(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134413
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】車両監視
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20230920BHJP
G08B 13/196 20060101ALI20230920BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20230920BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20230920BHJP
B60R 99/00 20090101ALI20230920BHJP
【FI】
H04N7/18 U
H04N7/18 J
G08B13/196
G08B21/00 U
G07C5/00 Z
B60R99/00 322
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023091368
(22)【出願日】2023-06-02
(62)【分割の表示】P 2019528688の分割
【原出願日】2017-11-17
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2016/107653
(32)【優先日】2016-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】16203965.5
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】517152128
【氏名又は名称】ルミレッズ ホールディング ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シェジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シャオボー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両モニタリング装置及び方法を提供する。
【解決手段】車両モニタリング装置100は、車両が駐車状態にあるか否かを検出する車両状態検出器と、車両に対してオブジェクトが移動しているか否かを検出する動き検出センサと、車両の周囲環境に関する画像データを記録する画像レコーダと、オブジェクトが車両に接触しているか否かを感知するタッチセンサと、車両が駐車状態にあることを車両状態検出器が検知したとき動き検出センサを起動し、オブジェクトが車両に対して移動していることを動き検出センサが検知したとき画像レコーダ及びタッチセンサを電源オンし、かつ、オブジェクトが車両に接触していることをタッチセンサが検知したとき画像レコーダによって記録された画像データをトリミングして、記憶装置に保管するメイン制御ユニットと、を含む。画像レコーダによって記録された画像データは、オブジェクトが車両に接触している期間の画像を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両モニタリング装置であって、
車両が駐車状態にあるか否かを検出するように構成されている車両状態検出器と、
前記車両に対してオブジェクトが移動しているか否かを検出するように構成されている動き検出センサと、
前記車両の周囲環境に関する画像データを記録するように構成されている画像レコーダと、
前記オブジェクトが前記車両に接触しているか否かを感知するように構成されている、タッチセンサと、
メイン制御ユニットであり、
前記車両状態検出器が、前記車両が駐車状態にあることを検出したときに、前記動き検出センサを起動し、
前記動き検出センサが、オブジェクトが前記車両に対して移動していることを検出したときに、前記画像レコーダおよび前記タッチセンサを電源オンし、かつ、
前記オブジェクトが前記車両に接触していることをタッチセンサが感知したときに、既定の時間期間の最中に前記画像レコーダによって記録された前記画像データをトリミングし、前記既定の時間期間は、接触以前の時間期間t1、前記オブジェクトが前記車両に接触している持続時間を表す時間期間t2、および、前記接触の終了以降の時間期間t3を含む、
ように構成されているメイン制御ユニットと、
前記トリミングされた画像データを保管するように構成されている記憶装置と、
を含み、さらに、
前記オブジェクトが前記車両に接触していることを前記タッチセンサが感知したときに、前記車両の所有者の受信器に対して警告メッセージを送信するように構成されている、無線通信モジュール、を含み、
