(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134380
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20230920BHJP
B60N 2/06 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030094
(22)【出願日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】63/319,436
(32)【優先日】2022-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】青木 孝豪
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BB02
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】アッパーレールの移動を制限することなくフロアに取り付け可能なレール装置を備える乗物用シートを提供する。
【解決手段】乗物用シートSは、シートフレームFと、フロアFLに固定されるロアレール5と、シートフレームFに取り付けられロア―レール5に対して摺動可能に係合するアッパーレール6とから構成されるレール装置4と、を備える。ロアレール5は、締結部材52によりフロアFLに固定されており、ロアレール5には、ロアレール5の直下において、ロアレール5の底部5aから締結部材52を沈み込ませる逃げ部54が形成されている。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートフレームと、
フロアに固定されるロアレールと、前記シートフレームに取り付けられ前記ロアレールに対して摺動可能に係合するアッパーレールとから構成されるレール装置と、を備え、
前記ロアレールは、締結部材により前記フロアに固定されており、
前記ロアレールには、該ロアレールの直下において、前記ロアレールの底部から前記締結部材を沈み込ませる逃げ部が形成されていることを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
前記逃げ部は、前記ロアレールの下方に形成された凹部であり、前記締結部材の頭部が前記凹部内に配置されることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記逃げ部により沈み込む前記締結部材の頂部は、前記ロアレールの底部の上面よりも下方に位置していることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記ロアレールの底部に形成され、前記締結部材が挿通する貫通孔と、
該貫通孔の下方に配置され、前記逃げ部として挿通した前記締結部材の頭部を保持する凹部を有する保持部材と、を備え、
前記保持部材は、前記ロアレールの側部において溶接により固定されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記保持部材を前記ロアレールに固定する固定部は、前記ロアレールの両側部に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記ロアレールの両側部に設けられる前記固定部は、上面視で前記締結部材を挟む位置に設けられることを特徴とする請求項5に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記保持部材が取り付けられた前記ロアレールの部分を覆うカバー部材を更に備え、
前記ロアレールの側部には、前記カバー部材の係合部と係合するカバー被係合部が形成されており、
前記保持部材の側面部には、前記カバー被係合部と重ならない位置に段部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記固定部は、前記カバー被係合部の近傍に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の乗物用シート。
【請求項9】
前記固定部は、前記カバー被係合部と同じ高さに設けられていることを特徴とする請求項8に記載の乗物用シート。
【請求項10】
前記カバー部材の内側には、前記ロアレールの側面と当接するリブが形成されており、
前記固定部は前記リブの下方に位置していることを特徴とする請求項7に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗物用シートに係り、特に、レール装置を備えた乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートは、シートクッション、シートバック、ヘッドレストを備えており、シートバック及びシートクッションにはそれぞれの骨格をなすシートフレームが設けられている。また、車両用シートには、車両用シートを車両の前後方向に移動させるレール装置が設けられている。
レール装置は車体フロア上に固定されるロアレールと、ロアレールに対しスライド移動可能なアッパーレールとから構成されている。従来、特許文献1に開示されるように、ロアレールには、前端の底面に車体フロア又はブラケットに固定するためのボルトが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のレール装置では、ボルトの頭部がロアレールの底面上にあるため、アッパーレールとボルトとが干渉してアッパーレールの可動域が制限されるという課題があった。
また、レール及びレール周辺の部材の強度の向上も別の課題としてあげられる。
【0005】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、アッパーレールの移動を制限することなくフロアに取り付け可能なレール装置を備える乗物用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、シートフレームと、フロアに固定されるロアレールと、前記シートフレームに取り付けられ前記ロア―レールに対して摺動可能に係合するアッパーレールとから構成されるレール装置と、を備え、前記ロアレールは、締結部材により前記フロアに固定されており、前記ロアレールには、該ロアレールの直下において、前記ロアレールの底部から前記締結部材を沈み込ませる逃げ部が形成されていることにより解決される。
