び、ステップS19において透視撮影を再開からX線撮影スイッチ3071を離すまでの透視画像に限られない。すなわち、メモリ303に記憶する透視画像は任意であり、X線診断装置1は、ステップS11において透視撮影を開始してからステップS15において透視撮影を中断するまでに取得した透視画像、及び、ステップS19において透視撮影を再開からX線撮影スイッチ3071を離すまでの透視画像のうち、予め設定されたフレーム数分の透視画像をメモリ303に記憶するようにしてもよい。
【0046】
また、X線診断装置1は、ステップS11において透視撮影を開始してからステップS15において透視撮影を中断するまでに取得した透視画像、又は、透視撮影を再開からX線撮影スイッチ3071を離すまでの透視画像のいずれかの透視画像をメモリ303に記憶するようにしてもよい。つまり、X線診断装置1は、X線撮影の前後の一方に係る透視画像をメモリ303に記憶するようにしてもよい。さらに、ステップS25において、X線診断装置1は、透視画像記憶制御機能3013により、X線撮影の前の透視画像及びX線撮影の後の透視画像の少なくとも一方を選択して、選択された透視画像をメモリ303に記憶するようにしてもよい。
【0047】
ステップS23において、時間Tが閾値aより小さい場合、すなわち、透視画像を記憶しないと判定した場合(ステップS23:No)、又は、このステップS25の処理の後、X線診断装置1は、透視撮影を終了するか否かを判定する(ステップS27)。この透視撮影を終了するか否かを判定する処理は、処理回路301における撮影制御機能3011により実現される。具体的には、X線診断装置1は、透視撮影スイッチ3072を介して、透視撮影をユーザから受け付けているか否かにより、透視撮影を終了するか否かを判定する。
【0048】
そして、ステップS27において、透視撮影スイッチ3072を介して、ユーザの透視撮影を受け付けていない場合、すなわち、透視撮影を終了しない場合(ステップS27:No)、X線診断装置1は、X線撮影を受け付けたか否かを判定する(ステップS29)。このX線撮影を受け付けたか否かを判定する処理は、処理回路301における撮影制御機能3011により実現される。具体的には、X線診断装置1は、X線撮影スイッチ3071を介して、X線撮影の開始をユーザから受け付けたか否かを判定する。
【0049】
そして、ステップS29において、X線撮影スイッチ3071を介して、X線撮影の開始をユーザから受け付けていないと判定した場合(ステップS29:No)には、X線診断装置1は、このステップS27及びステップS29の処理を繰り返して待機する。一方、ステップS29において、X線撮影スイッチ3071を介して、X線撮影の開始をユーザから受け付けたと判定した場合(ステップS29:Yes)、X線診断装置1は、ステップS15に戻り、ステップS15からの処理を繰り返す。
【0050】
一方、ステップS27において、透視撮影スイッチ3072を介して、透視撮影の入力をユーザから受け付けていない場合(ステップS31:Yes)、X線診断装置1は、透視撮影を終了する(ステップS31)。この透視撮影を終了する処理は、処理回路301における撮影制御機能3011により実現される。
【0051】
このステップS31を実行することにより、本実施形態に係る透視画像記憶制御処理を終了する。
【0052】
以上のように、本実施形態に係るX線診断装置1によれば、X線診断装置1は、X線撮影の前後一定期間内に得られる撮影関連情報として、X線撮影スイッチ3071の操作内容を取得して、X線撮影スイッチ3071の操作内容に基づいて、X線撮影の前後の透視画像をメモリ303に記憶するか否かを判定し、X線撮影の前後の透視画像をメモリ303に記憶すると判定した場合に、X線撮影の前後の透視画像をメモリ303に記憶することとしたので、適切かつ簡易に透視画像を保存することができる。すなわち、本実施形態においては、ユーザがX線撮影を行うために押下するX線撮影スイッチ3071を、X線撮影終了後も押下し続け、X線撮影後にX線撮影スイッチ3071を押下し続けた時間Tが予め設定された閾値a以上である場合、X線診断装置1は、透視画像をメモリ303に記憶することとしたので、ユーザは、撮影に関する操作以外の追加操作を行うことなく、必要な透視画像を保存することができる。
【0053】
なお、上述した実施形態において、X線診断装置1は、X線撮影スイッチ3071の操作内容を取得することとしたが、X線診断装置1が取得する操作内容の対象は、X線撮影スイッチ3071に限られない。すなわち、X線診断装置1が取得する操作内容の対象は任意であり、例えば、透視撮影スイッチ3072の操作内容であってもよく、X線撮影スイッチ3071や透視撮影スイッチ3072以外の入力インターフェース307の操作内容であってもよい。
【0054】
〔変形例1〕
上述した第1実施形態に係るX線診断装置1においては、透視撮影を開始してから透視撮影を中断するまでに取得した透視画像、及び、透視撮影を再開してからX線撮影スイッチ3071を離すまでに取得した透視画像をメモリ303に記憶することに代えて、X線撮影スイッチ3071の操作時間に応じて、メモリ303に記憶する透視画像のフレーム数を決定して、決定したフレーム数の透視画像をメモリ303に記憶することも可能である。以下、この変形例を上述した第1実施形態に適用した場合を変形例1として、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。なお、変形例1に係るX線診断装置1の構成は、
図1と同等であるので説明を省略する。
【0055】
次に、
図5及び
図6を用いて、変形例1に係るX線診断装置1で実行される透視画像記憶制御処理について説明する。
図5は、変形例1に係るX線診断装置1で実行される透視画像記憶制御処理の内容を説明するフローチャート図であり、上述した第1実施形態における
図2に対応する図である。
図6は、変形例1に係る、透視撮影と、X線撮影と、透視画像の記憶とのタイミングを示すタイミングチャート図であり、上述した第1実施形態における
図3に対応する図である。この
図5に示す透視画像記憶制御処理では、X線診断装置1は、X線撮影スイッチ3071の操作内容に基づいて、メモリ303に記憶する透視画像のフレーム数を決定したり、決定したフレーム数分の透視画像をメモリ303に記憶したりする。例えば、この透視画像制御記憶処理は、透視撮影が開始された場合に実行される処理である。なお、
図5に示すステップS23以前の処理は、上述した第1実施形態における
図2と同等であるため、説明を省略する。
【0056】
そして、ステップS23において、時間Tが閾値a以上である場合、すなわち、透視画像を記憶すると判定した場合(ステップS23:Yes)、X線診断装置1は、X線撮影スイッチ3071の操作時間を取得する(ステップS41)。このX線撮影スイッチ3071の操作時間を取得する処理は、処理回路301における透視画像記憶制御機能3013により実現される。具体的には、
図6に示すように、X線診断装置1は、ステップS19におけるX線診断装置1が透視撮影を再開してから、ユーザがX線撮影スイッチ3071を離すまでの時間、すなわち、X線診断装置1が透視撮影を再開してから、X線撮影スイッチ3071がOFFとなるまでの時間Tを取得する。
【0057】
