(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134305
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】地下構造検出装置および地下構造検出方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/70 20170101AFI20230920BHJP
G01V 3/12 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
G06T7/70
G01V3/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039763
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金丸 隆
(72)【発明者】
【氏名】喬 暁蕊
【テーマコード(参考)】
2G105
5L096
【Fターム(参考)】
2G105AA02
2G105BB11
2G105CC01
2G105DD02
2G105EE01
2G105LL02
5L096AA09
5L096BA08
5L096CA27
5L096DA04
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】地下構造検出装置において、レーダにより検知した地下の埋設物を精度よく検出する。
【解決手段】地下構造検出装置は、地中の断面が示される複数の2次元データと地下構造が示される3次元データに基づいて、地下構造を構成する構成要素と構成要素の種類と位置・姿勢情報を含む情報を検出する。このとき、2次元データと3次元データを合成した合成データに対して、2次元データから把握される画像特徴に基づいて、合成データの表す構成要素の位置・姿勢情報を補正する。このとき、道路に対しての横断方向に判定するとき、閾値以上に連続の画像に含まれるときには、横断管と判定し、道路に対しての縦断方向に判定するとき、閾値以下の連続の画像に含まれるときには、縦断管と判定し、それぞれの方向に対する姿勢の補正を行う。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中の断面が示される複数の2次元データと地下構造が示される3次元データに基づいて、地下構造を構成する構成要素と前記構成要素の種類と位置・姿勢情報を含む情報を検出する地下構造検出装置であって、
前記2次元データと前記3次元データを合成した合成データに対して、前記2次元データから把握される画像特徴に基づいて、前記合成データの表す構成要素の位置・姿勢情報を補正することを特徴とする地下構造検出装置。
【請求項2】
前記2次元データにおいて前記構成要素の示す画像特徴が、第一の方向に従って所定の第一の閾値以上に連続の画像に含まれることを第一の判定条件とし、前記第一の判定条件が成り立つときには、前記第一の方向につながった2次元データに基づいて、前記合成データの表す構成要素の位置・姿勢情報を補正し、
前記2次元データにおいて前記構成要素の示す画像特徴が、第二の方向に従って所定の第二の閾値以下の連続の画像に含まれることを第二の判定条件とし、前記第二の判定条件が成り立つときには、前記第二の方向につながった2次元データに基づいて、前記合成データの表す構成要素の位置・姿勢情報を補正することを特徴とする請求項1記載の地下構造検出装置。
【請求項3】
前記構成要素が管であり、
前記第一の方向は、道路に対しての横断方向であり、
前記第二の方向は、道路に対しての縦断方向であることを特徴とする請求項2記載の地下構造検出装置。
【請求項4】
前記第一の判定条件と前記第二の判定条件の両者に対して、判定を行うことを特徴とする請求項1記載の地下構造検出装置。
【請求項5】
前記構成要素が管であり、
前記第一の判定条件と前記第二の判定条件の両者に対して、判定が成り立つときに、前記管の種類がT字管またはL字管であるという情報を含めて出力することを特徴とする地下構造検出装置。
【請求項6】
さらに、道路の路面の状態を撮影して路面データを得る手段と、
地下構造に関する設計図から設計図データを得る手段とを有し、
前記2次元データと前記3次元データを合成した合成データから構成要素を検出した3次元検出データと、前記路面データから構成要素を検出した路面検出データと、前記設計図データから構成要素を検出した設計図検出データとに基づいて、前記構成要素の種類と位置を求めることを特徴とする請求項1記載の地下構造検出装置。
【請求項7】
地中の断面が示される複数の2次元データと地下構造が示される3次元データに基づいて、地下構造を構成する構成要素と前記構成要素の種類と位置・姿勢情報を含む情報を検出する地下構造検出装置の地下構造検出方法であって、
前記2次元データと前記3次元データを合成して合成データを作成するステップと、
前記2次元データと前記3次元データを合成した合成データに対して、前記2次元データにおいて前記構成要素の示す画像特徴が、第一の方向に従って所定の第一の閾値以上に連続の画像に含まれることを第一の判定条件として判定するステップと、
前記第一の判定条件が成り立つときには、前記第一の方向につながった2次元データに基づいて、前記合成データの表す構成要素の位置・姿勢情報を補正するステップと、
前記2次元データと前記3次元データを合成した合成データに対して、前記2次元データにおいて前記構成要素の示す画像特徴が、第二の方向に従って所定の第二の閾値以下の連続の画像に含まれることを第二の判定条件として判定するステップと、
前記第二の判定条件が成り立つときには、前記第二の方向につながった2次元データに基づいて、前記合成データの表す構成要素の位置・姿勢情報を補正するステップとを有することを特徴とする地下構造検出方法。
【請求項8】
前記構成要素が管であり、
前記第一の方向は、道路に対しての横断方向であり、
前記第二の方向は、道路に対しての縦断方向であることを特徴とする請求項7記載の地下構造検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下構造検出装置および地下構造検出方法に係り、特に、レーダにより検知した地下の埋設物を精度よく検出するのに好適な地下構造検出装置および地下構造検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市の再開発または無電柱化対策等が行われることによって、地下空間の利用が積極的に行われている。地下空間には、水道管、ガス管、通信線、電線等の埋設物が存在し、水道や電気工事などの工事着工前にそれら埋設物を調査することが求められる。地下空間の調査には、地面を掘削せずとも調査可能な地中レーダによる探査が行われる。
【0003】
地下の埋設物に関して、道路よりレーダにより計測する技術については、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1に記載された3次元路面下診断システムは、車両などの移動体からレーダを照射し、路面下を探査する。また、カメラやレーザスキャナにより路面状態を計測する。そして、移動体の3次元位置情報を高精度に取得し、3次元位置情報を路面状態計測データ、路面下探査データに付加することにより、それら情報を統合化し、一体データとしての活用することができるとしている。
【0004】
また、地中深くに位置する構成要素を検出するために、複数のレーダ画像に基づいて地下構造の3次元モデルを生成し、地中深くに位置する構成要素を明確化する方法が考えられる。
【0005】
