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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134391
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】インテリジェントツールホルダー
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
G01L5/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023036055
(22)【出願日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】111109293
(32)【優先日】2022-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】111111074
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】111111088
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】503004699
【氏名又は名称】國立中正大學
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】姚賀騰
(72)【発明者】
【氏名】蔡典螢
(72)【発明者】
【氏名】洪松偉
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA11
2F051AB08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】検知特性を向上させ、カップリング効果を低減させ、且つ、加工過程の全領域の受力状況を検出できるインテリジェントツールホルダーを提供する。
【解決手段】インテリジェントツールホルダーであって、ツールホルダー本体及び検知読取装置を含み、前記ツールホルダー本体の連結部に複数の内嵌穴が設けられ、これらの内嵌穴のそれぞれに、前記加工ツールの荷重下で生成される応力とひずみの検知データを力学的に検知する検知素子が嵌設され、前記検知読取装置はハウジング設計であり、前記連結部に被覆され、これらの前記検知素子の検知データを読み取るための検知読み取りモジュールが設けられている。前記インテリジェントツールホルダーは、特殊角度を回転する能動的な検知方法により、検知特性を向上させ、カップリング効果を低減させ、且つ、加工過程の全領域受力状況を検出できる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールホルダー本体と、検知読取装置とを含むインテリジェントツールホルダーであって、
前記ツールホルダー本体が、加工ツールを連結するために用いられ、且つ、それぞれに検知素子が嵌設された複数の内嵌穴が設けられている連結部を含み、前記検知素子は、前記ツールホルダー本体が対応する前記加工ツールの荷重を受けたときに生成される応力とひずみの検知データを力学的に検知し、
前記検知読取装置がハウジング設計であり、前記連結部に被覆され、前記連結部と外部ハウジングとの間に、各前記検知素子に連結されてこれらの前記検知素子の検知データを読み取るための検知読み取りモジュールが設けられている、
インテリジェントツールホルダー。
【請求項2】
前記ツールホルダー本体は、主軸繋ぎ部、把持部及び前記連結部を順番に含み、第1方向に沿って、前記把持部の一端は前記主軸繋ぎ部に連結され、前記把持部の他端は、前記連結部に連結され、これらの内嵌穴には複数の第1内嵌穴及び複数の第2内嵌穴が含まれ、前記連結部の主軸繋ぎ部に近い領域に複数の第1内嵌穴が設けられ、これらの第1内嵌穴は、前記連結部に周設される内嵌穴を少なくとの1層の内嵌穴を形成し、且つ、同じ層にあるこれらの第1内嵌穴は互いに対称的に設置され、前記連結部の前記主軸繋ぎ部から遠い領域には複数の第2内嵌穴が設けられ、これらの第2内嵌穴は、前記連結部に周設される内嵌穴を少なくとの1層の内嵌穴を形成し、且つ、同じ層にあるこれらの第2内嵌穴は互いに対称的に設置され、これらの第1内嵌穴に設置されるこれらの検知素子は、複数の第1センサであり、これらの第2内嵌穴に設置されるこれらの検知素子は複数の第2センサであり、同じ層に設置されるこれらの第1センサは互いに対称的に設置され、同じ層に設置されるこれらの第2センサは互いに対称的に設置される、
請求項1に記載のインテリジェントツールホルダー。
