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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013438
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】基板用コネクタおよび機器
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6594 20110101AFI20230119BHJP
   H01R 13/6596 20110101ALI20230119BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20230119BHJP
【FI】
H01R13/6594
H01R13/6596
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117616
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 利一
(72)【発明者】
【氏名】一尾 敏文
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】平松 和樹
(72)【発明者】
【氏名】加登山 太河
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA16
5E021FB02
5E021FC19
5E021LA10
5E021LA15
5E223AB59
5E223BA07
5E223BB01
5E223CD01
5E223CD15
5E223DB11
5E223DB13
5E223EA13
5E223EB04
5E223EB13
5E223EB23
5E223EB32
(57)【要約】
【課題】ノイズの軽減ができる基板用コネクタおよび機器を提供する。
【解決手段】本開示の基板用コネクタ10は、回路基板50に取り付けられる基板用コネクタ10であって、前方に開口するフード部15を有し、フード部15が開口する前端部16と反対側に設けられた後壁30を有するハウジング11と、後壁30を貫通してハウジング11に固定された外導体20と、外導体20の内部に配された絶縁性の誘電体19と、誘電体19の内部に配された内導体18と、外導体20に接続されるアースバネ40と、を備え、フード部15は、回路基板50とは反対側に配される第1壁15Aと、回路基板50側に配される第2壁15Bと、第1壁15Aと第2壁15Bを連結する第3壁15Cと、を有し、アースバネ40は、第1壁15Aの外面側に配された第1の筐体接続部と、第2壁15Bと第3壁15Cの双方の外面側に配された第2の筐体接続部と、を有する、基板用コネクタ10である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に取り付けられる基板用コネクタであって、
前方に開口するフード部を有し、前記フード部が開口する前端部と反対側に設けられた後壁を有するハウジングと、
前記後壁を貫通して前記ハウジングに固定された外導体と、
前記外導体の内部に配された絶縁性の誘電体と、
前記誘電体の内部に配された内導体と、
前記外導体に接続されるアースバネと、を備え、
前記フード部は、前記回路基板とは反対側に配される第1壁と、前記回路基板側に配される第2壁と、前記第1壁と前記第2壁を連結する第3壁と、を有し、
前記アースバネは、前記第1壁の外面側に配された第1の筐体接続部と、前記第2壁と前記第3壁の双方またはいずれか一方の外面側に配された第2の筐体接続部と、を有する、基板用コネクタ。
【請求項2】
前記アースバネは、前記後壁の外面に沿って配される取付本体部を備え、前記第1の筐体接続部は、前記取付本体部の前縁から前方に突出する複数の第1接続バネを有し、前記第2の筐体接続部は、前記取付本体部の前縁から前方に突出する複数の第2接続バネを有している、請求項1に記載の基板用コネクタ。
【請求項3】
前記取付本体部は角筒状をなし、前記第1壁に対応する第1取付壁と、前記第2壁に対応する第2取付壁と、前記第3壁に対応する第3取付壁と、を備え、前記第3取付壁は、前記第1取付壁と前記第2取付壁が対向する方向と直交する方向に対向して一対設けられており、前記第2の筐体接続部は、前記第2取付壁と一対の前記第3取付壁の双方に配されている、請求項2に記載の基板用コネクタ。
【請求項4】
前記外導体は、前記ハウジングの前記後壁に沿って配されるフランジを有し、
前記第1取付壁は、前記フランジに対して後方から弾性的に接触する保持バネを有し、一対の前記第3取付壁は、前記保持バネとともに前記フランジを挟持する一対の挟持片を有する、請求項3に記載の基板用コネクタ。
【請求項5】
前記第2の筐体接続部は一対の前記第3取付壁に一対設けられており、
前記保持バネは、前記第1取付壁の後縁に設けられ、一対の前記挟持片は、一対の前記第3取付壁の後縁に設けられている、請求項4に記載の基板用コネクタ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の基板用コネクタと、
前記基板用コネクタが取り付けられた回路基板と、
前記回路基板が内部に収容されるとともに、前記アースバネを介して前記外導体と電気的に接続された金属製の筐体と、を備え、