【0007】
ロアレールの底部に、締結部材を沈み込ませる逃げ部が形成されることで、締結部材の頭部が下がり、アッパーレールとの干渉が抑制される。そのため、アッパーレールの移動を制限することなくフロアに取り付け可能なレール装置を備える乗物用シートを提供することができる。
【0008】
また、上記の構成において、前記逃げ部は、前記ロアレールの下方に形成された凹部であり、前記締結部材の頭部が前記凹部内に配置されるとよい。
【0009】
締結部材の頭部が凹部内に配置されることで、アッパーレールとの干渉が抑制され、アッパーレールの移動の阻害が抑制される。
【0010】
また、上記の構成において、前記逃げ部により沈み込む前記締結部材の頂部は、前記ロアレールの底部の上面よりも下方に位置しているとよい。
【0011】
締結部材の頂部がロアレールの底部上面より下方に位置することで、アッパーレールの移動の阻害が抑制される。
【0012】
また、上記の構成において、前記ロアレールの底部に形成され、前記締結部材が挿通する貫通孔と、該貫通孔の下方に配置され、前記逃げ部として挿通した前記締結部材の頭部を保持する凹部を有する保持部材と、を備え、前記保持部材は、前記ロアレールの側部において溶接により固定されているとよい。
保持部材がロアレールの側部に溶接で固定されることで、上下方向において接着部材を介在することがなく、上下方向のコンパクト化を図ることができる。
【0013】
また、上記の構成において、前記保持部材を前記ロアレールに固定する固定部は、前記ロアレールの両側部に設けられているとよい。
保持部材を固定する固定部がロアレールの両側部に設けられることで、ロアレールが挟み込まれ強度の向上が図られる。
【0014】
また、上記の構成において、前記ロアレールの両側部に設けられる前記固定部は、上面視で前記締結部材を挟む位置に設けられるとよい。
固定部が締結部材を挟む位置に設けられることで、締結部材周辺の強度向上が図られる。
【0015】
また、上記の構成において、前記保持部材が取り付けられた前記ロアレールの部分を覆うカバー部材を更に備え、前記ロアレールの側部には、前記カバー部材の係合部と係合するカバー被係合部が形成されており、前記保持部材の側面部には、前記カバー被係合部と重ならない位置に段部が形成されているとよい。
保持部材の側面部にカバー被係合部と重ならない段部を設けることで、カバー部材の取り付けを阻害することがなくなる。
【0016】
また、上記の構成において、前記固定部は、前記カバー被係合部の近傍に設けられているとよい。
固定部をカバー係合部の近傍に設けることで、カバー被係合部周辺の強度が向上する。
【0017】
また、上記の構成において、前記固定部は、前記カバー被係合部と同じ高さに設けられているとよい。
固定部をカバー被係合部と同じ高さに設けることで、コンパクトな配置とすることができる。
【0018】
また、上記の構成において、前記カバー部材の内側には、前記ロアレールの側面と当接するリブが形成されており、前記固定部は前記リブの下方に位置しているとよい。
カバー部材の内側に、ロアレールの側面と当接するリブが形成されることで、リブ周辺の強度が向上する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の乗物用シートによれば、ロアレールの底部に、締結部材を沈み込ませる逃げ部が形成されることで、締結部材の頭部が下がり、アッパーレールとの干渉が抑制される。そのため、アッパーレールの移動を制限することなくフロアに取り付け可能なレール装置を備える乗物用シートを提供することができる。
また、締結部材の頭部が凹部内に配置されることで、アッパーレールとの干渉が抑制され、アッパーレールの移動の阻害が抑制される
また、締結部材の頂部がロアレールの底部上面より下方に位置することで、アッパーレールの移動の阻害が抑制される。
また、保持部材がロアレールの側部に溶接で固定されることで、上下方向において接着部材を介在することがなく、上下方向のコンパクト化を図ることができる。
また、保持部材を固定する固定部がロアレールの両側部に設けられることで、ロアレールが挟み込まれ強度の向上が図られる。
また、固定部が締結部材を挟む位置に設けられることで、締結部材周辺の強度向上が図られる。
また、保持部材の側面部にカバー被係合部と重ならない段部を設けることで、カバー部材の取り付けを阻害することがなくなる。
また、固定部をカバー係合部の近傍に設けることで、カバー被係合部周辺の強度が向上する。
また、固定部をカバー被係合部と同じ高さに設けることで、コンパクトな配置とすることができる。
また、カバー部材の内側に、ロアレールの側面と当接するリブが形成されることで、リブ周辺の強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態に係る乗物用シートの外観を示す、斜め前方から見た斜視図である。
【
図2】斜め前方から見たシートフレームの斜視図である。
【
図7】
図3のVII-VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図3のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図9】第1取付ブラケットが固定されたアッパーフレームを示す正面図である。
【
図11】レール装置を斜め前方から見た斜視図である。
【
図12】レール装置を乗物用シートの内側から見た斜視図である。
【
図16】ロアレールの先端部分の分解斜視図である。
【
図17】ロアレールの先端とカバー部材との係合を示す説明図である。
【
図18】第2ブロアが取り付けられたパンフレームを示す斜視図である。
【
図19】
図18の部分Aを拡大して示す部分拡大斜視図である。
【
図20】第2取付ブラケットが取り付けられたパンフレームの下面図で、第2ブロアが取り外された状態を示す図である。
【
図21】第2取付ブラケットの上面側を示す斜視図である。
【
図22】第2取付ブラケットの下面側を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る乗物用シートの構成について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、以下の説明中、シート構成部品の材質、形状及び大きさに関する内容は、あくまでも具体例の一つに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0022】