前記タッチセンサは、容量性近接センサを含み、さらに、
前記車両の本体の近くに存在する雨、氷、または雪といった、前記容量性近接センサに干渉し得る環境ファクタを検知するための環境センサ、を含み、
前記容量性近接センサに対する前記環境ファクタの干渉を除去する、
車両モニタリング装置。
【請求項2】
前記容量性近接センサは、第1コンデンサを含み、
前記第1コンデンサの第1容量性プレートは、前記車両のシャーシであり、
前記第1コンデンサの第2容量性プレートは、アース接地であるか、または、該アース接地に容量的に結合されている、
請求項1に記載の車両モニタリング装置。
【請求項3】
前記オブジェクトは、人間または別の車両であり、かつ、前記車両の前記シャーシと第2コンデンサを形成し、
前記第2コンデンサの第1容量性プレートは、前記車両のシャーシであり、
前記第2コンデンサの第2容量性プレートは、前記人間の体であるか、または、前記別の車両のシャーシである、
請求項2に記載の車両モニタリング装置。
【請求項4】
前記容量性近接センサは、前記第2コンデンサの静電容量の変化を検出することによって、前記オブジェクトが前記車両に接触しているか否かを感知するように構成されている、
請求項3に記載の車両モニタリング装置。
【請求項5】
前記車両モニタリング装置は、ブラケットを介して前記車両に対して固定されており、かつ、前記環境センサは、前記ブラケットと一体化されている、
請求項1に記載の車両モニタリング装置。
【請求項6】
前記容量性近接センサは、前記車両のOBDインターフェイスのピンの電位をモニタリングすることによって、前記第2コンデンサの静電容量の変化を検出するように構成されている、
請求項4に記載の車両モニタリング装置。
【請求項7】
前記車両状態検出器は、前記車両のタイヤ内の空気圧を検出することによって、前記車両が駐車状態にあるか否かを検出する、
請求項1に記載の車両モニタリング装置。
【請求項8】
前記メイン制御ユニットは、前記オブジェクトが前記車両に接触していることを前記タッチセンサが感知したときに、警報信号を発行するために、前記車両のコントローラに通知するように構成されている、
請求項1乃至7いずれか一項に記載の車両モニタリング装置。
【請求項9】
前記車両状態検出器は、前記車両の所有者から前記車両までの距離が既定の距離閾値よりも大きいときに、前記車両が駐車状態にあることを検出する、
請求項1乃至7いずれか一項に記載の車両モニタリング装置。
【請求項10】
前記メイン制御ユニットは、さらに、
定められた時間期間について、前記車両に対して移動しているオブジェクトを前記動き検出センサが検出しないときに、前記画像レコーダおよび前記タッチセンサを電源オフにするように構成されている、
請求項1乃至7いずれか一項に記載の車両モニタリング装置。
【請求項11】
前記メイン制御ユニットは、
前記車両が非駐車状態にあることを前記車両状態検出器が検出したときに、前記動き検出センサおよび前記タッチセンサを電源オフし、かつ、前記画像レコーダを電源オンするように構成されている、
請求項1乃至7いずれか一項に記載の車両モニタリング装置。
【請求項12】
車両をモニタリングする方法であって、
車両が駐車状態にあるか否かを検出するステップと、
前記車両が駐車状態にあることの検出に応答して、前記車両に対してオブジェクトが移動しているか否かを検出するステップと、
前記車両に対してオブジェクトが移動していることの検出に応答して、前記車両の周囲環境に関する画像データを記録するステップと、
前記オブジェクトが前記車両に接触しているか否かをタッチセンサによって感知するステップと、
前記オブジェクトが前記車両に接触していることの前記感知に応答して、既定の時間期間の最中に画像レコーダによって記録された前記画像データをトリミングし、かつ、保管するステップであり、
前記既定の時間期間は、接触以前の時間期間t1、前記オブジェクトが前記車両に接触している持続時間を表す時間期間t2、および、前記接触の終了以降の時間期間t3を含む、
ステップと、
前記オブジェクトが前記車両に接触していることを前記タッチセンサが感知したときに、前記車両の所有者の受信器に対して警告メッセージを送信するステップと、
を含み、
前記タッチセンサは、容量性近接センサを含み、さらに、
前記車両の本体の近くに存在する雨、氷、または雪といった、前記容量性近接センサに干渉し得る環境ファクタを検知するための環境センサ、を含み、
前記容量性近接センサに対する前記環境ファクタの干渉を除去する、
方法。
【請求項13】