前記筐体は、前記第1の筐体接続部に接続される第1のバネ受部と、前記第2の筐体接続部に接続される第2のバネ受部と、を有する機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板用コネクタおよび機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板に取り付けられるコネクタとして、例えば特開2016-207411号公報(下記特許文献1)に記載のコネクタが知られている。このコネクタは、導電性の信号端子と、信号端子を保持する絶縁性のハウジングと、ハウジングを覆う導電性のシェルと、信号端子の上方に配されてハウジングに保持される導電性の上段グランド端子と、信号端子の下方に配されてハウジングに保持される導電性の下段グランド端子と、を有している。上段グランド端子はシェルの背面側に接触する接触部を有している。
【0003】
シェルは、コネクタの信号端子を外部からの電気的ノイズから遮断するとともに、上段グランド端子のグランド接続を確立するための部材である。シェルは、正面および下面が開放された箱型の形状を有している。シェルの上面の一部は切込みを入れて外側に折り曲げられ、コネクタを収容するユニット筐体のグランド端子と接続されるシェル側グランド接続部となっている。シェルの背面は、上段グランド端子の接触部と接触する接触面を有する。
【0004】
上段グランド端子は相手側コネクタのメスグランドと接続されることにより、グランド接続されるグランド端子としての機能を有する。上段グランド端子の接触部はシェルの接触面に接触し、シェル側グランド接続部はユニット筐体のグランド端子に接触している。これにより、メスグランド、上段グランド端子、シェル、シェルのシェル側グランド接続部を介してユニット筐体のグランド端子に至るグランドラインが構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-207411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のコネクタでは、シェル側グランド接続部がシェルの上面のみに設けられているため、高速通信の場合、ノイズの影響を受けて通信性能が悪化する。
【0007】
本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ノイズの軽減ができる基板用コネクタおよび機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の基板用コネクタは、回路基板に取り付けられる基板用コネクタであって、前方に開口するフード部を有し、前記フード部が開口する前端部と反対側に設けられた後壁を有するハウジングと、前記後壁を貫通して前記ハウジングに固定された外導体と、前記外導体の内部に配された絶縁性の誘電体と、前記誘電体の内部に配された内導体と、前記外導体に接続されるアースバネと、を備え、前記フード部は、前記回路基板とは反対側に配される第1壁と、前記回路基板側に配される第2壁と、前記第1壁と前記第2壁を連結する第3壁と、を有し、前記アースバネは、前記第1壁の外面側に配された第1の筐体接続部と、前記第2壁と前記第3壁の双方またはいずれか一方の外面側に配された第2の筐体接続部と、を有する、基板用コネクタである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ノイズの軽減ができる基板用コネクタおよび機器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1の基板用コネクタを示す斜視図である。
図2図2は、機器の分解斜視図である。
図3図3は、基板用コネクタの正面図である。
図4図4は、基板用コネクタの側面図である。
図5図5は、外導体がハウジングに圧入される前の基板用コネクタを示す斜視図である。
図6図6は、図3のA-A断面図である。
図7図7は、図3のB-B断面図である。
図8図8は、図4のC-C断面図である。
図9図9は、図4のD-D断面で切断した基板用コネクタにおいて、外導体がアースバネを介して筐体と電気的に接続された様子を示す機器の横断面図である。
図10図10は、外導体がアースバネを介して筐体と電気的に接続された様子を示す機器の縦断面図である。
図11図11は、実施形態2の基板用コネクタを示す斜視図である。
図12図12は、実施形態3の基板用コネクタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の基板用コネクタは、
(1)回路基板に取り付けられる基板用コネクタであって、前方に開口するフード部を有し、前記フード部が開口する前端部と反対側に設けられた後壁を有するハウジングと、前記後壁を貫通して前記ハウジングに固定された外導体と、前記外導体の内部に配された絶縁性の誘電体と、前記誘電体の内部に配された内導体と、前記外導体に接続されるアースバネと、を備え、前記フード部は、前記回路基板とは反対側に配される第1壁と、前記回路基板側に配される第2壁と、前記第1壁と前記第2壁を連結する第3壁と、を有し、前記アースバネは、前記第1壁の外面側に配された第1の筐体接続部と、前記第2壁と前記第3壁の双方またはいずれか一方の外面側に配された第2の筐体接続部と、を有する、基板用コネクタである。
【0012】
本開示の機器は、基板用コネクタと、前記基板用コネクタが取り付けられた回路基板と、前記回路基板が内部に収容されるとともに、前記アースバネを介して前記外導体と電気的に接続された金属製の筐体と、を備え、前記筐体は、前記第1の筐体接続部に接続される第1のバネ受部と、前記第2の筐体接続部に接続される第2のバネ受部と、を有する機器である。
【0013】
アースバネは、第1の筐体接続部と第2の筐体接続部を有するから、筐体に対して少なくとも2箇所でシールド接続でき、ノイズを軽減できる。また、アースバネを介して外導体と金属製の筐体とを電気的に接続できるから、接続状態が安定し、シールド性能を向上させることができる。
【0014】