3Dデータと2D画像により、物体の位置姿勢の推定を行う技術については、例えば、特許文献2に開示がある。特許文献2に記載された位置姿勢推定装置では、3Dセンサにより、物体の3次元座標を取得し、第1の位置姿勢推定部が3Dデータを用いて、6パラメータ(並進x,y,zおよび回転φ,γ,θ)を最適化し、第2の位置姿勢推定部146は、その結果を基に、2D画像で精度よく推定可能な3パラメータ(並進x,yおよび回転θ)のみを最適化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-90345号公報
【特許文献2】特開2019-109747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された3次元路面下診断システムによれば、路面状態カメラ画像および路面状態3次元点群データと、深度方向情報とを統合することによって、路面状態と路面下状態との位置関係を正確に把握することができるとしている。しかしながら、特許文献1に記載された3次元路面下診断システムには、地下構造の構成要素の位置・姿勢を判別する機能が備えられていない。
【0008】
地中レーダによる探査において、より地中深くに位置する構成要素がレーダ画像に鮮明に表示されない場合が考えられる。これによって、レーダ画像のみを使用する地下構造の検出では、路面付近の構成要素を検出することに留まる。
【0009】
特許文献2に記載された技術は、3次元モデルを2次元画像情報により最適化して、物体の姿勢を精度よく求める技術である。しかしながら、その測距方式のために例えば最前面の被写体しか計測できず、そのまま地中探査に応用することはできない。
【0010】
本発明の目的は、レーダにより検知した地下の埋設物を精度よく検出することのできる地下構造検出装置、地下構造検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の地下構造検出装置の特徴は、好ましくは、地中の断面が示される複数の2次元データと地下構造が示される3次元データに基づいて、地下構造を構成する構成要素と構成要素の種類と位置・姿勢情報を含む情報を検出する地下構造検出装置であって、2次元データと3次元データを合成した合成データに対して、2次元データから把握される画像特徴に基づいて、合成データの表す構成要素の位置・姿勢情報を補正するようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、レーダにより検知した地下の埋設物を精度よく検出することのできる地下構造検出装置、地下構造検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】地下構造検出装置の概要構成と地下構造の検出する様子を示す図である。
【
図2】地下構造検出装置のハードウェア・ソフトウェア構成を示す図である。
【
図3】測定データ、設計図データを説明する図である。
【
図4】地下構造検出装置が測定データ、設計図データの取得から構成要素の解析結果を出力するまでの一連の処理を示す概要フローチャートである。
【
図5】3次元モデル生成・構成要素分類処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図6】構成要素の位置・姿勢推定処理を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態1の2次元データによる補正処理を示すフローチャートである。
【
図8A】横断管における画像特徴を説明する図である。
【
図8B】縦断管における画像特徴を説明する図である。
【
図9】構成要素複合情報に対する構成要素特定処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図10】構成要素複合情報と構成要素種類・位置情報の具体的な流れを説明した図である。
【
図11】構成要素の異種類ペアの判別処理を示すフローチャートである。
【
図12】構成要素情報表示画面の一例を示す図である。
【
図13】実施形態2に係る2次元データによる補正処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る各実施形態を、
図1ないし
図13を用いて説明する。
【0015】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1を、
図1ないし
図12を用いて説明する。
なお、本実施形態における地下構造とは、地下に埋設される水道管、ガス管、通信線または電線等の埋設物と、地下の空洞とを含む地下空間における構造(状態、位置)をいう。また、構成要素とは、地下構造を構成する要素をいう。すなわち、構成要素は、例えば、地下に埋設される水道管、ガス管、通信線または電線等の埋設物または地下の空洞等である。
【0016】
先ず、
図1および
図2を用いて地下構造検出装置の構成について説明する。
なお、以下の説明において、3次元座標系として、X軸方向として車両が移動する方向(道路方向)、Y軸方向として車両の幅方向(道路の幅方向)、Z軸方向として地中の深さ方向(鉛直下向き方向)をとって説明することとする。
【0017】
図1に示される地下構造検出装置1は、地下構造を検出し、検出した地下構造の情報(位置、大きさ、その他の構成要素に関する付随的情報)をユーザに出力する装置である。すなわち、地下構造検出装置1は、例えば、地中探査レーダが備えられる車両2から取得した地下構造の測定データに基づいて、地下構造を検出する。地下構造検出装置1は、例えば、検出した地下構造の情報を表示装置(
図2により後述)に表示させる。
【0018】
地下構造検出装置1は、
図2に示されるように、ネットワーク5を介して車両2、データベースサーバ70、ユーザ端末6と接続されている。
なお、地下構造検出装置1は、車両2から地下構造の測定データを取得することに限らず、人力で移動可能な手押し式地中探査レーダまたは携帯可能な携帯式地中探査レーダ等の装置から地下構造の測定データを取得してもよい。
【0019】
車両2は、道路40の方向に進行して、
図1に示されるように測定装置23によって、地下空間および路面41を連続的に測定する。測定装置23には、地中探査レーダ231およびカメラ232が備えられている。地中探査レーダ231は、車両2の幅方向に複数備えられ、レーダ24をZ軸方向に照射することによって地下空間を連続的に測定する。
【0020】
地中探査レーダ231は、例えば、車両2の移動に伴い、構成要素3、すなわち、マンホール31、空洞32、水道管33(
図1による図示では、水道管33(1)、水道管33(2))を測定する。水道管33(1)、水道管33(2)は、共に道路に対して横断管(後述)であり、水道管33(2)は、水道管33(1)よりもZ座標が大きい位置(すなわち、地中のより深い位置)に位置している。地中探査レーダ231の地下空間の測定データは、レーダデータ処理部22によって、無線により地下構造検出装置1に送られる。
【0021】
また、測定装置23に備えられるカメラ232は、路面41を連続的に撮影する。撮影画像には、例えば、路面41に見えるマンホール31が表示される。路面の撮影画像は、カメラデータ処理部21によって、無線により地下構造検出装置1に送られる。
【0022】
地下構造検出装置1は、
図1に示されるように、3次元モデル生成部11、3次元モデル構成要素検出部12、路面データ構成要素検出部13、設計図データ構成要素検出部14、構成要素情報処理部15、表示部16を備える。
【0023】
3次元モデル生成部11は、地中探査レーダ231の測定データに基づいて、地下構造が示される3次元モデル(具体的なイメージは、後述)を生成する機能部である。
【0024】
3次元モデル構成要素検出部12は、3次元モデル生成部11によって生成された3次元モデルに基づいて、地下構造を構成する構成要素を検出する機能部である。3次元モデル構成要素検出部12の検出結果の一例としての3次元検出データ201(