なお、X線診断装置1は、X線撮影スイッチ3071の操作時間として、ステップS19におけるX線診断装置1が透視撮影を再開してから、X線撮影スイッチ3071を離すまでの時間Tを取得したが、X線診断装置1が取得するX線撮影スイッチ3071の操作時間はこれに限られない。つまり、X線撮影スイッチ3071の操作時間は任意であり、例えば、ユーザがX線撮影スイッチ3071を押してから離すまでの時間であってもよく、X線撮影終了後から、X線撮影スイッチ3071を離すまでの時間であってもよい。また、ステップS21において、X線撮影スイッチ3071の操作内容として、X線撮影スイッチ3071の操作時間を取得している場合、ステップS41は省略される。
【0058】
次に、
図5に示すように、X線診断装置1は、メモリ303に記憶する透視画像のフレーム数を決定する(ステップS43)。この透視画像のフレーム数を決定する処理は、処理回路301における透視画像記憶制御機能3013により実現される。具体的には、X線診断装置1は、ステップS41で取得したX線撮影スイッチ3071の操作時間に応じて、メモリ303に記憶する透視画像のフレーム数を決定する。
【0059】
より具体的には、
図6に示すように、X線診断装置1は、X線撮影スイッチ3071の操作時間である、X線診断装置1が透視撮影を再開してから、X線撮影スイッチ3071がOFFとなるまでの時間Tに応じて、ステップS11において透視撮影を開始してからステップS15において透視撮影を中断するまでに取得した透視画像のうち透視撮影を中断する以前の時間Tに相当する透視画像のフレーム数と、透視撮影を再開から透視撮影が終了するまでの透視画像のうち透視撮影を再開以後の時間Tに相当する透視画像のフレーム数とを、メモリ303に記憶する透視画像のフレーム数として決定する。この
図6に示す例では、ステップS11において透視撮影を開始してからステップS15において透視撮影を中断するまでに取得した透視画像のうち透視撮影を中断する以前の時間Tに相当する透視画像のフレーム数と、透視撮影を再開から透視撮影が終了するまでの透視画像のうち透視撮影を再開以後の時間Tに相当する透視画像のフレーム数とは、同一である。
【0060】
なお、X線診断装置1は、例えば、時間Tに応じて、ステップS11において透視撮影を開始してからステップS15において透視撮影を中断するまでに取得した透視画像のうち、透視撮影を中断する以前の時間1.5Tに相当する透視画像のフレーム数と、透視撮影を再開から透視撮影が終了するまでの透視画像のうち透視撮影を再開以後の時間0.5Tに相当する透視画像のフレーム数とを、メモリ303に記憶する透視画像のフレーム数として決定するようにしてもよい。
【0061】
また、ステップS43において、X線診断装置1は、取得した時間Tに応じて、時間Tに相当するフレーム数の透視画像をメモリ303に記憶することとしたが、メモリ303に記憶する透視画像のフレーム数は、時間Tに相当しなくてもよい。すなわち、メモリ303に記憶する透視画像のフレーム数は任意であり、ステップS11において透視撮影を開始してからステップS15において透視撮影を中断するまでに取得した透視画像のうち透視撮影を中断する以前の透視画像のフレーム数と、透視撮影を再開から透視撮影が終了するまでの透視画像のうち透視撮影を再開以後の透視画像のフレーム数とは、時間Tによらず、異なっていてもよい。
【0062】
次に、
図5に示すように、X線診断装置1は、透視画像をメモリ303に記憶する(ステップS45)。この透視画像をメモリ303に記憶する処理は、処理回路301における透視画像記憶制御機能3013により実現される。具体的には、X線診断装置1は、ステップS43で決定した透視画像のフレーム数分だけ、透視画像をメモリ303に記憶する。なお、このステップS45より後のステップS27からステップS31は、上述した第1実施形態における
図2と同等であるため、説明を省略する。そして、ステップS31を実行することにより、変形例1に係る透視画像記憶制御処理を終了する。
【0063】
以上のように、本変形例に係るX線診断装置1によれば、X線撮影スイッチ3071の操作時間を取得し、取得したX線撮影スイッチ3071の操作時間に応じて、メモリ303に記憶する透視画像のフレーム数を決定して、決定したフレーム数の透視画像をメモリ303に記憶することとしたので、撮影に関する操作以外の追加操作をすることなく、メモリの容量の圧迫を低減しつつ、必要な透視画像を保存することができる。すなわち、適切かつ簡易に透視画像を保存することが出来る。
【0064】
なお、上述した本変形例において、X線診断装置1は、X線撮影スイッチ3071の時間に応じて、メモリ303に記憶する透視画像のフレーム数を決定したが、フレーム数を決定する際の操作対象は、X線撮影スイッチ3071に限られない。すなわち、フレーム数を決定する際の操作対象は任意であり、例えば、透視撮影スイッチ3072の操作時間であってもよく、X線撮影スイッチ3071や透視撮影スイッチ3072以外の入力インターフェース307の操作時間であってもよい。
【0065】
〔変形例2〕
上述した第1実施形態に係るX線診断装置1においては、X線撮影前後の両方に係る透視画像をメモリ303に記憶することに代えて、X線撮影前後の少なくとも一方に係る透視画像をメモリ303に記憶することも可能である。以下、この変形例を第1実施形態に適用した場合を変形例2として、上述した第1実施形態とは異なる部分を説明する。なお、本変形例に係るX線診断装置1の構成は、
図1と同等であるので説明を省略する。
【0066】
次に、
図7及び
図8を用いて、変形例2に係るX線診断装置1で実行される透視画像記憶制御処理について説明する。
図7は、変形例2に係るX線診断装置1で実行される透視画像記憶制御処理の内容を説明するフローチャート図であり、上述した第1実施形態における
図2に対応する図である。
図8は、変形例2に係るX線診断装置で実行される、透視撮影と、X線撮影と、透視画像の記憶とのタイミングを示すタイミングチャート図であり、上述した第1実施形態における
図3に対応する図である。この
図7に示す透視画像記憶制御処理では、X線診断装置1は、X線撮影スイッチ3071の操作内容に基づいて、X線撮影前に係る透視画像をメモリ303に記憶する。例えば、この透視画像制御記憶処理は、透視撮影が開始された場合に実行される処理である。なお、
図7に示すステップS11及びステップS13の処理は、上述した第1実施形態における
図2と同等であるため、説明を省略する。
【0067】
一方、ステップS13において、X線診断装置1が、X線撮影を受け付けたと判定した場合(ステップS13:Yes)には、X線診断装置1は、透視撮影を終了する(ステップS51)。この透視撮影を終了する処理は、処理回路301における撮影制御機能3011により実現される。具体的には、X線診断装置1は、X線撮影スイッチ3071を介して、X線撮影の開始を受け付けることにより、透視撮影を終了する。より具体的には、
図3に示すように、X線診断装置1は、X線撮影スイッチ3071が押下されることにより、X線撮影の準備が開始され、透視撮影を終了する。なお、このステップS51の後のステップS17の処理は、上述した第1実施形態における
図2と同等であるため、説明を省略する。
【0068】
次に、