コンピュータで利用可能な命令を保管するコンピュータで読取り可能な記録媒体であって、前記命令が1つまたはそれ以上のコンピュータ装置によって実行されると、前記1つまたはそれ以上のコンピュータ装置に、請求項12に記載の方法を実施させる、
コンピュータで読取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両監視の分野に関する。そして、特定的には車両モニタリング装置および車両モニタリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活においては、様々な交通事故が、しばしば発生している。交通事故が発生した場合には、事故の画像データや動画データといった交通事故に関するデータを持っていることが非常に有益である。データは、次いで、分析され、そして、おそらく証拠として使用され得る。ドライバーは、また、駐車場における事故に関するデータも持ちたいであろう。多くの既知の車両モニタリング装置は、車両の周囲を連続的にモニタする。しかしながら、ストレージカードの中に多くの無用なデータを生成する。このように、ストレージカードの容量が深刻に浪費されている。
【0003】
米国特許出願公開第20070236497A1号公報および米国特許出願公開第20150169968A1号公報は、1つまたはそれ以上のセンサを用いて車両の近傍をモニタリングすること、および、オブジェクトが検出された場合にだけ、または、さらにオブジェクトが車両に近づく場合だけビデオ記録を開始することによって、ストレージだけでなく、エネルギー消費問題も、また、いくらか低減する。独国特許出願公開第1002009017251A1号公報は、例えば、ビデオ記録を開始するように、車両に近づいているか又は接触しているオブジェクトを検出するための容量性センサを使用する。
【発明の概要】
【0004】
この開示の一つの実施例に従って、車両モニタリング装置が提供される。本装置は、車両が駐車状態にあるか否かを検出するように構成されている車両状態検出器と、車両に対してオブジェクトが移動しているか否かを検出するように構成されている動き検出センサと、車両の周囲環境に関する画像データを記録するように構成されている画像レコーダと、オブジェクトが車両に接触しているか否かを感知するように構成されているタッチセンサと、メイン制御ユニットであり、車両が駐車状態にあることを車両状態検出器が検出したときに動き検出センサを起動し、オブジェクトが車両に対して移動していることを動き検出センサが検出したときに画像レコーダおよびタッチセンサを電源オンし、かつ、オブジェクトが車両に接触していることをタッチセンサが感知したときに既定の時間期間の最中に画像レコーダによって記録された画像データをトリミングするように構成されており、既定の時間期間はオブジェクトが車両に接触している持続時間を含む、メイン制御ユニットと、トリミングされた画像データを保管するように構成されている記憶装置と、を含んでいる。
【0005】
このことは、ストレージカードにおいて無駄なデータが大いに削減できるように、タッチセンサがタッチイベントを感知した場合にだけ、タッチイベントに関連するビデオクリップが記憶装置の中に書き込まれるという点で有利である。従って、記憶装置を有効に利用することができる。
【0006】
一つの実施形態において、タッチセンサは、容量性近接センサを含み得る。容量性近接センサは、一般的に、タッチを感知することにおいて良好な性能を有している。任意的に、容量性近接センサは、第1コンデンサを含み、ここで、第1コンデンサの第1容量性プレートは車両のシャーシであり得る。そして、第1コンデンサの第2容量性プレートはアース接地(earth ground)であるか、または、アース接地に容量的に結合されている。
【0007】
一つの実施形態において、オブジェクトは人間または別の車両であり、かつ、車両のシャーシと第2コンデンサを形成し得る。ここで、第2コンデンサの第1容量性プレートは車両のシャーシであり、そして、第2コンデンサの第2容量性プレートは人間の体であるか、または、別の車両のシャーシである。一つの実施例として、容量性近接センサは、第2コンデンサの静電容量の変化を検出することによって、オブジェクトが車両に接触しているか否かを感知するように構成され得る。車両のシャーシは車両のボディ全体と接続されているので、容量性近接センサは、車両のあらゆるポイントにおいて接触しているオブジェクトを検出することができる全方向性センサとして動作し得る。
【0008】
一つの実施形態において、車両モニタリング装置は、さらに、容量性近接センサに対する干渉を検知するように構成されている環境センサを含み得る。環境センサは、容量性近接センサに対して深刻な干渉を有し得る環境ファクタだけを環境センサが追跡するように、(フロントガラスまたは屋根といった)車両の特定の場所に配置され得る。
