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特開2023-134243養殖装置、農産物栽培装置、及び農産物栽培方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134243
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】養殖装置、農産物栽培装置、及び農産物栽培方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/00 20170101AFI20230920BHJP
   A01K 63/04 20060101ALI20230920BHJP
   A01G 31/00 20180101ALI20230920BHJP
【FI】
A01K63/00 C
A01K63/04 A
A01K63/04 C
A01G31/00 602
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039656
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】521359999
【氏名又は名称】齋藤 武彦
(71)【出願人】
【識別番号】521359988
【氏名又は名称】齋藤 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】110000822
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル知財
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 武彦
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 由美子
【テーマコード(参考)】
2B104
2B314
【Fターム(参考)】
2B104AA17
2B104AA22
2B104CA01
2B104CB02
2B104EA01
2B104EB13
2B104ED01
2B314MA23
(57)【要約】
【課題】養殖槽中の水に均等かつ幅広く酸素供給でき、生産性が向上する養殖装置や農産物栽培装置を提供する。
【解決手段】養殖槽2、曝気装置3、浄化槽6及びポンプ9を備える。浄化槽6は、養殖槽2の前段に設けられ、仕切り網7aにより区切られる。吸水口6aから養殖水8を取込み、浄化フィルタ61を用いて養殖水8を浄化する。区画2aと区画2bは仕切り網7b、区画2bと区画2cは仕切り網7c、区画2cと区画2dは仕切り網7d、区画2dと区画2eは仕切り網7e、また区画2eと区画2fは仕切り網7fを用いて区切られる。曝気装置3は、撹拌部3a、撹拌部3b、撹拌部3c、撹拌部3d、撹拌部3e、撹拌部3f、撹拌部3g、撹拌部3h、撹拌部3i、撹拌部3j及び駆動部30から成る。排水口5a、排水口5b、排水口5c及び排水口5dは、排水管4aに接続され、排水管4aに流された養殖水8はポンプ9により吸水口6aへと送られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
養殖槽に養殖水を流して水棲生物の養殖を行う装置であって、
蛇行型の水路を備える養殖槽と、
前記養殖槽内の前記水路の短手方向に延びる長尺状の棒体から成る軸部の周囲に、1つ又は複数の撹拌具が設けられた複数の撹拌部を、駆動部により回動して、前記養殖水の撹拌を行う曝気装置と、
蛇行で折り返される前記水路に設けられる前記軸部を長尺方向に連通する連通機構と、
前記養殖水の吸水口と排水口と、
を備えたことを特徴とする養殖装置。
【請求項2】
前記軸部において、前記水路の長手方向に隣接する前記棒体に設けられる前記撹拌具は、互いに干渉しない位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の養殖装置。
【請求項3】
前記軸部は、連通する前記水路毎に分割して設けられ、
前記駆動部は、分割された前記軸部を、同時又は個別に駆動することを特徴とする請求項1又は2に記載の養殖装置。
【請求項4】
前記養殖槽は、前記水路が折り返される箇所に区画分け用の仕切り網が設置されることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の養殖装置。
【請求項5】
前記養殖槽の前段には、浄化フィルタにより前記養殖水を浄化する浄化槽が設けられ、
前記養殖槽と前記浄化槽の境界に、区分け用の仕切り網が設置されることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の養殖装置。
【請求項6】
