(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134342
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】積層コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20230920BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20230920BHJP
H01F 27/42 20060101ALI20230920BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H01F17/00 D
H01F27/29 P
H01F27/42 101
H01F27/00 160
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183186
(22)【出願日】2022-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2022039373
(32)【優先日】2022-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】郭 旭冉
(72)【発明者】
【氏名】飛田 和哉
(72)【発明者】
【氏名】數田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】田久保 悠一
(72)【発明者】
【氏名】志賀 悠人
(72)【発明者】
【氏名】小林 創
(72)【発明者】
【氏名】松浦 利典
(72)【発明者】
【氏名】濱地 紀彰
(72)【発明者】
【氏名】占部 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 駿也
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB07
5E070BA12
5E070CB03
5E070CB13
5E070CB17
5E070CB18
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】自己共振周波数を制御できる積層コイル部品を提供する。
【解決手段】積層コイル部品は、素体、第一外部電極、第二外部電極、コイル3、第一接続導体及び接続導体52を備えている。接続導体52は、第二外部電極とコイル3の端34とを接続している。第二接続導体の複数のパッド導体53及び複数のスルーホール導体54は、主面に交差する方向D1で交互に配置されていると共にコイル3から離間している。複数のパッド導体53のそれぞれは、部分53a及び部分53bを有する。部分53aは、複数のスルーホール導体54のうち隣るスルーホール導体54の接続端54aの全体と重なる。部分53bは、部分53aと連続していると共に部分53aよりもコイル3から離間している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装面を構成する主面を有する素体と、
前記主面に配置されており、互いに離間している第一外部電極及び第二外部電極と、
コイル軸が前記主面と交差する方向に沿うように前記素体の内部に配置されており、第一端と前記第一端よりも前記主面から離間している第二端とを有するコイルと、
前記第一外部電極と前記第一端とを接続する第一接続導体と、
前記第二外部電極と前記第二端とを接続する第二接続導体と、を備え、
前記第二接続導体は、前記主面に交差する方向で交互に配置されていると共に前記コイルから離間している複数のパッド導体及び複数のスルーホール導体を有し、
前記複数のスルーホール導体のそれぞれは、前記複数のパッド導体のうち隣るパッド導体と接続されている接続端を有し、
前記複数のパッド導体のそれぞれは、
前記複数のスルーホール導体のうち隣るスルーホール導体の前記接続端の全体と重なる第一部分と、
前記第一部分と連続していると共に、前記第一部分よりも前記コイルから離間している第二部分と、を有する、
積層コイル部品。
【請求項2】
前記第二部分は、前記コイルに近づかない方向に前記第一部分から延在するように形成されている、請求項1に記載の積層コイル部品。
【請求項3】
前記第二部分において、前記第一部分からの距離が大きい位置ほど、当該位置での前記コイルと前記第二部分との間隔が大きい、請求項1又は2に記載の積層コイル部品。
【請求項4】
前記コイルと前記第二部分との最短距離を規定する方向での、前記第二部分の幅は、前記第一部分に近い位置より前記第一部分から離れた位置で小さい、請求項3に記載の積層コイル部品。
【請求項5】
前記複数のパッド導体のそれぞれは、前記第二部分から離間している第三部分を更に有し、
前記第三部分は、前記第一部分と連続していると共に、前記第一部分よりも前記コイルから離間している、請求項1に記載の積層コイル部品。
【請求項6】
前記第三部分は、前記コイルに近づかない方向に前記第一部分から延在するように形成されている、請求項5に記載の積層コイル部品。
【請求項7】
前記第三部分において、前記第一部分からの距離が大きい位置ほど、当該位置での前記コイルと前記第三部分との間隔が大きい、請求項5又は6に記載の積層コイル部品。
【請求項8】
前記コイルと前記第三部分との最短距離を規定する方向での、前記第三部分の幅は、前記第一部分に近い位置より前記第一部分から離れた位置で小さい、請求項7に記載の積層コイル部品。
【請求項9】
主面を有する素体と、
前記主面に配置されている第一外部電極及び第二外部電極と、
前記素体の内部に配置されていると共に、複数のターンを含むコイルと、
