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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134388
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】フロメトキン乳化性組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 47/06 20060101AFI20230920BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20230920BHJP
   A01N 25/04 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
A01N47/06 D
A01P7/04
A01N25/04 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035139
(22)【出願日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2022038930
(32)【優先日】2022-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 孝典
(72)【発明者】
【氏名】小林 武
(72)【発明者】
【氏名】村本 大輝
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AC01
4H011BA01
4H011BB12
4H011BC01
4H011BC03
4H011BC05
4H011BC06
4H011BC07
4H011BC08
4H011BC19
4H011DA16
4H011DH03
(57)【要約】
【課題】
農薬有効成分としてフロメトキンを含有し、保存安定性に優れ、さらに水希釈時の乳化状態も良好な農薬乳化性組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】
農薬有効成分(A)としてフロメトキン、溶剤(B)として(b1)脂肪酸メチルエステル、(b2)脂肪酸アミド、及び(b3)芳香族系炭化水素溶剤、からなる群から選択される1種類以上、並びに、乳化剤(C)として(c1)アニオン性界面活性剤及び(c2)ノニオン性界面活性剤を含むことを特徴とする、フロメトキン乳化性組成物。該組成物は、保存安定性に優れ、水と混和することで調製される散布用乳化液の乳化状態も安定で良好である。加えて、好ましい態様において、既存のフロメトキン-フロアブル製剤と比較して、殺虫効力向上及び/または殺虫効果の即効性が発揮される効果を有する。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農薬有効成分(A)としてフロメトキン、溶剤(B)として、(b1)脂肪酸メチルエステル、(b2)脂肪酸アミド、及び(b3)芳香族系炭化水素溶剤、からなる群から選択される1種類以上、並びに、乳化剤(C)として、(c1)アニオン性界面活性剤、及び(c2)ノニオン性界面活性剤を含むことを特徴とする、フロメトキン乳化性組成物。
【請求項2】
農薬有効成分(A)が1~20質量部、溶剤(B)が50~95質量部、並びに乳化剤(C)が1~30質量部で含有する、請求項1に記載のフロメトキン乳化性組成物。
【請求項3】
乳化剤(C)における、(c1)アニオン性界面活性剤が、アルキルベンゼンスルホン酸塩であり、(c2)ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンひまし油、ポリオキシアルキレン(ポリ)アリールフェニルエーテル、及びポリオキシアルキレン(ポリ)アリールフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、からなる群から選択される1種以上である、請求項1または2に記載のフロメトキン乳化性組成物。
【請求項4】
溶剤(B)が、(b1)脂肪酸メチルエステル、(b2)脂肪酸アミド、及び(b3)芳香族系炭化水素溶剤、からなる群から選択される2種以上を含有する、請求項1または2に記載のフロメトキン乳化性組成物。
【請求項5】
溶剤(B)として、(b1)脂肪酸メチルエステルを含む、請求項1または2に記載のフロメトキン乳化性組成物。
【請求項6】
溶剤(B)として、(b2)脂肪酸アミドを含む、請求項1または2に記載のフロメトキン乳化性組成物。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロメトキンを農薬有効成分として含有する農薬乳化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水難溶性の農薬有効成分を適切に散布できる製剤型として農薬乳剤が知られている。これは、農薬有効成分を乳化剤と共に溶剤に溶解させた溶液状製剤である。農薬施用に際しては、これを水に混和すると均一な乳化液が調製され、薬剤散布に適用される。農薬乳剤は、簡便な方法で製造することができるため有用な製剤である。
【0003】
しかしながら、農薬乳剤は農薬有効成分が結晶性である場合には、保管中の温度変化により農薬有効成分由来の結晶が析出する場合がある。農薬乳剤は、使用時に水で希釈され、エマルションを形成した状態で使用されるが、その際に、エマルション中の溶剤が徐々に水に溶解する、或いは溶剤が揮発することでエマルション中の農薬有効成分の溶解力が減少し、水中で農薬有効成分の結晶が析出することがある。製剤中及び散布調製乳化液において農薬有効成分が析出すると、効力の減少や散布器フィルターの目詰まり等、使用者に不利益が生じる。このため、農薬乳剤は、製剤保存下及び散布用調製乳化液で結晶が析出しない、溶液安定性及び乳化液安定性に優れた製剤であることが望まれている。
例えば、特許文献1は、農薬有効成分であるフルキサメタミド、ピリダベン、アミスルブロム、またはキザロホップ-p-エチルに対して、アミド系極性溶剤と非極性溶剤の混合溶剤、並びに界面活性剤を用いた農薬乳剤が、水で希釈した後でも乳化安定性が良好であったことを報告している。
【0004】
フロメトキンは、キノリン系殺虫活性成分として知られており(特許文献2)、フロアブル製剤として市場に提供されている。特許文献3~6には、フロメトキンを農薬有効成分とする製剤として、フロアブル製剤や水和剤が記載されている。なお、フロメトキンは、塩基性や酸性条件下で容易に分解反応が起こる物性である。そのため、溶剤や界面活性剤の種類によっては保存安定性に問題が起こる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2019/230621号
【特許文献2】国際公開2006/013896号
【特許文献3】国際公開2011/105349号
【特許文献4】国際公開2014/119620号
【特許文献5】特開2014-144944号公報
【特許文献6】国際公開2019/235602号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
農薬有効成分としてフロメトキンを含有し、保存安定性に優れ、さらに水希釈時の乳化状態も良好な農薬乳化性組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、フロメトキンを農薬有効成分として含有する農薬乳化性組成物について鋭意検討を重ねた結果、フロメトキンと、溶剤として、脂肪酸メチルエステル、脂肪酸アミド、または芳香族系炭化水素溶剤を用い、乳化剤として、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤の組み合わせを用いることにより、農薬として実用的な量のフロメトキンを含有し、保存安定性及び水希釈時の乳化状態も良好な農薬乳化性組成物が得られることを見出し、本発明に至った。
【0008】