【請求項3】
これらの第1センサは、前記加工ツールの加工時の曲げモーメント荷重及び/又は軸方向力荷重を検知するために用いられ、これらの第2センサは、前記加工ツールの加工時のトルク荷重を検知するために用いられる、
請求項2に記載のインテリジェントツールホルダー。
【請求項4】
これらの第1内嵌穴及びこれらの第2内嵌穴の位置は、前記第1方向に沿って、互いにずれて同一の直線上にはない、
請求項2に記載のインテリジェントツールホルダー。
【請求項5】
これらの第1センサ内にそれぞれ第1圧電素子が設けられ、且つ前記第1圧電素子の圧力受け方向は前記第1方向である、
請求項4に記載のインテリジェントツールホルダー。
【請求項6】
これらの第2センサ内にそれぞれ第2圧電素子が設けられ、前記第2圧電素子の圧力受け方向は、前記第1方向と45度になるように偏る、
請求項5に記載のインテリジェントツールホルダー。
【請求項7】
これらの検知素子は圧電センサである、
請求項1又は2に記載のインテリジェントツールホルダー。
【請求項8】
これらの検知素子は、前記加工ツールに対する曲げモーメント荷重及びトルク荷重に対して層別検知を行うために用いられ、各々の曲げモーメント及びトルクの検知のために、それぞれ2つの対称的な内嵌位置にこれらの検知素子を設置する、
請求項1に記載のインテリジェントツールホルダー。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記連結部の外周に被覆され、前記ハウジングと前記連結部との間に検知システムが周設され、前記ハウジングの一側には重り環が設けられ、前記重り環には、重り部材を組み立てるための複数の組立穴が設けられ、重り環から遠い位置には、少なくとも1つの無線伝送ポートが設けられる底蓋が設けられている、
請求項1に記載のインテリジェントツールホルダー。
【請求項10】
前記検知システムには、前記検知読み取りモジュール、マイクロコントローラ、無線伝送モジュール、降圧モジュール、電源モジュールが少なくとも含まれ、前記マイクロコントローラは、前記検知読み取りモジュールが読み取った検知データに対して信号処理を行うために用いられ、前記無線伝送モジュールは、前記マイクロコントローラに連結され、前記マイクロコントローラが処理した後の信号を暗号化して外部の監視装置に送信するために用いられる、
請求項9に記載のインテリジェントツールホルダー。
【請求項11】
前記重り環の外周には、複数の前記組立穴が等間隔で環状に設けられている、
請求項9に記載のインテリジェントツールホルダー。
【請求項12】
前記重り部材は、ネジであることが可能で、前記組立穴はネジ穴であることが可能である、
請求項9に記載のインテリジェントツールホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インテリジェントツールホルダーに関し、特に、幾つのセンサがツールホルダー本体の内部に装設されているインテリジェントツールホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
生産製造過程において、ツールは、極めて重要な役割を果たしており、ツールの数が膨大で、その応用が複雑であるため、ツールの使用及び管理は、生産コストの低減及び製造時間の短縮のための重要な要因となっている。現代工場の発展は、自動化とインテリジェント化の生産方法で生産する傾向があり、そのため、加工状態のリアルタイム監視及びツールのリアルタイム情報の取得が可能になり、機器・デバイスの稼働率及び製品の競争力を向上させることができる。
【0003】
今の技術としては、検知メカニズムを工作機械の主軸又はテーブルに設計する方法である可能性があり、テーブルと動作対象との間にセンサを設置して切削力を検出するか、把持具にセンサを設置して回転切削力を検出するか、又は、ツールホルダーにセンサを直接設置してより正確な切削力を得、このリアルタイムな動的強度検知信号でツール加工状態を監視し、使用されるセンサはひずみゲージ型センサであり、特定のパラメータを監視することにより切削制御をフィードバックする方法が可能である。
【0004】