なお、以下では、乗物用シートの一例として車両に搭載される車両用シート(以下、乗物用シートS)を挙げ、その構成例について説明することとする。
また、以下の説明中、「前後方向」とは、乗物用シートSの前後方向であり、車両走行時の進行方向と一致する方向であり「シート前後方向」と称する場合もある。また、「シート幅方向」とは、乗物用シートSの横幅方向であり、乗物用シートSに着座した乗員から見た左右方向と一致する方向である。また、「上下方向」とは、乗物用シートの上下方向であり、車両が水平面を走行しているときには鉛直方向と一致する方向である。また、単に「外側」という場合は、乗物用シートS単体の中心から外側に向かう方向において外側に近い方を指し、「内側」という場合は乗物用シートS単体の外側から中心に向かう方向において中心に近い方を意味する。
【0023】
なお、以下に説明する乗物用シートS各部の形状、位置及び姿勢等については、特に断る場合を除き、乗物用シートSが後述する着座状態にあるケースを想定して説明することとする。
【0024】
<乗物用シートS>
本実施形態に係る乗物用シートSの基本構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、乗物用シートSの斜視図であり、
図1中乗物用シートSの一部については、図示の都合上、表皮材Tやパッド部材Pを外した構成にて図示している。
【0025】
乗物用シートSは、車両の床上に載置され、車両の乗員(以下、着座者と称する場合もある)が着座するシートである。本実施形態において、乗物用シートSは、車両の前席に相当するフロントシートとして利用される。ただし、これに限定されるものではなく、乗物用シートSは、後部座席のシートとしても利用可能であり、また、前後方向に三列のシートを備える車両において二列目のミドルシートや三列目のリアシートとしても利用可能である。
【0026】
乗物用シートSは、
図1に示すように、着座者の背部を支える背もたれ部分となるシートバック1、着座者の臀部を支える着座部分となるシートクッション2、及び、シートバック1の上部に配され、着座者の頭部を支えるヘッドレスト3を主な構成要素とする。なお、シートバック1、シートクッション2及びヘッドレスト3を纏めてシート本体Shと称する場合がある。
シートバック1とシートクッション2とはリクライニング機構7(
図2参照)を挟み込むように連結されている。リクライニング機構7により、シートバック1は、シートクッション2に対して回動可能となっており、その傾斜角度が調整可能になっている。
ヘッドレスト3からはヘッドレストステー3aが下方に延びており、シートバック1の上端部と接続している。
【0027】
また、乗物用シートSの内部には、着座者に対して空気を送る第1ブロア30と、第2ブロア130が設けられており(
図2参照)、シートバック1の着座面には、第1ブロアから送られる空気を送出する第1送風口40が形成され、シートクッション2の着座面には、第2ブロア130から送られる空気を送出する第2送風口140が形成されている。
【0028】
<シートフレームF>
乗物用シートSの骨格を形成すシートフレームFの基本的な構成について、
図2~
図6を用いて説明する。
図2は、斜め前方から見たシートフレームFの斜視図であり、
図3はシートフレームFの正面図、
図4はシートフレームFの背面図、
図5はシートフレームFの上面図、
図6はシートフレームFの下面図である。
乗物用シートSの中には、
図2~
図6に示すように、シートフレームFが設けられており、シートフレームFは、シートバック1の骨格を形成するシートバックフレーム10と、シートクッション2の骨格を形成するシートクッションフレーム20とから構成される。
【0029】
<シートバックフレーム10>
図2に示すように、シートバックフレーム10は全体として方形枠状に形成されており、シートバックフレーム10は、左右に配置される一対のバックサイドフレーム11,11と、アッパーフレーム12と、ロアフレーム13とを備える。アッパーフレーム及びロアフレーム13は本発明の接続フレームに相当する。アッパーフレーム12は板状に形成されており、一対のバックサイドフレーム11,11の間に配置され、一対のバックサイドフレーム11,11の上端を連結している。ロアフレーム13は、一対のバックサイドフレーム11,11の間に配置され、一対のバックサイドフレーム11の下端を連結している。また、アッパーフレーム12とロアフレーム13との間には、一対のバックサイドフレーム11,11を連結する連結フレーム(不図示)が設けられてもよい。
【0030】
アッパーフレーム12には、ヘッドレスト3のヘッドレストステー3aが挿通される一対のヘッドレストホルダ14が設けられている。ヘッドレストホルダ14は、ヘッドレスト3の保持強度を維持し、がたつきを抑制するために強度の高い金属製の部材として形成される。なお、ヘッドレストホルダ14は金属製に限らず樹脂製であってもよい。
また、アッパーフレーム12には、第1取付ブラケット31を介して第1ブロア30が取り付けられている。第1ブロア30をアッパーフレーム12に取り付けるための構成及び第1取付ブラケット31については、他の構成を説明した後に詳述する。
【0031】
一対のバックサイドフレーム11,11は、上述したようにシートバックフレーム10の左右に配置され、基本的に左右対称の構成とされた部材である。一対のバックサイドフレーム11,11は、シート上下方向に延出して設けられている。一対のバックサイドフレーム11,11それぞれのシート前後方向の幅が、シート上方側からシート下方に向かうに従って拡幅するように形成されている。シート前方側の周縁部とシート後方側の周縁部がシート前方側に凸となるよう曲線状に形成されている。
【0032】
<シートクッションフレーム20>
シートクッションフレーム20は、
図3に示すように、上面視で方形枠状に形成され、左右には、一対のクッションサイドフレーム21,21(一対のサイドフレーム)が設けられている。一対のクッションサイドフレーム21,21は、基本的に左右対称の構成とされた部材であり、シート前後方向に延出して設けられている。
【0033】
