(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134396
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネセント化合物、複数のホスト材料及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス
(51)【国際特許分類】
H10K 85/60 20230101AFI20230920BHJP
H10K 50/12 20230101ALI20230920BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20230920BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H10K85/60
H10K50/12
C09K11/06 660
C09K11/06 640
C09K11/06 650
C09K11/06 630
C07D405/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023037688
(22)【出願日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】10-2022-0031339
(32)【優先日】2022-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0022031
(32)【優先日】2023-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン ソ-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ ス-ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チョ サン-ヒ
(72)【発明者】
【氏名】チュン ジ-ソン
(72)【発明者】
【氏名】ホン ジン-リ
(72)【発明者】
【氏名】イ ミ-ジャ
【テーマコード(参考)】
3K107
4C063
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107BB08
3K107CC04
3K107CC12
3K107CC21
3K107DD53
3K107DD59
3K107DD68
4C063AA03
4C063BB01
4C063CC76
4C063DD43
4C063EE10
(57)【要約】
【課題】 有機エレクトロルミネセント化合物、複数のホスト材料及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供する。
【解決手段】 本開示は、有機エレクトロルミネセント化合物、複数のホスト材料及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。本開示による有機エレクトロルミネセント化合物及び/又は複数のホスト材料を含めることにより、低い駆動電圧、及び/又は高い発光効率、及び/又は長い寿命特性を有する有機エレクトロルミネセントデバイスが提供され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式1:
【化1】
(式中、
Xは、O又はSを表し、
R
16及びR
17は、互いに連結されて、以下の式1Aの環を形成するか;又はR
18及びR
19は、互いに連結されて、以下の式1A
【化2】
の環を形成し、式中、
環を形成していないR
11~R
15、R
20~R
24及びR
16~R
19は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(3~7員)ヘテロシクロアルキル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは非置換縮合環、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル又は置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリルを表すが、ただし、R
21~R
24の少なくとも1つは、*-(L
3)
e-(Ar
3)
fであることを条件とし;
L
3は、単結合、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
Ar
3は、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
eは、1~4の整数を表し、及びfは、1又は2の整数を表し;
e及びfが2以上の整数である場合、L
3のそれぞれ及びR
3のそれぞれは、同じであるか又は異なり得る)
によって表される有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項2】
前記式1は、以下の式1-1又は1-2:
【化3】
(式中、X及びR
11~R
24は、請求項1で定義された通りである)
によって表される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項3】
L3は、単結合、置換若しくは非置換フェニレン、置換若しくは非置換ビフェニレン、置換若しくは非置換テルフェニレン、置換若しくは非置換ナフタレニレン、置換若しくは非置換フェナントレニレン、置換若しくは非置換トリフェニレニレン、置換若しくは非置換フルオレニレン、置換若しくは非置換ピリジレン、置換若しくは非置換トリアジニレン、置換若しくは非置換カルバゾリレン、置換若しくは非置換キノキサリニレン、置換若しくは非置換キナゾリニレン、置換若しくは非置換ジベンゾフラニレン又は置換若しくは非置換ベンゾキノキサリニレンを表す、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項4】
Ar3中の前記置換又は非置換(3~30員)ヘテロアリールは、置換若しくは非置換ピリジル、置換若しくは非置換ピリミジニル、置換若しくは非置換トリアジニル、置換若しくは非置換ピラジニル、置換若しくは非置換キノリニル、置換若しくは非置換キナゾリニル、置換若しくは非置換キノキサリニル、置換若しくは非置換ベンゾキノリニル、置換若しくは非置換ベンゾキナゾリニル、置換若しくは非置換ベンゾキノキサリニル、置換若しくは非置換ジベンゾキノリニル、置換若しくは非置換ジベンゾキナゾリニル、置換若しくは非置換ジベンゾキノキサリニル、置換若しくは非置換インデノピリジル、置換若しくは非置換インデノピリミジニル、置換若しくは非置換インデノピラジニル、置換若しくは非置換ベンゾフロピリジル、置換若しくは非置換ベンゾフロピリミジニル、置換若しくは非置換ベンゾフロピラジニル、置換若しくは非置換ベンゾチオピリジル、置換若しくは非置換ベンゾチオピリミジニル、置換若しくは非置換ベンゾチオピラジニル、置換若しくは非置換カルバゾリル、置換若しくは非置換ベンゾカルバゾリル、置換若しくは非置換ジベンゾフラニル又は置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニルを表す、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項5】
Ar
3は、以下の式1-3:
【化4】
(式中、R’
1及びR’
2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換フェニル、置換若しくは非置換ナフチル、置換若しくは非置換ビフェニル、置換若しくは非置換フェニルナフチル、置換若しくは非置換ナフチルフェニル、置換若しくは非置換ターフェニル、置換若しくは非置換フェナントレニル、置換若しくは非置換フルオレニル、置換若しくは非置換ベンゾフルオレニル、置換若しくは非置換トリフェニレニル、置換若しくは非置換アントラセニル、置換若しくは非置換スピロビフルオレニル、置換若しくは非置換ピリジル、置換若しくは非置換トリアジニル、置換若しくは非置換ピリミジニル、置換若しくは非置換キノリル、置換若しくは非置換キナゾリニル、置換若しくは非置換キノキサリニル、置換若しくは非置換ベンゾキナゾリニル、置換若しくは非置換ベンゾキノキサリニル、置換若しくは非置換ベンゾフロピリジル、置換若しくは非置換ベンゾフロピリミジニル、置換若しくは非置換カルバゾリル、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ジベンゾフラニル、置換若しくは非置換ベンゾフラニル、置換若しくは非置換ナフチリジニル、置換若しくは非置換ベンゾナフトフラニル又は置換若しくは非置換ベンゾナフトチオフェニルを表す)
によって表される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項6】
以下の化合物:
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
から選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセント材料。
【請求項8】
少なくとも1つの第1のホスト材料と、少なくとも1つの第2のホスト材料とを含む複数のホスト材料であって、前記第1のホスト材料は、請求項7に記載の有機エレクトロルミネセント材料を含み、及び前記第2のホスト材料は、前記第1のホスト材料と異なる、複数のホスト材料。
【請求項9】
前記第2のホスト材料は、以下の式2:
【化11】
(式中、
X
1及びY
1は、それぞれ独立して、-N=、-NR
5-、-O-又は-S-を表すが、ただし、X
1及びY
1のいずれか一方は、-N=であり、且つX
1及びY
1の他方は、-NR
5-、-O-又は-S-であることを条件とし;
R
1は、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
R
2~R
5は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは非置換縮合環又は-L
1-N(Ar
1)(Ar
2)を表すか;或いは隣接する置換基に連結されて環を形成し得るが、ただし、R
2~R
4の少なくとも1つは、-L
1-N(Ar
1)(Ar
2)であることを条件とし;
L
1は、単結合、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C2~C30)アルケニル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは非置換縮合環、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
aは、1を表し、b及びcは、それぞれ独立して、1又は2の整数を表し、且つdは、1~4の整数を表し;
b~dが2以上の整数である場合、R
2のそれぞれ、R
3のそれぞれ及びR
4のそれぞれは、同じであるか又は異なり得る)
によって表される化合物を含む、請求項8に記載の複数のホスト材料。
【請求項10】
前記式2は、以下の式2-1~2-4:
【化12】
(式中、R
1~R
4、Ar
1、Ar
2、L
1及びa~dは、請求項9で定義された通りである)
のいずれか1つによって表される、請求項9に記載の複数のホスト材料。
【請求項11】
R1、Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換フェニル、置換若しくは非置換ナフチル、置換若しくは非置換ビフェニル、置換若しくは非置換フェニルナフチル、置換若しくは非置換ナフチルフェニル、置換若しくは非置換ターフェニル、置換若しくは非置換フェナントレニル、置換若しくは非置換フルオレニル、置換若しくは非置換ベンゾフルオレニル、置換若しくは非置換トリフェニレニル、置換若しくは非置換アントラセニル、置換若しくは非置換スピロビフルオレニル、置換若しくは非置換ピリジル、置換若しくは非置換トリアジニル、置換若しくは非置換ピリミジニル、置換若しくは非置換キノリル、置換若しくは非置換キナゾリニル、置換若しくは非置換キノキサリニル、置換若しくは非置換ベンゾキナゾリニル、置換若しくは非置換ベンゾキノキサリニル、置換若しくは非置換ベンゾフロピリジル、置換若しくは非置換ベンゾフロピリミジニル、置換若しくは非置換カルバゾリル、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ジベンゾフラニル、置換若しくは非置換ベンゾフラニル、置換若しくは非置換ナフチリジニル、置換若しくは非置換ベンゾナフトフラニル又は置換若しくは非置換ベンゾナフトチオフェニルを表す、請求項9に記載の複数のホスト材料。