前記第一外部電極と前記コイルとを接続している第一接続導体と、
前記第二外部電極と前記コイルとを接続していると共に、前記複数のターンと対向する第二接続導体と、を備え、
前記第二接続導体は、互いに隣り合っているパッド導体及びスルーホール導体を含み、
前記スルーホール導体は、前記パッド導体と接続されている接続端を含み、
前記パッド導体は、
前記接続端の全体と重なると共に、前記コイルから第一最短距離を有する第一部分と、
前記第一部分と連続すると共に、前記コイルから前記第一最短距離より大きい第二最短距離を有する第二部分と、を含む、積層コイル部品。
【請求項10】
前記第二部分では、前記第二最短距離は、前記第一部分から離れるにしたがって少なくとも減少しない、請求項9に記載の積層コイル部品。
【請求項11】
前記第二部分では、前記第一部分から離れた位置での前記第二最短距離は、前記第一部分に近い位置での前記第二最短距離より大きい、請求項9に記載の積層コイル部品。
【請求項12】
前記第二最短距離は、前記第一部分から離れるにしたがって増加する、請求項11に記載の積層コイル部品。
【請求項13】
前記第二部分は、前記第一部分に近い位置において、第一幅を有し、前記第一部分から離れた位置において、前記第一幅より小さい第二幅を有する、請求項9に記載の積層コイル部品。
【請求項14】
前記パッド導体は、
前記第一部分と連続し、かつ、前記第二部分から離間していると共に、前記コイルから前記第一最短距離より大きい第三最短距離を有する第三部分と、を含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の積層コイル部品。
【請求項15】
前記第三部分では、前記第三最短距離は、前記第一部分から離れるにしたがって少なくとも減少しない、請求項14に記載の積層コイル部品。
【請求項16】
前記第三部分では、前記第一部分に近いから離れた位置での前記第三最短距離は、前記第一部分に近い位置での前記第三最短距離より大きい、請求項14に記載の積層コイル部品。
【請求項17】
前記第三最短距離は、前記第一部分から離れるにしたがって増加する、請求項16に記載の積層コイル部品。
【請求項18】
前記第三部分は、前記第一部分に近い位置において、第三幅を有し、前記第一部分から離れた位置において、前記第三幅より小さい第四幅を有する、請求項14に記載の積層コイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
知られている積層コイル部品は、素体、第一外部電極、第二外部電極、コイル、第一接続導体及び第二接続導体を備えている(たとえば、特許文献1)。素体は、実装面を構成する主面を有する。第一外部電極及び第二外部電極は、主面に配置されており、互いに離間している。コイルは、コイル軸が主面と交差する方向に沿うように素体の内部に配置されている。コイルは、第一端と第一端よりも主面から離間している第二端とを有する。第一接続導体は、第一外部電極と第一端とを接続している。第二接続導体は、第二外部電極と第二端とを接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一つの態様は、自己共振周波数を制御できる積層コイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様に係る積層コイル部品は、素体、第一外部電極、第二外部電極、コイル、第一接続導体及び第二接続導体を備えている。素体は、実装面を構成する主面を有する。第一外部電極及び第二外部電極は、主面に配置されており、互いに離間している。コイルは、コイル軸が主面と交差する方向に沿うように素体の内部に配置されている。コイルは、第一端と第一端よりも主面から離間している第二端とを有する。第一接続導体は、第一外部電極と第一端とを接続している。第二接続導体は、第二外部電極と第二端とを接続している。第二接続導体は、複数のパッド導体及び複数のスルーホール導体を有する。複数のパッド導体及び複数のスルーホール導体は、主面に交差する方向で交互に配置されていると共にコイルから離間している。複数のスルーホール導体のそれぞれは、接続端を有する。接続端は、複数のパッド導体のうち隣るパッド導体と接続されている。複数のパッド導体のそれぞれは、第一部分及び第二部分を有する。第一部分は、複数のスルーホール導体のうち隣るスルーホール導体の接続端の全体と重なる。第二部分は、第一部分と連続していると共に、第一部分よりもコイルから離間している。
【0006】
上記一つの態様では、複数のパッド導体のそれぞれは、第一部分と第一部分と連続する第二部分とを有する。第一部分は、複数のスルーホール導体のうち隣るスルーホール導体の接続端の全体と重なると共にコイルから離間する。第二部分は、第一部分よりもコイルから離間している。したがって、各パッド導体とコイルとの間の間隔は、第二部分によって容易に調整される。結果として、上記態様は、第二部分によって、各パッド導体とコイルとの間に生じる浮遊容量が調整されるので、自己共振周波数を制御できる。
【0007】
上記一つの態様では、第二部分は、コイルに近づかない方向に第一部分から延在するように形成されていてもよい。
第二部分がコイルに近づかない方向に第一部分から延在する構成では、第二部分が延在する方向によって、各パッド導体とコイルとの間に生じる浮遊容量を調整できる。
【0008】
上記一つの態様では、第二部分において、第一部分からの距離が大きい位置ほど、当位置でのコイルと第二部分との間隔が大きくてもよい。
第二部分において第一部分からの距離が大きい位置ほど当位置でのコイルと第二部分との間隔が大きい構成では、第二部分の長さによって、各パッド導体とコイルとの間に生じる浮遊容量を調整できる。
【0009】