【0009】
一つの実施形態において、車両モニタリング装置は、ブラケットを介して車両に対して固定されてよく、かつ、環境センサは、ブラケットと一体化されてよい。このことは、環境センサの簡素な取付けソリューションを提供する。
【0010】
一つの実施形態において、容量性近接センサは、車両のOBDインターフェイスのピンの電位をモニタリングすることによって、第2コンデンサの静電容量の変化を検出するように構成され得る。
【0011】
一つの実施形態において、車両モニタリング装置は、さらに、オブジェクトが車両に接触していることをタッチセンサが感知したときに、車両の所有者の受信器に対して警告メッセージを送信するように構成されている無線通信モジュールを含み得る。追加的または代替的に、メイン制御ユニットは、オブジェクトが車両に接触していることをタッチセンサが感知したときに、警報信号を発行するために車両のコントローラに通知するように構成されている。
【0012】
一つの実施形態において、車両状態検出器は、車両の所有者から車両までの距離が既定の距離閾値よりも大きいときに車両が駐車状態にあることを検出し得る。加えて、車両状態検出器は、車両の所有者から車両までの距離が所定の距離閾値より小さいか又は等しいときに車両が非駐車状態にあることを検出し得る。
【0013】
一つの実施形態において、メイン制御ユニットは、さらに、定められた時間期間について、車両に対して移動しているオブジェクトを動き検出センサが検出しないときに、画像レコーダおよびタッチセンサを電源オフするように構成され得る。
【0014】
一つの実施形態において、メイン制御ユニットは、車両が非駐車状態にあることを車両状態検出器が検出したときに、動き検出センサおよびタッチセンサを電源オフし、かつ、画像レコーダを電源オンするように構成され得る。
【0015】
本開示の別の態様に従って、車両をモニタリングする方法が提供される。本方法は、車両が駐車状態にあるか否かを検出するステップと、車両が駐車状態にあることの検出に応答して車両に対してオブジェクトが移動しているか否かを検出するステップと、車両に対してオブジェクトが移動していることの検出に応答して車両の周囲環境に関する画像データを記録するステップと、オブジェクトが車両に接触しているか否かを感知するステップと、オブジェクトが車両に接触していることの感知に応答して既定の時間期間の最中に画像レコーダによって記録された画像データをトリミングし、かつ、保管するステップであり、既定の時間期間はオブジェクトが車両に接触している持続時間を含むステップと、を含む。
【0016】
この開示のさらに別の態様に従って、コンピュータで利用可能な命令を保管するコンピュータで読取り可能な記録媒体が提供される。1つまたはそれ以上のコンピュータ装置によって使用されるとき、車両をモニタリングする上記の方法を1つまたはそれ以上のコンピュータ装置に実行するようにさせるものである。
【0017】
本開示のこれら及び他の利点は、以降に説明される実施形態から明らかであり、かつ、それらを参照して解明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示が、これから、より詳細に、そして、添付された図面を参照して説明される。
【
図1】
図1は、本開示の一つの実施形態に従った車両モニタリング装置の例示的な構造図である。
【
図2】
図2は、本開示の一つの実施形態に従って使用される容量性近接センサの例示的な概略図である。
【
図3】
図3は、本開示の一つの実施形態に従って使用されるOBD(On-Board Diagnostics)インターフェイスの概略図である。
【
図4】
図4は、本開示の一つの実施形態に従った容量性近接センサと共に使用され得る例示的な検出回路である。
【
図5】
図5は、本開示の一つの実施形態に従った車両のモニタリング方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明は、本開示の様々な実施形態について、完全に理解するため、そして、それを可能にするための具体的な詳細を提供する。当業者であれば、本開示の技術的ソリューションが、これらの詳細の多くがなくても、実行され得ることを理解するだろう。いくつかのインスタンスにおいては、本開示の実施形態に係る説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知の構造および機能が示されておらず、もしくは、詳細に説明されていない。この開示において使用される用語は、それが本開示の所定の実施形態の詳細な説明と共に使用されているにもかかわらず、その最も広く妥当な方法で解釈されることが意図されている。