即ち、本発明は以下の発明を含む。
[1] 農薬有効成分(A)としてフロメトキン、溶剤(B)として、(b1)脂肪酸メチルエステル、(b2)脂肪酸アミド、及び(b3)芳香族系炭化水素溶剤、からなる群から選択される1種類以上、並びに、乳化剤(C)として、(c1)アニオン性界面活性剤及び(c2)ノニオン性界面活性剤を含むことを特徴とする、フロメトキン乳化性組成物。
[2] 農薬有効成分(A)が1~20質量部、溶剤(B)が50~95質量部、並びに乳化剤(C)が1~30質量部で含有する、前記[1]に記載のフロメトキン乳化性組成物。
[3] 乳化剤(C)における、(c1)アニオン性界面活性剤が、アルキルベンゼンスルホン酸塩であり、(c2)ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンひまし油、ポリオキシアルキレンポリアリールフェニルエーテル、及びポリオキシアルキレンポリアリールフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、からなる群から選択される1種以上である、前記[1]又は[2]に記載のフロメトキン乳化性組成物。
[4] 溶剤(B)が、(b1)脂肪酸メチルエステル、(b2)脂肪酸アミド、及び(b3)芳香族系炭化水素溶剤、からなる群から選択される2種以上を含有する、前記[1]~[3]のいずれか一項に記載のフロメトキン乳化性組成物。
[5] 溶剤(B)として、(b1)脂肪酸メチルエステルを含む、前記[1]~[4]のいずれか一項に記載のフロメトキン乳化性組成物。
[6] 溶剤(B)として、(b2)脂肪酸アミドを含む、前記[1]~[4]のいずれか一項に記載のフロメトキン乳化性組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフロメトキン乳化性組成物は、保存安定性に優れる。そして、水と混和することで調製される散布用乳化液の乳化状態も安定で良好である。加えて、好ましい態様において、既存のフロメトキン-フロアブル製剤と比較して、殺虫効力向上及び/または殺虫効果の即効性が発揮される効果を有する。
【0010】
本発明の乳化性組成物は、農薬有効成分(A)としてフロメトキンを適用する。フロメトキンは、農薬ハンドブック2021年版(編集・発行 一般社団法人 日本植物防疫協会)の223ページに記載の化合物であり、化学名は2-エチル-3,7-ジメチル-6-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-4-キノリニル=メチル=カルボナートであり、融点が116.6℃~118.3℃の白色固体化合物である。フロメトキンは、例えば、国際公開第2006/013896号に記載の方法によって製造することができる。
本発明において、フロメトキンは農薬有効成分として適切な純度のものを用いることが好ましく、高速液体クロマトグラフィー法(面積比)により純度80%以上、好ましくは90%以上の農薬有効成分を用いれば良い。
本発明の乳化性組成物におけるフロメトキンの含有量は、好ましくは1~20質量%であり、より好ましくは1~15質量%であり、特に好ましくは1~10質量%である。
【0011】
本発明の乳化性組成物は、溶剤(B)を含有する。本発明において溶剤とは常温(15℃)において液状であり、1気圧において温度20℃で同容量の純水と緩やかに混合した際に、流動が収まった後も混合液が不均一な外観をしているものである。
本発明における溶剤(B)は、脂肪酸メチルエステル(b1)、脂肪酸アミド(b2)、及び芳香族系炭化水素溶剤(b3)からなる群から選択される1種以上を適用する。溶剤(B)は、(b1)、(b2)又は(b3)を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0012】
脂肪酸メチルエステル(b1)は、炭素数6~30の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸のメチルエステルが好ましく、より好ましくは炭素数8~24の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸のメチルエステルである。例えば、カプリル酸メチル、カプリン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチルや、菜種脂肪酸メチル、ヤシ脂肪酸メチル等を挙げることができる。特にヤシ脂肪酸メチルが好ましい。脂肪酸メチルエステル(b1)として、これらを単独または混合物で用いても良い。
脂肪酸メチルエステル(b1)としては市販品を用いても良く、例えば、Stepan C-25(商品名 カプリル酸メチル及びカプリン酸メチルの混合物、Stepan)、Stepan C-42(商品名 ラウリン酸メチル及びミリスチン酸メチルの混合物、Stepan)、TOENOL♯2008-95(商品名 カプリル酸メチル、東栄ケミカル)、TOENOL♯2010-95(商品名 カプリン酸メチル、東栄ケミカル)、TOENIL♯2012-95(商品名 ラウリン酸メチル、東栄ケミカル)、TOENOL♯2220-90(商品名 エルカ酸メチルエステル、東栄ケミカル)、TOENOL♯3050(商品名 牛脂脂肪酸メチル、東栄ケミカル)、TOENOL♯3120(商品名 菜種脂肪酸メチル、東栄ケミカル)、エキセパールMC(商品名 ヤシ脂肪酸メチル、花王)、エキセパールML-85(商品名 ラウリン酸メチル、花王)、エキセパールM-OL(商品名 オレイン酸メチル、花王)、等の市販品が挙げられる。エキセパールMC(商品名 ヤシ脂肪酸メチル、花王)が特に望ましい。
【0013】
脂肪酸アミド(b2)は、炭素数6~20の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸のアミド溶剤が好ましく、より好ましくは炭素数8~16の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸のアミド溶剤である。アミド部分はジアルキルアミドであることが好ましい。例えば、N,N-ジメチルオクタンアミド、N,N-ジメチルデカンアミド、N,N-ジメチルドデカンアミド、N,N-ジメチル9-デセンアミド、N,N-ジメチル9-ドデセンアミド、N,N-ジメチルテトラデカンアミド等を挙げることができる。特にN,N-ジメチルデカンアミドが好ましい。脂肪酸アミド(b2)として、これらを単独または混合物で用いても良い。
脂肪酸アミド(b2)は、市販品を用いても良く、例えば、Hallcomid M-8-10(商品名 N,N-ジメチルオクタンアミド及びN,N-ジメチルデカンアミドの混合物、Stepan)、Hallcomid M-10(商品名 N,N-ジメチルデカンアミド、Stepan)、Hallcomid M-12-14(商品名 N,N-ジメチルドデカンアミド及びN,N-ジメチルテトラデカンアミドの混合物、Stepan)、Hallcomid 1025(商品名 N,N-ジメチル9-デセンアミド、Stepan)、Hallcomid 1225(商品名 N,N-ジメチル9-ドデセンアミド、Stepan)、Rhodiasolv ADMA810(商品名 N,N-ジメチルオクタンアミド及びN,N-ジメチルデカンアミドの混合物、ソルベイ)、Rhodiasolv ADMA10(商品名 N,N-ジメチルデカンアミド、ソルベイ)、等が挙げられる。Hallcomid M-10(商品名 N,N-ジメチルデカンアミド、Stepan)またはRhodiasolv ADMA10(商品名 N,N-ジメチルデカンアミド、ソルベイ)が特に望ましい。
【0014】
芳香族系炭化水素溶剤(b3)は、1分子中に少なくとも1個の芳香族環を含む炭化水素溶剤であり、例えば、ソルベントナフサ、キシレン、トリメチルベンゼン等のアルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジフェニルエタン、フェニルキシリルエタン等を挙げることができる。これらを単独または混合物で用いても良い。