【請求項12】
前記式2によって表される前記化合物は、以下の化合物:
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
から選択される、請求項9に記載の複数のホスト材料。
【請求項13】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項14】
第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間の少なくとも1つの発光層とを含む有機エレクトロルミネセントデバイスであって、前記少なくとも1つの発光層は、請求項9に記載の複数のホスト材料を含む、有機エレクトロルミネセントデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機エレクトロルミネセント化合物、複数のホスト材料及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロルミネセントデバイス(ELデバイス)は、より広い視野角、より大きいコントラスト比及びより速い応答時間を提供する点で利点を有する自発光ディスプレイデバイスである。1987年に、Eastman Kodakにより、発光層を形成するための材料として小さい芳香族ジアミン分子とアルミニウム錯体とを使用することにより、最初の有機ELデバイスが開発された[非特許文献1]。
【0003】
有機エレクトロルミネセントデバイス(OLED)の発光材料は、デバイスの発光効率を決定する最も重要な要素であり、機能面でホスト材料とドーパント材料とに分類され得る。発光材料は、色純度、発光効率及び安定性を改善するためにホストとドーパントとを混合することにより使用することができる。一般的に、優れたエレクトロルミネセント(EL)特性を有するデバイスは、ホストにドーパントをドープして形成される発光層を含む構造を有する。そのようなドーパント/ホスト材料システムを発光材料として使用する場合、ホスト材料が発光デバイスの効率及び寿命に大きく影響を与えるため、それらの選択は、重要である。
【0004】
近年、高い効率及び長い寿命特性を有するOLEDの開発が緊急の課題である。特に、中型及び大型のOLEDパネルに必要なEL特性を考慮すると、従来の発光材料を上回る非常に優れた発光材料の開発が緊急に必要とされている。
【0005】
(特許文献1)は、アントラベンゾフラン化合物又はアントラベンゾチオフェン化合物を有機エレクトロルミネセント材料として含む有機エレクトロルミネセントデバイスを開示している。しかしながら、先行技術は、本開示のホスト材料の特定の組合せが具体的に開示しておらず、以前に開示された化合物の特定の組合せと比較して、駆動電圧、発光効率及び/又は寿命特性の向上などのより向上した性能を有する発光材料の開発が依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許出願公開第10-2017-0043439号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Appln.Phys.Lett.51,913,1987
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の目的は、第1に、低い駆動電圧、及び/又は高い発光効率、及び/又は長い寿命特性を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを製造することができる有機エレクトロルミネセント化合物を提供することと、第2に、本有機エレクトロルミネセント化合物を含む複数のホスト材料及びそれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することとである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的問題を解決するための集中的な研究の結果として、本発明者らは、前述の目的が、以下の式1によって表される有機エレクトロルミネセント化合物によって達成され得ることを見出し、本発明を完成した。
【化1】
式1において、
Xは、O又はSを表し、
R
16及びR
17は、互いに連結されて、以下の式1Aの環を形成するか;又はR
18及びR
19は、互いに連結されて、以下の式1A
【化2】
の環を形成し、式1Aにおいて、
環を形成していないR
11~R
15、R
20~R
24及びR
16~R
19は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(3~7員)ヘテロシクロアルキル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは非置換縮合環、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル又は置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリルを表すが、ただし、R
21~R
24の少なくとも1つは、*-(L
3)
e-(Ar
3)
fであることを条件とし;
L
3は、単結合、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
Ar
3は、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
eは、1~4の整数を表し、及びfは、1又は2の整数を表し;
e及びfが2以上の整数である場合、L
3のそれぞれ及びAr
3のそれぞれは、同じであるか又は異なり得る。
【0010】
発明の有利な効果
本開示による有機エレクトロルミネセント化合物及びそれを含む複数のホスト材料を含めることにより、低い駆動電圧、及び/又は高い発光効率、及び/又は長い寿命特性を有する有機エレクトロルミネセントデバイスが提供され得る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示を詳細に説明する。しかしながら、以下の説明は、本発明を説明することを意図しており、決して本発明の範囲を限定することを意味していない。
【0012】
本開示は、式1によって表される有機エレクトロルミネセント化合物、有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセント材料並びに有機エレクトロルミネセント化合物及び/又は有機エレクトロルミネセント材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【0013】
本開示は、式1によって表される少なくとも1種の第1のホスト化合物と、式2によって表される少なくとも1種の第2のホスト化合物とを有する複数のホスト材料及び複数のホスト材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【0014】
本開示では、「有機エレクトロルミネセント化合物」という用語は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用され得、且つ必要に応じて有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の材料層に含まれ得る化合物を意味する。
【0015】
本明細書では、「有機エレクトロルミネセント材料」という用語は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用され得、且つ少なくとも1種の化合物を含み得る材料を意味する。有機エレクトロルミネセント材料は、必要に応じて、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成するいずれかの層に含まれ得る。例えば、有機エレクトロルミネセント材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子阻止材料、発光材料(ホスト及びドーパント材料を含有する)、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料又は電子注入材料等であり得る。
【0016】
本明細書では、「複数のホスト材料」という用語は、有機エレクトロルミネセント材料が少なくとも2種のホスト材料の組合せを含むことを意味する。これは、有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれる前(例えば、蒸着前)の材料及び有機エレクトロルミネセントデバイスに含まれた後(例えば、蒸着後)の材料の両方を意味し得る。本開示の複数のホスト材料は、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の発光層に含まれ得る。複数のホスト材料に含まれる少なくとも2種の化合物は、1つの発光層に一緒に含まれ得るか、又はそれぞれ別の発光層に含まれ得る。少なくとも2種のホスト材料が1つの発光層に含まれる場合、少なくとも2種のホスト材料は、混合蒸発して層を形成し得るか、又は個別に及び同時に共蒸発して層を形成し得る。
【0017】
本明細書では、「(C1~C30)アルキル」は、鎖を構成する1~30個の炭素原子を有する直鎖又は分岐状アルキルであることを意味し、ここで、炭素原子の数は、好ましくは、1~20、より好ましくは1~10である。上記のアルキルには、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル等が含まれ得る。本明細書では、「(C3~C30)シクロアルキル」という用語は、3~30個の環骨格炭素原子を有する単環式又は多環式炭化水素であることを意味し、ここで、炭素原子の数は、好ましくは、3~20、より好ましくは3~7である。上記のシクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル等が含まれ得る。本明細書では、「(C6~C30)アリール(レン)」は、6~30個の環骨格炭素原子を有する芳香族炭化水素に由来する単環式又は縮合環ラジカルであり、この場合、環骨格炭素原子の数は、好ましくは、6~20、より好ましくは6~15であり、部分的に飽和され得、スピロ構造を含み得る。アリールの例は、具体的には、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、フルオレニル、フェニルフルオレニル、ジメチルフルオレニル、ジフェニルフルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジフェニルベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、フェナントレニル、ベンゾフェナントレニル、フェニルフェナントレニル、アントラセニル、ベンズアントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ベンゾクリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル、ベンゾフルオランテニル、トリル、キシリル、メシチル、クメニル、スピロ[フルオレン-フルオレン]イル、スピロ[フルオレン-ベンゾフルオレン]イル、アズレニル、テトラメチル-ジヒドロフェナントレニル等であり得る。