図5により後述)には、例えば、構成要素の種類情報、位置情報または形状情報がある。3次元モデル構成要素検出部12は、3次元検出データ201を構成要素情報処理部15へ送る。
【0025】
3次元モデル構成要素検出部12が構成要素の位置情報や形状情報を生成する処理の詳細については、
図6および
図7を用いて後述する。
【0026】
路面データ構成要素検出部13は、路面41を撮影してカメラデータ処理部21から取得した路面データ131(
図3により後述)に基づいて、路面上の構成要素を検出する機能部である。
【0027】
路面データ構成要素検出部13は、例えば、路面データ131からマンホール31を検出する。路面データ構成要素検出部13の検出結果の一例としての路面検出データ202(
図5により後述)には、例えば、路面上の構成要素の種類情報、位置情報または形状情報がある。路面データ構成要素検出部13は、路面検出データ202を構成要素情報処理部15へ送る。
【0028】
設計図データ構成要素検出部14は、設計図データ141(
図3により後述)に示される構成要素を検出する機能部である。
設計図データ構成要素検出部14は、地下構造の設計図データ141(
図3による図示では、141(1)、141(2))を取得する。
【0029】
設計図データ141は、紙媒体の設計図がデジタル化されたものでもよい。ユーザは、例えば、スキャナ等によって紙媒体の設計図をデジタル化し、設計図データ構成要素検出部14にデジタル化された設計図データ141を入力してもよい。
【0030】
設計図データ構成要素検出部14の検出結果(
図5に示す設計図検出データ203)には、設計図に示される構成要素の種類、位置または形状が含まれる。設計図データ構成要素検出部14は、設計図検出データ203を構成要素情報処理部15へ送る。
【0031】
なお、設計図データ構成要素検出部14には、光学文字認識(OCR:Optical Character Recognition / Reader)機能を備え、設計図検出データ203を設計図に示される文字情報から検出してもよい。設計図データ構成要素検出部14は、設計図データ141が文字によって構成される場合には、構成要素の種類と位置とを視覚的に認識可能な画像データとして生成してもよい。
【0032】
構成要素情報処理部15は、検出した構成要素に関する情報を処理する機能部であり、3次元検出データ201、路面検出データ202、設計図検出データ203を解析して、最終的に、構成要素の種類と位置情報を出力する機能部である。
【0033】
構成要素情報処理部15は、サブ機能部として、寸法調整部151、構成要素複合情報生成部152、構成要素種類・位置情報生成部153を備える。
【0034】
寸法調整部151は、必要に応じて3次元データ、路面データ、設計図データの寸法を変換する機能部である。なお、各データの詳細については後に説明する。
寸法調整部151は、例えば、3次元データ121の寸法を基準にして、路面データ131と設計図データ141との寸法を変換する。寸法調整部151は、寸法調整後の3次元データ121、路面データ131、設計図データ141を構成要素複合情報生成部152に送る。
【0035】
構成要素複合情報生成部152は、構成要素に関する複合的な情報を生成する機能部である。構成要素複合情報とは、一つの構成要素に関して、3次元データ、路面データ、設計図データでそれぞれ別の表現がされているため、それらを統合して評価すための情報である。構成要素複合情報生成部152は、サブ機能部として、構成要素種類特定部154を含んでいる。構成要素種類特定部154は、構成要素複合情報に含まれる構成要素のペアから構成要素の種類を特定する機能部である。構成要素種類特定部154は、例えば、構成要素ペアの重複する領域の大きさに基づいて、評価指標を算出し、それに基づいて構成要素の種類を特定する。各評価指標による構成要素の種類を特定する処理の詳細については、後述する。
【0036】
構成要素複合情報生成部152は、構成要素種類特定部154によって評価指標と所定の閾値とを比較することによって、構成要素ペアが同じ構成要素を示しているかを判定し、その結果として構成要素に分類された構成要素複合情報(構成要素の種類とデータの関連情報)を構成要素種類・位置情報生成部153に送る。
【0037】
構成要素種類・位置情報生成部153は、構成要素複合情報から構成要素ごとに種類(マンホール、空洞、水道管、空洞などの別)と、それらの3次元座標系における位置情報を生成する機能部である。
【0038】
構成要素種類・位置情報生成部153は、構成要素結果データ522として、構成要素の種類と位置情報を表示部16へ送る。なお、構成要素情報処理部15の処理の詳細については、
図9~
図11を用いて後述する。
【0039】
表示部16は、地下構造検出装置1の検出結果として、構成要素の種類と、構成要素の位置情報を表示する機能部である。表示部16は、構成要素情報処理部15の構成要素結果データ522をディスプレイモニタなどの表示装置に表示させる。
【0040】
次に、
図2を用いて地下構造検出装置のハードウェア構成とソフトウェア構成について説明する。
地下構造検出装置1は、例えば、
図2に示されるように、記憶装置51、CPU(Central Processing Unit)52、主メモリ53、通信装置54を備え、それらがバスにより接続された形態である。
【0041】
記憶装置51は、磁気記憶媒体のHDD(Hard Disk Drive)、不揮発性の半導体装置記憶媒体のSDD(Solid State Drive)などの大容量でデータを記憶する装置である。記憶装置51には、例えば、3次元モデル生成プログラム511、3次元モデル構成要素検出プログラム512、路面データ構成要素検出プログラム513、設計図データ構成要素検出プログラム514、構成要素情報処理プログラム515、表示プログラム516がインストールされている。
【0042】
3次元モデル生成プログラム511、3次元モデル構成要素検出プログラム512、路面データ構成要素検出プログラム513、設計図データ構成要素検出プログラム514、構成要素情報処理プログラム515、表示プログラム516は、それぞれ、3次元モデル生成部11、3次元モデル構成要素検出部12、路面データ構成要素検出部13、設計図データ構成要素検出部14、構成要素情報処理部15、表示部16の機能を実現させるプログラムである。
【0043】
また、地下構造検出装置1の記憶装置51には、構成要素解析データ521、構成要素結果データ522が保持される。
【0044】
構成要素解析データ521は、測定データに基づいて構成要素を解析したときに算出される中間データである。構成要素結果データ522は、最終的にユーザに表示される構成要素の種類と3次元座標の座標位置を含むデータである。
【0045】
なお、プログラムは、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の記憶媒体530に記録されてもよい。
【0046】
CPU52は、記憶装置51にインストールされた各プログラムを主メモリ53に読み込んで実行することにより各機能を実現する。主メモリ53は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶媒体である。
【0047】
通信装置44は、ネットワーク5を介して、車両2、データベースサーバ70、ユーザ端末6と双方向通信可能に接続されている。ネットワーク5は、接続形態として無線接続(Wireless)でもよいし、有線接続であってもよい。
【0048】
ユーザ端末6は、表示装置61を備える情報処理端末であり、例えば、スマートフォン等の携帯型端末やパーソナルコンピュータ(PC)である。なお、表示装置61は、ユーザ端末61に備えられることに限らず、地下構造検出装置1に備えられ、表示用インタフェースを介して、接続されて画像を表示するようにしてもよい。
【0049】