上記一つの態様では、コイルと第二部分との最短距離を規定する方向での、第二部分の幅は、第一部分に近い位置より第一部分から離れた位置で小さくてもよい。
コイルと第二部分との最短距離を規定する方向での第二部分の幅が第一部分に近い位置より第一部分から離れた位置で小さい構成では、第二部分の幅によって、各パッド導体とコイルとの間に生じる浮遊容量を調整できる。
【0010】
上記一つの態様では、複数のパッド導体のそれぞれは、第二部分から離間している第三部分を更に有してもよい。第三部分は、第一部分と連続していると共に、第一部分よりもコイルから離間していてもよい。
上記一つの態様では、第一部分は、複数のスルーホール導体のうち隣るスルーホール導体の接続端の全体と重なると共にコイルから離間する。第三部分は、第一部分よりもコイルから離間している。したがって、各パッド導体とコイルとの間の間隔は、第三部分によって更に容易に調整される。結果として、複数のパッド導体のそれぞれが有する上記第三部分が、第一部分よりもコイルから離間している構成は、第三部分によって、各パッド導体とコイルとの間に生じる浮遊容量が調整されるので、自己共振周波数を制御できる。
【0011】
上記一つの態様では、第三部分は、コイルに近づかない方向に第一部分から延在するように形成されていてもよい。
第三部分がコイルに近づかない方向に第一部分から延在する構成では、第三部分が延在する方向によって、各パッド導体とコイルとの間に生じる浮遊容量を調整できる。
【0012】
上記一つの態様では、第三部分において、第一部分からの距離が大きい位置ほど、当位置でのコイルと第三部分との間隔が大きくてもよい。
第三部分において第一部分からの距離が大きい位置ほど当位置でのコイルと第三部分との間隔が大きい構成では、第三部分の長さによって、各パッド導体とコイルとの間に生じる浮遊容量を調整できる。
【0013】
上記一つの態様では、コイルと第三部分との最短距離を規定する方向での、第三部分の幅は、第一部分に近い位置より第一部分から離れた位置で小さくてもよい。
コイルと第三部分との最短距離を規定する方向での第三部分の幅が第一部分に近い位置より第一部分から離れた位置で小さい構成では、第三部分の幅によって、各パッド導体とコイルとの間に生じる浮遊容量を調整できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一つの態様は、自己共振周波数を制御できる積層コイル部品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る積層コイル部品を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る積層コイル部品の素体の内部を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る積層コイル部品の素体の内部を示す側面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る積層コイル部品の一部の平面分解図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係るパッド導体の平面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る積層コイル部品の周波数特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0017】
図1~
図4を参照して、本実施形態に係る積層コイル部品1の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る積層コイル部品1を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る積層コイル部品の素体2の内部を示す斜視図である。
図3は、本実施形態に係る積層コイル部品1の素体2の内部を示す側面図である。
図4は、本実施形態に係る積層コイル部品1の一部の平面分解図である。積層コイル部品1は、電子機器にはんだ実装される。電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。
【0018】
図1~
図4に示されるように、積層コイル部品1は、直方体形状を呈している素体2と、素体2の内部に配置されているコイル3と、外部電極41及び外部電極42と、素体2の内部に配置されている接続導体51及び接続導体52と、を備えている。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。
【0019】
素体2は、互いに対向している一対の主面2aと、互いに対向している一対の側面2bと、互いに対向している一対の側面2cと、を有している。主面2a及び各側面2b,2cは、矩形状を呈している。主面2aと側面2bとは、互いに隣り合っている。主面2aと側面2cとは、互いに隣り合っている。
【0020】
一対の主面2aが互いに対向している方向D1は、各主面2aに交差している。本実施形態では、方向D1は、各主面2aに直交している。方向D1は、一対の側面2bが互いに対向している方向D2と直交している。方向D2は、各側面2bに直交している。一対の側面2cが互いに対向している方向D3は、各側面2cと直交していると共に、各主面2aと各側面2bとに平行である。方向D3は、方向D1と方向D2とに直交している。
【0021】