より具体的には、アリールは、o-トリル、m-トリル、p-トリル、2,3-キシリル、3,4-キシリル、2,5-キシリル、メシチル、o-クメニル、m-クメニル、p-クメニル、p-t-ブチルフェニル、p-(2-フェニルプロピル)フェニル、4’-メチルビフェニル、4”-t-ブチル-p-テルフェニル-4-イル、o-ビフェニル、m-ビフェニル、p-ビフェニル、o-テルフェニル、m-テルフェニル-4-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-2-イル、m-クアテルフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-フルオレニル、2-フルオレニル、3-フルオレニル、4-フルオレニル、9-フルオレニル、9,9-ジメチル-1-フルオレニル、9,9-ジメチル-2-フルオレニル、9,9-ジメチル-3-フルオレニル、9,9-ジメチル-4-フルオレニル、9,9-ジフェニル-1-フルオレニル、9,9-ジフェニル-2-フルオレニル、9,9-ジフェニル-3-フルオレニル、9,9-ジフェニル-4-フルオレニル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、1-クリセニル、2-クリセニル、3-クリセニル、4-クリセニル、5-クリセニル、6-クリセニル、ベンゾ[c]フェナントリル、ベンゾ[g]クリセニル、1-トリフェニレニル、2-トリフェニレニル、3-トリフェニレニル、4-トリフェニレニル、3-フルオランテニル、4-フルオランテニル、8-フルオランテニル、9-フルオランテニル、ベンゾフルオランテニル、11,11-ジメチル-1-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-2-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-3-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-4-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-5-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-6-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-7-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-8-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-9-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-10-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジメチル-1-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-2-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-3-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-4-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-5-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-6-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-7-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-8-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-9-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-10-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジメチル-1-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-2-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-3-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-4-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-5-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-6-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-7-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-8-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-9-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジメチル-10-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-1-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-2-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-3-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-4-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-5-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-6-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-7-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-8-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-9-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-10-ベンゾ[a]フルオレニル、11,11-ジフェニル-1-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-2-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-3-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-4-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-5-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-6-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-7-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-8-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-9-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-10-ベンゾ[b]フルオレニル、11,11-ジフェニル-1-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-2-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-3-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-4-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-5-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-6-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-7-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-8-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-9-ベンゾ[c]フルオレニル、11,11-ジフェニル-10-ベンゾ[c]フルオレニル、9,9,10,10-テトラメチル-9,10-ジヒドロ-1-フェナントレニル、9,9,10,10-テトラメチル-9,10-ジヒドロ-2-フェナントレニル、9,9,10,10-テトラメチル-9,10-ジヒドロ-3-フェナントレニル、9,9,10,10-テトラメチル-9,10-ジヒドロ-4-フェナントレニル等であり得る。本明細書では、「(3~30員)ヘテロアリール(レン)」は、B、N、O、S、Si、P、Se及びGeからなる群から選択される少なくとも1個、好ましくは1~4個のヘテロ原子を含む3~30個の環骨格炭素原子を有するアリールであり、環骨格炭素原子の数は、好ましくは、5~25個である。上記のヘテロアリール(レン)は、単環であるか、又は少なくとも1つのベンゼン環と縮合した縮合環であり得、且つ部分的に飽和であり得る。また、本明細書における上記のヘテロアリール又はヘテロアリーレンは、少なくとも1つのヘテロアリール基又はアリール基をヘテロアリール基に単結合により連結させることによって形成されるものであり得る。ヘテロアリールの例は、具体的には、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル等の単環式環型ヘテロアリール;及びベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ジベンゾセレノフェニル、ベンゾフロキノリニル、ベンゾフロキナゾリニル、ベンゾフロナフチリジニル、ベンゾフロピリミジニル、ナフトフロピリミジニル、ベンゾチエノキノリニル、ベンゾチエノキナゾリニル、ベンゾチエノナフチリジニル、ベンゾチエノピリミジニル、ナフトチエノピリミジニル、ピリミドインドリル、ベンゾピリミドインドリル、ベンゾフロピラジニル、ナフトフロピラジニル、ベンゾチエノピラジニル、ナフトチエノピラジニル、ピラジノインドリル、ベンゾピラジノインドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾピリジニル、イソインドリル、インドリル、ベンゾインドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、アザカルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、ジベンゾカルバゾリル、フェノキサジニル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリル、インドリジジニル、アクリジニル、シラフルオレニル、ゲルマフルオレニル、ベンゾトリアゾリル、フェナジニル、イミダゾピリジニル、クロメノキナゾリニル、チオクロメノキナゾリニル、ジメチルベンゾピリミジニル、インドロカルバゾリル、インデノカルバゾリル等の縮合環型ヘテロアリールであり得る。より具体的には、ヘテロアリールは、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-ピリジニル、3-ピリジニル、4-ピリジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル、1,2,3-トリアジン-4-イル、1,2,4-トリアジン-3-イル、1,3,5-トリアジン-2-イル、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、1-ピラゾリル、1-インドリジジニル、2-インドリジジニル、3-インドリジジニル、5-インドリジジニル、6-インドリジジニル、7-インドリジジニル、8-インドリジジニル、2-イミダゾピリジニル、3-イミダゾピリジニル、5-イミダゾピリジニル、6-イミダゾピリジニル、7-イミダゾピリジニル、8-イミダゾピリジニル、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル、1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル、2-フリル、3-フリル、2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、4-ベンゾフラニル、5-ベンゾフラニル、6-ベンゾフラニル、7-ベンゾフラニル、1-イソベンゾフラニル、3-イソベンゾフラニル、4-イソベンゾフラニル、5-イソベンゾフラニル、6-イソベンゾフラニル、7-イソベンゾフラニル、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリ
ル、8-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、1-カルバゾリル、2-カルバゾリル、3-カルバゾリル、4-カルバゾリル、9-カルバゾリル、アザカルバゾール-1-イル、アザカルバゾール-2-イル、アザカルバゾール-3-イル、アザカルバゾール-4-イル、アザカルバゾール-5-イル、アザカルバゾール-6-イル、アザカルバゾール-7-イル、アザカルバゾール-8-イル、アザカルバゾール-9-イル、1-フェナントリジニル、2-フェナントリジニル、3-フェナントリジニル、4-フェナントリジニル、6-フェナントリジニル、7-フェナントリジニル、8-フェナントリジニル、9-フェナントリジニル、10-フェナントリジニル、1-アクリジニル、2-アクリジニル、3-アクリジニル、4-アクリジニル、9-アクリジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-オキサジアゾリル、5-オキサジアゾリル、3-フラザニル、2-チエニル、3-チエニル、2-メチルピロール-1-イル、2-メチルピロール-3-イル、2-メチルピロール-4-イル、2-メチルピロール-5-イル、3-メチルピロール-1-イル、3-メチルピロール-2-イル、3-メチルピロール-4-イル、3-メチルピロール-5-イル、2-t-ブチルピロール-4-イル、3-(2-フェニルプロピル)ピロール-1-イル、2-メチル-1-インドリル、4-メチル-1-インドリル、2-メチル-3-インドリル、4-メチル-3-インドリル、2-t-ブチル-1-インドリル、4-t-ブチル-1-インドリル、2-t-ブチル-3-インドリル、4-t-ブチル-3-インドリル、1-ジベンゾフラニル、2-ジベンゾフラニル、3-ジベンゾフラニル、4-ジベンゾフラニル、1-ジベンゾチオフェニル、2-ジベンゾチオフェニル、3-ジベンゾチオフェニル、4-ジベンゾチオフェニル、1-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、2-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、3-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、4-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、5-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、6-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、7-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、8-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、9-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、10-ナフト-[1,2-b]-ベンゾフラニル、1-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、2-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、3-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、4-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、5-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、6-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、7-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、8-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、9-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、10-ナフト-[2,3-b]-ベンゾフラニル、1-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、2-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、3-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、4-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、5-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、6-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、7-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、8-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、9-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、10-ナフト-[2,1-b]-ベンゾフラニル、1-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、2-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、3-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、4-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、5-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、6-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、7-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、8-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、9-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、10-ナフト-[1,2-b]-ベンゾチオフェニル、1-ナフト-[2,3-b]-ベンゾチオフェニル、2-ナフト-[2,3-b]-ベンゾチオフェニル、3-ナフト-[2,3-b]-ベンゾチオフェニル、4-ナフト-[2,3-b]-ベンゾチオフェニル、5-ナフト-[2,3-b]-ベンゾチオフェニル、1-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、2-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、3-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、4-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、5-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、6-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、7-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、8-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、9-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、10-ナフト-[2,1-b]-ベンゾチオフェニル、2-ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジニル、6-ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジニル、7-ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジニル、8-ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジニル、9-ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジニル、2-ベンゾチオ[3,2-d]ピリミジニル、6-ベンゾチオ[3,2-d]ピリミジニル、7-ベンゾチオ[3,2-d]ピリミジニル、8-ベンゾチオ[3,2-d]ピリミジニル、9-ベンゾチオ[3,2-d]ピリミジニル、2-ベンゾフロ[3,2-d]ピラジニル、6-ベンゾフロ[3,2-d]ピラジニル、7-ベンゾフロ[3,2-d]ピラジニル、8-ベンゾフロ[3,2-d]ピラジニル、9-ベンゾフロ[3,2-d]ピラジニル、2-ベンゾチオ[3,2-d]ピラジニル、6-ベンゾチオ[3,2-d]ピラジニル、7-ベンゾチオ[3,2-d]ピラジニル、8-ベンゾチオ[3,2-d]ピラジニル、9-ベンゾチオ[3,2-d]ピラジニル、1-シラフルオレニル、2-シラフルオレニル、3-シラフルオレニル、4-シラフルオレニル、1-ゲルマフルオレニル、2-ゲルマフルオレニル、3-ゲルマフルオレニル、4-ゲルマフルオレニル、1-ジベンゾセレノフェニル、2-ジベンゾセレノフェニル、3-ジベンゾセレノフェニル、4-ジベンゾセレノフェニル等であり得る。本開示における「(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との縮合環」という用語は、3~30個の環骨格炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族環(ここで、炭素原子の数は、好ましくは、3~25個、より好ましくは3~18個である)と、6~30個の環骨格炭素原子を有する少なくとも1つの芳香族環(ここで、炭素原子の数は、好ましくは、6~25個、より好ましくは6~18個である)とを縮合することによって形成される環を意味する。例えば、縮合環は、少なくとも1つのベンゼンと少なくとも1つのシクロヘキサンとの縮合環又は少なくとも1つのナフタレンと少なくとも1つのシクロペンタンとの縮合環等であり得る。本明細書では、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との縮合環の炭素原子は、B、N、O、S、Si及びPから選択される少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくはN、O及びSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子で置き換えられ得る。本開示における「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br及びIを含む。
【0018】
さらに、「オルト(o)」、「メタ(m)」及び「パラ(p)」は、全ての置換基の置換位置を示すことが意図されている。オルト位は、例えば、ベンゼンの1位及び2位で互いに隣接している置換基を有する化合物である。メタ位は、直接隣接する置換位置の次の置換位置であり、例えばベンゼンの1位及び3位に置換基を有する化合物である。パラ位は、メタ位の次の置換位置であり、例えばベンゼンの1位及び4位に置換基を有する化合物である。