芳香族系炭化水素溶剤(b3)は、留分が150℃以上の高沸点溶剤が好ましく、留分150~300℃の溶剤が好ましい。例えば、留分150~190℃の溶剤、留分180~210℃の溶剤、留分190~250℃の溶剤、留分230~300℃の溶剤が挙げられる。
芳香族系炭化水素溶剤(b3)は、市販品を用いても良く、例えば、スワゾール1000(商品名 丸善石油)、スワゾール1500(商品名 丸善石油)、スワゾール1800(商品名 丸善石油)、ソルベッソ100(商品名 エクソンモービル)、ソルベッソ150(商品名 エクソンモービル)、ソルベッソ200(商品名 エクソンモービル)、ソルベッソ150ND(商品名 エクソンモービル)、ソルベッソ200ND(商品名 エクソンモービル)等の市販品が挙げられる。スワゾール1500(商品名 丸善石油)及びソルベッソ150ND(商品名 エクソンモービル)が特に好ましい。
【0015】
本発明の乳化性組成物における溶剤(B)の含有量は、農薬乳化性組成物の総質量に対して、好ましくは50~95質量%であり、より好ましくは60~90質量%である。
溶剤(B)は、脂肪酸メチルエステル(b1)、脂肪酸アミド(b2)又は芳香族系炭化水素溶剤(b3)をそれぞれ単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。混用する態様としては、脂肪酸メチルエステル(b1)及び脂肪酸アミド(b2)の組み合わせを用いる態様、脂肪酸アミド(b2)及び芳香族系炭化水素溶剤(b3)の組み合わせを用いる態様、脂肪酸メチルエステル(b1)及び芳香族系炭化水素溶剤(b3)の組み合わせを用いる態様、もしくは脂肪酸メチルエステル(b1)、脂肪酸アミド(b2)、及び芳香族系炭化水素溶剤(b3)の3種溶剤の組み合わせとして用いる態様が挙げられる。
【0016】
本発明の乳化性組成物において、各溶媒成分(b1)、(b2)及び(b3)の好ましい実施態様は以下の通りである。
本発明の乳化性組成物において、脂肪酸メチルエステル(b1)は、農薬乳化性組成物の総質量に対して、5~80質量%で用いることが好ましく、5~75質量%がより好ましく、5~65質量%で用いることが更に好ましい。脂肪酸メチルエステル(b1)の、より好ましい実施態様は、脂肪酸アミド(b2)及び/または芳香族系炭化水素溶剤(b3)との組合せで用いることが好ましい。その場合、脂肪酸メチルエステル(b1)は15~70質量%で用い、他方の(b2)及び/又は(b3)を10~80質量%で適用することが好ましい。脂肪酸メチルエステル(b1)のより更に好ましい実施態様は、脂肪酸アミド(b2)との組み合わせで用いることであり、その場合、脂肪酸メチルエステル(b1)を15~70質量%で用い、他方の(b2)を15~70質量%で用いることが好ましい。
本発明の乳化性組成物において、脂肪酸アミド(b2)は、農薬乳化性組成物の総質量に対して、10~80質量%で用いることが好ましく、15~70質量%がより好ましく、15~65質量%で用いることが更に好ましい。脂肪酸アミド(b2)のより好ましい実施態様は、脂肪酸メチルエステル(b1)及び/または芳香族系炭化水素溶剤(b3)との組み合わせで用いることが好ましい。その場合、脂肪酸アミド(b2)は15~70質量%で用い、他方の(b1)及び/又は(b3)を10~80質量%で適用することが好ましい。
本発明の乳化性組成物において、芳香族系炭化水素溶剤(b3)は、農薬乳化性組成物の総質量に対して、10~95質量%で用いることが好ましく、15~90質量%がより好ましく、25~85質量%で用いることが更に好ましい。
【0017】
本発明の農薬乳化性組成物に含まれる乳化剤(C)は、アニオン性界面活性剤(c1)及びノニオン性界面活性剤(c2)の組み合わせ乳化剤を含むことを特徴とする。
アニオン性界面活性剤(c1)としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアルキルアリールスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸塩等のジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステル等のポリオキシアルキレン(ポリ)アリールフェニルエーテル硫酸エステルの塩、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル等のポリオキシアルキレン(ポリ)アリールフェニルエーテルリン酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステル等のポリオキシアルキレンアルキルアリールリン酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等のポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステルの塩が挙げられる。これらを単独または混合物で用いても良い。
好ましくは、アルキルアリールスルホン酸塩であり、より好ましくは、ドデシル(直鎖)ベンゼンスルホン酸塩、アルキル(C11~13、分岐鎖)ベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。
アニオン性界面活性剤(c1)のスルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩におけるカチオン成分は、ナトリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、イソプロピルアミン塩が挙げられる。
【0018】
アルキルベンゼンスルホン酸塩として、市販品を用いても良く、例えば、NINATE 401-A(商品名 分岐アルキル(C11~13)ベンゼンスルホン酸カルシウム、Stepan)、NINATE 411(商品名 分岐アルキル(C9~17)ベンゼンスルホン酸イソプロピルアミン塩、Stepan)、NINATE 50H(商品名 直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、Stepan)、NINATE 50H-M(商品名 直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、Stepan)、NINAET 50H-ME(商品名 直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、Stepan)、NINATE 60E(商品名 直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、Stepan)、NINATE 60L(商品名 直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、Stepan)、NINATE 70B(商品名 直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、Stepan)、等が挙げられる。ジオクチルスルホコハク酸塩としては、ニューカルゲンEP-60P(商品名 竹本油脂)、等が挙げられる。ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸としては、ソルポール7556(商品名 東邦化学)、等が挙げられる。
【0019】