図1に示されているように、外部電極41及び外部電極42は、一方の主面2aaに配置されている。すなわち、一対の主面2aは、一方の主面2aaを含む。外部電極41及び外部電極42は、互いに離間している。一例として、外部電極41及び外部電極42は、方向D2で互いに離間している。外部電極41及び外部電極42のそれぞれは、たとえば、方向D1から見て、矩形状を呈している。積層コイル部品1では、外部電極41及び外部電極42が配置されている一方の主面2aaは、電子機器と対向する実装面を構成している。すなわち、一方の主面2aaは、実装面を構成するように配置される。外部電極41及び外部電極42のそれぞれの表面には、めっき層が形成されている。めっき層は、たとえば、電気めっき又は無電解めっきにより形成される。めっき層は、たとえば、Ni、Sn、又はAuを含んでいる。たとえば、外部電極41が第一外部電極を構成する場合、外部電極42が第二外部電極を構成する。
【0022】
図3及び
図4に示されているように、素体2は、積層された複数の絶縁体層21に構成されている。素体2は、積層されている複数の絶縁体層21を有している。素体2では、複数の絶縁体層21が積層されている方向は、方向D1と一致する。実際の素体2では、各絶縁体層21は、各絶縁体層21の間の境界が視認できない程度に一体化されている。各絶縁体層21は、たとえば、磁性材料により構成されている。磁性材料は、たとえば、Ni-Cu-Zn系フェライト材料、Ni-Cu-Zn-Mg系フェライト材料、又はNi-Cu系フェライト材料を含んでいる。各絶縁体層21を構成する磁性材料は、Fe合金を含んでいてもよい。各絶縁体層21は、非磁性材料から構成されていてもよい。非磁性材料は、たとえば、ガラスセラミック材料又は誘電体材料を含んでいる。本実施形態では、各絶縁体層21は、非磁性材料を含むグリーンシートの焼結体から構成されている。
【0023】
図2に示されているように、コイル3は、そのコイル軸Cが一方の主面2aaと交差するように素体2の内部に配置されている。すなわち、コイル3は、一方の主面2aaと交差する方向に沿うコイル軸Cを有する。本実施形態では、コイル軸Cは、方向D1に沿っている。
図3及び
図4に示されているように、一例として、コイル3は、複数のコイル導体層31a,31b,31c及び複数のコイル接続層32が積層されて構成されている。コイル3は、積層された複数のコイル導体層31a,31b,31c及び複数のコイル接続層32を有している。すなわち、コイル3は、複数のターンを含む。本実施形態では、複数のターンは、複数のコイル導体層31a,31b,31cにより構成される。複数のコイル導体層31a,31b,31c及び複数のコイル接続層32は、方向D1で積層されている。実際のコイル3では、複数のコイル導体層31a,31b,31c及び複数のコイル接続層32は、各コイル導体層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。各コイル導体層31a,31b,31c及び各コイル接続層32は、対応する絶縁体層21に形成されている欠損部に設けられている。各コイル導体層31a,31b,31c及び各コイル接続層32は、たとえば、導電性ペーストの焼結体により構成されている。コイル軸Cが延在している方向D1から見たコイル3は、一例として、略矩形状を呈する。
【0024】
コイル3は、一つのコイル導体層31aを有している。コイル導体層31aは、各コイル導体層31a,31b,31cのうち最も一方の主面2aaから離間しているコイル導体層である。コイル3は、複数のコイル導体層31bを有している。本実施形態では、複数のコイル導体層31bの数は、「5」である。コイル3は、複数のコイル導体層31cを有している。本実施形態では、複数のコイル導体層31cの数は、「6」である。複数のコイル導体層31b,31c及び複数のコイル接続層32は、方向D1で交互に配置されている。複数のコイル導体層31bのうち最も一方の主面2aaから離間しているコイル導体層31bとコイル導体層31aとは、コイル接続層32を介して接続されている。複数のコイル導体層31b,31cは、複数のコイル接続層32を介して互いに接続されている。
【0025】
コイル3は、端33と、端33よりも一方の主面2aaから離間している端34とを有する。たとえば、端33が第一端を構成する場合、端34が第二端を構成する。端33は、複数のコイル導体層31bのうち最も一方の主面2aaと近接しているコイル導体層31bに含まれる。端34はコイル導体層31aに含まれる。方向D1から見て、端33と外部電極41とは重なっている。端33と外部電極41とは接続導体51を介して接続されている。本実施形態では、接続導体51は、方向D1で交互に配置されている少なくとも一つのパッド導体及び少なくとも一つのスルーホール導体を有している。方向D1から見て、端34と外部電極42とは重なっている。本実施形態では、端34は、方向D2に延在するように形成されている。端34と外部電極42とは接続導体52を介して接続されている。たとえば、接続導体51が第一接続導体を構成する場合、接続導体52が第二接続導体を構成する。コイル軸Cが延在している方向D1から見て、接続導体51及び接続導体52のそれぞれは、一対の側面2cの何れか一方に近接して配置されている。接続導体51及び接続導体52は、対応する絶縁体層21に形成されている欠損部に設けられている。接続導体51及び接続導体52は、たとえば、導電性ペーストの焼結体により構成されている。
【0026】
接続導体52は、方向D1で交互に配置されていると共にコイル3から離間している複数のパッド導体53及び複数のスルーホール導体54を有している。複数のパッド導体53のうち最も一方の主面2aaから離間しているパッド導体53が端34と接続されている。複数のスルーホール導体54のうち最も一方の主面2aaに近接しているスルーホール導体54が外部電極42と接続されている。複数のパッド導体53及び複数のスルーホール導体54は、方向D1で交互に配置されている。