現在の技術には、次のような欠点がある。センサの装設形式は、ツールホルダーの表面に貼り付けることであるが、脱落する恐れがあり、検知メカニズムは、検知するために複数のひずみゲージを貼り付ける必要があり、組み立てと統合が複雑で、異なる方向及び位置に合わせて貼り付ける必要があり、デカップリングの設計が複雑で、大量のアルゴリズムで分析する必要があり、正確度が低く、各軸方向での検知は互いに干渉し易く、その全体的なコストが高く、約10~12個のひずみゲージ型センサを貼り付ける必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、検知メカニズムの幾つの測定素子がツールホルダー本体の連結部の内部に装設されたものであり、特殊角度を回転する能動的な検知方法により、検知特性を向上させ、カップリング効果を低減させ、且つ、加工過程の全領域の受力状況を検出できるインテリジェントツールホルダーを提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、検知メカニズムの幾つの測定素子がツールホルダー本体の連結部の内部に装設されたものであり、検知データを簡単に組み立てて統合することにより、正確度が高く、全体的なコストが低いインテリジェントツールホルダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、ツールホルダー本体を含むインテリジェントツールホルダーを提供し、前記ツールホルダー本体は、加工ツールを連結するために用いられ、且つ、それぞれに検知素子が嵌設された複数の内嵌穴が設けられている連結部を含み、前記検知素子は、前記ツールホルダー本体が対応する前記加工ツールの荷重を受けたときに生成される応力とひずみの検知データを力学的に検知する。
【0008】
本発明のインテリジェントツールホルダーは、多軸デカップリング及び高感度の検知メカニズムを有し、曲げモーメント荷重及びトルク荷重を用いて層別検知を行う方法に、圧電素子の圧電式能動的な力検知を合わせて、検知の特性を向上させ、カップリング効果を低減させる。圧電素子の対称的な設置によりも、その加工過程における全領域の受力状況を検出することができる。
【0009】
従来技術に比べ、本発明のインテリジェントツールホルダーは、次のような特徴を有する。センサの装設形式は、検知素子をツールホルダー内に嵌め込むことであるため、装設方法がより安定的で信頼でき、検知メカニズムは、個別の独立した圧電素子を使用するだけで検知することができるため、組み立てして統合するのが簡単で、様々な様式のツールホルダーに適用でき、デカップリング設計も容易になり、受力方向を指向するように設計すればよく、検知素子をツールホルダー内に嵌め込むことにより、正確度が高くなり、各軸方向での検知は互いに干渉せず、圧電素子のコストが低く且つ必要な数も少ないため、従来コストに比べ、その全体的なコストも低い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のインテリジェントツールホルダーの第1実施例における検知読取装置の模式的な分解図である。
図2】本発明のインテリジェントツールホルダーの別の方向からの検知読取装置の模式的な分解図である。
図3】本発明のインテリジェントツールホルダーの検知読取装置の外観の立体図である。
図4】本発明のインテリジェントツールホルダーの底面図である。
図5】本発明のインテリジェントツールホルダーの検知読取装置の模式的な分解図である。
図6】本発明のインテリジェントツールホルダーの回路ブロック図である。
図7】本発明のインテリジェントツールホルダーの応用例の模式図である。
図8】本発明のインテリジェントツールホルダーの第2実施例におけるセンサの内嵌位置と置き角度の模式図である。
図9】本発明のインテリジェントツールホルダーの第2実施例におけるセンサの内嵌位置と置き角度の模式図である。
図10】本発明のインテリジェントツールホルダーの第2実施例におけるトルクのみの作用下での最大主応力の大きさと方向の模式図である。
図11A】本発明のインテリジェントツールホルダーの第2実施例における曲げモーメント荷重(Fy)の模式図である。
図11B図11Aの断面(A-A)の模式図である。
図12A】本発明のインテリジェントツールホルダーの第2実施例における曲げモーメント荷重(-Fx)の模式図である。
図12B図12Aの断面(A1-A1)の模式図である。
図13】本発明のインテリジェントツールホルダーの第2実施例における軸方向力荷重(Fz)の模式図である。
図14A】本発明のインテリジェントツールホルダーの第2実施例におけるトルク(Tz)の模式図である。
図14B図14Aの断面(B-B)の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第一実施例におけるインテリジェントツールホルダーの分解及び組合せの模式図である図1~5を参照してください。本実施例のインテリジェントツールホルダー100は、ツールホルダー本体200、複数の検知素子300、加工ツール400及び検知読取装置500を含む。