図7に示すように、X線診断装置1は、X線撮影の前後一定期間内に得られる撮影関連情報を取得する(ステップS53)。このX線撮影の前後一定期間内に得られる撮影関連情報を取得する処理は、処理回路301における取得機能3012により実現される。具体的には、X線診断装置1は、X線撮影の前後一定期間内に得られる撮影関連情報として、ユーザがX線撮影の前後一定期間内に操作したX線撮影スイッチ3071の操作内容を取得する。より具体的には、
図7に示すように、X線診断装置1は、X線撮影スイッチの操作内容として、ステップS17におけるX線撮影が終了してから、ユーザがX線撮影スイッチ3071を離すまでの時間T、すなわち、ステップS17におけるX線撮影が終了してから、X線撮影スイッチ3071がOFFとなるまでの時間Tを取得する。なお、このステップS53の後のステップS23の処理は、上述した第1実施形態における
図2と同等であるため、説明を省略する。
【0069】
また、X線診断装置1は、X線撮影スイッチ3071の操作内容として、X線撮影スイッチの操作内容として、ステップS17におけるX線撮影が終了してから、ユーザがX線撮影スイッチ3071を離すまでの時間を取得したが、X線診断装置1が取得するX線撮影スイッチ3071の操作内容はこれに限られない。つまり、X線撮影スイッチ3071の操作内容は任意であり、例えば、ユーザがX線撮影スイッチ3071を押してから離すまでの時間であってもよい。また、X線撮影スイッチ3071の操作内容は、X線撮影スイッチ3071を操作した時間に限られず、X線撮影の前後一定期間内にX線撮影スイッチ3071を操作した回数等のX線撮影スイッチ3071の所定の操作態様であってもよい。
【0070】
そして、ステップS23において、X線診断装置1は、時間Tが閾値a以上である場合、すなわち、透視画像を記憶すると判定した場合(ステップS23:Yes)、X線診断装置1は、透視画像をメモリ303に記憶する(ステップS55)。この透視画像をメモリに記憶する処理は、処理回路301における透視画像記憶制御機能3013により実現される。具体的には、X線診断装置1は、ステップS11において透視撮影を開始してからステップS51において透視撮影を終了するまでに取得した透視画像を、メモリ303に記憶する。
【0071】
なお、ステップS25において、メモリ303に記憶する透視画像は、ステップS11において透視撮影を開始してからステップS51において透視撮影を終了するまでに取得した透視画像に限られない。すなわち、メモリ303に記憶する透視画像は任意であり、ステップS11において透視撮影を開始してからステップS51において透視撮影を終了するまでに取得した透視画像のうち、予め設定されたフレーム数分の透視画像を、メモリ303に記憶するようにしてもよく、X線撮影前後の透視画像が取得されている場合であって、X線撮影後の透視画像のみをメモリ303に記憶するようにしてもよく、X線撮影前後の透視画像が取得されている場合であって、上述した第1実施形態と同様にX線撮影の前後の両方の透視画像を取得するようにしてもよい。
【0072】
このステップS55より後のステップS27からステップS31は、上述した第1実施形態における
図2と同等であるため、説明を省略する。そして、ステップS31を実行することにより、第1実施形態の変形例2に係る透視画像記憶制御処理を終了する。
【0073】
以上のように、本変形例に係るX線診断装置1によれば、X線撮影の前後一定期間内に得られる撮影関連情報として、X線撮影スイッチの操作内容として、ステップS17におけるX線撮影が終了してから、ユーザがX線撮影スイッチ3071を離すまでの時間Tを取得し、時間Tと、予め設定された閾値aとを比較して、時間Tが閾値a以上の場合にX線撮影前の透視画像をメモリ303に記憶することとしたので、適切かつ簡易に透視画像を保存することができる。すなわち、本変形例においては、ユーザがX線撮影を行うために押下するX線撮影スイッチ3071を、X線撮影終了後も押下し続けることにより、X線撮影前の透視画像をメモリ303に記憶することができるため、メモリの容量の圧迫を低減しつつ、撮影に関する操作以外の追加操作を行うことなく、必要な透視画像を保存することができる。
【0074】
なお、上述した変形例2の説明は、上述した第1実施形態に適用した場合の説明であるが、本変形例は、第1実施形態の変形例1にも適用可能なことは明らかである。また、上述した本変形例において、X線診断装置1は、X線撮影スイッチ3071の操作内容を取得することとしたが、X線診断装置1が取得する操作内容の対象は、X線撮影スイッチ3071のものに限られない。すなわち、X線診断装置1が取得する操作内容の対象は任意であり、例えば、透視撮影スイッチ3072の操作内容であってもよく、X線撮影スイッチ3071や透視撮影スイッチ3072以外の入力インターフェース307の操作内容であってもよい。
【0075】
〔第2実施形態〕
上述した第1実施形態に係るX線診断装置1においては、撮影関連情報として、ユーザがX線撮影の前後一定期間内に操作したX線撮影スイッチ3071の操作内容に基づいて、透視画像をメモリ303に記憶するか否かを判定していたが、これに限られない。第2実施形態においては、撮影関連情報として、透視画像を取得し、取得した透視画像の画像解析の結果に基づいて、透視画像をメモリ303に記憶するか否かを判定してもよい。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0076】
図9は、第2実施形態に係るX線診断装置1の構成例を示すブロック図であり、上述した第1実施形態における
図1に対応する図である。この
図9に示すように、取得機能及び透視画像記憶制御機能の機能が第1実施形態と異なるため、本実施形態においては、取得機能3012a、透視画像記憶制御機能3013aと表記する。なお、取得機能3012a及び透視画像記憶制御機能3013a以外の構成及び機能は、上述した第1実施形態における
図1と同様であるので、説明を省略する。
【0077】
取得機能3012aは、X線撮影の前後一定期間内に得られる撮影関連情報を取得する機能である。本実施形態において、取得機能3012aは、撮影関連情報として、X線撮影の前後の少なくとも一方に係る透視画像を取得する。
【0078】
透視画像記憶制御機能3013aは、撮影関連情報に基づいて、X線撮影の前後の少なくとも一方に係る透視画像をメモリ303に記憶する機能である。本実施形態において、透視画像記憶制御機能3013aは、透視画像の画像解析を行い、この画像解析の結果に基づいて、X線撮影の前後の少なくとも一方に係る透視画像を記憶するか否かを判定し、透視画像をメモリ303に記憶すると判定した場合に、透視画像をメモリ303に記憶する。
【0079】
次に、
図10を用いて、本実施形態に係るX線診断装置1で実行される透視画像を記憶する透視画像記憶制御処理について説明する。
図10は、本実施形態に係るX線診断装置1で実行される透視画像記憶制御処理の内容を説明するフローチャート図であり、上述した第1実施形態における
図2に対応する図である。この
図10に示す透視画像記憶制御処理では、X線診断装置1は、透視画像を画像解析したり、透視画像の解析結果に基づいて、透視画像をメモリ303に記憶するか否かを判定したりする。例えば、この透視画像記憶制御処理は、透視撮影が開始された場合に実行される処理である。なお、
図9に示すステップS19以前の処理は、上述した第1実施形態における