【0027】
複数のスルーホール導体54のそれぞれは、複数のパッド導体53のうち隣るパッド導体53と接続されている接続端54aを有する。方向D1から見て、接続端54aは、その全体が各パッド導体53と重なっている。方向D1から見て、各パッド導体53の面積は、接続端54aの面積よりも大きい。
【0028】
図5の(a)は、本実施形態に係るパッド導体53の平面図である。
図4及び
図5の(a)に示されているように、複数のパッド導体53のそれぞれは、部分53a及び部分53bを有する。複数のパッド導体53のそれぞれは、部分53cを更に有する。部分53aは、複数のスルーホール導体54のうち隣るスルーホール導体54の接続端54aの全体と重なる。部分53b及び部分53cは、部分53aと連続していると共に、部分53aよりもコイル3から離間している。方向D1から見て、部分53aの面積は、接続端54aの面積よりも大きい。一例として、方向D1から見た部分53aは、矩形状を呈する。一例として、方向D1から見た接続端54aは、円形状を呈する。たとえば、部分53aが第一部分を構成する場合、部分53bが第二部分を構成すると共に部分53cが第三部分を構成してもよい。たとえば、部分53aが第一部分を構成する場合、部分53cが第二部分を構成すると共に部分53bが第三部分を構成してもよい。
【0029】
上述したように、部分53b及び部分53cは、部分53aよりもコイル3から離間している。すなわち、部分53bとコイル3との距離は、部分53aとコイル3との距離より大きく、部分53cとコイル3との距離も、部分53aとコイル3との距離より大きい。
部分53aとコイル3との距離は、たとえば、部分53aとコイル3との最短距離G1で規定される。この場合、本実施形態では、最短距離G1は、互いに同じ層に位置する、部分53aとコイル導体層31bとの最短距離で規定される。
部分53bとコイル3との距離は、たとえば、部分53bとコイル3との最短距離G2で規定される。この場合、本実施形態では、最短距離G2は、互いに同じ層に位置する、部分53bとコイル導体層31bとの最短距離で規定される。
部分53cとコイル3との距離は、たとえば、部分53cとコイル3との最短距離G3で規定される。この場合、本実施形態では、最短距離G3は、互いに同じ層に位置する、部分53cとコイル導体層31bとの最短距離で規定される。
最短距離G2は、最短距離G1より大きく、最短距離G3も最短距離G1より大きい。
最短距離G2と最短距離G3とは、同じでもよく、異なっていてもよい。
本実施形態では、最短距離G2を規定する方向は、方向D2に沿っている。最短距離G2を規定する方向は、方向D2及び方向D3と交差している。
たとえば、最短距離G1が第一最短距離を構成する場合、最短距離G2が第二最短距離を構成する。たとえば、最短距離G1が第一最短距離を構成する場合、最短距離G3が第三最短距離を構成する。
【0030】
部分53b及び部分53cは、複数のスルーホール導体54と複数のパッド導体53とが互いに隣り合う方向D1と交差する方向D3に部分53aから延在するように形成されている。方向D3は、部分53b及び部分53cがコイル3に近づかない方向の一例である。
図4及び
図5の(a)に示されているように、本実施形態では、部分53bは、方向D3において一方の側に向かって、部分53aから延在するように形成された略矩形状を呈する。部分53cは、方向D3において部分53bの反対側に向かって、部分53aから延在するように形成された略矩形状を呈する。
【0031】
上述のように、本実施形態に係る積層コイル部品1では、複数のパッド導体53のそれぞれは、部分53aと部分53aと連続する部分53bとを有する。部分53aは、複数のスルーホール導体54のうち隣るスルーホール導体54の接続端54aの全体と重なる。部分53bは、部分53aよりもコイル3から離間している。したがって、各パッド導体53とコイル3との間の間隔は、部分53bによって容易に調整される。結果として、上記態様は、部分53bによって、各パッド導体53とコイル3との間に生じる浮遊容量が調整されるので、自己共振周波数を制御できる。上記態様は、浮遊容量を低減して、自己共振周波数の低下を抑制するように制御できる。
【0032】
上述のように、複数のパッド導体53のそれぞれは、部分53bから離間している部分53cを更に有する。部分53cは、部分53aと連続していると共に、部分53aよりもコイル3から離間している。
上記一つの態様では、部分53aは、複数のスルーホール導体54のうち隣るスルーホール導体54の接続端54aの全体と重なる。部分53cは、部分53aよりもコイル3から離間している。したがって、各パッド導体53とコイル3との間の間隔は、部分53cによって更に容易に調整される。結果として、上記態様は、部分53cによって、各パッド導体53とコイル3との間に生じる浮遊容量が調整されるので、自己共振周波数を制御できる。上記態様は、浮遊容量を低減して、自己共振周波数の低下を抑制するように制御できる。
【0033】
上述のように、部分53b及び部分53cのそれぞれは、コイル3に近づかない方向に部分53aから延在するように形成されている。すなわち、各最短距離G2,G3は、部分53aから離れるにしたがって少なくとも減少しない。一例として、部分53b及び部分53cのそれぞれは、方向D3に部分53aから延在するように形成されている。コイル3に近づかない方向とは、部分53b及び部分53cのそれぞれとコイル3との最短距離を規定する方向以外の方向である。
部分53b及び部分53cのそれぞれがコイル3に近づかない方向に部分53aから延在する構成では、部分53b又は部分53cが延在する方向によって、各パッド導体53とコイル3との間に生じる浮遊容量を調整できる。