データベースサーバ70は、車両2が収集した測定データを測定データDB71に蓄え、外部からアクセスする機能を提供するサーバ装置である。車両2からデータベースサーバ70へのデータ転送は、例えば、ネットワーク5を介して逐次処理されてもよいし、一定間隔ごとに転送されてバッチ処理されるようにしてもよい。
【0050】
また、測定データは、このように外付けの装置に保存される形態の外、地下構造検出装置1の記憶装置51に格納されるようにしてもよい。
【0051】
次に、
図3を用いて地下構造検出装置で用いられデータ構造について説明する。
図3(1)は、地中探査レーダ231から得られる測定データとして2次元データの一例を示したものである。
【0052】
3次元モデル生成部11は、車両2のレーダデータ処理部22から取得した測定データを着色処理することによって、複数の2次元データ111を生成する。
【0053】
3次元モデル生成部11は、例えば、各2次元データ111について、高さ方向(Z軸方向)の長さH1と横方向(X軸方向)の長さL1とを設定する。例えば、各2次元データ111の設定値として、長さH1、長さL1、各2次元データ111の枚数nを記憶装置41に構成要素解析データ521として保存する。
【0054】
また、3次元モデル生成部11は、2次元データ111を生成する際に使用する2次元処理パラメータ112(
図5により後述)を記憶する。2次元処理パラメータは、2次元データの性質を記述するパラメータであり、例えば、着色の強度値、受信機の感度の設定値または比誘電率等である。
【0055】
各2次元データ111は、地中の断面を表示するデータである。各2次元データ111は、地中探査レーダ231ごとに生成される。すなわち、各2次元データ111(1)~111(n)は、n個の地中探査レーダ231にそれぞれ対応して生成される。なお、各2次元データ111(i)は、車両2の手前側(Y軸方向のYの値が大きい側)から見て、i(i=1,…,n)番目にあたる地中探査レーダ231に対応するものとして図示している。
【0056】
2次元データ111(1)には、例えば、水道管33(1)と水道管33(2)が画像として表示される。あるiに対して、2次元データ111(i)には、例えば、マンホール31と空洞32と水道管33(1)、33(2)とが表示される。2次元データ111(i)には、例えば、水道管33(1)、水道管33(2)が表示される。なお、レーダ24は、路面41から照射されるので、2次元データ111(1)に表示される水道管33(2)は、水道管33(1)よりも不鮮明である。
【0057】
次に、
図3(2)は、地中探査レーダ231から得られる測定データとして3次元データの一例を示したものである。
3次元モデル生成部11は、合成開口処理を用いることによって、地中探査レーダ231の測定データから3次元データ121を生成する。
なお、合成開口処理とは、複数の受信機を利用して、高分解能な情報を取得するための技術である。
【0058】
3次元モデル生成部11は、例えば、各3次元データ121について、高さ方向(Z軸方向)の長さHと横方向(X軸方向)の長さLと奥行方向(Y軸方向)の長さWとを設定する。3次元モデル生成部11は、例えば、3次元データ121の設定値として、長さH、長さL、長さWを記憶装置41に構成要素解析データ521として保存する。
【0059】
また、3次元モデル生成部11は、3次元データ121を生成する際に使用する3次元処理パラメータ122(
図5により後述)を記憶する。3次元処理パラメータ122は、3次元データの性質を記述するパラメータであり、例えば、着色の強度値、受信機の感度の設定値または比誘電率等の3次元データを生成する際に使用する値である。
【0060】
3次元データ121は、地下構造を3次元座標により表現するデータである。3次元データ121には、例えば、水道管33(1)、水道管33(2)が示される。なお、3次元データ121には、図示されていないが、本実施形態の例では、マンホール31と空洞32とが示されてもよい。
【0061】
次に、
図3(3)は、カメラ232から得られる測定データとして路面データの一例を示したものである。
路面データ構成要素検出部13は、路面データ131をカメラデータ処理部21から取得する。路面データ131には、例えば、横方向の長さL2と奥行方向の長さW2とが設定される。路面データ構成要素検出部13は、路面データ131の設定値として、長さL2と長さW2とを記憶装置41に構成要素解析データ521として記憶させる。路面データ131は、路面の状態を示すデータであり、この路面データ131により、例えば、マンホール31が表現される。
【0062】
次に、
図3(4)、
図3(5)は、設計図関連情報生成部が生成する設計図データの一例を示したものである。
設計図データ141(1)は、側面図にあたり、例えば、横方向の長さL3と高さ方向の長さH3とが設定される。設計図データ構成要素検出部14は、設計図データ141(1)の設定値として長さH3、長さL3を記憶装置41に構成要素解析データ521として保存する。
【0063】
設計図データ141(2)は、上面図にあたり、例えば、横方向の長さL3と奥行方向の長さW3とが設定される。設計図データ構成要素検出部14は、設計図データ141(2)の寸法として、長さL3、長さW3を記憶装置41に構成要素解析データ521として記憶する。
【0064】
設計図データ141(1)は、地中空間を手前側から見た時の構成要素3の設計図を示すデータであり、この設計図データ141(1)には、例えば、マンホール31、水道管33(1)、水道管33(2)が示されている。設計図データ141(2)は、地中空間を路面側(Z軸方向)から見た時の構成要素3の設計図を示すデータであり、この設計図データ141(2)には、例えば、マンホール31と水道管33(1)とが示されている。
【0065】
次に、
図4ないし
図11を用いて地下構造検出装置で行われる処理について説明する。
【0066】
先ず、
図4を用いて地下構造検出装置が測定データ、設計図データの取得から構成要素の解析結果を出力するまでの一連の処理について説明する。
先ず、地下構造検出装置1の3次元モデル生成部11、路面データ構成要素検出部13は、車両2から測定データを取得し、設計図データ構成要素検出部14は、地下構造の設計図データ141を取得する(S1)。
(S1)のステップにおいて、3次元モデル生成部11は、測定データとして、2次元データ111と3次元データ121を取得する。
【0067】
次に、地下構造検出装置1の3次元モデル生成部11は、2次元データと3次元データから3次元モデルを生成し、3次元モデル構成要素検出部12、路面データ構成要素検出部13、設計図データ構成要素検出部14は、それぞれ3次元モデルによる構成要素、路面データによる構成要素、設計図データによる構成要素を検出し、3次元検出データ201、路面検出データ202、設計図検出データ203として、構成要素情報処理部15に送る(S2)。
なお、(S2)のステップの詳細は、
図5を用いて後述する。
【0068】
次に、構成要素情報処理部15の寸法調整部151は、3次元検出データ201、路面検出データ202、設計図検出データ203の寸法を互いに対応させる(S3)。
なお、寸法調整部の詳細は、後に説明する。
【0069】
次に、構成要素情報処理部15の構成要素複合情報生成部152は、3次元検出データ201と路面検出データ202と設計図検出データ203との構成要素複合情報を生成する(S4)。
【0070】
次に、構成要素情報処理部15の構成要素複合情報生成部152は、3次元検出データ201と路面検出データ202と設計図検出データ203との構成要素複合情報に対する構成要素の種類の特定を行う(S5)。
【0071】
構成要素複合情報に対する構成要素種類特定処理については、後に、
図9~
図11を用いて詳述する。
【0072】