また、シートクッションフレーム20は、一対のクッションサイドフレーム21,21を前側で接続する前側接続フレーム22と、後側で接続する後側接続フレーム23とを有する。前側接続フレーム22及び後側接続フレーム23は丸パイプにより構成されている。また、更に前側接続フレーム22の前方には板状のパンフレーム24が設けられている。パンフレーム24には、第2取付ブラケット131を介して第2ブロア130が取り付けられている。第2ブロア130及び第2取付ブラケット131の詳細については、他の構成を説明した後、詳述する。
図2及び
図5に示すように、シートクッションフレーム20には前側接続フレーム22と、後側接続フレーム23の間を橋渡して配置される受圧部材25が設けられており、受圧部材25により着座者の臀部を支持することが可能になっている。
【0034】
<レール装置4>
また、乗物用シートSの下部には、
図2に示すようにレール装置4が設置されている。このレール装置4により、乗物用シートSは、シート本体Shが前後方向にスライド移動可能な状態で車体フロアFLに取り付けられる。
【0035】
レール装置4は、車体フロアFL上に固定されるロアレール5と、ロアレール5に対してスライド移動可能なアッパーレール6とから構成される。ロアレール5を車体フロアFLに固定する構成については、後述する。
【0036】
<パッド部材P及び表皮材T>
シートバックフレーム10及びシートクッションフレーム20の外側には、パッド部材P及び表皮材T(クッションカバー)が設けられることで、シートバック1及びシートクッション2が構成される。パッド部材Pは、例えばウレタン発泡材を用いて、発泡成型により成型されたウレタン基材であり、表皮材Tは、例えばクロス、合成皮革又は本革等からなる。
【0037】
以下、本実施形態の乗物用シートSが備えるシートバックフレーム10について、より詳細に説明する。
図7は、
図3のVII-VII線に沿った断面図で、
図8は
図3のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9は、第1取付ブラケット31が固定されたアッパーフレーム12の正面図であり、第1ブロア30を取り外した状態を示している。
図10は第1取付ブラケット31の分解斜視図である。
【0038】
シートバックフレーム10は、上述したように板状のアッパーフレーム12を備えている。また、アッパーフレーム12には、着座者側の面12aに取り付けられる第1ブロア30が取り付けられている。
【0039】
従来、アッパーフレームにブロア等の機能部品を取り付ける場合、ブロアが前方に突出しないよう、ブロアをアッパーフレームの下方に取り付けていた(例えば、特開2019-6392号公報参照)。そのため、ブロアの取り付け位置が限定されるという課題があった。
【0040】
本実施形態に係る乗物用シートSでは、
図7に示すように、アッパーフレーム12の着座者側の面12aに、第1ブロア30を着座者から遠ざかる方向に沈み込ませる凹部15が形成されている。言い換えれば、アッパーフレーム12には、第1ブロア30をより後側に位置させる凹部15が形成されている。凹部15は、本発明の逃げ部に相当する。
凹部15は、板状のアッパーフレーム12を屈曲させることにより形成されており、第1ブロア30は凹部15内に配置されている。それにより、アッパーフレーム12と前後方向において重なる位置であっても第1ブロア30を前方に突出させることなくコンパクトに配置することができる。
【0041】
第1ブロア30は、アッパーフレーム12の凹部15において、板状の第1取付ブラケット31(取付部材)を介してアッパーフレーム12に固定されている。
アッパーフレーム12の凹部15には、第1取付ブラケット31を固定する第1ブラケット固定部16が形成されている。第1ブラケット固定部16は、本発明の取付部材固定部に相当する。
【0042】
第1ブラケット固定部16は、上側に位置する上側ブラケット固定部16aと、下側に位置する下側ブラケット固定部16bとから構成されている。上側ブラケット固定部16aと、下側に位置する下側ブラケット固定部16bは、前方に突出した平坦部が第1取付ブラケット31を取り付ける台座として形成されている。上側ブラケット固定部16aは、第1取付ブラケット31の上側接続部38aとボルト39により締結固定される。また、下側ブラケット固定部16bは、第1取付ブラケット31の下側接続部38bとボルト39により締結固定される。なお、締結部材としてボルト39を用いているが、タッピングねじを用いてもよい。
【0043】
アッパーフレーム12に第1ブラケット固定部16を設けることで、第1ブロア30の取付作業性の向上が図られている。また、上側ブラケット固定部16aと、下側ブラケット固定部16bとの間には、後方に突出したビード部18が形成されており、アッパーフレーム12の凹部15が補強されている。
【0044】
<第1取付ブラケット31>
第1ブロア30を、アッパーフレーム12の凹部15に固定するため、第1取付ブラケット31が用いられている。第1取付ブラケット31は樹脂製の部材であり、
図10に示すように、第1ブロア30を収納する収納凹部31c及び開口部31dが形成されている。第1取付ブラケット31は、アッパーフレーム12の第1ブラケット固定部16と接続する第1フレーム接続部38を有する。
【0045】
より詳細に述べると、第1取付ブラケット31の上側端部31aには、アッパーフレーム12の上側ブラケット固定部16aと接続する上側接続部38aが一つ形成されている。
また、第1取付ブラケット31の収納凹部31cには、アッパーフレーム12の下側ブラケット固定部16bと接続する下側接続部38bが二つ形成されている。二つの下側接続部38bは、収納凹部31cにおいて左右の端部に配置されている。
上側接続部38aは本発明の第1接続部に相当し、下側接続部38bは本発明の第2接続部に相当する。
第1取付ブラケット31は、アッパーフレーム12に対して、上側接続部38aの一点と、下側接続部38bの二点とを合わせた三点により取り付けられるため、簡易な方法で強固に固定することができる。
【0046】
<グロメット51>
第1取付ブラケット31は、上述したように、上側接続部38aと下側接続部38bが、アッパーフレーム12の第1ブラケット固定部16にボルト39により締結されている。第1取付ブラケット31は樹脂製であるため、直接ボルト39が当接すると損傷する可能性がある。そのため、上側接続部38a及び下側接続部38bにはグロメット51が取り付けられている。
【0047】
グロメット51は、