【0034】
接続導体は、たとえば、積層された導体パターンが焼成されることによって形成される。導体パターンは、グリーンシートに付与された導電性ペーストである。導電性ペーストは、グリーンシートに形成された貫通孔に充填される。
各接続導体51,52は、主面2aaに交差する方向D1で交互に配置されている複数のパッド導体及び複数のスルーホール導体を有する。複数のスルーホール導体のそれぞれは、複数のパッド導体のうち隣るパッド導体と接続されている接続端を有する。方向D1から見て、各パッド導体の面積は、接続端の面積よりも大きい。したがって、各接続導体51,52の製造過程において、積層された一つの導体パターンと、その導体パターンの上に積層された導体パターンとの間に積層方向と交差する方向の誤差が生じていても、各パッド導体には接続端の全体が確実に重なる。結果として、スルーホール導体とパッド導体との間の接続性が確保される。
【0035】
各パッド導体53は、部分53a及び部分53bを有する。方向D1から見て、部分53aの面積は、接続端54aの面積よりも大きい。したがって、各パッド導体53の製造過程において、上述した誤差が生じていても、部分53aには接続端54aの全体が確実に重なる。部分53bは、部分53aと連続していると共に部分53aよりもコイル3から離間している。したがって、積層コイル部品1は、スルーホール導体54とパッド導体53との間の接続性を確保すると共に、各パッド導体53とコイル3との間に生じる浮遊容量を低減するように調整することができる。積層コイル部品1は、スルーホール導体とパッド導体との間の接続性を確保すると共に自己共振周波数の低下を抑制できる。
【0036】
一例として、導体パターンは、スクリーン印刷によって形成される。スクリーン印刷では、導電性ペーストは、スクリーン版によって、グリーンシートへ付与される。スクリーン版のメッシュには、導体パターンに対応する部分が開口しているマスクが形成されている。スクリーン版のメッシュ及びマスク上に載せられた導電性ペーストは、開口を通過し、グリーンシートに付与される。
スクリーン版のメッシュには、メッシュを構成している複数の線材の交点に窪みが形成される。以下、スクリーン版のメッシュを構成している複数の線材の交点に形成された窪みを、「メッシュの窪み」と呼ぶ。導電性ペーストがグリーンシートに付与されるとき、グリーンシートに付与された導電性ペーストがメッシュの窪みに入り込むことによって、導電性ペーストがグリーンシートから持ち去られることがある。以下、グリーンシートに付与された導電性ペーストがメッシュの交点に形成される窪みに入り込むことによって、導電性ペーストがグリーンシートから持ち去られることを、「持ち帰り」と呼ぶ。たとえば、持ち帰りによって、グリーンシートに付与された導電性ペーストの量が減ることで、導体パターンが所望の形状になりがたい場合がある。
【0037】
各パッド導体53は、部分53aから連続していると共にコイル3に近づかない方向D3に延在するように形成される部分53bを含んでいる。部分53a及び部分53bを含む各パッド導体53は、部分53aのみを含むパッド導体と比べて大きい。したがって、各パッド導体53の製造過程での導体パターンに付与される導電性ペーストの量は、部分53aのみを含むパッド導体の製造過程での導体パターンに付与される導電性ペーストの量より多いので、持ち帰りが発生しても、導体パターンは所望の形状になりやすい。各接続導体51,52の製造過程において、所望の形状の導体パターンが得られやすいので、各パッド導体には接続端の全体が確実に重なる。結果として、スルーホール導体とパッド導体との間の接続性が確保される。
【0038】
各パッド導体53は、部分53aから連続していると共に部分53bから離間している部分53cを更に有する。部分53cは、コイル3に近づかない方向D3に延在するように形成される。部分53a、部分53b及び部分53cを含む各パッド導体53は、部分53aのみを含むパッド導体と比べて更に大きい。したがって、各パッド導体53の製造過程での導体パターンに付与される導電性ペーストの量は、部分53aのみを含むパッド導体の製造過程での導体パターンに付与される導電性ペーストの量より更に多いので、持ち帰りが発生しても、導体パターンの形状は所望の形状になりやすい。各接続導体51,52の製造過程において、所望の形状の導体パターンが得られやすいので、各パッド導体には接続端の全体が確実に重なる。結果として、スルーホール導体とパッド導体との間の接続性が確保される。
部分53aから方向D3の双方の側に部分53b,53cが延在するように形成される各パッド導体53の形状は、部分53aから方向D3の片方の側のみに部分が延在するように形成されるパッド導体の形状と比べて、大きな形状を呈しやすい。したがって、各パッド導体53の製造過程では、導体パターンに付与される導電性ペーストの量は、容易に増加され得る。
【0039】
次に、
図5の(b)~(d)を参照して、パッド導体53の変形例を説明する。
図5の(b)は、他の変形例に係るパッド導体53Aの平面図である。以下では、パッド導体53Aについて、パッド導体53との相違点を中心に説明する。パッド導体53Aは、部分53cを有さない。パッド導体53Aでは、部分53bは、コイル3と部分53bとの最短距離を規定する方向でのコイル3から離間する側に向かって、部分53aから延在するように形成された略矩形状を呈する。一例として、部分53bは、方向D2において、コイル3から離間する側に向かって延在している。
【0040】