次に、構成要素種類・位置情報生成部153は、構成要素複合情報から構成要素の解析結果として、構成要素の種類と位置情報を生成する(S6)。
なお、構成要素種類・位置情報生成部153は、構成要素複合情報の構成要素特定処理(S5)によって異なる構成要素であると判定された複数の構成要素を同一の構成要素であると判定し直してもよい。
【0073】
すなわち、構成要素種類・位置情報生成部153は、例えば、異なる構成要素であると判定された複数の構成要素が一連に連なる場合には、同一の構成要素であると判定する。例えば、X軸方向に対して斜めの水道管とY軸方向に沿う水道管とが構成要素複合情報生成153によって検出される場合には、構成要素種類・位置情報生成部153は、例えば、X軸方向に対して斜めの水道管とY軸方向に沿う水道管とが連なる箇所を検出し、一つの水道管であると判定してもよい。
【0074】
次に、表示部16は、構成要素3の種類と位置情報を含む画面を表示出力する(S7)。
表示部16が表示する画面については、
図12を用いて後に詳述する。
【0075】
次に、
図5を用いて3次元モデル生成・構成要素分類処理、路面分類処理、設計図分類処理の詳細を説明する。
この処理は、
図4のS2に該当する処理である。
先ず、3次元モデル生成部11は、レーダ24の地中探査レーダ231の反射波の振幅に応じて地中の断面をグレースケールで表示させることによって2次元データ111を生成する(S101)。
【0076】
図3に示したような2次元データ111(1)、…、2次元データ111(i)、…、2次元データ111(n)(nは、所定の整数、iは、1≦i≦nなる整数)は、例えば、レーダ24の反射波の振幅に応じて着色処理された地中の断面を示す画像データである。着色処理としては、例えば、レーダの反射波における振幅が大きくなるにつれて白色側の色を着色する。
【0077】
なお、2次元データの生成処理では、2次元データ111の鮮明な画像データを取得する処理が含まれてもよく、例えば、2次元データ111に対してフィルタをかけることによって、ノイズ除去またはエッジ強調等の画像処理を行ってもよい。
【0078】
また、3次元モデル生成部11は、地中探査レーダ231ごとに測定される測定データに対して、合成開口処理を用いることによって3次元データ121を生成する(S102)。
【0079】
なお、3次元データの生成処理では、鮮明な画像データを取得する処理が含まれてもよい。例えば、3次元データ121に対してフィルタをかけることによって、ノイズ除去またはエッジ強調等の画像処理を行ってもよい。
【0080】
次に、3次元モデル生成部11は、2次元データ111と3次元データ121のデータを合成する(S103)。データ合成処理S103では、3次元モデル生成部11は、例えば、下記に示す(式1)および(式2)に基づいて、各2次元データ111の寸法を調整する。
L1=s1*L … (式1)
H1=s2*H … (式2)
s1およびs2は、3次元データ121と2次元データ111との対応関係を示すスケールである。すなわち、s1は、3次元データ121と2次元データ111との横方向における倍率であり、s2は、3次元データ121と2次元データ111との縦方向における倍率である。
【0081】
3次元モデル生成部11は、2次元検出データと3次元データの寸法調整を行った後、位置情報が一致する点の輝度値を両者の中間値としてもよい。あるいは、例えば所定の比率値aを定め、両者の輝度値の合成結果が元の最大値を超えないよう、(ある座標の輝度値)=a×3次元データの輝度値+(1-a)×2次元データの輝度値といった計算式により合成してもよい。あるいは、グレースケール形式である両データをあらたにカラー画素のRGBのいずれかのチャンネルに割り当てる(例えば、Rに3次元データの輝度値、Gに2次元データの輝度値、Bは0にする)ようにしてもよい。
【0082】
次に、3次元モデル生成部11は、3次元モデルを生成する(S104)。例えば、教師データとしての学習用3次元データと学習用3次元データを生成する際に用いられる学習用2次元処理パラメータと学習用3次元処理パラメータとを事前に学習することによって3次元モデルを生成する。
【0083】
3次元モデルは、例えば、3次元データと3次元処理パラメータとに基づいて、3次元データ内の構成要素がどの種類に属するかを予測するための学習モデルである。
【0084】
3次元モデル構成要素検出部12は、生成した3次元モデルに基づいた推論により、合成データが示す構成要素を分類する(S105)。すなわち、3次元モデルを用いてAIの推論機能により、3次元モデル内の構成要素が、マンホール31、空洞32または水道管33(1)水道管33(2)の中で、当てはまる可能性が比較的高い種類を予測する。
なお、3次元モデルは、予め学習して生成したものを用いてもよい。
【0085】
次に、3次元モデル構成要素検出部12は、分類された構成要素の位置情報や方向・姿勢を含む形状情報を推定する位置・姿勢推定処理を行う(S106)。すなわち、位置・姿勢推定処理として、2次元データ111と、分類された構成要素の情報を主メモリ43から読み出し、位置・姿勢推定処理を繰り返し実施する。
なお、位置・姿勢推定処理の詳細は、
図6により後述する。
【0086】
一方、路面データ構成要素検出部13は、路面データ131内の構成要素3を分類する(S111)。路面分類処理S111としては、例えば、輪郭検出または色検出等の画像処理方法を用いることによって、路面データ131に示される構成要素をマンホール31として分類する。
【0087】
そして、地下構造検出装置1は、路面データ131内の構成要素の分類結果と、路面データ131内の構成要素3の位置情報および形状情報とを路面検出データ202として構成要素情報処理部15へ送る。
【0088】
次に、設計図データ構成要素検出部14は、設計図データ141(1),141(2)内の構成要素を分類する(S121)。設計図分類処理S121としては、例えば、設計図データ141(1)内の構成要素3は、マンホール31と水道管33(1)とに分類し、設計図データ141(2)内の構成要素は、マンホール31と水道管33(1)水道管33(2)とに分類する。
【0089】
そして、地下構造検出装置1は、設計図データ141(1),141(2)内の構成要素の分類結果と、設計図データ141(1),141(2)内の構成要素の位置情報および形状情報とを設計図検出データ203として構成要素情報処理部15へ送る。
【0090】
設計図分類処理S121としては、例えば、地下構成要素のラベルと位置とのデータを算出するために、物体検出用のフレームワークを用いてもよい。その物体検出用のフレームワークとして、例えば、Faster R-CNN(Region-based Convolutional Neural Network)またはSSD(Single Short Multibox Detector)の少なくともいずれか一方を使用してもよい。なお、設計図分類処理S121としては、Faster R-CNNおよびSSDのような手法を使用して、構成要素の種類情報、位置情報および形状情報を算出することに限らず、OCRを用いて構成要素の種類情報、位置情報および形状情報を検出してもよい。
【0091】
次に、
図6ないし
図8Bを用いて構成要素の位置・姿勢推定処理について説明する。
これは、
図5のS106に該当する処理である。
先ず、位置・姿勢推定処理では、構成要素が「管」であるか否かを判定する(S701)。ここで、「管」というのは、水道管、ガス管などの外、例えば、電線など管状物体により保護されている埋設物を含んだ概念であり、所定の場所をつなぐように設置される長く延伸する形状のものを対象とする。
【0092】