前記排水口は、排水管を介してポンプに接続され、前記ポンプから排水管を介して前記養殖水が前記吸水口へと送られることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の養殖装置。
【請求項7】
前記排水口には、前記養殖槽の床面から所定の高さの位置及び当該位置を超える位置に吸水用の複数の貫通孔を有する円筒状の排水装置が設けられることを特徴とする請求項1~6の何れかに記載の養殖装置。
【請求項8】
前記養殖槽の側部に、増水対策用排水口が設けられることを特徴とする請求項1~7の何れかに記載の養殖装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れかの養殖装置において、
前記養殖槽は土が盛られ、前記養殖水は自然水又は水道水であり、
前記曝気装置は土を耕すときに駆動され、農産物の栽培を行うことを特徴とする農産物栽培装置。
【請求項10】
請求項1~8の何れかの養殖装置を、水耕栽培用作物の栽培を行う装置として用いることを特徴とする農産物栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水棲生物の養殖や農産物の栽培において生産性を向上する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水棲生物の養殖においては、継続的に水中に酸素を供給する必要があり、従来から養殖設備においては、曝気装置を用いて水中への酸素の供給が行われている。例えば、養魚池の浮設し、水を下方から吸い込んで上方に散布して水中に酸素を供給する曝気装置が知られている(特許文献1を参照)。
また、養鰻設備に関し、飼育池と、排水路と、酸素バブルを供給する酸素バブル供給装置と、飼育水供給管とを設けた養鰻設備が知られている(特許文献2を参照)。これは、酸素バブル供給装置を曝気装置として用いるものである。
しかしながら、特許文献1の曝気装置や、特許文献2の養鰻設備は、養魚池や養殖槽の一部に設置された曝気装置において酸素の供給を行うに過ぎないため、酸素が供給された水を、養魚池や養殖槽の全体に満遍なく供給することが難しく、養魚の生育に悪影響を及ぼしかねないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実全昭57-115699号公報
【特許文献2】特開2019-180374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる状況に鑑みて、本発明は、養殖槽中の水に均等かつ幅広く酸素供給でき、生産性が向上する養殖装置、それを利用した農産物栽培装置および農産物栽培方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく、本発明の養殖装置は、養殖槽に養殖水を流して水棲生物の養殖を行う装置であって、蛇行型の水路を備える養殖槽と、養殖槽内の水路の短手方向に延びる長尺状の棒体から成る軸部の周囲に、1つ又は複数の撹拌具が設けられた複数の撹拌部を、駆動部により回動して、養殖水の撹拌を行う曝気装置と、蛇行で折り返される水路に設けられる軸部を長尺方向に連通する連通機構と、養殖水の吸水口と排水口と、を備える。
曝気装置と連通機構を備えることにより、1つの撹拌部により複数の水路内の養殖水を撹拌できる。
【0006】
本発明の養殖装置の軸部において、水路の長手方向に隣接する棒体に設けられる撹拌具は、互いに干渉しない位置に設けられることが好ましい。撹拌具同士が、互いに干渉しない位置に設けられることにより、棒体相互間の間隔を小さくでき、効果的に養殖水を撹拌できる。撹拌具の設け方としては、例えば、撹拌具の配置位置を互い違いに設けてもよい。
【0007】
本発明の養殖装置において、軸部は、連通する水路毎に分割して設けられ、駆動部は、分割された軸部を、同時又は個別に駆動することが好ましい。軸部が分割されることにより、個別に駆動でき、養殖する水棲生物の種類に合わせた曝気が容易にできることとなる。また、省エネ性能の向上にも役立つ。また、分割された軸部と、分割されない軸部が混在する構成としてもよい。
【0008】
本発明の養殖装置において、養殖槽は、水路が折り返される箇所に区画分け用の仕切り網が設置されることでもよい。区画分け用の仕切り網が設置されることにより、多様な種類の水棲生物を同時に養殖できる。したがって、仕切り網は、養殖水の流動性は維持しつつ、養殖対象となる水棲生物の移動を制限できるものであればよいため、狭義の意味の網に限られず、例えば柵のような形状でもよい。また、網目のサイズ等についても養殖する水棲生物の種類に合わせて適宜選択できる。養殖する水棲生物としては、例えば、シジミやエビなどが挙げられる。
【0009】