ノニオン性界面活性剤(c2)としては、例えば、ポリオキシエチレンひまし油等のポリオキシアルキレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油等のポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー型界面活性剤、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルやポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレン(ポリ)アリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物等のポリオキシアルキレン(ポリ)アリールフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレン糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルフォスフェートジエステル等のポリオキシアルキレン(ポリ)アリールアリールリン酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤(c2)としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンひまし油、ポリオキシアルキレン(ポリ)アリールフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(ポリ)アリールフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシアルキレン糖脂肪酸エステルからなる群から選択される1種以上を用いることが好ましい。
さらに好ましいノニオン性界面活性剤(c2)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシアルキレン(ポリ)スチリルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレン-ポリアリールフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物からなる群から選択される1種以上のノニオン性界面活性剤である。これらを単独または混合物で用いても良い。
【0020】
ノニオン性界面活性剤(c2)は、HLB値が5~20のものを適用することが好ましく、より好ましくは、HLB値が6~17のものである。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンひまし油、ポリオキシアルキレン(ポリ)アリールフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(ポリ)アリールフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物の好ましいHLB値は6~15であり、より好ましくは6~11である。ポリオキシアルキレン糖脂肪酸エステルは、好ましいHLB値は10~20であり、より好ましくはHLB値が11~17のものである。
【0021】
ノニオン性界面活性剤(c2)は、市販品を用いても良い。
ポリオキシアルキレン(ポリ)アリールフェニルエーテルとしては、例えば、ニューカルゲンCP-50(商品名 ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアリールフェニルエーテル、竹本油脂)、ニューカルゲンCP-120(商品名 ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアリールフェニルエーテル、竹本油脂)、ソルポールT-10(商品名 ポリオキシエチレン(9)トリスチリルフェニルエーテル、東邦化学)、ソルポールT-15(商品名 ポリオキシエチレン(14)トリスチリルフェニルエーテル、東邦化学)、ソルポールT-20(商品名 ポリオキシエチレン(19)トリスチリルフェニルエーテル、東邦化学)、ニューカルゲンC-120(商品名 ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル、竹本油脂)、ニューカルゲンC-150(商品名 ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル、竹本油脂)、ニューカルゲンC-173(商品名 ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル、竹本油脂)、パイオニンD-6112(商品名 ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、竹本油脂)、パイオニンD-6115(商品名 ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、竹本油脂)、パイオニンD-6120(商品名 ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、竹本油脂)、パイオニンD-6512(商品名 ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、竹本油脂)、パイオニンD-6413(商品名 ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、竹本油脂)、DTD-51(商品名 ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、竹本油脂)、タケサーフD-7010(商品名 ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル、竹本油脂)、等を市販の界面活性剤として挙げることができる。
【0022】
ポリオキシアルキレン(ポリ)アリールフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物としては、例えば、ソルポールF-15(商品名 ポリオキシエチレン(21)ジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、東邦化学)、ソルポールF-19(商品名 ポリオキシエチレン(26)ジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、東邦化学)、ソルポールF-24(商品名 ポリオキシエチレン(34)ジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、東邦化学)、パイオニンD-6310(商品名 ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、竹本油脂)、パイオニンD-6320(商品名 ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、竹本油脂)、等を市販の界面活性剤として挙げることができる。
【0023】
ポリオキシアルキレンひまし油としては、例えば、パイオニンD-212(商品名 ポリオキシエチレン化ヒマシ油、竹本油脂)、パイオニンD-220(商品名 ポリオキシエチレン化ヒマシ油、竹本油脂)、パイオニンD-225(商品名 ポリオキシエチレン化ヒマシ油、竹本油脂)、パイオニンD-230(商品名 ポリオキシエチレン化ヒマシ油、竹本油脂)、ニューカルゲンD-220(商品名 ポリオキシエチレン化ヒマシ油、竹本油脂)、ソルポールCA-15(商品名 ポリオキシエチレン(15)化ヒマシ油、東邦化学)、ソルポールCA-20(商品名 ポリオキシエチレン(20)化ヒマシ油、東邦化学)、ソルポールCA-30(商品名 ポリオキシエチレン(30)化ヒマシ油、東邦化学)、ソルポールCA-42(商品名 ポリオキシエチレン(42)化ヒマシ油、東邦化学)、ソルポールCA-50(商品名 ポリオキシエチレン(50)化ヒマシ油、東邦化学)、等を市販の界面活性剤として挙げることができる。
【0024】