【0020】
図1は、本開示の一つの実施形態に従った車両モニタリング装置100の例示的な構造図である。示されるように、車両モニタリング装置100は、メイン制御ユニット105、および、車両状態検出器101、動き検出センサ102、画像レコーダ103、タッチセンサ104、および、記憶装置106を含み、これらは、例えば、本体部(main unit)によって、相互に通信可能に結合されている。一つの実施形態において、車両モニタリング装置100は、さらに、
図1に示されるように、環境センサ107、及び/又は、無線通信モジュール108を含んでよい。
【0021】
車両状態検出器101は、車両がパーキング状態にあるか否かを検出するように構成され得る。用語「駐車状態(”a parking state”)」は、ここにおいて使用される際に、車両のエンジンが完全に停止されている状態を参照することが理解されるべきである。別の言葉で言えば、駐車状態は、たいてい、運転者が駐車し、そして、車両を離れたことを意味している。これを考慮して、車両状態検出器は、車両の補助電源(ACC電源)から供給される電力を検出することによって、車両が駐車状態にあるか否かを検出することができる。例えば、ACC電源から供給される電力が存在しない場合、車両は、駐車状態にあるものと検出され得る。車両が駐車状態にあるか否かを検出する他の方法も、また、考慮されることに留意すべきである。車両のタイヤ内の空気圧を検出するといったものである。
【0022】
動き検出センサ102は、車両に対してオブジェクトが移動しているか否かを検出するように構成され得る。動き検出センサは、例えば、所定の周波数でマイクロ波放射(microwave radiation)を発し、そして、そのエコーを検知することによって、オブジェクトが移動しているか否かを検出する、マイクロ波センサであり得る。他の動き検出センサも、また、考慮されることに留意すべきである。受動赤外センサ、超音波センサ、等といったものである。
【0023】
画像レコーダ103は、車両の周囲環境に関連する画像データを記録するように構成され得る。画像レコーダは、例えば、レンズと光学センサのセットを含むモジュールであり得る。そうしたモジュールは、レンズによって光学センサの上に画像をフォーカスすることができ、そして、その画像は、次いで、光学センサによって電気信号へと変換され得る。そうしたモジュールは、携帯電話、モニター、等といった、様々な装置において、既に広く使用されている。典型的に、画像レコーダは、ビデオレコーダであってよく、そして、画像データは、ビデオレコーダによって記録されたビデオであってよい。
【0024】
タッチセンサ104は、オブジェクトが車両に接触しているか否かを感知するように構成され得る。タッチセンサは、例えば、容量性タッチセンサ、抵抗性タッチセンサ、音響タッチセンサ、誘導性センサ(inductive sensor)、レーザレンジファインダ(laser rangefinder)、ホール効果センサ、渦電流センサ、磁気センサ、等といった、あらゆる種類の近接センサであり得る。一つの実施形態において、タッチセンサは、容量性近接センサであってよい。容量性近接センサは、第1コンデンサ(capacitor)を有してよく、ここで、第1コンデンサの第1容量性プレートは、車両のシャーシであってよく、そして、第1コンデンサの第2容量性プレートは、アース接地であってよく、または、アース接地に対して容量的に結合されてよい。実際に、車両のシャーシは常にボディ全体と接続されているので、車両のボディ全体は、第1コンデンサの第1容量性プレートとしてみなすことができる。オブジェクトは、典型的には、人間または別の車両であり、そして、車両に近づくと、車両のシャーシと共に第2コンデンサを形成する。例えば、第2コンデンサの第1容量性プレートは、車両のシャーシであってよく、そして、第2コンデンサの第2容量性プレートは、人間の体または別の車両のシャーシであってよい。オブジェクトが車両のシャーシに接近すると、第2コンデンサの静電容量(capacitance)が変化する。この場合に、容量性近接センサは、第2コンデンサの静電容量における変化によってオブジェクトが車両に接触しているか否かを感知するように構成することができる。
【0025】