本発明の養殖装置において、養殖槽の前段には、浄化フィルタにより養殖水を浄化する浄化槽が設けられ、養殖槽と浄化槽の境界に、区分け用の仕切り網が設置されることが好ましい。浄化槽が設けられることにより、養殖水の水質が安定し、生産性が向上する。また、区分け用の仕切り網が設置されることにより、浄化槽へ水棲生物が流入することを防止できる。なお、区分け用の仕切り網についても、区画分け用の仕切り網と同様に、多様な形状・サイズのものを適用可能である。
【0010】
本発明の養殖装置において、排水口は、排水管を介してポンプに接続され、ポンプから排水管を介して養殖水が吸水口へと送られることが好ましい。かかる構成とされることにより、排水を有効に利用でき、効率的な養殖が可能となる。
【0011】
本発明の養殖装置において、排水口には、養殖槽の床面から所定の高さの位置及び当該位置を超える位置に吸水用の複数の貫通孔を有する円筒状の排水装置が設けられることが好ましい。貫通孔を設ける高さを適宜調整した排水装置を取り付けることで、養殖する水棲生物の種類に合わせた水位の調整が可能となる。
【0012】
本発明の養殖装置は、養殖槽の側部に、増水対策用排水口が設けられることが好ましい。これにより、大雨などによる増水にも対応可能な装置とすることができる。
【0013】
本発明の農産物栽培装置は、上記の何れかの養殖装置において、養殖槽は土が盛られ、養殖水は自然水又は水道水であり、曝気装置は土を耕すときに駆動され、農産物の栽培を行うことを特徴とする。かかる構成とされることにより、農地に農業用水を供給し、かつ、効果的に農地を耕すことができ、生産性の高い栽培装置が実現できる。セリ、ワサビ、レンコンなど幅広い農産物を栽培可能である。
また、本発明の農産物栽培方法は、上記の何れかの養殖装置を、水耕栽培用作物の栽培を行う装置として用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の養殖装置によれば、養殖槽中の水に均等かつ幅広く酸素供給でき、生産性が向上するといった効果がある。また、本発明の養殖装置を利用した農産物栽培装置および農産物栽培方法によれば、農地を均等かつ幅広く耕すことができ、生産性が向上するといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1の養殖装置の平面図
図2】実施例1の撹拌部の説明図(1)
図3】実施例1の撹拌部の説明図(2)
図4】実施例1の撹拌部の説明図(3)
図5】排水装置の説明図
図6】実施例2の養殖装置の平面図
図7】実施例3の撹拌部の説明図
図8】実施例4の撹拌部の説明図
図9】排水口の説明図
図10】仕切り網の説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【実施例0017】
図1は、実施例1の養殖装置の平面図を示している。図1に示すように、養殖装置1は、養殖装置1は、養殖槽2、曝気装置3、浄化槽6及びポンプ9を備える。浄化槽6は、養殖槽2の前段に設けられ、区分け用の仕切り網7aにより、区切られている。浄化槽6の吸水口6aから養殖水8を取り込み、浄化フィルタ61を用いて養殖水8を浄化する。浄化フィルタ61は活性炭に、砂、砂利、土、さらには、炭、鉄粉を混ぜたものが用いられているが、その他の公知の浄水用フィルタを用いてもよい。浄化された養殖水8は、浄化槽2へと送られる。
【0018】
養殖槽2は、区画分け用の仕切り網(7b~7f)を用いて、区画(2a~2f)に区切られており、異なる種類の水棲生物を養殖可能である。具体的には、区画2aと区画2bは仕切り網7b、区画2bと区画2cは仕切り網7c、区画2cと区画2dは仕切り網7d、区画2dと区画2eは仕切り網7e、また区画2eと区画2fは仕切り網7fを用いて区切られている。このように、図1に示す養殖槽2では、水路が区画毎に屈曲して蛇行するように設けられているが、養殖槽2の形状は、図1に示す例に限られず、例えば、湾曲して蛇行する形状でもよい。
図10は、仕切り網の説明図であり、(1)は仕切り網の正面図、(2)は仕切り網7bの取付け平面イメージ図を示している。図10(1)に示すように、仕切り網7は、枠体71及び網部72から成り、枠体71の内側に網部72が張設されている。取り付けの際には、養殖槽2の側部に設けられた凹部22と又は浄化槽6の底部に設けられた凸部21により形成された溝に仕切り網7の下端を嵌合させて取り付ける。仕切り網(7a~7f)は、構造は同様であるが、それぞれのサイズについては設置箇所や養殖する水棲生物に合わせて、適宜変更したものを取り付け可能である。ここでは仕切り網7bを例に説明すると、図10(2)に示すように、養殖槽2の側部に設けられた凹部(22a,22b)と、凸部21aと凸部21bの間に設けられた溝に、仕切り網7を嵌合させて取り付けることにより、養殖槽2と仕切り網7の間に間隙が生じることを防止できる。これにより、区画相互間における水棲生物の移動を防止でき、養殖水8のみを通すことができる。なお、仕切り網7における網部72は、図10(1)に示す形状やサイズに限られず、養殖する水棲生物に適した形状やサイズのものを適用できる。