(2)前記アースバネは、前記後壁の外面に沿って配される取付本体部を備え、前記第1の筐体接続部は、前記取付本体部の前縁から前方に突出する複数の第1接続バネを有し、前記第2の筐体接続部は、前記取付本体部の前縁から前方に突出する複数の第2接続バネを有していることが好ましい。
アースバネが複数の第1接続バネと複数の第2接続バネとを有しているから、筐体に対して多接点状態でシールド接続することができ、シールド性能をさらに向上させることができる。
【0015】
(3)前記取付本体部は角筒状をなし、前記第1壁に対応する第1取付壁と、前記第2壁に対応する第2取付壁と、前記第3壁に対応する第3取付壁と、を備え、前記第3取付壁は、前記第1取付壁と前記第2取付壁が対向する方向と直交する方向に対向して一対設けられており、前記第2の筐体接続部は、前記第2取付壁と一対の前記第3取付壁の双方に配されていることが好ましい。
アースバネが1つの第1の筐体接続部と3つの第2の筐体接続部とを有するから、筐体に対して少なくとも4箇所でシールド接続でき、ノイズをさらに軽減できる。
【0016】
(4)前記外導体は、前記ハウジングの前記後壁に沿って配されるフランジを有し、前記第1取付壁は、前記フランジに対して後方から弾性的に接触する保持バネを有し、一対の前記第3取付壁は、前記保持バネとともに前記フランジを挟持する一対の挟持片を有することが好ましい。
保持バネと一対の挟持片とによってフランジを挟持できるから、フランジに対するアースバネの接続状態が安定する。
【0017】
(5)前記第2の筐体接続部は一対の前記第3取付壁に一対設けられており、前記保持バネは、前記第1取付壁の後縁に設けられ、一対の前記挟持片は、一対の前記第3取付壁の後縁に設けられていることが好ましい。
保持バネが第1取付壁の後縁に設けられているから、保持バネと第1の筐体接続部とを最短距離で接続できる。また、一対の挟持片が一対の第3取付壁の後縁に設けられているから、一対の挟持片と一対の第2の筐体接続部とを最短距離で接続できる。
【0018】
[本開示の実施形態1の詳細]
本開示の基板用コネクタ10および機器60の具体例を、図1から図10の図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
[基板用コネクタおよび機器の全体構造]
本実施形態に係る基板用コネクタ10は、図10に示すように、機器60の内部に収容された回路基板50に取り付けられる。図10において前後方向は図示左右方向を基準として図示左方を前方とし、上下方向は図示上下方向を基準とする。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付して、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0020】
[機器]
図2に示すように、機器60は、上側と前側に開口するロアケース61と、ロアケース61に上方から組み付けられてロアケース61の上側開口を塞ぐアッパーケース62と、ロアケース61に前方から組み付けられてロアケース61の前側開口を塞ぐフロントパネル63と、を備える。ロアケース61とアッパーケース62とフロントパネル63とは、導電性を有する金属製である。ロアケース61とアッパーケース62とフロントパネル63とは、ネジ止め、ロック構造等の公知の手法により一体に組み付けられることにより、筐体64が形成される。筐体64は全体として直方体形状をなしている。
【0021】
フロントパネル63には、基板用コネクタ10の一部が挿通されるコネクタ挿通孔65が設けられている。コネクタ挿通孔65を構成する前壁66は、後述するアースバネ40が後方から弾性的に接触するシールド接続用の壁とされている。前壁66は、特許請求の範囲に記載された「バネ受部」に対応している。
【0022】
筐体64内には、回路基板50が収容されている。回路基板50は、ネジ止め等の公知の手法により、筐体64に固定されている。図2に示すように、回路基板50には、公知のプリント配線技術により銅箔をエッチングすることで、信号が伝送される信号用導電路53と、グランド用導電路54と、が形成されている。回路基板50の前端部寄りの位置には、複数個の(本実施形態では4つの)外導体用スルーホール51と、複数個の(本実施形態では2つの)内導体用ランド52とが、形成されている。外導体用スルーホール51の内周面には、スルーホール銅めっき等により形成された導電路(図示せず)が形成されている。
【0023】
外導体用スルーホール51の内周面に形成された導電路は、グランド用導電路54と電気的に接続されている。また、内導体用ランド52の表面に形成された導電路は、信号用導電路53の一部を構成している。回路基板50には、図示しない電子部品がはんだ付け等の公知の手法により、信号用導電路53およびグランド用導電路54に接続されている。
【0024】
[基板用コネクタ]
図10に示すように、基板用コネクタ10は、回路基板50に取り付けられるハウジング11と、ハウジング11に装着される外導体20と、外導体20の内部に収容される誘電体19と、誘電体19の内部に収容される内導体18と、外導体20に接続されるアースバネ40と、を有する。
【0025】
[ハウジング]
ハウジング11は、絶縁性の合成樹脂を射出成形することにより形成される。ハウジング11は、前方に開口するとともに、相手側コネクタ70が内嵌されるフード部15と、フード部15が開口する前端部(開口端部)16と反対側に設けられた後壁30と、を有している。フード部15の内壁の前端縁(開口端部)には、下方に突出するロック部31が設けられている。ロック部31は、相手側コネクタ70に設けられたロックアーム(図示せず)と係止することにより、相手側コネクタ70をフード部15内に嵌合した状態に保持する。
【0026】