図2と同等であるため、説明を省略する。
【0080】
次に、
図10に示すように、X線診断装置1は、撮影関連情報として、透視画像を取得する(ステップS61)。この透視画像を取得する処理は、処理回路301における取得機能3012aにより実現される。具体的には、X線診断装置1は、ステップS11における透視撮影の開始からステップS15における透視撮影の中断までの透視画像及びステップS19から一定期間内の透視画像のうち、複数枚の透視画像を取得する。
【0081】
次に、
図10に示すように、X線診断装置1は、透視画像を画像解析する(ステップS63)。この透視画像を画像解析する処理は、処理回路301における透視画像記憶制御機能3013aにより実現される。具体的には、X線診断装置1は、ステップS61で取得した複数枚の透視画像を画像解析する。より具体的には、X線診断装置1は、ステップS61で取得した透視画像の画像解析により、前記透視画像上の対象物の動きを検出する。
【0082】
図11を用いて、ステップS63で行われる画像解析の一例を説明する。
図11は、本実施形態に係るX線診断装置1で実行される透視画像の画像解析の一例を説明する説明図であり、
図11(a)は、透視撮影中断直前の1フレーム前の透視画像であり、
図11(b)は、透視撮影中断直前の透視画像である。この
図11に示す例では、被検体Pの胃STを透視撮影した透視画像であり、破線で囲まれた領域はユーザの関心領域ROIの一例であり、透視画像中のドット状のハッチング部は、対象物である胃STに投入された造影剤CONである。
【0083】
例えば、この
図11に示すように、バリウム等の造影剤CONを用いた撮影において、造影剤CONが胃STの内部で動いている際にX線撮影を行うと、ユーザの関心領域ROI内に造影剤CONが入り込む可能性があるため、ユーザは、造影剤CONが動いている場合には、X線撮影の前後に透視撮影された透視画像を観察したいと考える。そのため、ステップS63において、
図11に示す例では、X線診断装置1は、画像解析として、透視撮影中断直前の2フレーム分の透視画像に基づいて、2フレーム分の透視画像の関心領域ROI内の造影剤CONの動きベクトルを算出する。すなわち、透視撮影中断直前の2フレーム分の透視画像に基づいて、関心領域ROI内における造影剤CONの移動量を算出する。
【0084】
なお、
図11に示す例では、関心領域ROIは透視画像の一部であるが、関心領域ROIは透視画像の一部に限られない。すなわち、関心領域ROIは任意であり、例えば、関心領域ROIは、透視画像全体としてもよく、透視画像上の複数箇所としてもよい。
【0085】
また、
図11に示す例では、撮影対象を胃STとして、胃STの透視画像の画像解析を例として説明したが、胃STの透視画像に限られない。すなわち、撮影対象は任意であり、例えば、血管や胃ST以外の臓器などであってもよい。さらに、
図11に示す例では、動きを検出する対象物を造影剤CONにしたが、動きを検出する対象物は造影剤CONに限られない。すなわち、動きを検出する対象物は任意であり、例えば、動きを検出する対象物は、カテーテルなどの医用デバイスであってもよい。
【0086】
次に、
図10に示すように、X線診断装置1は、撮影関連情報に基づいて、透視画像を記憶するか否かを判定する(ステップS65)。この透視画像を記憶するか否かを判定する処理は、処理回路301における透視画像記憶制御機能3013aにより実現される。具体的には、X線診断装置1は、ステップS63において解析した画像解析の結果である、ステップS63において検出した対象物の動きに基づいて、透視画像をメモリ303に記憶するか否かを判定する。より具体的には、X線診断装置1は、ステップS63において算出した動きベクトル、すなわち、関心領域ROI内の造影剤CONの移動量が、予め設定された移動量の規定量以上であるか否かを判定して、透視画像をメモリ303に記憶するか否かを判定する。
【0087】
そして、ステップS65において、X線診断装置1は、関心領域ROI内の造影剤CONの移動量が予め設定された移動量の規定量以上である場合、すなわち、透視画像をメモリ303に記憶すると判定した場合(ステップS65:Yes)、X線診断装置1は、透視画像をメモリ303に記憶する(ステップS25)。一方、ステップS65において、X線診断装置1は、関心領域ROI内の造影剤CONの移動量が予め設定された移動量の規定量より小さい場合、すなわち、透視画像をメモリ303に記憶しないと判定した場合(ステップS65:No)、X線診断装置1は、透視撮影を終了するか否かを判定する(ステップS27)。
【0088】
このステップS65より後のステップS25からステップS31は、上述した第1実施形態における
図2と同等であるため、説明を省略する。そして、ステップS31を実行することにより、第2実施形態に係る透視画像記憶制御処理を終了する。
【0089】
以上のように、本実施形態に係るX線診断装置1によれば、X線診断装置1は、X線撮影の前後一定期間内に得られる撮影関連情報として、透視画像を取得し、取得した透視画像に画像解析を行い、その透視画像の画像解析の結果に基づいて、X線撮影の前後の透視画像をメモリ303に記憶するか否かを判定し、X線撮影の前後の透視画像をメモリ303に記憶すると判定した場合に、X線撮影の前後の透視画像をメモリ303に記憶することとしたので、適切かつ簡易に透視画像を保存することができる。すなわち、本実施形態おいては、透視画像の画像解析により、透視画像上の対象物の移動量を検出して、その対象物の移動量が規定量以上である場合、X線診断装置1は、透視画像をメモリ303に記憶することとしたので、ユーザは、追加操作を行うことなく、必要な透視画像を保存することができる。
【0090】
なお、上述した第2実施形態の説明では、X線撮影の前後の透視画像をメモリ303に記憶することとしたが、X線診断装置1は、透視画像の画像解析の結果に基づいて、X線撮影の前後のいずれかの透視画像をメモリ303に記憶するようにしてもよい。すなわち、X線診断装置1は、透視画像の画像解析の結果に基づいて、X線撮影の前後少なくとも一方に係る透視画像をメモリ303に記憶するようにしてもよい。また、上述した第2実施形態において、X線診断装置1は、透視画像記憶制御機能3013により、X線撮影の前の透視画像及びX線撮影の後の透視画像の少なくとも一方を選択して、選択された透視画像をメモリ303に記憶するようにしてもよい。
【0091】
〔第3実施形態〕
上述した第1実施形態に係るX線診断装置1においては、撮影関連情報として、ユーザがX線撮影の前後一定期間内に操作したX線撮影スイッチ3071の操作内容に基づいて、透視画像をメモリ303に記憶するか否かを判定していたが、これに限られない。第3実施形態においては、撮影関連情報として、撮影画像を取得し、取得した撮影画像の画像解析の結果に基づいて、透視画像をメモリ303に記憶するか否かを判定してもよい。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0092】
図12は、第3実施形態に係る構成例を示すブロック図であり、上述した第1実施形態における
図1に対応する図である。この