また、仕切り網(7b~7f)は脱着が容易な構造となっており、養殖する水棲生物の種類や数に応じて、区画を調整できる。養殖槽2では、シジミやエビ、その他魚の養殖が可能である。
なお、仕切り網ではなく、網が無い仕切りパネルで、仕切りパネルの高さを調整することにより、仕切りパネルを介して水が次の水路に流れる構造にして、水路の水面を調整することも可能である。
【0019】
養殖槽2には、曝気装置3が設けられている。曝気装置3は、撹拌部(3a~3j)及び駆動部30から成り、撹拌部(3a~3j)は、駆動部30により、個別に駆動できる。また、養殖槽2には、撹拌部(3a~3j)の軸部を長尺方向に連通する貫通孔(図示せず)が連通機構として設けられており、更に、撹拌部(3a~3j)は、区画(2a~2f)毎に分割して設けられているため、それぞれ区画(2a~2f)毎に、駆動することも可能であるし、同時に駆動することも可能である。区画(2a~2f)毎の駆動は、回路的に行われる。
また、撹拌のスピードについても、駆動部30により調整可能である。例えば、撹拌部(3a~3j)が低速で作動することにより、養殖槽2内の養殖水8がゆっくりと攪拌され、養殖水8中に空気を取り込みつつ、流水のようなゆっくりとした流れを人工的に作ることができる。なお、撹拌部(3a~3j)の一部を取り外して利用することも可能である。
【0020】
図2~4は、実施例1の撹拌部の説明図であり、図2(1)は1つの撹拌部の説明図、図2(2)は図2(1)におけるA-A断面図、図3は隣接する撹拌部相互間の説明図、図4は断面イメージを用いた隣接する撹拌部相互間の説明図を示している。
図2(1)に示す撹拌部3aは、説明の便宜上、区画2aに設けられる部位のみを示しているが、区画(2b~2f)に設けられる部位についても同様の構造を有している。
撹拌部3aは、長尺状の棒体から成る軸部31と、軸部の周囲に設けられる撹拌具(31a~31h)から成り、図2(2)に示すように軸部31を軸中心に回動し、撹拌具(31a~31h)が養殖水8を撹拌する構造である。
【0021】
また、図3に示すように、撹拌部3aと撹拌部3bは隣接しているが、図2(1)及び(2)に示すように、撹拌部3aの撹拌具(31e~31h)と撹拌部3bの撹拌具(32a~32d)は、何れも軸部(31,32)側から外側に向けて略90°捻じれが設けられ、それぞれの端部同士が当接しないように配置されている。また、略90°捻じれが設けられることにより、撹拌具(31a~31h,32a~32h)の端部の長手方向が軸部(31,32)の回転方向と一致するため、軸部(31,32)が回転する際に、撹拌具(31a~31h,32a~32h)の端部にかかる力を効率的に逃がすことができる。更に、図4に示すように、図2(2)と同様に断面イメージで示すと、撹拌部3aと撹拌部3bが隣接し、撹拌部3bと撹拌部3cについても隣接し、撹拌部(3a~3c)はそれぞれ軸部(31~33)を軸中心に回動するが、断面イメージにおいて、撹拌部3aの撹拌具(31a,31e)と撹拌部3bの撹拌具(32a,32e)が重なり合ったとしても、図3に示すように、撹拌部3aの撹拌具(31a~31h)と撹拌部3bの撹拌具(32a~32h)とは、当接しない構造である。これは、撹拌部3bと撹拌部3cについても同様である。
【0022】
図1に示すように、養殖槽2には排出口(5a~5d)が設けられており、養殖槽2内の水位が上昇し過ぎることを防止する役割を果たしている。排出口の位置は、排出口(5a~5d)の位置に限られず、仕切り網(7a~7f)と干渉しない範囲で養殖槽2内の任意の位置に設けることが可能である。図9は、排水口の説明図を示している。図1には図示していないが、本実施例では図9に示すように、養殖槽2には排出口(5a~5d)以外にも、排出口(5e~5p)が設けられている。なお、図9では説明の都合上、曝気装置3を図示していない。
図5は、排水装置の説明図を示している。図5に示すように、排水装置5は、略円筒形状の排水装置本体51及び固定部52で構成され、固定部52を、養殖槽2に設けられた排水口(5a~5d)に当接し、留め具53を用いて固定している。ここでは、排水口5aを例に説明しているが、排水口(5b~5p)にも同様の排水装置が取り付けられる。
【0023】
排水装置本体51の略中段から上方にかけては、多数の貫通孔54が設けられており、貫通孔54から流入した養殖水8が排水装置本体51内部を通り、排水口5aから排水管4aへと流れる構造である。図5に示す排水装置本体51では、略中段から上方にかけて貫通孔54が設けられているため、例えば、養殖槽2内に多くの養殖水8が流入し、水位8aの状態となった場合には、貫通孔54から養殖水8が流れ出るが、例えば、水位8bの状態となった場合には、排水装置本体51の下段には貫通孔54が設けられていないため、高さHより低い位置に存在する養殖水8は流れ出ることはなく、一定の水位が維持される。