メイン制御ユニット105は、車両状態検出器が、車両が駐車状態にあることを検出したときに、車両に対してオブジェクトが移動しているか否かを検出するために、動き検出センサを起動して、車両の周囲環境に関する画像データを記録するために、画像レコーダを電源オンし、かつ、動き検出センサが、車両に対してオブジェクトが移動していることを検出したときに、オブジェクトが車両に接触しているか否かを検出するために、タッチセンサを電源オンし、そして、オブジェクトが車両に接触していることをタッチセンサが感知したときに、既定された時間期間の最中に記録された画像データをトリミングするように構成され得る。ここで、既定された時間期間は、あらゆる重要な証拠を失うことなく、接触イベント全体を記録するように、車両と接触しているオブジェクトの持続時間を含むべきである。
【0026】
メイン制御ユニット105は、ハードウェアユニット及び/又はソフトウェアモジュールとして実装され得る。例えば、ハードウェアユニットは、プロセッサ、マイクロプロセッサ、集積回路またはオンチップシステム、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、複雑なプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、等を含み得る。
【0027】
記憶装置106は、トリミングされた画像データを保管するように構成され得る。記憶装置は、リムーバブル記憶装置または非リムーバブル記憶装置であってよい。例えば、記憶装置は、ROM、電気的に消去可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリカード、CD-ROM、デジタル汎用ディスク(DVD)または他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置、または情報を保管するために使用することができる他の記憶装置、であってよい。
【0028】
雨、氷、雪といった、環境ファクタが車両のボディ近くに存在する場合に、単一の容量性近接センサは失敗する可能性がある。そうした環境ファクタが容量性近接センサと干渉するからである。容量性近接センサに対する環境ファクタの干渉を除去するために、一つの実施形態において、車両モニタリング装置は、さらに、容量性近接センサへの干渉を感知するように構成された環境センサ107を含み得る。環境センサは、容量性近接センサの作動について適切な環境ファクタだけを追跡するように、(フロントガラスまたは屋根といった)車両の特定の場所に配置され得る。例えば、環境センサと近接センサが同時にオブジェクトを感知する場合に、オブジェクトは、検出されることが望まれるオブジェクトではなく、むしろ、容量性近接センサに対する干渉ファクタであり得る。一つの実施形態において、環境センサは、別の容量性近接センサであり得る。一つの実施形態において、車両モニタリング装置は、ブラケットを介して車両に対して固定することができ、そして、環境センサは、ブラケットと一体化され得る。このようにして、環境センサを取り付けるための労力を大いに削減することができる。
【0029】
一つの実施形態において、車両モニタリング装置は、さらに、オブジェクトが車両に接触していることをタッチセンサが感知したときに、車両の所有者の受信器に警告メッセージを送信するように構成された無線通信モジュール108を含み得る。無線通信モジュールは、これらに限定されるわけではないが、移動通信モジュール(2G、3G、4G、5Gモジュール、等といったもの)、Zigbeeモジュール、Bluetooth(登録商標)モジュール、Wi-Fiモジュール、等を含み得る。警告メッセージは、テキスト、シンボル、アイコン、画像、及び/又は、ビデオクリップであってよい。そして、警告メッセージは、車両がオブジェクトによって接触されていることを示すことができる。
【0030】
一つの実施形態において、メイン制御ユニットは、さらに、オブジェクトが車両に接触していることをタッチセンサが感知したときに、警報信号110を発行するために車両のコントローラ109に通知するように構成され得る。警報信号は、車両のヘッドライトを点滅させ、かつ/あるいは、車両のホーンにビープ音を鳴らさせる。追加的または代替的に、警報信号は、また、車両モニタリング装置と一体化された警報コンポーネントによっても送出され得る。
【0031】
一つの実施形態において、車両状態検出器は、車両の所有者から車両までの距離が既定の距離閾値よりも大きい場合に、車両が駐車状態にあることを検出することができる。追加的または代替的に、車両状態検出器は、車両の所有者から車両までの距離が既定の距離閾値より小さいか又は等しい場合に、車両が非駐車状態にあることを検出することができる。車両の所有者から車両までの距離は、所有者および車両の位置情報に基づいて決定され得る。所有者の位置情報は、所有者が携帯するGPS機器または携帯電話から獲得され得る。車両の位置情報も、また、同じ方法で獲得され得る。所有者および車両それぞれがWi-Fi/Bluetoothモジュールを有している場合には、既定の距離閾値を、それぞれ所有する固有のSSID(Service Set Identifier)によってそれらの接続状態と切断状態が自動的に切り替わるときの、2つのWi-Fi/Bluetoothモジュール間の距離に設定することができる。