図9に示すように、本実施形態に係るX線診断装置1は、上述した第1実施形態に係るX線診断装置1に対して、処理回路301に学習機能を追加することにより構成されている。また、取得機能及び透視画像記憶制御機能の機能が第1実施形態と異なるため、本実施形態においては、取得機能3012b、透視画像記憶制御機能3013bと表記する。なお、学習機能3014は、本実施形態に係る学習部に相当している。また、取得機能3012a、透視画像記憶制御機能3013a、及び、学習機能3014以外の構成及び機能は、上述した第1実施形態における
図1と同様であるので、説明を省略する。
【0093】
取得機能3012bは、X線撮影の前後一定期間内に得られる撮影関連情報を取得する機能である。本実施形態において、取得機能3012bは、撮影関連情報として、X線撮影された撮影画像を取得する。
【0094】
透視画像記憶制御機能3013bは、撮影関連情報に基づいて、X線撮影の前後の少なくとも一方に係る透視画像をメモリ303に記憶する機能である。本実施形態において、透視画像記憶制御機能3013bは、撮影画像に基づいてX線撮影の前後少なくとも一方に係る透視画像の保存に関する透視保存情報を出力するように機械学習を行った学習済みモデルに対して、取得機能3012bにより取得した撮影画像を入力し、学習済みモデルから出力されたX線撮影前後の少なくとも一方に係る透視画像の保存に関する透視保存情報に基づいて、透視画像をメモリ303に記憶するか否かを判定する。すなわち、透視画像記憶制御機能3013bは、撮影画像が入力され、入力された撮影画像の画像解析を行い、この撮影画像の画像解析の結果に基づいて透視保存情報を出力する学習済みモデルに対して、撮影画像を入力し、学習済みモデルから出力された透視保存情報に基づいて、透視画像をメモリ303に記憶するか否かを判定する。
【0095】
透視保存情報とは、透視画像の保存に関する情報である。透視保存情報は、例えば、透視画像をメモリ303に記憶するか否かの保存要否に関する情報や、メモリ303に記憶する透視画像の保存フレーム数に関する情報、メモリ303に記憶するX線撮影前後の少なくとも一方の透視画像の選択に関する情報等を含んでいる。以下の説明では、透視保存情報は、保存要否に関する情報及び透視画像の保存フレーム数に関する情報を含む場合の例を示す。なお、透視保存情報は、保存要否に関する情報のみが含まれて構成されてもよく、透視画像の保存に関する他の情報が含まれていてもよい。
【0096】
機械学習とは、例えば、SVM(サポートベクタマシン)を利用した機械学習や、CNN(畳み込みニューラルネットワーク)や畳み込み深層信念ニューラルネットワークなどの、多層のニューラルネットワークを用いた深層学習を用いてもよい。以下の説明では、機械学習がニューラルネットワークを用いた深層学習であり、機械学習モデルが深層学習を用いた学習済みモデルである場合の例を示す。
【0097】
学習機能3014は、学習済みモデルを構築する機能である。本実施形態において、学習機能3014は、複数の撮影画像を学習用データとし、透視保存結果を教師データとするトレーニングデータセットとして用いて、学習済みモデルを構築する。この教師データである透視保存結果は、例えば、撮影画像に対して読影される際に、有識者がX線撮影前後の透視画像を必要とするか否かを判断することにより作成されるデータである。この透視保存結果は、透視画像が保存されたか否かの結果に関する情報や保存フレーム数に関する情報などを含む。なお、教師データである透視保存結果は、メモリ303に記憶された撮影画像に対して、その撮影画像のX線撮影前後の少なくとも一方に係る透視画像がメモリ303に記憶されているか否かに基づいて、学習機能3014が、X線撮影前後の透視画像を必要とするか否かを判断することにより作成されるデータであってもよい。
【0098】
図13は、透視画像記憶制御機能3013bの学習時におけるデータフローの一例を説明する説明図である。
図13に示すように、学習時に、透視画像記憶制御機能3013bは、多数のトレーニングデータセットを用いて深層学習を行うことにより、メモリ303に記憶されたパラメータデータ505を逐次的に更新する。
【0099】
多数のトレーニングデータセットのそれぞれのトレーニングデータセットは、学習用データ群501と、教師データ群503の組からなる。学習用データ群501は、学習用データ5011、5012、5013、・・・により構成され、各学習用データは、例えば、撮影画像からなる。また、各学習用データに対応する教師データ群503は、透視保存結果5031、5032、5033、・・・により構成され、各教師データの透視保存結果5031、5032、5033、・・・は、保存結果に関する情報や保存フレーム数に関する情報などの組からなる。
【0100】
透視画像記憶制御機能3013bは、学習機能3014に制御されて、トレーニングデータセットが与えられるごとに、学習用データをニューラルネットワーク507で処理した結果が教師データに近づくように、パラメータデータ505を更新していく、すなわち、透視画像記憶制御機能3013bは学習を行う。一般に、パラメータデータ505の変化割合が閾値以内に収束すると、学習は終了と判断される。以下、学習終了後のパラメータデータ505を特に学習済みパラメータデータ505tという。
【0101】
図14は、透視画像記憶制御機能3013bの運用時におけるデータフローの一例を説明する説明図である。
図14に示すように、運用時には、透視画像記憶制御機能3013bは、取得機能3012bにより取得された撮影画像72を学習済みモデルに入力し、学習済みモデルから出力された透視保存情報74に基づいて、X線撮影前後の少なくとも一方に係る透視画像を記憶するか否かを判定する。
【0102】
なお、学習済みパラメータデータ505t及びニューラルネットワーク507は、学習済みモデル50を構成する。この種の学習の方法および学習済みモデルの構築方法については、種々の方法を用いることが出来る。ニューラルネットワーク507は、プログラムの形態でメモリ303に記憶される。学習済みパラメータデータ505tは、メモリ303に記憶されてもよいし、処理回路301と接続された記憶媒体に記憶されてもよい。学習済みモデル50(ニューラルネットワーク507と学習済みパラメータデータ505t)が、メモリ303に記憶される場合、処理回路301のプロセッサにより実現される透視画像記憶制御機能3013bは、メモリ303から学習済みモデル50を読み出して実行することで、撮影画像72を学習済みモデル50に入力し、学習済みモデル50から出力された透視保存情報74に基づいて、X線撮影前後の少なくとも一方に係る透視画像を記憶するか否かを判定することができる。また、学習済みモデル50は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA (Field Programmable Gate Array)などの集積回路によって構築されてもよい。
【0103】
次に、
図15を用いて、本実施形態に係るX線診断装置1で実行される透視画像記憶処理について説明する。
図15は、本実施形態に係るX線診断装置1で実行される透視画像記憶制御処理の内容を説明するフローチャート図であり、上述した第1実施形態における
図2に対応する図である。この
図15に示す透視画像記憶制御処理では、X線診断装置1は、撮影画像72の解析結果に基づいて、透視画像をメモリ303に記憶するか否かを判定する。例えば、この透視画像記憶制御処理は、透視撮影が開始された場合に実行される処理である。なお、