【0019】
本明細書では、「隣接する置換基に連結して形成される環」という用語は、2つ以上の隣接する置換基を連結又は縮合することにより形成されている、置換若しくは非置換(3~30員)の単環式若しくは多環式の脂肪族環、芳香族環又はこれらの組合せを意味し、好ましくは置換若しくは非置換(3~26員)の単環式若しくは多環式の脂肪族環、芳香族環又はこれらの組合せである。さらに、形成された環は、B、N、O、S、Si及びP、好ましくはN、O及びSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み得る。本開示の一実施形態によれば、環骨格中の原子の数は、5~20であり、本開示の別の実施形態によれば、環骨格中の原子の数は、5~15である。一実施形態において、縮合環は、例えば、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェン環、置換若しくは非置換ジベンゾフラン環、置換若しくは非置換ナフタレン環、置換若しくは非置換フェナントレン環、置換若しくは非置換フルオレン環、置換若しくは非置換ベンゾチオフェン環、置換若しくは非置換ベンゾフラン環、置換若しくは非置換インドール環、置換若しくは非置換インデン環、置換若しくは非置換ベンゼン環又は置換若しくは非置換カルバゾール環等であり得る。
【0020】
さらに、「置換又は非置換」という表現における「置換」とは、ある官能基中の水素原子が別の原子又は官能基、すなわち置換基で置き換えられており、2つ以上の置換基が置換基間で連結されている基で置換されていることを意味する。例えば、「2つ以上の置換基が連結されている置換基」は、ピリジン-トリアジンであり得る。すなわち、ピリジン-トリアジンは、ヘテロアリールであり得るか、又は2つのヘテロアリールが連結されている1つの置換基として解釈され得る。本開示の式における置換アルキル、置換アルケニル、置換アリール(レン)、置換ヘテロアリール(レン)、置換シクロアルキル、置換(3~7員)ヘテロシクロアルキル、置換アルコキシ、脂肪族環と芳香族環との置換縮合環、置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル及び置換トリ(C6~C30)アリールシリルの置換基は、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、ホスフィンオキシド、(C1~C30)アルキル、ハロ(C1~C30)アルキル、(C2~C30)アルケニル、(C2~C30)アルキニル、(C1~C30)アルコキシ、(C1~C30)アルキルチオ、(C3~C30)シクロアルキル、(C3~C30)シクロアルケニル、(3~7員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C30)アリールオキシ、(C6~C30)アリールチオ、非置換であるか又は重水素及び(C6~C30)アリールの少なくとも1つで置換された(3~30員)ヘテロアリール、非置換であるか又は重水素及び(C3~C30)ヘテロアリールの少なくとも1つで置換された(C6~C30)アリール、トリ(C1~C30)アルキルシリル、トリ(C6~C30)アリールシリル、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との縮合環、アミノ、モノ-又はジ-(C1~C30)アルキルアミノ、モノ-又はジ-(C2~C30)アルケニルアミノ、(C1~C30)アルキル(C2~C30)アルケニルアミノ、置換又は非置換モノ-又はジ-(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、モノ-又はジ-(3~30員)ヘテロアリールアミノ、(C1~C30)アルキル(3~30員)ヘテロアリールアミノ、(C2~C30)アルケニル(C6~C30)アリールアミノ、(C2~C30)アルケニル(3~30員)ヘテロアリールアミノ、(C6~C30)アリール(3~30員)ヘテロアリールアミノ、(C1~C30)アルキルカルボニル、(C1~C30)アルコキシカルボニル、(C6~C30)アリールカルボニル、(C6~C30)アリールホスフィニル、ジ(C6~C30)アリールボロニル、ジ(C1~C30)アルキルボロニル、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル、(C6~C30)ar(C1~C30)アルキル並びに(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つを表す。
【0021】
以下では、一実施形態による有機エレクトロルミネセント化合物が説明される。
【0022】
一実施形態による有機エレクトロルミネセント化合物は、以下の式1によって表される。
【化3】
式1において、
Xは、O又はSを表し、
R
16及びR
17は、互いに連結されて、以下の式1Aの環を形成するか;又はR
18及びR
19は、互いに連結されて、以下の式1A
【化4】
の環を形成し、式1Aにおいて、
環を形成していないR
11~R
15、R
20~R
24及びR
16~R
19は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(3~7員)ヘテロシクロアルキル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは非置換縮合環、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル又は置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリルを表すが、ただし、R
21~R
24の少なくとも1つは、*-(L
3)
e-(Ar
3)
fであることを条件とし;
L
3は、単結合、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
Ar
3は、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
eは、1~4の整数を表し、及びfは、1又は2の整数を表し;
e及びfが2以上の整数である場合、L
3のそれぞれ及びAr
3のそれぞれは、同じであるか又は異なり得る。
【0023】
一実施形態において、環を形成していないR11~R15、R20及びR16~R19は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(5~30員)ヘテロアリール、好ましくは水素、重水素、置換若しくは非置換(C6~C25)アリール又は置換若しくは非置換(5~25員)ヘテロアリール、より好ましくは水素、重水素、置換若しくは非置換(C6~C18)アリール又は置換若しくは非置換(5~18員)ヘテロアリールであり得る。例えば、環を形成していないR11~R15、R20及びR16~R19は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換フェニル、置換若しくは非置換ピリジル又は置換若しくは非置換ジベンゾフラニルであり得る。
【0024】
一実施形態において、R21~R24は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は*-(L3)e-(Ar3)fであり得、ここで、R21~R24の少なくとも1つは、*-(L3)e-(Ar3)fである。好ましくは、R21~R24は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換(C6~C25)アリール又は*-(L3)e-(Ar3)fであり得、より好ましくは水素、重水素、置換若しくは非置換(C6~C18)アリール又は*-(L3)e-(Ar3)fであり得る。例えば、R21~R24は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換フェニル又は*-(L3)e-(Ar3)fであり得る。
【0025】
一実施形態による式1によって表される有機エレクトロルミネセント化合物は、以下の式1-1又は1-2によって表され得る。
【化5】
式1-1及び1-2において、X及びR
11~R
24は、式1で定義された通りである。
【0026】
一実施形態において、L3は、単結合、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは非置換(5~30員)ヘテロアリーレン、好ましくは単結合、置換若しくは非置換(C6~C25)アリーレン又は置換若しくは非置換(5~25員)ヘテロアリーレン、より好ましくは単結合、置換若しくは非置換(C6~C18)アリーレン又は置換若しくは非置換(5~18員)ヘテロアリーレンであり得る。例えば、L3は、単結合、置換若しくは非置換フェニレン、置換若しくは非置換ビフェニレン、置換若しくは非置換テルフェニレン、置換若しくは非置換ナフタレニレン、置換若しくは非置換フェナントレニレン、置換若しくは非置換トリフェニレニレン、置換若しくは非置換フルオレニレン、置換若しくは非置換ピリジレン、置換若しくは非置換トリアジニレン、置換若しくは非置換カルバゾリレン、置換若しくは非置換キノキサリニレン、置換若しくは非置換キナゾリニレン、置換若しくは非置換ジベンゾフラニレン、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニレン又は置換若しくは非置換ベンゾキノキサリニレン、好ましくは単結合、置換若しくは非置換フェニレン、置換若しくは非置換ビフェニレン、置換若しくは非置換ナフタレニレン、置換若しくは非置換ピリジレン、置換若しくは非置換ジベンゾフラニレン又は置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニレンであり得る。
【0027】
一実施形態において、Ar
3は、置換又は非置換(5~30員)ヘテロアリール;好ましくは少なくとも1個の窒素(N)を含有する置換又は非置換(5~25員)ヘテロアリール;より好ましくは少なくとも2個の窒素を含有する置換又は非置換(5~18員)ヘテロアリールであり得る。例えば、Ar
3は、置換若しくは非置換ピリジル、置換若しくは非置換ピリミジニル、置換若しくは非置換トリアジニル、置換若しくは非置換ピラジニル、置換若しくは非置換キノリニル、置換若しくは非置換キナゾリニル、置換若しくは非置換キノキサリニル、置換若しくは非置換ベンゾキノリニル、置換若しくは非置換ベンゾキナゾリニル、置換若しくは非置換ベンゾキノキサリニル、置換若しくは非置換ジベンゾキノリニル、置換若しくは非置換ジベンゾキナゾリニル、置換若しくは非置換ジベンゾキノキサリニル、置換若しくは非置換インデノピリジル、置換若しくは非置換インデノピリミジニル、置換若しくは非置換インデノピラジニル、置換若しくは非置換ベンゾフロピリジル、置換若しくは非置換ベンゾフロピリミジニル、置換若しくは非置換ベンゾフロピラジニル、置換若しくは非置換ベンゾチオピリジル、置換若しくは非置換ベンゾチオピリミジニル、置換若しくは非置換ベンゾチオピラジニル、置換若しくは非置換カルバゾリル、置換若しくは非置換ベンゾカルバゾリル、置換若しくは非置換ジベンゾフラニル又は置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニル、好ましくは置換若しくは非置換ピリミジニル、置換若しくは非置換トリアジニル、置換若しくは非置換キノキサリニル、置換若しくは非置換キナゾリニル、置換若しくは非置換ベンゾキナゾリニル又は置換若しくは非置換ベンゾフロピリミジニルであり得る。例えば、Ar
3は、以下の式1-3によって表される置換又は非置換トリアジニルであり得る。
【化6】
式1-3において、R’
1及びR’