図1および図10に示すように、フード部15は、回路基板50とは反対側に配される第1壁15Aと、回路基板50側に配される第2壁15Bと、第1壁15Aと第2壁15Bを連結する一対の第3壁15Cと、を有する。一対の第3壁15Cは、第1壁15Aと第2壁15Bが対向する方向と直交する方向(左右方向)に対向して配されている。
【0027】
後壁30は、ハウジング11の後端部に位置している。図2に示すように、後壁30は、フード部15の第1壁15A、第2壁15Bよりも左右方向に大きく、第3壁15Cと上下方向に同じ大きさで設けられている。図10に示すように、後壁30におけるロック部31の後方の位置には、ハウジング11を射出成形する際にロック部31を形成するための型抜き孔32が前後方向に貫通して形成されている。後壁30における型抜き孔32の下方には、外導体20が挿通される外導体取付孔34が前後方向に貫通して形成されている。図3に示すように、外導体取付孔34の内周面は、角が丸められた長方形状をなしている。
【0028】
[外導体]
図2に示すように、外導体20は、導電性を有する金属製である。外導体20を構成する金属としては、銅、銅合金、亜鉛、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属を適宜に選択できる。外導体20は、鋳造、ダイキャスト、切削加工等、公知の手法により形成される。外導体20は、相手側コネクタ70に収容された相手側外導体(図示せず)と電気的に接触する。
【0029】
外導体20は、前後方向にのびるとともに筒状をなす筒部21と、筒部21の後端縁から後方にのびる誘電体包囲部22と、筒部21と誘電体包囲部22との境界部分において前後方向と交差する方向に突出するフランジ23と、を有する。
【0030】
図6に示すように、筒部21と誘電体包囲部22との境界部分には、誘電体19を内部に保持する誘電体保持部22Aが前後方向に開口して設けられている。
【0031】
図3に示すように、筒部21の外周面は、前方から見た場合に、角が丸められた長方形状をなしている。筒部21の外周形状は、後壁30の外導体取付孔34の内周形状とほぼ同じ大きさに設定されている。これにより、筒部21は、外導体取付孔34に後方から圧入可能とされている。ハウジング11は、筒部21が外導体取付孔34に圧入されることで外導体20に固定されている。
【0032】
図6に示すように、誘電体包囲部22は、下方に開口した門形状をなしている。誘電体包囲部22の内部には、誘電体19が、誘電体包囲部22によって上方、左側方、および右側方から包囲された状態で、収容されるようになっている。
【0033】
図2に示すように、誘電体包囲部22の下端部には、下方に突出する円柱状をなす複数個の(実施形態では4個の)基板接続部24が設けられている。基板接続部24は、回路基板50の外導体用スルーホール51内に挿通されて、はんだ付け等の公知の手法により、外導体用スルーホール51の内面に形成された導通路と接続される。これにより、外導体20は回路基板50に形成されたグランド用導電路54と電気的に接続される。
【0034】
図6に示すように、筒部21が外導体取付孔34の内周壁に圧入された状態では、フランジ23は、後壁30の後面に後方から接触するようになっている。これにより、後壁30の型抜き孔32は、フランジ23によって後方から閉塞されるようになっている。
【0035】
[誘電体]
図2に示すように、誘電体19は、絶縁性の合成樹脂を射出成形することにより形成される。誘電体19は、概ね、断面L字状に形成されている。図7に示すように、誘電体19は、内部に内導体18を収容可能な内導体収容室27を備える。内導体収容室27は、誘電体19を前後方向に貫通するとともに、下面側にも開口して形成されている。
【0036】
[内導体]
内導体18は、導電性を有する金属製である。内導体18を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属を適宜に選択できる。内導体18は、プレス加工、切削加工等、公知の手法により形成される。内導体18は、相手側コネクタ70に収容された相手側内導体(図示せず)と電気的に接続されるようになっている。
【0037】
図2に示すように、内導体18はタブ状の金属板を途中で屈曲させることで形成されている。内導体18は、二回の屈曲によって全体として階段状に屈曲した形状とされている。内導体18は、相手側内導体(図示せず)に接続される端子接続部28と、回路基板50の内導体用ランド52に接続される基板接続部29と、を備える。
【0038】
図6に示すように、端子接続部28は前後方向にのびる形状とされ、誘電体19の前端よりも前方に突出している。一方、基板接続部29は、端子接続部28と比較してやや傾いた姿勢とされ、後方に向かうほど下方にのびる形状とされている。このため、基板接続部29は、内導体用ランド52にはんだによって表面実装されることで、回路基板50の信号用導電路53に対して電気的に接続される。
【0039】
[アースバネ]
アースバネ40は、導電性を有する金属製の板金によって構成されている。アースバネ40を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属を適宜に選択できる。アースバネ40は、プレス加工、切削加工等、公知の手法により形成される。図5に示すように、アースバネ40は、外導体20がハウジング11に対して後方から取り付けられる前の状態において外導体20に予め取り付けられている。
【0040】
図2に示すように、アースバネ40は、門形をなす取付本体部41と、取付本体部41の前縁から前方に突出する複数の接続バネ42と、を備えて構成されている。取付本体部41は角筒状をなし、左右方向に所定の間隔を空けて平行に配置された一対の側壁44と、一対の側壁44の上端同士を連結する天井壁45と、正面視で左側の側壁44の下端から右側の側壁44の下端に向けてのびる底壁47と、を備えて構成されている。