【0032】
一つの実施形態において、メイン制御ユニットは、さらに、定められた時間期間について動き検出センサが車両に対して移動しているオブジェクトを検出しない場合に、画像レコーダおよびタッチセンサを電源オフするように構成され得る。別の実施形態において、メイン制御ユニットは、さらに、車両が非駐車状態にあることを車両状態検出器が検出した場合に、動き検出センサおよびタッチセンサを電源オフし、かつ、画像レコーダを電源オンするように構成し得る。
【0033】
車両モニタリング装置は、また、他のコンポーネントも含み得る。車両モニタリング装置は、上記のコンポーネントから成る単一のエンティティ、または、空間的に相互に分離された複数のエンティティを含んでよいことが留意されるべきである。例えば、記憶装置は、画像レコーダから分離されるか、または、画像レコーダ内に統合され得る。
【0034】
図2は、上述の容量性近接センサ200の例示的な概略図である。示されるように、容量性近接センサは、第1コンデンサC1を含み、第1コンデンサの第1容量性プレートは、車両のシャーシであってよく、そして、第1コンデンサの第2容量性プレートは、グラウンドであってよく、または、(例えば、コンデンサC3によって)アース接地に対して容量的に結合されてよい。実際には、車両のシャーシが常にボディ全体と接続されているので、車両のボディ全体は、第1コンデンサの第1容量性プレートとしてみなされ得る。オブジェクトは、典型的には、人間または別の車両であり、そして、オブジェクトが車両に近づくときに、車両のシャーシと共に第2コンデンサC2を形成する。さらに、オブジェクトは、常にアース接地に対して静電容量C4を有している。
図2に示されるように、第1コンデンサの第1容量性プレートとアース接地との間に電界Eが印加され得る。オブジェクトがシャーシまたは車両のボディに近づくと、第2コンデンサの静電容量が変化する。従って、第2コンデンサの静電容量の変化を検出することによって、容量性近接センサは、オブジェクトが車両に接触しているか否かを検出するように構成され得る。
【0035】
一つの実施形態において、容量性近接センサは、車両のOBDインターフェイスのピンの電位(potential)をモニタリングすることによって、第2コンデンサの静電容量の変化を検出するように構成され得る。市場における大部分の自動車が、今では、そうしたインターフェイスを備えており、そこでは、OBDの4番目のピンにより所望の静電容量情報を導出することができる。
図3は、そうしたOBDインターフェイス300の概略図を示している。示されるように、ピン1-8が、インターフェイス300の上段において左から右へ配置されており、そして、ピン9-16が、インターフェイスの下段において左から右に配置されている。ピン4は、シャーシグラウンドを提供しており、従って、第2コンデンサの静電容量の変化は、車両のOBDインターフェイスの第4のピンの電位をモニタリングすることによって容易に検出され得る。
【0036】
図4は、本開示の一つの実施形態に従った容量性近接センサと共に使用され得る例示的な検出回路400である。示されるように、この検出回路は、RC発振回路として設計されており、そして、タッチの検出を達成するために、集積回路ICの中の比較器CAを使用する。ICは、例えば、Texas Instrumentsによって設計されたMSP430といった、比較器を有するマイクロコントローラであり得る。比較器の正の入力は、抵抗器ネットワークに対して接続されており、そして、比較器の負の入力は、抵抗器Rcと第1コンデンサC1との間に接続されている。比較器に対して接続された抵抗器ネットワークは、比較器のための基準電圧を提供する。
【0037】
図4において、Pポートからの電圧出力は高い電位であり、そして、従って、比較器の正の入力は高い電位にある。次いで、比較器の負の入力における電位が高くなるまでコンデンサC1が充電され得る。この時に、比較器の出力における電位は逆になり、そして、コンデンサC1が放電し始める。次いで、RC発振回路は、この方法で発振を継続する。比較器の出力は、カウンタTARによってカウントされ得る、方形波信号である。従って、オブジェクトが車両に接触しているか否かを決定するために、固定の時間ウィンドウ内の振動数がモニタリングされ得る。
【0038】