ポリオキシアルキレン糖脂肪酸エステルとしては、例えば、ソルボンT-20(商品名 ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、東邦化学)、ソルボンT-40(商品名 ポリオキシエチレンソルビタンパルミチン酸エステル、東邦化学)、ソルボンT-60(商品名 ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル、東邦化学)、ソルボンT-80(商品名 ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル、東邦化学)、ニューカルゲンD-941(商品名 ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、竹本油脂)、ニューカルゲンD-945(商品名 ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル、竹本油脂)、ニューカルゲンD-945E(商品名 ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル、竹本油脂)、ニューカルゲンD-945T(商品名 ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル、竹本油脂)、パイオニンD-941(商品名 ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、竹本油脂)、パイオニンD-945(商品名 ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル、竹本油脂)、パイオニンD-945-T(商品名 ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル、竹本油脂)、等を市販の界面活性剤として挙げることができる。
【0025】
乳化剤(C)として、アニオン性界面活性剤(c1)とノニオン性界面活性剤(c2)の混合製品を用いても良い。例えば、ソルポール3005X(商品名 ポリオキシエチレン-トリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物、東邦化学)、ソルポール3005XH(商品名 ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物、東邦化学)、ソルポール3005XL(商品名 ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物、東邦化学)、ソルポール3080(商品名 ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物、東邦化学)、ソルポール355(商品名 ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物、東邦化学)、ソルポール355H(商品名 ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物、東邦化学)、ソルポール355L(商品名 ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物、東邦化学)、ソルポールSM-100PW(ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物、東邦化学)、22106TX(ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテルとアルキルベンゼンスルホン酸塩と脂肪酸エステル溶剤の混合物、竹本油脂)、ソルポール4326H(商品名 ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物)、ソルポール4326L(商品名 ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物)等を挙げることができる。
【0026】
本発明の農薬乳化性組成物において、乳化剤(C)の含有量は、農薬乳化性組成物の総質量に対して、好ましくは1~30質量%であり、より好ましくは5~25質量%である。
アニオン性界面活性剤(c1)の含有量は、農薬乳化性組成物の総質量に対して、0.5~10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5~8質量%である。
ノニオン性界面活性剤(c2)の含有量は、農薬乳化性組成物の総質量に対して、5~25質量%であることが好ましく、より好ましくは6~20質量%である。
【0027】
本発明の農薬乳化性組成物は、農薬有効成分(A)、脂肪酸メチルエステル(b1)、脂肪酸アミド(b2)、及び芳香族系炭化水素溶剤(b3)からなる群から選択される溶剤(B)、並びにアニオン性界面活性剤(c1)及びノニオン性界面活性剤(c2)である乳化剤(C)、の他に、任意によりその他の添加剤等を含有していてもよい。
その他の添加剤として、任意の溶剤を用いても良く、シクロヘキサノンやメタノール等の極性溶剤、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、イコサン、スクワランやこれらの混合物等のパラフィン系炭化水素溶剤、1分子中に少なくとも1個の飽和環を含む、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン等のナフテン系炭化水素溶剤が挙げられる。また、溶剤として脂肪酸エステルを用いても良く、炭素数6~30の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸の炭素数2~10のアルキルエステルを適用しても良い。例えば、炭素数6~30の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸のブチルエステルやオクチルエステルが挙げられ、例えば、TOENOL♯4115(商品名 菜種脂肪酸n-ブチル、東栄ケミカル)、TOENOL♯4100-I(商品名 菜種脂肪酸i-ブチル、東栄ケミカル)、TOENOL♯5001(商品名 パルミチン酸オクチル、東栄ケミカル)、TOENOL♯5016(商品名 パルミチン酸オクチル、東栄ケミカル)、TOENOL♯5168(商品名 パルミチン酸オクチル、東栄ケミカル)、TOENOL♯5090(商品名 菜種脂肪酸2-エチルヘキシル、東栄ケミカル)、等の市販品を用いても良い。
また、その他の添加剤として、エポキシ化植物油等の安定化剤、プロピレングリコール等の凍結防止剤、1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン等の防腐剤、ラウリン酸アミドプロピルベタインやヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等の両性界面活性剤、塩化ラウリルトリメチルアンモニウムやベンザルコニウム塩化物液等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
【0028】
本発明の乳化性組成物は、フロメトキンが溶剤に完全に溶解した溶液状製剤である。製剤形態としては、乳剤が好ましい。また、フロメトキン、前記溶剤(B)、並びに前記乳化剤(C)を含む溶液状の乳化性組成物に水に添加し、ホモジナイザー等で所望の乳化粒子径まで細かくする等をしてエマルション製剤としても良い。
本発明の乳化性組成物は、例えば、フロメトキン、溶剤(B)、並びに乳化剤(C)に、任意の添加剤を加え、必要に応じて加熱し、均一になるまで攪拌することで調製できる。また、必要に応じて濾過工程を追加しても良い。そのような工程を経て製造することができる。
【0029】
本発明の農薬乳化性組成物は、通常水で10~5000倍に希釈して乳化させ、農作物に対する有害生物が発生する場所及び発生する可能性がある場所に散布することで農用有害生物を防除できる。その際に使用される水は、一般に硬水でも軟水でもよく、また、必要により、展着剤等の補助剤を添加してもよい。
【実施例0030】
以下に製造例及び実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0031】
実施例1