したがって、高さHの異なる排水装置5を排水口(5a~5p)に取り付けることで、養殖する水棲生物の種類に合った水位を容易に維持することができる。
【0024】
図1に示すように、排水口(5a~5d)は、排水管4aに接続されており、また図9では図示していないが、排水口(5e~5p)についても、排水管4aに接続されている。排水管4aに流された養殖水8はポンプ9を用いて、再度、吸水口6aへと送られる。さらに、排水管4aは、T型配管40を備え、バルブ41を操作して排水管4cを通して、養殖水8を外部に排出できる。本実施例では、養殖水8が循環して利用される例について説明するが、ダムの水や水道水を吸水口6aから取り込み、排水管4cを通して、排出水を川などに排出してもよい。
排水口(5a~5p)の内、排水口5bのみが他の排水口(5a,5c~5p)よりも径が大きく設けられているのは、排水口5bが排水管4a内のメンテナンスを行うために利用されるからであり、具体的には一般的なマンホールと略同等の径を有している。
【0025】
また、排水口(5a~5p)とは別に、養殖槽2の側部には、増水対策用の排水口50が設けられている。排水口50は、大雨などが降った場合に、養殖水8を外部に排出するために設けられたものであり、排水口50から排出された養殖水8は、排水管4bを通り外部に排出される。
【実施例0026】
図6は、実施例2の養殖装置の平面図を示している。図6に示すように、実施例2の養殖装置10では、実施例1の養殖装置1に設けられていた仕切り網(7b~7f)が設けられていない。例えば、1種類の水棲生物を養殖する場合には、このように、養殖槽2内に仕切り網を設けない構成としてもよい。
【実施例0027】
実施例1の撹拌部(3a~3f)における撹拌具の取り付け位置は、実施例1に示す例に限られない。図7は、実施例3の撹拌部の説明図を示している。図7(1)に示すように、実施例3の撹拌部3aについて撹拌具(31e~31h)を設けず、撹拌具(31a~31d)のみが設けられる構成となっている。
また、図7(2)に示すように、軸部31の軸周りに4つの撹拌具(31a,31e,31i,31j)が設けられる構成としてもよいし、図7(3)に示すように、3つの撹拌具(31a,31k,31l)が設けられる構成としてもよい。
【実施例0028】
実施例1の撹拌部(3a~3f)における撹拌具の形状についても、実施例1に示す例に限られない。図8は、実施例4の撹拌部の説明図であり、(1)はは1つの撹拌部の説明図、(2)は(1)におけるB-B断面図を示している。図8(1)及び(2)に示すように、撹拌部340は、軸部34の周囲に撹拌具(34a~34h)が設けられている。撹拌具(34a~34h)は、何れも軸部34側から外側に向けて略450°捻じれが設けられている。実施例1よりも捻じれを大きく設けることにより、撹拌性能を高めることができる。また、撹拌具(34a~34h)の端部の長手方向が軸部34の回転方向と一致するため、軸部34が回転する際に、撹拌具(34a~34h)の端部にかかる力を効率的に逃がすことができる。
【0029】
(その他の実施例)
実施例1~4では、水棲生物を養殖する装置について説明したが、例えば、実施例2の養殖装置10の養殖槽2を農産物の栽培に用いることも可能である。養殖槽2は土が盛られ、養殖水8として自然水又は水道水を用い、曝気装置3は土を耕すときに駆動することで、生産性の高い栽培が可能となる。土耕栽培に限られず、養殖槽2に土を盛らず、水耕栽培を行ってもよい。セリ、ワサビ、レンコンなど幅広い農産物を栽培できる。
また、実施例2の養殖装置10の養殖槽2を農産物の栽培に用いる場合には、更に、散水装置を併用してもよい。散水装置としては、ホースなどに複数の孔が形成され、朝と夕方など、所定のタイミングで自動的に散水する装置が好適に用いられる。装置の稼働に用いられる電力は、太陽光パネル等により給電することでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、水棲生物の養殖や農産物の栽培において生産性を向上する技術として有用である。
【符号の説明】
【0031】
1,10 養殖装置
2 養殖槽
2a~2f 区画
3 曝気装置
3a~3f,340 撹拌部
4a,4b 排水管
5 排水装置
5a~5p,50 排水口
6 浄化槽
6a 吸水口
7,7a~7f 仕切り網
8 養殖水
8a,8b 水位
9 ポンプ
21,21a,21b 凸部
22,22a,22b 凹部
30 駆動部
31~34 軸部
31a~31l,32a~32h,33a,33e,34a~34h 撹拌具
40 T型配管
41 バルブ
51 排水装置本体
52 固定部
53 留め具
54 貫通孔
61 浄化フィルタ
71 枠体
72 網部
H 高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10