図5は、本開示の一つの実施形態に従った、車両のモニタリング方法500のフローチャートである。本方法500は、
図1の車両モニタリング装置100を参照して以下に説明される。しかしながら、他の実施形態において、本方法500は、本方法500のオペレーションのうち少なくともいくらかを実行することができる他の適切な、または、他の適切なタイプの1つまたはそれ以上のコンピュータ装置において実装されてよい。方法500は、また、コンピュータで読取り可能な記憶媒体上に保管されたコンピュータで利用可能な命令として実装されてもよい。コンピュータで利用可能な命令は、1つまたはそれ以上のコンピュータ装置によって使用される場合に、本方法を1つまたはそれ以上のコンピュータ装置に実行させる。
【0039】
示されるように、本方法は、ステップ501でスタートする。次いで、ステップ502では、車両が駐車状態にあるか否かが検出され得る。ステップ502は、例えば、
図1において説明された車両状態検出器101によって実装され得る。
【0040】
車両が駐車状態にある場合には、例えば、動き検出センサ102を開始することによって、ステップ503において動き検出が開始され得る。そして、ステップ504においては、オブジェクトが車両に対して移動しているか否かが検出され得る。オブジェクトが車両に対して移動していることの検出に応答して、車両の周囲環境に関する画像データが、例えば、画像レコーダ103によって、ステップ505において記録され得る。次に、ステップ506において、オブジェクトが車両に接触しているか否かが検知され得る。ステップ506は、
図1で説明されたタッチセンサ104、特には容量性近接センサによって、実行され得る。
【0041】
オブジェクトが車両に接触していると感知することに応答して、ステップ507において、既定の時間期間の最中に記録された画像データがトリミングされ、そして、保管される。既定の時間期間は、オブジェクトが車両に接触している持続時間を含んでいる。この点で、既定の時間期間は、時間期間t1、t2、およびt3の合計として定義され、ここで、t1は接触以前の時間期間を表し、t2はオブジェクトが車両に接触している持続時間を表し、そして、t3は接触終了後の時間期間である。未だに移動があるか否かが、ステップ508で検出され得る。定められた時間期間について、車両に対して移動しているものと検出されるオブジェクトが無い場合には、ステップ509において画像記録およびタッチ検出が停止され得る。
【0042】
ステップ502において、車両が非駐車状態にあることが検出された場合には、オブジェクトが車両に対して移動しているか否かに関する動き検出、および、オブジェクトが車両に接触しているか否かに関するタッチ検出が、ステップ5010において停止され、そして、ステップ5011において、画像記録が電源オンがされ得る。このことは、通常の運転環境において典型的な事例である。
【0043】
本開示の実施形態は、明確化のために、異なる機能ユニットを参照して説明されてきたことが、理解されるべきである。しかしながら、各機能ユニットの機能性は、本開示を損なうことなく、単一のユニット、複数のユニット、または、他の機能ユニットの一部として実現され得ることが明らかであろう。従って、特定の機能ユニットに対する言及は、厳密な論理的または物理的な構造または組織を示すのではなく、むしろ、説明される機能を提供するために適切なユニットへの言及としてみなされるに過ぎない。そういうものとして、本開示は、単一のユニットにおいて実施されてよく、または、異なるユニットと回路との間に物理的および機能的に配分されてよい。
【0044】
いくつかの実施形態に関連して本開示が説明されてきたが、ここにおいて明らかにされた特定の形態に限定されるように意図されたものではない。むしろ、本開示の範囲は、添付の請求項によってのみ限定されるものである。加えて、個々の特徴は、異なる請求項に含まれ得るが、これらは有利に組み合されてよく、そして、異なるクレームの中に含めることは、特徴の組み合わせが実行可能でない、かつ/あるいは、有利でないことを意味するものではない。請求項における機能の順序は、機能が実施されることを要する特定の順序を意味するものではない。加えて、請求項において、用語「含む(”comprise”または”include”)」は、他のエレメントを排除するものではなく、そして、不定冠詞「一つの(”a”または”an”)」は、複数を排除するものではない。請求項における参照符号は、実施例を明確にするものとして単に提供されているものであり、そして、いかなる意味においても請求項の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
【外国語明細書】