【0041】
天井壁45は、特許請求の範囲に記載された「第1取付壁」に対応し、底壁47は、特許請求の範囲に記載された「第2取付壁」に対応し、側壁44は、特許請求の範囲に記載された「第3取付壁」に対応している。
【0042】
接続バネ42は、天井壁45の外面側と、一対の側壁44の外面側と、底壁47の外面側と、に複数個(本実施形態では3個)ずつ設けられている。接続バネ42は、取付本体部41の前縁から片持ち状をなして前方にのびる形態とされている。接続バネ42の前端部は、直角に曲げられており、後述する筐体64の前壁66に対して後方から弾性的に接触可能とされている。
【0043】
複数個の接続バネ42のうち天井壁45の前縁に設けられている3個の接続バネ42は、特許請求の範囲に記載された「第1の筐体接続部」に対応し、複数個の接続バネ42のうち一対の側壁44の前縁と底壁47の前縁とに設けられている9個の接続バネ42は、特許請求の範囲に記載された「第2の筐体接続部」に対応している。
【0044】
また、第1壁15Aの外面側に配された各接続バネ42は、特許請求の範囲に記載された「第1接続バネ」に対応し、第2壁15Bの外面側と一対の第3壁15Cの外面側とに配された各接続バネ42は、特許請求の範囲に記載された「第2接続バネ」に対応している。
【0045】
一対の側壁44の後縁には、上下方向に長い長方形状をなす一対の挟持片46が内方に突出して設けられている。正面視で左側の挟持片46は右側の挟持片46に向けて突出し、正面視で右側の挟持片46は左側の挟持片46に向けて突出している。一対の挟持片46は左右方向に並んで配置されている。挟持片46は側壁44の上下寸法の半分以下の寸法とされている。挟持片46は側壁44における天井壁45寄りの位置に設けられている。
【0046】
天井壁45の後縁には、保持バネ43が設けられている。保持バネ43は、天井壁45の中央部から下方にのびるとともに、前側を頂点とした山状に形成されている。保持バネ43は可撓性を有し、外導体20に取り付けられた状態ではフランジ23の後面に対して後方から弾性的に接触する。
【0047】
フランジ23のうち保持バネ43の左右両側には一対の変位抑制部23Aが設けられている。保持バネ43の頂点が一対の変位抑制部23Aの間に嵌まり込んで、保持バネ43の両側縁が一対の変位抑制部23Aに対して側方から係止することで、アースバネ40がフランジ23に対して左右方向に変位しないように保持できる。
【0048】
[アースバネの取付構造]
図5に示すように、ハウジング11の後壁30の後面における左右両側には、一対の取付凹部35が設けられている。取付凹部35は、後壁30の後面を前方に凹ませた形態とされている。図9に示すように、ハウジング11と外導体20が組み付いた状態では、取付凹部35とフランジ23によって取付溝33が構成される。取付溝33は後壁30とフランジ23の間に位置するとともに、上方と側方に開口している。前面視で左側に位置する取付溝33は上方と左側方に開口し、前面視で右側に位置する取付溝33は上方と右側方に開口している。
【0049】
取付溝33の前後方向の寸法は、挟持片46の板厚と同じか、これよりやや大きめとされている。図4に示すように、取付溝33の上下寸法は、後壁30の上下寸法の半分程度とされ、後壁30の上端から上下方向中央部にわたって形成されている。
【0050】
図6に示すように、アースバネ40がフランジ23に取り付けられた状態では、保持バネ43がフランジ23に対して後方から弾性的に接触するとともに、図9に示すように、挟持片46が係止凹部26に対して前方から嵌まり込んで係止凹部26の前面に対して弾性的に接触する。図6および図7に示すように、取付本体部41は後壁30の外面に沿って配される。図8に示すように、一対の挟持片46が一対の係止凹部26に嵌まり込んだ状態では、一対の挟持片46の上縁が一対の係止凹部26の上縁に対して下方から係止することで、アースバネ40が上方に抜け止めされた状態に保持される。
【0051】
[アースバネとフロントパネルの接続構造]
図10に示すように、フランジ23の後面には保持バネ43が弾性的に接触しており、フロントパネル63の前壁66には上下両側の接続バネ42が弾性的に接触している。また、図9に示すように、フランジ23の一対の係止凹部26の前面には一対の挟持片46が弾性的に接触しており、フロントパネル63の前壁66には左右両側の接続バネ42が弾性的に接触している。このように、アースバネ40と筐体64の電気的接続は、フード部15の外面側における上下左右の4箇所で行われるため、ノイズを軽減できる。また、フランジ23からフロントパネル63までの導電路は最短距離で構成されるため、シールド性能を向上させることができる。
【0052】
前壁66のうち上側の接続バネ42が接触している部分は、特許請求の範囲に記載された「第1のバネ受部」に対応し、前壁66のうち下側および左右両側の接続バネ42が接触している部分は、特許請求の範囲に記載された「第2のバネ受部」に対応している。
【0053】
アースバネ40の保持バネ43からフロントパネル63の前壁66に向かう導電路は、複数の接続バネ42によって複数に分岐しており、各挟持片46からフロントパネル63の前壁66に向かう導電路も、複数の接続バネ42によって複数に分岐している。このように、アースバネ40はフロントパネル63に対して多接点で接続されるため、各接点における抵抗が低下し、シールド性能をより向上させることができる。
【0054】
[基板用コネクタおよび機器の組立方法]