【0012】
ツールホルダー本体200は、主軸繋ぎ部210、把持部220及び連結部230を含み、ここで、加工ツール400は、連結部230の末端に連結される。主軸繋ぎ部210は、加工機の主軸を連結するために用いられ、加工機は、例えばフライス盤、ボール盤、旋盤、鋸盤である。把持部220は主軸繋ぎ部210を連結し、把持部220は、ツールマガジンが把持するように供給されるか、又はツールを交換するために使用され、把持部220は連結部230を連結し、連結部230は加工ツール400に連結され、加工ツール400は、フライス、ドリル、バイト、鋸刃等であってよい。
【0013】
実施応用において、連結部230には、内嵌穴231が複数設けられており、これらの内嵌穴231内に、ツールホルダー本体200が対応する加工ツール400の荷重を受けたときに生成される応力とひずみの検知データを力学的に検知する検知素子300がそれぞれ嵌設され、実施応用において、これらの検知素子300は圧電センサである。これらの検知素子300は、加工ツール400の曲げモーメント荷重及びトルク荷重に対して層別検知を行うために用いられ、且つ、各々の曲げモーメント及びトルクの検知のために、それぞれ2つの対称的な内嵌位置にこれらの検知素子300を設置する。
【0014】
実施応用において、本発明は、力学的分析を利用して、ツールホルダー本体200が対応する加工ツール400の刃先の荷重を受けたときに、最大の応力やひずみを生成できる位置を見出す。その結果から分かるように、主軸繋ぎ部210の付近で最大の曲げモーメント荷重の応力を有することが可能で、本発明は、これらの検知素子300の力信号を出力してデカップリングすることをできるようにするために、曲げモーメント荷重及びトルク荷重の検知を層別にするように設計し、且つ、対称的な設計を採用し、各々の曲げモーメント(Mx、My)及びトルク(Tz)のために2つの対称的な内嵌位置にこれらの検知素子300を設置して、加工ツール400の刃先の受力に対する検知精度を向上させる。且つ、力学的分析によりも、刃先に曲げモーメントMx又はMy作用力を印加すると、曲げモーメントに対する検知素子300がそれに相応する電圧信号を出力することができるが、トルクに対する検知素子300も影響されて一部の電圧信号を出力することを分かることができる。そのため、実施するとき、さらに、より良いデカップリング効果を得るために、上下2組のこれらの検知素子300の内嵌穴の位置を、例えば45度ずらせることにより、力のカップリング効果を改善することができる。
【0015】
検知読取装置500は、ハウジング500hであり、検知読取装置500は、連結部230に被覆され(図1~4に示すように)、連結部230と検知読取装置500の外部ハウジング500hとの間の空間に、各検知素子300に連結されて前述のこれらの検知素子300の検知データ(電圧信号)を読み取るための検知読み取りモジュール510が設けられている。
【0016】
本発明のインテリジェントツールホルダーの回路のブロック図である図6を参照してください。実施応用において、これらの検知素子300の検知データ(電圧信号)について、検知読み取りモジュール510により信号を電荷増幅器とフィルタ素子からなる読み取り回路に通させ、且つアナログデジタル変換器(図示せず)を利用した後、マイクロコントローラ(micro control unit、MCU)520により変換されたデジタル信号を処理し、その後、無線伝送モジュール530により、マイクロコントローラ520により処理された信号を暗号化して外部の監視装置600に送信して、加工とリアルタイムな動態監視を行い(図7に示すように)、無線伝送モジュール530を介して検知データを監視装置600の分析モジュールに伝送することができ、その後、分析モジュールを介して検知データとデータベース内のツールホルダーの特性データとを照合して、インテリジェントツールホルダー100の加工ツール400の磨耗、破損、寿命等の状態を算出することができる。
【0017】
実施応用において、検知読取装置500は、さらに、検知読取装置500内の電子モジュール(前述のような検知読み取りモジュール510、マイクロコントローラ520、無線伝送モジュール530)に電力を提供するための電源モジュール540を含む。電源モジュール540は、使い捨て電池、充電式電池又は無線充電式電池である電池を含む。充電式電池を例とすると、インテリジェントツールホルダー100が動作しないとき、電源モジュール540の取り替えを必要とせず、インテリジェントツールホルダー100を充電することができる。又は、無線充電式電池を例とすると、インテリジェントツールホルダー100の動作中に、電源モジュール540の取り替えを必要とせず、一部の時間を利用してインテリジェントツールホルダー100を充電することができる。