図15に示すステップS19以前の処理は、上述した第1実施形態における
図2と同等であるため、説明を省略する。
【0104】
次に、
図15に示すように、X線診断装置1は、撮影関連情報として、撮影画像72を取得する(ステップS71)。この撮影画像72を取得する処理は、処理回路301における取得機能3012により実現される。具体的には、X線診断装置1は、ステップS17でX線撮影をした撮影画像72を取得する。
【0105】
次に、
図15に示すように、X線診断装置1は、撮影画像72を画像解析する(ステップS73)。この撮影画像72を画像解析する処理は、処理回路301における透視画像記憶制御機能3013bにより実現される。具体的には、X線診断装置1は、ステップS71で取得した撮影画像72を学習済みモデル50に入力して、入力した撮影画像72を画像解析し、撮影画像72の画像解析の結果に基づいて、透視保存情報74を出力する。
【0106】
次に、
図15に示すように、X線診断装置1は、透視画像を記憶するか否かを判定する(ステップS75)。この透視画像を記憶するか否かを判定する処理は、処理回路301における透視画像記憶制御機能3013bにより実現される。具体的には、X線診断装置1は、ステップS73において学習済みモデル50から出力された透視保存情報74に基づいて、透視画像を保存するか否かを判定する。
【0107】
そして、ステップS75において、透視保存情報74に基づいて、透視画像を記憶すると判定した場合、(ステップS75:Yes)、X線診断装置1は、透視画像をメモリ303に記憶する(ステップS25)。一方、ステップS75において、X線診断装置1は、透視保存情報74に基づいて、透視画像を記憶しないと判定した場合、(ステップS75:No)、X線診断装置1は、透視撮影を終了するか否かを判定する(ステップS27)。
【0108】
このステップS75より後のステップS25からステップS31は、上述した第1実施形態における
図2と同等であるため、説明を省略する。そして、ステップS31を実行することにより、第3実施形態に係る透視画像記憶制御処理を終了する。
【0109】
以上のように、本実施形態に係るX線診断装置1によれば、X線診断装置1は、X線撮影前後一定期間内に得られる撮影関連情報として、撮影画像72を取得し、取得した撮影画像72の画像解析を行い、その撮影画像72の画像解析の結果に基づいて、X線撮影の前後の透視画像をメモリ303に記憶するか否かを判定し、X線撮影の前後の透視画像をメモリ303に記憶すると判定した場合に、X線撮影の前後の透視画像をメモリ303に記憶することとしたので、適切かつ簡易に透視画像を保存することができる。すなわち、本実施形態においては、撮影画像72の画像解析により、撮影画像72に基づいてX線撮影の前後に係る前記透視画像の保存に関する透視保存情報を出力する学習済みモデル50に対して、撮影画像72を入力し、学習済みモデル50から出力された透視保存情報74に基づいて、X線撮影の前後の透視画像の保存が必要であると判定された場合に、X線撮影前後の透視画像をメモリ303に記憶することとしたので、ユーザは、追加操作を行うことなく、必要な透視画像を保存することができる。
【0110】
なお、上述した第3実施形態の説明では、X線撮影の前後の透視画像をメモリ303に記憶することとしたが、X線診断装置1は、透視画像の画像解析の結果に基づいて、X線撮影の前後のいずれかの透視画像をメモリ303に記憶するようにしてもよい。すなわち、X線診断装置1は、撮影画像の画像解析の結果に基づいて、X線撮影の前後少なくとも一方に係る透視画像をメモリ303に記憶するようにしてもよい。また、上述した第3実施形態において、X線診断装置1は、透視画像記憶制御機能3013bにより、X線撮影の前の透視画像及びX線撮影の後の透視画像の少なくとも一方を選択して、選択された透視画像をメモリ303に記憶するようにしてもよい。
【0111】
〔変形例3〕
上述した第1乃至第3実施形態に係るX線診断装置1においては、X線撮影の前後少なくとも一方に係る透視画像をメモリ303に記憶すると判定した場合に、X線診断装置1は、透視画像をメモリ303に記憶することをユーザに報知するように変形することも可能である。以下、この変形例を第1実施形態に適用した場合を変形例3として、第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0112】
図16は、変形例3に係るX線診断装置1の構成例を示すブロック図であり、上述した第1実施形態における
図1に対応する図である。この
図16に示すように、本変形例に係るX線診断装置1は、上述した第1実施形態に係るX線診断装置1に対して、処理回路301に報知機能3015を追加することにより構成されている。なお、報知機能3015は、本実施形態に係る報知部に相当している。
【0113】
報知機能3015は、透視画像をメモリ303に記憶することをユーザに報知する機能である。報知機能3015は、例えば、ディスプレイ305を介して、透視画像をメモリ303に記憶することをユーザに報知する。
【0114】
図17は、変形例3に係るX線診断装置1で実行される透視画像記憶制御処理の内容を説明するフローチャート図である。この透視画像記憶制御処理では、X線診断装置1は、撮影関連情報に基づいて、透視画像を記憶するか否かを判定したり、透視画像を記憶する場合にユーザに報知したり、透視画像をメモリ303に記憶したりする。例えば、この透視画像制御記憶処理は、透視撮影が開始された場合に実行される処理である。なお、ステップS23以前の処理は、上述した第1実施形態における
図2と同等であるため、説明を省略する。
【0115】
そして、
図17に示すステップS23において、X線診断装置1は、時間Tが閾値以上である場合、すなわち、透視画像をメモリ303に記憶すると判定した場合(ステップS23:Yes)、X線診断装置1は、透視画像をメモリ303に記憶することをユーザに報知する(ステップS81)。この報知する処理は、処理回路301における報知機能3015により実現される。具体的には、X線診断装置1は、ディスプレイ305を介して、透視画像をメモリ303に記憶することをユーザに報知する。
【0116】
図18は、本実施形態に係るX線診断装置1のディスプレイ305に表示される報知画面の一例を示す図である。
図18に示すように、例えば、X線診断装置1は、ディスプレイ305に、報知画面として、「撮影前後6秒間の透視画像を保存します。」のメッセージを表示する。これにより、ユーザは透視画像がメモリ303に記憶されることを確認することができる。
【0117】
ステップS81より後のステップS27からステップS31は、上述した第1実施形態における
図2と同等であるため、説明を省略する。そして、ステップS31を実行することにより、変形例3に係る透視画像記憶制御処理を終了する。
【0118】
以上のように、本変形例3に係るX線診断装置1によれば、透視画像をメモリ303に記憶すると判定した場合にディスプレイ305を介して、透視画像を記憶することをユーザに報知することができる。このため、X線診断装置1は、適切かつ容易に透視画像を保存することができ、ユーザは、透視画像をメモリ303に記憶することを確認することができる。
【0119】