続いて、本実施形態の基板用コネクタ10および機器60の組立方法の一例を説明する。基板用コネクタ10および機器60の組立方法は、以下の記載に限定されない。
【0055】
誘電体19の内導体収容室27に、後方から内導体18を挿入する。続いて、内導体18を外導体20に対して、後方から組み付ける。これにより、誘電体19のうち前後方向にのびる部分が外導体20の誘電体保持部22Aの内部に圧入され、誘電体19が抜け止めされた状態に保持される。この状態では、内導体18の端子接続部28が筒部21の内部に収容される(図7参照)。
【0056】
続いて、アースバネ40をフランジ23に取り付けると、保持バネ43がフランジ23に対して後方から弾性的に接触し、一対の挟持片46が一対の係止凹部26に対して前方から弾性的に接触する。これにより、アースバネ40は外導体20に対して複数箇所(実施形態では3箇所)で電気的に接続される。
【0057】
次に、ハウジング11の外導体取付孔34に、外導体20の筒部21を後方から挿入し、誘電体保持部22Aを外導体取付孔34に圧入する。これにより、基板用コネクタ10が完成し、フランジ23はハウジング11の後壁30に沿って配される。
【0058】
次に、回路基板50に対して基板用コネクタ10を上方から組み付ける。回路基板50の外導体用スルーホール51に対して、外導体20の基板接続部24を上方から挿入するとともに、回路基板50の内導体用ランド52に対して、内導体18の基板接続部29を上方から載置し、はんだ付けを行うことにより、それぞれを電気的に接続する。
【0059】
続いて、回路基板50をロアケース61に対してネジ止め等により固定する。ロアケース61の上方からアッパーケース62を組み付けるとともに、ロアケース61の前方からフロントパネル63を組み付けて、ロアケース61とアッパーケース62とフロントパネル63とをネジ止め等により固定する。これにより、筐体64が構成され、フード部15がコネクタ挿通孔65に貫通した姿勢で基板用コネクタ10および回路基板50が筐体64の内部に収容される。
【0060】
このとき、複数の接続バネ42の前端部がフロントパネル63の前壁66に対して後方から押し当てられて弾性的に接触する。これにより、アースバネ40は筐体64に対して多接点状態で電気的に接続される。したがって、外導体20は筐体64に対してアースバネ40を介してシールド接続された状態になる。これとは別に、外導体20は筐体64に対して、複数の基板接続部24および回路基板50を介してシールド接続されているが、アースバネ40によるシールド接続は筐体64までの距離が短くて済み、筐体64に対して弾性的に接触するから、接続状態が安定し、シールド性能を向上させることができる。すなわち、保持バネ43と挟持片46によってフランジ23を挟持しているから、十分な接圧を確保でき、安定したシールド接続が可能になる。
【0061】
次に、基板用コネクタ10と相手側コネクタ70を嵌合させる。フード部15内に相手側コネクタ70が前方から嵌合すると、相手側コネクタ70に設けられたロックアーム(図示せず)がロック部31に係止する。これにより、相手側コネクタ70がハウジング11に抜け止め状態で保持される。基板用コネクタ10の内導体18は、相手側コネクタ70の相手側内導体(図示せず)と電気的に接続される。また、基板用コネクタ10の外導体20は、相手側コネクタ70の相手側外導体(図示せず)と電気的に接続される。
【0062】
[実施形態1の作用効果]
本開示の基板用コネクタ10は、回路基板50に取り付けられる基板用コネクタ10であって、前方に開口するフード部15を有し、フード部15が開口する前端部16と反対側に設けられた後壁30を有するハウジング11と、後壁30を貫通してハウジング11に固定された外導体20と、外導体20の内部に配された絶縁性の誘電体19と、誘電体19の内部に配された内導体18と、外導体20に接続されるアースバネ40と、を備え、フード部15は、回路基板50とは反対側に配される第1壁15Aと、回路基板50側に配される第2壁15Bと、第1壁15Aと第2壁15Bを連結する第3壁15Cと、を有し、アースバネ40は、第1壁15Aの外面側に配された第1の筐体接続部と、第2壁15Bと第3壁15Cの双方の外面側に配された第2の筐体接続部と、を有する、基板用コネクタ10である。
【0063】
本開示の機器60は、基板用コネクタ10と、基板用コネクタ10が取り付けられた回路基板50と、回路基板50が内部に収容されるとともに、アースバネ40を介して外導体20と電気的に接続された金属製の筐体64と、を備え、筐体64は、第1の筐体接続部に接続される第1のバネ受部と、第2の筐体接続部に接続される第2のバネ受部と、を有する機器60である。
【0064】
アースバネ40は、第1の筐体接続部と第2の筐体接続部とを有するから、筐体64に対して少なくとも2箇所でシールド接続でき、ノイズを軽減できる。また、アースバネ40を介して外導体20と金属製の筐体64とを電気的に接続できるから、接続状態が安定し、シールド性能を向上させることができる。
【0065】
アースバネ40は、後壁30の外面に沿って配される取付本体部41を備え、第1の筐体接続部は、取付本体部41の前縁から前方に突出する複数の第1接続バネを有し、第2の筐体接続部は、取付本体部41の前縁から前方に突出する複数の第2接続バネを有している。
アースバネ40が複数の第1接続バネと複数の第2接続バネとを有しているから、筐体64に対して多接点状態でシールド接続することができ、シールド性能をさらに向上させることができる。
【0066】
取付本体部41は角筒状をなし、第1壁15Aに対応する天井壁45と、第2壁15Bに対応する底壁47と、第3壁15Cに対応する側壁44と、を備え、側壁44は、天井壁45と底壁47が対向する方向と直交する方向に対向して一対設けられており、第2の筐体接続部は、底壁47と一対の側壁44の双方に配されている。