図10に示すように、クリップ状に形成された部材であり、上側接続部38a又は下側接続部38bを挟み込むことで取り付けられる。グロメット51には、上側接続部38a又は下側接続部38bに取り付けたとき、ボルト39を挿入する挿入孔と連通する貫通孔51aが形成されている。グロメット51がボルト挿入孔の周囲にあてがわれることにより、上側接続部38a及び下側接続部38bを保護することができる。また、グロメット51により、上側接続部38a及び下側接続部38bの固定力が強化され、組み付けを容易にする。グロメット51は、第1取付ブラケット31の外側から挿入され、上側接続部38a及び下側接続部38bを挟み込むことで取り付け可能に構成されているため、グロメット51の取り付け及び取り外しが容易となっている。
【0048】
<位置決め部34>
上側接続部38aのシート幅方向における左右には、
図10に示すように位置決め部34が設けられている。位置決め部34は断面T字状に形成され、後方に向けて立設している。アッパーフレーム12の上側ブラケット固定部16aには、位置決め部34と対応する位置にT字形の挿入孔17が形成されている(
図4参照)。位置決め部34の頭部34aを挿入孔17に挿入した後、位置決め部34の支柱部34bを挿入孔17の窪みに嵌め込むことにより、第1取付ブラケット31をボルト39で締結固定する前に、アッパーフレーム12に仮り止めすることができる。仮止めにより、第1取付ブラケット31の位置決めが容易になり取付作業性が向上する。
【0049】
第1取付ブラケット31の上側部分は、
図9に示すようにアッパーフレーム12のヘッドレストホルダ14,14の間に配置されている。言い換えれば、第1取付ブラケット31本体のシート幅方向の大きさWは、ヘッドレストホルダ14、14の間に入るように形成されている。第1取付ブラケット31を、一対のヘッドレストホルダ14,14の間に配置することで、第1取付ブラケット31がシート前方側に突出せず、それにより乗物用シートS(より詳細にはシートバック1)をコンパクトにすることができる。
【0050】
また、第1取付ブラケット31の上側接続部38aは、シート幅方向においてヘッドレストホルダ14,14の間に挟まれている。一方、下側接続部38bは、シート幅方向において、ヘッドレストホルダ14,14の間に挟まれていない。
上側接続部38aをヘッドレストホルダ14,14の間に配置することにより、固定強度の向上を図ることができる。下側接続部38bでは、グロメット51が側方から取り付けられるため、下側接続部38bがヘッドレストホルダ14、14の間に配置されていないことで、ヘッドレストホルダ14,14が、グロメット51の取り付けの邪魔にならず、第1取付ブラケット31の組付けが容易になる。
【0051】
<コネクタ支持部33>
第1取付ブラケット31は、第1取付ブラケット31の下側端部31bに、第1ブロア30に接続するコネクタ49を支持するコネクタ支持部33を有している。コネクタ支持部33は、第1取付ブラケット31の下側端部31bにおいて左右両方に設けられている。より具体的に述べると、コネクタ支持部33は、第1取付ブラケット31の下側端部31bの左右から、外側斜め下方に向けて延びるように舌状に設けられている。コネクタ支持部33が外側斜め下方に向けて延びることで、アッパーフレーム12の下端よりも下方に位置するよう構成される。
【0052】
コネクタ支持部33を第1取付ブラケット31に設けることで、コネクタ49の取り付けが容易になり、第1ブロア30の取付作業性が向上する。また、左右両方にコネクタ支持部33を設けることで、乗物用シートSが車両の左右いずれの側に配置されても、ハーネス50と近い位置のコネクタ支持部33を用いてコネクタ49を取り付けられるため、第1取付ブラケット31を左右の席で共有化できる。また、アッパーフレーム12の下端より下方に配置されることで、アッパーフレーム12との干渉が抑制される。
【0053】
<第1ブロア固定部32>
第1取付ブラケット31には、
図9に示すように、着座者側の面に四つの第1ブロア固定部32が設けられている。第1ブロア固定部は、本発明の機能部品固定部に相当する。第1ブロア固定部32は、第1取付ブラケット31の四隅の近傍に配置されており、上側に配置される二つの上側ブロア固定部32aは上側接続部38aを挟む位置に配置されている。言い換えれば、上側接続部38aは、二つの上側ブロア固定部32aによって挟まれている。
また、第1取付ブラケット31の下側に配置される二つの下側ブロア固定部32bは、下側接続部38bの近傍に配置されている。言い換えれば、二つの下側接続部38bは、下側ブロア固定部32bと隣接して配置されている。このように上側接続部38a及び下側接続部38bを配置することで、固定強度の向上が図られている。
【0054】
なお、本実施形態では、本発明の逃げ部としてアッパーフレーム12に凹部15を形成していたが、これに限定されず、逃げ部はアッパーフレーム12に形成された貫通孔であってもよい。貫通孔に第1ブロア30を挿入し沈み込ませて固定することで、第1ブロア30が前方に突出することを抑制することができる。
【0055】
また、第1ブロア30を取り付ける凹部15(逃げ部)が形成されるフレームは、アッパーフレーム12に限定されず、シートバックフレーム10の下方に配置されるロアフレーム13、又は中央に設けられる連結フレーム(不図示)であってもよい。また、凹部15に取り付けられる機能部品は、第1ブロア30に限定されず、着座者の生体情報を取得するセンサであってもよく、また、振動装置、ヒータ、スピーカ、エアセルであってもよい。
【0056】
次に、本実施形態に係る乗物用シートSのレール装置4について、
図11~
図17を参照しながら説明する。
図11は、レール装置4を斜め前方から見た斜視図、
図12はレール装置4の前方端部を乗物用シートSの内側から見た斜視図である。
図13はロアレール5の先端部分を示す上面図であり、
図14はロアレール5の先端部分を示す斜視図、
図15は
図13のXV-XV線に沿った断面図であり、
図16はロアレール5の先端部分の分解斜視図である。
図17は、ロアレール5の先端とカバー部材57との係合を示す説明図である。
【0057】
上述したようにレール装置4は、車体フロアFL上に固定されるロアレール5と、シートフレームFに取り付けられ、ロアレール5に対してスライド可能に係合するアッパーレール6とから構成されている。また、アッパーレール6にはシートフレームFに連結する連結ブラケット60が設けられており、アッパーレール6を前後方向にスライドさせることで、乗物用シートSのシート本体Shが前後方向に移動するように構成されている。