なお、変形例3において、透視画像をメモリ303に記憶することを報知する報知態様は、ディスプレイ305への表示に限られない。つまり、ユーザへの報知態様は任意であり、例えば、X線診断装置1は、出力インターフェース309を介して、音声にて透視画像をメモリ303記憶することをユーザに報知するようにしてもよく、振動にて透視画像をメモリ303に記憶することをユーザに報知するようにしてもよい。以上のように、X線診断装置1が、出力インターフェース309を介して、透視画像をメモリ303に記憶することをユーザに報知することにより、ユーザは、ディスプレイ305を意識しなくとも、透視画像をメモリ303に記憶することを確認することができる。
【0120】
また、X線診断装置1は、ユーザに報知する際に、ユーザがメモリ303に記憶する透視画像の枚数(フレーム数)を調整できるように、メモリ303に記憶する透視画像の枚数を設定する画面をディスプレイ305に表示するようにしてもよい。また、X線診断装置1は、ユーザに報知する際に、ユーザがメモリ303に記憶するX線撮影の前後少なくとも一方に係る透視画像を選択できるように、メモリ303に記憶する透視画像を選択する選択画面をディスプレイ305に表示するようにしてもよい。さらに、上述した変形例3の説明は、第1実施形態に適用した場合の説明であるが、本変形例は、第1実施形態の変形例1、第1実施形態の変形例2、第2実施形態及び第3実施形態に対しても適用可能なことは明らかである。
【0121】
〔変形例4〕
上述した第1乃至第3実施形態に係るX線診断装置1においては、透視画像記憶制御処理において透視画像をメモリ303に記憶する際に、X線撮影により取得した撮影画像72と、X線撮影の前後少なくとも一方に係る透視撮影により撮影された透視画像と、を関連付けてメモリ303に記憶するようにしてもよい。X線診断装置1は、X線撮影により取得した撮影画像72と、X線撮影の前後少なくとも一方に係る透視撮影により撮影された透視画像とを関連付けてメモリ303に記憶することにより、撮影画像72を用いて診断する際に、その撮影画像72を取得したX線撮影の前後少なくとも一方に係る透視画像が診断材料となる場合に、ユーザは、撮影画像72と関連する透視画像を容易に把握することができる。なお、上述した変形例4の説明は、第1乃至第3実施形態だけでなく、第1実施形態の変形例1、第1実施形態の変形例2に対しても適用可能なことは明らかである。
【0122】
〔変形例5〕
また、上述した第1乃至第3実施形態に係るX線診断装置1においては、撮影画像72をディスプレイ305に表示させる際に、撮影画像72からX線撮影の前後少なくとも一方に係る透視画像に表示を切り替えて、透視画像を再生表示させるためのボタン(以下、ボタンという)をディスプレイ305に表示させることも可能である。以下、この変形例を第1実施形態に適用した場合を変形例5として、第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0123】
図19は、変形例5に係るX線診断装置1の構成例を示すブロック図であり、上述した第1実施形態における
図1に対応する図である。この
図19に示すように、本変形例に係るX線診断装置1は、上述した第1実施形態に係るX線診断装置1に対して、処理回路301に表示制御機能3016を追加することにより構成されている。なお、表示制御機能3016は、本実施形態に係る表示制御部に相当している。
【0124】
表示制御機能3016は、ディスプレイ305に撮影画像72などを表示させる機能である。また、本変形例において、表示制御機能3016は、ボタンをディスプレイ305に表示させる。
【0125】
図20は、変形例5に係るX線診断装置1で実行される画像表示処理の内容を説明するフローチャート図である。この画像表示処理では、X線診断装置1は、ユーザにディスプレイ305に表示する撮影画像72を選択させたり、ボタンをディスプレイ305に表示させたりする。例えば、この画像表示処理は、ユーザがディスプレイ305に表示する撮影画像72を選択する場合に実行される処理である。
【0126】
図20に示すように、まず、X線診断装置1は、撮影画像72を選択させる(ステップS91)。この撮影画像72を選択させる処理は、処理回路301における表示制御機能3016により実現される。具体的には、X線診断装置1は、入力インターフェース307を介して、ユーザにディスプレイ305に表示する撮影画像72を選択させる。
【0127】
次に、
図20に示すように、X線診断装置1は、透視画像が記憶されているか否かを判定する(ステップS93)。この透視画像が記憶されているか否かを判定する処理は、処理回路301における表示制御機能3016により実現される。具体的には、X線診断装置1は、ステップS91で選択された撮影画像72に係るX線撮影の前後少なくとも一方に係る透視画像がメモリ303に記憶されているか否かを判定する。
【0128】
そして、ステップS93において、透視画像が記憶されている場合(ステップS93:Yes)、X線診断装置1は、撮影画像72及びボタンを表示する(ステップS95)。この撮影画像72及びボタンを表示する処理は、処理回路301における表示制御機能3016により実現される。具体的には、X線診断装置1は、ステップS91において選択された撮影画像72、及び、ボタンをディスプレイ305に表示する。
【0129】
図21は、本変形例に係るX線診断装置1のディスプレイ305に表示される撮影画像72及びボタンの一例を示す図である。
図21に示すように、ディスプレイ305には、撮影画像72が表示されており、その撮影画像72上にボタンB1が表示されている。
【0130】
一方、ステップS93において、透視画像が記憶されていない場合(ステップS93:No)、X線診断装置1は、撮影画像72を表示する(ステップS97)。この撮影画像72を表示する処理は、処理回路301における表示制御機能3016により実現される。具体的には、X線診断装置1は、ボタンB1をディスプレイ305に表示せずに、ステップS91において選択された撮影画像72をディスプレイ305に表示する。
【0131】
このステップS95又はステップS97いずれかを実行することにより、本実施形態に係る画像表示処理を終了する。
【0132】
以上のように、本変形例に係るX線診断装置1によれば、撮影画像72がユーザにより選択され、その撮影画像72に係るX線撮影の前後少なくとも一方に係る透視画像がメモリ303に記憶されている場合には、撮影画像72とともにボタンB1をディスプレイ305に表示し、ユーザがボタンB1を選択することにより、撮影画像72からX線撮影の前後少なくとも一方に係る透視画像に表示を切り替えて、透視画像を再生表示させることができることとしたので、ユーザは撮影画像72から透視画像に容易に切り替えることができ、ユーザの利便性が向上する。
【0133】
なお、上述した変形例5においては、撮影画像72と透視画像を同時にディスプレイ305に表示するようにしてもよい。また、撮影画像72と透視画像を同時に表示する場合には、撮影画像72と透視画像を切り替えるためのボタンB1を表示しなくてもよい。また、撮影画像72と透視画像を同時に表示する場合、透視画像を表示する際に透視画像を自動的に再生表示するようにしてもよい。さらに、上述した変形例5の説明は、第1実施形態に適用した場合の説明であるが、本変形例は、第1実施形態の変形例1、第1実施形態の変形例2、第2実施形態、第3実施形態、変形例3及び変形例4に対しても適用可能なことは明らかである。