アースバネが1つの第1の筐体接続部と3つの第2の筐体接続部とを有するから、筐体に対して少なくとも4箇所でシールド接続でき、ノイズをさらに軽減できる。
【0067】
外導体20は、ハウジング11の後壁30に沿って配されるフランジ23を有し、天井壁45は、フランジ23に対して後方から弾性的に接触する保持バネ43を有し、一対の側壁44は、保持バネ43とともにフランジ23を挟持する一対の挟持片46を有する。
保持バネ43と一対の挟持片46とによってフランジ23を挟持できるから、フランジ23に対するアースバネ40の接続状態が安定する。
【0068】
第2の筐体接続部は一対の側壁44に一対設けられており、保持バネ43は、天井壁45の後縁に設けられ、一対の挟持片46は、一対の側壁44の後縁に設けられている。
保持バネ43が天井壁45の後縁に設けられているから、保持バネ43と第1の筐体接続部とを最短距離で接続できる。また、一対の挟持片46が一対の側壁44の後縁に設けられているから、一対の挟持片46と一対の第2の筐体接続部とを最短距離で接続できる。
【0069】
[本開示の実施形態2の詳細]
本開示の基板用コネクタ210の具体例を、図11の図面を参照しつつ説明する。以下の説明において実施形態1と同じ構成については、その説明を省略するものとし、実施形態1と対応する構成については、符号の数字部分に200を加えた符号を用いるものとする。
【0070】
[基板用コネクタおよび機器の全体構造]
基板用コネクタ210は、図11に示すように、アースバネ240を取り付ける前の基板用コネクタ210に対してアースバネ240を上方から後付けできるようにした点で、実施形態1の基板用コネクタ10とは異なる。
【0071】
[基板用コネクタ]
基板用コネクタ210は、回路基板50に取り付けられるハウジング11と、ハウジング11に装着される外導体20と、外導体20の内部に収容される誘電体19と、誘電体19の内部に収容される内導体18と、外導体20に接続されるアースバネ240と、を有する。
【0072】
[アースバネ]
アースバネ240は、外導体20に対して後付け可能とされている。後付けとは、アースバネ240が取り付けられる前の基板用コネクタ210が回路基板50に実装された後、アースバネ240を外導体20に対して取付可能であることを意味する。
【0073】
アースバネ240は、門形をなす取付本体部241と、取付本体部241の前縁から前方に突出する複数の接続バネ242と、を備えて構成されている。取付本体部241は、左右方向に所定の間隔を空けて平行に配置された一対の側壁244と、一対の側壁244の上端同士を連結する天井壁245と、を備えて構成されている。本実施形態のアースバネ240は、実施形態1のアースバネ40とは異なり、底壁47に対応する部分を備えておらず、角筒状ではない。
【0074】
接続バネ242は、天井壁245と一対の側壁244とのそれぞれに複数個(本実施形態では3個)ずつ設けられている。
【0075】
一対の側壁244の後縁には、上下方向に長い長方形状をなす一対の挟持片246が内方に突出して設けられている。一方の挟持片246は他方の挟持片246に向けて突出し、他方の挟持片246は一方の挟持片246に向けて突出している。一対の挟持片246は左右方向に並んで配置されている。
【0076】
天井壁245の後縁には、保持バネ243が設けられている。保持バネ243は、天井壁245の中央部から下方(基板用コネクタ210への取付方向)にのびるとともに、前側を頂点とした山状に形成されている。保持バネ243は可撓性を有し、外導体20に取り付けられた状態ではフランジ23の後面に対して後方から弾性的に接触する。
【0077】
[アースバネの取付構造]
アースバネ240が取り付けられる前の基板用コネクタ210に対してアースバネ240が上方から組み付けられると、一対の挟持片246が一対の取付溝33に対してそれぞれ挿通される。アースバネ240が正規の取付位置に至ると、保持バネ243がフランジ23に対して後方から弾性的に接触するとともに、挟持片246が係止凹部26に対して弾性的に接触する。保持バネ243の頂点が一対の変位抑制部23Aの間に嵌まり込んだ状態では、保持バネ243の両側縁が一対の変位抑制部23Aに対して側方から係止することで、アースバネ240が左右方向に変位しないように保持される。
【0078】
[アースバネとフロントパネルの接続構造]
フランジ23の後面には保持バネ243が弾性的に接触しており、フロントパネル63の前壁66には上側および左右両側の接続バネ242が弾性的に接触する。したがって、フランジ23からフロントパネル63までの導電路は最短距離で構成されるため、シールド性能を向上させることができる。
【0079】
保持バネ243および各挟持片246からフロントパネル63の前壁66に向かう導電路は、複数の接続バネ242によって複数に分岐している。このように、アースバネ240はフロントパネル63に対して多接点で接続されるため、各接点における抵抗が低下し、シールド性能をより向上させることができる。
【0080】
[アースバネの取付方法]
アースバネ240は基板用コネクタ210に対して取り付けられる。アースバネ240は基板用コネクタ210に対して側方から取り付けられ、一対の挟持片246は一対の取付溝33に上方から挿入される。アースバネ240が正規の取付位置に至ると、保持バネ243がフランジ23に対して後方から弾性的に接触し、一対の挟持片246が一対の係止凹部26の前面に対して前方から弾性的に接触する。これにより、アースバネ240は外導体20に対して複数箇所(実施形態では3箇所)で電気的に接続される。
【0081】