【0058】
従来、ロアレールの車体フロアに対する固定は、ロアレールの底部に直接ボルト等の締結部材を取り付けて行われていた(特開2021-160408参照)。しかしながら、ボルト頭部がロアレールの底部にあることでアッパーレールとボルト頭部とが干渉し、アッパーレールの可動域が制限される場合があった。また、ロアレールの底部に貫通孔を形成するため、レール及びレール周辺の部材の向上も課題となっていた。
【0059】
本実施形態に係る乗物用シートSのロアレール5は、
図15に示すように、車体フロアFLにボルト52(締結部材)により固定されており、ロアレール5には、その直下において、ボルト52をロアレール5の底部5aから沈み込ませる凹部54(逃げ部)が形成されている。言い換えれば、ロアレール5には、ボルト52をロアレール5の底部5aより下方に位置させる凹部54が設けられてる。
【0060】
より具体的に説明すると、
図13に示すように、ロアレール5の先端部分の底部5aには、ボルト52の頭部52aが挿通する開口部5bが形成されている。開口部5bは円形に形成されており、開口部5bの直径R1は、ボルト52の頭部の直径R2より大きい。
【0061】
底部5aの下方には、挿通したボルト52の頭部52aを保持する保持部材53が取り付けられている。保持部材53の底部53aには凹部54が形成されており、ロアレール5を固定する際、凹部54内にボルト52の頭部52aが配置されるように構成されている。
頭部52aが凹部54内に配置されることで、ボルト52が、ロアレール5の底部5aより下方に沈み込む状態となり、ボルト52の頂部52bはロアレール5の底部5aの上面より下方に位置するようになる。
【0062】
<保持部材53>
保持部材53は、板状の部材を折り曲げて形成された金属製の部材である。
図15に示すように、保持部材53の底部53aの中央において上面視で円形の凹部54が形成されている。凹部54の中央にはボルト52の軸部が挿通する貫通孔54aが形成されている。
【0063】
保持部材53は全体的に断面U字状に形成されており、折り曲げて形成された両側部53b,53bによりロアレール5を挟み込み、その状態で保持部材53をロアレール5の底部5aに取り付けることができる。
ロアレール5の底部5aに取り付けられた保持部材53は、ロアレール5の側部5cにおいて溶接により固定される。言い換えれば、保持部材53の両側部53b,53bは、ロアレール5の両側部5c,5cにおいて溶接による保持部材固定部56で固定されている。このように保持部材固定部56を配置することにより、ロアレール5をよりコンパクトにすると共に強度の向上を図ることができる。
【0064】
また、
図13に示すように、二つの保持部材固定部56は、上面視で、ボルト52を挟む位置に配置されている。二つの保持部材固定部56がボルト52を挟むように配置されることで、ボルト52付近の強度向上が図られている。
【0065】
また、保持部材53の側部53bには、ロアレール5のカバー被係合部5dに対応する位置において、切り欠きによる段部53cが形成されている。段部53cを形成することで、カバー被係合部5dが側部53bにより覆われることがなく、後述するカバー部材57との係合を阻害することがない。
【0066】
また、保持部材固定部56は、カバー被係合部5dの近傍に設けられている。カバー被係合部5dの近傍に保持部材固定部56を設けることにより強度の向上を図ることができる。また、保持部材固定部56とカバー被係合部5dとは、略同じ高さに設けられており、コンパクトな配置にすることができる。
【0067】
<カバー部材57>
ロアレール5の先端部分には、保持部材53が取り付けられたロアレール5の部分を覆うカバー部材57が設けられている。カバー部材57は樹脂製の部材で、その断面が略U字状になるよう形成されている。
カバー部材57の底部には保持部材53の凹部54が挿入される貫通孔57cが形成されている。
【0068】
また、カバー部材57の内側には、先端から後方に向けて延びる爪状の係合部57aが形成されている。また、ロアレール5の先端部には、係合部57aと対応する位置に、カバー被係合部5dが形成されている。
図17に示すように、カバー部材57を取り付けたとき、係合部57aがロアレール5のカバー被係合部5dに係合部することで、カバー部材57を固定することができる。
【0069】
また、カバー部材57の側面部は、保持部材固定部56を収納するように外側に膨らむ膨出部を有している。膨出部の内側にはリブ57bが形成されている。リブ57bは、カバー部材57が取り付けられたとき、リブ57bの先端がロアレール5の側面と当接するように設けられている。また、リブ57bは、保持部材固定部56よりも上方に位置するように取り付けられている。リブ57bの下方に保持部材固定部56が位置することにより、カバー部材57の強度が向上する。
【0070】
<連結ブラケット60及びリンク61>
図11に示すように、ロアレール5上をスライドするアッパーレール6には、連結ブラケット60が設けられている。また、
図12に示すように、連結ブラケット60には、シートクッションフレーム20のクッションサイドフレーム21,21と連結する複数のリンク61が回動可能に取り付けられている。リンク61が回動することにより、シートクッション2の高さを変更することができる。
【0071】
本実施形態の連結ブラケット60は、アッパーレール6と接続する底部60aと、底部60aの周囲から立設する壁部60bとから構成されている。また、壁部60bの上端において、シート幅方向の外側に向けて延びるフランジ60cが形成されている。フランジ60cを形成することで、レール周りの強度の向上が図られている。
また、リンク61にも、
図12に示すように、リンク本体61aの側部からシート幅方向において内側に延びるフランジ61bが形成されており、レール周りの強度の向上が図られている。
【0072】
次に、本実施形態に係る乗物用シートSが備えるシートクッションフレーム20について、
図18~
図22を用いて説明する。
図18は第2ブロア130が取り付けられたパンフレーム24を示す斜視図、
図19は
図18の部分Aを拡大して示す部分拡大斜視図である。
図20は第2取付ブラケット131が取り付けられたパンフレームの下面図で、第2ブロア130が取り外された状態を示す図である。