【0018】
実施応用において、検知読取装置500のハウジング500hは、加工ツール400から連結部230に装設でき、螺着、挿着又は他の固定方法で固定することができ、空間レイアウト上、インテリジェントツールホルダー100の前記電子素子(検知素子300以外のもの)を連結部230と外部ハウジング500hとの間の空間に内蔵し、ここで、電子素子は検知読み取りモジュール510、マイクロコントローラ520、無線伝送モジュール530、電源モジュール540を含む。レイアウト・応用において、重量を基準として、同一平面に均一に分布され、検知読取装置500のハウジング500hの内壁に貼り付けて固定され、ハウジング500hの把持部220に隣接する位置に重り環700が設けられ、図1及び2を参照できる。重り環700の外周には、複数の組立穴710が設けられ、本実施例において、重り環700には、36個の組立穴710が等間隔で環状に設けられ、即ち、10度ごとに1つの組立穴710が設けられ、組立穴710に重り部材720を組み立てることができ、重り部材720はネジであってもよく、組立穴710はネジ穴であってもよく、ハウジング500hの外周面に近い端面に無線伝送ポート550が設けられ、即ち、重り環700から遠い位置に底蓋500bが設けられ、底蓋500bに無線伝送ポート550が設けられている。検知読み取りモジュール510、マイクロコントローラ520、無線伝送モジュール530、降圧モジュール34、電源モジュール540は、接着剤によりハウジング500hの内周壁に接着され、レイアウト上、重量を基準として、ハウジング500hの内周壁に均一に分布され、大まかな重量バランスを形成して、動態バランス設計を完了した。各部材の大きさと重量がそれぞれ異なると、ツールホルダー本体200の重心ずれ問題が避けられない。この場合、ハウジング500hの把持部220に近い一端に設けられた重り環700を介して、ネジを異なる位置の組立穴710に螺着すること及び組立穴710にネジ止めした深さなどのように重り環700の重り部材720を調節して、ツールホルダー本体200の重心が復帰するように調整でき、重量バランスを形成し、こうすると、加工ツール200が動作対象に対して切削加工を行うときに不安定であることにより、動作対象が不良品になる問題を回避できる。インテリジェントツールホルダー100内の検知システムのモジュール化及び検知読取装置500の取り外し可能により、インテリジェントツールホルダー100全体の使用利便性を向上させ、後続の素子交換、故障検出メカニズムを実現でき、後続のメンテナンスコストを低減できる。
【0019】
実際加工時に、本発明のインテリジェントツールホルダーは、多軸デカップリング及び高感度の検知メカニズムを有し、曲げモーメント荷重及びトルク荷重を用いて層別検知を行う方法に、圧電素子の圧電式能動的な力検知を合わせて、検知の特性を向上させ、カップリング効果を低減させる。圧電素子の対称的な設置によりも、その加工過程における全領域の受力状況を検出することができる。これらの検知素子300の検知データには、例えば、加工時のツールホルダー本体200の振動信号、加工時のツールホルダー本体200の応力信号、加工時のツールホルダー本体200のトルク信号等が含まれる。監視装置600は、無線伝送モジュール530によって伝送される検知データを受信し、監視装置600内の分析モジュールは、データベース中のツールホルダーの特性データに応じて現在のツールホルダー本体200の加工時の様々な検知情報が正常であるか否かを照合し、様々な検知データを統合したデータに基づいてツールホルダー本体200の加工ツール400の現在の磨耗、破損、寿命等の状態を分析する。
【0020】
また、図8~14A、14Bに示すように、本発明の第2好適な実施例におけるインテリジェントツールホルダーであり、その主な構造は、前の実施例と同じであり、同じ箇所の詳細な説明を省略し、カップリングは、直交座標系XYZと合わせて方位を定義する。
【0021】