続いて、回路基板50をロアケース61に対してネジ止め等により固定する。ロアケース61の上方からアッパーケース62を組み付けるとともに、ロアケース61の前方からフロントパネル63を組み付けて、ロアケース61とアッパーケース62とフロントパネル63とをネジ止め等により固定する。これにより、筐体64が構成され、フード部15がコネクタ挿通孔65に貫通した姿勢で基板用コネクタ210および回路基板50が筐体64の内部に収容される。
【0082】
このとき、複数の接続バネ242の前端部がフロントパネル63の前壁66に対して後方から押し当てられて弾性的に接触する。これにより、アースバネ240は筐体64に対して多接点状態で電気的に接続される。したがって、外導体20は筐体64に対してアースバネ240を介してシールド接続された状態になる。これとは別に、外導体20は筐体64に対して、複数の基板接続部24および回路基板50を介してシールド接続されているが、アースバネ240によるシールド接続は筐体64までの距離が短くて済み、筐体64に対して弾性的に接触するから、接続状態が安定し、シールド性能を向上させることができる。すなわち、保持バネ243と挟持片246によってフランジ23を挟持しているから、十分な接圧を確保でき、安定したシールド接続が可能になる。
【0083】
[実施形態2の作用効果]
実施形態2の基板用コネクタ210によると、アースバネ240が門形とされているから、アースバネ240を外導体20に対して後付けできる。
【0084】
[本開示の実施形態3の詳細]
本開示の基板用コネクタ310の具体例を、図12の図面を参照しつつ説明する。以下の説明において実施形態1と同じ構成については、その説明を省略するものとし、実施形態1と対応する構成については、符号の数字部分に300を加えた符号を用いるものとする。
【0085】
[基板用コネクタ]
基板用コネクタ310は、回路基板50に取り付けられるハウジング11と、ハウジング11に装着される外導体20と、外導体20の内部に収容される誘電体19と、誘電体19の内部に収容される内導体18と、外導体20に接続されるアースバネ340と、を有する。
【0086】
[アースバネ]
アースバネ340は、門形をなす取付本体部341と、取付本体部341の前縁から前方に突出する複数の接続バネ342と、を備えて構成されている。取付本体部341は、上下方向に所定の間隔を空けて平行に配置された天井壁345および底壁347と、これらの天井壁345および底壁347の右端同士を連結する側壁344と、を備えて構成されている。本実施形態のアースバネ340は、実施形態1のアースバネ40とは異なり、正面視で左側の側壁44に対応する部分を備えておらず、角筒状ではない。
【0087】
[他の実施形態]
(1)実施形態1から3では接続バネ42が第2壁15Bと一対の第3壁15Cのうち少なくとも2箇所以上に設けられているものを例示したが、第2壁15Bと一対の第3壁15Cのうちいずれか1箇所のみに設けられているものでもよい。例えば、接続バネ42は、第1壁15Aと第2壁15Bのみに設けられているものでもよいし、第1壁15Aと一方の第3壁15Cのみに設けられているものでもよい。
【0088】
(2)実施形態1から3ではフランジ23の後面に一対の変位抑制部23Aが設けられているが、一対の変位抑制部23Aに加えて、フランジの後面に係合凹部を設けて、この係合凹部に保持バネの頂点が嵌まり込むようにしてもよい。このようにすれば、保持バネがさらにフランジから外れにくくなる。
【0089】
(3)実施形態1から3では各取付壁の前縁に3個の接続バネが設けられているが、接続バネの個数は3個以外でもよく、1個だけでもよい。
【0090】
(4)実施形態1から3ではアースバネが一体で構成されているが、アースバネが一対の半割体で構成されているものでもよい。
【0091】
(5)内導体18は、1つでもよく、また、3つ以上でもよい。
【0092】
(6)外導体は、金属板材をプレス加工することにより形成される構成としてもよい。
【0093】
(7)ハウジングと外導体は圧入によって固定されているが、熱かしめによって固定されているものでもよい。
【符号の説明】
【0094】
10:基板用コネクタ 11:ハウジング 15:フード部 15A:第1壁 15B:第2壁 15C:第3壁 16:前端部 18:内導体 19:誘電体
20:外導体 21:筒部 22:誘電体包囲部 22A:誘電体保持部 23:フランジ 23A:変位抑制部 24:基板接続部 26:係止凹部 27:内導体収容室 28:端子接続部 29:基板接続部
30:後壁 31:ロック部 32:型抜き孔 33:取付溝 34:外導体取付孔 35:取付凹部
40:アースバネ 41:取付本体部 42:接続バネ(第1接続バネ、第2接続バネ) 43:保持バネ 44:側壁(第3取付壁) 45:天井壁(第1取付壁) 46:挟持片 47:底壁(第2取付壁)
50:回路基板 51:外導体用スルーホール 52:内導体用ランド 53:信号用導電路 54:グランド用導電路
60:機器 61:ロアケース 62:アッパーケース 63:フロントパネル 64:筐体 65:コネクタ挿通孔 66:前壁(第1のバネ受部、第2のバネ受部)
70:相手側コネクタ
210:基板用コネクタ
240:アースバネ 241:取付本体部 242:接続バネ 243:保持バネ 244:側壁(第3取付壁) 245:天井壁(第1取付壁) 246:挟持片
310:基板用コネクタ
340:アースバネ 341:取付本体部 342:接続バネ 343:保持バネ 344:側壁(第3取付壁) 345:天井壁(第1取付壁) 346:挟持片 347:底壁(第2取付壁)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12