2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換フェニル、置換若しくは非置換ナフチル、置換若しくは非置換ビフェニル、置換若しくは非置換フェニルナフチル、置換若しくは非置換ナフチルフェニル、置換若しくは非置換ターフェニル、置換若しくは非置換フェナントレニル、置換若しくは非置換フルオレニル、置換若しくは非置換ベンゾフルオレニル、置換若しくは非置換トリフェニレニル、置換若しくは非置換アントラセニル、置換若しくは非置換スピロビフルオレニル、置換若しくは非置換ピリジル、置換若しくは非置換トリアジニル、置換若しくは非置換ピリミジニル、置換若しくは非置換キノリル、置換若しくは非置換キナゾリニル、置換若しくは非置換キノキサリニル、置換若しくは非置換ベンゾキナゾリニル、置換若しくは非置換ベンゾキノキサリニル、置換若しくは非置換ベンゾフロピリジル、置換若しくは非置換ベンゾフロピリミジニル、置換若しくは非置換カルバゾリル、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ジベンゾフラニル、置換若しくは非置換ベンゾフラニル、置換若しくは非置換ナフチリジニル、置換若しくは非置換ベンゾナフトフラニル又は置換若しくは非置換ベンゾナフトチオフェニルを表す。
【0028】
一実施形態において、R’1及びR’2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換フェニル、置換若しくは非置換ナフチル、置換若しくは非置換ビフェニル、置換若しくは非置換フェニルナフチル、置換若しくは非置換ナフチルフェニル、置換若しくは非置換ターフェニル、置換若しくは非置換フェナントレニル、置換若しくは非置換フルオレニル、置換若しくは非置換ピリジル、置換若しくは非置換カルバゾリル、置換若しくは非置換ジベンゾフラニル又は置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニルであり得る。例えば、置換されている基の置換基は、重水素、シアノ、メチル、トリフェニルシリル、イソプロピルベンゼニル、カルバゾリル及びジベンゾフラニルから選択される少なくとも1つであり得る。
【0029】
一実施形態によれば、式1によって表される有機エレクトロルミネセント化合物は、以下の化合物によってより具体的に例示され得るが、これらに限定されない。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0030】
本開示による式1の化合物は、限定されないが、以下の反応スキーム1若しくは2によって表されるように調製され得るか;又は当業者に公知の合成方法によってさらに製造され得る。
[反応スキーム1]
【化13】
[反応スキーム2]
【化14】
【0031】
反応スキーム1及び2において、置換基のそれぞれの定義は、式1で定義された通りである。
【0032】
上述のように、本開示による式1によって表される化合物の例示的な合成例が説明されるが、これらは、サンドマイヤー反応、バックワルド-ハートウィグクロスカップリング反応、N-アリール化反応、H-mont媒介エーテル化反応、宮浦ホウ素化反応、鈴木クロスカップリング反応、分子内酸誘起環化反応、Pd(II)触媒酸化的環化反応、グリニャール反応、ヘック反応、環状脱水反応、SN1置換反応、SN2置換反応及びホスフィン媒介還元的環化反応等に基づいている。上記の反応は、具体的な合成例に記載された置換基以外の式1で定義された他の置換基が結合している場合でも進行することが当業者によって理解されるであろう。
【0033】
一実施形態によれば、本開示は、式1によって表される有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセント材料及び有機エレクトロルミネセント材料を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを提供し得る。
【0034】
有機エレクトロルミネセント材料は、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物のみからなり、且つ有機エレクトロルミネセント材料に含まれる従来の材料をさらに含み得る。少なくとも2種の材料が1つの層に含まれる場合、その少なくとも2種の材料は、混合蒸発して層を形成し得るか、又は個別に及び同時に共蒸発して層を形成し得る。一実施形態による有機エレクトロルミネセント材料は、式1によって表される少なくとも1つの化合物を含み得る。好ましくは、本開示の式1によって表される有機エレクトロルミネセント化合物は、有機エレクトロルミネセントデバイスの発光層に含まれ得る。発光層に含まれる場合、式1の化合物は、ホスト、より具体的にはリン光性赤色ホストとして含まれ得る。
【0035】
本開示による有機エレクトロルミネセント材料は、式1の有機エレクトロルミネセント化合物に加えて、少なくとも1種のホスト化合物及び少なくとも1種のドーパント化合物をさらに含み得る。
【0036】
本開示の有機エレクトロルミネセント材料に含まれるホスト材料は、式1の有機エレクトロルミネセント化合物(第1のホスト材料)に加えて、第2のホスト材料として、第1のホスト材料と異なる有機エレクトロルミネセント化合物をさらに含むことができる。すなわち、本開示の一実施形態による有機エレクトロルミネセント材料は、複数のホスト材料を含み得る。具体的には、一実施形態による複数のホスト材料は、式1の少なくとも1つの化合物を第1のホスト材料として含み、且つ第1のホスト材料と異なる少なくとも1つの化合物を第2のホスト材料として含み得る。第1のホスト材料と第2のホスト材料との間の重量比は、1:99~99:1の割合、好ましくは10:90~90:10の割合、より好ましくは30:70~70:30の割合である。
【0037】
一実施形態による第2のホスト材料は、以下の式2によって表される化合物を含む。
【化15】
式2において、
X
1及びY
1は、それぞれ独立して、-N=、-NR
5-、-O-又は-S-を表すが、ただし、X
1及びY
1のいずれか一方は、-N=であり、且つX
1及びY
1の他方は、-NR
5-、-O-又は-S-であることを条件とし;
R
1は、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
R
2~R
5は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは非置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは非置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは非置換トリ(C6~C30)アリールシリル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは非置換縮合環又は-L
1-N(Ar
1)(Ar
2)を表すか;或いは隣接する置換基は、互いに連結されて環を形成し得るが、ただし、R
2~R
4の少なくとも1つは、-L
1-N(Ar
1)(Ar
2)であることを条件とし;
L
1は、単結合、置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C2~C30)アルケニル、(C3~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは非置換縮合環、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリールを表し;
aは、1を表し、b及びcは、それぞれ独立して、1又は2の整数を表し、且つdは、1~4の整数を表し;
b~dが2以上の整数である場合、R
2のそれぞれ、R
3のそれぞれ及びR
4のそれぞれは、同じであるか又は異なり得る。
【0038】
一実施形態による式2によって表される第2のホスト材料は、以下の式2-1~2-4のいずれか1つによって表され得る。
【化16】
式2-1~2-4において、R
1~R
4、Ar
1、Ar
2、L
1及びa~dは、式2で定義された通りである。
【0039】
一実施形態において、X1及びY1のいずれか一方は、-N=であり得、且つX1及びY1の他方は、-O-又は-S-であり得る。
【0040】
一実施形態では、R1は、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(5~30員)ヘテロアリール、好ましくは置換若しくは非置換(C6~C25)アリール又は置換若しくは非置換(5~25員)ヘテロアリール、より好ましくは置換若しくは非置換(C6~C18)アリール又は置換若しくは非置換(5~18員)ヘテロアリールであり得る。例えば、R1は、置換若しくは非置換フェニル、置換若しくは非置換ナフチル、置換若しくは非置換ビフェニル、置換若しくは非置換フェニルナフチル、置換若しくは非置換ナフチルフェニル、置換若しくは非置換ターフェニル、置換若しくは非置換フェナントレニル、置換若しくは非置換フルオレニル、置換若しくは非置換ベンゾフルオレニル、置換若しくは非置換トリフェニレニル、置換若しくは非置換アントラセニル、置換若しくは非置換スピロビフルオレニル、置換若しくは非置換ピリジル、置換若しくは非置換トリアジニル、置換若しくは非置換ピリミジニル、置換若しくは非置換キノリル、置換若しくは非置換キナゾリニル、置換若しくは非置換キノキサリニル、置換若しくは非置換ベンゾキナゾリニル、置換若しくは非置換ベンゾキノキサリニル、置換若しくは非置換ベンゾフロピリジル、置換若しくは非置換ベンゾフロピリミジニル、置換若しくは非置換カルバゾリル、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ジベンゾフラニル、置換若しくは非置換ベンゾフラニル、置換若しくは非置換ナフチリジニル、置換若しくは非置換ベンゾナフトフラニル又は置換若しくは非置換ベンゾナフトチオフェニル、好ましくは、置換若しくは非置換フェニル、置換若しくは非置換ビフェニル又は置換若しくは非置換ピリジルであり得る。
【0041】
一実施形態において、R2~R5は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は-L1-N(Ar1)(Ar2)(ただし、R2~R4の少なくとも1つは、-L1-N(Ar1)(Ar2)であることを条件とする)、好ましくは水素、置換若しくは非置換(C6~C25)アリール又は-L1-N(Ar1)(Ar2)、より好ましくは水素、置換若しくは非置換(C6~C18)アリール又は-L1-N(Ar1)(Ar2)であり得る。例えば、R2~R5は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換フェニル又は-L1-N(Ar1)(Ar2)であり得る。
【0042】
一実施形態において、L1は、単結合又は置換若しくは非置換(C6~C30)アリーレン、好ましくは単結合又は置換若しくは非置換(C6~C25)アリーレン、より好ましくは単結合又は置換若しくは非置換(C6~C18)アリーレンであり得る。例えば、L1は、単結合、置換若しくは非置換フェニレン又は置換若しくは非置換ナフタレニレンであり得る。
【0043】