次に、S105の構成要素を分類処理の結果により、管の方向を確認し、延伸方向が、車両が移動する方向(X軸方向)から所定のX軸方向の閾値の角度以上ずれている、または、車両の幅方向(Y軸方向)から所定のY軸方向の閾値の角度以上ずれているか否かを判定し(S702)、ずれている場合には(S702:Yes)、S703に進み、そうでない場合には(S702:No)、S704に進む。この判定の前提条件として、これらの埋設物の大半は車両2が進行する方向、すなわち道路の下を道路の延伸方向と並行に施設、あるいは車両の幅方向、すなわち道路の延伸方向と垂直に施設されていることが特徴として挙げられる。そのため、この条件に合わないものは、S105の構成要素を分類の結果として、管の姿勢検知が正しくない可能性が高いと考える。
【0093】
なお、S702における判定は、このように構成要素の角度により判定する例に限らずともよい。例えば、路面データ131を参照して路面が水分を有している(色が濃くなっている)場合に、S703に進むようにしてよい。また例えば、設計図データ141を参照し、当該箇所の埋設物の姿勢と異なる場合にS703に進むようにしてよい。また例えば、検知データにGPS等の位置情報を示すデータが付属する場合には、過去の検査における同一箇所の情報を参照して、所定の閾値以上にずれがあった場合に、S703に進むようにしてよい。
【0094】
次に、3次元モデル構成要素検出部12は、2次元データにより位置・姿勢補正処理を行う(S703)。
なお、この処理の詳細は、後に
図7を用いて説明する。
【0095】
次に、3次元モデル構成要素検出部12は、位置・姿勢推定結果を構成要素解析データ521として保存する(S704)。
【0096】
次に、
図7、
図8A、
図8Bを用いて2次元データによる位置・姿勢補正処理の詳細を説明する。
これは、
図6のS703に該当する処理である。
先ず、3次元モデル構成要素検出部12は、構成要素を分類結果に示された対象の範囲内の2次元画像に構成要素となる物体が横断方向(x方向)にある場合に現れる画像特徴(横断管の画像特徴)が含まれるか否かを判定し(S801)、特徴がある場合には(S801:Yes)、S802に進み、特徴がない場合には(S801:No)、S805に進む。
【0097】
例えば、
図8Aに示されるように、2次元データ111(1)から2次元データ111(4)までが3次元分類処理で推定された埋設物の領域に含まれている場合に、2次元データ111(1)の対象領域から順次横断管の特徴を2次元データ111(4)まで確認し、一つでも検知した時点で、S801でYesと判定する。横断管の画像特徴とは、
図8Aに示したような輝度の濃淡が上に凸となる二次曲線形状を示すパターンを含み、その検知方法は例えば予め用意しておいたパターンとの一致度を比較することで検知する。埋設物の材質や大きさによっても当該パターンの大きさや幅等は変化するため予め用意するパターンは複数用意するなどしてよい。なお、検知した際にそのX、Z座標を構成要素解析データ521に記録してもよく、あるいは、対象の範囲内の2次元画像中に含まれる全ての横断管の特徴を検知してよい。
【0098】
次に、3次元モデル構成要素検出部12は、複数枚の2次元データに対して、横断管の特徴が同一位置に領域が重複してまたがっている枚数をカウントする(S802)。
【0099】
例えば、2次元データ111(1)から開始し、続いて2次元データ111(2)~に対して、2次元データ111(1)で見られる横断管の画像特徴が見出されるか判定し、その数をカウントする。2次元データ111(1)で特徴を検知した座標と、ほぼ同じ位置(所定の閾値の範囲内)に横断管の特徴があれば、連続数を1増やして次の隣接する画像の確認を行い、カウントをインクリメントし、同じ座標位置に横断管の特徴が無ければ連続数のカウントを停止して本処理を終了する。横断管が斜め方向に設置される場合も考慮して、所定の閾値や割合以上に横断管領域が共通していれば連続していると判断してよい。
【0100】
次に、3次元モデル構成要素検出部12は、同一位置にあると判定した連続枚数が所定の閾値以上であるか否かを判定し(S803)、所定の閾値以上であるときには(S803:Yes)、S804に進み、所定の閾値未満であるときには(S803:No)、処理を終了する。所定の閾値は、例えば、3などの具体的数値で指定してもよく、あるいは確認対象の2次元画像の枚数の8割といった割合で指定するのでもよい。このように連続枚数で判定する理由は、横断管の場合には、
図8Aに見られるとおり、道幅いっぱいに広がっていることが考えられ、この画像特徴が散発的にしか見られていないときには、ブロック状の埋設物であることが考えられるためである。
【0101】
次に、3次元モデル構成要素検出部12は、3次元分類処理による検知結果を、横断方向の画像特徴を有する2次元データの情報に基づき、構成要素の位置・姿勢情報を補正して(S804)、処理を終了する。
【0102】
例えば、2次元データ111(1)から2次元データ111(4)まで連続して横断管の画像特徴を検出した場合に、2次元データ111(1)から2次元データ111(4)までの横断管の特徴のうちのそれぞれの最も輝度の高い点のX、Z座標値の軌跡を直線近似して横断管の姿勢としてよい。また、例えば該当する横断管が複数検知される場合には複数の横断管情報で置換するなどでもよい。
【0103】
S801でNoの場合には、3次元モデル構成要素検出部12は、範囲内の2次元データに縦断管の画像特徴があるか否かを判定し(S805)、画像特徴がある場合には(S805:Yes)、S806に進み、画像特徴がない場合には(S805:No)、処理を終了する。縦断管の画像特徴は、例えば、
図8Bに示すような輝度の低い点を輝度の高い点がはさむ形状のパターンを含み、その検知方法は、例えば予め用意しておいたパターンとの一致度を比較することで検知する。なお、検知した際にそのX、Z座標を構成要素解析データ521に記録してもよく、あるいは、対象の範囲内の2次元データ中に含まれる全ての縦断管の特徴を検知してよい。
【0104】
次に、3次元モデル構成要素検出部12は、複数枚の2次元データに対して、縦断管の特徴が同一位置に領域が重複してまたがっている枚数をカウントする(S806)。
【0105】
例えば、2次元データ111(1)から開始し、続いて2次元データ111(2)~に対して、2次元データ111(1)で見られる縦断管の画像特徴が見出されるか判定し、その数をカウントする。2次元データ111(1)で特徴を検知した座標と、ほぼ同じ位置(所定の閾値の範囲内)に縦断管の特徴があれば、連続数を1増やして次の隣接する画像の確認を行い、カウントをインクリメントし、同じ座標位置に縦断管の特徴が無ければ連続数のカウントを停止して本処理を終了する。縦断管が斜め方向に設置される場合も考慮して、所定の閾値や割合以上に縦断管領域が共通していれば連続していると判断してもよい。
【0106】
次に、3次元モデル構成要素検出部12は、同一位置にあると判定した連続枚数が所定の閾値以上であるか否かを判定し(S807)、所定の閾値以上であるときには(S807:Yes)、S808に進み、所定の閾値未満であるときには(S807:No)、処理を終了する。
【0107】
このように連続枚数で判定する理由は、
図8Bに見られるとおり、縦断管は、車両2の進行方向に延伸するため、その垂直方向に連続数が多いのは管形状ではなく、板状の形態の埋設物と判断されるためである。そのため、例えば所定の閾値は2といった固定値を設定すればよい。また、斜め方向の延伸を考慮すると、探索範囲を所定のX座標数で領域を分割し、全ての分割された領域に対して連続枚数が所定の閾値以下であることを確認してもよい。
【0108】
次に、3次元モデル構成要素検出部12は、3次元分類処理による検知結果を、縦断方向の画像特徴を有する2次元データの情報に基づき、構成要素の位置・姿勢情報を補正して(S808)、処理を終了する。
【0109】