ここで、これらの検知素子300は、幾つの第1センサ310及び幾つの第2センサ320を含み、また、これらの内嵌穴231は、第1内嵌穴2311及び第2内嵌穴2312に分けられ、複数の第1内嵌穴2311は、連結部230の主軸繋ぎ部210に近い領域に設けられ、連結部230にその円周に沿って形成され、同じ層にあるこれらの第1内嵌穴2311は互いに対称的に設置され、これらの第1センサ310がこれらの第1内嵌穴2311に嵌設されている場合、同じ層に設置されたこれらの第1センサ310も互いに対称的に設置される。そして、複数の第2内嵌穴2312は、連結部230の主軸繋ぎ部210から遠い領域に設けられ、これらの第2内嵌穴2312は、連結部230にその円周に沿って形成され、同じ層にあるこれらの第2内嵌穴2312は互いに対称的に設置され、これらの第2センサ320がこれらの第2内嵌穴2312に嵌設されている場合、同じ層に設置されたこれらの第2センサ320も互いに対称的に設置される。
【0022】
また、図9に示すように、これらの第1内嵌穴2311及びこれらの第2内嵌穴2312の位置は、第1方向D1に沿って互いにずれて同一の直線上にはない。応用上、力学的分析を利用して、ツールホルダー本体200が対応する加工ツール400の荷重を受けたときに生成される応力とひずみがこれらの第1センサ310及びこれらの第2センサ320によって検知された検知信号を測定する。本実施例において、第1方向D1はインテリジェントツールホルダー100の軸方向であってもよい。
【0023】
4個のこれらの第1内嵌穴2311に、互いに対称的に設置された4個の第1センサ310が嵌設され、且つ、4個のこれらの第2内嵌穴2312に、互いに対称的に設置された4個の第2センサ320が嵌設され、図9に例示的に示した。
【0024】
実施応用において、これらの第1センサ310及びこれらの第2センサ320は圧電センサであり、これらの第1センサ310及びこれらの第2センサ320は、前記第1方向D1に垂直に嵌設固定され、前記第1方向D1に垂直する視角(図8、9に示すように)からこれらのセンサ310、320を見る。これらの第1センサ310内にそれぞれ第1圧電素子311が設けられ、これらの第1圧電素子311の圧力受け方向が前記第1方向D1であり、これらの第2センサ320内にそれぞれ第2圧電素子321が設けられ、第2圧電素子321の圧力受け方向は、前記第1方向D1と45度をなす方向に偏る。
【0025】
本発明は、力学的分析を利用して、ツールホルダー本体200が対応する加工ツール400の刃先の荷重を受けたときに、最大の応力やひずみを生成できる位置を見出す。その分析結果から分かるように、主軸繋ぎ部210の付近で最大の曲げモーメント荷重の応力を有することが可能で、本発明は、これらの第1センサ310及びこれらの第2センサ320の力信号を出力してデカップリングすることをできるようにするために、曲げモーメント(Mx、My)荷重及びトルク(Tz)荷重の検知を層別にするように設計し、これらの第1センサ310は、加工ツール400の加工時の曲げモーメント荷重(図11AのFy、図12Aの-Fxなど)を検知するために用いられ、これらの第1センサ310は、加工ツール400の加工時の軸方向力荷重(図13のFzなど)を検知するために用いられ、これらの第2センサ320は、加工ツール400の加工時のトルク荷重(図14AのTzなど)を検知するために用いられる。そして、対称的な設計を用いて、各々の曲げモーメント(Mx、My)のために2つの対称的な内嵌位置にこれらの第1センサ310を設置し(図11B図12Bに示すように)、トルク(Tz)に2つの対称的な内嵌位置にこれらの第2センサ320を設置して(図14Bに示すように)、加工ツール400の刃先の受力に対する検知精度を向上させる。且つ、力学的分析により、刃先に曲げモーメント作用力Fy又は-Fxを印加すると、曲げモーメントMx、Myに対するこれらの第1センサ310がそれに相応する電圧信号を出力することができるが、トルクに対する検知素子300も影響されて一部の電圧信号を出力することも分かることができる。そのため、実施するとき、さらに、より良いデカップリング効果を得るために、上下2組のこれらのセンサ(第1センサ310及び第2センサ320)の内嵌穴(第1内嵌穴2311及び第2内嵌穴2312)の位置を、例えば45度ずらせることにより、力のカップリング効果を改善することができる。
【0026】
デカップリングとは、元の多変量検知システムにおいて、システムにおける各変量間の相互結合を除去するための適切なメカニズムを構築して、各入力が対応する出力にのみ影響を与える必要があり、各出力はそれぞれ前記入力のみに制御されるようにし、それにより、元の多変量システムを複数の単入力単出力のシステムに変換させることを言う。しかし、本発明の圧電センサ(第1センサ310及び第2センサ320)は、これらの第1圧電素子311及び第2圧電素子321(PZT圧電シートなど)の分極方向を、検知したい荷重の作用下である圧電受力方向に置くだけで、ひずみゲージ検知システムに必要な大量のデカップリング計算を使用せずに、対応する荷重の電圧信号の出力を直接生成できる。そのため、内嵌位置及び偏向又は置き角度を設計するだけで、十分に優れているデカップリング効果を得ることができる。