【0134】
〔変形例6〕
上述した第1乃至第3実施形態に係るX線診断装置においては、透視画像をディスプレイ305に再生表示させる際に、透視画像のフレームレートを維持するように、撮影画像72、透視画像、及び、黒画像の少なくとも1に基づいて生成した補間画像を透視画像に挿入して、透視画像をディスプレイ305に再生表示するようにすることも可能である。以下、この変形例を第1実施形態に適用した場合を変形例6として、第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0135】
図22は、変形例6に係るX線診断装置1の構成例を示すブロック図であり、上述した第1実施形態における
図1に対応する図である。この
図22に示すように、本変形例に係るX線診断装置1は、上述した第1実施形態に係るX線診断装置1に対して、処理回路301は再生制御機能3017を追加することにより構成されている。なお、再生制御機能3017は、本実施形態に係る再生制御部に相当している。
【0136】
再生制御機能3017は、透視画像をディスプレイ305に再生表示させる機能である。また、本実施形態において、再生制御機能3017は、透視画像のフレームレートを維持するように、撮影画像72、透視画像、及び、黒画像の少なくとも1つに基づいて生成した補間画像を透視画像に挿入して、透視画像をディスプレイ305に再生表示する。
【0137】
次に、
図23及び
図24を用いて、本変形例に係るX線診断装置1で実行される透視画像を再生表示する再生制御処理について説明する。
図23は、本変形例に係るX線診断装置1で実行される再生制御処理の内容を説明するフローチャート図である。
図24は、透視画像に補間画像を挿入するタイミングを示すタイミングチャート図である。この
図23に示す再生制御処理では、X線診断装置1は、透視画像の再生表示を受け付けた場合に実行される処理である。
【0138】
図23に示すように、まず、X線診断装置1は、透視画像の再生表示を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。この透視画像の再生表示を受け付けたか否かを判定する処理は、処理回路301における再生制御機能3017により実現される。具体的には、X線診断装置1は、入力インターフェース307を介して、ユーザによる透視画像の再生表示を受け付けたか否かを判定する。そして、X線診断装置1は、入力インターフェース307を介して、ユーザによる透視画像の再生表示を受け付けていない場合(ステップS101:No)、には、このステップS101を繰り返して待機する。
【0139】
一方、ステップS101において、ユーザによる透視画像の再生表示を受け付けた場合(ステップS101:Yes)、
図23に示すように、X線診断装置1は、補間画像を生成する(ステップS103)。この補間画像を生成する処理は、処理回路301における再生制御機能3017により実現される。具体的には、X線診断装置1は、X線撮影の前後の透視画像のフレームレートを維持するように、ステップS101において、再生表示を受け付けた透視画像に挿入するための補間画像を生成する。
【0140】
より具体的には、
図24に示すように、透視撮影の途中でX線撮影が行われた場合、透視撮影からX線撮影に切り替わるため、X線診断装置1には、透視画像を取得できない時間が存在する。この透視画像を取得出来ない時間には、X線撮影により撮影画像72が取得されているため、透視画像を取得できない時間に取得された撮影画像72の画質を透視画像の画質に合わせるように変更することにより、補間画像を生成する。なお、この
図24に示す透視撮影は、X線を断続的に照射して透視撮影を行うパルス透視撮影を示しているが、
図24に示す透視撮影は、X線を連続的に照射して透視撮影を行う連続透視撮影であってもよい。
【0141】
次に、
図23に示すように、X線診断装置1は、透視画像を再生表示する(ステップS105)。この透視画像を再生表示する処理は、処理回路301における再生制御機能3017により実現される。具体的には、X線診断装置1は、
図24に示すように、ステップS101において再生表示を受け付けた透視画像にステップS103において生成した補間画像を挿入してディスプレイ305に表示させることにより、透視画像を再生表示する。このステップS105を実行することにより、本実施形態に係る再生制御処理を終了する。
【0142】
以上のように、本変形例に係るX線診断装置1によれば、透視撮影の途中でX線撮影が行われ、透視画像を取得していない時間が存在しても、撮影画像72に基づいて生成した補間画像を透視画像に挿入して、透視画像をディスプレイ305に再生表示することとしたので、ユーザは、透視画像のフレームレートが維持された透視画像の再生表示を確認して診断することができる。
【0143】
なお、透視画像の再生表示中に、補間画像が表示される場合には、X線診断装置1は、補間画像であることを示す情報をディスプレイ305に表示するようにしてもよい。また、生成する補間画像は撮影画像72を用いる場合に限られない。例えば、X線診断装置1は、X線撮影の直前に透視撮影された透視画像に基づいて補間画像を生成してもよい。すなわち、透視画像を再生表示した場合に、透視画像を取得できていない部分について、X線診断装置1は、X線撮影の直前に透視撮影された透視画像を表示するようにしてもよい。また、例えば、X線診断装置1は、補間画像として黒画像を生成して、この黒画像を透視画像に挿入して、透視画像を再生表示するようにしてもよい。さらに、1枚の補間画像ではフレームレートを維持出来ない場合には、撮影画像72、透視画像及び黒画像の少なくとも1つに基づいて、複数の補間画像を生成して、生成した補間画像を透視画像に挿入して、透視画像を再生表示するようにしてもよい。
【0144】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成して構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、プロセッサは、プロセッサ単一の回路として構成されている場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて、1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合して、その機能を実現するようにしてもよい。
【0145】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置及び方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置及び方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲及びこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0146】
1…X線診断装置、10…撮影装置、30…コンソール装置、101…X線照射部、103…高電圧装置、105…X線検出器、107…寝台、301…処理回路、303…メモリ、305…ディスプレイ、307…入力インターフェース、309…出力インターフェース