例えば2次元データ111(2)、2次元データ111(3)で連続して縦断管の画像特徴を検出した場合に、2次元データ111(2)および2次元データ111(3)の縦断管の特徴のうち、所定の値以上に輝度の高い画素が延伸方向に連続している領域の端点を結んで埋設物の姿勢とする。また、例えば該当する領域内で縦断管が複数検知される場合には複数の横断管情報で置換するなどしてもよい。
【0110】
次に、寸法調整処理の詳細について説明する。
これは、
図4のS3に該当する処理である。
【0111】
寸法調整部151は、寸法調整処理として、各3次元データ121、路面データ131、設計図データ141の寸法を調整する前に、各データ間の座標系を相互に対応させる。すなわち、寸法調整部151は、3次元データ121のX,Y,Z軸方向に、路面データ131および設計図データ141を対応させる。
【0112】
寸法調整部151は、例えば、下記に示す(式3)および(式4)に基づいて、路面データ131の寸法を調整する。
L2=r1*L … (式3)
H2=r2*H … (式4)
r1およびr2は、3次元データ121と路面データ131との対応関係を示すスケールである。すなわち、r1は、3次元データ121と路面データ131との横方向における倍率であり、r2は、3次元データ121と路面データ131との縦方向における倍率である。
【0113】
また、寸法調整部151は、例えば、下記に示す(式5)および(式6)に基づいて、設計図データ141(1)の寸法を調整する。
L3=m1*L … (式5)
H3=m2*H … (式6)
m1およびm2は、3次元データ121と設計図データ141(1)との対応関係を示すスケールである。すなわち、m1は、3次元データ121と設計図データ141(1)との横方向における倍率であり、m2は、3次元データ121と設計図データ141(1)との縦方向における倍率である。
【0114】
また、寸法調整部151は、例えば、上記に示す(式5)および下記に示す(式7)に基づいて、設計図データ141(2)の寸法を調整する。なお、設計図データ141(2)の横方向の寸法が長さL3と異なる他の長さに設定される場合には、寸法調整部151は、(式5)とは異なる他の式を用いて設計図データ141(2)の寸法を調整してもよい。
W3=m3*W…(式7)
m3は、3次元データ121と設計図データ141(2)との対応関係を示すスケールである。すなわち、m3は、3次元データ121と設計図データ141(2)との奥行方向における倍率である。
【0115】
寸法調整部151の座標統合処理に関して、路面データ131の
図3に示したマンホール31の座標(x1,y1)を一例に挙げて説明する。寸法調整部151は、路面データ131のマンホール31の座標(x1,y1)から、3次元データ121に対応する他の座標に調整する。寸法調整部161は、例えば、上記の(式3)、(式4)に基づいて、マンホール31の座標を(x1,y1)から(x1/r1,y1/r2)に調整する。
【0116】
次に、
図9および
図10を用いて構成要素複合情報に対する構成要素特定処理について説明する。
これは、
図4のS5に該当する処理である。
【0117】
構成要素複合情報生成部152は、構成要素の間で同種類ペアを選択する(S51)。例えば、2次元データ111内の構成要素と3次元データ121内の構成要素との間で同じ種類に分類される構成要素3のペアの同種類ペアを選択する。具体的には、
図10に示されるように、構成要素複合情報生成部152は、例えば、2次元データ111(i)と3次元データ121とに共通する水道管33(1)を構成要素のペアとして選択する。
【0118】
次に、構成要素複合情報生成部152の構成要素種類特定部154は、構成要素の同種類ペア選択処理S51によって選択される構成要素の同種類ペア間における評価指標である同種類評価指標を算出する(S52)。構成要素種類特定部154は、例えば、
図10に示される2次元データ111(i)内の水道管33(1)と3次元データ121内の水道管33(1)との同種類評価指標を「0.8」と算出する。
【0119】
なお、構成要素種類特定部154は、評価指標を算出する際に、例えば、選択される構成要素ペア間の重複度(3D IoU:3Dimension Intersection over Union)を用いてもよい。また、評価指標算出部164は、選択される構成要素ペア間の重複度に基づいて評価指標を算出することに限られず、それぞれの構成要素の対応する寸法の数値が近似の度合いが高いときに、同種類評価指標を大きく評価するなどの手法をとってもよい。
【0120】
構成要素複合情報生成部152の構成要素種類特定部154は、同種類評価指標に基づいて、同種類ペアがそれぞれ同じ構成要素を示しているか否かを判定する(S53)。構成要素複合情報生成部152は、例えば、同種類評価指標が所定の閾値よりも大きい場合には(S53:Yes)、同種類ペアがそれぞれ同じ構成要素を示していると判定する(S54)。
【0121】
所定の閾値は、構成要素のペアが互いに同じ構成要素を示しているか否かの判定値である。所定の閾値は、例えば、ユーザによって地下構造検出装置1の構成要素情報表示画面(後述)に入力されてもよい。構成要素種類特定部154は、例えば、所定の閾値が「0.7」である場合には、
図10に示される2次元データ111(i)内の水道管33(1)と3次元データ121内の水道管33(1)とが同じ構成要素を示していると判定する。
【0122】
所定の閾値は、構成要素ごとに設定されてもよい。表示装置61に示される構成要素情報表示画面(後述)には、所定の閾値の入力欄が表示されてもよい。ユーザは、地下構造の検出処理ごとに、所定の閾値を変更し、構成要素の種類の判定精度を調整してもよい。
【0123】
構成要素種類特定部154は、同種類評価指標が所定の閾値以下の場合(S53:No)には、同種類構成要素ペアがそれぞれ異なる構成要素を示していると判定し、異種類ペア判別処理を行う(S55)。この場合において、構成要素複合情報生成部152は、異なる種類に分類される構成要素のペア(以下、「異種類ペア」という)間で同じ構成要素を示しているかを判定する。異種類ペア判別処理の詳細は、
図11を用いて後述する。
【0124】
なお、構成要素種類特定部154は、同種類評価指標が所定の閾値以下の場合(S53:No)には、同種類ペア選択処理S51を再度実行することによって、同種類ペアを選択してもよい。すなわち、この場合、構成要素種類特定部154は、同種類評価指標が所定の閾値以下の場合には(S53:No)、S53の判定をした同種類ペアのうち一方を選択する。
【0125】
そして、構成要素種類特定部154は、同種類ペアのうちの選択した一方と同じ種類に分類される構成要素を新たに選択することによって、新たな同種類ペアを選択する。構成要素複合情報生成部152は、新たな同種類ペアに選択可能な構成要素がない場合には、異種類ペア判別処理S55を実行してもよい。
【0126】
最後に、構成要素種類特定部154は、構成要素の種類に関する解析結果を構成要素解析データに記録する(S56)。
【0127】
次に、
図11を用いて構成要素の異種類ペアの判別処理について説明する。
これは、
図9のS55に該当する処理である。
【0128】
構成要素複合情報生成部152の構成要素種類特定部154は、異種類ペアを選択する(S551)。
この処理では、構成要素種類特定部154は、例えば、同種類ペア選択処理S51にて選択される同種類ペアの一方を所定の構成要素3とし、他の一方を対応する異種類の構成要素とする。
【0129】
構成要素種類特定部154は、異種類ペアの評価指標である異種類評価指標を算出する(S552)。評価指標が所定の閾値よりも大きい場合には(S553:Yes)、構成要素複合情報生成部152は、異種類ペアのどちらを構成要素複合情報の構成要素として属させるかを判定する(S554~S556)。