一実施形態において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、(C5~C30)脂肪族環と(C6~C30)芳香族環との置換若しくは非置換縮合環、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール又は置換若しくは非置換(5~30員)ヘテロアリール、好ましくは(C5~C25)脂肪族環と(C6~C25)芳香族環との置換若しくは非置換縮合環、置換若しくは非置換(C6~C25)アリール又は置換若しくは非置換(5~25員)ヘテロアリール、より好ましくは(C5~C18)脂肪族環と(C6~C18)芳香族環との置換若しくは非置換縮合環、置換若しくは非置換(C6~C25)アリール又は置換若しくは非置換(5~18員)ヘテロアリールであり得る。例えば、Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換フェニル、置換若しくは非置換ナフチル、置換若しくは非置換ビフェニル、置換若しくは非置換フェニルナフチル、置換若しくは非置換ナフチルフェニル、置換若しくは非置換ターフェニル、置換若しくは非置換フェナントレニル、置換若しくは非置換フルオレニル、置換若しくは非置換ベンゾフルオレニル、置換若しくは非置換トリフェニレニル、置換若しくは非置換アントラセニル、置換若しくは非置換スピロビフルオレニル、置換若しくは非置換ピリジル、置換若しくは非置換トリアジニル、置換若しくは非置換ピリミジニル、置換若しくは非置換キノリル、置換若しくは非置換キナゾリニル、置換若しくは非置換キノキサリニル、置換若しくは非置換ベンゾキナゾリニル、置換若しくは非置換ベンゾキノキサリニル、置換若しくは非置換ベンゾフロピリジル、置換若しくは非置換ベンゾフロピリミジニル、置換若しくは非置換カルバゾリル、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ジベンゾフラニル、置換若しくは非置換ベンゾフラニル、置換若しくは非置換ナフチリジニル、置換若しくは非置換ベンゾナフトフラニル又は置換若しくは非置換ベンゾナフトチオフェニル、好ましくは、置換若しくは非置換フェニル、置換若しくは非置換ナフチル、置換若しくは非置換ビフェニル、置換若しくは非置換フェニルナフチル、置換若しくは非置換ナフチルフェニル、置換若しくは非置換ターフェニル、置換若しくは非置換フェナントレニル、置換若しくは非置換フルオレニル、置換若しくは非置換ベンゾフルオレニル、置換若しくは非置換スピロビフルオレニル、置換若しくは非置換C22アリール、置換若しくは非置換カルバゾリル、置換若しくは非置換ベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ベンゾフロピリジル、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェニル、置換若しくは非置換ジベンゾフラニル、置換若しくは非置換ベンゾナフトフラニル又は置換若しくは非置換ベンゾナフトチオフェニルであり得る。例えば、置換されている基の置換基は、重水素、メチル、tert-ブチル、シクロヘキセニル、フェニル、フルオランテニル、ピリジル及びベンズイミダゾリルから選択される少なくとも1つであり得る。
【0044】
一実施形態によると、式2によって表される化合物は、以下の化合物によってより具体的に例示され得るが、これらに限定されない。
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【0045】
本開示による式2のホスト材料は、当業者に公知の合成方法によって調製され得る。
【0046】
本開示の有機エレクトロルミネセント材料に含まれるドーパントは、少なくとも1つのリン光性又は蛍光性ドーパント、好ましくはリン光性ドーパントであり得る。本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスに適用されるリン光性ドーパント材料は、特に限定されないが、好ましくは必要に応じてイリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)及び白金(Pt)から選択される金属原子の金属化錯体化合物、より好ましくは必要に応じてイリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)及び白金(Pt)から選択される金属原子のオルト金属化錯体化合物、さらにより好ましくは必要に応じてオルト金属化イリジウム錯体化合物であり得る。
【0047】
本開示によるドーパントは、以下の式101によって表される化合物を特に使用し得るが、それに限定されない。
【化23】
式101において、Lは、以下の構造1~3:
【化24】
から選択され、構造1~3において、
R
100~R
103は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、非置換の又は重水素及び/若しくはハロゲンで置換された(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、シアノ、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシを表すか;或いは隣接する置換基は、互いに結合して環を形成し得、例えばピリジンと共に環、例えば置換若しくは非置換キノリン、置換若しくは非置換ベンゾフロピリジン、置換若しくは非置換ベンゾチエノピリジン、置換若しくは非置換インデノピリジン、置換若しくは非置換ベンゾフロキノリン、置換若しくは非置換ベンゾチエノキノリン又は置換若しくは非置換インデノキノリンを形成し得;
R
104~R
107は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、非置換の又は重水素及び/若しくはハロゲンで置換された(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは非置換(C6~C30)アリール、置換若しくは非置換(3~30員)ヘテロアリール、シアノ又は置換若しくは非置換(C1~C30)アルコキシを表すか;或いは隣接する置換基は、互いに結合して、ベンゼンと共に置換若しくは非置換の環、例えば置換若しくは非置換ナフタレン、置換若しくは非置換フルオレン、置換若しくは非置換ジベンゾチオフェン、置換若しくは非置換ジベンゾフラン、置換若しくは非置換インデノピリジン、置換若しくは非置換ベンゾフロピリジン又は置換若しくは非置換ベンゾチエノピリジンを形成し得;
R
201~R
220は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、非置換の又は重水素及び/若しくはハロゲンで置換された(C1~C30)アルキル、置換若しくは非置換(C3~C30)シクロアルキル又は置換若しくは非置換(C6~C30)アリールを表すか;或いは隣接する置換基は、互いに連結されて置換又は非置換の環を形成し得;
sは、1~3の整数を表す。
【0048】
特に、ドーパント化合物の具体的な例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【0049】
以下では、前述の有機エレクトロルミネセント化合物及び/又は有機エレクトロルミネセント材料が適用される有機エレクトロルミネセントデバイスが説明される。
【0050】
一実施形態による有機エレクトロルミネセントデバイスは、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間の少なくとも1つの有機層とを含み得る。一実施形態において、有機層は、本開示による有機エレクトロルミネセント化合物を含有する発光層を含む。例えば、発光層は、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物を単独で又は2種以上の有機エレクトロルミネセント化合物の組合せを含み、且つ有機エレクトロルミネセント材料に含まれる通常の材料をさらに含み得る。加えて、有機層は、発光層に加えて、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、緩衝層、発光補助層、電子輸送層、電子注入層、中間層、正孔阻止層及び電子阻止層から選択される少なくとも1つの層をさらに含み得る。各層は、いくつかの層からさらに構成され得る。
【0051】
一実施形態による発光層は、式1によって表される有機エレクトロルミネセント化合物を単一のホストとして含み得る。例えば、発光層は、式1によって表される化合物C-1~C-112の少なくとも1つを含み得る。別の実施形態による発光層は、式1によって表される少なくとも1つの第1のホスト材料と、式2によって表される少なくとも1つの第2のホスト材料とを含む複数のホスト材料を含み得る。一実施形態によると、発光層は、式1によって表される、第1のホスト材料としての化合物C-1~C-112の少なくとも1つの化合物と、式2によって表される、第2のホスト材料としての化合物H1-1~H1-136の少なくとも1つの化合物とを含み得る。
【0052】
さらに、有機層は、アリールアミン系化合物及びスチリルアリールアミン系化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含み得る。さらに、有機層は、周期表の1族の金属、2族の金属、第4周期の遷移金属、第5周期の遷移金属、ランタニド及びd-遷移元素の有機金属又はそのような金属を含む少なくとも1種の錯体化合物からなる群から選択される少なくとも1種の金属をさらに含み得る。
【0053】
一実施形態による有機エレクトロルミネセント材料は、白色有機発光デバイスのための発光材料として使用され得る。白色有機発光デバイスは、R(赤)、G(緑)、YG(黄緑)又はB(青)発光ユニットの配置に応じて、平行サイドバイサイド配置方法、積層配置方法又は色変換材料(CCM)方法等の様々な構造を提案してきた。加えて、一実施形態による有機エレクトロルミネセント材料は、QD(量子ドット)を含む有機エレクトロルミネセントデバイスにも適用され得る。
【0054】
第1の電極及び第2の電極の一方は、アノードであり得、且つ他方は、カソードであり得る。この場合、第1の電極及び第2の電極は、それぞれ透過性導電性材料、半透過性導電性材料又は反射性導電性材料として形成することができる。有機エレクトロルミネセントデバイスは、第1の電極及び第2の電極を形成する材料の種類により、上面発光型、底面発光型又は両面発光型であり得る。
【0055】
正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層又はそれらの組合せをアノードと発光層との間に使用することができる。正孔注入層は、アノードから正孔輸送層又は電子阻止層への正孔注入障壁(又は正孔注入電圧)を下げるために多層であり得、この場合、多層のそれぞれで2種の化合物が同時に使用され得る。加えて、正孔注入層は、p型ドーパントとしてドープされ得る。また、電子阻止層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層との間に配置され得、発光層からの電子のオーバーフローを阻止することにより、励起子を発光層内に閉じ込めて発光漏れを防止することができる。正孔輸送層又は電子阻止層は、多層であり得、この場合、それぞれの層では複数の化合物が使用され得る。
【0056】
電子緩衝層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層又はこれらの組合せは、発光層とカソードとの間に用いることができる。電子緩衝層は、電子の注入を制御し、且つ発光層と電子注入層との間の界面特性を改善するために多層であり得、この場合、多層のそれぞれで2種の化合物が同時に使用され得る。正孔阻止層又は電子輸送層も多層であり得、ここで、各層は、複数の化合物を使用し得る。また、電子注入層は、n型ドーパントとしてドープされ得る。
【0057】
発光補助層は、アノードと発光層との間又はカソードと発光層との間に配置され得る。発光補助層がアノードと発光層との間に配置される場合、それは、正孔注入及び/若しくは正孔輸送を促進するか、又は電子のオーバーフローを防止するために使用することができる。発光補助層がカソードと発光層との間に配置される場合、それは、電子注入及び/若しくは電子輸送を促進するか、又は正孔のオーバーフローを防止するために使用することができる。加えて、正孔補助層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層との間に配置され得、正孔輸送速度(又は正孔注入速度)を促進又は阻止するのに有効であり得、それにより電荷のバランスが制御されることを可能にする。有機エレクトロルミネセントデバイスが2つ以上の正孔輸送層を含む場合、追加で含まれる正孔輸送層は、正孔補助層又は電子阻止層として使用され得る。発光補助層、正孔補助層又は電子阻止層は、有機エレクトロルミネセントデバイスの効率及び/又は寿命を向上させる効果を有し得る。
【0058】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、好ましくは、カルコゲナイド層、金属ハロゲン化物層及び金属酸化物層から選択される少なくとも1つの層(以下では「表面層」)が1つ又は両方の電極の内部表面に配置され得る。具体的には、シリコン及びアルミニウムのカルコゲナイド(酸化物を含む)層がエレクトロルミネセント媒体層のアノード面上に好ましくは配置され、金属ハロゲン化物層又は金属酸化物層がエレクトロルミネセント媒体層のカソード面上に好ましくは配置される。有機エレクトロルミネセントデバイスについての動作安定性は、表面層によって得られ得る。好ましくは、カルコゲナイドとしては、SiOX(1≦X≦2)、AlOX(1≦X≦1.5)、SiON、SiAlON等が挙げられ、金属ハロゲン化物としては、LiF、MgF2、CaF2、希土類金属フッ化物等が挙げられ、金属酸化物としては、Cs2O、Li2O、MgO、SrO、BaO、CaO等が挙げられる。