【0027】
本発明の技術的特徴のうちの1つは、第1センサ310及び第2センサ320の層別設置であり、センサは、2組に分けられ、図9に示すように、ツールホルダー本体200が力を受けた後に生成される曲げモーメント、軸方向力及びトルクの検知をそれぞれ担当する。圧電素子の検知・デカップリング方法に鑑み、圧電センサ(第1センサ310及び第2センサ320)の位置及び角度を設計して、例えばPZT圧電セラミックスにおいての分極方向即ち圧電シート表面の法線方向などの前記荷重検知装置の第1圧電素子311及び第2圧電素子321の圧電シート分極方向を、前記荷重の最大応力B`位置、他の荷重の最小応力位置に置くようにするだけで、力信号のデカップリング效果を達成できる。
【0028】
言い換えれば、曲げモーメントMx、Myを検知するPZT圧電シートの分極方向を、ツールホルダー本体200が曲げモーメントMx、Myを受ける時の内部最大主応力(Principal Stress)方向に置き、Tzを検知するPZT圧電シートの分極方向を、ツールホルダーがトルクTzを受ける時の内部最大主応力方向に置くことである。力学的分析によれば、トルクTzの荷重作用下で、最大主応力の方向は破線Lに対して45度(θpl)方向に位置し、図10に示すように、トルクのみの作用下での最大主応力の大きさと方向の模式図であり、図中の符号τは、トルクによるせん断応力である。そのため、図9に示すように、本発明の第1センサ310及び第2センサ320の配置は、その最適なデカップリング配置を達成するために、それの層別及び位置ずれの内嵌位置を設計する以外に、トルク検知モジュール(第2センサ320)を45度偏って置くように設計する必要がある。
【0029】
実施応用において、曲げモーメントMx、My及びトルクTzの3種類の荷重のみに対してセンサの配置を設計し、且つ、全領域受力状況を検出するためにセンサを互いに対称的に設置したため、この3種類の荷重及び軸方向力Fz荷重の最終的な力信号出力結果について、応用上、デカップリング演算メカニズムのセットをさらに設計しなければならず、これらの複数の信号を曲げモーメントMx、曲げモーメントMy、トルクTz、軸方向力荷重Fzの4種類の荷重に対応する電圧信号出力変換する。
【0030】
本発明は、力学的理論の推定及び数値解析シミュレーション検証の結果から、センサの層別設置及び角度配置の設計で、最適デカップリング出力演算を見出すことができる。曲げモーメントMx、Myについて、各検知モジュールは対応する2つのセンサによって出力される結果の差を求め、トルクTzについて、検知モジュールは対応する2つのセンサの出力の和を求め、軸方向力荷重Fzの検知方法は、合計4個のセンサによって出力される曲げモーメントMx及びMyの和を求める。これにより、デカップリングメカニズムにより、4種類の荷重に対応する検知結果の値を最大化することができ、残りの荷重方向では、値が最も小さい検知結果を得、現在のセンサの配置設計での最適な4種類の荷重信号デカップリング出力効果を得る。
【0031】
上記に開示された実施形態は、本発明の原理、特徴、及び効果を例示的に説明するためのものにすぎず、本発明の実施可能な範囲を制限するためのものではなく、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に対して修正及び変更を行うことができる。本発明に開示された内容を用いて完成された等価な変更及び修飾は、いずれも、以下の特許請求の範囲に包含されるべきである。
【符号の説明】
【0032】
100:インテリジェントツールホルダー
200:ツールホルダー本体
210:主軸繋ぎ部
220:把持部
230:連結部
231:内嵌穴
2311:第1内嵌穴
2312:第2内嵌穴
300:検知素子
310:第1センサ
311:第1圧電素子
320:第2センサ
321:第2圧電素子
400:加工ツール
500:検知読取装置
500b:底蓋
500h:ハウジング
510:検知読み取りモジュール
520:マイクロコントローラ
530:無線伝送モジュール
540:電源モジュール
550:無線伝送ポート
600:監視装置
700:重り環
710:組立穴
720:重り部材
A-A:断面
A1-A1:断面
B-B:断面
D1:第1方向
Fz:軸方向力
Mx、My:曲げモーメント
Tz:トルク
XYZ:直交座標系。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
【外国語明細書】