異種類評価指標は、同種類評価指標と反対の性質を持つものを評価する指標である。
【0130】
構成要素種類特定部154は、異種類ペアを検出した3次元モデル構成要素検出部12、路面データ構成要素検出部13、設計図データ構成要素検出部14から、正確性指標を取得する(S554)。正確性指標は、例えば、3次元モデル構成要素検出部12の出力する3次元モデル検出データ201、路面データ構成要素検出部13の出力する路面検出データ202、設計図データ構成要素検出部14の出力する設計図データごとに、構成要素の分類結果がどの程度正確かを示す指標である。正確性指標は、例えば、
図5に示した3次元モデルによる構成要素分類処理S105、路面データよる構成要素分類処理S111、設計図データによる構成要素分類処理S121内で生成され、構成要素情報処理部15へ送られる。正確性指標は、過去の測定データからの学習モデルに従って、成績のよかったものに対して高く評価するような数値を得ることより算出することができる。
【0131】
次に、構成要素種類特定部154は、取得した正確性指標に基づいて、優先順位を決定する(S555)。構成要素種類特定部154は、例えば、正確性指標が高い方の構成要素の分類を正しいものとする(S556)。すなわち、構成要素複合情報生成部152は、例えば、異種類ペアのうち分類の正確性が低い構成要素を誤分類であると判定し、異種類ペアのうち分類の正確性が高い構成要素の分類を正しいものと判定し、解析結果とする。
【0132】
異種類評価指標が所定の閾値より小さい場合(S553:No)には、構成要素種類特定部154は、異なる構成要素であると判定する(S557)。なお、構成要素種類特定部154は、異種類評価指標が所定の閾値より小さい場合(S553:No)には、新たに異種類ペアを選択することによって、再度、異種類評価指標の判定S553をしてもよい。
【0133】
すなわち、構成要素種類特定部154は、所定の構成要素と、他の構成要素との異種類ペアから、所定の構成要素とは異なる種類に分類される構成要素を新たに選択し、新たに選択した異種類ペアによって再度異種類評価指標の判定S553を行う。
【0134】
次に、
図12を用いて構成要素情報表示画面の一例について説明する。
構成要素情報表示画面51は、
図4のS7で出力される画面である。
【0135】
表示部16は、例えば、3次元モデル状態表示マップ35と、構成要素3(マンホール31、空洞32、水道管33)の説明欄36とを表示装置61に構成要素情報表示画面51として表示させる。
構成要素情報表示画面51では、3次元状態表示マップ35、構成要素情報表示欄36からなる。
【0136】
3次元状態表示マップ35は、地下構造検出装置1が解析した結果である構成要素結果データ522に基づき、3次元のバウンディングボックス内に3次元空間の構成要素での形状、位置関係を表示するエリアである。
【0137】
構成要素情報表示欄36は、各構成要素の種類と座標データを表示するエリアである。構成要素情報表示欄36には、例えば、埋設物の種類:[中心X座標、中心Y座標、中心Z座標、長さ、幅、高さ]というフォーマットで表示される。また、構成要素情報表示欄36は、構成要素の種類と座標以外に、例えば、埋設物の長さや幅、体積などの計算結果やその他の補足情報を表示してもよい。
【0138】
以上説明したように、地下構造検出装置1は、構成要素情報処理部15を備えることによって、2次元データ111および3次元データ121、路面データ131、設計図データ141に基づいて、地下構造の構成要素を検出する。これにより、地下構造検出装置1は、地下構造の構成要素を網羅的に検出することができ、従来の手法と比較して、地下構造の検出精度を向上させることができる。
【0139】
特に、地下構造検出装置1は、2次元データ111、3次元データ121を合成した合成データに対して、2次元データ111から構成要素の画像特徴に基づき、構成要素の位置・姿勢を補正する処理を行うため、正確な位置・姿勢を得ることができる。
【0140】
また、地下構造検出装置1は、寸法調整処理を行うことによって、データ間の寸法ずれを抑制することができる。これにより、地下構造検出装置1は、3次元検出データ201、路面データ134、設計図データ144に基づいた構成要素の検出精度を向上させることができる。
【0141】
また、地下構造検出装置1は、構成要素の分類処理によって、埋設物の種類と3次元位置を自動的に判別することができる。これにより、人力で構成要素を分類することと比較して、手間を削減することができる。
【0142】
また、地下構造検出装置1は、正確性指標に基づいて異種類ペアのうちのどちらの情報を優先させるかを判定することによって、誤った分類結果の構成要素のデータが取り込まれることを抑制することができる。これにより、地下構造検出装置1は、構成要素の分類の精度を向上させることができる。
【0143】
また、地下構造検出装置1は、構成要素情報表示画面51に、構成要素の種類と位置を表示する。これにより、ユーザは、3次元空間上のどの位置に何があるのかを理解しやすくなる。
【0144】
なお、地下構造検出装置1は、2次元レーダデータ、3次元レーダデータ、路面データ、設計図データに基づいて構成要素3の種類と位置の情報を生成することに限らず、例えば、3次元レーダデータと路面データのみを入力とした場合にも上記と同様の処理を行うことで地下構造の構成要素を検出してもよい。
【0145】
〔実施形態2〕
以下、本発明の実施形態2を、
図13を用いて説明する。
本実施形態の地下構造検出装置の構成と処理は、おおむね実施形態1と同様であるため、異なっている所を中心に説明する。
【0146】
本実施形態は、実施形態1と比較し、
図6のS703の2次元データにより位置・姿勢推定処理のみ異なっており、実施形態1の
図7の処理の代わりに、
図13の処理を行う。実施形態1の
図7の処理との違いは、横断方向と進行方向の判定を両方実施する点にある。
【0147】
S801~S803については、実施形態1と同様である。
【0148】
本実施形態では、S803でNoを選択した場合に、S805に進み、S803でYesを選択した場合に、横断方向の情報を構成要素解析データ521に記録する(S810)。
【0149】
S805~S807については、実施形態1と同様である。
【0150】
同様の処理を実施するが、本実施形態では、S805でNoを選択した場合に、S830に進む。
【0151】
S807でYesの場合には、縦断方向の情報を構成要素解析データ521に記録する(S820)。
【0152】
そして、最後に、S810の横断方向の情報とS820の縦断方向の情報に基づいて、構成要素の位置・姿勢に関する情報に基づいて、補正結果を反映する。例えば、2次元データ111(2)から(4)に連続した横断管の画像特徴、2次元データ111(1)に縦断管の画像特徴がある場合に、両者の結果を採用して補正する。また、例えば、横断管の延伸を仮定したときに縦断管の検知結果の一部に交わる場合、途中で交差・分岐が生じている可能性が高いという情報を合わせて検知結果に含むようにしてもよい。
【0153】
実施形態1の2次元データによる補正処理では、横断方向と進行方向の補正の一方のみ実施したが、本実施形態の手順では、横断方向と縦断方向の画像特徴を捉えて、場合によっては、横断方向と縦断方向の補正の両方を行うことがある。これによって3次元モデル構成要素検出部12が縦断管と横断が交差するL字やT字の形状の埋設管を誤らずに検出可能である。
【符号の説明】
【0154】
1…地下構造検出装置,11…3次元モデル生成部,12…3次元モデル構成要素検出部、13…路面データ構成要素検出部、14…設計図データ構成要素検出部、15構成要素情報処理部、16…表示部、2…車両、21…カメラデータ処理部、22…レーダデータ処理部、23…測定装置、24…レーダ、3…構成要素、31…マンホール、32…空洞、33…水道管