【0059】
さらに、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて、好ましくは、電子輸送化合物と還元性ドーパントとの混合領域又は正孔輸送化合物と酸化性ドーパントとの混合領域は、電極の対の少なくとも1つの表面に配置され得る。この場合、電子輸送化合物は、アニオンに還元されるため、混合領域からエレクトロルミネセント媒体への電子の注入及び輸送がより容易になる。さらに、正孔輸送化合物は、カチオンに酸化されるため、混合領域からエレクトロルミネセント媒体への正孔の注入及び輸送がより容易になる。好ましくは、酸化性ドーパントは、種々のルイス酸及びアクセプター化合物を含み、還元性ドーパントは、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、希土類金属及びそれらの混合物を含む。2つ以上の発光層を有し、且つ白色光を放出する有機エレクトロルミネセントデバイスを製造するために、電荷生成層として還元性ドーパント層が使用され得る。
【0060】
本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスの各層を形成するために、真空蒸発、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング方法等などの乾式膜形成法又はインクジェット印刷、ノズル印刷、スロットコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、フローコーティング方法等などの湿式膜形成法を用いることができる。
【0061】
湿式膜形成法を用いる場合、薄膜は、各層を形成する材料をエタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等などの任意の好適な溶媒に溶解又は拡散させることによって形成され得る。溶媒は、各層を形成する材料が溶解又は拡散することができ、且つ製膜能力に問題がない任意の溶媒であり得る。
【0062】
一実施形態によるホスト化合物とドーパント化合物とにより層を形成する場合、多くの場合に共蒸着法又は混合蒸着法により層を形成することができるが、これらに限定されない。共蒸着は、2種以上の異性体材料をそれぞれの個別のるつぼソースに入れ、両方のセルに電流を同時に流して材料を蒸発させ、混合蒸着を行う混合蒸着法であり;混合蒸着は、蒸着前に2種以上の異性体材料を1つのるつぼソースにおいて混合し、次いで1つのセルに電流を流して材料を蒸発させる混合蒸着法である。
【0063】
第1のホスト材料及び第2のホスト材料によって層を形成させる場合、一実施形態では、その層を、上に列記した方法によって形成させることが可能であり、多くの場合、共蒸着又は混合物蒸着によって形成させることができる。共蒸着は、2つ以上の異性体材料をそれぞれの個別のるつぼソースに入れ、両方のセルに電流を同時に流して材料を蒸発させ、混合蒸着を行う混合蒸着法であり;混合蒸着は、蒸着前に2つ以上の異性体材料を1つのるつぼソースにおいて混合し、次いで1つのセルに電流を流して材料を蒸発させる混合蒸着法である。
【0064】
一実施形態によれば、第1のホスト材料と第2のホスト材料とが有機エレクトロルミネセントデバイスの同じ層又は異なる層に存在する場合、2つのホスト化合物による層は、別々に形成され得る。例えば、第1のホスト材料を蒸着させた後、第2のホスト材料が蒸着され得る。
【0065】
一実施形態によれば、本開示は、式1によって表される有機エレクトロルミネセント化合物を単独で又は式2によって表される化合物と一緒に含むディスプレイデバイスを提供することができる。加えて、本開示の有機エレクトロルミネセントデバイスを使用することにより、これをスマートフォン、タブレット、ノートブック、PC、TV等のディスプレイデバイス又は車両のためのディスプレイデバイス或いは屋外又は屋内照明等の照明デバイスの製造のために使用することができる。
【0066】
以下では、本開示を詳細に理解するために、代表的な化合物又は中間体化合物の合成方法を参照して、本開示による化合物の調製方法について説明する。
【実施例0067】
[実施例1]化合物C-4の調製
【化31】
化合物1-1の合成
ジベンゾ[b,d]フラン-2-イルボロン酸(15g、70mmol)、2-ブロモ-4-クロロベンズアルデヒド(15.5g、70mmol)、Pd(PPh
3)
4(4.0g、3.5mmol)、K
2CO
3(18.5g、175mmol)、350mLのトルエン、175mLのEtOH、175mLのH
2Oをフラスコに添加し、次いで150℃の還流下で3時間撹拌した。反応終了後、反応混合物にMeOH及びH
2Oを添加し、撹拌した。次に、減圧下で濾過して溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィーで分離した。次に、そこにMeOHを添加し、得られた固体を減圧下で濾過し、化合物1-1(20g、収率:93%)を得た。
【0068】
化合物1-2の合成
化合物1-1(20g、65.2mmol)及び(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド(33.2g、97mmol)をフラスコ中で326mLのTHFに添加し、溶解させた。次に、反応混合物にKOtBu(THF中、97mL)をゆっくりと添加し、室温で2時間撹拌した。反応終了後、反応混合物にMeOH及びH2Oを添加し、撹拌した。次に、減圧下で濾過して溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィーで分離した。次に、そこにMeOHを添加し、得られた固体を減圧下で濾過し、化合物1-2(19g、収率:87%)を得た。
【0069】
化合物1-3の合成
化合物1-2(19g、56.7mmol)、イートン試薬(19mL)及び280mLのPhClをフラスコに添加し、溶解させた。次に、150℃の還流下で2時間撹拌した。反応終了後、反応混合物にMeOH及びH2Oを添加し、撹拌した。次に、減圧下で濾過して溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィーで分離した。次に、そこにMeOHを添加し、得られた固体を減圧下で濾過し、化合物1-3(6g、収率:34.9%)を得た。
【0070】
化合物1-4の合成
化合物1-3(6g、23.1mmol)、4,4,4’,4’,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(7.6g、30.1mmol)、NaOtBu(6.8g、69.3mmol)、S-Phos(0.95g、2.31mmol)、Pd2(dba)3(1g、1.16mmol)及び115mLのキシレンをフラスコに添加し、溶解させた。次に、150℃の還流下で5時間撹拌した。反応終了後、有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムを用いて残留水分を除去した後、乾燥した。次に、カラムクロマトグラフィーで分離し、化合物1-4(2.8g、収率:30%)を得た。
【0071】
化合物C-4の合成
化合物1-4(2.8g、7.1mmol)、2-クロロ-4-(ジベンゾ[b,d]フラン-1-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン(2.3g、6.45mmol)、Pd(PPh3)4(0.41g、0.355mmol)、K2CO3 2.22g(16.125mmol)、32mLのトルエン、16mLのEtOH、16mLのH2Oをフラスコに添加し、150℃の還流下で3時間撹拌した。反応終了後、反応混合物にMeOH及びH2Oを添加し、撹拌した。次に、減圧下で濾過して溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィーで分離した。次に、そこにMeOHを添加し、得られた固体を減圧下で濾過し、化合物C-4(2.5g、収率:67%)を得た。
【0072】
【0073】
以下では、本開示を詳細に理解するために、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスの調製方法及びその特性を説明する。
【0074】
[デバイス実施例1]本開示による有機エレクトロルミネセント化合物をホストとして含むOLEDの調製
本開示に係るOLEDを作製した。最初に、OLEDのためのガラス基板上の透明電極酸化インジウムスズ(ITO)薄膜(10Ω/sq)(ジオマテック株式会社、日本)を、順次、アセトン及びイソプロピルアルコールでの超音波洗浄にかけ、その後、イソプロピルアルコール中に保存し、次いで使用した。その後、ITO基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着した。次いで、化合物HI-1を真空蒸着装置のセルに導入し、化合物HT-1を真空蒸着装置の別のセルに導入した。2つの材料を異なる速度で蒸発させ、化合物HI-1を、化合物HI-1及び化合物HT-1の総量に基づいて3重量%のドープ量で蒸着させて、10nmの厚さを有する正孔注入層を形成した。次に、化合物HT-1を、正孔注入層上に80nmの厚さを有する第1の正孔輸送層として蒸着させた。次いで、化合物HT-2を真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流して蒸発させ、これにより第1の正孔輸送層上に60nmの厚さを有する第2の正孔輸送層を形成した。正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、以下の通り発光層をこれの上に形成した:以下の表1に記載されているホスト化合物をホストとして真空蒸着装置の1つのセルに導入し、化合物D-39をドーパントとして別のセルに導入した。ホスト材料及びドーパント材料を異なる速度で蒸発させ、ドーパント材料を、ホスト及びドーパントの総量を基準として3重量%のドーピング量で蒸着させて、第2の正孔輸送層上に40nmの厚さを有する発光層を形成した。次に、化合物ET-1及び化合物EI-1を50:50の重量比率で蒸着させて、発光層上に35nmの厚さを有する電子輸送層を形成した。2nmの厚さを有する電子注入層として化合物EI-1を電子輸送層上に蒸着させた後、80nmの厚さを有するAlカソードを別の真空蒸着装置によって電子注入層上に蒸着させた。このようにしてOLEDを製造した。全ての材料のために使用したそれぞれの化合物は、10-6トルの真空昇華法により精製した。
【0075】
[比較例1]ホストとして従来の化合物が蒸着されたOLEDの調製
以下の表1の比較化合物を発光層のホストとして使用したこと以外、デバイス実施例1と同じ方法でOLEDを製造した。上記の通り製造したデバイス実施例1及び比較例1による有機エレクトロルミネセントデバイスの1,000ニットの輝度における駆動電圧、力効率及び発光色並びに10,000ニットの輝度において発光が100%から90%に減少するのに要した時間(寿命;T90)を測定し、その結果を以下の表1に示す。
【0076】
【0077】
[デバイス実施例2~4]ホストとして本開示による化合物が蒸着されたOLEDの製造
ホスト材料としての以下の表2の2種類のホスト材料を1:1の比率で蒸発させることによって発光層を堆積させた以外は、デバイス実施例1と同様にOLEDを製造した。
【0078】
上で述べたように製造したデバイス実施例2~4による有機エレクトロルミネセントデバイスの駆動電圧、力効率及び輝度1,000ニットでの発光色並びに輝度10,000ニットでの輝度が100%から90%まで低下するのにかかった時間(寿命;T90)を測定し、それらの結果を下の表2に示す。
【0079】
【0080】
上記の表2から、本発明の有機エレクトロルミネセント化合物をホスト材料として含む有機エレクトロルミネセントデバイスが低い電圧、高い効率及び長い寿命特性を有することが確認できる。
【0081】
上記のデバイス実施例1~4及び比較例1で使用した化合物を以下の表3に示す。
【0082】
【0083】