図21は第2取付ブラケット131の上面側を示す斜視図であり、
図22は第2取付ブラケット131の下面側を示す斜視図である。
【0073】
従来、シートクッションフレームに、ブロア等の機能部品を取り付ける場合、機能部品を直接取り付けるのではなく、取付ブラケットを介して取り付けられる。取付ブラケットは、シートフレームに対してボルト等の締結部材を用いて締結固定されるが、通常、締結固定する前に係止爪等を用いてシートフレームに仮止めされる。特開2021-112586号公報に開示される乗物用シートでは、取付ブラケットを1つの係止爪を用いて仮止めした後、締結固定している。
しかしながら、一つの係止爪では、取付ブラケットを仮止めした際の仮止め精度や保持力が低く、組付性が悪化する可能性があった。
【0074】
本実施形態に係る乗物用シートSは、
図5、6、19に示すように、第2ブロア130を備えている。第2ブロア130は、パンフレーム24に取り付けられている。第2ブロア130は、着座者に対して空気を送出する装置であり、本発明の機能部品に相当する。第2ブロア130から送出された空気は、シートクッション2内に設けられるダクト130aを通して、シートクッション2の第2送風口140まで送られる。
【0075】
乗物用シートSは、第2ブロア130に固定され、第2ブロア130をパンフレーム24に取り付ける第2取付ブラケット131を備えている。第2取付ブラケット131は、全体として板状に形成される樹脂製の部材であり、
図21及び
図22に示すように、中央において第2ブロア130から延びるダクト130aを挿通する開口部137が形成されている。
【0076】
第2取付ブラケット131は、複数のボルト139(複数の締結部材)により、シートクッションフレーム20のパンフレーム24により締結固定される。締結部材としてボルト139を用いているが、タッピングねじを用いて締結固定してもよい。
第2取付ブラケット131は、
図21に示すように、第2取付ブラケット131をパンフレーム24に仮止めする複数の仮止め部135を有しており、
図18に示すように、複数の仮止め部135は、第2ブロア130を挟む位置に配置されている。第2取付ブラケット131は、パンフレーム24にボルト139により締結固定される前に、複数の仮止め部135によりパンフレーム24に仮止めされる。このように、複数の仮止め部135を、第2ブロア130が挟まれるように配置することで、第2ブロア130を中心とした仮止め精度や保持力が向上し、組付性を良くすることができる。
【0077】
仮止め部135は、
図21に示すように、先端が爪状に形成されている。仮止め部135を、対応する位置に形成されたパンフレーム24の挿入孔に挿入して先端を引掛けることにより、第2取付ブラケット131をパンフレーム24に仮止めすることができる。
【0078】
仮止め部135は、シート幅方向において第2ブロア130の左右に二つずつ配置されている。第2ブロア130の左側に配置された二つの仮止め部135はシート前後方向に並んで配置されている。第2ブロア130の右側に配置された二つの仮止め部135もシート前後方向に並んで配置されている。
本実施形態では、第2ブロア130の左右それぞれに二つの仮止め部135が設けられているが、これに限定されず、一つの仮止め部135が左右それぞれに設けられてもよく、また、三つ以上の仮止め部135が左右それぞれに設けられてもよい。
左右に配置することで、コンパクトな配置とすることができる。また、前後方向に並んで配置することで仮止め精度が向上する。
【0079】
パンフレーム24には、第2ブロア130のダクト130aを挿通するダクト挿通部24aが形成されている。ダクト挿通部24aはパンフレーム24に形成された貫通孔である。
また、パンフレーム24には、第2取付ブラケット131を固定する第2ブラケット固定部26が設けられている。第2ブラケット固定部26は、ダクト挿通部24aの左側に形成される左側ブラケット固定部26aと、右側に形成される右側ブラケット固定部26bとから構成されている。左側ブラケット固定部26a及び右側ブラケット固定部26bは、下方に窪む凹部として形成されている。第2取付ブラケット131の複数の仮止め部135は、第2ブラケット固定部26内に形成された貫通孔に挿通され掛止する。
【0080】
第2取付ブラケット131は、パンフレーム24の第2ブラケット固定部26に接続する第2フレーム接続部138を有する。
より詳細に述べると、
図20に示すように、第2取付ブラケット131の右側部分には、パンフレーム24の右側ブラケット固定部26bと接続する右側接続部138bが一つ設けられている。また、第2取付ブラケット131の左側部分には、パンフレーム24の左側ブラケット固定部26aと接続する左側接続部138aが二つシート前後方向に並んで設けられている。
第2取付ブラケット131は、パンフレーム24に対して、右側接続部138bの一点と、左側接続部138aの二点とを合わせた三点で取り付けられるため、簡易な方法で強固に固定することができる。
【0081】
<グロメット151>
第2取付ブラケット131は、上述したように、左側接続部138a及び右側接続部138bが、パンフレーム24の第2ブラケット固定部26にボルト139により締結されている。第2取付ブラケット131は樹脂製であるため、ボルト139が当接すると損傷する可能性がある。そのため、左側接続部138a及び右側接続部138bにはグロメット151が取り付けられている。グロメット151の構成は、第1取付ブラケット31に設けられるグロメット51と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0082】
グロメット151が、左側接続部138a及び右側接続部138bのボルト挿入孔の周囲にあてがわれることで、左側接続部138a及び右側接続部138bを保護することができる。また、左側接続部138a及び右側接続部138bの固定力を強化し、組み付けを容易にする。
なお、仮止め部135は、グロメット151を避けた位置、すなわちグロメット151が設けられていない位置に配置されている。これにより取付性が向上する。
【0083】
第2取付ブラケット131の、右側に配置される仮止め部135は、
図18に示すように、右側接続部138bで締結するボルト139を挟む位置に配置されている。このように配置することで、仮止め精度が向上する。