フロメトキン原体(純度98.5%)5.2質量部、N,N-ジメチルデカンアミド(Rhodiasolv ADMA10(商品名)、ソルベイ)39.8質量部、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルとポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物とドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物(ソルポールSM-100PW(商品名)、東邦化学)15質量部を混合し、フロメトキン乳化性組成物を調製した。
【0032】
実施例2
実施例1において、ソルポールSM-100PW(商品名 ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物、東邦化学)15質量部から0質量部に変更し、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル(ニューカルゲンD-945(商品名)、HLB15、竹本油脂)13質量部、アルキル(分岐C11~C13)ベンゼンスルホン酸塩(NINATE 401-A(商品名)、Stepan)2質量部を加えた以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0033】
実施例3
実施例1において、ソルポールSM-100PW(商品名 ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物、東邦化学)15質量部から0質量部に変更し、ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテル(ニューカルゲンCP-50(商品名)、HLB11.1、竹本油脂)13質量部、アルキル(分岐C11~C13)ベンゼンスルホン酸塩(NINATE 401-A(商品名)、Stepan)2質量部を加えた以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0034】
実施例4
実施例1において、ソルポールSM-100PW(商品名 ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物、東邦化学)15質量部から0質量部に変更し、ポリオキシエチレンひまし油(ニューカルゲンD-220(商品名)、竹本油脂)5値量部、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル(ニューカルゲンD-945(商品名)、HLB15、竹本油脂)8質量部、アルキル(分岐C11~C13)ベンゼンスルホン酸塩(NINATE 401-A(商品名)、Stepan)2質量部を加えた以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0035】
実施例5
実施例1において、ソルポールSM-100PW(商品名 ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物、東邦化学)15質量部から0質量部に変更し、ポリオキシエチレンひまし油(ニューカルゲンD-220(商品名)、竹本油脂)5質量部、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル(ニューカルゲンD-941(商品名)、HLB16.7、竹本油脂)8質量部、アルキル(分岐C11~C13)ベンゼンスルホン酸塩(NINATE 401-A(商品名)、Stepan社製)2質量部を加えた以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0036】
実施例6
実施例1において、N,N-ジメチルデカンアミド(Rhodiasolv ADMA10(商品名)、ソルベイ)39.8質量部から9.8質量部に、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部から70質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0037】
実施例7
実施例1において、N,N-ジメチルデカンアミド(Rhodiasolv ADMA10(商品名)、ソルベイ)39.8質量部から19.8質量部に、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部から60質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0038】
実施例8
実施例1において、N,N-ジメチルデカンアミド(Rhodiasolv ADMA10(商品名)、ソルベイ)39.8質量部から29.8質量部に、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部から50質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0039】
実施例9
実施例1において、N,N-ジメチルデカンアミド(Rhodiasolv ADMA10(商品名)、ソルベイ)39.8質量部から59.8質量部に、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部から20質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0040】
実施例10
実施例1において、N,N-ジメチルデカンアミド(Rhodiasolv ADMA10(商品名)、ソルベイ)39.8質量部から69.8質量部に、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部から10質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0041】
実施例11
実施例1において、N,N-ジメチルデカンアミド(Rhodiasolv ADMA10(商品名)、ソルベイ)39.8質量部から79.8質量部に、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部から0質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0042】
実施例12
実施例1において、N,N-ジメチルデカンアミド(Rhodiasolv ADMA10(商品名)、ソルベイ)39.8質量部をN,N-ジメチルオクタンアミドとN,N-ジメチルデカンアミドの混合物(Hallcomid M-8-10(商品名)、Stepan)39.8質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0043】
実施例13
実施例1において、N,N-ジメチルデカンアミド(Rhodiasolv ADMA10(商品名)、ソルベイ)39.8質量部をN,N-ジメチルドデカンアミドとN,N-ジメチルテトラデカンアミドの混合物(Hallcomid M-12-14(商品名)、Stepan)39.8質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0044】
実施例14
実施例1において、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部をラウリン酸メチル(エキセパールML-85(商品名)、花王)40質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0045】
実施例15
実施例1において、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部をカプリル酸メチルとカプリン酸メチルの混合物(Stepan C-25(商品名)、Stepan)40質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0046】
実施例16