図5の(c)は、更に他の変形例に係るパッド導体53Bの平面図である。以下では、パッド導体53Bについて、パッド導体53との相違点を中心に説明する。パッド導体53Bでは、部分53bにおいて、部分53aからの距離が大きい位置ほど、当該位置でのコイル3と部分53bとの間隔が大きい。すなわち、部分53bでは、部分53aから離れた位置での最短距離G2は、部分53aに近い位置での最短距離G2より大きい。また、最短距離G2は、部分53aから離れるにしたがって増加する。パッド導体53Bでは、部分53cにおいて、部分53aからの距離が大きい位置ほど、当該位置でのコイル3と部分53cとの間隔が大きい。すなわち、部分53cでは、部分53aから離れた位置での最短距離G3は、部分53aに近い位置での最短距離G3より大きい。また、最短距離G2は、部分53aから離れるにしたがって増加する。本変形例では、方向D1から見て、パッド導体53Bは、略台形状を呈する。略台形状を呈するパッド導体53Bは、方向D3に沿って延在する上底及び下底と、上底と下底とを接続する一対の脚53dを含む。方向D3において、当該下底は、当該上底よりも長い。方向D2において当該下底は、当該上底よりもコイル3から離間している。当該一対の脚53dは、部分53aとの間の距離の増加につれて、方向D2においてコイル3との間の距離が増加するように延在している。当該一対の脚53dの位置では、部分53aからの距離が大きい位置ほど、当該位置でのコイル3と部分53cとの間隔が大きい。
部分53bにおいて部分53aからの距離が大きい位置ほど当位置でのコイル3と部分53bとの間隔が大きい構成では、部分53bの長さによって、各パッド導体53とコイル3との間に生じる浮遊容量を調整できる。
部分53cにおいて部分53aからの距離が大きい位置ほど当位置でのコイル3と部分53cとの間隔が大きい構成では、部分53cの長さによって、各パッド導体53とコイル3との間に生じる浮遊容量を調整できる。
【0041】
図5の(d)は、更に他の変形例に係るパッド導体53Cの平面図である。以下では、パッド導体53Cについて、パッド導体53との相違点を中心に説明する。パッド導体53Cでは、コイル3と部分53bとの最短距離を規定する方向D2での、部分53bの幅W1は、部分53aに近い位置より部分53aから離れた位置で小さい。すなわち、部分53bは、部分53aに近い位置において、第一幅を有し、部分53aから離れた位置において、第一幅より小さい第二幅を有する。また、幅W1は、
図5の(d)に示されるように、部分53aから離れるにしたがって減少する。すなわち、部分53bは、部分53bの先端に近いほど幅W1が小さい先細り形状を呈する。パッド導体53Cでは、コイル3と部分53cとの最短距離を規定する方向D2での、部分53cの幅W2は、部分53aに近い位置より部分53aから離れた位置で小さい。すなわち、部分53cは、部分53aに近い位置において、第三幅を有し、部分53aから離れた位置において、第三幅より小さい第四幅を有する。また、幅W2は、
図5の(d)に示されるように、部分53aから離れるにしたがって減少する。すなわち、部分53cは、部分53cの先端に近いほど幅W2が小さい先細り形状を呈する。本変形例では、部分53b及び部分53cのそれぞれは、部分53aから方向D3に延在していると共に方向D3での先端に近づくほど先細りになるように形成されている。
コイル3と部分53bとの最短距離を規定する方向D2での部分53bの幅が部分53aに近い位置より部分53aから離れた位置で小さい構成では、部分53bの幅によって、各パッド導体53とコイル3との間に生じる浮遊容量を調整できる。
コイル3と部分53cとの最短距離を規定する方向D2での部分53cの幅が第一部53a分に近い位置より部分53aから離れた位置で小さい構成では、部分53cの幅によって、各パッド導体とコイルとの間に生じる浮遊容量を調整できる。
【0042】
次に、本実施形態が自己共振周波数を制御し得ることを、実施例及び比較例に基づいて説明する。実施例では、上述した本実施形態に係る積層コイル部品1のQ特性を確認した。実施例は、パッド導体53が部分53b及び部分53cを有している積層コイル部品である。比較例では、パッド導体53が部分53b及び部分53cを有していない積層コイル部品のQ特性を確認した。比較例は、パッド導体53は部分53aのみからなる積層コイル部品である。
【0043】
確認結果を
図6に示す。
図6は、積層コイル部品のQ特性を示す線図である。Q特性は、たとえば、Q値の周波数特性である。
図6では、上記実施例でのQ特性が実線で示され、上記比較例でのQ特性が破線で示される。
図6に示されるように、実施例と比較例とは、高周波帯域でのQ値が高い急峻なQ特性を有する。実施例と比較例とは、略同等のQ特性を有する。実施例と比較例とが略同等のQ特性を有する理由は、実施例が浮遊容量を制御していることに他ならない。実施例は、たとえば、浮遊容量の増加を抑制することにより、浮遊容量を制御する。したがって、実施例は、自己共振周波数を制御し得る。
図6に示された結果から、本実施形態が自己共振周波数を制御し得ることが確認される。
【0044】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0045】
コイル軸Cが延在している方向D1から見たコイル3は、多角形状を呈してもよい。コイル軸Cが延在している方向D1から見たコイル3は、円形状を呈してもよい。円形状は、真円、楕円及び長辺を含む。
【0046】
コイル軸Cが延在している方向D1から見て、接続導体51及び接続導体52のそれぞれは、一対の側面2cの双方から略等しい距離に配置されていてもよい。コイル軸Cが延在している方向D1から見て、接続導体51は一対の側面2cの一方に近接して配置され、接続導体52は一対の側面2cの他方に近接して配置されていてもよい。コイル軸Cが延在している方向D1から見て、接続導体51及び接続導体52は、コイル軸Cに対して対角の位置に配置されていてもよい。