また、左側に配置される仮止め部135は、左側接続部138aで締結する二つのボルト139に挟まれる位置に配置されている。このように仮止め部135を配置することでより強固に固定することができる。
【0084】
<コネクタ支持部133>
第2取付ブラケット131は、
図20に示すように、第1取付ブラケット31の後側端部131bに、第2ブロア130に接続するコネクタ49を支持するコネクタ支持部133を有している。コネクタ支持部133は、第2取付ブラケット131の後側端部131bにおいて左右両方に設けられている。コネクタ支持部133には、コネクタ49が取り付けられ、コネクタ49から延びるハーネス50は、車両の電源やECU等に接続される。ハーネス50は、第2取付ブラケット131の下面にクリップ58により固定されている。
【0085】
コネクタ支持部33を第2取付ブラケット131に設けることで、コネクタ49の取り付けが容易になり、第2ブロア130の取付作業性が向上する。また、左右両方にコネクタ支持部33を設けることで、乗物用シートSが車両の左右いずれの側に配置されても、電源等から延びるハーネス50と近い位置のコネクタ支持部33を用いてコネクタ49を取り付けられる。そのため、第2取付ブラケット131を左右の席で共有化することができる。また、コネクタ支持部133は、仮止め部135を避けた位置に設けられている。それにより取付性の向上が図られている。
【0086】
第2取付ブラケット131には、上述したように、中央に第2ブロア130のダクト130aを挿通する開口部137が形成されている。
第2取付ブラケット131に設けられる複数の仮止め部135は、開口部137を挟む位置に配置されている。このように複数の仮止め部135を配置することで、仮止め精度が向上する共に強度の向上を図ることができる。また、仮止め部135をダクト挿通部24aの左右に設けることで、コンパクトな配置とすることができる。
【0087】
<リブ131d>
第2取付ブラケット131の下面131cには、
図21に示すように、下方に向けて突出するリブ131dが設けられている。特にリブ131dの一部は開口部137を囲むように円形に形成されており、それにより開口部137周辺の剛性向上が図られている。
【0088】
<第2ブロア固定部132>
また、
図19及び
図21に示すように、第2取付ブラケット131の下面131cには、第2ブロア130を第2取付ブラケット131に固定するための第2ブロア固定部132(機能部品固定部)が設けられている。本実施形態では、四つの第2ブロア固定部132が、開口部137の周囲に設けられている。
【0089】
<ガイド部136>
第2取付ブラケット131は、複数の仮止め部135により仮止めする際、仮止め部135を案内するガイド部136を備えている。ガイド部136は、第2取付ブラケット131の上面131aから立設する柱状の部材であり、ガイド部136は、ダクト挿通部24aの左右に一本ずつ設けられている。
また、ガイド部136は、複数の仮止め部135のうち少なくともの一つの近傍に設けられている。特に、左側に設けられるガイド部136は、前後に配置された二つの仮止め部の間に配置されている。ガイド部136を仮止め部135の近傍に設けたり、仮止め部135の間に配置したりすることで仮止めを容易にしている。
【0090】
本実施形態では、第2取付ブラケット131をシートクッションフレーム20のパンフレーム24に取り付けていたが、第2取付ブラケット131は、シートバックフレーム10のアッパーフレーム12やロアフレーム13に取り付けられてもよい。この場合、ダクトが挿通する開口部137の左側又は右側に配置される複数の仮止め部135は乗物用シートSの上下方向に並ぶこととなる。
【0091】
また、パンフレーム24に取り付けられる機能部品は、第2ブロア130に限定されず、着座者の生体情報を取得するセンサであってもよい。また、機能部品は、振動装置、ヒータ、スピーカ、エアセルであってもよい。
【符号の説明】
【0092】
S 乗物用シート
F シートフレーム
T 表皮材
P パッド部材
FL 車体フロア
1 シートバック
2 シートクッション
3 ヘッドレスト
3a ヘッドレストステー
4 レール装置
5 ロアレール
5a 底部
5b 開口部
5c 側部
5d カバー被係合部
6 アッパーレール
7 リクライニング機構
10 シートバックフレーム
11 バックサイドフレーム(サイドフレーム)
12 アッパーフレーム(接続フレーム)
12a 着座者側の面
13 ロアフレーム
14 ヘッドレストホルダ
15 凹部
16 第1ブラケット固定部(取付部材固定部)
16a 上側ブラケット固定部
16b 下側ブラケット固定部
17 挿入孔
18 ビード部
20 シートクッションフレーム
21 クッションサイドフレーム(サイドフレーム)
22 前側接続フレーム
23 後側接続フレーム
24 パンフレーム
24a ダクト挿通部
25 受圧部材
26 第2ブラケット固定部(取付部材固定部)
26a 左側ブラケット固定部
26b 右側ブラケット固定部
30 第1ブロア(機能部品)
31 第1取付ブラケット(取付部材)
31a 上側端部
31b 下側端部
31c 収納凹部
31d 開口部
32 第1ブロア固定部(機能部品固定部)
32a 上側ブロア固定部
32b 下側ブロア固定部
33 コネクタ支持部
34 位置決め部
34a 頭部
34b 支柱部
38 第1フレーム接続部
38a 上側接続部(第1接続部)
38b 下側接続部(第2接続部)
39 ボルト(締結部材)
40 第1送風口
49 コネクタ
50 ハーネス
51 グロメット
52 ボルト(締結部材)
52a 頭部
52b 頂部
53 保持部材
53a 底部
53b 側部
53c 段部
54 凹部(逃げ部)
54a 貫通孔
56 保持部材固定部
57 カバー部材
57a 係合部
57b リブ
57c 貫通孔
58 クリップ
60 連結ブラケット
60a 底部
60b 壁部
60c フランジ
61 リンク
61a リンク本体
61b フランジ
130 第2ブロア(機能部品)
130a ダクト
131 第2取付ブラケット(取付部材)
131a 上面
131b 後側端部
131c 下面
131d リブ
132 第2ブロア固定部(機能部品固定部)
133 コネクタ支持部
135 仮止め部
136 ガイド部
137 開口部
138 第2フレーム接続部
138a 左側接続部
138b 右側接続部
139 ボルト(締結部材)
140 第2送風口