実施例1において、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部をラウリン酸メチルとパルミチン酸メチルの混合物(Stepan C-42(商品名)、Stepan)40質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0047】
実施例17
実施例1において、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部をカプリル酸メチル(TOENOL♯2008-95(商品名)、東栄ケミカル)40質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0048】
実施例18
実施例1において、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部をカプリン酸メチル(TOENOL♯2010-95(商品名)、東栄ケミカル)40質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0049】
実施例19
実施例1において、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部をエルカ酸メチル(TOENOL♯2220-90(商品名)、東栄ケミカル)40質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0050】
実施例20
実施例1において、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部を菜種脂肪酸メチル(TOENOL♯3120(商品名)、東栄ケミカル)40質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0051】
実施例21
実施例1において、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部をミリスチン酸メチル(TOENOL♯2014-95(商品名)、東栄ケミカル)40質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0052】
実施例22
実施例1において、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部をパルミチン酸メチル(TOENOL♯5016(商品名)、東栄ケミカル)40質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0053】
実施例23
実施例1において、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部をオレイン酸メチル(富士フィルム和光純薬)40質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0054】
実施例24
フロメトキン原体(純度98.5%)5.2質量部、芳香族系炭化水素溶剤(スワゾール1500(商品名)、丸善石油)79.8質量部、ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテルとアルキルベンゼンスルホン酸金属塩と芳香族系溶剤の混合物(アグロサーフEC-5200(商品名)、竹本油脂)10質量部、ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテルとアルキルベンゼンスルホン酸金属塩と芳香族系溶剤の混合物(アグロサーフEC-5300(商品名)、竹本油脂)5質量部を混合し、フロメトキン乳化性組成物を調製した。
【0055】
実施例25
実施例24において、芳香族系炭化水素溶剤(スワゾール1500(商品名)、丸善石油)79.8質量部から40質量部にして、N,N-ジメチルデカンアミド(Rhodiasolv ADMA10(商品名)、ソルベイ)39.8質量部を添加した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0056】
実施例26
実施例24において、芳香族系炭化水素溶剤(スワゾール1500(商品名)、丸善石油)79.8質量部から40質量部にして、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)39.8質量部を添加した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0057】
実施例27
実施例1において、N,N-ジメチルデカンアミド(Rhodiasolv ADMA10(商品名)、ソルベイ)39.8質量部をN,N-ジメチル9-デセンアミド(Hallcomid 1025(商品名)、Stepan)39.8質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0058】
実施例28
実施例1において、N,N-ジメチルデカンアミド(Rhodiasolv ADMA10(商品名)、ソルベイ)39.8質量部をN,N-ジメチル9-ドデセンアミド(Hallcomid 1225(商品名)、Stepan)39.8質量部に変更した以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0059】
実施例29
実施例1において、ソルポールSM-100PW(商品名 ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物、東邦化学)15質量部から0質量部に変更し、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル(ソルボンT-80(商品名)、東邦化学)10質量部、ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテルとアルキルベンゼンスルホン酸塩と脂肪酸エステル溶剤の混合物(22106TX、竹本油脂)5質量部を加えた以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0060】
実施例30
実施例1において、ソルポールSM-100PW(商品名 ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物、東邦化学)15質量部から0質量部に変更し、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとポリオキシエチレンひまし油とアルキルベンゼンスルホン酸塩の混合物(ソルポール4326H(商品名)、東邦化学)15質量部を加えた以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0061】
実施例31
実施例1において、ソルポールSM-100PW(商品名 ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物、東邦化学)15質量部から0質量部に変更し、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル(ソルボンT-80(商品名)、東邦化学)10質量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとポリオキシエチレンひまし油とアルキルベンゼンスルホン酸塩の混合物(ソルポール4326L(商品名)、東邦化学)5質量部を加えた以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0062】
実施例32