【0047】
上述した実施形態及び変形例の記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す態様の開示を含んでいる。
(付記1)
実装面を構成する主面を有する素体と、
前記主面に配置されており、互いに離間している第一外部電極及び第二外部電極と、
コイル軸が前記主面と交差する方向に沿うように前記素体の内部に配置されており、第一端と前記第一端よりも前記主面から離間している第二端とを有するコイルと、
前記第一外部電極と前記第一端とを接続する第一接続導体と、
前記第二外部電極と前記第二端とを接続する第二接続導体と、を備え、
前記第二接続導体は、前記主面に交差する方向で交互に配置されていると共に前記コイルから離間している複数のパッド導体及び複数のスルーホール導体を有し、
前記複数のスルーホール導体のそれぞれは、前記複数のパッド導体のうち隣るパッド導体と接続されている接続端を有し、
前記複数のパッド導体のそれぞれは、
前記複数のスルーホール導体のうち隣るスルーホール導体の前記接続端の全体と重なる第一部分と、
前記第一部分と連続していると共に、前記第一部分よりも前記コイルから離間している第二部分と、を有する、
積層コイル部品。
(付記2)
前記第二部分は、前記コイルに近づかない方向に前記第一部分から延在するように形成されている、付記1に記載の積層コイル部品。
(付記3)
前記第二部分において、前記第一部分からの距離が大きい位置ほど、当該位置での前記コイルと前記第二部分との間隔が大きい、付記1又は2に記載の積層コイル部品。
(付記4)
前記コイルと前記第二部分との最短距離を規定する方向での、前記第二部分の幅は、前記第一部分に近い位置より前記第一部分から離れた位置で小さい、付記1~3のいずれか一つに記載の積層コイル部品。
(付記5)
前記複数のパッド導体のそれぞれは、前記第二部分から離間している第三部分を更に有し、
前記第三部分は、前記第一部分と連続していると共に、前記第一部分よりも前記コイルから離間している、付記1~4のいずれか一つに記載の積層コイル部品。
(付記6)
前記第三部分は、前記コイルに近づかない方向に前記第一部分から延在するように形成されている、付記5に記載の積層コイル部品。
(付記7)
前記第三部分において、前記第一部分からの距離が大きい位置ほど、当該位置での前記コイルと前記第三部分との間隔が大きい、付記5又は6に記載の積層コイル部品。
(付記8)
前記コイルと前記第三部分との最短距離を規定する方向での、前記第三部分の幅は、前記第一部分に近い位置より前記第一部分から離れた位置で小さい、付記5~7のいずれか一つに記載の積層コイル部品。
(付記9)
主面を有する素体と、
前記主面に配置されている第一外部電極及び第二外部電極と、
前記素体の内部に配置されていると共に、複数のターンを含むコイルと、
前記第一外部電極と前記コイルとを接続している第一接続導体と、
前記第二外部電極と前記コイルとを接続していると共に、前記複数のターンと対向する第二接続導体と、を備え、
前記第二接続導体は、互いに隣り合っているパッド導体及びスルーホール導体を含み、
前記スルーホール導体は、前記パッド導体と接続されている接続端を含み、
前記パッド導体は、
前記接続端の全体と重なると共に、前記コイルから第一最短距離を有する第一部分と、
前記第一部分と連続すると共に、前記コイルから前記第一最短距離より大きい第二最短距離を有する第二部分と、を含む、積層コイル部品。
(付記10)
前記第二部分では、前記第二最短距離は、前記第一部分から離れるにしたがって少なくとも減少しない、付記9に記載の積層コイル部品。
(付記11)
前記第二部分では、前記第一部分から離れた位置での前記第二最短距離は、前記第一部分に近い位置での前記第二最短距離より大きい、付記9又は10に記載の積層コイル部品。
(付記12)
前記第二最短距離は、前記第一部分から離れるにしたがって増加する、付記11に記載の積層コイル部品。
(付記13)
前記第二部分は、前記第一部分に近い位置において、第一幅を有し、前記第一部分から離れた位置において、前記第一幅より小さい第二幅を有する、付記9~12のいずれか一つに記載の積層コイル部品。
(付記14)
前記パッド導体は、
前記第一部分と連続し、かつ、前記第二部分から離間していると共に、前記コイルから前記第一最短距離より大きい第三最短距離を有する第三部分と、を含む、付記9~13のいずれか一つに記載の積層コイル部品。
(付記15)
前記第三部分では、前記第三最短距離は、前記第一部分から離れるにしたがって少なくとも減少しない、付記14に記載の積層コイル部品。
(付記16)
前記第三部分では、前記第一部分に近いから離れた位置での前記第三最短距離は、前記第一部分に近い位置での前記第三最短距離より大きい、付記14又は15に記載の積層コイル部品。
(付記17)
前記第三最短距離は、前記第一部分から離れるにしたがって増加する、付記16に記載の積層コイル部品。
(付記18)
前記第三部分は、前記第一部分に近い位置において、第三幅を有し、前記第一部分から離れた位置において、前記第三幅より小さい第四幅を有する、付記14~17のいずれか一つに記載の積層コイル部品。
【符号の説明】
【0048】
1…積層コイル部品、2…素体、2a,2aa…主面、3…コイル、31a…コイル導体層、31b…コイル導体層、31c…コイル導体層、32…コイル接続層、33,34…端、41,42…外部電極、51,52…接続導体、53,53A,53B,53C…パッド導体、53a,53b,53c…部分、53d…脚、54…スルーホール導体、54a…接続端、C…コイル軸、D1、D2,D3…方向、G1,G2…最短距離、W1,W2…幅。