実施例1において、N,N-ジメチルデカンアミド(Rhodiasolv ADMA10(商品名)、ソルベイ)39.8質量部から42.3質量部に、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部から42.5質量部に、ソルポールSM-100PW(商品名 ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物、東邦化学)15質量部から0質量部に変更し、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル(ソルボンT-80(商品名)、東邦化学)7.5質量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとポリオキシエチレンひまし油とアルキルベンゼンスルホン酸塩の混合物(ソルポール4326L(商品名)、東邦化学)2.5質量部を加えた以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0063】
実施例33
実施例1において、N,N-ジメチルデカンアミド(Rhodiasolv ADMA10(商品名)、ソルベイ)39.8質量部から42.3質量部に、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部から42.5質量部に、ソルポールSM-100PW(商品名 ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルのホルムアルデヒド縮合物、ドデシルベンゼンスルホン酸塩の混合物、東邦化学)15質量部から0質量部に変更し、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル(ソルボンT-80(商品名)、東邦化学)7.5質量部、ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテルとアルキルベンゼンスルホン酸塩と脂肪酸エステル溶剤の混合物(22106TX、竹本油脂)2.5質量部を加えた以外は同様にして、フロメトキン乳化性組成物を得た。
【0064】
比較例1
フロメトキン原体(純度98.5%)5.2質量部、N,N-ジメチルデカンアミド(Rhodiasolv ADMA10(商品名)、ソルベイ)39.8質量部、ヤシ脂肪酸メチル(エキセパールMC(商品名)、花王)40質量部、アルキル(分岐C11~C13)ベンゼンスルホン酸金属塩(NINATE 401-A(商品名)、Stepan)15質量部を混合して、比較例1に係る組成物を調製した。
【0065】
比較例2
比較例1において、アルキル(分岐C11~C13)ベンゼンスルホン酸金属塩(NINATE 401-A(商品名)、Stepan)15質量部をポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル(ニューカルゲンD-945E(商品名)、竹本油脂)15質量部に変更した以外は同様にして、比較例2に係る組成物を調製した。
【0066】
比較例3
比較例1において、アルキル(分岐C11~C13)ベンゼンスルホン酸金属塩(NINATE 401-A(商品名)、Stepan)15質量部をポリオキシエチレン-トリスチリルフェニルエーテル(ソルポールT-10(商品名)、東邦化学)15質量部に変更した以外は同様にして、比較例3に係る組成物を調製した。しかしながら、比較例3の組成物は均一な液体にならなかった。
【0067】
試験例1:安定性試験
本発明のフロメトキン乳化性組成物について、化学的安定性について評価した。
実施例及び比較例のフロメトキン乳化性組成物5mLをガラス製スクリュー管に入れて、密栓した。これを54℃恒温槽にて2週間保管した。その後フロメトキン含量を高速液体クロマトグラフィーにて測定し、初期値から分解率を算出した。
試験結果を表1にまとめた。
【0068】
[表1]安定性試験結果
【0069】
農薬製剤の有効期限は通常2年以上とされており、54℃2週間の加速安定性試験は、農薬製剤において、室温2年の化学的安定性を保証する評価方法である。
安定性試験の結果、実施例のフロメトキン乳化性組成物は54℃2週間の保存後でもフロメトキンの分解を低く抑えていた。一方、比較例の組成物は54℃2週間保管後で、分解率が約10~19%と高率での分解性であった。試験例1の結果より、実施例のフロメトキン乳化性組成物は、農薬製剤として十分な保存安定性を有することが示された。
【0070】
試験例2:乳化性試験
本発明のフロメトキン乳化性組成物について、乳化性について評価した。
15mLの水を入れた15mLのガラス製試験管を用意した。に、そこに1000倍希釈相当になるように、実施例及び比較例のフロメトキン乳化性組成物15μLを添加し、10回振とうを行い、初期の乳化状態を確認した(初期評価)。その後、30分間静置し、再びその乳化状態を確認した(30分後の評価)。初期評価並びに30分後評価の基準は以下の通りである。
試験結果を表2にまとめた。
初期値の乳化状態の評価基準
〇:均一な乳化状態を形成する。
△:乳化状態を形成するが、粒子が粗い状態で存在する。
×:乳化状態を形成しない。
30分後の乳化状態の評価基準
〇:均一な乳化状態を維持している。
△:わずかに凝集した乳化粒子が見られるが、ほとんど均一な乳化状態を保っている。
×:分離やクリーミングが発生し、乳化状態を維持できていない。
【0071】
[表2]乳化性試験結果
【0072】
実施例のフロメトキン乳化性組成物は簡単な振とうにより均一な乳化状態を形成し、長時間均一な乳化状態を維持できていた。一方、比較例の組成物は、振とう直後に乳化状態を形成するものの、粗い粒子が見られるうえ、その後の静置でクリーミングや分離の発生が見られ、安定な乳化分散液を調製できなかった。
農薬乳剤は、通常水で希釈し乳化状態を形成した後に散布されるうえ、散布するまでに時間を要する場合もある。そのため、均一な乳化状態を形成できず、クリーミング等が発生すると作物への薬剤散布の状態が均一とならず、効果の低下や薬害の発生へとつながる恐れがある。実施例のフロメトキン乳化性組成物は、簡単な振とう操作で、均一な乳化状態を形成し、長時間均一な乳化状態を保つことができるため、散布液調製から施用において良好な乳化分散性を有する農薬製剤となり得ることが示された。
【0073】
試験例3:生物効果試験
実施例のフロメトキン乳化性組成物について、タバココナジラミ成虫に対する防除効力試験を実施した。
直径7cmのキュウリのリーフディスクを、水で十分に湿らせた脱脂綿の上に葉裏を上にして置き、その脱脂綿をガラスシャーレ上に置いた。リーフディスクの上にタバココナジラミ成虫約30-50頭を放虫し、成虫の定着を確認した後、高さ50cmの地点から薬剤の希釈液(実施例の乳化性組成物を水道水にて1000倍希釈した分散液)385μLをエアブラシ(SPRAY-WORK BASIC AIRBRRUSH 株式会社タミヤ)で散布した。散布後、プラスチックカップ(高さ125mm、径100mm、容量350mL)の上にリーフディスクがカップ内面に向くようガラスシャーレを乗せて、タバココナジラミの成虫の逃亡を防いだ。散布6時間後に、正常個体、死亡した個体、並びに異常症状を示す個体を計数し、ノックダウン率を測定した。
異常症状とは生存しているが、飛翔できずに落下して苦悶する個体、もしくは葉面上で苦悶症状を示す個体として定義し、ノックダウン率とは供試虫の合計虫数に占める死亡虫数と異常虫数の割合を示すものとして定義した。
比較のため、市販されているフロメトキンのフロアブル製剤(製品名:ファインセーブフロアブル 有効成分含量10%)を使用し、水道水にて1000倍希釈、若しくは2000倍希釈した分散液を対照剤として供した。
試験結果を表3にまとめた。
【0074】
[表3]生物評価試験結果
【0075】
実施例のフロメトキン乳化性組成物は、対照剤と比較して、低用量においても即効的に作用し、防除効果も高い値を示した。このことから、本発明のフロメトキン乳化性組成物は、農用有害生物に対して高い防除効果が期待でき、また、低用量でも著効であることから防除に使用する農薬を減らすことが可能であることが示された。
【0076】
本発明のフロメトキン乳化性組成物は、保存安定性に優れ、さらに水希釈時の乳化状態も良好である。その上、既存のフロメトキン-フロアブル製剤と比較して、殺虫効力向上及び/または殺虫効果の即効性が発揮されるため、フロメトキンの新たな農薬製剤として有用である。